2:19
国民生活経済及び地方に関する調査会を開会いたします。ご起立いただいてよろしいでしょうか。(市長) 私が言っていいのか。会長だけ。(市長) 議事に先立ち一言申し上げます。この度の令和6年の党反党自治により、甚大な被害をもたらされ、多くの尊いの人命が失われたことは、誠に痛ましい限りでございます。犠牲者のご遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆さんにも心からお見舞い申し上げます。ここに、犠牲となられた方々のご冥福を祈りし、黙祷を捧げたいと存じます。どうぞご起立をお願いします。黙祷を終わります。ご着 席願います。ご着席ください。委員の異動について、ご報告いたします。昨日までに、オチ俊幸君及び木村英子君が委員を辞任され、その補欠として、長谷川秀春君及び天端大輔君が選任されました。参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。国民生活経済及び地方に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取することに、ご異議ございませんか。ご異議ないと認めます。なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、裁を決定いたします。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。国民生活経済及び地方に関する調査のため、今期国会中必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続きについては、これを会長にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、裁を取り計らいます。国民生活経済及び地方に関する調査を議題といたします。本日は、誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築のうち、社会経済、地方及び国民生活に必要な施策に関し、地域経済とコミュニティの活性化について、3名の参考人からご意見をお伺いした後、質疑を行います。ご出席いただいております参考人は、株式会社農林中均総合研究所主事研究員石田和樹君、雪南大学現代社会学部特任教授、神戸大学名誉教授平山陽介君、及び徳島大学院教授田口太郎君でございます。この際、参考人の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はご多忙のところご出席いただき誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を賜りまして、今後の調査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に議事の進め方について申し上げます。まず石田参考人、平山参考人、田口参考人の順に、お一人20分程度でご意見をお述べいただき、その後午後4時頃までを目途に質疑を行いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。また、ご発言の際は挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知おきください。なお、ご発言は着せつきのままで結構です。それでは、まず石田参考人からお願いいたします。ただいまご紹介に預かりました株式会社農林中均…石田参考人、挙手をお願いいたします。すみません。失礼いたしました。
5:58
今ほどご紹介預かりました株式会社農林中均総合研究所の石田と申します。本日はよろしくお願いいたします。着座にてご説明させていただきます。私の方からは産業の担い手確保というタイトルで、特に特定地域づくり事業に着目したご説明をしたいと思います。1枚 お見くりいただきまして、本日お話しする内容を大きく6つにまとめております。1つが私の研究テーマでもある受援力というご説明をまずさせていただいた後に、今回着目する特定地域づくり事業共同組合を巡る状況と移住時に係る成り割というものに係る状況、また多業という最近着目されている考え方を述べた後、特定地域づくり事業を巡る個人的な評価を説明したいと思います。最後6番目は、本事業の事例のご紹介でございます。よろしくお願いいたします。まず受援力の説明という前に、私の簡単な自己紹介したいと思います。私、石田は農業経済学という学問を専門領域としておりまして、特に農地の利用、あるいは地域資源の利用というものに着目してきました。そうしますと下の方に書いてあるんですが、農地関連法制度の研究もしておりますし、今、緑戦略というところで、環境に優しい農業というものは何かというような議論もしております。今回のテーマにつきましては、一番右下の、やはり農業地方の人手不足というような課題に対して、どのようなことがで きるのか、これを仕事づくりというふうにまとめまして、調査研究を行っております。その中で、外国人労働力、かなり農村部にも増えてきておりますので、こういった方たちの働き方、暮らし方についても研究しているということでございます。本日は一番右下の、地方農村部での仕事づくりの特定地域づくり事業協同組合制度との関わりについて述べさせていただきます。こうした考えを持つときに、私の方で考えているのが、5枚目のスライドでまとめております、「受援力」というような考え方になっております。こちらは、もともと災害ボランティアであったり、除雪ボランティアの支援を受け入れる際に、その力を十分発揮してもらうための、受け入れ先に求められる環境や知恵の総称を指す言葉なんですけれども、今、関係人口という、後ほどもご説明させていただくようなトレンドがある中で、地域課題解決と関係人口を結びつけるような発想も、デジタル田園都市の中でもよく見られる表現になっております。こうしたときに、農村側、地域側が何もしなくていいのかというと、決してそんなことはなくて、やはり人を受け止めるために、何らか対応しなければならないだろうというのが私の考えです。この受援力というような発想に基づいて、せっかく来てくれたのに何もすることがないとか、何したらいいかわからないを含むようなミスマッチであったり、来てから思うような自分の夢が実現できないというような課題が発生しないようにするために、どんな取り組みが必要かというものを考えております。参考を下の方に書かせていただきましたけれども、農村部、人が足りない、足りないと言うんですが、実際どのぐらい足りないんですか、どのぐらい雇用できますかというふうに聞いてみますと、意外とわからなかったり、地域全体で何人必要なのかというのは、業界またぐと全くわからないということになっております。もちろんハローワークがあるわけですけれども、そこでも明確化できないという課題もありますので、これを行って、その課題に対して何ができるのか、またその課題に対していかに情報を発信するのかというような、さまざまな取り組みを含めて、受援力向上というふうに名付けておりますので、特定地域づくり協同組合制度も、この流れに沿った一番の取り組み、非常にわかりやすい取り組みだろうということで、私の方も研究を始めたというところでございます。続けて、特定地域づくり事業協同組合をめぐる状況というスライドに進みたいと思います。6枚目以降のご説明になります。まず7枚目でございます。こちらの方は、皆様すでにご存知の内容が多いので、大変恐縮なんですけれども、やはり本制度、あるいは今後の地域づくり、仕事づくりを考える際に、欠かせないのが、東京一極集中というところだと思います。この東京一極集中の進展とその是正に関しましては、地方創生以降、特に着目というものは進んでおりまして、地方創生をはじめ、国土形成計画でも、地方維持を含む田園回帰の考え方というのが、はっきり明記されて、田園回帰元年と呼ばれた経緯もございました。また農村政策におきましても、持続的低密度社会という名称のもと、これを実現するためにどんな農村政策を取るべきかというような議論がなされております。また、22年12月のデジタル田園都市国家構想の中でも、転入転出を均衡にするというような目標が改めて掲示されるとともに、第三次国土形成計画でも、この是正というものが目指されております。ですので、この考え方というのは非常に広まってもおりますし、取り組みもあ るというふうに認識できます。また、それと同時に、右の方で説明しておりますけれども、都市部住民の田園回帰への関心の高まりというのも、近年非常に多く見られるということでございます。赤字で示しておりますけれども、2022年のふるさと回帰支援センターの移住相談件数は、2年連続で過去最多というふうになっておりまして、コロナ禍の影響もちろんあったとは思うんですけれども、それが落ち着いてからも移住というところが考えられております。また、右下に関係人口という言葉を書いておりますけれども、移住よりもさらに広い関わり方の関係人口が注目を集めておりまして、先ほどもご説明したデジタル田園都市国家構想でも、地域の社会課題解決や魅力向上に貢献する存在というふうに見られております。この関係人口というところがどのようなものなのか、まとめたのが8枚目のスライドになっております。8枚目のスライドをご覧いただきますと、関係人口と一口に申しましても様々あるということでございます。一番下は特定の地域と関わりがないと答えた方でありまして、これが関係人口ではない方なんですが、72.9%はこういう方になっております。ただ一 方で今、ふるさと納税で地方との関わりを持つであったりというのもありますので、訪問はしたことないんですが、思い出のある地域があるという関係人口が2.6%、また定期的継続的に関わる地域があって、かつ訪問しているという方も18.4%ございます。こちらの三大都市圏の方へのアンケートなんですけれども、2割ぐらいの方は、何らか第二のふるさとではないですけれども、特定の地域が思い浮かぶというような状況になっております。かつ右の方に応援者というような表現を書いておりますけれども、このように特定の地域が思い浮かぶ方というのは、やはり移住というものも考えている方が多いというのが、今回アンケートの結果から分かったことでございます。応援する地域がある方としての応援者のうち、41.8%が移住したいなというふうに考えているような状況になっておりまして、そのうちすぐに住みたいという方も6.6%存在しております。こうした方は応援できる仕組みというのは非常に大事だと思います。また、地方から都市部に出てきて、私もその一人なんですけれども、今後Uターンしたいなという方がやはり41.3%おりまして、こうした方はいずれ地方で働き、暮らしていくということを希望していると思いますので、こういった方への着目も含めながら施策を考えていくべきだというふうに思っております。続けて9枚目のスライドが、移住時にかかる成り割をめぐる状況についてでございます。今ほど申したとおり、移住地方で暮らすということの関心は非常に高くなっているんですが、10枚目のスライドを見ていただきますとお分かりになるとおり、農村移住へは3つのハードルがあるということをこれまで言われてきました。その3つというのが左に書いてあります「住まい・成り割・コミュニティ」という内容なんですけれども、後ほど先生方からもご紹介がある「住まい・暮らすとこがなかなか見つからない」、「コミュニティ」といってなかなか溶け込むことが難しいというものに並んで、「成り割」という経済的な基盤の確保が難しいということが挙がっております。このうち私の研究領域である成り割が非常に課題があるというふうに言われておりまして、2017年以降のアンケートで一番問題があるというふうに指摘されているところでもございます。簡単に申し上げますと、右上から地方移住を妨げる要因として、5割弱が仕事関連を回答しているというような状況ではありますし、都市部から地方にUターンする方などを中心としていると思うんですが、移住先で専門性をなかなか生かすことができないというような指摘もございます。こちらについては、今ほど転職なき移住ということで、テレワークなども含めた移住のあり方模索されておりますけれども、かつそこで解決できるところもあると思うんですが、やはり専門性を生かす賃金が高い職がないというところも一つ指摘されているところでございます。また、18年の田園回帰に関するアンケートでも、生活が維持できる仕事収入があることが最重視事項であること、また、まちひと仕事創生本部のアンケートでも、移住にあたって不足していた情報は何ですかと聞くとですね、仕事給食の情報ということで、なかなか地域外の方が仕事を見つけるということができにくい状況になっているということがわかります。また、今回新型コロナウイルス感染症の第6回目の調査、昨年度ありましたけれども、こちらについても、地方移住にあたっての懸念が仕事や収入が最多というような状況になっておりまして、ここ5年ですね、ずっと仕事のところが課題になっているということでございます。ただもちろん、11枚目のスライドで見てます通り、これまで仕事に着目した取り組みなどがなかったというわけでは決してございません。そもそも、左上に書いております地方創生が仕事づくりから着手するというような方針を示しておりましたし、農業分野の政策である基本計画においても、地域資源を活用した所得と雇用機会の確保ということで、やはり仕事に着目しております。ただ、なぜこれまでのアンケートで仕事がないないと言い続けられたのかというところを私なりに考えてみますと、11枚目のスライドの右の方にまとめております通り、なかなか働く人のニーズと合致してこなかったんだろうなというところを思っております。大きく理由3つあるんですが、1つは地方創生もはじめとしまして、東京23区から本社機能を地方に移転するという発想が強くみられました。そうしますと、都会で働いてた働き方とは違う働き方をしたいなという方のニーズとは一致しないということになってしまいます。農水省の方でも、企業誘致を図って農村地域工業等導入促進法の改正を行いましたけれども、これもなかなか、もともと住んでいる方が働くというところにも非常にプラスの結果がもたらせていて、移住者の仕事づくりにはなかなかつながってこなかったというところでございます。またもう1つ、農村では移住してくる、都会から地方に来るという人に対して、新規収納してほしいというような思いが非常に強くてですね、新規収納施策ばっかりを用意してしまったというところも1つあると思います。もちろん農業に関心がある方多いんですが、それ以外の方も非常に多くなっておりますので、その人が今後と考えますと、少し手薄だった部分があるというふうに思います。また本日のテーマである3点目は、地域事業者の人手不足への着目が希薄だったということでございます。今、農村部に行きますと、農業者の多くが、人がいない、人手がいないということを多くおっしゃります。ただ一方で移住希望者は仕事がないという話をしますので、かなりミスマッチが起きているということでございます。もちろんこれには後ほどご説明するように理由があるんですけれども、地域事業者の人手不足と、こうやって地方に来てくれる方を結びつけるという発想が、これまで少し弱かったのではないかという中で、今回特定地域づくり事業が大きく寄与しているというところをご説明したいと思います。その前に12枚目のスライドは、多業マルチワークの考え方でございます。まず13枚目のスライドを見ていただきたいんですけれ ども、こちら、多業マルチワークという言葉が最近よく聞かれるようになってきたということをまとめております。これは一つの仕事のみに従事するのではなく、同時に複数の仕事に関わる働き方ということで、所得源が多数あるということも強みでありますし、反応範囲Xというような単語も非常に聞かれるようになってきております。各先生たちも、この多業というものをかつては多く見られたんですが、現代的な復活ができないかということを言うんですが、それをどのようにやるのかというところが、今地域側に求められている課題になっているということでございまして、特定地域づくり事業が一つのヒントになっているということでございます。14枚目、15枚目は参考のスライドですので、お手付きのときに見ていただきたいんですけれども、農村はやはり人手不足とはいえ、年間を通じた仕事が少ないというところが、なかなか移住者の希望とは一致しなかったということを、14枚目のスライドでまとめておりますし、15枚目もですね、一時産業、なかなか転校で仕事があったりなかったりというような特質性を持っていますので、働く人にとって不安定な就労先なんではないかというふうに見られてしまうこともありまし た。それもあってなかなか人が集まらなかったんですが、安定的な仕事づくりというところをすれば、そのギャップが若干埋まるのではないかというような発想も持つことができます。最後の残り時間はですね、私の特定地域づくり事業をめぐる個人的な評価というものを述べさせていただきます。制度については、すでに周知と思いますので、私から詳しくご説明しませんけれども、17枚目に特定地域づくり事業共同組合制度の概要をまとめております。地方改革の土台としての雇用の場が必要という発想のもとを、赤字で示しております、地域の産業力を結集し、年間を通じた仕事として給与水準を確保して、安定した雇用を創出するというような狙いになっております。ポイント3つありまして、1つは本当であれば通年の雇用ができない事業者が組み合わせて、地域の担い手不足に対応するということ。②でも書いておりますけれども、それによって安定した仕事給与水準を確保して、移住希望者を含めて就業機会として提供すること。また3点目が、こうした方が定住していただくというような流れを作る中で、地域づくり人材というふうに制度上は呼んでお りますけれども、そうした方を迎えて地域社会を維持・活性化していくというような狙いになっております。18枚目のスライドが、今回の制度の参考になったというふうに聞いております、「アマチョウ」の事例を掲載されております。参照でございますけれども、春・夏・秋・冬、それぞれ一時的に人手が必要になる仕事を組み合わせて、1年間の仕事を作るというような発想になっておりまして、働く人はこの中からちょっと長く働いてみたいなとか、関心を持った産業に就職していくという、インターンにも近いような発想を持っているという仕組みでございます。19枚目のところが、本制度のこれまでの実績をまとめております。総務省のウェブサイトから掲載しておりますけれども、組合数99組合できておりまして、一時よりかなり増えたなという印象です。コロナ時期とバッティングしてしまって、なかなか話し合いの機会が持てないというような時期があったため、当初の数年間は組合数少なかったんですが、やはり急激に増えているというような状況でございます。また、検討中という市町村も非常に多くなっております。これまでの実績を見ますと、職員年齢が非常に若いという特徴があります。421人を採用しているんですが、6割が20代から30代というふうになっておりますし、移住状況を見ていただくと、派遣職員の7割が地域以外から来ているという方になっております。このうち、市町村内に以前から居住という方も25%ほどいるんですが、これは地域おこし協力隊が終わって、そのまま地域に暮らしたいという人も含まれておりますので、これ自体決して悪いことではなくて、そういう方たちの働く場所にもなっているということでございます。また、退職後の動向をまとめておりますけれども、退職というのも悪い部分ばかりではなくて、組合員の企業に直接雇用されるというような割合も増えております。この企業で働いてみたかったけど、本当に働きたいという思いが確定されたというような意味が含まれていますし、それ以外のところで雇用されたり、自ら起業するという流れにもつながっていて、転居の割合27%あるんですが、逆に申し上げると70%くらいは地域に住み続けるというところにつながっております。この時、私の専門である農業の分野に働く方非常に多くなっておりまして、農業の派遣先70%くらいあります。ですので、農業分野としても本仕組み非常に良いというような印象でございます。最後、印象を手短に述べさせていただきます。特定地域づくりの仕組みができて、マルチワークという働き方に魅力を感じている人非常に多いなという印象があります。また、2点目で書いております通り、この制度が移住決定の決め手となったという方も非常に多くいらっしゃいまして、仕事がないという悩みが解決されると、こんなにじゃあ移住してみようという人がいるんだというところを私自身も実感しております。また、独立就農や企業を考える方も、まず準備期間として組合で働くということもあって、一旦の受け皿というふうな位置づけもあると思います。また続いて22枚目のスライドを見ていただきたいのですが、こちらを見てみますと、地域の事業者にとっては、地域における仕事づくりというものの選択肢の一つとして見られているというような印象もありますし、まず地域に来てみて暮らしてみるという、地域インターン的な発想というものにも寄与しているというふうに思います。非常に良い面ばかり述べてきましたけれども、もちろん対応すべき課題も多くなっております。一つは、仕事の組み合わせと言葉で言うのは非常に簡単なんです が、意外とその調整は難しいということでございますし、2点目に書いております通り、人手不足解決手段としての意義限界があるということでございます。派遣という仕組みを使うんですが、一般の派遣とは違うという認識がないと、低賃金で使える人だというふうな認識になってしまうので、そうではないということをやはり理解しないといけないと思います。また最後23枚目のスライドでございますけれども、組合の運営というものを考えてみると、今交付金非常についておりますけれども、これなしで組合の運営ができそうなところはまだまだ少ないというところでございますし、計画通りにいけばうまくいったんですが、計画通りいってないというところも少なからず存在しているというふうに思います。最後3点目、4点目が今後の課題ですけれども、3点目は組合で働くということ非常にメリットなんですが、ここで働くことに関してノウハウをつけてもらうということが大事だと思います。派遣を通じたキャリアアップというところをどのように実現していくかということなんですが、やはりノウハウがつけばその分賃金もアップできるし、受け入れる事業者にとっても非常に嬉しいということになります。ですのでこの仕 組みでどのようにキャリアをつけていくかということが大事だと思います。最後4点目は、副業規模あるいは反応範囲Xの方は、この特定地域づくり事業になかなか対応しきれないということもありますので、この方たちを地域で受け止めるときにどうしていくかというところは、JAグループ含め地域の対応を別途必要だと思っております。最後24枚目以降は事例の紹介でございましたので、本日は割愛させていただきますけれども、非常に農業分野に特化しているJAの取組中心にまとめております。お時間あるときに見ていただければ幸いです。私からのご報告以上でございました。ありがとうございました。
27:22
ありがとうございました。次に平山参考人にお願いいたします。私の方からは、今ご紹介いただきました平山でございます。私の方からは、空き家と地方再生ということでお話したいと思います。私はずっと住宅問題、住宅政策を勉強、研究を重ねてきたものです。普段は主に大都市がどうなっているかということにどうしても目が行きがちなんですが、今日は空き家と地方再生ということでお話させていただきます。今日お話 しする内容をここに示しておりますとおりで、空き家が今どういう実態になっているかということをお話しした後に、それを地方再生の話に結びつけたいと思います。まず事実認識からですが、日本の住宅問題は、ご承知だと思いますが、とにかく住宅が足りないというところから住宅政策が始まっております。終戦直後、420万戸不足というのが政府の発表の数字でありました。空白で家がなくなってたくさんの方が外地から帰ってくるということで、とにかく家が足りないからたくさん住宅をつくるのだというシステムをつくったというのが戦後の日本であります。ところが、21世紀に入りまして住宅が余るようになってきて、要するに住宅をたくさんつくるというシステムを、とにかくひたすら頑張って頑張って住宅を建ててきて、気がつくとここに書いてありますように空き家数が846万戸、空き家率が13.6%ということになっております。420万戸不足から846万戸余っているというようなことになっておりますので、やはり非常に大規模な変化があったと見るべきだろうと思います。空き家の内訳が重要でございまして、空き家は今空き家が増えて大変だという話が多いわけですが、なかったらないで困るわけですね。誰も引っ越しできなくなりますので、そういう意味では空き家は必要なのですが、その内訳が重要でございまして、賃貸用が半分あって、売却用二次的住宅が少しありますが、問題はここに あります。その他の空き家、41%347万戸でございます。何に使うのかよくわからない、お持ちの方がですね、これ自分でも何に使うのかよくわからずに持っているという空き家が41%347万戸ございます。このその他空き家がやはりこれからどうしていったらいいのかということの焦点になりますが、国交省の推計では2030年には470万戸に増えるだろうということでございます。また、普及破損のある住宅というものを統計から調べますと、日本の全住宅の6.4%に普及破損がございますが、その他の空き家では28.8%やはり傷んでいるものが多いということがわかります。次に空き家の分布を見たものがこれでございますが、空き家率の上位10件並べますとこういう感じになっておりまして、このうち1位の山梨、3位の長野は別層も結構あるので、実態はちょっと本当にこれが全部空き家なのかどうかという点は留保が必要かもしれません。ただ、山梨県さんは空き家が非常に増えて大変であるということを知事ご自身がおっしゃっていたかと思います。この山梨、長野を除きますと、和歌山、徳島、高知、鹿児島、愛媛ということで関西に結構集中しているという印象、特に四国でしょうか、四国全体の空き家率が非常に多いのかなというふうに思います。ただ一方、大都市でも、じゃあ大都市は空き家がないのかと言いますと、そうでもなくて首都 圏の地図をそこに示しておきましたが、やはり首都圏の周辺部の集合住宅に限って、その下の地図でございますが、統計を見ますと、空き家率が25%を超えると、周辺部で集合住宅というと、やっぱり需要が少ないためでございましょうが、25%というと4県に1県が空き家ですので、大都市圏だから空き家問題がないということではございません。それにまた、東京のど真ん中のあたりですね、少し黒くなっておりますが、杉並瀬田谷のあたりでございますが、大きな立派、ぱっと見た目立派な住宅で何の問題もないように見えるんですが、そこにお年寄りが1人で住んでおられたり、お亡くなりになって空き家になっているのが、実は外から見てよくわからない。ただ、申し上げたいことは、大都市の立派な住宅地でもそういう傾向が出てきているということでございます。続きまして、じゃあ空き家がなぜ増えたのかと、やっぱり原因がわからないと対策を打てないわけでございますが、1つ一番重要なのは、住宅の大量建設のシステムを作ったということです。先進国の中で、ついでに日本は近代化したわけですが、欧米の住宅政策に比べまして、日本はやはり住宅をとにかくたくさん作るという体制を作った点で非常に特徴的だったろうと思いますし、それが韓国、中国に移っていたということでございますが、とにかく住宅をたくさん建てる。その理由は、1つは先ほど申しましたように、もともと住宅が非常に足らなかったということ、1973年のオイルショックを契機にしまして、住宅建設が契機対策の柱になったということがございまして、契機が悪くなるたびにひたすら建てるということをやってきたということがございます。それから2点目に、その話の裏返しで非常に重要なことは、既存住宅市場、これかつて中古住宅市場と言っていましたが、言葉の漢字が悪いということで、今既存住宅、既存住宅という言葉を使いますが、既存住宅市場が未発達だということでございます。そのための制度をつくってこなかったという点が重要ですね。それから、これはもう御承知のように人口が減り始めました。人口が減りましても世帯が増えておりますと、住宅は必要なので、大丈夫かなということであったんですが、2020年代、もう今現在ぐらいでしょうか、世帯数自体が減り始めているということで、ますます空き家が増えるだろうと。それから人が都市部へ動くのであれば、空き家が増えるというようなことになります。人がじっとしていれば空き家にならないわけですが、それから後でも触れますが、新しい重要な要因は、住宅の相続が非常に増えていて、相続された住宅が空き家になるというようなメカニズムがだんだんわかってきているということですね。それから空き家対応システムとして、制作制度、ようやく動き出してはおりますけれども、これがまだ始まったところだということであります。こういった複合的な要因で空き家が増えているということでございます。そこに載せておりますグラフは、新築着工の数ですね。高度成長期、とにかくどんどんどんどんどんどん住宅が増えて、オイルショックでガタッと減って、あとデコボコしておりますのは、景気が悪くなると住宅が減って、空き家対策で住宅建設を促進するので、デコボコがあってだんだん減ってはきているというようなグラフでございます。次に空き家の所有の実態、じゃあ空き家は所有の実態どうなっているのか、マクロには空き家がいくらあるかというのはわかるんですけれども、所有の実態を国交省の調査からご紹介しますと、じゃあなぜ空き家をお持ちなのかというと、55%が相続した住宅を空き家にしているということでございます。それから今後どうするかということなんですけれども、空き家のままにしておくという方が28%ございます。これも後で触れるかもしれませんが、いろいろ聞いておりますと、やはり一番お困りなのは片付けられないということのようです。あとでも触れますが、地方の空き家を都会に住んでおられる方が相続するケースで、その地方の住宅をものすごい量の荷物があって、親御さんが ため込んだものをどうするのかということで都合に暮れているということで28%あるということですね。それから賃貸売却できないと、空き家が不要であれば売ったり貸せばいいわけですけれども、特に先ほど申しましたように地方で空き家率が高いわけですが、借りて買い手が少ないというのがやはりお悩みの方が多いということです。空き家にしておく理由は物置として必要というと、本当に必要なようですが、さっき申し上げたように片付けられないという理由が物置として必要だということで6割になっております。それともう一点重要なのが、買いたい費用をかけたくないということで、お金をたくさん使って建物を除去するだけで、なかなかお金がないし、あっても使いにくい用途なのかもしれないと思います。今注目すべきは住宅相続が増えているということがあろうかと思います。住宅相続が増えている要因の一つ目は多死社会ですね。超高齢社会というのは、亡くなる方が非常に増える、毎年160万人強の方がお亡くなりになる多死社会の形成を迎えることになります。相続が増えます。それから親世代が、現在戦後の日本の住宅政策は、持ち家を所有してもらおうという政策を中心にやってきたものですから、かつては、例えば5、60年前ですと、親が亡くなっても親が家を持っていないという方が非常にたくさんおられたわけですが、現在の親世代は持ち家率が8割、9割ございます。なので必ず住宅の相続が発生するということ、それから子世代では兄弟姉妹が少なくなっておりますので、住宅相続を経験される次の世代が非常に多いということですね。住宅相続というものが非常に普及した、普遍化したということが非常に重要。昔はそんな誰でも経験することではなかった。ところが今はほぼ誰でも経験するようなことになってきているということです。それからもう一つ住宅相続で重要なのは、相続というと勘違いで若い人たちに相続されて、若い人たちの役に立つんだよねというイメージがあるとしたらそれは非常に事実と違いまして、今は寿命が伸びておりますので、相続される方がもうすでに高齢者だという場合が多くてですね、住宅の資産というのはものすごい高齢者から次の高齢者に相続をされていて、実は高齢層の中でぐるぐるぐるぐる不動産が回っているだけなんだという点を見逃してはならないかなというふうに思います。それから住宅の相続に関しまして、2017年ちょっと古いですが、これは私がオリジナルで調査をしたものなんですけれども、住宅相続にもいろいろ回想性があるということが重要でございまして、まず相続した住宅に自分で住んでおられるという方は自己居住43%で、付加住宅というのは自分が住んでいる以外に持っている住宅を付加住宅と申しますが、相続住宅を付加住宅にしておられる方が56.3%おられます。そのうち28.8%が空き家になっているということです。ですから相続してもどうしていいかわからないという方がかなりおられるということですね。それから次に所得回送との関係で見ますと、低所得の方が相続しますと自分で住むという方が6割超えるんですが、逆に高所得の方は賃貸住宅として貸しておられるということがわかります。次のこのグラフが重要かなと思うんですが、この左に厳重都道府県厳重都市県云々とありますが、これは相続した方がどこに相続住宅をお持ちかということです。これ非常にグラフが違うんですけれども、現在住んでいる都府県で住宅を相続した方は自分が住んでいたり賃貸住宅で貸したりして何かの役に立っているわけですが、相続した方の住んでいる都市県より遠いところの住宅を相続した方というのは空き家率が43%になるということですね。先ほど触れましたが、都会の方が地方の住宅を相続した場合、空き家等しておく以外にどうしようもないというような辺りを見ておく必要があるのかなと思います。こういった問題に対しまして、新たな制度対応はすでに始まっておりまして、ついこの間できたところでしょうか、相続した土地を使い道にない場合は、国庫に帰属させる制度というのが始まりました。ただ、これも建物を除却して空き地にしなければならないとか、管理費を納めなければならないとか、いろいろハードルはあるというふ うに言われておりまして、この制度がどこまで役に立つかということを見ておく必要があると思いますし、重要なことは地方の方で、こういう空き地、空き家をどういうふうに地方の自治体として活用していくのかという計画を持った上で、こういったものを公共のところに戻していくのかということが重要だろうというふうに思います。それから、相続登記の義務化が始まっております。これも非常に重要なことでございまして、ご承知のように住宅、誰が所有しているのかよくわからないという土地がものすごくたくさんございますが、これは相続登記をされていなかったというのが大きな原因でありまして、これは一歩前進だろうと思います。東北の震災復興のときに私も仕事で行きましたら、もう誰の土地かが全くわからないというところから仕事をしなきゃいけなかったので、非常に大変だったというふうに聞いております。次に、先ほど申しましたように既存住宅市場というものは非常に重要で、住宅が流通する仕組みがないので空き家が増えるという点に注目しておく必要があるだろうというふうに思います。この点で日本ではずっと先ほど申しましたように景気対策として新築住宅を建てるということがやってきまして、新築住宅を建てることが経済に非常に刺激要因になって良いのだという考え方が染み付いていると思うんですけれども、もう既に時代はそれは違うことになっているということについて若干触れたいと思い ます。そこに国際比較の表がございますが、着工個数をご覧いただきますと日本では着工が減っておりましても、A、B、フランス、ドイツに比べてまだまだ住宅建設の個数は多いということが分かります。例えばドイツでは1000人当たり1.9個しか建てていないところ、日本では8.3個建てています。ところが住宅投資額をご覧いただきますと、1000人当たりの投資額は日本は一番低いわけですね。一番たくさん建てているのに住宅投資が一番少なくなっている。これは新築重視の住宅経済が実はもう小さい効果しか生まないんだということです。どうなっているのか、どういうことかと申しますと日本はリフォーム投資、ストックの流通率も格段に低いわけですね。ヨーロッパではもう新築住宅とか非常に少ないわけですけれども、皆さんが常に住宅に投資しておられます。自分の住宅を年から年中修繕しておられるわけですね。なぜかと言いますと既存住宅市場が非常に大きい。自分が住んでいる住宅はいつでも市場に出せるようにしておくと。市場評価を得るために自分の住宅に投資し続けているという経済で、トータルで見ると日本よりも大きな住宅経済になっている。日本は未だに景気対策として住宅ロング減税、重要だとは思うんですけれども、新築住宅を建てることが住宅経済の刺激になるということなんですけれども、そうじゃなくて既存住宅の住宅市場をつくることが経済にもいい効果を、持続可能な大きな経済をつくるし、空き家流通にも役に立つということを指摘したいと思います。住宅の寿命が日本では短いということをよく言われておりますが、これもだんだん改善はしてきていますが、まだ少ない。それから政府もストック重視、既存住宅重視の住宅政策の転換ということで、ここに挙げましたようなことをいろいろやっておられますが、ただ先ほど述べましたように既存住宅の流通量、国際的にはまだまだ非常に低い水準になって、実はそれはなぜなのかということがまだ完全には説明されていないように思います。ここの原因、既存住宅市場がなぜ成長しないのかということの解明をしていかないといけないと思います。ただ一つ若干変化を見せてますのは、若い方々で新築振興を超えるような動きが出てきております。若い方は子建て1個建てよりも都心の集合住宅、新築じゃなくてもリノベーションでいいですよと、大きな住宅じゃなくてコンパクトでいいですよという方が増えているように見えます。なかなか実証的なデータはないのですが、それからかつての大瀬妻、 仏馬座敷というものが、住宅の新しいプランからはだんだん消えているように見えます。ただこれも地方性がございまして、例えば北陸の方に行きますとやはり仏馬は必要だとかいう方はありますけれども、若い方はそこまでこだわっていないかもしれないということですね。それから所得が先行き不透明ということもあって、昭和時代、私の親世代というのは郊外に大きな家を建てて家族をやって子育てをするというのが非常に重要なことだったと思うんですけれども、次の世代は多分違う形で夢を持つのではないか、それがどういったものかということを見ないといけませんし、20世紀後半の一個建て住宅というのは、ものをいっぱいとにかく買い込むということがあって、ものがたくさんあるということがやはり戦争を経験した私の父親の世代なんかには、ものをいろいろため込むというようなことが大事だったように思います。私の家なんかも例えば書物とかレコードとか家がいっぱいなんですけど、今の若い人たちはこれ全部データで持ってますから、大きい家は必要ないかもしれません。それとか昭和時代というのは皆さん百貨辞典をいっぱい必ず揃えたんですけれども、誰も読まないと思うんですけれども、本当に大変な作業で作った百貨辞典、かわいそうだと思うんですけれども、これも今はもうDVD1枚で済む話ですので、やっぱりどういう住宅に住みたいのかということが変わってきているのかもしれない。そこを捕まえて、アキア対策をしていく必要があるだろうと思います。これはURさんが親になった古い団地の修復で、こんな感じで若い方にも来てほしいよねというようなことをやっておられます。アキア対策の構築ということも始まっておりますが、要するに使えない、もうどうしようもないアキアは除却する、使えるものは手を入れて使うということを仕分けして、だからアキア全部が必要だとかアキア全部が不要だということにならない。きちっと仕分けをしていかないといけないわけですね。アキア対策特措法、昨年改正になりまして、アキア活用としてアキア活用促進区域を指定して活用していくということと、管理不全特定アキアを指定して、指導勧告命令、それから大執行までやれるというところに踏み込んでいるということが極めて重要だろうと思います。この点、最後の点で若干付け加えますと、研究者的には非常に興味がありますが、私有財産に公的支援が踏み込まざるを得ない場面が非常に増えていて、これはどういう論拠で可能なのか、理論として成り立つのかどうか、これはなかなか難しい問題です。アキアとか後継年のマンションですね、これが20,30年後大問題になります。それから被災地の住宅再建、これにかつては税金を使うことに非常に抵抗がありました。今はそうでもなくなってきています。やっぱり一歩一歩、なぜ必要なのか、なぜそんなことが私有財産に公的に助けるということがなぜ可能なのかということを、やはり理論というのは回り道ですけれども、そういう論拠がないと政策は進まないので、そこを考えていく必要があるかなと思います。アキア活用としてここに書いてあるようないろいろな事例が出てきてございます。最後時間がちょっとないんですけれども、地方再生について申し上げたいことだけ申し上げますと、地方に対する国の政策の枠組みが分配から自立競争へ変わってきているということですね、一番重要なことは。99年の地方文献一括法人が始まって、そこにズラズラズラ当たるまで、市町村合併があって三密体の改革があって、いろいろあります。地方をどうするかということが重要な課題になっていますが、国が地方を平等に助けるという時代ではなくなってきていて、競争と自立ということになっている。ですので、地方に対する政府支援も困っている自治体をどうするかというよりも、頑張っている自治体を助ける方向に制度設計が変わってきている。これをどう評価するかということが重要かなと思います。補助金にしても、コンペ形式の補助金が増えたと思います。地方移住促進、先ほどのご発表にもありましたが、地方移住を促進するということは国の方針として決まっておりますし、空き家を活用していくといういろんな事例も出てきております。今申し上げましたように、国と地方の関係をどう考えるかというのは非常に重要でございまして、一例としまして、10年前の地方消滅というレポートと書籍があって、これ大変話題になったと思うんですけれども、ここで何が問われたかということなんですけれども、時間があれですが、このレポートの中には、人口という国家の持続可能性、国土利用という国家のための資源配置、グラウンドデザインをどう描くか国家戦略である。要するに国家の問題として論が立てられているわけで、ここで問われたのは国が地方を支えるのか、国を地方が支えているのか、どっちか一方ではないと思いますけれども、そこをどう考えるかということ、それからこのレポートで非常に重要になったのは、20代、30代の女性人口という指標で地方を評価している。ということは、やはり出生率ということで評価している。これはあえて言いますと、国のために生む地方 ということで評価している。かつて地方をどう見るかというと、やはりもうちょっと経済的な指標とか多かったわけですけれども、今国の政策は人口ファクターが非常に大きくなってきているということですね。これをどう評価するのかということですね。それから自治体半数の消滅可能性というのがこのレポートのショッキングな結論だったわけですが、ここでほのめかされたのは、消滅予定の自治体の再生は可能なのか、そこに分配投資するのかということが問われたのだと思います。実際にいくつかの地方では一生懸命地域おこしをやっていたんですけれども、この本でうちの自治体は消えるらしいということが書いてあって、急に元気なくなっちゃったとかで、そういうことがあるわけですね。なので最後に申し上げたいことは、自立競争のレジームということに、この20年変わってきたわけですけれども、少数のグッドプラクティスがあちこちで紹介されているわけですけれども、実のところなかなか衰退が止まらない地方もたくさんございまして、困っている地域を助けるのかどうか、頑張っている地域に目を向けるのか、その辺が国政には問われているように思います。時間は過ぎてしまいました。以上です。ありがとうございました。次に田口参考人にお願いいたします。はい。
51:27
ただいまご紹介いただきました徳島大学の田口と申します。地域づくり住民共同という立場でお話をさせていただきたいと思います。まず自己紹介ですけれども、私のバックグラウンドとしては建築の都市計画の出身で、ただハードではなくてハードソフト両面から市民を中心とした街づくりの研究みたいなことをしたいと思っております。今日は徳島から参っておりますけれども、徳島の小さな、実は私8年前に小さな農村に移住をしまして、今平山先生からあったとおりですね、若い人ではなかったかもしれないんですが、地区90年の古民家をリノベーションして今生活をしていると。11世帯の集落で私より若い人がうちの家族だけというところで生活をしております。この生活をしてみてすごく気づいたことは、それまで都市部からフィールドワークとして地域に入っていって、いろんな研究をしてきて、それを発表してきたんですけれども、やっぱり外から入ると、どうしてもキーパーソンにしか出会えないという問題が実はあって、実際に生活をしてみると、キーパーソンが語る地域づくりの現状と、実際の生活者の普通の人の地域の状況というのに、だいぶ乖離があるなという印象が実はありまして、その辺りをもうちょっと丁寧に見ていかなくてはいけないんじゃないかという問題意識のもとに、結構そのコミュニティの意識みたいなことをすごく大事に、あるいはいろんな国の動きがありますけれども、居住者側の視点でどう見えているかということをすごく大事に、私は普段の研究をやっております。まず、今回私にお声かけいただいたことの一つに、コミュニティの変遷について話をし てほしいということだったんですが、よくコミュニティというと、遅延型コミュニティ、あるいはテーマ型コミュニティ、あるいは欠縁型コミュニティということを言っているんですが、実はかつては遅延型コミュニティというものが地域の中核にあって、全員参加で活動をし、その利益を全員で受容するということが一般的だったのが、最近は結構、町内会に加入するのかしないのか問題というのがあるように、町内会でも価値観の多様化しているので、地域活動を何でしなければいけないんだということを、小裸に叫ぶような人たちが出てきている。そうすると、その人たちは実は地域活動をしてくれている人のおかげで、治安が守られていたり衛生面が守られていたり、いろんな利益があるんですけれども、その利益を享受はしている。これはフリーライドだというような批判が起こってきてしまっているというのは、よくある町内会どうするんだという議論にはよくあるんですけれども、ただ一方で、これを無理やり遅延コミュニティに組み込んでいくというのは、あまり現実的ではな いですし、そこで頑張っている方々って、そんなにフリーライドの人たちに対して目くじらたてで怒っているかというと、そうではなくて、結構自己実現みたいなところで、冷静に判断しているなという気がしておりますし、あるいは最近NPO等いろんな担い手が出てきておりまして、彼らは自分が住んでいない地域の公共的な利益に対してもいろんな活動をしている。ですから、今まで住んでいる人たちが受益者が負担をするべきであり、負担者が受益をするべきであるという議論だったんですが、それが必ずしも言ってこいの関係にはなっていないという現状があるのかなというふうに理解をしています。ですので、これは都市部ではこういうことが多くて、農村部は未だに遅延型だということが多いんですけれども、私、実際農村で暮らしていても、農村でもかなり広がっているという印象です。特に30代、40代ぐらいの若手世帯だと、例えばお祭りには参加しないとか、あるいは私が住んでいる自治体は常備消防がないので、消防団の活動がすごく大事なんですけれども、消防団活動が出てこないとか、そういうようなことがただ起こっております。こうなってくると、やっぱりだからといっても、彼らを強制的に参加させるというわけにはいかないので、このコミュニティがどんどん変わってきて、今、遅延コミュニティを支えているという人たちは、遅延コミュニティを大事にしたいというテーマコミュニティになっているというのが、現実的なところかなというふうに私としては理解しております。ですので、この辺りを今後どう考えるかですね。じゃあテーマコミュニティは良くないのかというと、そうではなくて、人口人の単位でいうと、なかなかいろんな趣味とか考え方が多様化しているときに、やっぱりどうしても地域にいると、自分と同じような考え方を持った人が少ない中で、テーマコミュニティとかSNSが広がったことによって、そういう人たちにとっても居場所がどんどん出来上がってきたという面でいうと、すごく意味があったのかなというふうに思っています。ただ、なんでこれを申し上げたいかというと、先ほど平山先生の議論にもあったとおり、基本的に今日本の地方の政策というのは、いかに人口を確保するかということにものすごく比重が置かれていて、人口減少が地域課題の一丁目一番地だとなっていると。人口を増やせば何でも解決するんだという雰囲気があるんですけれども、実際住んでいる人の中身というのはこれぐらい変化しているにもかかわらず、これおそらく人口が増えればいいというのは、全員参加家とコミュニティというのが前提に立ってしまっていて、これをもう一度考え直さなくてはいけないんじゃないかということが、私の基本的な考え方です。これは、町人仕事創生本部の会議に出ていたときにすごく感じたことなんですけれども、施策と人口の関係ということが全く整理されていないという現状があるかなと思っています。例えば、経済産業施策なんかで人口を捉えるときというのは、証券人口であったり、労働力人口であったり、そういうようなことが中心になっています。ただ、証券人口ということをよく言うんですけれども、今、我々のライフスタイルというのは、どんどんインターネットにシフトしていっているということもあって、特に物販に関しては、証券人口という概念自体が今後成立しえなくなって くるんじゃないかという話もあります。あるいは労働力人口に関しては、これも先ほどの梁先生からも話があったとおり、移住者と地域の仕事というのはマッチしないとか、あるいは、よく若年女性の流出が問題だという話になるんですけれども、これ、他方の言い方も考えると、若年女性のキャリアが相当上がってきている。だから、いいことなんではないかというふうに考えられるんです。ちょうど高度経済成長のときは、若年男性のキャリアがすごく上がって、大学進学率が上がるわけですね。その結果、都市部に出ていって、いわゆるホワイトカラーというような触手についていっていた。今、地方にあるのがどうしてもそういった触手がどうしても少ないということもあるので、なかなかそこに人手が足りないという話になってくる。そこは先ほど石田先生の話にもあったとおり、外国人労働力がかなりそこを支えているという印象がございます。それに対して、地域振興という立場で見たときに、やっぱり担い手をどう確保するか。単純に人が住んでいれば担い手になるかというと、やっぱりそこの人の価値観であったり、あるいは地域の人たちとの信頼関係であったり、そういったこともあるにもかかわらず、やっぱりここに対して十分な考え方というのはできていない。ですから、とにかく例えば今、移住という政策が各地に進められていますけれども、結局人をたくさん集めるということに注力されているわけですね。ただその人がどういうタイプの人なのかによって、地域にとってどういう地域になっていくかってだいぶ変わってきてしまうんですね。この辺りの議論が明らかに欠落してしまっているというのが、今、地方の移住に関してはちょっと問題があるかなというふうに思っていますし、収納という話もあったんですが、これも地域で長らく農業をやられてきた方の農業のやり方と、移住者が好む農業のやり方がちょっと違うということもあって、その辺りの関係性というのがなかなか崩れているということはあります。他方、自治体の皆さんと話していると、やはり地方交付税の算出根拠であったり、最近だと森林環境税の算出根拠としての人口というのはすごく効いてくるという話があって、そのために人口が必要だという気があるんですが、これは私としては研究のためというか、これは単純に税の再分配の問題であったりす るので、あまりここは論じないというスタンスで普段は考えております。じゃあ地域の人たちがどうして衰退感を抱えているかということを簡単に申し上げて、これはよく私が出している図なんですけれども、一番下の曲線というのは人口です。真ん中にある曲線ですね。人口というのは二次曲線的に減っていくんですが、昔は人の数が担い手の数だったんですけれども、今は価値観が多様化することによって、人口より実際の担い手の数は少ないという状況に陥っている。ただ人口が減ると同時に、地域の維持に必要な労力ですね。そういったものが減っているかどうかというと、同じように減ってくれない。かつてはこれは多かったというふうに思っています。例えば田舎に行くと、お祭りの出汁の上で太鼓を叩けるのは長男だけだったとか、抽選で選ばれた子だけだったとか、あるいはいまだに集落作業というと、一世帯一人出てくればいいという話が一般的なんですけれども、おそらくこれも人が割と多かった時代に、分かりやすいフィルタリングの方法であったというふうに解釈できるかなと思っています。ところが今 はこの地域の維持に必要な労力を、実際の担い手の数が下回ってしまっている。どうして地域は存在し得ているかというと、今この少ない人たちが過剰に頑張っているという現実があるかなというふうに思っています。例えば自治会の役員の任期みたいなものがすごく伸びているとか、大きな消防団とか、今の若手の消防団はおそらく対談する目処が立っていないというのが現状だと思います。ほとんどあり地獄状態になってしまっているので、この辺りがすごく衰退感につながっている。こういう状況を見ていると、若い人たちがますます担い手から距離を置くということが起こってしまうので、この辺りをどう解消するかということがすごく大事なポイントかなというふうに思っております。今、自治体がいろんな施策を打っている現実があるんですけれども、地方創生とかで言われている施策というのが、生活者のレベルでいうとほとんど今無関心化しているという状態が起こっています。これ、単純に言うと、いろんなまちづくりの取り組みがあるんですが、これは心理学のマズローの欲求段階と地域の行動動機みたいなものを比較して考えると、上の方が価値創造型の取り組みです。新し いことを、ことおこしをしていこうというもの。下の方が、どっちかというと、今困っていることを穴埋めしていこうということが多いんですけれども、何となく自治体の施策で多いのは、上の取り組みが圧倒的に多いんです。例えば、新しい移住者と一緒にカフェをやろうとか、6次産業化を進めていこうとか、何でこれに対して地域の人たちが無関心になってくるかというと、地域の人たちが困っているのはもっと下の部分なんですね。例えば、移動の問題どうするんだとか、買い物の問題どうするんだとか、この辺りにほとんど手立てが行われずに、上の方の取り組みばかりに今、残念ながら町創生のお金も大半がそっちに流れてしまっている。これは、政策の問題と同時に、マスコミがそっちばっかり報道するという問題も当然あるんですけれども、ただ、これが地域の人たちの、自分たちの生活が良くなる実感と、地方図で行われているいろんな政策のズレみたいなものがあって、無関心化を呼んでいるなという印象がすごくあります。では、地域をどうしていかなくちゃいけないかというときに、私は最近、自治の空白という言葉を多用するようにしているんですけれども、基本的には地 域づくりというのは自治の再生だと思っています。自治というのは、自分たちの地域をどう運営していくかという力ですね。かつては、行政による団体自治と住民による住民活動というのが、両方力を持っていたので、ある程度オーバーラップをして、どっちがやるんだ、両方やっていればいいという話はあったんですけれども、実際は、今どんどん財政が苦しくなってきて、今縮小していると。住民は少々高齢化で縮小していると。今、ここの間に隙間が生まれてしまっているというのを、私は自治の空白と呼んでいます。例えば、かつては、巡宅に行われていたような公共サービスが少しずつ減っているとか、あるいは、道路の草刈りが年3回やっていたものが1回になってしまったとか、こういったようなことによって、景観が少しずつ悪化していて、今の現在があると。ただ、この隙間というのは、今後増えるしかないというのが現状としてあって、住民の皆さんは、この隙間の感覚ですね、この喪失感みたいなものを強く感じていらっしゃると。この隙間が埋まらない限りは、地域は良くならないわけで、いろんな施策は、この隙間をどう埋めるということ に役立っているかどうかというところが、どうしても抜け落ちてしまっているという現状があるかなというふうに思っています。具体的には何なのかというと、そもそもこの全体のパイみたいなものが本当にこれだけ必要かどうか。人口が減っていく中で、これだけのことを今やり続けなきゃいけないのかということも一方で議論する必要があります。例えば、今、農村に行くと、これは多方の区分処遇が行われているということも一因ですけれども、非常に非効率で工作放棄が起こっている。ですので、ここをある程度集約化させて、効率よく自然に返していくというような議論も当然必要ですし、今まであちこちでやってきた祭りごと、地域のいろんな行事みたいなものを少し棚下ろししていくということも一方で必要かなというふうに考えております。それだけで埋まるかというと埋まらない。そこはどうするかというと、ICTの活用というのも一つあるのかなと。例えば、高齢者の見守りみたいなものを、かつては集落で黄色い旗運動と言って、朝起きたら黄色い旗を掲げましょうみたいなことをやってきましたし、それがちょっとデジタル化をしようというと、ポットのスイッチが押されたかどうかということを考えようとい う話がコロナ前はあったんですけれども、いまいち地域に普及していかないというのは、おそらく顔が見えないからということが大きかったと思います。ところがコロナによって、結構地域のおばあさん方にもLINEが普及したという現実があるかなと思っています。こういったテレビ会議システムみたいなものが、末端の居住者にまで普及していくとなってくると、この見守り機能みたいなものは、こういったものを利用していくということも一つあり得るのかなと。高齢者では無理ですよという議論をよく聞くんですけれども、いやいやでも、コンピューターよりタブレットの方が遥かに扱いはしやすくなっているので、こういったことを模索するということも一方で大事なことかなというふうに考えております。先ほどから話題になっている移住者であったり関係人口という話も、これも今の関係人口の議論ということをすごく僕が懸念していることは何かというと、ほとんど都市側の議論として行われていることです。都市側の人たちが自分たちのQOLを高めるために農村とも関わりたいであったり、あるいは農村に観光に行くだけでは物足りないから地域の人たちと交流したいと。ただそれによって交流させられる側の地域の論理というのはほとんど考えられていないわけですね。一方で地域は人手がないかというと人手が足りないわけで、だったら自分たちにとってどういう人たちとつながっていくかということを考えた上で、そこにフィットするような人たちとどのコミュニケーションを取っていくということが必要かなというふうに考えています。幸いに、DIDから農業集落への距離というのを農林業センサスで調べてみると、今9割ぐらいの自治体が1時間以内でDIDに到達できるんですね。例えば私が今11世帯の集落で生活しています。高齢化率でいうと70%ぐらいですけれども、そこから私は今職場までの通勤時間30分です。こういった暮らしがいくらでもできちゃうのが地方の一つのメリットでして、何にもかかわらず自治体という枠をはめた瞬間、人口減少だと、仕事がないという話になるんですけれども、もっとネットワーク型のライフスタイルというか、移動するライフスタイルということを前提に捉えていいんじゃないかということの問題提起を申し上げておきたい。そこで、地域の人たちとの新しい担い手として関係人口ということが盛んに言 われるんですけれども、関係人口というのも今までは都市側の論理じゃなくて地方側の論理でいうと、例えばそこから出ていった子どもたちとか、あるいはそこに住んでみたけれども移住しきれずに出ざるを得なかったような人たちというのは、ある程度信頼関係ができていますので、そういう人たちと継続的に付き合っていく。例えば先ほども話に出た地域保護士協力隊という人たちが地域にいっぱい入っていますけれども、あれも今、定住率というものがすごく評価軸になっています。ただ、定住しなくたって東京に行って地域の宣伝をいっぱいしてくれる人はいっぱいいますし、だから地域に定住しなければ失敗かというとそんなわけではないんですよね。むしろ地域から出ていった転出者の人たちの方が地域との関係づくりが非常に上手だったりしますので、こういった人たちにもっと注目するべきですし、いかに出ていった人たちは関係人口の枠内に留まってもらえるかどうかということが一つ地域が問われていることかなというふうに思っています。こういうことを考えていくと、これは私がネットワーク型自治という言葉で呼んでいるものなんですけれども、今は地域の住民だけでい ろんなことをやっていこうというような考え方から、地域の外に出ていった人とか、地域の外の信頼できるような人たちとどういうネットワークをつくっていくか、これはよく関係人口論で言われるんですが、この関係人口の一つ大きなポイントというのは、誰でもいいというわけではなくて、ここに実は関係人口の語源としては、かつて交流人口という言葉があり、もうちょっと根っこで言うと、1988年に磯村英一さんが、新宅市民という言い方をしているんですね。ここで新宅という言葉がすごく大事だと思っていまして、この新地で宅するというような関係性のネットワークというものを、地域がどれだけ持てるかどうかということが今後問われているのではないかというふうに私は考えております。こういうことをやりながら、ネットワーク自治というものをどう高めていくか、つくっていくかというのは、これから地域に課せられていること。だからどうしても地方創生で自立というと、立つという字が使われているんですけれども、今独立的な地域づくりというのは現実的ではなくて、地域の中が周りの人たちをいかにコントロールしながら、だから立するという字を使うべきで、そちらのような地域づくりをどう進めていくかということが必要かなというふうに思っています。その上で、地域において何が必要なのか、ただ人が集めればいい。先ほど受援力というお話を石田先生がしてくださいましたけれども、地域の自治をするだけに、企画機能と実行機能という2つで自治力が規定できるかなというふうに考えていまして、実行機能というのは今、大学連携とか関係人口とかいろんな動きがあるので、何とかなる気がするんですけれども、圧倒的に今落ちているものは企画機能です。自分たちの地域で今何が問題で、どういうことを考えなきゃいけないのかというような、企画機能が自治体のレベルからして非常に低下してしまっている。そこに先ほど平野先生があったように、頑張っている自治体にしかお金がいかないという状況があると、どんどん考える力格差みたいなものが地域の中で広がってしまっているという現実が、非常にあるのかなというふうに思っています。その上で申し上げたいことが、 実際地域に入ってみると、地域に入って新しい街づくりの例というと、すごく美しいストーリーが語られるんですけれども、これはあくまで地域の中の上積み的な前向きの人たちのストーリーであると。その裏側に9割5分くらいの無関心であったり、普通の人たちの物語があるにもかかわらず、今いろんな施策というのはトップ層に対する支援施策に注力されているんです。ただ、おそらく地域を盛り上げていこうということを考えると、上を引き上げるというよりも下を仕上げるということの方が、必要なんじゃないかということをぜひ申し上げておきたい。その部分が、もっというと上を引き上げるというのは、公共としては支援するというよりも規制緩和をしてあげるといって、費やされをしてあげた方がよかったかもしれない。にもかかわらず、下の方というのは今ほとんど手落ちになっていて、目が向けられていないという現実があります。やはりそこのところを盛り上げないといけないと、地域は最終的に上がっていけないんじゃないかというふう に私は考えております。実際、昨年が2027年で、来年が2027年です。今年というのは、段階世代が後期高齢者に入ってくるので、今まで集落は粘り強いと言われてきたんですけれども、この集落がいよいよ維持がかなり困難になってくる。ところが、ほとんど今までこの集落対策というのが、考える対策みたいなことが行われてこなかったので、気がつけばもう手遅れという集落がこれから続出してくるんですね。これは非常に不幸なことだと思っておりまして、何をするべきかというと、やはり地域の状況に応じて、今何をしなきゃいけないかということを、自治体が集落単位で考えていくということが必要ですし、少なくとも全ての集落に、自分たちの集落の今後のことを考えて、その方向性を考える機会の提供というのは必要なんじゃないかということは、最後に申し上げておきたいと思います。例えば、これは私が今一生懸命、かちこくしてやっていることなんですけれども、単純に集落の年齢構成の現在と10年後を比較してみるだけで、10年後の戦力がどれだけ低下するかということを、簡単に視覚化することができます。これをやったところは結構問題意識を持って、自分たちの生活がどう変わるかということをイメージできますので、そこに対策を打てるんですけれども、こういう機会すらなく、気がついたらもう全て自利品になってしまったという地域が、いっぱい出てきてしまっているという現状がありますので、ぜひこのあたりは施策として、ぜひ応援していただきたいなというふうに思っております。最後ですけれども、今地域づくりというものが、どうしても攻めのキラキラした施策に非常に偏っているところがあって、今一度福祉的な守りということを、ぜひ大事にしていただきたい。もう一つは主体的に考える機会ということがすごく減っていて、今国が一生懸命いろんな支援制度を用意してくれているがために、地方はそれに乗っかるばかりになってしまっているような傾向があって、自分たちにとって何が必要で何が不必要であるかということを考えるということを、今ちょっと失いつつあるということが、これはなかなか人材が不足していて考えているだけの、人的な余裕がないということも実際あるんですけれども、これも踏まえてぜひ考えていただけると、地域の主体的な戦略というのが作れていくんじゃないかなというふうに思っている次第です。以上で私の発表を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。ありがとうございました。以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑を行います。本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。まず各会派は1名ずつ指名させていただき、一旬後は会派に関わらず御発言いただけるよう、整理してまいりたいと思います。発言は着席のままで結構でございます。また、質疑者にはその都度答弁者を明示していただくようにお願いいたします。なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間が一旬目はお一人15分以内となるように、御協力をお願いいたします。これより一旬目の質疑を行います。質疑のある方は挙手をお願います。
1:13:36
着座でよろしいですか。はい。はい、すみません。自由民主党出動家権選出の若林洋平でございます。まずもちまして石田様、平山様、拓司様におかれましては、大変ご多忙の中、我々のために貴重なご意見をいただきましたこと、改めて深く感謝申し上げます。本当にありがとうございます。また、福山会長をはじめ、理事の皆様、調査会の皆様、貴重な質問の機会をいただきましたこと、本当にありがとうございます。はじめに、改めて年明け早々に起きました野田半島地震によりお亡くなりになった方々とそのご家族様に心より哀悼の意を表します。また、被災された全ての方々にお見舞い申し上げますとともに、発災以来、連日復旧・復興に尽力いただいている全ての皆様に深く感謝と敬意を表するところでございます。一日も早い復旧・復興を願い、我々も引き続き尽力していくところでもございますが、何といっても国が一体となって被災地を支援していかなければいけないというのがいうまでもございません。そのためにも、今日、先生方からお話をいただいた内容というのは非常に大きいというのは、全国各地域の地域経済を盛り上げて支えていくことがやはり大切だということは、私はそういうふうに思っております。私自身、富士山のふもと、御殿場市の市長を13年ほど務めさせていただきましたけれども、常々考えていたのは、大企業はもとより、中小企業がうるおってこそ、本当の日本経済の強さである、それが構築されるものであるというふうに考えて、市の発展に励んでおりました。言い換えれば、各市町の発展の結集こそが県の発展につながり、県の力につながり、その県の発展力の結集こそが真の日本の強さにつながる、そう信じて、その理念を持って、各自治体の代弁者ということを自負して、今、参議院としてこの場に立たせていただいていると ころでございます。地域経済を盛り上げるためにも、特に一時産業だと思うんですけれども、中小企業の賃上げはもとより、どの業種においても、人材不足というのは喫緊の課題で、特に地方における人材不足の解消というのは、本当に真っ只なしの状況ではないのかなというふうには感じているところでございます。最初に石田参考人にお聞きしたいんですけれども、私、市長をやっていたときに、大学生はもとより一般の方の再就職希望者、市民でですね。特に大学に行く前の高校生、狙いは何かというと、結局意外と地元の高校生というか、地元の人って、企業の看板は見てても、どういう仕事をしているとか、どういう業種があって、どれだけ人が、先ほど参考人の方がおっしゃっていましたけれども、具体的に何人足りなくて何人というのはあまり分かっていない。特に、ましてや就職をしたい側も分かっていないという中において、しかも本当は高校から大学に行ったときに都会に行ってしまうのは仕方がないとは思うんですけれども、本来は帰ってきてもらいたいわけですよね。