1:20
ただいまから、外交安全保障に関する調査会を開会いたします。委員の異動について、ご報告いたします。昨日までに、斉藤健一郎君及び長谷川英原君が委員を辞任され、その補欠として濱田聡君及び落井俊之君が選任されました。理事の補欠選任についてお分かりいたします。委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。理事の選任につきましては、選例により会長の氏名にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認めます。それでは、理事に落井俊之君を氏名いたします。参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。外交安全保障に関する調査のため、今期国会中必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認めます。なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、差を決定いたします。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。外交安全保障に関する調査のため、今期国会中必要に応じ、政府参考人の出席を求めることとし、その手続きにつきましては、これを会長にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、差を取り図られます。外交安全保障に関する調査を議題といたします。本日は、21世紀の戦争と平和と解決力、国際秩序、新国際秩序構築のうち、ローズ、自立型、知識兵器システムに関する国際的なルールづくり及び、対人自来禁止条約の履行確保に関わる取組と課題について、3名の参考人からご意見をお伺いした後、質疑を行います。ご出席いただいております参考人は、前軍宿会議日本政府代表部特命全権大使小笠原一郎君、京都産業大学法学部客員教授世界問題研究所所長岩本誠吾君、及び、自来廃絶日本キャンペーン代表理事清水俊博君でございます。この際参考人の 皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はご対応のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を受けたまいりまして、今後調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
4:41
次に議事の進め方について申し上げます。まず小笠原参考人、岩本参考人、清水参考人の順にお一人、20分程度でご意見をお述べいただき、その後午後4時頃までをめどに質疑を行いますので、ご協力よろしくお願いいたします。また、ご発言の際は挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知おきください。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それではまず小笠原参考人からお願いいたします。
5:31
どうもありがと うございます。ただいまご紹介に預かりました小笠原一郎でございます。このような機会を与えていて大変光栄に存じます。私、昨年12月に外務省を40年間退官いたしました。外務省を放職中は、参議院の先生方に本当にご指導、ご弁撃いただきまして、特に私、そのうち2年間は参議院を担当する国会担当の参事官、審議官という役割を演じておりましたので、その機会を含めまして大変なお世話になっておりました。この場を借りて熱く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。私、昨年退官するまで4年ほどジュネーブにございます。軍宿会議日本政府代表部の特命宣言大使を務んでおりまして、今回の議題である2つのテーマ、自立型自治兵器システムに関わる議論、対人自来、禁止条約に関わる議論、これに関する国際会議に参加をして、日本政府を代表して活動してまいりました。今日は特にその期間の出来事、昨年末までの最新の出来事を含めて、皆様にご説明をさせていただきたいと思います。まず、お手元に資料を配っております。前半が自立型自治兵器システムに関するものでござい まして、後半に自来に関する資料をお用意しております。この資料に入る前に一言、どのような国際環境の下で、我々の議論が行われていたかということを一言申し上げたいと思います。特に、このローズなかなか、知事として合意ケースが進まないということで、いろいろ批判をされておりますが、非常に大国間の対立競争が前面に出る国際環境の中で、国際約束を形成する、国際合意を形成するということが非常に難しくなっている、そういった環境の中で、ローズに関する議論は永遠と進められてきておりました。私は個人的には、その中でも、特に私どもやっております議論は、全界一致で決定を行わなければなりませんので、全ての人が同意してくれる、逆に言うと、全ての国が拒否権を持っているという中で議論を進めてまいりましたので、一定の成果を生んだのではないかと思っております。他方、対人地雷の方は、そのような大国間の競争、対立というものから、比較的自由な状況に置かれております。この対人地雷禁止条約ができた経緯から申し上げましても、冷戦が終わって、対立の時代が終わって、その後20年間ほど、国際協調の時代、特に西側の勝利によって終わった冷戦の後の、20年間の協力の時代、そういった背景の中から出てきたものだと考えております。今現在も、この対人地雷に関する条約の方も、全界一致で意思決定をしておりますが、実は主要な大国が加盟国に含まれておりません。中国、ロシア、アメリカ、インド、パキスタン、イスラエル、そういった国々はいずれも、この対人地雷禁止条約には含まれていないということで、合意形成が比較的容易な分野でございます。そういった大きな違いがある2つの条約対交渉対でございますが、まず資料に沿って、自立型自治兵器システムに関わる議論の現状と、私どもローズと呼んでおりますので、ちょっと名号がございますので、この場ではローズと呼ばせていただきたいと思います。最初は経緯でございますけれども、人間の関与なしに自立的に攻撃目標を設定する、完全自立兵器のキラーロボット、こういったものの危険性というものが、Human Rights Watch等のNGOから指摘がございました。そういった国際社会における問題意識の高まりを受けて、特定通常兵器使用禁止制限条約という枠組み条約がございまして、その下で2014年から非公式会合が行われ、2017年から政府専門家の会合が行われるということになっております。このCCWの考え方というのは、国際人道法の原則を個別の兵器に適用していくという考え方でございまして、国際人道法の主体ある原則というのは、一つは無差別な効果ですね。文民に対しても被害を及ぼすような形での外敵効を選めようと。もう一つが、過剰な障害、同じ軍事目的を達成できるのであれば、人道的なコストのより少ない方法を選ぶべきではないかと、そういった観点から議論を続けておりまして、これまでに5つの議定書が、それぞれ個別の兵器についての禁止制限の国際約束を結んでおります。従って、経緯から申しますと、第6の議定書になることが、念頭において議論を続けているということではないかと思います。特にこの議論を行っている中で、この自立型兵器というものは、実際に実践で使用されるケースが増えてきております。最初、名残のカラバルフ紛争における使用というものが注目されましたが、今やオクラナ戦争においては、自立性の多化はいろいろ異なっていると思いますが、ドローンの対応というものが一つの特徴になっておりまして、まさに今後のゲームチェンジャーとしての大きな位置づけを持っているのではないかと思います。この10年ほど議論を続けまして、一体何が決定されたのかということですが、最初のページの一番下に飛んでいただきますが、2019年に11の指針というものが決定されまして、これはお配りした資料の後ろの方にくっつけてございますけれども、その中でも特に国際人道法が老児にも適用されること、人間の責任が確保されなければならないことといったことが合意されました。昨年、またさらに審判がございまして、まず国際人道法の遵守の観点からの禁止規制の考え方等について記載した老児の報告書が採択されております。この考え方というのは、本来的に国際人道法を守れないような老児は使っちゃいけないということです。これは考えてみると、本来ダメなものはダメと言っているだけで、一種トートロジーではないかという意見もあろうかと思いますが、国際人道法がしっかり適用される、両立できないものは禁止されるということで一定の合意ができたということは、一つの成果ではないかと思います。さらに、同じ昨年の政府専門家会合の報告書におきまして、どういう点で国際人道法と老児が定職する可能性が高いのかということについての合意ができてきております。それは、外的行為を及ぼす対象である標的、標的の選択を機会に委ねるということは、国際人道法との関係で非常に機微な問題を生じるのではないかということがこの報告の中に、一致した認識として示されているということでございます。2本は、その次のページをめくっていただきます。この議論の当初から、基本的な考え方をいたしまして、人間の関与が及ばない、完全自立型の知識性を有する兵器は開発する意図はないということを鮮明しております。この完全自立型の知識性を有する兵器、これは自分のところでやるつもりはございませんよということはほとんど 全ての国が言っているところでございます。ただ、それをどのように定義していくのかといったようなところが非常に難しい問題になっている。それから、この10年間の議論の中でも、具体的な取組としまして、アメリカ等と協商していくつかの作業文書を提案しております。最後には、この2枚目の資料の一番下でございますけれども、国際人道法基礎とした禁止と制限の方法に関わる自立型兵器システムに関する条項案というものを提示しておりまして、かなり成果物に近い内容のものを我々は提示するということを行ってきております。昨年の報告の中での採択、国際人道法に遵守するような形で使えないようなロースは禁止しようすべきではないという考え方も、私たちのこの条項案というものの中にも含まれております。今どのような形で国際議論がいろいろ分かれているかと申しますと、その次のページをめぐっていただきますと、そこに矢印でポンチを置かせていただいております。これ今議論の規制推進派と規制伸長派というふうに大きく分けることができるかと思いますが、首都市で成果文書が法的に効率力のある文書とすべきか、法的に効率力のある文書は施行しないかというところが一つの分か れ目となっております。これは簡単に申し上げますと、ロースに関する技術を持っている国々は国際的な規制を受けるということに対して非常に慎重。技術を持っていない国々はむしろ国際的な規制によって自分たちがそういった兵器の犠牲となることを避けたいというふうに思っているということで、大体このベクトルは分かれているのではないかと思います。伸長派の一番最右翼にはロシア、あるいはインド、イスラエルという国々がおられます。その後ぐらいにアメリカですとか日本ですとか、この6カ国はまとめて合同の提案を出しております。こういった国々が続いてまいります。他方ですね、非常に国際的な規制に推進しようという国々を見ていただくとよくわかると思うんですが、例えばインドに対するパキスタン、あるいはイスラエルに対するパレスチナといった関係で、隣国に自国の脅威となるような国々がローズに関する技術を持っているということで非常に懸念を持っているという国々が、規制の推進派の最右翼になっているというふうに私は感じております。次に、ちょっと紙を離れて申し上げますが、なかなか議論が進捗しない理由としてはいくつかあると思います。一つは、今私どもがや っております議論というのは、かなり軍備管理条約に近いような、仕様のみならず開発ですとか設計ですとか、そういったものにも踏み込んだ議論をしておりますけれども、安全保障に直結してくる、そういった領域で議論する上では、お互いに正直者がバカを見ないような、自分が正直者になって相手に裏をかかれるということを非常に懸念しますので、やはり国際的な規制に自分が服することで、自分の安全保障上の立場が弱まるということで、やはり強く懸念していると。先ほど申し上げました国際的に対立の風潮が強まっておりますので、そういった信頼のレベルが低い中で、なかなかそういった安全保障に直結する分野での合意は形成しにくいと、これがやはり一番の基本だと思います。二つ目の難しさとして、このROSEというのはまだ完全自立型の兵器というものは存在しないと、特にこの議論が始まった当初はかなり距離は、実現までの距離は遠かったと思います。したがって、存在しない兵器について議論するということの難しさ、特に実践でどういうふうに使われるかということの見地がない中で議論しなければなりませんので、それをどういうふうに規制していくのかということについても非常に困難があったのではないかと思います。第四番目に、この分野は非常に技術進歩が早いことで、私も感じるのですが、この10年前にROSEの議論をここで始めたときには、多分、生成AIといったようなものが、これだけ広く使われるという状況には想定していなかったのではないかと思われます。したがって、私はこの議論に参加していて、一定の成果、一定の広いコンセンサスの動機が広げてきたとは思うのですが、今の技術進歩に果たして、これまでの蓄積の延長線上で議論をしていて、意味のある成果ができるのかということは若干懸念されるところでございます。また、そういった懸念は広く共有されておりまして、このROSEの枠を越えて、特定通常兵器使用禁止制限条約の領域を越えて、今、いろいろ議論をしようという試みも行われております。とりあえず、今のがROSEに関する説明でございます。次に、対人自来に関しての説明でございますが、時間もございませんので、簡単に申し上げますと、対人自来禁止条約というのは、通常兵器の分野で、日本はこれまでも非常に成果を上げてきた分野でございます。日本は、この対人自来禁止条約、 小田和条約というものでございますが、また、この対人自来禁止条約も非常に大きな成果を上げてきまして、この枠組みの中で、ここに書いてございますように、多くの対人自来が廃棄され、また多くの大変広範な領域にわたって、対人自来の汚染から解放されるということが進んでおります。特に私が申し上げたいのは、四ポツの我が国の取り組みのところでございますが、2025年の対人自来禁止条約、小田和条約の第22回の提案国会議、この議長を私の公認の軍宿代表部大使である市川智子さんが務めるということで、既に去年の昨年の11月の段階で選出をされております。今年は5年に1回の運用検討会議の年でございまして、この運用検討会議はカンボジアが行うということになっております。昨年2023年の提案国会議の議長はドイツが務めているということで、この選出にあたっては私が参加しておりましたけれども、ドイツ、カンボジア、そして日本という3社がしっかりスクラムを組んで、この対人自来禁止条約のより良い履行に努めていこうということで一致をしているところでございます。特にカンボジアというのは、日本の対人自来禁止条約の取り組みにおいて非常に重要な部隊となってきております。カンボジアに関しましては、紛争を停止する政治的なプロセスに日本が深く関与いたしまして、その後の紛争を停止後の平和構築、この中で非常に重要な役割を演じた自来の廃棄、自来の除去というところに、日本は非常に官民を挙げて大きな取り組みをしております。その中では、例えば10期の小松が新しい面で対人自来を除去するような技術を開発してくれるとか、そういったことも行われております。また、今日本は非常にODAの分野で対人自来に関して進めておりますことに、3国間協力というのがございます。これは日本とカンボジア、そこで作り上げたこれまでの知見とか実績を、第3国にも共有していきたいということで、アンゴラデスとか、あるいは今はウクライナ、そういった国々に、第3国間の協力を進めるということをしておりまして、まさにこの日本とカンボジアで培ってきた自来取り組みのモデル、これをですね、社会的に広げていく。そういう非常に大きな良い機会になるのではないかと思っております。議長になると非常に忙しくなりますので、私は本来自分でやるべきだったのではないかと思いますが、後任が心よく受けている、非常に一気に感じてくれていることを非常に嬉しく思っております。とりあえず私の方からは以上で冒頭のご説明に返させていただきたいと思います。
22:27
ありがとうございました。では次に岩本参考人にお願いいたします。岩本参考人。
22:35
はい。京都産業大学の岩本でございます。国際法の中でも国際人道法、従来の戦争法、戦時国際法を専攻しております。本日はローズに関する意見陳述の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。最後に対人事案についても一言付け加えさせていただきます。大使とのお話と被る部分もあろうかと思いますが、国際人道法の観点からお手元の資料に基づきまして報告させていただきます。近年、人工知能AIの研究開発は急速に進み、2040年から50年の間に、人間と同等の汎用型人工知能、AGIが開発され、その30年後には人間を凌駕するほどの超知能、スーパーインテリジェンスが出現すると言われております。最近では10年前倒しとなっているとの研究者の発言もございます。AIは当然民生用だけでなく軍事用にも活用されます。もっともAIの軍事利用の自律性すべてが国際法的に問題となるわけではなく、問題となりますのは、兵器自体が標的を選定し追尾し攻撃するという、戦闘用の完全自律型兵器です。兵器に関する国際法は、武力紛争時の兵器使用の使用禁止に関する国際人道法と、兵事に兵器の廃棄削減、開発生産保有などの禁止に関する軍縮法があります。国際人道法には、兵器自体に関する兵器法、例えば不一致な屈辱を与える兵器、無差別的な性格を有する兵器、環境を破壊する兵器を禁止する法原則があります。また、兵器は合法でもその使用によって違法行為となる標的化法、そこには区別、非例、予防の法原則があります。お手元の資料の3ページの図1、2にありますように、無人兵器の中でも遠隔操作型の兵器や、起動後に中止することができる反自律監視型兵器は、人間の判断が介入するので、従来の兵器と同様に合法兵器となります。他方、人間の判断関与、制御なく機械が判断して攻撃する完全自律型兵器、このように、ローズは兵器法及び標的化法に違反するので禁止すべきではないかと、ジュネイブにおいて、2014年以降、CCW定約会議の枠内で、その規制について議論されてきました。しかし、この10年間、ローズに関する指針原則以外に具体的な成果がなく、今日に至っております。その主な原因として5つ考えられます。第一に、10カ国ほどのAI兵器開発国とそれ以外の非開発国の対立です。図にありますように、兵器開発国は法規制に消極的であり、非開発国は法規制に積極的となります。消極派の中にも追加的な法規制が不要と考える国と、まずは政治宣言や行動遵則といった非法的な文書を作成しようとする国に区分されます。積極派も兵器使用の人道法条約派と、兵器の研究開発を禁止しようとする軍縮条約派に分かれます。第二に、非開発国は機械が区別原則や比例原則を適用できないから違法だと主張しますが、開発国は状況により、例えば海域では、区別原則や比例原則の適用は可能であると反論します。第三に、自立型兵器の危険性から、人間の制御、ヒューマンコントロールや人間の関与の必要性は合意されていますが、その場面について意見対立があります。研究開発、生産配備、 訓練、戦場への投入、そして兵器の起動までのそれぞれの段階で人間の制御が働いているので十分であるとする考えと、兵器の起動後も誤作動や機能不全から意図しない行動や結果をもたらす場合には、修正や中止させるために起動後も介入できなければならないとする考えが対立しております。第四に、議論の中で国際人道法と軍縮法の混乱・混同があります。CCWはあくまで通常兵器の使用禁止制限の国際人道法の枠の条約にもかかわらず、そこに兵器の開発、製造、配備の禁止といった軍縮法を盛り込もうとするから議論がまとまらないということになります。第五にCCWの手続き規則はコンセンサス方式で、軍事大国も小国も同意が必要となります。そのため、成果物は望ましいことと可能なことの妥協となりますが、軍事大国が参加することで、100%は満足はないとしても、軍事大国も法的に拘束されることになります。今後のローズ規制の議論に対する教訓となる事例として、対人地雷規制とクラスター弾規制が挙げられます。対人地雷は、地雷使用の緩やかな法規制の1980年CCW第二議定書、それと厳しい法規制となった1996年の改正地雷議定書は、使用の禁止制限に関する人道法の枠内で合意 されました。しかしCCW枠内は、前述したようにコンセンサス方式の手続き規則のために、完全禁止という100%の要求は実現できず、CC枠外の有刺連合方式で完全に対人地雷を全敗するために、1997年の対人地雷禁止条約という軍縮条約が策定されました。このようにホップ・ステップ・ジャンプ方式で、2つの人道法条約の後に1つの軍縮条約が成立しました。軍事大国は今でも対人地雷禁止条約に加入していませんが、厳しい法規制の改正地雷議定書という法的受け皿があるために、それには加入しており、一定の法規制が軍事大国にも働いています。他方、クラスター弾規制も当初CCW枠内で議論されていましたが、CCW枠内での合意、すなわち人道法条約の成立を待たずに、途中でCC枠外の有刺連合方式でクラスター弾条約という軍縮条約が採択されました。クラスター弾条約に加入しない軍事大国は、法的受け皿となる国際人道法条約がないために、慣習法の国際原則を除き、無法状態のまま放置される結果となりました。目的はあくまで軍事大国の法規制であっ て、軍縮条約は非常に重要な条約であり、未加入の軍事大国に汚名化、スティグマタイゼーションの政治的効果はありますが、しかし、軍事大国が加入しなければ、その国には法規制が及びません。ローズ規制も最終的には軍縮条約が望ましいとしても、まずは軍事大国の法的受け皿を準備することが最重要課題であると思います。ましてや現在は、人道法条約か軍縮条約かという法文書、いわゆる条約、これはハードローとよく言われますが、ハードローの議論に至る前の段階の政治宣言やベストプラクティス、行動遵則といった非法的文書、いわゆるソフトローの議論ですら、コンセンサスが成立していない状況です。このような閉塞的な状況の中で、昨年は大きな動きが見られました。それは、CC枠内での議論だけでなく、国連総会という別の議論すれば、プラットフォームが新たに追加されたということです。昨年の国連総会で、今年9月までにローズに関する各国の見解をまとめた報告書を、事務総長に提出するよう要請するとともに、ローズを本年度の国連総会の暫定議題として決定しました。今後、CCWが何も成果を上げなければ、多数派のAI非開発国により、核兵器禁止条約を成立させたようなプロセス、委任事項マンレートとしてローズに関する条約交渉を進める総会決議を多数決で採択することも考えられます。この別のプラットフォームの存在意義を問うという意味で、CCWに大きな刺激となります。昨年のもう一つの変化は、ローズというAI兵器規制だけの議論ではなく、AIの軍事利用の国際会議2月の軍事領域での責任あるAIサミット、それに関連する米国提案のAI自立性の責任ある軍事利用政治宣言が公表されました。AIの軍事利用は、迅速な状況認識や脅威評価、被害評価など、様々なところの一種決定支援システムで既に実施されています。AIの軍事利用に関するベストプラクティスや行動迅速などのソフトローの策定が進んでおります。さらにローズ議論は、2013年、14年からですが、AI規制の議論は資料の20ページ、この水色の20ページの表にありますように、2019年から急速に進化してきました。特に2022年11月末のチャットGPTのような、生成AIが出現してから昨年の広島プロセスといったように、国際会議や各国において急速にAI規制が喫緊の課題となっております。このレジュメの図5のように、AIの民間利用や軍事利用の法規制がローズ規制と同時並行して議論されており、ローズ規制の議論もそれらの動きに大いに影響を受けております。AIの全体的な規制動向や、AIの軍事利用のベストプラクティスに共通した合意事項、例えば人間中心主義、人的制御、リスクベースアプローチ、意図せざる結果の検知・回避機能や、機能不全時の不活性化機能などの安全装置を参考に、ローズ規制のあり方を考えることができます。国連事務総長は、たびたび2026年までに、ローズの禁止制限に関する法文書作成を強く要求しております。CCW提案国会議も、政府専門家会議に5年ごとに開催される2026年の再検討会議に何らかの報告書を提出するように要請しております。この2024年、25年、26年の3年間の間に、CC枠内で何らかの成果を挙げなければ議論の中心が、国連総会に移り、軍事大国を巻き込まない軍事条約の議論になる可能性があります。そのために、人間の関与が及ばない完全自律型知識兵器を開発する意図がないと表明している日本は、CC枠内で重要な役割を果たすことができます。日本の役割として6点挙げました。第一の点はCCWの議論の整理です。21年頃から、ROSEの知識性リーサルを外してAWS、自律兵器システムが議論されるようになりましたが、対人殺傷用の自律型兵器を規制するのか、大仏破壊用の自律型兵器までも規制しようとするのか、区別して議論をする必要があります。対人用と大仏用では、区別原則や比例原則の適用において、法的義務の差が存在すると思われます。それと人道法と軍事庫法を区別して、あくまで軍事大国も同意する人道法の枠内、兵器使用の禁止制限で議論する必要があります。第二点は、例えば包括的AI規制動向の中のリスクベースアプローチは、ローズ議論での人道法違反の自律兵器の禁止と、それ以外の合法的な自律兵器の規制という二層アプローチに通じるものであり、包 括的なAI規制やAIの軍事利用規制の動向を参考にする必要があります。第三点は、中国もロシアもAI規制では人的制御に賛成であり、ローズ規制においても、駐郎を含む、まずは政治宣言行動遵則といったソフトローの合意形成に注力すべきであると思います。第四点は、CCW枠内でのコンセンサス形成の努力が必要であり、生化物なく途中でCCW枠外の有刺連合方式、今回それは国連総会の場になるかもしれませんが、それを回避すべきだと思います。第五点は、ソフトローからハードローへ、それもまずは人道法条約を、その成立後に軍宿法へと議論を進めるべきであります。あくまで法規制レベルが低く甘いとしても、軍事退国規制の法的受け皿が最重要課題であります。第六点は、最近のCCW議論の焦点が、自立兵器の合法的使用に向けた具体的な条件設定に移りつつあるように思います。今後は兵器の起動後も人間が介入できるような人的制御、機能不全の不活性化装置などのリスク軽減措置、昨年の政府専門家会議の報告書にも言及された、自立兵器システムの標的タイプ、対人殺傷に限定するのか、対物破壊も含むのか、運用の時間的期間、地理的範囲、使用回数、兵器の攻撃力の規模などが議論の対象となります。運用期間の制限事例として、改正事例議論書では、遠隔散歩事例は、投射後30日以内の自己破壊装置、120日以内の自己不活性化装置が義務付けられております。運用領域の制限事例として、CCW第三議定書での空中投下の焦位兵器は、人工密集地での使用が禁じられています。今後、具体的なこのような制限条項を考慮して、自立兵器の使用の禁止制限を詰めていく作業が必要となってきますので、日本はその議論をリードすることが求められております。それでも、自立兵器自体が危険であり、禁止すべきと判断すれば、全面禁止の軍職条約を国連総会で策定することも考えられます。いずれのせよ、ローズ規制はステップバイステップ方式で進めるべきであると思います。最後に、対人自来に関して一言述べたいと思います。この本資料の81ページの記事にありますように、ロシア・ウクライナ戦 争において、対人自来禁止条約未加入国であるロシアは、ウクライナに対して対人自来を使用しております。他方、ウクライナは対人自来禁止条約に関して加入しているために、体制的な義務として対人自来は保有できません。ウクライナは条約投授国でありながら、対人自来の使用疑惑があるので調査する必要があり、もし保有し使用していれば条約違反となります。ここに対人自来使用の非対称性が存在します。第二次世界大戦前であれば、諸国間の紛争で条約投授国でない国が存在すれば、条約投授国であってもその条約義務を履行しなくて済むという、総加入条項がありました。しかし今は、総加入条項は条約に挿入されることなく、対人自来禁止条約投授国は、非投授国との戦闘行為において不利な立場に置かれます。それを不利と考えれば、条約投授国は条約から脱退するかもしれません。対人自来禁止条約の投授国を増やすことも重要でありますが、条約投授国が脱退しなくても済むように、核兵器の場合のように、対人自来禁止条約非投授国は、条約投授国に対して対人自来を 使用しないと約束させる、消極的安全保障、ネガティブセキュリティーアッシュアランスを検討することも必要ではないでしょうか。日本は対人自来禁止条約及びクラスター団条約の投授国でありますから、それらの条約非投授国との戦闘において、非対照的な立場、不利な立場に置かれる可能性があります。事前にこの非対照性問題を検討しておく必要があると思います。以上でご報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。ありがとうございました。では次に清水参考人にお願いいたします。本日はこのような貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございます。私自身は実は山梨の新崎市というところに自宅がありまして、この雪の予報があったのでどうしたものかと思いまして、月曜日のうちに東京の実家に移動しまして、今日この日まで待機しておりました。よろしくお願いいたします。私自身はこの地雷排泄日本キャンペーンというのは、地雷禁止国際キャンペーン、ICBLの日本の公正団体の一つでありまして、私自身は1992年、カンボジア州在中にこのICBL のメンバーとなり、その後97年に帰国した際にこのジャパンキャンペーンを立ち上げ、今に至っております。97年といえば日本が小田原条約に署名した年でもありますが、その年には私自身も大渕外務大臣とお話をさせていただきまして、12月の庁員式に間に合うように日本もぜひ準備してほしいというお話をさせていただきました。またその後2008年にはクラスター爆弾禁止条約の成立、そして日本の署名に際しては今日いらっしゃる井上先生、それから河野洋平先生に大変お世話になりまして、日本政府のオスロ条約署名に抗議つけるというところで、議員の皆さんにも大変ご尽力いただいた記憶がまだ新しく残っています。今日は私自身は市民社会の立場から、大田原条約のことを中心に、現状と課題について述べさせていただきたいと思います。簡単なレジュメを用意しておりますので、そちらをご覧ください。1997年に大田原条約が成立し、そして99年3月に発行してから、はや四半世紀が経っております。この四半世紀の間の成果は、先ほどその前にお話しされたお二方からもあるとおりなんですが、現在の加盟国164、これは実は2017年にスリランカが加盟して以来増えていないという、現状横ばい状態で、残りまだ33カ国の加盟は待たれているところです。その中で特に私たちが問題視しているのは、ロシアとミャンマーの使用、それから今岩本先生からもお話がありましたウクライナの使用、あるいは使用疑惑に関する問題点であります。この点に関して、昨年11月に行われました定額国会議において、どの国も一般論としてこの条約第一条で謳っています。いかなる状況下でも地雷の使用生産等は許されないということに関して触れつつも、ウクライナに対して具体的にその調査、あるいは現状の報告を求めることを明確に示した国はありませんでした。私たちICBL全体の見解としましては、今岩本先生がおっしゃったこととはちょっと反する部分もあるかもしれませんけれども、やはり条約違反は違反として、ウクライナに対してもしっかりと報告と調査を求めるべきであると思っています。なぜならば、いかなる理由であれ大臣地雷を使うということは、その国の市民の命、そしてその後の復興の大きな障害になるということがもう明白であるからですね。特に日本はウクライナの地雷除去、不発弾除去の支援を始めているということもありますので、今度の国会議においても議長の立場から一定程度の進言があってもいいんじゃないかというふうに私は考えます。それからそういったことが、条約の規範力、つまり条約に加盟してようが加盟していまいが、国際法でこの兵器は禁止されているんだということが、やっぱりしっかりと根付いていくためにも、いかなる状況下でもというところにより強いメッセージを向けてもいいんじゃないかというふうに思っています。それから生産能力を有する国は12カ国で、その中でも今も生産を続けている国がいくつかありますが、やはりミャンマー、ロシアに関しては私たちも非常に大きな問題だと思っております。もちろん他も問題なんですけれども、犠牲者の数、99年の発行当時に比べれば半分以下に減っているというふうには言えますが、やはり依然として相当な数のレベルの犠牲者がいて、そのうち民間人の割合はこれも依然として80%を超えているという状況にありますので、うち子どもがそのうちの半分を占めている。そういった意味でも、この地雷の使用による犠牲者を早くゼロにするという意味でも、より強い取り組みが必要かと思っております。そんな意味で、国際協力の部分に関しましては、結構高いレベルで日本を含めて、世界各国から毎年相当額の支援が届いているということは報告されております。特に2021年度よりも2022年度は47%増加をしていると。条約ができてからすでに4半世紀ぐらい経っているのに、まだこの支援レベルが増えるということは、これは相当いいことだと思いつつ、その増えた分の大半はウクライナに対する除去支援などの部分が大きく占めていると。そういうことを考えると、やはりウクライナ、もちろんロシアに対して、地雷あるいはクラスター爆弾の使用に関してがっつりと、やはり休断すべきだと思いますけれども、やはり同様にウクライナに対しても一言言う必要があるんじゃないかと、かように思っているところであります。同じ国際協力の中の大きな課題として私たちが認識しているのは、犠牲者支援の部分です。この支援総額自体は合計7億ドルを超える大きな額になっておりますが、実はこの中で被害者支援に向けられている支援額は、全体の5%に過ぎません。ほとんどが地雷対策、地雷状況探査、そういった対策の方に振り分けられてしまっていて、非常に少ないパイを地雷被災国の犠牲者たちの支援に分けざるを得ないと。そのうちの多くはアフガニスタン、シリア、イエ メンといったような、やはりその国に限られていることもありまして、やはりバランスの良い配分、その地域のバランスであったり、それから地雷対策と犠牲者支援のバランス、この辺に関しては、これはずっと長い期間課題となっていることでもありますので、やはり、これは本当に繰り返し私たちも言っていることですが、このバランスの見直しは必須であろうというふうに思っております。また、地雷の被害国の中でも、特に都市レベルから地方遠隔地に支援が延びるということも滞っておりまして、地方レベルで生存している地雷犠牲者に対する義足などの支援であったり、リハビリ、それから社会復帰に向けての様々な支援は相当遅れています。こういった事実もありまして、私たちも5年ほど前からミャンマーの地雷犠牲者に対する義足の提供、リハビリ、社会復帰の支援をやっておりますが、私たちにできることは相当限られていることでもありますので、やはり政府レベルの認識を新たにしていただいて、より地方レベルにアウトリーチできるだけのボリュームと認識を持っていただければというふうに思っています。そういうことも踏まえまして、今年の11月にカンボジアのシェムレアップで開催されます第5回運用検討会議についてですが、カンボジアで第5回目の運用検討会議が開かれるということ自体、非常にシンボリックなことだと思っておりますけれども、その大事な会議に日本政府の軍宿代表が議長を務めると、これは本当に大きなことだと思っています。そういった意味でも、ここで日本のプレゼンスというものをよりしっかりと示していただきたいということもありまして、特にこの地雷対策支援以外の分野、もちろんその犠牲者支援ということも含めてやってほしいということ以外に、普遍化の部分あるいは条約のコンプライアンスなどでも、より積極的な姿勢を示していただければと思っています。繰り返しになりますが、ウクライナに対しても厳しい態度で臨むべきだと思います。そして、ミャンマーは未加盟国でありますけれども、やはりオブザーバーとして参加してもらうなど、事前の働きかけがあってもいいんじゃないかと思っています。そして、2014年でした、第3回の運用検討会議、モザンビークのマプートで開催されました。私自身も参加しましたけれども、そこで非常に記念すべき宣言として、2025年までにこの問題を終わらせようという期限目標が掲げられました。この条約ができる前は、一体この問題は何百年かかるんだと言われていたことが、条約ができて、本当に数十年の間に期限目標が掲げられるところまで来たということは、非常に条約ができたことの大きな成果だと思いますけれども、実際のところ、その事例除去の作業工程から考えて、すでに2025年を超えた範囲で、26年、27年まで延長申請している国もある中で、2025年、つまり来年にすべて終えるということは、現実的には不可能であろうというふうには思いますが、一方で、その目標ができるだけなしくずし的に、ただダラダラと伸びるのではなくて、やっぱりこの目標は目標としてありますよねということ、それじゃ伸ばすんだったらどのぐらいなのかということより、強い形でこの期限目標を、2025年と一度立った期限目標を、できるだけ肯定的なイメージで更新していただくような雰囲気づくりというのが求められているのではないかというふうにも思っています。これに関連しまして、次のページ、2番目のアジアの地雷被災国、ミャンマーの現状についても少し報告させていただきます。ご承知のとおり、2021年2月1日にクーデターが発生してから3年、私自身昨年12月にタイでミャンマーの現地NGOのメンバ ーと会いまして、特に地方レベルでの戦闘状況、それから地雷の犠牲者、国内避難民の状況、そういったことを聞いてきました。その報告につきましては、事前にお配りした資料の中にも入れさせていただいておりますけれども、非常に若い人たちが、本来であればクーデターがなければ普通に学生をやっている、普通に勤めていたであろう学生たちが、戦闘に関わりながら非常に致命的な怪我をしているという状況が今も増え続けています。やはりこのミャンマー国軍の防挙を一刻も早く止める必要があろうかと思いますが、他の国、欧米と日本も補充を合わせて、やはりより厳しい制裁措置をとるべきではないかと、日本がやはり、今、新規のODAはやっていなくとも、過去に契約したODAは今続いているということ、それから日本の企業が依然としてミャンマー国軍に利するような経済活動をしているというような現状もありますので、ここに関しては政府としてもより厳しい目で見ていただければと存じます。その意味でも、日本は今、アセアン諸国とのいろいろ協調関係を模索していると思いますけれども、やはりアセアン諸国と協調してこのミャンマー問題を一緒になって解決していくということ、これをODA条約の文脈の中でもいくらか実現できる部分があるのではないかというのが、先ほど申し上げましたとおり、運用検討会議、あるいは提案国会議にミャンマー政府の代表団に対して、ぜひオブザーバーでいいから参加して議論しようよというような働きかけ、呼びかけがあってもいいんじゃないかというふうに思っております。そして、今回、地雷の話を超えてしまいますけれども、私たちの認識では、同じく人道的軍粛条約の流れとして、クラスター爆弾禁止条約についても非常に大事なものだと思っておりますので、少しだけ付け加えさせていただきたいと思います。クラスター爆弾禁止条約、オスロ条約は2010年8月に発行して、現在13年半が経ったところになりますが、加盟国が112と、今一つ伸び悩みがあるところです。昨年夏に南スーダンが加盟して以降伸びていません。この辺では、日本もてが国の一つとして、オスロ条約の普遍化にもご尽力いただければと思っています。1点だけ大事なこととして申し上げたいのは、この条約の1条、4項で歌っております。1条の一般的義務は、いかなる状況であってもクラスター爆弾を使用・生産等はしてはいけないということですが、