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ただいまから行政監視委員会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。去る16日までに、浅尾圭一郎君、田村芳美君、杉吉文君、長居真奈武君、上田勲君、伊藩大一君、小賀幸人君、山谷恵里子君、羽生田孝君及び橋本誠子君が委員を辞任され、その補欠として、片山さつき君、上野美智子君、門広幸君、鶴穂陽介君、河井貴則君、横山志一君、高田徹美君、石川大賀君、山本紗子君及び田中雅志君が、選任されました。理事の補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴い、現在、理事が4名決議となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。理事の選任につきましては、選例により、委員長の指名にご一人願いたいと存じますか。ご異議ございませんか。ご異議ないと認めます。それでは、理事に片山さつき君、鶴穂陽介君、尾道誠君及び小琴淳君を指名いたします。国政調査に関する件についてお諮りいたします。本委員会は、今期国会におきましても、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、さようを決定いたします。参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に、佐賀県拓市長、横尾俊彦君、西南学院大学法学部教授、清一智子君及び武蔵大学社会学部メディア社会学科教授、松治雅彦君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、さようを決定いたします。行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のうち、国と地方の行政の役割分担に関する件を議題として、参考人の皆様からご意見を伺います。この際、参考人の皆様に一言ご挨拶を申し上げます。本日はご多忙のところご出 席いただき、誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を賜りまして、今後の調査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に議事の進め方について申し上げます。まず、与公参考人、政一参考人、生二参考人の順に、お一人15分以内でご意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。また、ご発言の際は挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知をおきください。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それでは、まず、与公参考人からお願いいたします。
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ありがとうございます。ただいまご紹介いただいた佐賀県卓州の市長をしています、与公俊彦と申します。本日は参議院のこの委員会にお招きをいただいて、意見を陳述する機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げまして、大変光栄なことだと思っているところです。では、時間の限りもありますので、早速、意 見を述べさせていただきたいと思います。今日はお手元に簡単な資料を準備しました。簡単とはいえ、申し上げたいことが多かったので、結構ボリュームの多い文字数になっていることはお許しをいただきたいと思います。少し一時走ございますが、これを追いながら説明をさせていただきたいと思います。まず、意見として申し上げたい一点目は、自治体経営のことです。自治体経営を充実し、向上していく、このことが大変大切なことであるとともに、地方文献にとても大切なことだと思います。次に書いていますが、市役所ってどういうとこですかとよく聞かれますが、私自身は市役所は、その文字の通り市民に役立つところと書いてありますので、そういう仕事をしているとこですよと常に申し上げています。そういった意味では、首長は自治体経営を預かっている経営者、自治体経営の経営者であるという意識を持って仕事をさせていただいています。全国2740を超える市区町村がありますけれども、それぞれの首長は同じ思いで今奮闘されているとこと思います。特に奥の人では、劇務の中頑張っていただいています。さて、そういうことを考えるときに、我々は政治行政のミッションとは何だろうと、時々私も考えますが、簡単に言うならば、そこに書いてございますように、多くの皆様から税金などという形でお金をお預かりをして、これを予算化して事業を推進する、未来を想像するための仕事をするのが我々首長のミッションだと思っています。この上では、公務でございますので、法に基づいて様々な仕事がされます。制度に基づいて執行もされていきます。こういったことをしっかり踏まえるとともに、生産性、コスト意識、経営感覚ということは欠かすことのできないものだ、特に近年はそういうことが強く認識されているところだと思っていますので、それを踏まえて創造挑戦をしなければならないと思っています。でも一方で、公務にはいろいろメリットもあれば難しい面もございます。一つは、遵法精神は当然大切なんですけれども、それにそぐわない、そこでは手が及ばない事態に直面することが多々あります。これをどうするのか、そういう工夫が必要です。また伝統を守る、過去の先例を守ることも重要ですけれども、創造や進化をしなければならない、このことをどうするか、特に先輩先代が作られたルールとか施策があるとするならば、それを時代の変化に応じて変えていくことも当然大切でございます。また一方では、責任を取るということを首長はしていきますので、責任経営という意識を常に持たねばならないと私自身日々自戒をしています。特に責任を取らない態勢になってしまいますと、本当に公務というものはズタズタに壊れていくと思いますし、信頼は立たずになってしまうと危機感も持っています。そういった意味では常に自流を捉えて、新たな挑戦を努力する、このことが慣用だと思いますし、多くの皆様が日々暮らされている、その生活者の感覚を忘れずに日々努めていくこと、とても大切と思います。また一方では、細部にこそ魂が宿る、業が光るという言葉がありますように、そのような思いも持って、細やかな配慮、具体的な小さい施策についても注意を払う必要があると思っています。こういったことを叶えていくような自治体の経営、これをどうするかということを、ぜひ国におきましても、文献の議論や行政のあり方の議論でぜひ合流いただきたいというのが一点目でございます。二つ目はデジタルガバナンスのことでございます。日本の森内閣のときに、e-ジャパン構想が発表されました。これを見たお隣の国、韓国では、大変危機感を持たれまして、調査団も派遣し、いろいろ調べられました。そして韓国としてのデジタルガバナンスに向けての、電子政府に向けての作戦を作り、実行されました。その積み重ねの成果だと思いますけれども、韓国では国連の電子政府ランキングで、常に上位にいるという形になっています。また、大変いろんな苦労をされてきたエストニアという国では、世界に各大陸にデータベースセンターをお持ちです。いかに本国がいろいろ問題があったとしても、その大陸に行けばデータベースがありますので、市民権すべて復活をしてですね、新たな国づくりをもう一度やれる。そこも考え、そして一方では世界に関わるXロードという行政サービスパッケージのデータベースとサービスシステムがあります。このネットワークを使って最先端のガバナンスを実現されています。デンマークでは世界一幸せな国とも言われますが、国民のリテラシー教育もすごく進んでいると聞いています。また日本におきましても、経団連をはじめ多くの方々がデジタル人材の必要性を得ています。そういった意味で、今話題にもなっているマイナンバーにつきましては本当に大切なものだと思っています。デジタルガバナンス、デジタル時代、ソサイティ5.0の時代の行政をつくっていく上に欠かすことのできないツールであります。今回はマイナ保険証への推進ということが政府でも取り組まれていますので、ぜひこれがうまくいってですね、より多くの方々が利活用するとともに、個人情報の保護のケア、そしてセキュリティの高さもしっかりしながら、そして一方では書式統一化によりまして、無駄をなくすということをしていくならば、より良いデジタル政府、デ ジタルガバナンスが実現できるものと思っています。実はこの書式の統一は非常に大きな意味がありまして、民間企業で全国に支店、支社があるところは、例えば給与のこと、確定申告のこと、社員の移動のこと、書式が違うと多分手入力でその書類を見てされるという手間をかけておられます。もし書式が統一されて電子的に関連に扱うならば、本当に簡単にできてコストもかからず、その分の仕事を新しい仕事に向けられるわけですから、こういった改革も実はあると思っています。そういったことを含めまして、デジタル時代の行政システムは、ぜひ国の方でより良いベストのパッケージを作っていただいて、これを全自治体に提供するような形、そういったことも将来なるべき姿として、ぜひ考えていただきたいと思います。そのことがうまくいくならば、日本という国の行政パッケージは素敵だな、うちの国でも使いたい、うちのエリアでも使いたいとなっていきますと、人口増加していくアジア、アフリカ諸国をはじめとした国々でも、日本のベンダー関係の新しいビジネスも可能になるんじゃないかということも考えられますので、国でより良いものを作り、全自治体が参加して、それに組み入れてやっていけるような、そういう行政ということもぜひ必要だと思っております。さらにそのことを進め ていくためには、例えば、書くない窓口などが今取り組まれようとしていますが、本来はデジタル技術を使うならば、サイバー上で本人確認、あるいは情報紹介ができればですね、書類提出そのものも本当は不要であることも可能だと思います。他の国ではそうなっています。また、優れた日本の行政マネジメントパッケージは、今申し上げたとおりでございますし、また海外にはこのことを進めるためにより良いソフトもあります。一つは国民に何度も同じような書類を求めない、公務員は年間に何百何十何時間デジタル研修を受けなければならない、こういったヒューマンをちゃんと高める、細かいことも配慮する形でこれをルール化してデジタルガバナンスを高めておられます。こういった努力を日本もすぐでもできるんじゃないかなという期待を持っています。時間の関係で次の項目に行かせていただきますが、次はデイキスト時代の人材の育成です。特にこれはギガスクールで今子どもたちは小学校、中学校、義務教育学校で一人一台パソコンが実現をされました。このことによってまさに多くの学びが進化しているところでございます。ICTはインフォメーションコミュニケーションテクノロジーが正確な言葉ですけど、私はアイクリエイトトゥモローのICTと申し上げています。僕が私が未来を作る、そういう教育を子どもたちに提供していく。そのためにここに書いている教育のミッションを果たしながら、ぜひこういった関係を整えたいと思います。私自身実は10年ぐらい前に海外の教育事情を視察して、いかに日本が遅れているかということを見てしまいましたので、ぜひこのことはぜひ進めていくべきだろうというふうに強く感じているところでもございますので、ギガスクールのことには大変感謝をいたしております。衆議院、参議院、国会の大きな励ましのもとに政府の積極的なリードでギガスクールがスタートしました。世界最速、最短で全ての対象となる子どもたちに一人一台が実現したのは、世界も圧倒どろいてご覧になっているし注目されています。より良い推進のためにも、今後とものサポートをぜひお願いしたいというふうに改めて思っているところでございます。それをサポートする意味で、全国ICT首長教育会も立ち上げました。130名ほどおります。政府が作ったIT立国宣言のような基本方針をやるには、教育委員会にのめらず首長もやるべきだということで、我々有志で集まってやっているところです。アワードを作ったり、サミットをやったり、そして文部科学大臣への政策要望提案もしているところでございますので、これを受けて昨年、前回の新しい骨太方針にも国策として実行していくということで明記をいただきました。大変心強く思っております。ぜひこのことがより良く進んで、次の時代を担う子どもたちに素晴らしい教育環境が整うことを願っています。海外ではフィンランドでは、リテラシーのことを教育の分野、そして社会教育でも明記室で取り組まれています。デンマークでは役所からの連絡は基本的にメールと受けたまわっています。これらのことはおそらく日本でも今後必要になると思います。そして4つ目は自治体や民間の創造性を伸ばす規制改革です。特にドローンにおいては、私どもも取り組んでいるのですが、新しいステージとしてレベル4というのがあります。これは遠隔で自動運転に近い状況でドローンを飛ばすことができるサービスになっていくのですが、こういったことを積極的にやろうという会社と私どもタイアップをしまして、新しいドローンの取り組みを展開しています。民放でございますが、ガイアの夜明けというところでも取り上げていただきました。ところが実装していく上では、そのコストのこととかサポートのこととかいろいろ課題もありますし、ルールの緩くしていくこと、適切にしていくことも希望があるようです。こういったことも組み上げていただくと、新しいドローンの利用が日本でも進むと思います。また健康増進については地道な取り組みを実はしてきています。特定検診では受診率6割以上に回っています。毎年4月に手配りで全ての世帯に検診をいつ受けますか、どのように受けますかという調査をします。手配りで戻していただきます。こういったコンタクト、ヒューマンコンタクトをベースに取り組みをし、全国に2度いただくことができました。こういった地道な取り組みがあってこそ、健康リテラシーを高め、一人一人が自分の健康を自分で守る。そういったことをすることで、より良い幸せな、いわゆるウェルビングな生活が送れる基盤もしっかり作っていきたいと思っているところでございます。こういったことにも新しい工夫が今後必要と思います。5点目は人材確保と人材資源の重要性です。私どもは令和元年、令和3年に大きな災害を受けました。激甚災害で河川の支流がどこにあるか分からないほど両岸が壊れたり、本当にひどい状況でございましたが、全国からご縁のある首長さんたちに人材を派遣していただき、また国土交通省では特にテックフォースを最初は2体、最後は5体入っていただいて、復旧に関する様々な査定の準備とか、あるいは打ち合わせとか競技とかをさせていただいて、無事にそれぞれを進めることができました。今、奥の戸の現状を見るにつけ、まさにこういった人材が本当に必要だと思います。日々500人体制で国土交通省を臨んでいただいていますが、今後とも専門性の高い技術力のあるスタッフを政府としても要因として抱えていくことはとても大切ですので、今後とも危機管理上お願いをしたいなと改めて感じているところです。DXは合理化にプラスでございますけれども、一方ではより良い工夫をしていかなきゃいけないと思っています。そして最後です。2040年問題の克服対策です。2040年問題は人口減少と高齢化の増加によって社会保障費が大変拡大していって、日本各所にいろんな問題が出ると言われていますが、この3ページ目から4ページ目は総務省の資料によるものを歴史していますので、後でご覧ください。講談最後のところでございます。一つの方法として不足する人材につきまして、6200万人ぐらいの労働力確保が見込まれると太文字で書かせていただいています。これはここにありますように、30代の女性から60代前半の男性、後半の男性などの仕事への就職率を、就労率を高めると、実はこれぐらいの人口の確保ができるという情報もございます。こういったことも想定していただきながら、国としてどのような法制度、あるいは仕組みを作るかをぜひ考えていただくならば、2040の大きな問題も回避しながら、日本の新たな繁栄ステージへ進むことができるとも期待をしています。いくつか意見を述べさせていただきました。ほぼ時間になっておりますので、また質疑で補足をさせていただければと思っております。御清聴誠にありがとうございました。ありがとうございました。次に、政一参考人からお願いいたします。
17:43
本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。私からは、計画策定をめぐる動向素材にお話しさせていただきます。地方に求められる計画策定は、最近議論になっておりまして、党委員会ではすでに調査研究を重ねておられると聞き及んでおります。釈迦にん説法の部分につきましては、ご容赦いただければと思います。計画策定をめぐる議論の前提には、人口減少の進行があります。こちら立法府では、地方公共団体に計画策定を義務付ける際、どの団体を想定して議論をなさっておられるでしょうか。法令上は、都道府県、政令指定都市、市町村などと規定されますけれども、実際には非常に多様です。例えば、政令市は20のうち人口380万人の横浜市がある一方で、半数近くが100万人を下回ります。都道府県では、100万人を下回るのが10県あります。市町村はさらに多様です。地方公共団体は、人口だけでも大きく異なる上、人口減少による影響の現れ方は多様で、さらに面積、自然環境、社会状況、歴史背景などを含めると、一層多様になります。人口減少の進行に伴い、地域の多様性が増す中、多くの団体で人材や財源などの地域資源が制約される厳しい現状が顕在化しています。地方公共団体の多様化は、全国各域的な政策展開の難易度を上げます。その象徴的な分野が計画策定です。全団体に一律に計画策定を求める意義が問われるわけです。地方に対する計画策定規定は、ここ10年で1.5倍に増加しております。人口減少による資源制約の中で、地方文献改革の地方提案において負担問題が提起されました。この負担は、特 に小規模団体で深刻です。法の求める計画策定は、国の計画に基づき都道府県計画が策定され、さらにその下で市町村計画が策定される3層構造が採用される場合が多いです。計画策定を担当する部署から見ますと、上位計画ほど職員数が多い、組織が大きいという逆三角形の構造が見て取れます。そうすると、国は府省の局が、都道府県では部が受け持つのですけれども、市では課になり、町村の場合には係りの数人の職員が複数の計画を担当しなければならない状況にもなるわけです。これも計画策定をめぐる大きな問題です。なぜこれほど計画が地域の負担になっているのか。行政計画という手法の編成にも理由があります。行政計画は、従前は行政組織が自らの業務管理に用いる手法でしたけれども、現代行政では計画行政の標準化が見られます。行政計画は、政策実施の設計図となり、その策定は、政策目標の具体化、実施の手順と優先順位、後続の個別策の主な選択、行政資源の配分を決定する過程になります。策定された計画は、政策内容と実施体制を可視化するものであって、法の要請への回答と社会への説明責任を果たします。複雑な行政課題に対して、限られた社会資源の管理配分を図るために、政策の形成・実施における計画の有用性は高く、現代行政のあらゆる分野は多数の計画により構成されています。必然的に計画の総数が増加いたします。総合的な行政ニーズの下、行政計画は多機能になっています。例えば、長期的な政策方針を提示したり、政策に関わる関係者の体制確保や行政サービスの需要供給調整を担ったり、都市計画など空間利用を誘導するものもあります。多くの計画が複数の機能を備えるのが一般的で、その背景には、現代の政策の難易度が上がっているという状況があります。例えば、新たな行政課題が提起されるごとに、政策形成の専門化が進み、そのために専門人材の確保や、多様な主体の協力体制が必須となる政策実施の高度化、計画策定を通じた政策対応の見える化も求められ、多数の多機能な計画行政の要請が地方公共団体にとって負担増につながっています。また、計画行政の標準化を受けて、計画策定手続が充実されてきました。行政手続法に一般的な計画手続は規定されていません。しかし、行政計画の多くは、市民参加や専門家の関与を含む一定の手続を経て策定されることが通常です。その理由は、行政計画は政策の方向性や内容を形作るものであって、国民や企業等に大きな影響をもたらす場合が多いということにあります。そのため、策定過程で科学的知見や利 害関係者の意見を取り入れ、社会の多様な人々の声を反映させて、社会全体にとって望ましい計画に仕上げる作業が必要になります。そうした計画策定の要請は、住民に身近な行政を担う地方レベルで一層強く、実務的整備が進み、国よりも手厚い手続が先行しています。例えば審議会や協議会、説明会やパブリックコメントは一般化しておりますし、議会の議決を経るという場合もあります。また、計画策定後は、PDCAサイクルの下で進捗管理も求められます。つまり、計画の社会化に伴い、計画策定過程の透明性確保と民主的な策定手続が求められたという経緯があります。このように、行政計画は当初は行政内部のツールでしたが、現代では社会に共通する多機能かつ重厚な手法です。それゆえに、計画手続の充実が負担増の要因の一つになっています。以上、簡単に行政計画の現状について触れましたが、問題状況への対応として、昨年度末にナビゲーションガイドが示されました。これは、地方文献改革として、内閣府が受け付けている地方からの提案を通じて明らかになった問題と改善方策を受けたもので、府省に対して計画体系の再検討を求める内容です。ナビゲーションガイドの求める原則は、地域の実践・自立性に基づく計画策定であって、各地域の 特性と状況に応じて地域が計画を活用していくことを可能にする、各地域の多様性を需要する計画体系への転換を目指しています。これにより、地域目線による計画体系の再構築が可能になります。例えば、関連する複数の計画を一体的に策定したり、総合計画への統合、複数の地方公共団体による共同策定などが選択できます。内閣府の調査では、既存計画のうち、総合計画への統合が可能であると府省が回答したものは、都道府県では6割強、市町村計画では5割強に上り、有力な選択肢です。さらに、自らは計画を策定せずに、上位計画に基づき、計画的に施策を実施することもできます。ここで重要であるのは、計画体系の再構築が地方の負担軽減にとどまらず、政策の効果的な実施にも寄与する点です。イメージしていただくために、具体例をご紹介します。例えば、地球温暖化対策推進法、気候変動適用法、生物多様性基本法の3つの法律があります。それぞれ国の計画があり、地方計画の策定を都道府県と市町村に求めています。法律に従えば3つの計画を策定するということになりますが、地域にとっては相互に密接に関連する政策です。2050年カーボンニュートラル目標を達成するためには、地域脱炭素は不可欠で、再生可能エネルギーの導入拡大が求めら れます。他方で風力発電や太陽光発電の新設のために森林を切り開くと災害リスクが高まり、地域のレジリエンスが失われ、気候変動適用の障害になります。生物多様性保全についても国際的目標があり、2030年までに陸域・海域のそれぞれ30%保護区とする30 by 30を日本も掲げています。その実現には、各地域での自然環境の保護が欠かせません。このように各法律の目標はトレードオフ関係にあるため、本来は相互に調整して一体的に政策を展開する必要があります。さらに、自然生態系や再生可能エネルギーの適地が行政区画を超えてつながっていることを踏まえると、複数団体による共同策定も政策上有効です。このように地域目線から計画の再構築は可能になりつつありますが、既存の法制度を前提にした対応ではなお限界があります。社会が目まぐるしく変化していく中で、計画体系の在り方を持続可能なものに法的に再設計をする作業も必要です。求められるのは立法時におけるコントロールです。行政計画が人口減少社会においても、現場の負担を軽減しつつ、政策の効果を発揮するために、法律の制定・改正時に検討が求められる視点をいくつかご紹介させていただきます。一つは、法制度間の整合・協調を図ることです。現在の法政策は、分野横断的に展開することが必須です。法律では、その所管による不詳の縦割りの影響が強く、その弊害の解消が求められます。地方現場の目線からは、地域の状況に応じて計画を統合したり、共同策定する柔軟な計画行政が必要で、そのためには各計画を定める法律間の整合が前提となります。二つに、DX標準行政への適合です。人口減少社会では、デジタルが資源制約を超える有効な方策で、計画に関してもDX時代に沿う体制や手続に変更していかなければいけません。従前は、計画でなければできなかったことが、今では情報連携で足りるというような場合もあります。三つとして、計画利用に関する費用対効果、パフォーマンスを評価した上で、法定するか否かを検討する必要があります。いわゆるコストパフォーマンス、タイムパフォーマンスといわれる視点でありまして、資源制約の下で、真に必要な計画に限り策定を求める法の判断が重要です。計画行政とは、計画的に行政を行うことであって、計画策定ではありません。計画以外の方法でも、政策は十分に実施可能であって、より効果的な手法を選択すべきです。四つに、サンセット方式による計画規定の見直しも関与です。最新の政策課題であっても、5年も経てば古くなり、次の新たな課題が提起されます。行政資源は有限ですから、その時々の優先度の高い課題に投入しなければなりません。既に役割を終えている計画は適宜廃止して、そのマンパワーは次の新たな課題に向けるということが建設的です。それにより、国も地方も含めた行政の効率化、職員の負担軽減による働き方改革にも寄与します。今回は、計画策定をめぐる動向をご紹介いたしましたが、計画に関して提起された課題は行政一般に通っていたします。人口減少社会では、個性豊かな地域がそれぞれの特性に応じて行政を進めることが、地域の持続可能性を担保します。計画行政においても、地域の自由度を上げて、真に必要な計画を地域が選び、活用していく。そのためには、各地の個性を尊重する法制度が必要です。ご静聴ありがとうございました。ありがとうございました。次に、松治参考人からお願いいたします。
32:47
武蔵大学の松治です。私は専門は、社会学・情報通信政策、行政の デジタル化などについて研究をしております。また、デジタル庁、総務省、その他、また地方自治体などで、行政のデジタル化の委員やアドバイザーなどを務めさせていただいておりまして、今日はそういった立場から、お話をさせていただきます。タイトルとして、行政DXから考える国と地方の関係というふうに資料にお書きしましたけれども、先ほどの予行市長のお話と一部重複しますが、その内容を掘り下げるような形でお話をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
33:39
おめくりいただきまして、なぜ自治体DXは必要なのかというふうにお話を進めます。特に行政のデジタル化DXの中で、一番大きな問題だと思われるのが自治体のDXであります。それはなぜなのかということで、2つ。過去の反省と将来への備えというふうに整理をしたいと思います。過去の反省と言いますのは、コロナ禍の中で保健所が病院からハックスで送られてきたものを手で入力をしているとか、あるいはオンラインでの給付金の手続きがなかなかやりにくいとか、そういったデジタル廃線と言われた ような事象がありました。また、そういった保健行政だけではなく、行政全般、あるいは医療福祉、また教育、そういった分野で、昭和の仕事の仕方というふうに書いていますけれども、古い物事のやり方をずっと維持してきた。そのために、人と人が対面であったりしにくい状況の中で、デジタル化の遅れが認識されるようになりました。これはコロナの時に失敗したというだけではなく、まさにIT革命と言い出していた2001年頃から20年にわたって、私たちが物事のやり方を変えてこなかったツケが現れているのだと思います。そして将来への備え、こちら先ほど2040年問題というのが指摘されておりましたけれども、まさにその話であります。2040年代、団塊ジュニア世代が大量に退職するわけですけれども、特に地方公務員において、その影響による人手不足が深刻になると言われております。大量に退職した後、補充しようにも生産年齢人口は少ないですから、補充が難しいという状況になります。そこで総務省の自治体戦略2040構想研究会の報告書では、2040年代には従来の半分の職員でも自治体として機能する必要があると言っています。半分の職員で仕事をするということは、倍仕事しなければならないということになるわけですけれども、それは到底無理なわけですね。しかも2040年というのはあと16年です。16年切っているわけですね。これが自治体によっては私は最大の課題だろうと思います。ですから共同化できるものは共同化し、人でなくてもできる仕事は機械にやらせるようにしていきましょう。これが自治体DXが必要な大きな要因だと言えると思います。行政のデジタル化DXというのは、国と地方の関係を変える行政改革であると書きました。つまり自治体が人手不足になる中で担える仕事というのを減らしていくか、あるいは大幅に共同化、共通化していくか、そういったことが必要になっていくわけですね。ですから国が支える部分と自治体が独自になる部分との線引きを変えていく。どこが自治体が独自性を発揮し、どこが国が担うのか支えるのかというところの見直しをしていくというのがこの16年間だろうと思います。ただ、なぜ元々バラバラだったのかと言いますと、それは地方自治の領域であります。どのように事務を進めるのかというのはまさに地方自治だったわけですけれども、そこをこれからの2040年問題に合わせて見直し ていくという改革が進んでいます。次に、どのような自治体DXが必要であるのかということでありますけれども、様々な取り組みがすでに行われておりますけれども、自治体の現場では時によってはかなり不評であったりします。なぜかというと、右側に漫画的に書いてありますけれども、住民に対してはこんなこともできるようになりますと、わかりやすい派手なデジタル化施策を次々と打ち出すわけですけれども、中ではまだ昔ながらのやり方が残っていて、簡単に言えば例えば「生成AIを使います」ってこんなことをやりますと言いながら、中ではまだ反抗していたりするというような状況が残っているわけですね。ですから、仕事の仕方、組織、文化の見直しをと書いてありますけれども、横断的に物事のやり方を変える地味な改革に時間をかけて取り組んでいくことが必要であります。技術的な水準をピラミッドで考えますと、これまで私たちは先端部分を伸ばすような、先端技術を使って新しいことをやろうということをやってきたわけですけれども、どちらかというと必要なのは、ピラミッドの底を上げていくということですね。FAXを送ったり反抗したり、手書きの紙をまだ提出求めていたりするようなことをやめていくということが必要だと思います。