1:20
ただいまから、外交安全保障に関する調査会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日までに、上野美智子君が委員を辞任され、その補欠として山田太郎君が占任されました。外交安全保障に関する調査を議題といたします。本日は、21世紀の戦争と平和と解決力、新国際秩序構築のうち、武力紛争等と人道主義の実践再構築に向けた取組と課題について、3名の参考人からご意見をお伺いした後、質疑を行います。ご出席いただいております参考人は、石住寺国際委員会ICRC駐日代表、半澤昌子君、国境なき意思談、日本事務局長、村田信二郎君、及び名誉大学名誉教授松井芳郎君でございます。この際、参考人の皆様に一言、ご挨拶を申し上げます。本日はご多忙のところご出席いただき誠にありがとうございます。皆様から忌憚のな いご意見を受けたまいまして、今後の調査の参考に致したいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。次に議事の進め方について申し上げます。まず、半澤参考人、村田参考人、松井参考人の順にお一人、20分程度でご意見をお述べいただき、その後午後4時頃までを目処に質疑を行いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。また、ご発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知おきください。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それではまず、半澤参考人からお願いいたします。
3:43
関十字国産委員会ICRC駐日代表の半澤と申します。本日はこのような貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。皆さんのお手元にあるこの写真、この写真は2023年5月12日に、ウクライナの東部にあるハルキューの村々で、食料と衛生キットを配布した際の写真です。昨年の今、私はウクライナにいました。2022年2月24日に、ロシア、ウク ライナ国際的武力紛争が開始してからもうすぐ2年、人々の命、そして尊厳ある生活が戦闘の犠牲となる現実は、2年近く経った今でも全く変わっていません。特に厳しい冬の間は、人々の生きる力が試されます。1年前、私は東部の前線に近いクピャンスクという町に支援物資を届けました。このミッションで、自分がきっと一生忘れないなと思ったことはいくつかあるのですが、前線地域の独特の張り詰めた空気もその一つです。前線地域に残るしかない人々、残ると決めた人々へ支援を届けることは、紛争当事者双方と首比義務に則った直接的な対話を続け、信頼を得ている積重であるからこそ実現可能な活動の一つです。次のページをお願いします。石十字国際委員会ICRCは、まさに戦場で生まれた有事の際に活動する最も長い歴史を持つ人道支援組織です。今から164年前の1859年に、イタリア北部でソルフェリーノの戦いを目撃したスイス人質業家アンリー・デュナンが、敵、味方の区別なく苦しむ人を救わなければならないと考え、激戦地での負傷者の救護に自ら携わったことから始まりました。現在、約100カ国で1万7000人ほどのスタッフが活動しています。2024年の予算規模が最も大きい3カ国は、ウクライナ、シリア、イエメンとなります。日本では日本石十字社が皆様によく 知られているかと思いますが、日赤とICRCは同じ石十字ファミリーに属します。日赤は日本における災害や有事の際に活動する組織である一方、ICRCはスイス・ジュネーブに本部を置く国際組織で、紛争の際に世界中で活動を実施します。ここで一点強調したいことは、石十字の強みは何といっても国際レベルで活動する私たちICRCと、ローカルレベルで活動を続ける各国石十字社、石神月社の強固な連携にあります。お互いの強みを生かし、喫緊の人道危機に協力して取り組むことで、私たち石十字は、より多くの人々に真に寄り添った支援を提供することができます。次のページをお願いします。こちらがICRCの使命となります。まず第一に、ICRCは公平・中立・独立した人道支援組織で、武力紛争及びその他暴力の伴う事態により、犠牲を強いられる人々の生命と尊厳を保護し、必要な援助を提供します。公平とは、国籍や人種、宗教などの違いによるいかなる差別もなく、助けを必要とする人のニーズに応じて、最も急を要する支援を優先して提供することです。日本の例を見てみると、ノトハント自身の対応でも、被災者のニーズを把握するであるとか、被災者に寄り添った支援ということが度々言われているかと思います。人々が必要とする支援を届けることが基本であり、自分たちが思い描いたニーズではなく、現場のニーズをきちんと把握して対応することが重要となります。独立とは、最も必要な場所に援助が届けられるよう、政治、経済、軍事、宗教などの権力や影響力から独立している必要があるということです。紛争当時国から、例えば「この街でICRCは支援をしてください」と言われたとしても、私たちはまず自分たちでニーズ調査を実施し、赤十字の仲間とともに支援を実施します。中立、2022年、2023年ほど、中立であることの難しさを思い知った年はなかったように思います。中立とは、全ての人の信頼を得て活動するため、一切の政治的思想的思惑に関与しないということです。こちらについては、後ほどもう少し詳しくお話ししたいと思います。2点目は、どうしても避けて通れない話、国際人道法です。昨年10月7日からのイスラエルガザ間の戦闘激化に伴い、日本のメディアでも国際人道法がより頻繁に取り上げられるようになりました。国際人道法は、国際的武力紛争、または非国際的武力紛争においてのみ適用される法規で、大きく分けて2つの役割があります。1つ目は、戦闘行為や手段の規制、暴力の使用を、紛争の目的を達成するのに必要な量に制限すること。2つ目が、戦闘に参加しない人々、例えば文民であったり、傷を負って動けない戦闘員などの保護です。国際人道法は、その紛争が合法か否か、例えばロシア、ウクライナ、国際的武力紛争が合法であるか否かについて答えを与えるものではありません。ここから人道支援自体が直面している危機、課題について少しお話しさせていただきたいと。ちょっとその前に、これらの国際人道法なんですけども、これらの多くは、日本も加入している1949年の4つのジュネーブ条約と、2つの追加議定書の中にまとめられています。ジュネーブ諸条約は国際人道法の中核となるものです。そして武力紛争におけるICRCの役割や任務は、ジュネーブ諸条約及び追加議定書に定められています。ICRCは国際人道法においてその名前と役割が記されている唯一の機関であり、国際人道法の守護者と考えられています。では次のページお願いします。ここから人道支援自体が直面している危機、課題について少しお話しさせていただきたいと思います。1つ目は、紛争の長期化及び都市化です。私たちICRCが展開している国で、活動規模が大きい上位10カ国での活動期間を平均すると、42年に及びます。これは2019年の数字なので、今ではそれよりも大きい数字になっていることは確実です。その一方で、緊急な対応を必要とする紛争は止むことがありません。紛争の長期化により苦しみが続き、弱い立場に置かれている人々が極めて大きな影響を受けることはもちろん言うまでもありません。同時に、紛争の長期化は私たち人道支援組織にも様々な影響を及ぼします。その最たるものは、長期化した紛争下において支援活動を行う際、短期的な緊急時支援と、中長期的な支援とを並行して走らせる必要が生じる点です。さらに、人口密集値が攻撃されることで、民間人や民間インフラへの被害が深刻となっています。主要なインフラが破壊され、水や電力、教育、医療といったサービスが機能不全に陥ります。また、紫外線が長引くことで、インフラが修復できずに放っておかれ、回復するまでに長い年月を要します。私たちが活動する紛争地では、安全上の理由から開発機関などが撤退する事態がままあり、その結果、人道支援組織が持続可能な人道上の措置を提供することが求められます。同時に、忘れ去られる紛争について触れたいと思います。その皆さんのお手元のパーパの下の部分は、ICRCのアフリカ事業局長パトリックユースフのXへの投稿です。世界の関心がメディアの注目を受ける紛争や危機にだけ向けられている時でさえ、世界の他の地域でも苦しみが続いていることを忘れてはならないと伝えています。隣の写真は、今後民主共和国で2023年11月に撮影されたものです。今後民主共和国の北木部州では、2023年に勃発した武力衝突以降、多くの人々が避難を強いられています。最近、戦闘の激化に伴い状況が悪化しています。現在、ICRCが把握しているだけで、世界中に約120の武力紛争が起きており、60以上の国と100以上の非国家武装集団が紛争の搭乗者となっています。以前はウクライナ、その後はイスラエル、ガザーというように、世界中の注目を集める紛争がある一方で、大部分の紛争は起きた時にはニュースになるものの、その後かなり早い段階で忘れ去られてしまうものです。ただ、ニュースにならないからといって、忘れられてしまうからといって、人々の苦しみがなくなるわけではありません。忘れられている紛争、そしてそこで生きている人々にどうやって光を当てていくのかは、私たち人道支援組織にとって大きな課題となっています。私の方からは以上です。二つ目は複合的な人道危機です。気候変動が世界全体として取り組まなければならない大きな課題であることは言わずもがなです。紛争下にある国など、すでに適応力が低下したコミュニティが、気候変動の原因を作り出す 社会システムから最も遠いところにいるにもかかわらず、その影響を一番受けています。紛争に気候変動が重なることで、食糧不足や経済不安、健康被害が拡大することに加えて、必要不可欠な公共サービスへのアクセスが制限されるなど、すでにある問題をより悪化させるためです。そうした状況下にありながら、気候変動への適応力が乏しい国ほど、対策がなされずに置き去りにされています。この写真はアフリカのマリで撮影されたものです。男性が水を集めている様子ですが、この村では、紛争と気候変動の複合的な影響を受けている村人を支援するために、ICRCが水場を設置しています。このように、ICRCはじめ人道支援組織は、コミュニティに対して気候変動の影響にも耐えうる強いシステムの構築を目指しています。気候変動だけではありません。感染症や世界的な食料、エネルギー価格の高騰により、すでに弱い立場に置かれている人々は、さらに追い詰められています。次のページをお願いします。3つ目は、人道原則、特に中立を真に理解していただくことの難しさです。世界の分断が進み、多国間主義が大きな転換点にある中で、中立がますます理解されづらい理念になっていると考えます。例えば、A国、B国が国際的武力紛争の状況にあるとします。A国では、ICRCが捕虜の訪問を実施できている一方で、B国ではICRCが捕虜の訪問も十分にできていない状況にあります。そこで、A国の当局から、ICRCは声を上げて、B国がジネーブ条約を遵守していないと批判するようにというプレッシャーがかかるとします。ここで、ICRC、私たちが声を上げて、B国を公に批判したらどうなるでしょうか。まず、B国にいる捕虜の人々への、私たちしか得ていないアクセスが一切なくなることが容易に考えられます。その結果、苦しむのは捕虜の人々とその家族です。さらに、B国で活動するICRCのスタッフへの、左標がおりなくなるようなこともあるかもしれません。私たちICRCにとっての中立とは、紛争当事者との対話を避け、面倒なことに関与しないといった消極的なものではありません。私たちにとっての中立とは、犠牲者へのアクセスを確保するツール・手段です。中立であるがゆえに、紛争当事者から信頼され、その信頼をベースに支援を必要としている人々へのアクセスを得る。これがICRCが160年以上実施してきた中立です。ウクライナで捕虜収容施設を訪問した際に理解したことは、紛争時に人間性を保つことの難しさ、そして弱い立場に置かれた人々に、人間としての最低限の尊厳を保つための希望を中立であるICRCが届けることができるという事実です。写真は家族からウクライナ人の捕虜に当てられた手紙、これは実際のものです。この手紙がロシアにいるウクライナ人の捕虜に届くのも、私たちが決してぶれずに中立であり続けるからこそです。次のページお願いします。この写真は、ガザで撮影されたものです。破壊された建物は以前パン屋さんでした。先週末、パレスチナ石神月社の同僚ユースフとアフメドが、6歳の女の子ヒンドちゃんの救出活動中に殺害されたことを知りました。ヒンドちゃんも命を落としました。2週間近く、ヒンドちゃんと彼女の親族、そしてパレスチナ石神月社の救急隊員の行方が分かりませんでした。今、ガザにはどこにも安全な場所がなく、守られるべき命が守られていません。実際に国際人道法の違反とみなされるであろう状況は世界中にあります。その一方で、メディアで国際人道法が守られていないことのみが大きく取り上げられ、戦争にルールを設けること自体に無理があるのでは、といった声が上がっていることを非常に懸念します。先ほど、収容施設への訪問に触れましたが、ICRCによる捕虜の訪問も、ジュネーブ第三条約を紛争 当事者が遵守することにより実現していることです。国際人道法が実際に守られていることを意味します。最前線で人道支援に携わる私たちは、日々の経験を通して国際人道法がいかに重要な役割を果たしているかを目の当たりにしています。紛争当事者や当事者に影響を与える国が国際人道法のルールを尊重することは、人々の命を救い、苦しみを和らげ、将来的な対話と平和の可能性を維持するために不可欠です。同時に私たちは、紛争の厳しい現実も知っています。こうした現実について、紛争当事者に働きかけること、そして対話や人道外交などを通して遵守を求めることも私たちの責務です。以上を踏まえ、日本の果たす役割について以下3点を提案させていただきたいと思います。1つ目は国際人道法と人道原則についての理解の促進です。まだまだ日本における国際人道法の認知度は高くないというのが現実かと思います。その最大の理由は、日本が長い間平和を享受してきたということではないでしょうか。それは本当に素晴らしいことだと思います。ただ、世界が急速に変わりつつある今、戦争にもルールがあることを、より多くの議員の皆様、省庁の皆様、そして一般の方々に平時の時から理解していただきたいと 考えます。これは仮に日本を巻き込むような紛争が起きた場合、そうならないことを切に祈りますが、国際法上守られるべき人々の苦しみを軽減するための予防的な意味を持つと考えます。ICRCは決して戦争を肯定しているわけではありません。私たちは誰よりも戦争がもたらす苦しみを知っています。であるからこそ、まずは平和が維持されること、そしていつかICRCのような組織が存在しない世界になることを熱望します。ただ、戦争が起きた時に少しでも多くの人たちの命を救い、苦しみを和らげたいという思いが私たちを動かしています。二つ目は国際社会の法と秩序を尊重する日本としてのリーダーシップです。日本が牽引する自由で開かれたインド太平洋でも、法の支配の尊重は中核的な理念と位置づけられています。もちろん国際人道法も国際法です。日本を含む全ての国がジュネーブ諸条約に加入しています。すなわち全ての国が戦争を引き起こす理由がいかなるものであれ、戦闘に参加しない人々への被害を最小限に抑えることは法的義務であると決定しています。分断により多国間主義が妨げられている今こそ、平和が揺らいでいる今こそ、国際人道法を政治的な優先事項に高める時だと考えます。国際人道法の遵守に向けた働きかけは何も私たちICRCだけが実施することではありません。バイ、およびマルチの場での国際人道法の遵守に向けた、より積極的な働きかけを日本に求めます。また、日本にはG7、G20、国連安全保障理事会といった各国が集まる重要な場で、人道支援が直面している諸課題について積極的に議論をリードし、意見をまとめる役割を果たしてほしいと思います。本年3月には日本がアンポリで議長国を務めます。その機会をとらえ、人道諸課題に対応していくためのイニシアチブを発揮することに大きく期待しています。3つ目は、人道支援に対するODAを通じた支援の継続と拡充です。まず、日本の皆様からのICRCへのご支援に心からの感謝を申し上げます。令和5年6月9日に閣議決定された開発協力大綱の中で、対国民総所得GNI費でODAの量を0.7%突する国際的目標を念頭に置くとしていますが、この実現に向け、具体的な検討を進めていただくことを期待します。そしてその際、人道支援が果たしてきた役割、その重要性を踏まえ、最も必要とする人々に迅速かつ確実に支援が行き届くよう意思決定の迅速化を行うと同時に、必要な場合には質の高い柔軟な挙出を取り入れていただきたいと考えます。これはまさに、今の開発協力大綱に謳われていることです。ご支援いただくためには、透明性の確保といったICRCが果たさなければなら ない義務があること、そして人道支援に対する国民の皆様のご理解をより促進させる役割を私たちが果たしていく重要性については言うまでもありません。最後に次のページをお願いします。人道原則の一つでもあるヒューマニティー、日本語で人間性、人間らしさといえば良いのでしょうか。私はこれは全ての人間が生まれながらに持っているものだと考えます。例えば道を歩いていて、前を歩いている人が転んだら、駆け寄って助けようと思いませんか。声をかけようと思いませんか。つい先日、ICRCのスタッフとして、最近までガザに赴任していた日本人の下界に話を聞く機会がありました。彼はまたガザに戻ることを希望していました。そしてその理由は、自分にスキルがあって、そこに救う人がいるからでした。これが人道主義ではないでしょうか。私はこのスタッフとして、日本人の下界について、自分のスキルを持っている人を助けようとしています。そして私は、このスタッフとして、日本人の下界について、自分のスキルを持っている人を助けようとしています。そして、私は、このスタッフとして、日本人の下界について、自分のスキルを持っている人を助けようとしています。そして私は、このスタッフとして、日本人の下界について、自分のスキルを持っている人を助けようとしています。ありがとうございました。次に村田参考人にお願いいたします。国境なき一段、日本の事務局長をしております。村田信二郎と申します。本日は、参議院外交安全保障に関する調査会にて、21世紀の戦争と平和と解決力、新国際秩序構築というテーマのもとに、武力紛争などと人道主義の実践、再構築に向けた取り組むと課題と関するこの調査において参考人としてお招きいただきまして誠にありがとうございます。国境なき一段を代表してお礼申し上げます。国境なき一段という組織は、1971年にフランスで医師とジャーナリストによって設立された人道援助団体です。設立に携わった医師たちは、1960年代後半にアフリカ、ナイジリアでのビアフラ紛争の際に国際石十字の救援活動に従事しておりまして、その際、現地でナイジリアの政府軍による一般市民への暴力を目撃して、強い意気通りを覚えたことからですね、当時の石十字のルールであった沈黙の原則、つまり活動現地で起こったこと、見たことを公に発信しないという原則に背きました。ビアフラで目撃した事実を公に告発して、国際社会の反響を呼んだのです。この経験によって、援助活動だけでは変えることができない人道危機に関して、現場で起こったこと、見たことを公に発信することで、国際社会の関心や介入を呼ぶことの重要性を認識いたしました。その医師やジャーナリストたちが作ったのが「国境なき医師団」です。主な活動としては2つありまして、1つは「緊急医療人道援助」、そしてもう1つは「現場で目撃した人道危機について世界に発信する証言活動」。この2つを活動の柱として、50年以上にわたって活動をしております。医療だけが注目されがちですけれども、ガザ地区のように、今どんな人道危機が起こっているのか、現地から発信し国際社会の介入を訴えていくことも、また国境なき医師団にとって重要な活動となっております。国境なき医師団は、2022年の実績で申し上げますと、75の国と地域で活動し、日本円で約2,991億円を用い、約4万9千人のスタッフが活動に従事しました。スタッフの80%以上は活動国で採用された現地のスタッフです。国境なき医師団の活動は、人道原則の独立・中立・公平を堅持しており、いかなる国や団体からも干渉や影響を受けることなく、ニーズに基づいた支援を公平に届けるために、活動資金の95%以上を民間からの寄付で賄っております。その85%以上は、一般個人の皆様からの寄付となっております。日本からの1年間で約42万人の一般個人の方を含め、世界中で約700万人の寄付者様に支えられており、国々と状況が変化する紛争下での援助活動や、自然災害への緊急対応に柔軟かつ迅速に活動することが可能となっております。各国政府からの資金に関しましては、全体の1% ほどでありまして、中立性確保の観点から、主に紛争地ではないプロジェクトに限りまして、昨年は、カナダ政府、スイス政府の資金を受け入れ、これまで日本政府からも補正予算からの国際機関等拠出金の形で、これまで西アフリカや今後民主共和国のエボラ出血熱の対応、バングラデシュでのロヒンゲナン民主党などにご支援をいただいております。本日は、まず国境なき一旦が、これまで紛争地での人道援助の実践をどのようにしてきたか、それをご説明したいと思います。次のページ、お願いいたします。国境なき一旦は、70以上の国と地域で活動しておりますが、その約3割は武力紛争下での活動です。なぜ国境なき一旦は、紛争が起きている現場で活動ができるのか。それは、独立中立公平の人道原則の徹底した実践によって可能になっております。これは、国際人道法があるおかげで活動ができていると言っても過言ではありません。国境なき一旦は、紛争地を含め、いかなる場所でも原則非武装で、軍による護衛もつけず、自らの調査で現地のニーズを把握して、医療ニーズのみを基準に、最も喫緊の援助が必要な場所や分野を判断して、どのような患者に対しても無償で治療を提供しております。これは、たとえ戦闘 員であったとしても、ジネーブ処女薬に基づいて、一旦武器を手放せば治療を受けることができるからです。紛争地での医療活動を可能にするために、国境なき一旦は、政府機関や他の援助機関だけでなく、あらゆる紛争当事者と話しまして、活動の理由や、自分たちが誰で、なぜここにいて、何をしようとしているのかという説明をしていきます。これは政府の軍であっても、反政府勢力であったとしても、ローカルの武装勢力であったとしてもです。私たちはそれをエンゲージと呼んでいますけれども、対話をすることで、活動に対しての理解を得ます。この交渉の際には、国際人道法において、病院や医療要員は保護の対象であること、負傷した戦闘員は保護されること、また病院は非武装のゾーンであることなどを説明して、私たちの活動に対し、理解を得るように努めております。また、国境なき医師団の病院やクリニック、救急車などは、当団体のロゴを掲示しまして、活動中のGPSコードや、医療に関する情報を事前に軍装当事者に通知し、保護の対象であることを分かりやすくしております。これらは国際人道法の医療保護の原則、そしてそこで定められているルールに沿っており、国際人道法は国境なき医師団が人道援助を届けること、そして医療を必要としている人々へのアクセスを確保するために、軍装地において倫理的というよりは実用的なツールとなっております。また、組織の方針として質の高い医療人道援助を常に提供すること、活動内容に関して透明性を保つこと、緊急事態においてこそ迅速な援助を提供することなどが、結果的に私たちの活動を守ってきました。そして現地の伝統、文化、宗教を尊重し敬意を払うことで、軍装地においても人々に受け入れられ、活動を継続できるよう努めております。国境なき医師団は、活動開始に際しましては、現地の保健所など関係する政府機関、軍装当事者などと協議をし、活動に関する理解が得られ、医療施設、スタッフの必要な安全が確保できると判断した場合にのみ活動を行います。ただ、軍装地においてリスクをゼロにするというのは現実的ではなく、リスクを小さくしていく、団体としてマネージできるレベルにする、といった考え方もまた必要であるというふうに考えます。このような方針、方法によって国境なき医師団は、ミャンマーやアフガニスタン、イエメン、シリア、スーダン、中央アフリカ共和国、チャド、今後民主共和国といった国々でも現在も活動を継続することができております。しかしながら 、国際人道法を尊重しない軍装当事者や軍装当事国のために、これまで申し上げた国境なき医師団の原則や手法を用いても活動ができていない地域があるというのもまた事実です。近年国境なき医師団が軍装化の活動で直面している主な問題を2つ事例を用いて詳しくご紹介させていただきます。次のページをお願いします。まず1つは医療への攻撃です。医療施設、それから医療活動に携わる人々、また救急車などの搬送車両は国際人道法の保護下にありますが、このルールが守られず攻撃にあっております。WHO、世界保健機関のデータによりますと、昨年はガザ地区やミャンマー、ウクライナなど19の国と地域で1400件以上の医療に対する攻撃が記録されておりまして、730人以上の医師や看護師が殺害され、1200人以上が負傷しました。この1400件以上の医療への攻撃のうち、820件以上は10月からのたった3ヶ月でのガザで起きたものです。また一昨年は世界で1600件を超える医療への攻撃が記録されましたが、そのうちの7割強はウクライナで起こっております。このように過去2年間の数字を見ても、国家の正規の軍隊が国際人道法を尊重していないということが言えるかと思います。医療への攻撃を軍事作戦の一環として行っているのではないかとさえ考えます。医療への攻撃の何が問題か。それは単に国際人道法に違反しているや、病院で働いている医師や看護師が被害に遭うというだけではなくて、その紛争地で病院を命綱にしている現地の何千人、何万人という人たちから医療へのアクセスが奪われることです。それによって救われるはずの命が救えなくなっていき、助かるはずの命が助からなくなっていく。それが問題なのです。日本政府は2016年、国連安保理の理事会にて、紛争下の医療従事者及び医療施設の保護に関する決議第2286号を共同規案国の一つとして採択を主導しました。日本政府には、世界で今なお続いている紛争において、紛争の当事国、並びに当事者に対しまして、国際人道法で定められた医療の保護を遵守するよう、人道外交の面でリーダーシップを発揮していただくことを期待いたします。続いて、大きな問題の一つとして、各国で実施されている対テロ政策が国際人道法で認められているはずの人道援助活動の制限にまで及んでいるケースについてお話しいたします。これは例えば、正常不安定な国で、テロリストと指定された勢力の支配地域に暮らしている民間人への人道援助が、その国の国内法によって制限、若しくは禁止されたり、テロリストとして指定された勢力と人道援助団体が人道援助活動のために接触を持つことや、テロや犯罪の疑惑がある患者を医療上の理由で治療したり、搬送する行為そのものが禁止されたり、犯罪とみなされるケースがあります。反政府勢力が支配している地域に住んでいても、人道危機に瀕している子どもや女性を含む民間人には援助が届けられるべきであり、人道援助組織としては、そのためにあらゆる紛争当事者と対話をし、医療人道援助活動に対して理解を得ることは不可欠です。また、兵士を含め、どのような立場の人であっても、一旦武器を手放せば治療を受けられるようにしなければいけません。これは国際人道法で定められたルールであり、命を救うために必要な医療を提供しないということは、異の倫理に反する行為でもあります。国境なき一団は、ここ数年の間だけでも、いくつものこうした事例に直面しております。例えば、カメルーンでは、反政府勢力の支配地域で、銃撃による負傷者を救急車で搬送していた国境なき一団のスタッフが当局に逮捕されてしまいまして、その地域での活動を中止せざるを得なくなりました。また、マリア・ニジエールでも人道援助活動が犯罪とされるケースが相次ぎ、紛争によって国境地域に追い詰められ た人々に援助を届けることが極めて難しくなりました。そして昨年11月、スーダンでは、政府当局が対立している準軍事組織、RSFに制圧された首都のハルツームで、技科手術に必要な物資の輸送を禁止しました。当局の目的は、敵対するRSFの負傷した兵士が治療が受けられないようにするということにありましたが、結果として国境なき一団が活動していた病院では、低応切解など紛争とは一切関わりのない手術までもが提供できなくなってしまいました。また、2021年、タリバンの政権集約に対して国際社会が加した制裁によってアフガニスタンに届けられる援助が大きな影響を受けたように、国際的な制裁が人道援助の障壁になることもあります。昨年7月には、クーデターが発生したニジェールに、エコワス、西アフリカ諸国経済協同体や近隣国が制裁を発動した結果、食料やワクチンなどの援助物資を運び込むことができなくなりました。また、対テロ法や制裁の形を取らずとも、政府の抵抗勢力がいる地域への援助活動が国の政策によって制限される事例もあります。例えば、ミャンマーでは、昨年5月のサイクロン・モカによって、甚大な被害を受けたラカイン州での活動を軍事政権が制限し、国境なき医師団が地域の約46万人を対象に提供していた医療人道援助も中断を余儀なくされてしまいました。こういった状況下で最も打撃を受けるのは、紛争や貧困、食料 危機に苦しむ人々、子どもたちです。国境なき医師団は、2016年から国連や各国に向けて、対テロ法や制裁などの規制対象から人道援助を除外するよう呼びかける活動を行っております。こうした働きかけの積み重ねによって、昨年6月、カナダでの対テロ法から人道援助が除外される法改正が実現されました。また、2022年12月には、国連安保理で国連の制裁措置から無効2年間は人道援助を除外する決議が採択されました。国連の制裁のみならず、すべての国際的な制裁において、人道援助を対象の除外とする措置が取られることを強く求めます。また、国家による制裁や規制によって人道援助が妨げられないように、日本をはじめとする国際社会による更なる取り組みをお願いしたいと考えております。冒頭で、国境なき医師団は、各国政府からの資金の受入れを自ら制限しているということをご説明しましたけれども、実は今、資金を受け取ることができる国として、国境なき医師団が決めているのが世界で3カ国あります。それは、スイス、カナダ、そして日本のこの3カ国です。日本は内戦や国際的な紛争において中立的な立場を取ることが多く、紛争が起こる以前から長年、様々な開発支援をメジャーなドナー国として実施してきている場合が多いです。こういっ た国というのは、G7やG20を見ましても、そう多くありません。そのような立場にいる日本だからこそ、人道主義を実践、再構築するにあたって、果たせる役割があるのではないでしょうか。例えば、紛争の当事者双方に国際人道法を遵守するよう働きかける。また、国の政策や規制によって人道援助活動の実施に制限がかけられている場合は、それを取り除くよう当事国政府に働きかける。また、国連アンポリでの外交活動など、真に人々のニーズに基づいた公平な人道援助が実施されるよう、国際社会による取り組みをリードしていく。そういった役割を日本政府に果たしていっていただきたいと考えております。国境なきイシランからは、毎年100名弱の海外派遣スタッフが世界各地で人道援助活動に従事しております。現地から彼らが今現場で何が起こっているのか、どんな支援が必要とされているのかを発信していくことで、日本の多くの方々に現状を理解いただき、支援の必要性を実感していただいているように思います。国境なきイシランのスタッフは、紛争地など様々な活動地で経験を積むことで、対応能力を磨き、成長していっております。人道主義を実践していく上で、人道危機に対応できる人材を育てるという観点からも、人道援助の従事者がこうした活動地に行くことが、日本社会において今よりも受け入れられ、さらには奨励されるような社会をつくっていくことも必要だというふうに考えております。最後になりますが、これまで申し上げてきたように、人道援助は今、かつてないほどの危機に直面しております。世界各地で起きている人道危機の数や、難民、国内避難民の数は増え続け、気候変動によって自然災害も頻発しております。そして何より、人類が長い年月をかけて作り上げてきた人道に関する様々な国際的な規範やルールが、紛争当事者や国家の政策によってないがしろにされている傾向が、近年増加の一歩をたどっております。子どもを含めた民間人の膨大な犠牲、医療施設への攻撃、人道援助活動や物資輸送の制限など、今、ガザの人々が直面している苦しみというのは、その最たる例です。これは、ガザの人々のみならず、人道援助の行方を変えてしまい、人類の運命をも変えてしまうかもしれない事態といえます。現在、イスラエル軍がラファへの地上侵攻を表明しておりますけれども、国境なき一段は、これを直ちに停止することを求めます。これ以上の大規模な民間人の殺害を許してはいけません。そして、日本をはじめ関係国の政府に対しては、完全かつ持続的な停戦をもたらすために、行動をとっていただくよう強く求めます。今後、世界中でヒュ ーマニタリアンスペース、すなわち人道援助活動を行うことができる空間、これが消滅していくことを国境なき一段は強く起義しております。危機的な状況にある人々のニーズに基づいた公平な人道援助が、世界のどのような場であったとしても提供できるよう、人道主義の再構築に取り組んでいただくことを、皆様に心よりお願い申し上げます。
44:49
ありがとうございました。それでは次に、松井参考人にお願いいたします。松井でございます。レジュメをお配りしてあると思いますので、それに沿ってお話ししますが、どうも今のお二人のお話が大変生々しい現場のお話で、レジュメもカラー写真が入った分かりやすいレジュメだったんですが、私のものは無意感想でありまして、申し訳ございません。依頼をいただきました時にいただいたテーマ、これはこの調査会の議論を多分事務局の方でまとめられたテーマだと思いますが、人道危機における国際法の意義や役割、そして国際人道法の必要性や利向確保等に関わる課題を話をしろというご要望でありました。このテーマに即して国際法における武力がどのように規制されてきたかということを中心に話をさせていただきます。武力の規制というの は国際法は長年にわたって二つの局面で行ってまいりました。一つはレジュメの一のところにまとめておりますが、戦争に訴えること、どういうときに戦争に訴えていいのか悪いのかという、学者が使うラテン語だと「jus ad verum」の規制があります。もう一つは一旦起こってしまった戦争なし武力行使をどのように行うべきなのかという規制、「jus in verum」と申しますが、そういういわば戦い方の規制であります。この二面に即してお話を求めております。歴史的な発展を塾にお話をいたしますが、ここで伝統的国際法と現代国際法ということをしわしわ使いますので、冒頭に一言定義を申し上げておきたいと思いますが、伝統的国際法というのはおおむね第一次世界大戦頃までの国際社会を起立した国際法でありまして、これが両大三官に変化を始めて、第一次大戦後次第に現代国際法の姿が明らかになるという流れになっております。そこでこういう二つの段階で武力の規制がどのように進んできたかという形でお話することになると思いますが、人道法のお話については、今お二人のお話の中で現場を踏まえた非常に詳細なお話がございまして、私が用意した中で言わずもがなのことも入っておりますので、皆さんがお二人の話を聞いて理解されていると思われる部分は、レジュメにある部分でも省略をしたいと思います。さてその伝統的国際法の時期でありますが、戦争に訴えることの規制、ユスアドベルムは実は規制がございませんでした。国は何を理由にして戦争を始めるかという戦争原因の自由と、それからそのような理由が存在することを認めて戦争を行うことを決定する戦争決定の理由、自由、両方を持っていたというわけであります。もちろんこの時期にも、一定の正しい理由がある戦争だけを認めるのだという正戦論があることはありましたけれども、これは現実の国際法とはならず、学説上あるいは宗教上の議論にとどまったと言わなければならないだろうと思っております。これに対して戦争の行われ方の規制は、先ほど石十字の歴史の話もありましたが、それとともに長い歴史がありまして、いわゆる戦時国際法、ないしは戦争法が規制をしてまいりました。しかしこれには非常に不十分な点が多々ありまして、最も重要な限界として、戦争法が適用されるのは当時の国際法主体と認められていた文明国の間の戦争だけであるという限界がありました。したがって非文明国との戦争や植民地戦争には適用できない、それから内戦にも不適用であるというふうにされておりました。それから当時の戦争というのは国際法上の用語としては、武力紛争一般を指すのではなくて、国が戦争の意思、戦意を表明することによって生じる状態と理解されておりましたので、戦意の表明がない事実上の戦争にも戦争法は適用されませんでした。適用の限界がそのように非常に多かったわけですが、もう一つ内容上の限界としては、戦争法の主要な保護法益は、後戦者の平等を確保する、いわば決闘のルールのようなものでありまして、人道的考慮がなかったわけではないと思いますけれども、これは副次的なものにとどまりました。そういう限界があったということでございます。このような伝統的国際法は、レジュメで言いますと二の和書でありますが、両大戦艦に構造転換の時期を迎えます。これについては2点だけ簡単に申し上げます。一つは構造転換をもたらしてきたのが、国際社会のどのような勢力かということであります。一番国際法の教科書によく出てくるのは、ラテンアメリカ諸国のイニシアチブでいくつかの武力の制限に関する条約が結ばれておりますが、そういうふうに伝統的国際法で武力が使い放題ということで、誘発されてきた中小国が一つのイニシアチブをとっております。先進国では様々な平和運動、社会運動が、やはり伝統的国際法のあり方に対する批判を展開いたしました。そして第二次世 界大戦後になりますと、非同盟諸国が非常に強い主張をしてきたということはご存知だろうと思いますし、一定時期には旧社会主義国も一定の役割を果たしたことは否定できません。そして、現代国際法の主要な軸というのはどういうものかと言いますと、一つは今日の話の中心である武力行使禁止原則であります。もう一点は、今日は詳しいお話はできませんけれども、人民の自決権、そして人々の人権が国際法上確立してきたということも、大きな現代国際法の要素になっております。それでは話を武力行使禁止原則に戻しまして、レジュメの3の部分でありますが、武力行使禁止原則は国連憲章で確立したというふうに言われております。戦争を違法化しよう、国際法上違法化しようという動きは、主に国際連盟協約に始まりまして、よく知られているところでは1928年の不戦条約、そしてそれを経て第二次大戦後の国連憲章で、武力による威嚇又は武力の行使を禁止いたしました。先ほど問題になった戦争という言葉の使用は意識的に避けているわけであります。この原則は国連憲章の原則でありますけれども、それにとどまることなく、一般国際法、監修国際法上の原則となり、従って全ての国を拘束するんだということについては、実務課も学者も一切疑って いないというふうに思います。それからもう一点気をつけておきたいのは、武力行使禁止原則はそれ自体で重要であるだけではなくて、国際法の多くの分野に影響を与えているということであります。例えば、武力行使とその威嚇によって生じた領域主策を合法なものとして認めてはいけないという考え方が確立してまいりました。それから、武力行使とその威嚇によって強制された条約は無効であるという考え方も、現代国際法では確立しております。さらに、最近話題になることが増えましたけれども、侵略行為を主導した個人は刑事責任を負うという国際刑事法の原則も、その基礎には武力行使禁止原則がございます。というふうな大きな影響を国際法の各分野に与えているということですね。この点は留意したいと思います。ただ、この武力行使禁止原則は、有無でもなく大変大きな限界を持っております。何よりもその実効性をどのように担保するかということであります。国連憲章は集団安全保障という制度を設けまして、相対立する諸国も一緒に協力して平和の維持と回復を行うんだという、いわば内部向け体内的指向性という言い方をすることがあります。そういう仕組みを作りました。この仕組みは、対外的指向性、つまり外部に仮想鉄国を想定して同盟政策でもって平和を維持しようという伝統的な考え方に比べて、自然的には進歩したものであるといってよろしいかと思います。ただし、集団安全保障の場合は、戦争によって平和を実現するという、いわゆる矛盾を内包していることも否定できないわけでありまして、しかも当然のことといえますが、大国や小国に対しては事実上発動することができないという限界を持っております。これを、いわば精度化したのがアンポリー事態の拒否権というふうに言うことができるかもしれません。それから、無力行使原則には例外がございまして、国連憲章に基づく国連の措置と自衛権がこの例外に当たりますが、憲章の措置は括弧におきまして、自衛権発動は何よりも発動する国が決めるわけでありますが、その決める国のやり方は、アンポリー事態の監督の下にある建前になっております。しかし、拒否権を有する常任理事国とか、その指示を得た国にとっては、アンポリー事態ではこれは制約にならないということは言うまでもありません。それから国連憲章、これもご存じのことでありますが、集団的自衛権という従来知られていなかった新しい考え方を導入いたしまして、その分だけ自衛権の範囲をいわば拡大したということにも留意する必要があります。もう一つ重要な限界として、これはお二人の話にも大変繰り返して登場いたしましたが、冷戦終結後の武力紛争の大部分は国内紛争、非国際的武力紛争であります。これに対して国連憲章は国家間の武力紛争を想定して作られております。もちろん非国家公為体による武力にも対応できないわけではありませんが、国連がこれに対応するについては様々な限界がありまして、ご存じのように十分な対応ができていないというのが現実のことでございます。それでは、そういう武力公式原則の発展と並んで、戦争法から国際人道法への発展ということがあるというのを読んでお話しいたしますが、国際人道法についてはお二人で大変詳細なお話がありまして、また先十字の簡単なパンフレットも配っていただいていますので、これは基本的には省略をしたいと思います。要するに、戦争法では色々適用に限界があったけれども、国際人道法の場合は少なくとも国際的武力紛争については全面的に適用されるというようになりましたし、非国際的武力紛争内戦でも一定の人道法規則が適用されるようになっております。それからもう一点、これも先ほどからお話もあった公平の原則と関わりがありますけれども、戦争法が平等適用であったというのは当然のことで、つまり抗戦者の平等の確保が保護法域だから平等適用だったわけですね。ところが、武力行使禁止原則が確立しますと、武力紛争が起きた場合は侵略者とその犠牲者がある、両方に人道法を平等に適用するというのはおかしいんじゃないのという説が出てまいります。しかしあくまでこれは実定法では平等適用が確立しているわけですね。それの主な理由は保護法域の正確によるんだろうと思っております。つまり伝統的な戦争法は、抗戦者の権利を保護することが保護法域だったのに対して、人道法はそうではなくて、武力紛争に関わる個人の人権や人道的待遇を確保するということが保護法域になっておりますので、従って侵略者にもその犠牲者にも平等に適用されるという結果になるわけであります。それからもう一点、先ほどのお話を伺っていても必要な追加と思いますが、ちょっとレジュメに書いてないことですけれども、もう一点追加をしたいと思うんですが、国連による措置とか自衛権の行使というのは、武力行使禁止原則上は適法な行為になりますが、それにも関わらず、そういった適法な行為にも国際人道法の適用があると、つまり国際人道法に従って敵対行為を実施しなければならないということをぜひ確認する必要があると思います。ウクライナは、これは国連でも何度も確認されたように、ロシアの侵略に対して自衛の戦争を行っておりまして、この戦争、自衛の武力自体は適法だと思うんですけれども、数日前の報道でも、その非人道性のために広く避難されておりまして、違法の疑いが強いク ラスターザンを使用しているという報道がございます。それから、イスラエルのガザホッコーゲキもご存じのように、ハマスによる攻撃に対する自衛権の行使というふうに主張しておりまして、この自衛権の行使という主張についても、いろいろ問題があると思いますけれども、この主張自体を認めるとしても、文民や民用物、まして病院等に対する強犯な無差別攻撃は、多方からジェノサイドであると批判されておりまして、人道上合法と見る余地は全くございません。ということを、ちょっとレジュメにないわけですが、追加させていただきたいと思います。それで、人道法による規制内容の拡充ということでは、2点挙げましたが、これはすでにお話がありましたので、省略をしたいと思います。そこで、人道法の課題5のところに飛びますが、1つは、内容上も一層の拡充が必要であることは言うまでもありません。レジュメに書けました2つの基本原則、区別原則と不必要な苦痛を与えたらいけないという原則ですが、この2つの基本原則は、言うまでもなく、全ての兵器、全ての戦闘方法に適用されます。しかし、一般原則による禁止については、解釈の対立があり得るわけでして、それを特定的に禁止する条約を作っていくということが望ましいことは言うまでもありません。クラスター弾条約とか対人自来禁止条約がその例であります。核兵器の使用についても、区別原則からしても、不必要な苦痛を与える兵器の禁止の原則からしても、一般原則上は禁止されているというふうに理解されますけれども、核兵器国とその同盟国は、こうした理解を共有しておりません。ご存じのように核兵器禁止条約がございませんけれども、こういった諸国はこの条約にも入っていない。ということで、こういった国に働きかけて核兵器禁止条約に加盟させ、核兵器の禁止を国際法上確立することに努める必要があるというふうに考えております。最も重要なのは、利口確保ですね。かつての戦争法の主要な利口確保は、戦時復旧でありました。つまり、やられたらやり返す。やり返されるのが嫌だったらやるなという考えですが、これは言うまでもなく乱用の危険が非常に大きいし、実際に乱用されてまいりましたので、人道法では戦時復旧は廃止はされませんでしたけれども、厳しく制限されております。これについては、先ほどお話のあった赤十字国際委員会、それから事実調査の制度等ができておりますけれども、まだまだ不十分だということであります。それで時間がなくなりましたので、結びのところは一言ずつ、特に日本の課題に触れる部分だけを申し上げようかと思います。要するに国際法は いろんな意味で大きな発展を遂げてきたけれども、特に利口確保、違反に対する対処が極めて脆弱だということを抑えなければいけないということであります。従って紛争が始まって以降は打つ手が大変少ないわけでありますから、紛争の発生自体を予防する、あるいは発生した紛争が武力紛争に至らないように沈める、そういう予防外交が重要になります。また、一旦発生した武力紛争については、とりわけその犠牲になる一般市民への人道的支援が重要となってまいります。このような紛争予防、人道的危機への対処、いずれも平和的生存権を憲法に掲げる日本は重要な役割を果たすことができるというふうに思われます。日本は西側諸国の一員ではありますけれども、現在紛争が多発している地域とはそれほど大きな地政学的利害を持ってはおりませんので、紛争の予防や解決に大きく貢献できますし、また人道的危機への対処についても、これまでも様々な経験を積んできておりますので、今後ともこれもお二人の報告にありましたように、役割を果たすことができるだろうというふうに思っております。そういう活動を国際社会でやるのは言うまでもない。時間の関係もございますので、ご意見をお持ちいただけますようにお願いします。個人の市民もいろいろ役割を果たすことができるということを最後に申し上げたいと思い ます。すみません、時間を長開いたしました。以上で終わります。ありがとうございました。ありがとうございました。以上で参考人のご意見の陳述は終わりました。これにより参考人に対する質疑を行います。本日は質疑者はあらかじめ定めずに行います。まず、大会派順に各会派1名ずつ指名させていただき、その後は会派に関わらずご発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。また、質疑者にはその都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人10分以内となるようにご協力をお願いいたします。それでは、質疑のある方は順次ご発言願います。
1:07:48
自由民主党の吉川雄美でございます。参考人の先生方におかれましては、貴重なお話を頂戴いたしましたことを心より感謝申し上げます。私、昨年の秋まで外務大臣政務官として、まさに軍宿不拡散、国際協力を担当してまいりました。本日の参考人の先生方のような方がいらっしゃるからこそ、我が国の国際協力、あるいは様々な意味での国際的な役割ということが果たせているんだと深く、本当に忠誠より感謝の思いでいっぱいでございます。半澤参考人も、昨年の6月、ICRCのドナーサポートグループの会合でも大変お世話になりました。本当にありがとうございます。さて、日本の開発協力におきましては、人間の安全保障、この観点から人道支援分野での取り組みも大変重視をしておりまして、これまで、バイ、そしてマルチの双方の枠組みを通じて支援を行ってまいりました。こうした日本の開発協力の取り組みについては、お三方の先生からそれぞれの立場から見て、どういった点に強みがあり、またどういった点をより強化していくべきだと思われるか。例えば、半澤参考人の方からは、日本のリーダーシップの話もございましたし、村田参考人からも、日本の人道支援の在り方ということについても言及をいただきましたけれども、改めてお伺いできればと思っております。そして、人道危機への対応といたしまして、まさに今、ウクライナやガザーで直面しているような喫緊の状態への対応として、人道的支援は必要不可欠である一方、その後の、特に難民、あるいは非難民への自立支援や復興という観点か ら、そういった取り組みも進めていかなければならないと思っております。こうした取り組みを着実に進めていくためにも、この人道支援と開発協力の連携、これの実施についてどのようにお考えか。そして、この人道から開発へのシームレスな移行、こういったことを進めていくことも求められていると思っておりますけれども、こういったことを考えた点について、我が国が進めていく上での課題、あるいは、今後参考にすべき世界の中での講じれのようなものがあれば、ぜひとも今までお話しいただいたような人道的支援を進めていくためにも重要かと思っておりますので、それぞれのお立場からお話をお伺いできればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。それでは、半蔵参考人、どうぞ。
1:10:43
はい、吉川先生、ご質問どうもありがとうございます。サポートグループでは大変お世話になりました。ありがとうございます。日本の開発協力の強みというところなんですけれども、私、仕事からですね、在家の皆さんとご一緒させていただくことが非常に多い。それもちょっと、もしかしたらまた開発と人道のネクサスというところにも入っていくのかもしれないんですけれども、やはりですね、人々に寄り添った 支援ということを本当に理解しているんじゃないのかなっていう考えを持っていますし、あとはやはりですね、日本の場合は、災害の対応でその得た知見というものがすごくやはり大きくて、昨日も私、緊急事態支援学会というところにちょっとお邪魔させていただいたんですけれども、そこの場でもですね、災害対応のと自身の対応だったんですけれども、そちらで皆さんが得た知見の発表であったりとか、それから民間セクターとの連携、テクノロジーの活用といったところですごく活発な意見交換がありました。それを見ていて、やはり日本の強みというのはそこにやっぱりあるんじゃないのかなっていうふうにすごく実感した次第であります。ネクサス、いわゆるネクサスと言いますか、人道と開発の連携というところになっていくんですけれども、そちらはですね、やはり現在発表でも申し上げたとおり、紛争が長期化している中で、そのICRCが持続的な人道上の措置をとらざるを得ない事態が多発している。そのような中、やはり開発機関とその人道支援機関が今後どのように連携していくのかということは、やはり私たちの組織として検討を続けなければならない非常に重要な一種だと思っています。やはりですね、ある日突然人道支援からこの開発支援に急にこう変わるっていうことは絶対になくって、やはりその人道とその開発の間のグレーゾーンがあるというふうに考えています。その中でですね、現在までICRCは世界銀行などとも連携しているんですけれども、日本ではですね、JICAと昨年6月に協力覚書を締結しました。で、ウクライナをはじめとする紛争影響国において、JICAの長年の信頼と、それから専門性及びICRCの現場でのこの機動力を生かした協力を計画実施していきたいなというふうに考えています。実際にですね、ウクライナのヘルソンでダム決壊が起きたときにですね、ICRCとJICAは連携の上、人々に支援物資を届けたという実績もございます。以上です。
1:13:29
はい、ご質問ありがとうございます。まず、日本が行っている開発協力の強みでありますけれども、これはですね、私自身、長年アフリカや中東などで人道援助活動をやっておりまして、やはり日本のイメージというのは一般の人たちからだけではなくて、政府からの非常にイメージがいいなというふうに考えております。それは、その政府に何か人権上、例えば問題があったとしてもですね、欧米諸国のようにすぐに制裁をするわけではなくて、中立的な観点からのサポートを行っていると、行い続けているということから、そうい ったことが来ていると思います。ですからこそですね、その立場をうまく活用して、先ほどの人道援助に制限が出ているような場面ですと、日本だから言えることというのが本体はあるはずなんですね。外務省の皆様にも協力をしていただいている国や地域はありますけれども、まだまだそこがうまくいっていないところがあるのかなというところで、より一層の人道面、人道外交からのリーダーシップというものにつなげていただきたいと、その立場をですね、というふうに考えております。またあとですね、先ほどのネクサスの話が出てまいりましたけれども、実は国境なき一覧というのは、2016年に世界人道サミットが開始された際にですね、同サミットが目指している目標に合意することが難しいと判断しまして、世界人道サミットから撤退をしております。具体的にはですね、サミットではネクサスにおける成果として、人々のニーズやリスク、脆弱性を軽減し、レジリエンスを高める上で測定可能な結果やインパクトを想定しているのに対しまして、緊急医療、人道援助活動のみを実施する国境なき一覧の目標は、第一に人々の基本的ニーズを満たし、命を救い、尊厳を回復することにあります。また、政治的な制約をできる限り取り除いて、独立、中立、公平な立場で命を救い、苦しみを軽減する人道援助活動に対しまして、政府や国家、機関を強化する開発、平和、構築というのは、どうしても政治的な側面や影響が大きいということで、この違いをネクサスのアプローチは十分に考慮していないように見受けられます。以上の理由から、我々としては、国際人道法で保護された人道援助活動を開発や平和、構築活動と明確に区別することで、紛争地においても中立な立場を保ち、安全を確保し、活動が可能になっていく面を十分に考慮していっていただきたいと考えております。
1:16:43
本日の私のお話は直接関わるところがなかったかと思うんですが、皆さんのお話を聞いてまして、一点だけ印象に残ったことは、現在非常に現場で苦難に直面している人たちを緊急に助けるという人道援助が不可欠であることは言うまでもないわけでありますが、もう少しこれを将来を見据えた援助の在り方につなげていく、つまり、例えば、植えている人がいるところへ食料の援助をするのは当然なんですけれども、もう少し長期的な観点から見れば、当該の国で食料が自給できるような、そういう体制をつくっていく、もちろんその前提としては、国内における混乱、戦乱を収める必要がありますが、そういう活動も必要だと思いますけれども、要するに緊急の人道援助を将来の開発援助へスムーズに移行させるような視野をいつも持っている必要があるかなと、そういう印象を受けました。以上でございます。ありがとうございます。大変貴重なご意見ありがとうございました。終わります。
1:18:04
立憲民主社民、水野本子でございます。本日は、国際人道法に関します理論、そして実践、そして課題につきまして、大変参考になるお話をありがとうございます。私は国際法専門としておりまして、ホランダライデン大学で修士をとってまいりまして、ICJにもよく出入りをしておりましたので、まず松井先生にお伺いさせていただきたいと思います。こちらの先生の論文を拝読いたしまして、本当に感銘と共感を受けました。平和憲法を持つ日本が本来、国連活動を日本国憲法の立場に近づける努力をすべきであること。しかし、日本あるいは国際社会が今、多国間主義から単独行動主義に傾倒しているのではないかと、警鐘を鳴らしていらっしゃることに強く共感をいたしました。この観点から、類似の質問を3点、松井先生にまずお尋ねいたします。松井先生は、単独行動主義への傾斜 として、軍事同盟強化と抑止論に固執する傾向が強まっていることを挙げていらっしゃいます。ウクライナや中東での紛争で、必勝者文字、あるいは敵基地攻撃能力獲得による抑止力強化の提案など、日本政府が特定の同盟国を優先する単独行動主義に強く傾倒しつつあるような感じております。日本における単独行動主義への傾斜につきまして、どうお考えになっていらっしゃいますか。その理由、いつ頃から強まったかについて、ご教示をいただきたいというのが1点でございます。2点目として、仮定といたしまして、いわゆる台湾有事、台湾における米中の武力衝突が万一起きた場合、日本がこれを孫立危機事態、武力攻撃事態として認定して、例えばミサイル発射等の予兆があったとして敵基地、この場合は中国になりますけれども、仮定として2攻撃を行うとしたら、国際法で認められる自衛権の範囲を逸脱して、国際法違反と考えられると思うんですけれども、いかがでございましょうか。2点目はこの見解をお伺いしたい。3点目でございます。自衛権の行為には必要性と均衡性が前提となるICJは、イスラエルに集団殺害行為、殺害防止の暫定措置命令を出していますが、日本政府、岸田総理は、イスラエルは国際法違反であるかと、再三での国会での問い合 いに対しまして、この事実関係を把握できないことから、確定的な評価を行うことはできないと、何度も回答して明確な回答を避けているように、これは機弁ないようにも感じるんですけれども、この点についてどう感じられますか。3点につきまして、よろしくお願いいたします。
1:20:45
大変具体的なご質問をいただきまして、うまく答えられるかどうかわからないんですが、まず、単独行動主義の問題ですね。日本はご存知のように、米国と安保条約を結んでおります。軍事同盟の一員でありますし、軍事同盟を正当化する最も強力な論拠が、抑止論であることもご存知のとおりでありますが、軍事同盟と抑止論が結局は、相手方に対抗する努力を取らせることになって、ますます国際緊張を高めるのではないかという恐れが大変強いわけですし、昨今の状況はそういう事態も大変明らさまに示しているように思われるわけであります。もちろ ん、ロシアの侵略に対してNATOを強化しなければならないと、ヨーロッパでそういう動きが強まっていることは理解できることはできますけれども、もう少し長い目で見れば、むしろNATO等の軍事同盟がではない形で、例えばヨーロッパ安全協力機構ですか、ああいうものを強化するというふうな選択肢ももっと考えるべきではないかというふうに思っております。それでは緊急の役に立たないというご批判があるかもしれませんが、現在の方向はあり、望ましい方向とは真逆の方向を向かっているという印象であります。第2に台湾有事のお話でありますが、これについては有事が起こる前に様々な政策的な働きかけでよって、そういうことが起きないようにするということが一番重要なことは、これは言うまでもないことでありますが、単に有事、その危険があるという段階で有事の源になると思われるところに対して、いわゆる敵基地攻撃をかけるということになりますと、これはやはり自衛権の要件を踏み外している、つまり予防的自衛になる恐れが非常に強いと思われるわけでありまして、やはり日本の対応としては、日常的に当該地域の緊張をどのように緩和するかという働きかけを、台湾、中国、そして米国等も含めて行っていくということが重要ではないかというふうに思っております。第3点でありますが、これは合国の中でも少し触れましたけれども、ガザの事態、先にハマスが手を出したということは明らかであります。人質を取るというふうな違法な行為もやっております。したがって、その点だけを取ればイスラエルが自衛権の行使という主張をするのも理解できないことはないのですけれども、今ご指摘がありました、自衛権には必要性と均衡性の要件もございまして、したがって自衛のためであれば何でもできるということにはならない。自衛のために必要最小限のこと、相手の行動と均衡の取れた反応だけができるのだというその要件に照らしても、全くイスラエルの行為は自衛権では正当化できないと思われまして、これは事実関係が確認できるかどうかというようなことよりも、日常的な報道で事実関係の確認ができないというようなものでは決してないだろうというふうに思っております。まして、日本国大変情報庁の収集能力も大きく強く持っておられますので、必要性と均衡性を踏み外している、それから先ほども少し話の中で触れましたけれども、国際人道法の基本原則にも違反しているという限りにおいては、やはりイスラエルの行為は強い批判にあたりするというふうに思っております。以上のことでよろしいでしょうか。
1:25:25
ありがとうございます。大変参考になるご意見を賜りました。続きまして、半澤さんにもらった参考に、一言ずつお時間の関係で、今、私の方にも知人の方からガザに親戚がいて、何とか日本政府に助けてもらえないかというようなメールが来るような状況で胸を痛めております。ガザの状況、あるいはウクラナの状況に、今、日本政府に特に動いてほしいこと、やってほしいこと、何を求めていらっしゃるか、一言ずつ、半澤さんにまた参考にお願いいたします。
1:25:59
日本政府に今求めることなんですけれども、本当に知人の方がガザにいてというお話は、私も実際に知人がいるので、耳にすることではあります。その中で、まずいくつかあると思うんですけれども、まず一つ目としては、先ほど申し上げたように、国際人道法について、もっと声を上げていただきたい。強いメッセージをぜひ発信していただきたいということが、日本政府に私たちICRCとして求めることの、まず第一のことになってくるのではないのかなというふうに思います。二つ目としては、やはりガザもそうですし、ウクライナもそうなんですけれども、忘れないでいただきたいということが、私はすごくあるなと思っていまして、本当にウクライナで、本当に皆さんに多大な支援をいただいて、本当に感謝申し上げるんですけれども、やはりガザとウクライナの戦闘激化によって、今度ウクライナの方がもしかしたらちょっと忘れられてしまっているような状況もあったかもしれない。そのような中で、やはりその状況というのは必ずしもいい方向に変わっていないので、そういった状況というものを忘れないで、これからも継続的に支援をしていただきたいというのが、もう一つ私たちの方から申し上げられることなのではないかなというふうに思ってい ます。
1:27:35
ありがとうございます。人道援助というものには紛争を止める力というのはありません。問題を解決できるのは政治だけです。ガザにおきましては、国境なき一段が日本政府に求めることというのは、即時かつ持続的な停戦、その停戦を推進するためのあらゆる影響力の行使をしていただくことです。それは一時的な休戦ではなくて、持続的な停戦こそが、さらなる何千人もの民間人の殺害を食い止め、切実に必要とされている人道援助を届ける唯一の方法というふうに考えるからです。ですから、停戦を推進するためのあらゆる影響力を行使していただきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
1:28:40
公明党の宮崎雅史でございます。本日は3人の参考人の方、大変に貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。まず、半澤参考人と村田参考人に同じ質問をさせていただきたいと思います。いわゆる法人の人道援助に携わる人材をどう増やしていくのかという問題でございます。赤十字国際委員会の法人職員数は、22年末の時点で37人という資料がありました。10年間で5倍に増えたというふうに聞いておりますけれども、世界で1万7000人余りのスタッフがいるということに比べますと、少ないようにも感じるところでございます。また、国境なき一覧では、日本から毎年100人のスタッフが先ほどありましたけれども、紛争時などに派遣されているということであります。こうした人道的活動に携わる日本人の数について、現状どのように評価を認識されているのかということと、それから法人のスタッフを増やす上での課題であるとか、あるいは特に若い世代への啓発ですね、こうした点について、参考人のご見解を伺いたいと思います。法人職員数についてですが、まさにご指摘のとおりで、2022年末の時点で37人。以前と比較するとかなりのスピード感でやっているつもりではあるんですけれども、これまたご指摘のとおり、やはり全体の職員数と比べるとまだまだかなというのが現実ではないのかなと思います。またその中で、ICRCとしてもその認識は持っておりまして、やはり法人職員だけではなく、他の国の職員もなんですけれども、比較的少数と思われている国出身の職員数をもっと増やしていく努力というものは、組織として行っていることではあります。それが本当にいつの段階でどのような成果を持つのかは分からないんですけれども、これからもできる限りのことはしていきたいと思っています。もう一つ非常に重要な点は、やはり法人職員数を増やすということは重要ですけれども、幹部職員数を増やすということが、私個人としても幹部になった身として本当に重要なことではないのかなと思っています。やはり意思決定というところに入っていくということの重要性というものは、私自身も感じているところでありますので、法人の幹部職員数の増加というところについても、今後ちょっと努力を続けてまいり所存であります。日本の皆さんにどのようなメッセージをというところなんですけれども、最近ですね、もちろんコロナの影響もありまして、やはり日本の若い方々が外を見ないで、割と国内を見るという傾向がもしかしたらあるんじゃないのかなということはあります。なのでですね、やはり若い方々には世界を見ていただきたい、世界を知っていただきたい。それでやっぱり自分でできないんじゃないかと思わないで、やっぱりハードルを自分で上げないで、ハードルを下げて、本当に世界に羽ばたいていってほしいというのが、本当に個人的でもあるんですけれども、思いではあります。以上です。
1:32:29
はい、ご質問ありがとうございます。先ほど国境なき石段では、毎年100名弱のスタッフが、人間が海外派遣スタッフとして派遣されているというふうに申し上げましたけれども、この100人というのは国境なき石段全体で見た場合、海外派遣スタッフで見た場合は1.5%ぐらいにしか過ぎないですね。国境なき石段という名前からして、王者さんしかいないんじゃないかというふうに思われがちですけれども、実際は海外派遣スタッフの半分以上は、いわゆる人物金を扱う人間が多数必要でして、私自身も国境なき石段の前はコンピュータ会社で営業をやっていたんですけれども、そのときに転職をする際に国境なき石段でやりたいと思ったときには、あまり理解というのはありませんでした。日本の社会の中にこういった仕事、人道援助というものに対する理解とか指示というのがまだそれほど欧米諸国と比べるとまだないのかなというふうに感じております。例えばですね、1年間に当団体に海外派遣スタッフになるために応募してくる人の数というのは、日本の場合は100人ぐらいなんですけれども、フランスの国境なき石段では1年間に3000人ぐらい応募してくるんですね。フランスの人口、日本の約半分ぐらいですから、60倍ぐらい違うと。それぐらい、向こうではこういった人道援助というものが職業の一つの選択肢として若い世代にも浸透していると。これは実はシステムにも関係しているというふうに考えてまして、例えばフランスでは雇用者が、自分のところの従業員が人道援助に行くとなった場合、行って帰ってきた後もそのままそのポジションをですね、良い人がかければいけないという法律があるんですけれども、日本の場合はそれがありませんので、この毎年参加している100人というのは、もう退路を断って、お医者さんであれば病院をもう辞めて退職してやらなければいけないという、非常にハードルが高いことになっております。これがですね、例えば行って帰ってきてもまだ自分の病院で戻ってこれるというような、そういうような法律ができればですね、全然違ってくるんじゃないかなというふうに考えております。
1:35:01
次に松井参考人にお伺いしたいと思います。レジュメにもあり、最後の結びのところにありました国際法の課題のですね、紛争の法的処理のところで、いわゆるICJとICCのですね、限界について述べられております。このイスラエルとハマスの戦闘につきましても、このICJが暫定措置命令を出したりとかですね、あるいはプーチン大統領に対してICCが戦争犯罪の疑いで逮捕状を出したりしているわけですけれども、実際問題は実効性があるかどうか疑われるところでございますけれども、こうした課題を踏まえてですね、改革というんでしょうか、そうした、この、ついてご意見がございましたらお聞かせいただきたいと思うんですけれど。
1:36:03
大変難しいご質問をいただきまして、要するに、レジュメにも書きましたけれども、ICJもICCも判決が出れば法的拘束力があるということが前提になっておりますけれども、強制執行の手続きはございませんので、それ実施されなくても何のおとかみもないというふうな印象を受けます。が、必ずしもそうでもなかろう、確かに強制執行の手段がないのは確かなんですけれども、例えばICJの暫定措置命令ですけれども、これはやはり、ガザーについて何とかしなければならない、ジノサイドが起きるようなことを防止しなければならない義務があるということが、国際セレオに広がる役割は明らかに果たしていると思います。それからプーチンさんについては、これは並行性を難しくするという側面も あるかと思うんですけれども、ただ、正義という観点から見れば、あれだけの人道法違反の行為を、ひとして児童の遺相が問題になっているんですけど、やっているわけですから、これを起訴するというのはもちろん一理あるわけですが、ご存じのようにこれも執行力はない、ロシアは定額国ではありませんし、執行力はありませんが、ただこれ時々報道されますけれども、プーチンさんは外国に出られなくなっていますよね。ICCCの定額国に行けば、その国がもちろんいろんな政治的配慮をするでしょうけれども、法的に言えばプーチンさんを逮捕してICCCに引き渡す義務が出てまいりますので、外国旅行が非常にしにくくなっているというのは、少なくとも心理的には多少の圧力になっているかなという印象はございます。したがって、執行力がないから全く意味がないとは言えないだろうというふうに思います。ありがとうございました。終わります。日本紙の会、教育無償化を実現する会、金子道人です。今日は貴重なご講演、本当にありがとうございました。まさに人道活動を実践しておられる皆さんの現場の声を聞くことができたこと、本当に貴重なこと だと考えております。今日は国際人道法の遵守ということで、少し現場の話ではなく、法的な解釈、そういったところについてお伺いしたい。そして具体的には、ガザの紛争のことについて絞ってお伺いをさせていただきたい。お三方、参考人にそれぞれ2つお伺いしたいと思います。そして最後に、村田事務局長から国境なき石田についても少し追加でご質問させていただければと思います。ガザの紛争、もう皆さんが繰り返しおっしゃっておられるように、一刻も早い紛争の解決、停止であったりとか、人道危機の回避、これが望まれることは言うまでもありません。そしてそれを通して、今後、永続的な解決に向けた復興支援、こういったことが二度と起こらないような、そのような支援が望まれるのではないか、私自身はそのように考えております。そして1点目のご質問としましては、今回の行為に関しては、昨年10月のハマスによるテロ行為、これは明らかな無差別な民間人の殺害、そして民間人の人質を取るという国際人道法違反である。これについては国際社会も明確に認めていることだと思います。ここからイスラエルの自衛権行使が始まっている 。そしてそれが、果たして必要性、均衡性を満たしているかどうか、そのことについて、世界中が議論を行っているような状況だと思います。ただ、そもそもこのイスラエルが自衛権を発動するきっかけとなった行為に対しての解決、つまりこの自衛権行使の根拠さえなければ、自衛権を行う法的な根拠がなくなるわけですから、その根拠の除去ということに関してどのようにお考えか。具体的には、まず早急な人質の解放を行うということ。そして今回の違法行為に関しての認定であったり、保障であったり。そして再発防止、テロを再び起こさないという、そのようなことを通すことで、自衛権の行使の土台となるものが除去されると考えます。この議論の中で非常に分かりにくいのは、パレスチナ自治政府という法的な主体と、ハマスというテロ行為を行ったものが報道の中で混同してしまっていて、非常に分かりにくいのですが、私自身はパレスチナ自治政府という、あのところを国家ではありませんけれども、議事国家として認められているところにおいて、行政的な責任を持つ、主権を行使する主体である自治政府こそが、責任を追求されるべきではないかと考えるのですが、その点に ついてお考えをお伺いしたいのが1点目です。2つ目が、たくさん行われているこの医療機関への攻撃ということ。これも一刻も早く停止をすべきであると。そしてその医療機関への攻撃というのはまさに国際人道法の区別、分離の原則、区別の原則といったものが適用されるものだと思いますが、国際人道法の遵守という点では、両当事者にこれをしっかりと守っていただきたいというのが、法の遵守の呼びかけだと思います。そういった点で、今イスラエル側に対してはかなり、世論という形でプレッシャーがかかっていますけれども、ハマスに対して一刻も早く、この病院や学校といったところの地下等で活動することを停止すべきではないか、そういった働きかけをしていくことが非常に重要ではないか。両当事者に対して、この国際人道法の遵守、分離の原則の遵守ということを働きかけていくのが、法の遵守という我が国の立場からしてはフェアではないかと思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。3点目、これは先ほど申し上げました村田事務局長にお伺いしたいことなんですが、私、国境なき一段の設立の経緯を全然知りませんで、今日初めて教えていただいて、ICRCの 活動の中で、この沈黙の原則というところが一つのきっかけになって独立をしていたということで、そのICRCが沈黙の原則を守るという趣旨もすごくよく分かりますし、沈黙を守りきれなくなったというところも、人間的には非常によく分かるところなんですけれども、沈黙の原則を解除する、つまり、この現実を見て報道を発信していくというのは、当事者側からすると非常に知られたくないことを知られてしまう、つまり中立性の原則と矛盾するような場面が起こるんじゃないか、そのあたりを教えていただきたいのと、まさに紛争当時国というものは、ガザもそうですけれども、報道の自由が非常に制限されている。自由な報道をすることで命が狙われるような、そのような報道の自由のないところだと思うんですが、その場所であえて沈黙を破るということについて、どのような具体的な活動をされているか、その点について2点追加で教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。半澤参考人の方からでいいですか。
1:43:47
ご質問どうもありがとうございます。まずは、人質の解放というところなんですけれども、ICRCはまさにこの人質が発生した直後から、ハマス、それからイスラエル、それから影響を持っている国々との対話を重ねて、この人質の解放に向けて力を尽くしているところであります。そもそも、ICRCは、まず何を求めているかと申しますと、人質の皆さんにICRCが訪問できるようにすることを求めています。残念ながら、まだ今までそれは実現していないことでありますし、私、昨年12月に人質のご家族の方が訪日された際にお会いしたんですけれども、その点については厳しいご指摘を受けていることも承知しています。それでもですね、やはり本当にその人質のご家族と会った時に、自分の本当に愛している、自分の家族が今どこにいるのかわからない、今何をしているのかわからない、実は生きているのか死んでいるのかもわからないということは、本当に心が痛くなることだというふうに本当に 思いました。なのでやはりICRCとしてはですね、できる限りのことをですね、この早急な人質の解放に向けて、これからもやっていく所存ではあります。それから、紛争当事者双方に国際人道法違反について働きかける重要性なんですけれども、まさにおっしゃる通りだと思います。こちらについてはですね、ICRCはイスラエル、それからハマス双方に対して、国際人道法の遵守について働きかけています。その内容についてはですね、私たちはもうプレゼンで分かったのかもしれない、ご分かりになられたかもしれないんですけれども、非公開、非公開の2社間の対話という形でやっておりますので、その内容について、ここの場所で皆様にご説明差し上げることはできないんですけれども、そうですね、そういった形で、本当に国際人道法の遵守に向けて、紛争当事者双方に働きかけていますということについては、申し上げたいなというふうに思っています。
1:46:11
ご質問ありがとうございます。まずですね、国境なき一段は、世界中の多くの人たちと同じように、10月7日のハマスによるイスラエルでの市民への攻撃に非常に心を痛め、衝撃を受けました。あのような攻撃は決して許されるべきではありません。ただ、4ヶ月が経った今ですね、イスラエルによるガザでの絶え間ない無差別攻撃のために、パレスチナの市民が受けている、とてつもない恐怖というものを表現する言葉というのが、なかなか見つからないというところが現状です。医療への攻撃や国際人道法に関して言いますと、もちろんどのような紛争か、でもすべての紛争当事者に対して、我々は民間人の保護や医療の保護というものを訴えております。このガザに関して言いますと、ハマス、イスラエル双方に対して訴えているところでございます。3つ目のご質問にありました、証言活動と中立性をどう両立させるのかというようなご質問だったと思いますけれども、我々が独立中立公平と言っているときに、中立と言っているのは、医療倫 理から見た中立性なんですね。それは、例えば軍人であったとしても、あるいは反武装勢力の重症者であったとしても、病院に送られてくれば、それは医療としてきちんと治療しなければいけないと。これはジネーブ処方薬にも定義されていますけれども、その医の倫理から見た中立性ということが1つあります。証言活動に関して言いますと、これは1999年に当時の党団体、国境なき一団のインターナショナルの会長がスピーチの中で言った一節なんですけれども、沈黙というのは、沈黙とその中立というのが今までずっと混同されてきました。これは1999年のうちのスピーチですけれども、国境なき一団は当初からそれに異議を唱える形で設立されました。証言するというのがいつでも人の命を救えるというのは限りませんが、沈黙というのは確かに人を殺していますということをスピーチで述べました。我々としましては、やはり現場で起きている非人道的な行いを少しでも良くするために、医療をプロフェッショナルな医療の機関としてただ単に提供できる、していくというだけではなくて、人道面から状況を良くしていく、その願いを込めて、まず現場でもちろん交渉をして、その交渉がうま くいかなかった場合、これはもう公に訴えるしかないとなった場合に訴えるようにしております。そこで、そのようなことを繰り返していると、いろいろな正常不安定な政府から国境なき一団を入れるとダメなんじゃないかと、証言活動をするんじゃないかと、自分たちの政府に対してというのはありますけれども、それが一つ、例えばシリアでずっとあります。シリアでは内戦がもう10年以上続いていますけれども、党団体は反政府側がコントロールしているところでしか、医療活動というのはできていないです。これは、内戦が始まった当初からアサロ政権とずっと交渉をしているわけですけれども、なかなか認められないのは、そういったことが関係しているからというものがあるかもしれませんが、そこは我々の党団体としての方針ですので、変えることはないというふうに考えております。過ぎておりますので、おまとめいただければ。たくさん質問をしてしまって申し訳ございませんでした。松井先生、後でまた、もし時間があればお聞かせいただければと思います。ありがとうございました。ありがとうございました。
1:50:39
小宮道等身療区会の浜口誠です。今日は3人の先生方、本当にありがとうございました。人道支援の実態について、非常にリアルに感じることができました。改めて感謝申し上げたいと思います。私からは、まず、半澤参考人の方に、先生の資料の中に、一番最後に、ODAを通じた支援の継続と拡充という点が提言として触れられておられます。日本政府も、このODAについては取り組んでおりますが、予算的に言うと、ピーク時と比べると、半分ぐらいに減ってきているという実態もございます。1997年当時は、今の場合ぐらいの予算があったのですけれども、今はその半分ということですが、先生から見たときに、このODAの日本政府の今後の拡充という観点から、どういったところに、限られた予算の中で対応していくかという点も、非常に重要だと思っておりますので、この拡充という面での日本政府への期待という面で、ご意見があれば、お伺いできればと思います。
1:51:52
ご質問どうもありがとうございます。私、数自体は持っていないのですけれども、ODAを見たときに、果たしてそのうちの何%が人道支援に充てられているのかというのは、おそらく見なければならないことではないのかなというふうに思っています。すみません、本当は計算をして持ってくればよかったのかもしれないのですけれども、今、数字がないのですが、確か他のいわゆる先進国と言われている国々と比べると、ODAの中の人道支援に使われる費用というものが、かなり少ないのではないのかなと思っておりますので、その意味での拡充というものが、まず一つあるのかなと思います。同時に、おそらく非常に重要になってくることは、もちろん、予算が限られた予算ということは、本当にその通りだと思 いますので、私たちとしても、ファンディングのダイバーシフィケーションというのは、すごく重要になってくるのではないのかなと思います。それはもちろん、今までのトラディショナルドナーと呼ばれる国々以外の国々から、お金を拠出いただくということももちろんそうだと思いますし、あるいは、民間セクターとの連携というところも、非常に重要になってくることかなとも思います。そういった形で、皆さんに拠出してくださいというふうに、もちろんお願いはするんですけれども、私たちの方でも、やはり努力をして、ダイバーシフィケーションというところで、いろいろと新しいことを考えていく必要性というものはあるのではないのかなと認識しています。
1:53:36
【山口】ありがとうございます。続きまして、村田参考人にお伺いしたいと思います。まさに、国境なき資団の活動の状況について、よ り深く知る機会となりました。ありがとうございます。そうした中で、村田参考人の方から、日本政府に対しての提言ということで、外交努力であったり、あるいは国連のアンポリー理事会での働きかけであったりということが提言としてありますが、村田参考人から見たときに、国連のアンポリーの改革、もっと国連アンポリーがどういう形になれば、皆さんの活動にプラスになっていくのか、そういう視点で何かご意見であったり、国連アンポリー改革に向けての何かご提言等がありましたらお伺いしたいなと思います。
1:54:29
【村田】ありがとうございます。大変難しいご質問、ありがとうございます。国境の基地団というのは、医療人道援助組織ですので、何か国連のアンポリーが機能しているかしないか、そういったところに対する発言というのは、公の場ではあまりしないことになっているんですけれども、当団体としては、例えば今のガザで起きていることですね。日 本政府が非常に努力している中、なかなか現場での状況が全く良くならないというところに、アンポリーの難しさというのが非常に出ているのではないかというふうに考えます。例えば、またつい先日、ガザで言えば、ウンロワへの資金提供がですね、ああいうことになりましたので、一時停止と、各国が停止ということになりました。けれども、現場に現在もガザの中でですね、医療人道を提供している組織として言わせていただくならば、人道危機というのはもう本当に、すでに最悪のレベルに達しています。どのような追加の制裁も、これはより多くの民間人の苦しみと死に直結することになりますので、日本政府、それから他の各国の政府に対して、できるだけ早くここを見直していただきたいと。この措置によって引き起こされる結果というのは、1月26日に国際司法裁判所で示された暫定的な措置ですね。ガザ地区のパラシナ人が直面する過酷な生活状況に対処するため、緊急に必要とされる基本的サービスと人道支援の提供、可能にする、そのための即時かつ効果的な措置を講じることということと非常に矛盾をしておりますので、日本政府としましても関連各国に呼びかけて、ぜひ見直しをしていただきたいというふう に考えております。ありがとうございます。続きまして、つい参考人にお伺いしたいと思います。イスラエルのガザへの攻撃、これもジェノサイドではないかという指摘がある中で、国際社会としてイスラエルの戦争を止めることが今できていないという実態だと思います。なぜここまでの状況になっているにもかかわらず、イスラエルの攻撃を止めることができないのか。先生の国際法上の立場から考えたときに、アメリカもなかなかそこまで踏み込んだ対応に今なっていないというのが実態だと思いますけれども、国際社会としてイスラエルの攻撃を止めれないその要因と背景について、先生の所見がありましたらお伺いしたいと思います。
1:57:50
なぜイスラエルの攻撃が止められないのかということについては、多くの要因があると思います。今お話の中でご指摘あった、アメリカがかなり一定の段階まではほとんど全面的にイスラエルを支持している。最近は民間人に対する攻撃 等について、もう少し手加減をすべきだというふうな態度を取り出しておりますが、そういうふうにイスラエルの攻撃といいますか、イスラエルの立場を支持する勢力が国際社会の中で決して少なくない。これは、ナチドイツのイダイジン迫害の経験等も背景にあろうかと思いますけれども、そういう国際社会が必ずしも全面的にイスラエル批判にはなっていないということが一つの要因になっていようかと思います。もう一つ、先ほどどなたかも指摘されたと思うんですけれども、より長期的な問題としては、単に今の事態をどう解決するかということだけではなくて、長期的にいわゆるパレスチナ問題をどのように解決に持っていくかということが国連が始まって以来の課題になっておりまして、これに対して現状を打開する方向も同時に追及していくべきだろうというふうに考えております。ちょっと私、この辺あまり詳しく勉強しておりませんので、いかげんなお話で申し訳ありませんが、とりあえずの感想でございます。はい、ありがとうございます。最後、松井参考人に先生の最初のご説明の中で少し時間切れになった、日本と日本国民の課題というところで、日本国民も紛争予防に対しては役割を果たすことができると いうことが明記されておりますけれども、先生のお考えで、日本の政府ではなく国民ができることについて、具体的にこういうことがやれるのではないかというようなご意見があったら、少し冒頭の説明の中で言及できなかった点についてお話しいただければと思います。
2:00:10
日本の国民にどういうことができるかというのは、実は最初に用意して読めなかったレジメモにも具体的なことは実は書けていないので、今のご質問にどのようにお答えしていいか、ちょっと迷うところもありますけれども。直接的に言えば、やはり国民選挙権を持っているわけですから、政府に対してそのような、今日もただご議論がありました、そういう政策を政府が取ってくれるように働きかけるというのは、何よりも国民の立場からしてそういうことになると思いますが、さらに国際社会に対してもですね、国政府を通じなくてもNGOとか様々な市民運動を通じて働きかけることができますし、国際機関の中にはそういった発言を受け止めることができるように近年、仕組みを作っているところも少なくありませんので、そういうふうに政府を経ることなく直接国際社会に発言していくということもますます重要になっているのではないかと、大変抽象的な話で申し訳ありませんが、そのようなことでございます。
2:01:26
ありがとうございました。質問を終わります。日本共産党の岩渕智です。参考人の皆様、本日は本当にありがとうございます。はじめに3人にお伺いをしたいと思うんですけれども、先ほど来、話になっているロシアによるウクライナ侵略や、イスラエルによるガザ攻撃によって、子どもたちや女性、市民が犠牲になって、ジェノサイドのガザについては重大な危険があるということが指摘をされています。そうしたもとで、皆様が国連憲章や国際人道法に基づいて支援や活動を続けていらっしゃるということに、心からの敬意を表したいと思うんです。先ほど来、議論があるんですけれども、日本政府がロシアの侵略に対しては、明白な国際法違反で断じて容認できないと厳しく非難をする一方で、イスラエルの攻撃については、ハマスのテロ攻撃から始まったという点で異なるということで、イスラエルに対して国際人道法違反だというふうに言っていないし、定選や休選ということも言っていないわけですよね。今日のお話を聞いて、やっぱりはっきり国際人道法に反しているんだということを非難する必要があるというふうに感じたんですけれども、改めてお三方のお考えをお聞かせください。半澤さんからでいいですか。半澤さん、後任。はい、ロシア、ウクライナ、国際的武力紛争、それからイスラエル、ガザーの戦闘の激化というところで、日本政府の方にもきちんと非難する必要があるんじゃないかということだったと思うんですけれども、その国の立場に、それは本当に政治的な決断というところになってくるかと思いますので、それについてはですね、そのICRCとして、日本政府がこうすべきというようなことをコメントするのは差し控えさせていただきます。ただですね、やはりその国際人道法の遵守っていうところについては、先ほど申し上げましたように、日本はその法の支配を非常に重要と考えている国だというふうに、私は理解しておりますので、やはりその観点からもですね、その国際人道法についてきちんと話をしていく、声を上げていく必要性というものはあるのではないのかなというふうには思っております。
2:04:08
はい、ご質問ありがとうございます。国境なき一段としましては、やはりこのガザで起きていることというのは、もう前例がない、非常に危機的な状況にあるというふうに考えております。主に3つの面からですね、まず1つ目が、集団懲罰を一般の市民がされていると、完全に包囲をされていると。軍事作戦を開始した当初からですね、ガザの完全な包囲を強行して、人間が生きていく上で必要な水や食料、燃料、医薬品などの搬入が禁止されているだけではなくて、国際人道法で定められている人道援助団体のアクセスも制限されている。必要な援助が必要な人たちに届かないようにしていると。これは明確な国際人道法違反と言われるというふうに考えております。そして、医療への攻撃というのも、非常に我々は懸念をしております。また、強制的にですね、北部にいた人たちを南部に避難させたり、そういったものも国際人道法からは、反っていない行為でありますので、我々としては、もうガザに関して言うと、これはもう定戦しかないというふうに考えています。ですから、即時かつ持続的な定戦、これがなければこの状態が続いて いくのでないかというふうに危惧をしておりますので、日本政府にはあらゆる協力を行し、引き続き継続していただいて、そこに働きかけていただきたいと、イスラエル・ハマス双方にですね、というふうに考えております。ガザの危機に対する日本政府の対応についてのご質問というふうに理解いたしましたが、これ2つの側面がおそらくあると思います。つまり、人道法の違反ということについては、もう相当程度各種の報道で明らかになっておりまして、もちろんこれはハマスの方も含めてでありますが、したがってそういう人道法の違反に対して、これをやめるべきだという批判、非難、あるいは要求をするということは、ぜひやっていただきたいことだというふうに思います。もう1つ、ジェノサイドの危機というのも確かに、現状、報道などを見ておりますと、そのような危惧が生じるのは当然というふうに感じますし、ジェノサイドについては、ジェノサイド条約で全ての国がこれを防止するために協力する義務を負っておりますので、ジェノサイドの状況が進行しつつあるということが客観的に理解できれば、日本政府もまたこれをやめさせるために 様々な努力をする義務があるというふうに言うことができます。ただ、ジェノサイドは民族集団を絶滅させるという意図をもって行った行為という大変厳しい定義がありまして、これは少なくとも当事者がそのように辞任しない限りは、なかなか証明が困難でありますが、ただ、すでにICCでいくつかジェノサイドの例についての判断がありまして、私、詳しくは勉強できておりませんけれども、周辺の事情からジェノサイドの意図があるということを推測するというような立場もあるようでありまして、もしもそのジェノサイドの意図が実証できるということになれば、日本も当然これをやめさせるために、色々な努力をする義務があるということになろうかと思います。差し当たりの印象は以上のようなとおりです。
2:08:42
松井参考人にお伺いをするんですけれども、今のお話を受けて、日本政府がなかなかイスラエルに対して物が言えないということに対して、アメリカの顔色が上がっているんじゃないかというふうに指摘をせざるを得ない状況だというふうに思うんです。だからイスラエルにもきちんと物を言うし、さらに国際紛争を解決する手段ということで、戦争を放棄している日本国憲法を持っている日本政府だからこそ、果たせる役割があるというふうに思うんですけれども、参考にはどのように考えられるでしょうか。
2:09:23
アメリカの顔色をうっかがってイスラエルに対する厳しい非難ができないというのは、私もそういう印象は持っておりますけれども、しかしこれは確証があるわけではありませんので、あまり研究者としてオープナリーにそういうことを言うのは難しいかなと思います。それから平和的解決について、憲法の立場から努力すべきというのは、全くそのとおりでありまして、時間の制約で最後の方、端折りましたけれども、そこで一言申し上げるつもりだったんですけれども、平和的解決の努力をするということは、日本も今までやらなか ったことはないので、非常に目立つ形でいつもやっているというわけには残念ながらいきませんけれども、例えばもうだいぶ昔の話ですが、カンボジャなどでは一定の努力をされたということを記憶しておりますし、やっぱり国際紛争自体を解決するために役割を果たすというのは、平和憲法を持ち出すまでもなく、やっぱり国際社会で一人前の立場を維持しようと思えば大変重要なことではないかというふうに思っておりますので、この点についても外務省、政府、ぜひご尽力をいただきたいというふうに思っております。
2:10:51
3人の参考人の皆様、ありがとうございました。以上で終わります。
2:11:06
沖縄の風の伊藩陽一でございます。沖縄選挙区から参議院に来ております。今日の御三名のお話、大変よく分かりました。石井十二国際委員会、ICRCや、あるいは国境なき意思談、日本事務局含めて、まさに現場で頑張っておられる皆さんがどんな思いで取り組んでいくのか、理念も含めて、それぞれ多少の違いがあるわけですけれども、分かりましたし、それから、説明の中でもやはり日本の国が、先ほど松井参考人先生からも、平和的生存権を憲法に保障する日本という言葉がまず最初に出まして、そのことを含めて、私もそういうところの、日本という今までの平和主義というイメージを持っている日本、架空が2回も落ちて、そういうことを活動を通して国際的に外に出て、感じる日本というものに対する視点といいますか、パルシチナの皆さんの目とか、あるいは他のそれぞれの紛争のところで、日本というものへの評価というものがどのように感じておられるか、お二人にお伺いしたいと思います。お二人というのは、何ですか。はい、ご質問どうもありがとうございます。日本がどういうふうに見られているのかと いうことなんですけれども、赤十字国際委員会、中立独立公平な組織で、国籍というところにはあまり触れない組織ではあるんですけれども、日本は、やはり外に出ていきますと、日本人として見られるということは絶対にあるんじゃないのかなと思っています。その中で、先ほど村田参考人からもあったと思うんですけれども、やはり日本は中立であると思われているということが、私もそれは外に出て非常に強く感じることで、特に紛争が起こっている国、あるいは地域に行くと、やはりその考えというのがあるんじゃないのかなというふうに思っています。なので、特に私はパレスチナの方に行っていたこともあるんですけれども、その際にすごく感じたのは、日本に対する信頼、それから日本が第二次世界大戦を経験して、その後復興まで行った過程というところにすごくパレスチナの方々はご興味を持っていらっしゃっていて、ほぼ彼らがよく言っていたのは、日本は地球にある国ではなくて、宇宙にある国なんだということをよく言っていたのを、今すごく思い出しました。ということで、本当にパレスチナの方々も日本に対する思いというのは、すごく信頼を持っている、それから中立である国で自分たちを支援してく れる、本当にいい国だというふうに思っているなということを個人的に感じています。村田/まったく同じですね、半澤さん公認と。10年近く現場、アフリカや中東、主に紛争地で活動してまいりましたけれども、コキマキ一覧というのはもちろん多国籍多文化のチームではありますけれども、その現地の例えばプロジェクトの責任者やあるいは活動国の責任者が日本人であるというときになった場合の、その対話する相手ですね、様々なアクターがいますけれども、そういった人たちと対話する際に、こちらはコキマキ一覧の説明をしようと、自分たちがなぜここにいて何をしようとしているのかというのを説明しようというふうに考えて、事前に考えていくんですけれども、質問されることがですね、コキマキ一覧のことよりも日本のことについて質問されることが非常に多いです。それはやはり今までの先人の方たちの様々な努力、立ち振る舞い、あちこち各国でのですね、そういったものがすべて関係していて、非常にいいイメージを持たれているということは、現場でやってきて、証言、それも証言できます。ただ、もったいないなと思いますのは、そこをうまく、先ほどの話になるんですけれども、そこをうまく活用して、こういった人道危機のときに、ガタレもそうなんですけれども、その人道外交という面からのリーダーシップというものが、まだ日本政府はもっとできるのではないかというふうに考えております。ですから、メジャーなドナー国である国々もたくさんあることですし、この中立のイメージ、それから経済的なつながり、ODAを通じてのつながりというものも、最大限に生かして、人道的な外交をより一層、リーダーシップを発揮していただきたいなというふうに考えております。ありがとうございます。そういういいイメージを持たれているということは、日本にとって大変ありがたいことだと思います。私は沖縄にいまして感じておりますのは、この平和的生存権を憲法に保障する日本というのが、沖縄がすっぽり抜け落ちていると思うんですね。というのは、ご承知のように1972年まで米軍統治にあって、要するに日本各地にあった軍事施設は全部沖縄に持ってこられて、そのとき、沖縄はパラシティアのようだと、そういうふうに言われ続けていました。つまり、必要な土地は米軍が全部強制的に取っていく、今広大な基地がありますが、それが覆っているわけですね。そういう中で、朝鮮戦争はもう終わっているようなものです けれども、それを理由として欧米の軍事飛行機や監視機が、沖縄は国連基地があるということで来るんですね。それが利用されている。つまり、私たちが持っている、日本国民が持っているイメージと、今お話を受けているイメージは多分あっていると思うんですけれども、沖縄の人たちが持っているイメージは違うんですよね。そこで、今、日本政府がまさに防衛費を2倍にして、台湾有事という名の下で、沖縄の島々を、今まさに基地化しています。つまり、私が松井先生にお伺いしたいんですけれども、私たちの国の方向性が今大きく急下を向けているような感じがしてまして、その行き先が一体何なのだろうかと。これアメリカの戦略なんです。まさに日本は、自らの戦略を持たずに、自分たちの国土を戦場にするために基地を作り、そして、そこのアジアにおいて唯一の基地の源になりそうな感じが、今の日本だと思っています。そういう今の日本の在り方について、松井先生はどのようにお考えでしょうか。
2:18:59
ご指摘のあった状況、沖縄の状況について、私もニュースなどを見て大変心を痛めているし、自分も何もできていないということを申し訳なくも思っているわけですけれども、平和的生存権という議論は、憲法の議論になりますと国の議論になりますが、実は一人一人の国民、市民、外国人も含めて、一人一人の人間が平和的生存権を持っているというふうに考えるのが、元来の考え方だろうというふうに思います。日本国政府も様々な形で、そういった考え方につながる政策を取っておられることがないわけではないと思うし、それは尊重したいというふうに思うんですけれども、やっぱり基地の問題については、これは国と国との関係の問題もさることながら、現地の人たちの平和的生存権に決定的な関わりがあるのだという、つまり基地があって攻撃されるかもしれないという状況は、明らかに沖縄の人たちの平和的生存権を脅かすわけでありますから、そういう認識も政府も含めて、あるいは政府に批判的な発言をする我々も含めて、もっと強く持つべきではないかなというふうに思っております。
2:20:40
それでですね、私はやはり戦争を避けるということが一番大きな、第一の選択肢じゃないかと思うんですが、戦争を避ける手段を外そうというのが、今の安保三分省や日本の方針のような感じがしております。つまり、そういう日本の利用について、本来は憲法が目指す道ではないのではないかと。救助もなくして、戦争もできるようになりましたのでね、元の方に戻すにはどうすればいいのかなといつも思っているんですけど、松井先生どういうふうに考えておりますか。
2:21:17
私、政策論については詳しく勉強しておりませんけれども、安保三分省等を含めて現在の進行が、本来憲法が考えている方向とは大きく異なっている。何とか憲法の議論の方にもう一度立ち戻るべきだということは考えて、必要と考えておりまして、そのためにどのような方策があるかということについてはむしろ、先生方の中で十分な議論を尽くしていただきたいというふうに思います。お答えになりませんが。
2:22:00
どうもありがとうございました。私たちの役割として頑張っていきたいと思います。
2:22:11
NHKから国民を守ると全国比例選出、濱田聡でございます。3人の先生方、本日は本当にありがとうございました。私自身は医者として10年以上働いております関係で、非常に大変興味深く聞かせていただきました。まず、半沢参考人に、赤十字の特に組織としての強み、特に中で働く人の労働環境についてお聞かせいただけたらと思います。私も医者として、赤十字病院に何度か働いてはいないんですけど見学もさせていただきました。特に知り合いのドクターから、いわゆるブラック病院というところで働かれている方から赤十字の病院に行ったら、赤十字の労働環境がすごくしっかりしているという話を聞きました。それも1863年から赤十字発足して、いろんな国際的、世界標準のノウハウなどもあるのかと思います。赤十字グループとしての労働環境など、強み、工夫がありましたらお聞かせいただければと思います。
2:23:30
はい、ご質問どうもありがとうございます。今一瞬 聞いていて、ブラック病院がもしかしたら日赤だったのかと思って、ちょっと今ドキドキしていました。よかった、そうじゃなくて。赤十字の中の働き方ということで、私自身は今まで国連にも勤務していたこともありますし、それから外務省の方にお世話になったこともあるので、比較的、俯瞰的な見方といいますか、いろいろな組織でやってきた中で、じゃあなんで赤十字なのか、というところが説明できるのかなと思うんですけども、本当にですね、赤十字の、これはいいところだと思うんですけども、やはりスタッフそれぞれの、なんて言ったらいいんでしょうかね、あり方というか、その人がその組織の中でどういうふうに発展していけるのかっていうところを、すごく第一に考える組織でして、しかもですね、やはり給与であったりとか、もちろんそういったことは本当に皆さんが生活していく中で非常に重要なことでありますので、そういったことについてもきちんと認識をして、給与、待遇の面で、非常に国連と比べても遜色がないと申しますか、良い環境を提供している組織ではないのかなと思います。もう一つですね、やはりその赤十字で働いてすごく思ったのは、やはりその公平独立中立の理念に本当にスタッ フ全員がやはり沿った形でどうやって行動できるかということを、すごく真剣に考えている組織だというふうに思っておりますので、やはりそういった理念をきちんと実施していくっていう、一本筋が通った組織っていうのは、やはりすごく魅力的なのではないのかなというふうに考えています。
2:25:31
はい、ありがとうございます。次にですね、村田参考人にお聞きしたいと思います。組織としての活動、大変敬意を表します。活動の原始として、個人の寄付が多く85%を占めていると聞きました。これは組織として、ある意味中立性みたいなところを保つ上ですごく重要ではないかなと思います。そこでお伺いしたいのは、個人の寄付を集めるための工夫であるといいますか、政府に求めることをですね、特に例えば税制で寄付することで優遇措置、これを緩和することで寄付を集めやすくなるという、そういう想像もできるわけでございます。世界各国で、この国からは特に寄付が多いとか、そういう話も交えてお聞かせいただけたらなと思います。
2:26:37
はい、ご質問ありがとうございます。国境なき意思談という組織は、世界で約30強事務局を持っております。日本はそのうちの一つで、それぞれが日本で行っているような資金を集めるためのファンドレイジング活動というものを各国でやっておりますが、日本はですね、その中でも、アメリカが突出して高いんですけれども、貢献度という意味では、日本は約5番目ぐらい、30カ国のうちの5番目ぐらいにつけております。これはユーロに変換すると、かなり違ってきたりするんですけれども、時によっては。ただ、10年前と比べますと、党団体に寄付をいただいている方の数であったり額というものが、ほぼ倍になっておりますので、国境なき意思談という組織、それから民間間の寄付で活動しているということが徐々に、市で渡ってきているのかなと、日本の社会でもというふうに考えます。寄付をされる方からすると、私もしているんですけれども、寄付金の控除、これがあるのとないのとでは違ってくるのかなと思いますけれども、国境なき意思談は日本では、特定非営利活動法人という形で、東京都で登録をしていますので、その登録があれば、党団体に寄付していただいている方は寄付金控除が受けられるということがありますので、これは何年か前にこういうふうな法律になったと思うんですけれども、党団体のような団体には非常に後押しになっているというふうな見解を持っております。最後に松井参考人にお伺いしたいと思います。松井参考人にお伺いしたいこととしては、やはり国際法専門にされてきて、国際法の起源のようなところの歴史的な転換点、意義についてお伺いできたらと思います。私の理解としては、国際法の父というグロチウスが提唱したと認識をしております。1625年、30年戦争の最中に、戦争と平和の法を出して、1648年ウエストファリア条約ができたと認識をして、これが大きな転換点になったのではないかと思います。改めてこれらに関する意義を長年、共談に立たれた経験もあると思いますので、国民理解を深めていきたいと思いますので、改めてお伝えいただければと思います。大変よく勉強しておられまして感謝いたしました。グロチウスはおっしゃるように国際法学会で一般的にいわゆる国際法の父というふうに評価されておりまして、もちろんグロチウスで初めて始まったとかウエストファリア条約で初めて始まったということでは必ずしもない、それ以前のすでにしもあるわけでありますけれども、一つの時期を隠して国際社会の、先ほど申しました、私の話の中で筋にいたしました、二つの形で戦争を規制するというあり方もグロチウスの戦争と平和の法の中に明確に現れておりますし、一つの現在に至る流れを作ったということでは非常に重要な役割を果たしたというふうに考えております。ただ最近の国際法師の議論では、グロチウスだってオランダ東インド会社の弁護人としてオランダの利益のために働いたという側面もあるという指摘も出ておりまして、あまり神様扱いするのもいかがなものかと思いますけれども、やっぱり歴史的に大きな役割を果たしたことは否定できないというふうに思っております。とりあえずこんなことです。