1:04
ただいまから、議員運営委員会を開会いたします。まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。日本銀行総裁の任命同意に関する件のため、本日の委員会に参考人として、日本銀行総裁候補者、京立女子大学ビジネス学部教授学部長植田和夫君の出席を求め、所信を聴取することに、ご異議ないと認め、作用決定いたします。次に、日本銀行総裁の任命同意に関する件を議題といたします。候補者から所信を聴取いたします。
1:59
植田でございます。本日は、所信を述べる機会を賜り、大変光栄に存じます。私は、内外の大学において、主にマクロ経済学、金融論、国際金融論の分野で、研究と学生の指導に当たってまいりました。この間、平成10年から17年までは、審議院として 日本銀行の政策決定と業務へに参画いたしました。委員退任後は、アカデミズムの世界に戻りましたが、日本銀行との関係では、金融研究所特別顧問などの立場でアドバイスを行ってまいりました。また、金融政策の理論や実践について、国際会議などの場で、内外の学者だけでなく、海外中央銀行関係者、市場関係者等の実務家とも議論を行ってまいりました。まず、金融政策についての私の考え方を述べたいと思います。金融政策は、景気と物価の現状と先行きの見通しに基づいて運営する必要があります。現在、我が国経済はコロナ禍から持ち直しているところですが、内外経済や金融市場をめぐる不確実性は極めて大きい状態です。消費者物価の上昇率は4%程度と、目標とする2%よりも高くなっていますが、その主因は輸入物価上昇によるコストプッシュであり、需要の強さによるものではありません。こうしたコストプッシュ要因は、今後減衰するとみられることから、消費者物価の上昇率は来年の半ばにかけて2%を下回る水準に低下していくと考えられます。金融政策の効果が発現するまでには、ある程度時間がかかります。金融政策の理論では、需要要因による物価上昇には、予防的に対応して需要を抑制する一方、コストプッシュによる一時的なインフレ率の上昇には直ちには反応せず、基礎的な物価、基調的な物価の動向に反応するというのが標準的な対応です。そうでないと金融引き締めによって需要を減退させ、景気悪化とその後の物価低迷をもたらすことになってしまいます。この点は、我が国の基調的な物価上昇率は、受給ギャップの改善や中長期の予想インフレ率の上昇に伴って、緩やかに上昇していくと考えられますが、2%を持続的安定的に実現するまでには、なお時間を要すると見られます。こうした経済物価情勢の現状や先行きの見通しに鑑みれば、現在日本銀行が行っている金融政策は適切であると考えています。金融化を継続し、経済をしっかりと支えることで、企業が賃上げをできるような経済環境を整える必要があります。もし日本銀行総裁としてお認めいただきましたならば、政府と密接に連携しながら経済物価情勢に応じて適切な政策を行い、経済界の取組や政府の所施策とも相まって、構 造的に賃金が上がる状況をつくり上げるとともに、一時的ではなく、持続的安定的な形で物価の安定を実現したいと考えています。次に日本銀行の金融政策について、やや長いタイムスパンでお話したいと思います。私が新議員に就任した平成10年当時、日本経済はバブル崩壊から金融危機を経て、デフレに突入していたところでした。一方で政策金ではすでに0.5%を下回っており、通常の金融政策の範囲では緩和の余地はほとんど残されていませんでした。このため、日本銀行はゼロ金利政策、時間軸政策、量的緩和政策など、非伝統的な金融政策を世界で初めて次々に導入いたしました。私はこれらの立案過程に他の政策委員と相談しながら、主に理論面から参画いたしました。このうちのいくつか、例えば時間軸政策はその後、欧米の中央銀行でフォワードガイダンスとして採用されるなど、世界の金融政策の標準にもなっていきました。私が新議員を退任した後も、日本銀行は量的・質的金融緩和、マイナス金利政策、フィールドカーブコントロールなどを採用し、 世界でもまた歴史的にも、大規模な金融緩和を実施してきました。これらは実質金利の押し下げを通じて、企業収益や雇用の改善などに貢献し、レフレではない状況を作り上げたと考えています。一方ですさまざまな副作用も生じていますが、先ほどお話した経済物価情勢を踏まえますと、2%の物価安定の目標の実現にとって必要かつ適切な手法であると思います。今後とも情勢に応じて工夫を凝らしながら金融緩和を継続することが適切であると考えます。これまで日本銀行を実施してきた金融緩和の成果をしっかりと継承し、新日銀法施行以来25年間、日本銀行にとっても、また私自身にとっても、先年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う5年間としたいと考えております。以上、金融政策についてお話ししましたが、日本銀行のもう一つの重要な責務は金融システムの安定であり、我が国経済にとって金融仲介機能が円滑に発揮されることは極めて重要です。人口減少など我が国の金融機関、金融システムを取り巻く環境が厳しさを増す中、この面でも適切な施策を実施して まいります。また、銀行権の発行を取り移す決済システムの運営、国庫金に関する業務など、いずれも国民経済に必要不可欠のものです。そうした社会インフラを安定的に運営していくために、日本銀行の約5000人の職員と力を合わせて、日々業務に当たってまいりたいと考えております。どうもありがとうございました。
8:23
以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。これより候補者に対する質疑を行います。質疑のある方は順次、御発言を願います。
8:39
立憲民主社民の勝部賢治でございます。上田参考人どうぞよろしくお願いいたします。時間が限られておりますので、早速質問させていただきますが、今回、上田参考人が日銀の総裁候補ということで、ノミネートされたこと、おそらく御自身も相当に悩まれたのではないかと思います。大倉省や財務省や日銀のOBなら、いざ知らず、上田参考人はまさに喫水の民間人ということで、大学の教学者さんでありましたから、そういう意味では初めての総裁候補なわけであります。今の内外の社会情勢は非常に厳しい状況で、先行きも看板しかありませんし、また日銀がこの10年、ちょっとずつ申しんしてきた、これを修正あるいは是正をしていくということがあるとすれば、並大抵なことではないわけで、まさに喫水の舞台から飛び降りるようなお気持ちで、決断をされたのではないかというふうに私は考えています。今、所信をお伺いいたしましたけれども、その所信の中には、そのあたりの御決断に至る確信部分については、触れられておりませんでしたので、もう少しその辺の思いと言いましょうか、もしお悩みがあったら、そのことも含めてお聞かせいただけ たらと思います。
10:22
ありがとうございます。あえて申し上げるといたしますと、カイツマンで申し上げれば、委員おっしゃいますように、非常に誰がやっても難しい厳しい状況である。それがかえって私にとっては非常にチャレンジングな仕事であるというふうに思いまして、過去の日銀での政策担当の経験、各社での経験を生かして、そのチャレンジングな課題に挑んでみたいという一点でございます。
11:03
非常に端的にお答えをいただいて、そのチャレンジ精神というのは、実は2011年に日経新聞に、上田参考人のインタビュー記事が、全5回にわたって掲載をされています。その中にご自身のお言葉で、「理論と政策を行き来する」という、これは連載の題名なんですけど、その中でご自身が、生の経済の動きを理論に反映させる、逆に理論を政策に生かそうとしたりする動きを、もっと広げるべきではないかということが、一貫した問題意識だとおっしゃっておられます。それを体現されるかのように、1985年、旧大倉省ですけれども、財政金融研究所の主任研究員を始め、その後、日銀の調査統計局の客員でお仕事をされたり、あるいは日銀の審議員、それから金融研究所の特別顧問、そして日本政策投資銀行の社外取締役にも、就任をされてきています。まさに造芸の塔にこもり続けた学者ではない、ということは言うまでもないことでありますが、現場のエピソードなどを交え、さぞかしい興味深い、面白い講義を、大学ではされているのではないかと思ったところです。以下、衆議院での質疑もございましたし、今の所信もありましたが、もう少し詳しく踏み込んでお話を聞きたいと思いますので、ぜひ私どもにも分かりやすくご答弁をいただけたらと思います。そこでまず初めにお尋ねしたいのは、物価安定目標2%の根拠についてであります。政府と日銀の共同声明の根幹であり、アベノミクスをはじめとした、全ての政策の正当性の根拠とされてきたのが、この物価安定目標2%の実現ということでありました。しかし、この10年間、黒田総裁の答弁では、先進各国と同様の2%という答弁が繰り返されておりまして、上田参考人も先日の衆議院の質疑では、ほぼ同様のお答えをされたというふうに承知をしております。しかしなぜ2%なのかというのが、ここへ来て、非常に疑問とい うか、伸びしろということであれば、例えば3%でもいいのではないかというふうに思うわけでありまして、なぜこの2%というのが、あたかも金貨玉鳥のように言われてきたのか、そのことについて、ぜひ、理論的妥当性あるいは根拠について、詳しくお答えをいただけたらと思います。
14:17
ありがとうございます。私からは、こういうインフレ目標を決める際の、背景にある考え方をちょっとご説明させていただければと思います。乗りしろというお話もありましたし、それはもちろん目標決定の際の大事な要素でありますけれども、結局、根本的なところとしましては、物価安定を目指したい。つまり、物価安定という経済にとってのインフラを構築する という目標を立てたいということですので、ごくごく単純に申し上げますと、物価安定というのは0%インフレのことだと思います。つまり、物事、お金をはかるものさしがすごい不安定になっていると、経済活動が円滑に行えない、その意味ではここが安定していた方がいいという意味で、物価安定の普通の本来の定義は0%インフレであると思います。ここからずれればずれるほど、その面でコストが発生するというふうに普通考えます。その一方で、別の要素といたしまして、物価指数の情報バイアスの話もありますが、より重要なものとして、先ほども出ました、乗りしろ論があります。これはおっしゃいましたように、インフレ目標が低い、中期的なインフレ率があまり低いと、それに対応した中期的な金利水準も低くなりまして、何かあったときに金利の下げ落ちが少なくなる。ですから、そこをある程度確保するために、ある程度の乗りしろがあった方がいい。ただ、先ほどの物価安定の考 え方からしますと、0からずれればずれるほどコストが大きいということがありますので、たくさん乗りしろがあればいいというものでもないわけです。そこのバランスを考えて、多くの国で大体2%くらいがいいのではないかというふうに決まっているというのが現状でございます。それを日本に当てはめてきちんきちんと計算していったら、2なのか1.9なのか2.3なのかという議論はございますが、そこはあまり厳密には最終的に決めることが可能しもできないような点ですので、一応今のところ2%になっているという、そういう背景を御説明してみました。(安倍内閣総理大臣) 勝部検事くん。(勝部検事) その2%にスローガンとして掲げるということは理解をいたしますけれども、そこにこだわり続けるということが本当に必要なのかということは、今後検証していく必要があろうというふうに思います。上田参考人は、日銀新銀時代に1999年、ゼロ金利を導入し、先ほど御自身も触れておられましたけれども、量的緩和あるいは非伝統的な金融政策に理論的に関わっ てこられたと言っておられましたとおりであります。その後2011年に日本経済学会が学長に就任をされた講演で、非伝統的金融政策の有効性という論文や、2013年9月には異次元の金融緩和中間評価というような論文を発表されておられまして、自ら非伝統的金融政策の分析評価を行ってこられたと承知をしております。そこでお伺いをしたいと思いますが、異次元緩和における後期のマイナス金利、また量的質的金融緩和、いわゆるイールドカーブコントロールの政策有効性をどのように分析評価されてきたのか、簡単に御説明をいただきたいと思いますのと、併せて先ほどもちょっと触れておられましたけれども、異次元金融緩和の副作用という表現をお使われておられましたけれども、これはいかなるものなのか、副作用でどういうことが起きているのか、そのことについて御教示をいただけたらと思います。
18:43
お答えします。マイナス金利を含むイールドカーブコントロールのメリットとしましては、適切な水準、低金利水準でありますが、に金利をコントロールすることで、大規模な金融緩和が作り出している、良好な金融緩和を持続できることが挙げられます。この超短金利水準の決定にあたっては、金融緩和による経済への刺激効果と同時に、金融仲介機能への影響にも配慮し、バランスの取れた姿にするという配慮がなされている仕組みとなっております。一方ディメリットとしては、金利が低いで安定するようにコントロールすることで、市場機能に影響があるかもしれないという点が挙げられます。この点については、日本銀行は国債市場の機能度に配慮する観点から、国債を貸し出すという制度の要件を緩和する、あるいはその他の様々な手段を講じてきましたし、昨年12月には緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図り、円滑にイールドカーブの形成を促すという観点から、超金利の変動幅を国債改善を増やしつつ拡大するというような運用の一部見直しを実施しました。現状この効果を見守っているというところかと思います。このように政策には常に効果と副作用がございますが、それを比較考慮をしながら最も適切な政策を実施する必要があるというふうに考えております。付け加えますと、現在の金融緩和はメリットの方が副作用が上回っているというふうに考えてございます。はい、以上。
20:36
上田参考人は、日銀の政策の妥当性、あるいは継続性を兼ねてより表明をされています。今、御説明がありましたように、副作用が効果よりも上回っているというお話がございましたが、私はそれが実態だと思っています。しかしながら大きすぎる物体を急ブレーキをかけて止めようとする、あるいは方向転換をするというのは、それ自体にエネルギーもありますし、またリアクションもあるということで、そう簡単には転換、変換みたいなことがやりにくいというのが、実は一番の理由なのではないかなというふうに私は感じているところであります。このままいつまでもということではないのではないかということも、付言をさせていただきます。さて、そこでですね、物価安定目標2%は、結果的にですね、政策手段をいろいろ講じましたけれども、10年かかっても達成できなかったというのが事実だというふうに思います。現代の日本においてですね、個人消費拡大の基調に転じるポイント、それはどこにあるとお考えなのか。私は賃金のですね、上昇しかないのではないかというふうに考えています。実質所得の低迷が、我が国のですね、デフレや低成長の一番大きな要因なのではないかと考えますけれども、上田参考人ご自身はですね、どのようにご所見をお持ちか。そして加えてですね、かつてバーナンキ元FRB議長はですね、金融政策は米経済が直面する問題に対する 万能薬ではないとおっしゃったそうですけれども、賃金の上昇にですね、金融政策がフォローできるところもあるのではないかと考えますが、上田参考人はどのようにお考えかお聞かせください。
22:44
実質所得、賃金所得の低迷のお話がございましたが、私はこれは、物価低迷の原因なのか結果なのか微妙なところで、大まかには物価の低迷と共に発生してきた現象というふうに考えております。すなわち、バブル経済が90年代に崩壊した後、長期にわたり経済が低迷して、その中で物価や実質所得が上がらないという状況が続いたわけですけれども、その背景としまして不良再建問題、ITバブルの崩壊、リーマンショックなど、さまざまな外適といいますか、金融政策と全く関係ないわけではないですが、その各時点では外適なショックがあったということが挙げられるかと思います。さらにこうした状況の下でよく指摘されることですが、物価や賃金がなかなか上がらないということを前提にした人々の行動が定着してしまったということも、賃金の伸び悩みにつながったと思います。それでも2013年以降、政府との共同声明の下で、日本銀行政府それぞれさまざまな適切な施策を実行いたしまして、ベースアップが復活するということもありましたし、それもあって日本経済はレフレではない状況に入っているというふうに考えております。今後も金融化を継続して総需要を支えるということで、賃金の上昇を伴う形での2%の物価安定目標を持続的安定的に実現していくことが可能であるというふうに考えてございます。
24:47
新総裁に求められるポイントの1つとして、市場とのコミュニケーション能力ということがよく言われます。それが現黒田総裁に 欠けているのか否かについては、この際ここでは問いませんけれど、若干付言させていただくと、金融は何の遠慮も配慮も躊躇もなく、海外のヘッジファンドのように利益のみを追い求める仕様が相手なので、余談を与えぬようにあえて説明をしないサプライズが状態化しているのではないかと思います。それが政策などの説明責任、アカウンタビリティを回避する逃げ工場になってはいないのかということを問うべきだと私は思っていまして、その一方で今般の新総裁人事では、内事より4日も早く情報が漏えいしました。政府には猛政を促したところでありますが、リアクションを軽減するために、ある意味意図的なリークが行われたのではないかとの疑いも消えないところなんです。この間の長期政権で、この間の長期政権で、ご都合主義がさらに蔓延したと思わざるを得ない事態だと思います。その場のがれの口先だけの丁寧に説明をするということではなくて、史上もさることながら、国民や国会への丁寧な説明、アカウンタビリティは民主主義の基礎要件だと考えますけれども、そこで伺いますが、上田参考人は、史上とのコミュニケーション、さらには国民、あるいは国会に対する説明責 任について、どのようにお考えか、ご所見をお伺いいたします。
26:50
貴重資本市場は、貴重政策が動いたときに、そこを通じて貴重政策の影響が及んでいくという波及経路の起点にあたりますので、非常にそことのコミュニケーションは重要であるというふうに考えてございます。従いまして、金融政策運営の考え方、意図を、市場に正しく伝えていくことは、金融政策にとって極めて重要であるというふうに考えてございます。ただ、毎回毎回、例えば金融政策決定会合で議論して、ときには政策を変更するわけですけれども、その変更の背景としましては、会合と会合の間に入ってくる新しい情報に基づいて、経済物価情勢の見通しを変更して、政策を変更するということがございます。それを前もって伝えるということは、必ずしも可能ではないので、時々サプライズ的な要素が入るということは、やむを得ないかなと思いますが、繰り返しですが、考え方を丁寧に説明していくということかなと思います。それから、国民国会に対する説明責任ということにつきましては、やはり経済、物価、金融情勢に関する見方や、それを踏まえた政策運営の在り方について、できるだけ多様な機会で、しかも分かりやすく説明し、国民の皆様の御理解を得ていくということが極めて重要であるというふうに考えてございます。
28:30
(勝部)はい、ありがとうございます。戦後、直後の、ハイパーインフレキの日本銀行を舞台とした、白山三郎の小説「日本銀行」では、銀行構内の大蔵省、つまり財政から、日銀、つまり金融の独立が、悲願として描かれています。その後、よく曲折があって、現在の財務省金融庁、日本銀行の体制が、ごく近年、確立されたわけですけれども、一方で、野党時代から日銀法の改正までを公約化し、インフレターゲットの受入れや、建設国債の莫大な引き受けを公言していた、第2次安倍政権下で、白川総裁のバッシングがあり、黒田総裁が実現し、そして、政府と日銀の共同声明が公表されるという、その後の経緯につながってきたわけであります。上田参考人は、中央銀行の政治や財政に対する独立性について、どのようにお考えか、ご所見をお伺いしたいと思います。
29:50
不安定の実現のために、中央銀行の独立性が必要であるという考え方は、様々な歴史的な経験を踏まえまして、世界的に確立されておると思いますし、その点は、日本銀行法においても明確に規定されています。ただ、同時にマクロ経済政策の上にあたっては、政府と中央銀行が十分な一卒を図ることも必要であると考えます。これも日本銀行法に規定されているとおりであります。今後、2%の物価安定目標を持続的安定的に実現するため、政府と緊密な連携を図りながら、必要な政策を責任を持って実行していくことが重要であると考えてございます。
30:36
その日銀の独立性ということでいうと、もう1つは国際協調の関係なんですけれども、金融分野はまさにグローバル化、デジタル化が最も進んでいる分野だというふうに思いますが、国や中央銀行による統制が、逆に言うと非常に難しいものだというふうにも感じます。基本的な大前提としては、G7ですとかG20の先進各国による協調が不可欠であるというふうに考えておりますし、今ほどお話もありましたんですけれども、歴史的にもいろいろ経過を踏まえて、今の日銀があるわけで、他の国との関係においてもいろいろな歴史があるわけですから、文化の違いもあり、そういったことを踏まえた上でも、やはりお互いに理解と協調が求められてきているというふうに私は感じています。そのような中で、参考人のこれまでのキャリアを見ますと、まさに国際色豊かな経験を積みながら、とりわけ国際協調についても、非常に御造形が深いのではないかというふうに思うんですけれども、その点どのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。
32:00
Dマンショックあるいはコロナ感染症によるショックの際等に、各中央銀行が協力して対応を行ったということに象徴されますように、そのベースとなる情報交換、あるいは政策面での連携の重要性は非常に高まっていると思います。例えばそういう時期ですと、ドルの供給を日本銀行、他の中央銀行もですが、FRBと協調してやっていくというようなことも行って、市場の不安定性を低める、沈めるということがございました。これなど中央銀行間、FRBを中心にしました、情報交換連携の姿勢がないと実現できなかったことであるかなと思っております。私自身、審議院を務めた時、あるいはその後の内外での大学での研究等を通じまして、様々な会議で学者だけでなく実務家と議論、意見交換を行ってまいりました。こうした経験も活かしつつ、今後もし総裁に選ばれましたならば、海外中央銀行との連携や市場関係者とのコミュニケーションを行っていきたいと考えております。
33:24
(勝部健次) 上田参考人の総裁就任となれば、10日からの時期に新たな共同声明になるものが焦点化していくことは間違いないと思います。中央銀行の役割や日銀がその職責から求め続けてきた、今ほど議論をした独立性とは一体どのようなものか。かつて白川前総裁が記者会見でこのようなことをおっしゃったのですが、中央銀行の独立性は長い歴史の中で得られた数々の苦い経験を踏まえて考えられた。やや長い目で経済・金融の安定を図っていく組織が必要であり、それを中央銀行の独立性という形で制度設計したという説明が一番ストンときます。短期的な成果にこだわりがちな政治や経済、企業、あくまで異なる立場から金融経済の安定、国民生活の安定を考えるところが不可欠だと思います。そこで上田参考人はこのような白川前総裁のお考えをどのように受け止めておられるのか、また異次元緩和の交際を共に評価し、曖昧な数字ありきの新たな共同生命の締結はすべきではないと考えますが、いかがお考えか見解を伺います。
35:06
白川前総裁の見解については、私残念ながら詳細を承知しておりませんので、ここでのコメントは差し控えさせていただけたらと思います。ただその上で一般論としてですけれども、先ほど申し上げたとおり、物価の安定を実現するための制度的仕組みとして、歴史的な経験に基づいて、世界的にも日銀行においても、地方銀行の独立性が必要であるという考え方が示されていると思います。現状では2013年ですが、日本銀行は2%の物価安定の目標を、自ら金融政策決定会合で決定したというふうに認識しております。そしてその決定に基づいて政策運営をしてきたということかと思います。ただ同時に先ほども出ましたが、政府と地方銀行がマクロ経済政策運営にあたって十分な一層通路を図るということも、法律に書いてあるとおり重要でございます。その考え方に基づきまして、2013年に公表されました共同声明ではこういうこと、加えまして2%の物価安定の目標も、その中に明記し、政府と日本銀行がそれぞれ連携してマクロ経済政策運営にあたるということになっておると思います。その後、両者適切な必要な政策を実施してきた結果、最初に申し上げましたように、経済は着実に改善して、レフレでない状況に到達しているというふうに思います。そういう意味で、現在の共同声明の考え方は適切と考えておりまして、直ちに見直す必要があるというふうには思っておりません。(小島)はい、時間が少なくなってきましたので、最後の質問になるかもしれませんが、最初に触れた日経新聞のインタビュー記事で、私が一番印象に残ったのは、株式投資のお話でした。上田参考人は、1988年、大阪大学時代に、我が国の株式水準について、当時の高すぎる株価と理論的な水準から見て、株価の乖離があると分析して、バブルを予見されたということが当時評判になったということであります。その参考人が、基礎の研究に飽きたらず、株式投資を実践して、バブル崩壊前の高値で売り抜けをした話や、営業が厳しくて負けて買い直して大半を失った話とか、ワラント祭関連商品3000万円をめぐる話も、外見や肩書のイメージから大変大きく異なる上田参考人の素の一面を垣間見た気がします。先ほど冒頭に聞いたお話で、日軍総裁にノミネートされたときの気持ちは、チャレンジ精神だとおっしゃいましたけれども、株式などはまさにこのチャレンジの気持ちが終わりだったのかな と思っていますが、実は衆議院でも質問があったんですけれども、この総裁を受けるにあたって、金融商品など投資状況がどのようにこの後、処置されようとしているのか、時間が来ましたので、簡潔にお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。上田参考人 私の金融資産運用の拙い部分について、こと細かにお話しすることは控えさせていただきたいと思います。いずれにせよ日軍総裁に就任する場合には、就任日までに日軍の内機に従った形に資産の保有状況をしたいと思っております。以上です。ありがとうございました。
39:40
(小島) 日本史書館の小島徹でございます。今日は、日軍総裁の候補の上田参考人に、ぜひご質問させていただきたいと思っておりまして、大変光栄に思います。先ほどもお話がありましたが、お姫様に一緒に日本の経済というのは厳しい状況にあって、総裁になられるということは、よっぽどの充積を担う覚悟がなかったら、非常に厳しいというふうに思っておりまして、その充積を担う覚悟を受けたことに、まずは敬意を表させていただきたいというふうに思います。そんな中で、まず経済学者でもあるということでありますので、質問させていただきたいと思いますが、失われた30年ということをよく言われます。我が国ではこの30年間、GDPも伸びていないし、また賃金も伸びていない。これは世界の先進国の中で、やはり日本だけだということを言われてきました。先日、日経新聞を見ておりましても、ドイツの名目賃金が日本に肉白してきたというような記事もありました。ドイツというのは人口8,320万人ですから、日本の67%なわけですね。そういったドイツが肉白してきているというような状況。そしてまたインドも世界一の人口ということで、これが2020年代後半になれば、このインドも伸びてくるというふうに考えられます。その中で日本の世界経済の存在感というものが、だんだんとしぼんできているのではないかというようなことが言われているわけでありまして、この2013年からは大規模な金融緩和も行ってまいりましたけれども、やはり失われた30年というのは変わっていないという現状。GDPや賃金というものが上昇していないわけでありまして、上田参考人はこの原因をどのようにお考えなのか、まずはお聞かせいただきたいと思います。
42:16
バブル経済崩壊した後、ご指摘のように長期にわたり経済が低迷し、物価賃金がなかなか上がってこない状況が続いたわけでございますけれども、これは先ほどの質疑にもございましたように、さまざまな不良再建問題、ITバブル崩壊、リーマーショックなど、ショック、ネガティブなショックが経済を襲ったということが一つ大きかったと思います。また、こういう状況が続いた物価賃金がなかなか上がらないということが続いた結果としまして、人々の行動がそれを前提にする行動になってしまった。何かちょっと物価を上げた方がいいということが起こっても、他の人が追随してこないのではないかという予想の下に自分もやめてしまうというような行動が定着したということが、物価賃金の伸び悩みにつながったと思っております。ただ、それでも2013年以降、量的、質的金融緩和の下で良い動きが見られておりまして、ベースアップが復活するとの結果、デフレという状態ではなくなったということかなと思います。それでも、今申し上げましたデフレあるいはゼロインフレあたりを前提にする人々の行動の物価や賃金を上がりにくくするという影響はまだ少し残っておりまして、2%の持続的な安定的なインフレ目 標の実現にはもう少し時間がかかるというふうに見てございます。
44:05
いろいろご説明がありましたが、1つの原因として、お話の中にはあまり出てこなかったかもしれませんが、日本では設備投資というものが進まなかったのではないのかと。日本での国内での設備投資が進まなくて、海外にどんどんどんどんと工場だとかそういったものが移っていったと。そのことによって日本のマネーというものが海外に流出していったと。こういった状況というのも大きな原因ではないのかと思ったりもしますが、その点についてはいかがでしょうか。
44:45
委員御指摘のように、この間設備投資といいますか企業による投資ですね。これがなかなか国内で行われず、行われる場合は海外で行われてきた期間が長かったというのは事実でございます。ではなぜそうかというのはすごく難しい問題でございますが、学者的に今考えてみますと、90年代のどこかくらいから我が国の期待成長率が過方に屈折した。その中で多方、海外の特にエマージング諸国では期待成長率、理準率の期待値、こういうものは高かったということで、そういう結果になっていると思います。ですので、この点をどうやって是正していくかというのは難しい問題ですが、中長期的に期待成長率を上げる、あるいは潜在成長率を上げるような試みが必要だということは、それはそうだと思います。
45:44
期待成長率、潜在成長率も上げていくのは非常に難しいことだと思いますが、ここはまたぜひお伺いをしていきたいなというふうに思います。次に国際の格付けについてお伺いさせていただきたいと思います。西銀は大量の国際を保有しておりますけれども、世界各国の国際の信用を図る機関として、例えば米国の格付け会社S&Pとか、それからムーディーズ、こういったものがあります。1990年代は日本の国際の格付けというのは、S&PなんかではAAA級だったわけですね。今はどうかというとA+になっているわけですね。これは下がっておるわけでありまして、中国とかリトアニアなどと同じだということになるわけですけれども、もちろん経済学者によっては、これはもう関係ないんだという方もおられますが、日本の国際がこのような格付けになっていることについてですね、上田参考人はどのようにお考えなのか、ぜひお聞かせをいただければと思います。
47:06
民間の格付け機関のご判断についてコメントすることは差し控えさせていただければと思います。その上で一般論として申し上げれば、やはり財政運営に対する信任がしっかりと確保されるということが重要であるというふうに考えております。
47:26
はい。分かりました。では続いてですね、増税についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。2013年1月に政府と日銀が共同声明を公表して、2%の物価安定目標というものを掲げて、次元の金融緩和というものがスタートいたしました。そこで目指していたものは、当時の行き過ぎた円高を是正し、企業の収益力の向上を測っていく、そして賃上げにつなげていく。賃上げが消費の拡大、そして設備投資の拡充に至るという、好循環を実現させるということが大きな目標であったというふうに思います。実際には当時1ドル70円台後半ということもありました。過度の円高の是正というのは実現したわけでありますし、そしてまた、貨物価も回復してきたわけですけれども、賃上げを伴う物価の上昇というのはなかなか実現してこなかったというのは、これまで皆さんが言ってきたとおりです。その中で2度にわたる消費税の増税というものがありました。消費税の増税というのは、消費を冷え込ませ、デフレ圧力を強めてしまったことを掲げる経済学者もおられます。もしこれがそのとおりということであれば、今後増税すべきではないというふうに考えますが、増税になっていくとデフレ脱却、どころかまたデフレに戻っていくという懸念もあります。上田参考人にお聞きしたいのは、この2度の消費税の増税でありますけれども、これ金融緩和に与えた影響について、どのようにお考えなのかお伺いをさせていただきたいと思います。
49:33
一般論として、税制を含めた財政運営については、政府、国会の御判断と責任において行われるものと認識しております。その上で、消費税引上げの影響についてちょっと考えてみますと、一般的に引上げは、駆け込みの需要とその反動という効果、それから税率の引上げに伴う家計の実質所得の減少という経路から消費経済に影響を及ぼすということが考えられます。さらに消費税率の引上げは、より少し理論的に考えてみますと、若干将来に不安を覚えているような家計にとって、将来の財政の信任を少し高めるということから、前向きな支出行動を後押しする面もあるという学者もおります。こうしたことがすべて合わさって、消費税率の変更、引上げの経済への影響が発生すると思います。そういう意味で多面的な影響が出るというふうに考えております。これらをよく分析の上、金融政策は、その他の経済に起こっていることを総合的に考えて決定するというものであるかなというふうに考えてございます。大妻徳君。大変言いにくいことであったと思いますが、御答弁いただきましてありがとうございます。非常に多面的に影響があったというふうに私も思いますし、また消費税の二度の増税はやるべきではなかったなというふうに思います。次に、1980年代の日銀総裁を務められた、日銀出身の前川晴雄さんという方がおられまして、これは本の中で私読んだので、ちょっと触れたいと思うんですけれども、中央銀行とは、これからの宴会が盛り上がろうとするときに、メインの料理をテーブルから引き込めるようなものだという例え話をされたそうです。早め早めの金融引き締めというものこそ、日銀の基本的な姿勢であって、物価が上がりすぎることは警戒するものの、物価が下がることにはあまり関心ないという体質を示しておって、その後の日銀総裁になった白川氏も、金融政策では物価を押し上げられないという考えを持っておられました。上田参考人は、そもそも金融政策で物価の引上げができると考えているのかとか、改めてこのことについてお伺いしたいと思いますし、デフレを脱却していく上でも、日銀はどのような役割を果たすべきと考えているのか、改めてお伺いいたします。
52:30
これは一般論でございますけれども、金融政策は財政サービスに対する総需要に働きかけるという政策でございます。引き締め方向でも緩和方向でも協力を発揮すると思います。局面局面によって、なかなか緩和方向での効き目が弱いということも、例えば過去数十年の日本のようにあるかもしれませんが、一般論としては金融政策で総需要に働きかけ、金融緩和で働きかけ、物価や賃金を上昇させるということは可能であるというふうに考えております。
53:14
デフレではないけれども、デフレ脱却したとは言えない。これは政府もよく答弁で使いますけれども、このような中で金融緩和の見直しを行っていくということは、円高を促し、エネルギーや有利品の価格を抑えることにはなるかもしれませんが、決して景気がいいとは言え ない現在の我が国の需要を引きこませ、景気交代につなげる可能性は否定できないわけであります。そうすると企業収益が悪化したりとか、名目賃金が日上げの動きを止めてしまうという可能性もありますが、金融緩和の見直しを行うにあたって、具体的に緩和策のどこをどのように見直すことが今後適切と考えているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
54:13
現状では、初心でも申し上げましたけれども、消費者部下全体は4%くらいの率で上昇しているわけでございますが、基調的な動きを定義するのはなかなか難しいものではありますが、これはまだちょっと2%には間があるというふうに考えております。ですので、金融緩和を継続するということが適当であるという判断でございます。これを引き締め方向で見直すということであるとしますと、その基調的な物価の判断が大きく改善するということが必要かなと思っております。その際にどういうふうに見直していくかという具体論については考えていないわけではございませんけれども、さまざまな影響もございますし、今後の経済情 勢の変化に応じてどういうやり方が適切かということもいろいろ変化してまいりますので、この時点で具体的にお話しさせていただくことは不適当かなと考えてございます。
55:23
では次にイールドカーブの歪みについてお伺いをさせていただきます。昨年12月にイールドカーブの歪みをなくすということで、日銀は長期金利の上限を0.5%に拡大をいたしました。これは経済学者の中にはイールドカーブの歪みをなくすためであれば、8年9年の国債を買えばいいだけであって、長期金利の変動幅の拡大にはイールドカーブの歪みをたわす効果にはあまりなかったのではないかというふうなことも言われる方もおられます。上田参考人は昨年12月の長期金利の変動幅の拡大を0.25から0.5に拡大したわけですが、この点についてどのように受け止めておられるのかお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
56:23
お答えします。昨年12月のイールドカーブコントロールに関する措置でございますけれども、趣旨としては市場機能の低下が若干昨年国債周りの市場機能の低下ですね。見られた中でイールドカーブコントロールによる金融緩和の持続性を高めるために捉えた措置というふうに考えてございます。現在は市場機能へのプラスの影響が出るかどうか見守っているという状況かなと思っております。
57:05
続けてですね、ワークの経済の成長についてお伺いさせていただきたいと思いますが、先ほどの上田参考人からもありました潜在成長率のことについてでありますけれども、西銀はワークの潜在成長率について最新の数字では0.31ということで発表しております。アメリカと比べると、米国と比べると2ポイントぐらい低いのではないかというふうに思うわけでありますが、これまで10年間異次元の金融緩和を行 ってきても安定的に2%の物価上昇に至らなかったのはですね、そもそも我が国の潜在成長率が低いままであったからではないのかということもよります。低い潜在成長率と2%の物価安定目標、これはですね、ちょっとかなり返りがあるのではないか、釣り合っていないのではないかというふうに思ったりもしますが、参考にはですね、この2%の物価安定目標とですね、この我が国の潜在成長率、最新の数字で0.31、このことについてどういうふうにですね、見ておられるのかお考えなのか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。
58:28
ご質問の点は、経済理論的に考えますと非常に難しい点に関するご質問かなと思っております。先ほどもちょっと申し上げましたように、潜在成長率が低い経済では、のりしろを確保するというような意味での目標インフレ率は、場合によっては高めの方が望ましいという議論もございます。経済を刺激するのが難しいので。他方、潜在成長率が低いところで、しかし現実の物価上昇率は目標インフレ率よりも低い、下回っている。そこで目標インフレ率にたどり着くという努力をするということは、おっしゃるように潜在成長率が低いほどなかなか難しいということがございます。ですので経路の途中では潜在成長率が低いと、頑張らないと上に行けないということがございます。一方で、あくまで理論的にでございますけれども、潜在成長率が低いと、できれば高いところまで行きたいという議論も一方にございます。ただ現状は2%という目標を前提とした上で、潜在成長率が低いことから来る金融緩和の需要を支える力がもう一つであるということも踏まえつつ、強い金融緩和を継続しているということかなと思っております。安倍総理君。 そうなると低い潜在成長率のままで、いくら物価安定目標2%だと言っても、なかなかこれ上がっていかないから、ずっと金融緩和ばかりを継続していくということにはならないのでしょうか。上田参考人。 それはなかなか難しい、あるいは潜在成長率が高い場合に比べますと、より一層の努力が必要になるということは言えるわけですけれども、永久に無理であるという結論は出てこないかなと思います。安倍晋三君。 永久に無理とは私も思いませんが、続きでお答えさせていただきたいと思います。我が国の潜在成長率が低いということは、それだけで経済に力がないというわけでありまして、この成長率を、成長力をどうやって取り戻していくのかというところが大変重要だということは、先ほども上田参考人からのお話にもありました。我が国の構造改革、規制改革を進めて、経済成長を実現していくこと、経営者に成長への期待を持ってもらうということが非常に必要でありまして、そうすれば自然利子率も上昇し、名目金利の引上げ余地も生じてくることから、一次元の緩和の出口につながっていくというふうに考えます。2013年の政府と日銀の共同声明がありますが、そこの特に3番なわけでありますけれども、政府は我が国経済の再生のため、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、日本経済再生本部の下、革新的研究開発への集中投入、イノベーション基盤の強化、大胆な規制制度改革、税制の活用など、思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進するというふうに書かれております。また、政府は日本銀行との連携評価に当たり、財政運営に対する信任を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進するというようなことが、この共同声明の中に書かれておるわけであります。私はまだ、この政府の構造改革とか規制改革、こういったものが不十分で、我が国の成長戦略が描けていないというふうに思うわけでありまして、参考人は、我が国の成長戦略として、どのようなことが必要と考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
1:03:16
委員御指摘のように、成長率が中長期的に高まっていくためには、いろいろな意味での投資が増えるということは極めて重要と考えます。設備投資、研究開発投資、あるいは人的資本投資等でございます。この点、政府は賃上げの促進やデジタル化などの様々な成長力強化の取組を行っていらっしゃるものを承知していますし、そういうことが良い成果を生んで成長率が高まっていく、引き上げられていくということは非常に望ましいと考えております。それから同時に、人口、特に生産年齢人口が増えていくということは、経済の供給能力を増やしていくという効果を当然持ち、完全雇用における生産水準を引き上げるという効果を持ちます。この点は、ここ10年の政府が推進してまいりました働き方改革によって、女性や高齢者の労働参加が進み、人口減少ではあったわけですけれども、生産年齢人口は減らずに、あるいは雇用は増えるという効果を持ってきたところであります。しかし今後はその辺、いろいろなことを考えますと頭打ちになっていくということは予想されますので、やはり一層生産性の上昇というところに力を入れていくということが必要かなと思います。付け加えますと、現行の金融緩和は低金利環境を続けるということで、広い目の投資にとってはプラスの環境を続けているという効果があるかなと思っております。
1:05:14
そこでなんですが、日銀というのは、前の衆議院での質問でも、参考人が答弁なされておられましたけれども、全国に今支店があって、事務所もあって、そして5000人の職員の方がおられてということで、各支店が地域の声も聞いておるということでありました。私は地域の経営者とのいろんなコミュニケーショ ンをされていると思います。日銀の単管だってそうだと思うんですけれども、経済の状況を把握しているのが日銀の各全国の視点だと思っておりまして、そういった地域の声を集約していく、日銀の情報のネットワークを生かしていく、こういったことを政府に支えていくことが非常に効果的な政策をつくって、いくことになるのではないかと思いますが、日銀と政府が連携する中で、日銀が低減だとの形で地域の声を政府にしっかりと反映させて伝えていく、こういったことをされてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
1:06:23
おっしゃいますように、日本銀行はたくさんの視点事務所を抱えており、そこで中小企業から大企業まで様々なヒアリングを行っております。その結果は、毎四半期ですかね、定例のレポートとして大概公表されておりますが、それに加えまして、あるいはそこの付属資料として様々なトピック的なことに関してヒアリングで据え上げられた情報を、特に地 域の企業が課題と考えているようなテーマにつきまして、問題提起を行っているセクションもございます。こういうことも含めまして、日本銀行が行う政府との意見交換等の際には、地域の声を政府にお伝えするということは、今後も一生懸命やっていきたいというふうに思っております。
1:07:27
共同声明のことになりますけれども、先ほども申し上げましたように、政府との共同声明の中で、革新的研究開発の集中投入、イノベーション基盤の強化、大胆な規制、制度改革、税制の活用、思い切ったことを相談しということがあるわけでありますが、このところがまだまだ私は不十分だというふうに考えておりまして、政府の規制改革や構造改革の実行というものを、いつまでにという期限を区切って求めるような形で、共同声明を結び直した方がいいのではないかというふうに思いますが、上田参考人、この点についてどのようにお考えなのかお聞かせ いただければと思います。
1:08:22
おっしゃいますように、構造改革で潜在成長率を高めていくという努力は極めて重要だと思います。ただ、生産性がどれくらいそれによって高まるか、あるいはここまで何年後までに高めないといけないというふうに、きちんと時期や程度を区切ってファインチョーニングができるようなものではないというふうに考えておりますので、数値目標的なものはなかなか難しいのではないかなというふうに思ってございます。
1:09:01
数値目標というか、いつまでにどれくらいを達成していこうという大きな目標に向けてやっていくということは、大事ではないのかなというふうに思ったりもいたしております。いずれにしろ、大変厳しい日本の経済の舵取りを担うという、本当にチャレンジ精神に敬意を表して、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
1:09:53
国民民主党の浜野義文でございます。ご質問させていただきます。我が国は様々な課題がありますけれども、その中でも、持続的な経済成長が最重要課題であると認識をいたしております。そのために、いかなる政策をとるべきなのか、経済政策全般につきまして、日銀総裁候補また経済学者のお立場からの御見解をお伺いしたいと思います。通告に沿いまして、質問させていただきますけれども、中には関連をしてということで質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。ま ず、我が国の経済は20年以上にわたって低迷を続けております。その原因等につきましては、衆議院、そして本日の場においても様々なご説明いただきました。私なりに理解するところは、バブル崩壊以降、何回かの経済危機を経て、日本の経済状況が、国民の皆様方、消費することよりもお金を貯めることを優先するようなマインドといいますか、そういうような状況になってきた。そして、企業においても、将来に向けて投資をするということよりも、企業内部に資金を貯め込む方を優先するようになったと。そういう状況に陥ってしまったということかな、というふうに理解するんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
1:11:29
そこは、結果的にはそういうことだと思っております。
1:11:36
そういう状況に陥ってしまったということを、いかに打開をしていくかという状況になってきているというふうに理解をいたします。約10年前に安倍政権時に、経済の再生に向けまして、大胆な金融政策、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の、いわゆる三本の矢を柱とする経済政策が打ち出されました。その3つについてお伺いしていくということで質問をしたいと思いますけれども、三本の矢の一つであります、この10年間の金融緩和政策について、妥当であったというふうに考えておられるというふうにご説明されてきましたけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。改めて合格にいたします。
1:12:30
基本的に目標のパーセントのインフレイトを下回ってきた中で、金融緩和を続けたということは妥当であったと考えております。
1:12:44
10年間の金融緩和政策については、おおむね妥当であったというふうに認識をされているということでありました。その上でお伺いいたしますけれども、先ほど来からもご質問がございました。そもそもですね、物価上昇が経済成長にどのような経路で結びついていくというふうに、今日まで西銀は考えてきたのか、そのことについて候補はどのようにお考えなのか、ご説明をいただきたいと思います。
1:13:21
ここは理屈の上では2つの経路があると思っております。1つは2%の目標に向けて努力してそこに近づいていく過程で、金融緩和は総需要を支えるという政策でございますので、総需要が支えられることによって、雇用や企業収益も増える、これが消費や設備投資に良い影響を与えるという効果があるかなと思います。もう1つは金曜日にも ちょっとお話したことですが、2%の目標がうまく達成されて持続的にそういう状態にあって、物価安定というインフラが整備されると、その下で経済活動は安心して活発に行える、行うことができるようになる。これが日銀法では国民経済の健全な発展という表現になっているかと思います。そうしますと、それが生産性を高めたり、潜在成長率を高めるという効果を持ってまいるかなというふうに思っております。
1:14:30
2つの経路があるというふうにおっしゃいました。私、1つ目の経路、物価が上がることによって、やはり消費が結果的に換気されるということは理解できるんですけれども、2つ目の経路、物価が上がることによって経済が伸びていくという経路があるんだということ、今1つ理解ができませんでしたので、もう1度分かりやすく御説明いただけませんか。
1:15:07
これは今日の先ほどの目標インフレ率の話のときにもちょっと御説明して、私の説明がまずくて申し訳なかったんですが、物価安定というのは経済のいろいろな金融活動を図る物差しをしっかり安定させるという政策でございます。逆にこれが不安定ですと経済活動を図るというところがいろいろ誤差が入ったり不安心理が入って不確実性が増えるということでうまくいかなくなるという問題が発生します。そういう問題を最小限に抑えるというのが物価安定目標の達成ということかなと思います。それによって安心して人々が通常の経済活動に先進することができる。これが中長期的に良い影響を生産性等にもたらすという意味でございます。
1:16:09
関連して更に御質問したいんですけれども、先ほど来の質疑でですね、候補は物価安定というのは基本的には0%というのが安定なんだという説明をされました。私はあれというふうにちょっと思ったんですね。と言いますのも、今日まで日銀はですね、物価安定というのは何%かは別としてもですね、適度に物価が上がっていくということが物価安定なんだというふうに説明されてきたのではないかなと私は理解をしているんですね。先ほどは0が安定の基本なんだというふうにおっしゃいましたので、そのあたりを更に説明していただけませんか。
1:17:01
一方に物価安定は概念的にはゼロインフレに対応するものであるという考え方がございまして、もう一方に先ほど来議論のありました、 乗り代をできれば確保したいという議論がございまして、こちらの方からしますと少し高いインフレ率の方が望ましい。この両方をバランスしてどの辺がいいかということを考えた結果、大体2%くらいがいいのではないかというのが、いろいろな国で出ている結論でご ざいます。それを物価安定の現在時点における定義というふうにほとんど全ての地方銀行が表明していると思います。したがって、そういう意味での物価安定の定義に基づきますと、若干プラスのインフレ率で物価が上がっていく状態が物価安定ということでございます。
1:18:01
ありがとうございます。理論的に正確に候補は説明されておられるのかなというふうに思うんですけれども、私はですね、私も含めてかもわかりません。国民の皆様方の多くがですね、日銀がその目標として物価上昇を置いているということの意味合いをですね、どれぐらい理解されているのかですね、それを私も理解できていないのかもしれません。なぜ物価上昇を求めているのか、それがどう経済成長に結びつくというふうに考えているのかですね、よりわかりやすく説明をしていただくということが極めて大事ではなかろうかというふうに思うんですね。私が考えるのはですね、大雑把に理解すれば、仮にですね、物価が上がらないとすれば、国民の皆様方は消費するよりもむしろ消費を手控えられるということになるのではなかろうか。さらに企業においても、将来に向けて投資をするというよりも、資金を手元に置いておくという行動に走る可能性が高いのではないかと。そうなるとですね、経済は回りませんので、経済は伸びていかない。そういう状況を打開するために、日銀は物価の上昇ということを目標に置いているんだと。こんな説明をですね、していっていただいたらいいんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。小田さん、後任。先ほど、何で目標インフレーズが2%なんだということの理論的な根拠をご質問されたというふうに思いましたので、学会での標準的な説明をちょっとさせていただきましたが、かえって分かりにくい面があったというご指摘だと思いますので、今後、分かりやすく説明させていただくように注意してまいりたいと思います。
1:20:11
はい、関連してですね、ご質問いたしますけれども、物価上昇2%ということで目標を置いておられるわけですけれども、現状はですね、4%程度になってきていると。ただ4%程度になっているんだけれども、賃上げを伴うですね、物価上昇になっていないからまだ目標には満たずなんだという説明なんですね。これも、分かったようで分からないような感じもするんですね。とすればですね、例えば、国内で生み出された全ての再収材とサービスの物価仕様であるところのGDPデフレーターの上昇と、これもまあ、小難しい仕様だとは思いますけれども、GDPデフレーターの上昇というようなことを目標に据えておけばですね、このように4%超えだったんだけれども目標満たずだという説明をする必要はなかったんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、いかがでしょうか。
1:21:17
確かに、物価安定の指標として消費者物価的なものではな くて、GDPデフレーター周辺のものを使ってはどうかという議論は昔からございます。ただ、普通消費者物価あるいはそれに類するものを多くの地方銀行が使っている一つの大きな理由は、結局経済活動は最終的には家計がどういう材サービスをどういう条件で購入してどれくらいの満足を得ることができるかというところを測りたいということから来ているのかなと思います。その上で、より広い身の物価の動き、あるいは物価の基調の動きを把握するためにGDPデフレーター等も見てはどうかという見解は検討に値すると思いますが、ただ技術的な難点としまして、GDPデフレーターは市販機に1回しか手に入らないとか、あるいはもっと技術的になりますが、現有の価格が上がって、それが国内財に転嫁されないような時には、かえってGDPデフレーターが下がってしまうというような難しい問題もあったりしまして、今のところ参考指標程度にとどめているという地方銀行が多いのかなというふうに思ってございます。
1:22:39
さらに関連してお伺いしますけれども、日銀は金融政策だけで物価上昇が生み出されると考えてきたのかどうか、候補 はどのようにお考えでしょうか。
1:23:01
そこは日本銀行内部でも人によって違うかもしれませんが、現在私としては、もちろん金融政策は物価に影響がある、金融緩和は物価上昇につながるということを思っておりますが、それだけで物価が決まるというわけではございませんので、その他の要因の大きさ次第では、金融緩和が物価上昇を生み出すのに時間がかかるというふうに考えてございます。
1:23:35
今の候補のお答えは、金融政策だけでは必ずしも物価上昇を生み出されるものではないという御説明だったというふうに理解をいたしましたけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
1:23:52
それはもちろん外的なショックの大きさとか持続性次第ということだと思います。非常に大きなマイナスのショックが長い期間続くということになりますと、その期間はかなり金融政策面で頑張っても、直ちにはプラス物価の上昇につながらないということもしばしばあるかなとは思っております。
1:24:20
ここからは日本の財政及び財政政策についてお伺いしたいと思います。したがって日銀総裁候補というよりも経済学者のお立場でぜひ御見解をお伺いできればというふうに思います。まず通告はしていないんですけれども、日本の財政の状況について、時には危機的な状況にあるといったようなことも言われたり、日本の財政には極めて問題があるんだというようなことも言われますけれども、日本の財政の現状について経済学者としてどのように見ておられるか御見解をお伺いしたいと思います。
1:25:11
ここは経済学者としての見解と申しますよりは私日銀総裁候補として今日ここに立っておりますので、財政政策は政府と国会がお決めになる権限と責任を持っていらっしゃるということですので、具体的な評価は差し控えさせていただければなと思います。
1:25:42
そういうふうに断定されてしまいますが、その後の質問はしづらくなるんですけれども、こちらもちょっと都合がありますので、ぜひ経済学者としての御見解をお伺いしたいと思います。2021年の10、12月期以降、GDPギャップはマイナス2%程度で推移をいたしております。総需要が総供給に追いついてきていない状況にあるわけであります。こうした中においては、普通一般論で言えば、また経済学的に見れば財政失踪していくということが必要なんだろうというふうに私は思うんで すけれども、経済学者としていかにお考えかお答えをいただければと思います。
1:26:44
私の知る限り、GDPギャップにつきましては、日本では内閣府と日本銀行の推計が出ていると思います。それぞれ推計方法が違いますので、やや異なった結果が出ていて、GDPギャップの推計という場合は、幅を持ってみる必要があるかなと思います。ここまでは申し上げられますが、私の方も都合がございまして、やはり総裁候補という立場では、財政政策の具体的なことについて評価することは差し控えさせていただければなと思います。
1:27:26
お答えいただける範囲で結構ですので、これは私の考えもぜひ聞いていただくという意味で、ご質問を続けたいと思いますけれども、やはりマイナスのGDPギャップがある中で増税をする ということは、やはり経済成長に逆行するというものだと考えるんですね。従ってそれは当然避けるべきものであろうというふうに考えます。それについての御見解もお伺いしたいなというふうに思います。今と同様の質問になるかと思いますけれども、御見解をお伺いします。
1:28:10
増税を含めまして財政政策は政府と国会がお決めになるというふうに思っておりますので、具体的な評価は差し控えさせていただければなと思います。
1:28:26
財政関係についてはこれで最後にいたしますので、よろしくお願い申し上げます。最後に財政関係で財政健全化目標についてお伺いしたいんですね。プライマリーバランスを黒字化目標を抱えること につきましては、機動的な財政支出を妨げることとなり不適切ではないかというふうに私は考えます。例えばですね、政府の利払費をGDP費2%以内にするであるとか、または政府の利払費と利息収入を比較するといったような指標を設定すべきではないかというふうに考えるんですけれども、これもなかなかお答え難しいのかもわかりませんけれども、精一杯御見解を表明いただければありがたいと思います。
1:29:24
財政政策は政府と国会が決める権限と責任をお持ちですので、具体的な評価は差し控えさせていただきたいと思います。ただその上で申し上げますと、共同声明にも含まれておりますように、政府再移動で中長期の財政運営に対する市場の信任が得られるような財政構造を確立するよう努力するというふうに記述がありますが、この点は重要であるというふうに考えてございます。
1:30:03
ちょっと金融政策にも少し戻る質問になろうかと思いますけれども、お伺いしたいと思うんですね。日銀が保有する国債の水準ですね、政府が出している国債のうち5割を超える国債を日銀が保有するに至ったということで、それは異常だというふうな言い方も時にされたりすると思うんですけれども、保有する比率が適正な水準であるとかないとかいう何らかの基準が、基準というか水準、仕様があるんでしょうか。ご見解をお願いいたします。
1:30:46
それは特にないと思います。日銀、日本銀行はその物価目標、持続的安定的に2%目標を達成するということのために、量摘出的観は政策の一環として国債を購入してきたものだというふうに思います。
1:31:11
委員長、少しご質問させていただきまして、少し私の意見表明みたいなことになるのかもしれませんけれども、候補は金融政策だけで必ずしもその物価目標2%を達成できるものではないというふうに説明されました。私はやはり金融政策に加えて財政政策等も合わせ合わされないと、その目的は達成されない可能性が高いのではないかというふうに考えるところでございます。そういう中において、この財政健全化目標が、私は国民の皆さん方の無用の不安を煽ってしまうということになってないのかという問題意識を持つところでございます。といいますのも、政府が健全化目標、財政健全化目標という目標の立て方をすると、現在日本の財政には問題があるんだということを表明してしまっているに等しいことではないかなと私は理解をするんですね。質問を終わったつもりだったんですけれども、このように考える私の考え方について、経済学者としていかにお考えでしょうか。
1:32:45
私の考えでは、日本だけ でなく世界の多くの中央銀行において、金融政策を考えていく際には、財政政策は所有のものとして、どういう金融政策がいいかという観点から考えていくものだと思っております。
1:33:06
冒頭申し上げましたように、安倍政権時に打ち出された金融政策、そして財政政策、そして成長戦略という流れで質問をさせてまいりました。最後に、いわゆる成長戦略についてお伺いしたいと思います。そもそも経済を成長させる成長戦略というようなものが、そもそもあり得るのかということについて、少し大雑把な質問でありますけれども、これまた経済学者のお立場で御見解をお伺いしたいと思います。
1:33:49
例えばということで申し上げれば、全く架空の例えばでございますけれども、経済成長を促進するということであ れば、投資が増えることは望ましいわけでございますが、そのために投資を促進するような、税制等の措置をとるということは、一つの政策にはなり得るかと思います。
1:34:16
これも非常にお答えが難しいとは思うんですけれども、お答えいただける範囲で経済学者としてお願いしたいと思うんですけれども、現在政府はGX、グリーントランスフォーメーションについて、GXを加速させることは、エネルギーの安定供給につながるとともに、我が国経済を再び成長軌道へと戻す起爆剤としての可能性も秘めています。こういうふうにしているんですね。経済学者として、このGXがどのような経路で成長を生み出すというふうに理解ができるのか、経済学的に御見解をお示ししていただければありがたいと思います。
1:35:11
こ れは脱炭素社会の実現に向けた様々な活動が必要になるわけですが、特に設備投資あるいは研究開発投資が大規模に展開されるということになることが、グリーントランスフォーメーションを加速させることになると思います。そうしますと投資の増大につながりますので、新しい成長機会がもたらされるというふうに考えられると思います。
1:35:44
私は政府が成長を生み出す起爆剤としての可能性を秘めているということは否定するものじゃないんですけれども、ただ、GX脱炭素をしたからといって、新たな付加価値が生み出されるとか商品が生み出されるというものでもないかなという気もいたしまして、本当にこのGXが成長を生み出すのかどうかということは注目を引き続きしてまいりたいなというふうに思っております。そして少し話題が変わりますけれども、政府は賃上げが今後の成長の鍵だというふうに説明をされておられます。このことについては私も全く基本的には賛同する立場でありまして、この春においても賃 上げをしっかりと実現をしていくということが成長を生み出していく本当に大きな鍵ではなかろうかというふうに思うところであります。こういう賃上げが成長に結びつくんだということを、これまたお立場が違うかもわかりませんけれども、日銀の立場を踏まえた上で国民の皆さん方に対して表明をしていくということが大事ではないかというふうにも考えるんですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
1:37:16
委員がおっしゃいますように、現在の金融緩和は経済をしっかり需要面から支えることによりまして、企業が賃上げをできる環境を整えることが重要であるという考えに基づいているものと思います。そういう考え方について、これまでも日本銀行は公演その他で情報を発信してきたものというふうに認識しておりますし、引き続きよりわかりやすい説明を務めていくということが重要であるというふうに考えてございます。
1:37:59
賃上げに関して、これまた経済学者のお立場で御見解をお伺いしたいと思うんですけれども、賃上げを実現するためには様々な重要なポイントがあろうかと思いますけれども、私は改めて我々が重視しなければならないことは、価格転嫁、公正取引ということではないかなというふうにこのごろ強く感じるに至りました。問いますのも、賃上げはせよ、ただコストは企業の内部でしょうか、せよと言われると、これ賃上げは続かないと思うんですね、毎年。したがって、やはり賃上げをした、コストが上がった、その部分は価格転嫁をして、それを社会的に理解し合おうと、こういうことが極めて大事である。逆に言えば、そういう理解が、今日まで、ここ数十年、もしかすれば日本社会はできてこなかったのではなかろうかというふうにも考えるところでございます。経済学者としてどうお考えか、御見解をお伺いいたします。
1:39:14
まず、一般論として、金融緩和等で総需要を支え、企業収益を支えることが、最終的に賃上げにもつながるということは言えるかと思います。それから、企業同士の取引関係のところでございますと、例えば、民間の試みとして、パートナーシップ構築宣言等に見られますように、大企業の収益増が幅広く経済に行き渡るための努力もなされつつあるというふうに考えてございます。ありがとうございました。終わります。
1:40:16
日本共産党の仁比聡平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。これまでの質疑も踏まえて、異次元の金融緩和政策の反省と転換について、上田候補の姿勢をお聞かせいただきたいと思います。異次元の金融緩和は、安倍のミックスの第一の矢として続けられてきました。10年前、復活した安倍政権が、デフレこそ日本経済最大の問題、デフレの原因は金融政策、大胆な金融緩和をやれば克服できると唱えて、量的出席金融緩和が開始された当時から、我が党は、世界で異常な日本経済の長期停滞の原因は賃金引下げとぶっかけらくの悪循環と指摘をし、政府が進める低賃金で不安定な非正規雇用の拡大をやめようと主張してまいりました。2013年の共同声明の発表直後にも、金融政策なのみのインフレターゲットではなく、大企業の内部留保の活用など賃上げ目標、賃上げターゲットこそと、暮らし経済の立て直しを提案をいたしております。実際、2年で2%の物価上昇という目標は10年経っても達成できませんでした。そして今や政府も企業にお願いするというばかりなんですが、それでも賃上げが経済再生の鍵というようになりました。デフレの原因は金融政策という診断も、異次元の金融緩和という処方箋も間違っていたから効果が上がらず失敗したのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
1:42:29
デフレそのもの賃金と物価両方ですね。これの原因としましては先ほど来ご説明しておりますように、ちょっと古く90年代くらいから振り返ってみますと、さまざまな外適色があったこと。それでデフレ経済に陥ったことが人々の行動をデフレにあったものにしてしまいまして、それが物価を上がりにくくしているということにつながってしまったこととかなと思います。その上でさまざまな金融緩和政策を取ってきたわけですが、それは2013年以降特にデフレを食い止める、デフレでない状態を作り出すということには効果があったと思いますが、今申し上げたような金融政策外の要因もあったために完全に2%の目標に達するというところには至っていないというふうに考えてございます。
1:43:39
現に実質賃金は上がらなかったわけです。いくら雇用者所得が増えたといっても、それで一つ一つの家計がよくなるということとは違うわけで、実質賃金が上がり、国民生活が向上する中で実体経済をよくしていくということが私は必要だと思うんですね。そこでもう少し聞きたいと思うんですけれども、黒田総裁は、アベノミクスの当初、2014年の3月に日本商工会議所の講演の中でこう言われています。賃金が上昇せず、物価だけが上昇するということは普通には起こらない。商品やサービスの価格上昇により企業の売上が伸び、収益が増加すれば、それに見合って労働者に支払われる賃金は増加すると。当然のように強調していたんですけれども、全くそうはならなかったわけです。物価上昇と賃上げの関係について、上田候補は衆議院の審議の中で、物価の方で2%が達成された暁に賃金の名目上昇率がどれくらいかということを前もって確信をもって申し上げるのは極めて難しい。その時々の経済情勢によってかなりの幅をもって変動し得るとお述べになられたと思うんですね。となると、大規模金融緩和を続けても、十分な賃上げ、あるいは十分な賃上げを伴う持続的安定的な物価上昇というのは、おぼつかないということになりませんか。
1:45:43
質問の後段の持続的な2%の物価上昇は達成された暁にどういう賃金の動きになるかという点でございますが、それは持続的な賃金の上昇になるという ふうに考えてございますが、それが何%になるかということは、その時の生産性の上昇率とか、それから労働者の公正がいろいろ過去も変化しておりますので、それによって平均賃金が変化するという効果もありまして、前もって言うのはなかなか難しいという意味でございます。小池晃君。質問の前段の、特に足元の状況を御指摘されているんだと思いますけれども、物価が上がってもなかなか賃金の上昇に結びついていないという面があるということだと思いますが、ごく足元では賃金の上昇が少し追いつきつつありますが、これまでの物価上昇が特に昨年来ですが、コストプッシュ的なものであったために、なかなか賃金にしばらく波及しにくかったという面はあるかなと思っております。西沢総平君。学者らしい御説明なのかなとも受け賜るんですけれども、今、賃上げは、これあれこれの1つではなくて、物価を十分に上回る賃上げ、これが経済立て直しの決定的な鍵だと思うんですね。黒田総裁は、昨年の秋に、アベノミクスが始まった段階でというのを念頭にですね、もう少し賃金のことをはっきり言うべきではなかったかというのはその通りだと、参議院の財政金融委員会で答弁をされました。もうこれまでも議論ありましたけれども、2度にわたる消費税の増税、社会保障の負担増、こうしたアベノミクスで家計は痛めつけられてきたわけです。そこに、今、食料品やエネルギーなどの物価高騰が、暮らしと営業を直撃しているわけです。家計こそがGDPの6割を占める経済の土台なわけですから、だからこそですね、今春党で連合は5%、全労連は10%の賃上げを要求しています。そうした賃上げが必要だと、政府や経済界に向かって言うべきではありませんか。
1:48:45
持続的な2%のインフレが達成される、あるいは今ちょっと2%には届いていないけれども、貴重的なインフレ率、これが着実に上がっていくためには、賃金がもう少しきちんと上がるということが必要であるという認識は私も持っておりますし、日本銀行もいろいろなところで表明しているというふうに思っております。
1:49:18
どうもはっきりしないんですけれども、先ほど生産性の向上というお話もありましたけれども、今のこの緊急のこの日本経済の立て直しのことを考えたら、なおのこと、私どもは大企業に積み上げられてきた今や500兆円に上るこの内部流報に適切な課税を含めた対策を打って、これが実体経済、とりわけ賃金に還元されるという、そうした中で抜本賃上げをしっかり果たしていくということが必要だというふうに思います。実質的賃金が上がらない一方で、物価がどうなったのかということについて続けてお尋ねしたいと思うんですが、消費者物価指数を生活必需品、食料や家賃、水耕熱費や衣服、交通費や保健医療費などの生活必需品と、贅沢品に分類して動向を比較した調査がこの間行われています。それを見ると、2014年度以降、つまり大規模金融緩和が始まった時期以降、贅沢品は横ばいで推移する。一方で、生活必需品は明らかに上昇している。その上昇も結構急上がっているというトレンドだと思うんですよね。物価の二極化という表現もあるかと思うんですが、そこに加えてさらに日本の物価高騰があります。これはウクライナ危機、気候危機などを背景にした世界的インフレに、円安、つまり1年前の1ドル115円台が、さっきの10月150円を突破したといった異常円安が重なって引き起こされました。生活必需品は低所得の家計ほど比重が高いですから、だからこれによって低所得層の負担増、実質購買力というのを低下するわけですよね。大規模金融緩和による円安によって、生活、そして営業の困窮が引き起こされているという点について、候補はどうお考えですか。梅田参考人 おっしゃるように必需品を大きなウエイトとして含みます消費者物価指数、総合は高い率で伸びております。これに対して何度も申し上げておりますが、貴重的なインフレ率は低い、2%低いと言ってもプラスではあると思いますが、2%にはまだまだあるという中で、日本銀行の金融政策は後者の方に力点を置いて金融緩和を現在続けているというスタンスになっているかと思います。ここは金融委員もちょっと申し上げましたが、私は国民の皆さんには生活実感との乖離金融政策の背景についてもう少し丁寧な説明を今後詳しくしていく必要があるというふうに思っております。
1:53:01
候補のおっしゃる丁寧な説明というのを、総裁候補ですから慎重にお話になられているのかもしれないんですが、今お話の中にあった候補の御認識、衆議院の議事録で拝見しますと、貴重的なインフレ率について少し良い動きが出てき始めている。この目を大事にして育てていきたいといった御答弁もされたかと思いますが、この近々でいうと、米国の金融引き締めという動きだったり、あるいは日米金利差が再び拡大するのではないかというような懸念だったりということの中で、円が136円などの円安に触れている。これが再び異常円安ということになれば、そうした見通しというのは吹き飛ばされてしまうんじゃないか。生活は本当に大変だし、2%目標も一層遠のくのではないかと。私なんかは心配もするんですけど、候補はいかがでしょうか。
1:54:20
非常に直近の足元では、委員おっしゃるような動きが少し見られておりますけれども、少し中長期的に展望します。少し中長期的と申しますか、数ヶ月半年、1年というところで展望しますと、これは金曜日、今朝、先ほども申し上げましたように、出入品を含む消費者物価指数総合のインフレ率は、現在の4%からかなりはっきりと低下し、来年度半ばくらいですか、2%を下回るというところ まで低下していくというふうに考えております。
1:55:06
日銀が今お持ちの見通しを候補としてもお述べになっているということで、果たして本当にそうなのかということが大問題だと思います。次にちょっと話題を変えたいと思いますけれども、異次元の金融緩和は、私はデフレ克服の金融政策としては失敗だったと思います。デフレ克服としては失敗でも、円安株高を誘導するという政策としては、いわば大成功を収めたんですよね。安倍元首相は、政権奪還する2012年の総選挙で、金融緩和による円安を公約に掲げました。2013年の9月にニューヨーク証券取引所での講演は、みんなの記憶に新しいところですよね。「売買アベノミクス」と訴えて、日本株への投資を海外勢にアピールしたわけです。実際、円安について見ると、2012年の1ドル、およそ80円くらいというカーセレートが、2015年には120円くらいまで円安が進行しました。株価は2.6倍に上昇しました。これで利益を上げたのは大企業です。異次元の金融緩和の本当の狙いというのは、こうした円安株高誘導で大企業を儲けさせることだったのではありませんか。
1:56:47
円安株高の経済の応用成果は、極めて多様な側面があるかと思います。例えば円安に限りましても、グローバル企業の収益にプラスに作用するという面がありますし、さらにインバウンド需要が増加すれば、これは地方の中小サービス業にもメリットをもたらすという面があるかと思います。もちろんマイナス面としては、輸入材を使っている企業、あるいはそれを間接的に消費する家計の実質所得を下げるというようなマイナス面があるかと思います。いずれにせよ、多様な影響がございますので、どれか一つが政策のターゲットであるようなことではないかなと思っております。
1:57:40
富裕層はどうかと。年収200万円以下のワーキングパワーが増える一方で、富裕層の資産は2倍3倍に膨らみました。野村総研のデータで、金融資産5億円を超える超富裕層の資産総額は、2005年の46兆円から2019年には97兆円へと。15年で2倍以上、一世帯あたり2億円以上に膨らみました。日銀政策審議員のお一人、高田はじめさんの論文で、超低金利環境は、純金融資産価格の上昇を通じて、世の中の格差を一層広げるという趣旨の記述がございます。日銀の異次元の金融緩和が、結果格差を拡大したと、私は思うんですが、候補の御認識はいかがでしょう。
1:58:49
確かに、株式保有からの収益に対して、預金の利息率が低金利政策の下では制限される。株の方は場合によって上がるということで、そこは所得格差の拡大につながる面があるかと思いますが、他方で金融緩和は、住宅ローン金利を低下させてきたという面を通じて、幅広く家計の所得、あるいは実質所得を支えてきたと思いますし、さらに金融緩和が経済活動をバックアップしてきたということが、雇用等を通じて国民格層に幅広いプラスの影響を持ってきたというふうにも考えてございます。
1:59:48
総考者候補は御説明されるんですけれども、実際には賃金は上がらず、格差は極端に拡大していると思います。結局この10年、異次元の金融緩和がもたらしたのは、円安と株高だけなのではないかと。その真摯な反省の上に立って、異次元緩和の総括と金融政策の正常化に私は臨んでいくべきだと思うんですね。これからどうするのかということについてお尋ねしたいと思います。物価2%目標を一体いつまで続けるのかと。先ほど日米金利産が万が一拡大していくということになれば、先ほど 来日の少し目が出てきたという見通しもですね、崩れてしまうんじゃないかということも申し上げましたけれども、そうした中で候補は衆議院のご答弁の中で、金融政策の効果が及ぶのに標準的な時間は2年ということを前提にされつつですね、日本経済が過去10年20年置かれた状況では標準系が当てはまらない。何年後に目標が達成できるか、なかなか現状では確信を持って答えることができないという残念な状態にあるとお話しされました。このご認識そのものは私もその通りだなと思う部分もあるんですけれども、端的に聞きますと、これでは永久にやめられないと、永久に金融緩和をし続けなければならないということになりませんか。
2:01:44
それは衆議院での質疑でも申し上げましたが、現在の金融緩和を続けていった場合にも、なかなか貴重的なインフレーズが時間をかけても上がってこないという場合には、草要等も考えまして、より持続性の高い金融政策の仕組み、緩和の仕組みを考えていかないといけないというふうには考えております。
2:02:15
2%目標に縛られ続けると、日銀自身が身動きできないという状態になって、すでにその状態に陥っていると思いますが、いつまでも正常化に踏み出せないということになりかねないと思うんですね。この国債の問題に関して、10年後の国債金利が0%程度で推移するよう、上限を設けず、必要な金額の長期国債の買入れを行うという方針がありますね、今日銀がとっていますね。これを維持したまま、物価2%を達成するまで国債を買い続けるということになるんでしょうか。
2:03:02
当面、イールドカーブコントロール政策のもとで、短期と長期の金利を現在の水準に誘導しつつ、必要に応じて国債を買うという政策を続けるということだと思います。
2:03:26
上限を設けずというのが今の方針ですよね。これを続けるというのは、本当にとんでもないんじゃないのかと。日銀が今保有する国債、これは国債発行の半分以上ということに等々なったわけで、政府は借金を平均で増やす、それを日銀が支えるという事実上の財政ファイナンスになっていると思います。このまま進めば、最後には国の財政や国債の信用が失われ、国債価格の急落、それに伴う金利の急上昇、そして物価上昇が止まらない悪性インフレを招いて、経済を破綻させてしまうという、まるで戦前の歴史を繰り返すことにはなりませんか。
2:04:19
現在の緩和のスタンスは、繰り返し申し上げていますように、2%のインフレ目標を達成するためにということですので、悪性のインフレになるというようなところまで、寄与緩和を続けるということでは全くないかと思います。それから、あえて申し上げますと、最近国債の購入が日本銀行によって増えている面があるわけですが、これは市場におけるインフレ期待が多少なりとも高まってきているという中で、そういう状況が起こっているという面もあるかと思います。それは、申し上げてきました、基調的なインフレ率が上がっていくという点について、良い目が出つつあるという動きとも対応しておるかなというふうに思っております。
2:05:16
そうですかね。上田候補は、2013年の12月、日経新聞の経済教室で、中央銀行は一般に考えられているよりずっと弱い存在であるとお書きになっていますよね。政治からの強い財政ファイナンス、赤字の穴埋め、圧力にはっきり抵抗できたケースは稀と指摘をしておられます。その後10年、コロナ禍を経て、世界的に財政悪化が進み、中でも日本は突出しています。安倍元首相は、昨年5月に「日銀は政府の子会社。政府の一千兆円の借金の半分 は日銀に買ってもらっている」という発言をして、国民を驚かせました。安倍政権以来、日銀は独立性を苗頭にされてきたのではないのか。さらに、木下政権がGDP2%ありき、今後5年間で43兆円と、再現ない大軍格に踏み出す中で、国際発行拡大による資金調達、あるいは建設国際の対象に、幹線も含めるなどの動きが厳にあるわけですね。これ、ますます政権からの圧力というのは強まるんだと思うんですが、これ総裁におなりになったら、独立性の検事について、どう対峙をしていかれますか。
2:06:54
繰り返し申し上げておりますが、金融緩和、あるいはその下で行われています国際の購入でございますが、これは目標インフレ率の達成のためということでございますので、その見通しが立ってくるという状況になれば、例えば国際の購入はだんだん縮小させていくということになるというふうに考えております。
2:07:24
時間が迫ってきましたので、金融政策の正常化に向けての課題について少し伺いたいと思うんですが、私最大の課題はですね、陶器筋の動きをどう建成するのかというところにあると思います。我が党は日銀が国債やETFを大量に買い出したら、後に売るに売れなくなるでしょうと。日銀が売り始めたら国債価格が急落するという操作リスクが大きい。引き返せなくなると。無謀な政策はやめるべきだと、この10年間軽症を鳴らし続けてまいりました。日銀の国債買取も限界に近づきつつある中で、海外の陶器筋などからは異次元の金融緩和の軌道修正のときが儲けのチャンスだと。腰担々と狙うという、そうした動きがですね、これ見え見えなんですよね。マスコミでも、そうした長期金利の動きをめぐって、日銀vsヘッジファンドの攻防などと報じられていますけれども、陶器手法の一つが空売りだと思います。日銀はこれに対して国債を爆買いするという形で対応して、金利高騰を抑えようとしてきたんですけれど、これがずっと続くのかと、いつまででもそういうやり方できるのかと。というと、持続化のやり方ではないと思うんですね。これからも長期金利の動向をめぐって、リスクの高い状況が続いていく中で、私たちは、我が党は、金融市場を不安定化する陶器マネーに対する規制、特に国債市場におけるヘッジファンドなど陶器筋に対する規制を繰り返し求めてまいりました。金融規制は直接には金融庁の所管だということは承知をしておりますが、候補はこの分野においても造形の深い方だと思います。長期金利は金融市場の要です。金融システム危機のリスクもあるわけで、日銀としても国債市場における陶器筋の規制について関与していくべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
2:09:56
委員おっしゃいましたように、金融取引、陶器筋を含めました。そこに対する規制の点につきましては、日本銀行の管轄ではないというふうに考えてございます。西沢平君。日銀には、物価の安定、国民経済の健全な発展とともに、信用地図の維持という使命がございます。しっかり取り組まなければなりません。ここまで異常に国債保有を拡大した政府と日銀の責任が厳しく問われるべきであるとともに、これからの 対応、正常化に踏み出すにあたっては、機関投資家など国内の市場関係者とのさまざまな対話と協力が必要不可欠ですし、正常化のプロセスで毎日金利が急上昇して、例えば個人の住宅ローンや中小企業の借入金に影響を及ぼすような場合には、政府が特別の措置をとって国民負担が生じないようにすべきだと思います。重要なことは、国民の暮らしを最優先に考えることだということを申し述べて質問を終わります。
2:11:27
政耕寛之君。 10年7ヶ月ぶりの委員会質問になります。ただ官房副長官、経産大臣としてアベノミクスの一端に関わってきたものとして、どうしても確認をしておきたいことがあるということで、今日はあえて立たせていただきました。学者ご出身の初めての総裁候補ということになります。私の極めて親しい友人が過去一緒に仕事をさせていただいたことがあって、彼が実務から導き出した理論が、いわゆる経済学の教科書と違っていたときに真剣に議論に応じていただいた、尊敬すべき方だということを申しておりました。私も過去の上田候補の機構発言を読ませていただきました。非常に緻密な分析で大変勉強になりました。しかし一方で、ああいう論点もあるけどこういう論点もあるというまとめ方が多くて、明確な結論を出されないのが特徴というかご性格なの かなというふうに思った次第であります。学者としてはそれでいいかもしれませんけれども、日銀トップとしては判断して結論を出していただかなければいけません。今回の同意人事はこれは法案審議とは違いまして、我々は今日初めて答弁を聞かせていただいて、それを党に持ち帰って今後審査をさせていただくわけであります。審査上重要な材料になりますので、今日は是非あれもあるこれもあるではなくて、日銀トップになったらどう判断するのかという観点でお答えいただきたいと思います。今回は衆議院での質疑が先行しました。これとても良かったと思います。中2日ありましたので、衆の即記録をしっかり見て、まさに最高の副参議院として衆議院の答弁を踏まえて確認ができる。こういう日程にしていただいた石井委員長をはじめ、理事の皆さんにも感謝申し上げたいというふうに思います。今日は衆議院の議論で落ちていた点、曖昧だった点を確認する質疑を行わせていただきたいと思います。まず非常に重要でシンプルな論点でありながら、衆議院で聞かれなかったことを一問聞かせていただきたいと思います。安倍のミクスをどう評価されてますでしょうか。上田参考人。これは衆議院でもある程度回答させていただきましたが、2013年の日本銀行と政府の共同声明に沿って日本銀行及び政府が必要な施策を実行してきた。その結果としまして、一つはデフレでない状態を作り出した。内容としては企業収益が拡大する、ベースアップも実現するというような着実な経済の向上が得られたということであります。二番目に政府債道でいろいろ尽力いただいた結果として、例えば働き方改革等を通じまして、人口が減少する中でも雇用の拡大、特に女性、高齢者等中心にでありますが、雇用の拡大が見られるというような成果もありまして、着実な成果が上がっているというふうに考えてございます。
2:14:43
このアベノミクス、成果はありますけど、まだ道半ばだと思いますが、このアベノミクスを継承していかれるんでしょうか。
2:14:54
現状これも申し上げておりますとおり、基調的な日本銀行としてでございますが、基調的なインフレ率がまだ2には少し間があるというふうに考えてございますので、現在の緩和路線を継続 するということが適切であるというふうに考えております。
2:15:17
アベノミクスとして継承されるのか、その一端を引き続きになっていかれる決意があるのかどうかを伺っているわけであります。
2:15:30
共同声明に入っているような日本銀行が目標とするインフレ率が2%、持続的安定的な2%を達成するということ、これを続けるという意味で踏襲するということでございます。
2:15:50
では次に、この2%の物価安定目標についてお伺い したいと思います。私も週のやり取りの中で非常に気になったのが、なぜ物価目標、安定目標が2%なのかという質問に対して、上田候補はこれが世界標準であり、金融政策の余地、ノリシロを広げるためとお答えになりました。今日の質疑ではさらにちょっと物価安定という言葉も追加をされました。これは私は間違いではないですけれども、不十分なんではないかというふうに思っています。これでは金融政策のための金融政策と捉えられかねないんじゃないかというふうに思っています。やっぱり私ここで答弁で落ちているのは、私は雇用という言葉、雇用という観点ではないかと思っています。日銀法は第2条で国民経済の健全な発展に資すると明記してあります。これ経済じゃなくて国民経済と書いてあるんですね。まさに私は民のかまどであり、雇用のことをこれは指しているというふうに考えています。また世界標準とおっしゃいましたが、世界標準ということなら、アメリカのFRBは物価安定に加えて最大雇用の達成を目標として明記をしているところであります。また経済学の観点からは、フィリップス曲線、これがまさに実証的にですね、日本では2%程度の物価安定が完全雇用水準を実現するという経験則を示しているわけであります。まさにですね、しっかりと雇用を生み出して国民経済の健全な発展に資することこそが、私は2%目標の第一の意義ではないかと考えていますが、お考えをお聞かせください。
2:17:32
これは先ほどの質疑にもございましたが、2%のインフレ目標が持続的安定的に達成されるという状態では、広い意味の完全雇用も達成されている。そうでないと、労働市場にギャップが発生しておりますので、それが賃金の下落圧力、物価の下落圧力となって広がってきまして、2%の状態が安定的に維持できないというふうに考えてございます。
2:18:09
黒田総裁は、かつての記者会見で、企業雇用を守るための追加緩和について問われたときに、明確に2%の物価安定目標を定めた上で、企業収益あるいは雇用賃金の増加とともに、物価上昇率が緩やかに高まっていくという好循環を作り出して、経済の持続的な成長を実現していくことが重要と答えられました。そしてさらに必要に応じて追加的な緩和措置も十分検討し得る。極めて明確な明快な立場を明らかにされているわけですが、こういう黒田総裁の姿勢を継承されるおつもりはありますでしょうか。
2:18:54
もちろん、繰り返し申し上げていますが、安定的持続的な2%インフレの達成のためには、あるいはそういう状態にたどり着けば、物価だけでなくて、賃金雇用が安定的持続的に上昇するという状態になる。それを目指して金融関係もその途中の過程では続けるということだと思います。
2:19:24
さらにお伺いしますけれども、この物価安定目標、世界標準とおっしゃいましたが、世界標準2%ということでいいのでしょうか。それとも国によって変わってくるのでしょうか。
2:19:39
これは厳密に議論しますと、おそらく国によって少しずつ違うという結論が出るかと思います。ただ厳密にものすごい緻密な計算をしても、おそらく2.1がいいのか1.9がいいのか2.3がいいのか、その辺なかなか決めようがないという中で、さらに国によっても微妙に違うとは思いますが、結局今2%くらいに落ち着く国が多いということかなと思っております。
2:20:13
今のお答えではほぼ2%近傍ということでありますが、そういう中で、例えば日本の物価安定目標が、諸外国に比べて低い、明らかに低いということになった場合、どういうことが起こるんでしょうか。
2:20:33
これは短期と長期で違うかなと思います。物価安定目標が実現されているケースを仮に考えたとします。長期と呼んだとしまして。例えば日本が1%のインフ レ目標で、それは実現されている。外国が3%で実現されているということであれば、2%の差になるわけですけれども、それは中長期的な為替レートの変化率に反映されていくということだと思います。購買力閉鎖が実現するように、為替レートが動くということかなと思います。
2:21:12
ということは為替が動くということは、円高に触れるということでよろしいんでしょうか。
2:21:23
日本の物価が1%でしか上がらない、外国の物価が3%で上がるということですので、これは円安になるということだと思います、長期的には。両者の物価が同じ状態で動いていかないといけないということですので。ただし、短期的に物価目標が2のところから急に1に下げたとします。そうするとすぐには1に行かないわけですけれども、行く過程で2%のインフレーズを1%に下げようとしますので、これは金融引き締めをすることになります。その移行プロセスでは円高が発生するということだと思います。
2:22:07
一部メディアや日銀OBの方からは、完全雇用がもう日本は12月で2.5%ですね、失業率、ほぼ実現できているんだから、そこに近いところへ来ているんだから、2%目標にこだわらないで1%でもいい、これ短期のことだと思いますけれども、この考えについてはどういうふうにお考えでしょうか。
2:22:34
様々な考え、例えば労働市場の需要と供給のギャップだけでなくて、在市場、例えば資本設備が適切に利用されているかどうかという意味での稼働率、そういうものも含めますとまだ若干のGDPギャップがあるという考え方もあるかと思いますし、長期的に先ほどおられ議論があったような理由で、2%のインフレ目標が適切であるというふうに思っておりますので、緩和は続けるべきであるというふうに思っております。
2:23:10
もう1つ伺いますが、倉田総裁が掲げておられる、いわゆるオーバーシュートコミットメント、2%よりも一旦高めに行かせて、そこから軟着陸するのがいいという考え方についてはどういうふうにお考えでしょう。
2:23:29
これは両的執政緩和が納入された当初から、それのアナウンスメント効果といいますか、期待に働きかける効果、これを強力なものにするために、金融緩和をかなり強いところまで続けるという、アナウンスメント効果を出すために採用されたものだと思います。当面続けるべきだと思いますが、それの副作用、つまり、結果的にインフレ率がインフレ目標を大幅に上回ってしまうリスクがないかどうかは、常に注意して政策を運営していくべきかなというふうに思っております。
2:24:12
一方で最先端の経済学では、逆に2%を超えるCPIを一定期間続けた方が、雇用や物価の安定に資するんだという、いわゆる高圧経済論というんですかね。これについては、総裁候補どうお考えでしょうか。
2:24:32
これはおそらく長い間2%を下回っている。日本が典型でありますが、アメリカも厳密な意味では、そういう状態にかなりの期間あった。そういうときにインフレ機体等が下の方に低下したまま、なかなか上がってこない。そういう状態を解消するために、先ほどのお答えとちょっと重なりますが、一旦は2%を超えても金融化を続けるという手法が適切という判断で主張された説かなというふうに思っております。
2:25:13
物価目標2%については、衆議院の議事録を見る限り、直ちにとか当面買えない。これどうしても共同声明とセットで聞かれているから、そう言わざるを得ないのかもしれませんけれども、今までのお話を伺っていても、2%目標というのは、ある意味世界共通の目標であって、経済構造が大幅に変わるとか、あるいはフィリップ曲線を何か変えるような理論が出てくるというようなことでもない限りは、高級的に維持されるべきで、物価2%目標について当面とか、直ちにという言葉は、あまりつけるべきではないと思っていますが、いかがでしょうか。
2:25:57
現在、私が2%に触れ目標をどこかで大幅に変更するということを、具体的に何か考えているということでは全くございません。
2:26:12
だから今のところではなくて、2%というのはもう世界共通で、これはある意味高級的に維持すべき物価目標、安定目標を2%、オーバーしたら今度は下げなきゃいけないし、足りないときは上げてなきゃいけない。高級的目標だというふうに私は考えますが、いかがでしょう。
2:26:35
私の任期がもし任命されたとしても5年ですので、高級的なところについてコミットさせていただくのはちょっと無理かなと思っております。
2:26:49
じゃあ任期5年の間はいかがでしょう。
2:26:55
これも現状ではそれを変更するというようなことが何か起こるということを見込めないですけれども、何が起こるか分かりませんので、今日はここでコミットするということは控えさせていただければなと思います。
2:27:13
コミットいただけなくて残念だと思いますけれども、じゃあ続いてイールドカーブコントロールについて伺いたいと思います。これについては上田候補、珍しく過去の発言、副作用があるなど批判的な発言が目立ちますし、見直しの方向性に踏み込んだ過去の発言もいくつか見られるわけであります。特にマーケットの方は上田先生が候補に選ばれたというニュースを受けて、イールドカーブコントロールを修正するんじゃないかということで、10年ものの金利が0.5に張り付いて一時は超えてきている。これ、登記筋に足元をもいられているんじゃないかというふうに懸念をしています。また衆議院の答弁ではイールドカーブコントロールの見直しの可能性を否定はされなかった。今日の質疑でもされなかったというふうに思っています。イールドカーブコントロールの見直しをほのめかすことは、金利上昇に対する容認姿勢ということになって、金利上昇圧力をさらに高めることにつながるんではないでしょうか。この2%物価目標が達成、まだ見通せる状況にはない。ここは候補自身も認められているわけですが、今求められているのは私は金融緩和の揺るぎない姿勢ではないかというふうに思っています。2%目標達成まではイールドカーブコントロールを堅持するという明確なメッセージを出すことで、政策の不透明性に対する市場の懸念を払拭すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
2:28:44
昨年12月来の日本銀行のイールドカーブコントロールに関する措置は、出口へ向けての措置ではなくて、その持続可能性を高めるための措置であるというふうに考えております。先ほど申し上げましたとおり、その効果を現在見守っているところでございますが、一方でただ市場機能の低下を防ぐという措置の効果はどれくらいあるかということは見極めていかないといけないというふうには思っております。
2:29:25
市場機能に関する効果があまり出なかったら、イールドカーブコントロールを見直すということですか。
2:29:37
その場合にどういう措置が可能かとか、どういうタイミング でそうなるか、いろいろな可能性があると思いますが、それについて具体的なことを今日申し上げるのは差し控えさせていただければなというふうに思います。
2:29:51
いろいろ副作用がありということもおっしゃっているんですが、そういうのであれば、どういう副作用に対してどういう修正を行うか、私は具体的説明が重要だと思います。それがないんだったら市場に不安を与えないためにも、現行政策を堅持するということをいって市場を安定させるべきだと思いますが、いかがでしょう。
2:30:17
現行は昨年12月以降の様々な措置の効果を見守っているところでありますし、もし私が4月に就任した場合にも、その措置の効果を見守る、あるいは直接オペレーションに当たって いるデスクの監測を聞いたり、他の審議員の意見を聞いたり、そういうふうにしてじっくり効果を見守るということを続けていきたいと思っております。
2:30:52
なかなかイールド株コントロールについても、ちょっと堅持と言っていただけないで残念だというふうに思います。続いて、共同声明の見直しについてお話をしたいと思います。最近、令和林庁という組織の緊急提言がやたらメディア等で取り上げられて、なんだか林庁という名前ですから、政府関係公的機関で公正な提言みたいに取り上げられているケースが多いんですが、これは林庁と名前はついていますが、この令和林庁というのは民間の有識者、経営者の集まりであります。もちろん大変立派な、私もよく知っている方が多数、名前を連ねていらっしゃるわけであります。その中の会員、何人か知っているので私確認しましたけれども、このいわゆる経済財政に関する緊急提言については、紙が回ってきただけで、別に議論とか質問とかする時間はなかった。これで出しますからということであったということであります。この提言、緊急提言を書いた方は2名と言われています。お1人は元メガバンクのトップであります。もう1人は現在メガバンク系のシンクタンクのトップであります。要するに金融関係者の方だということであります。お2人とも私よく知っていますが、強硬な引き締め派であり続けたし、アベノミクス黒田寛和に関しても批判姿勢をずっと取ってきた方でありますから、この提言はある程度バイアスがかかっていると思ってみなければいけないと思っています。この提言の中で政府と日銀の共同声明を見直して、2%目標を長期的な目標にしろ、金利機能の回復と国際市場の正常化を図れと提言をされている。要すればこれは金融を引き締めろという提言であります。特に2%長期目標というのは、いつやるか分からない、いつ達成するか分からない。はっきり言って、やる気がないというメッセージをマーケットに出してしまうんではないかというふうに思っていますが、この提言について総裁どうお考えでしょうか。
2:32:59
2%目標達成の期限について、現行は共同声明の中ではできるだけ早くという形容詞になっているわけですが、今御指摘のありました臨庁の方は長期的な目標ということで、目標達成の時間軸のところが違うわけですが、私は現状では衆議院でも申し上げましたように、基調的なインフレ率の動きについて良い目が出つつありますので、現行のできるだけ早くという目標のかきぶりを踏襲した上で金融緩和を続けていくのが適切と考えております。
2:33:45
ここは明確で安心をいたしました。一方でこの共同声明の見直しですけれども、当面見直しつもりないということですが、変える可能性はありますか。あるいは日銀から申し出る可能性はあるんでしょうか。
2:34:04
現状私どもの方でそういう、私どもの方でというのも失礼、変でございますが、私個人としてそういうことを考えてはおりません。
2:34:16
逆に政府がですね、共同声明を堅持しようということを言ってきたときは、日銀としてはどうされますでしょうか。
2:34:29
もちろん政府とは黒経済政策について一つを図るというのが、日中法にも書かれているとおりでございますので、当然きちんとお話をさせていただいて、その上で日本銀行の政策に関わるところにつきましては、政策委員会で議論して回答といいますか、態度を決めていきたいというふうに思っております 。
2:34:55
これあの、もし見直しの議論になったときにですね、これ引き締め派からも緩和派からもいろんな注文がつきますよ。私も例えば財政健全なんて表現を落としてくれって言いたいですよ。これパンドラの箱を開けちゃうことになって収拾つかなくなると、私は今そういうリスクまでとって見直す必要はないと思ってますけども、いかがでしょうか。
2:35:24
共同声明の具体的な側面について、どういうふうに見直すべきか見直さないべきかということに関するコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、現状では現在の声明が適切であるというふうに考えております。
2:35:43
はい、当面見直さないということが確認できたというふうに思っていますし、総裁候補のお考えもよくわかりました。あと少し総論を伺わせていただきたいと思います。2013年以前の日銀の金融政策、これについての反省点があるとしたらどういう点でしょうか。
2:36:09
これは今振り返ってみますと、2つの点は指摘できるかなと思います。1つはインフレ目標について、例えば2%という値をはっきり出して、それをもとに政策を行っていくという姿勢が弱かった、あるいは時期によってはなかったということだと思います。それからもう1つは手段の面で、それまでは国債量的化もやっていたわけですけれども、国債の購入に関しては短期の国債が中心であった。これが2013年以降は長期国債の購入にも乗り出した。それはもちろんまたある種の副作用もあったわけでございますが、金融緩和手段としては有力な緩和の手段を2013年以前は、用いていなかった可能性があるということかなと思っております。
2:37:11
経済教室日経新聞の記号を読ませていただきました。2000年のゼロ金利解除、そして2006年の量的緩和の解除、これは失敗だというふうに、お考えだというふうに見受けられたわけですけれども、いかがでしょうか。
2:37:34
どちらも十分なインフレ率という言葉で表現しますと、持 続的なインフレ率の上昇というところを確認しないうちに、そういう措置に走ってしまったという面があったかなというふうに思っております。
2:37:54
そういう失敗を繰り返さないためには何が必要だというふうにお考えでしょうか。
2:38:06
基調的なインフレ率の動向についてしっかりとした見通しを立て、それに基づいて、それが持続的安定的な2%のインフレというところに到達するものであるということをちゃんと見極めるということが極めて大切であるというふうに思っております。
2:38:28
大変難しくお答えいただきましたけれども、やっぱり物価安定目標が重要だということなんではないでしょうか。この2000年と2006年に物価安定目標2%というものが明確にあれば、解除なんてできなかったはずだと思いますけれども、いかがでしょう。
2:38:49
それは委員おっしゃるとおりかと思います。
2:38:54
あと2003年の上田候補の論文で、中央銀行の自己資本が重要だというふうに主張をされているわけでありますけれども、このお考えは今も同じなんでしょうか。
2:39:14
これはなかなか難しい話でございますが、両面ありまして、金曜日にもちょっとお話したところでございますが、何らかの要因によって自己資本がマイナスになるというケースも中央銀行にとっては時々ございます。しかしそれでも、その中央銀行の通貨に対する信任が保たれていれば、オペレーションや金融政策を続けていくことができます。という意味で、必ずしも自己資本が民間の銀行ほど重要でないという側面がございます。他方で自己資本がマイナスになる、しかもそれが非常に大きな規模であるということになりますと、様々な理由でそれが着目されて、金融政策に対する余計な介入あるいは批判がもたらされる。それが信任の低下につながるというリスクもゼロではないかなと思っております。ですので、基本的には自己資本はそんなに気にする必要はないという立場ではございますが、一応備えはあるということは常に言っておくことは必要であるというふうに思っております。
2:40:35
現在の金融緩和にとって、日銀の財務がリスクになっているとお考えでしょうか。
2:40:46
これは様々な引当金等の措置をとっておりますので、直ちにリスクがあるというふうには考えてございません。
2:40:56
明確に御答弁ありがとうございます。最後に一問だけ聞かせていただきます。日銀の独立性について、これ目的の独立性と手段の独立性がよく言われます。私は手段の独立性であって目的は独立していないと思って いますが、植田候補のお考えをお聞かせください。
2:41:13
これはおっしゃるように独立性に目的の次元と手段の次元と両面あるかと思います。学者ですので、世界の学会の平均的な潮流という意味で、あるいは一部にある強い意見という意味で申し上げれば、手段の独立性が重要であって、目標については政府から与えられるものであるという考え方がございます。ただし現在の日銀の、例えば共同声明にもらえている目標については、日本銀行の政策委員会でそれを決定し、それが共同声明に政府との合意の末、盛り込まれたものというふうに理解しております。ありがとうございました。
2:42:04
この際、上田参考人から発言を求められておりますので、これを許します。上田参考人。先ほどの質疑の中で、世耕議員からオーバーシュートコミットメント、質問がありまして私の答えで、日本銀行がオーバーシュートコミットメント 型の政策を導入したのは2013年、答えしましたが、正しくは2016年9月であったということですので、訂正させていただければと思います。
2:42:55
公明党の佐々木紗友香でございます。本日は質問の機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。2013年の4月に黒田総裁の下で、日銀が量的、質的、金融緩和を開始をしまして、まもなく10年となります。この10年間の経済情勢を振り返りますと、2013年12月以降、物価が持続的に下落するという意味でのリフレではない状況が実現をいたしました。一方で、大胆な金融緩和により国債を大量に買い入れたことで、日銀の国債等保有残高は、2013年3月末の125.4兆円から、2023年1月末には583.5兆円まで増加をしまして、財政規律や市場の流動性に与える影響に対する指摘もあるところでございます。そこで、上田候補にお聞きしたいと思いますが、この10年間の金融緩和の効果及び反省点、これについてどのように認識をされていらっしゃるでしょうか。また、この10年間の経験を今後の政 策運営にどのように生かしていきたいというふうに思っていらっしゃるかお尋ねしたいと思います。
2:44:35
この10年間の金融緩和でございますが、先ほど来申し上げておりますように、金融緩和の効果といたしまして、物価、経済が十分といいますか、しっかり押し上げられてきておりまして、結果として物価は持続的に下落するという意味でのデフレではなくなってきているというふうに考えております。また、政府からの働き方改革の効果もありまして、さらに金融緩和の労働需要を支えるという効果も付け加わりまして、雇用者数が増加、さらに雇用者報酬も増加しているというふうに考えております。一方で、金融緩和の副作用として、金融機関収益への悪影響を通じて、金融中間機能にも悪影響を与える可能性があるということや、市場機能の低下の可能性が挙げられております。前者につきましては、金融機関現状、充実した資本基盤を備えておりますので、金融中間機能は円滑に発揮されているというふうに考えております。また、後者の市場機能の点でございますが、こちらは国際の保管 供給をしている、あるいはそれの要件を緩和するというような措置、さらには先ほど来議論がありました、イールドカーブコントロールの運用を12月以降見直しているというような措置で手当てをしてきているところでございます。政策には効果と副作用が常にあるという中で、それらをそれぞれ冷静に比較考慮しながら適切な政策を実施していく必要があると思います。現状では効果の方が副作用を上回っているということで、金融緩和は続けているのかなというふうに認識しております。今後もそういう姿勢で金融緩和を継続していく。その結果として賃金の上昇を伴う形で、物価安定を持続的安定的に2%の目標を実現するということが可能であるというふうに考えてございます。
2:47:03
日銀は2013年1月に消費者物価の前年比上昇率を2%とする物価安定目標を導入いたしました。いい話にもありました通り、デフレではない状況になったものの、物価安定目標、これにつきましては、現状達成時期が見通せない状況が続いているというふうに思います。円安や資源高等を背景とした物価上昇により、消費者物価の生鮮食品を除く総合指数(CORE CPI)は、2022年4月以降、物価安定目標の2%を上回る状況にあります。一方で日銀は、現在の資源価格の上昇によるコストプッシュ型の物価上昇は、日銀が目指す賃金の上昇を伴う物価上昇とは異なり、持続的な物価安定目標の達成には至っていないというふうにしております。これまで取組をしてきていただいたわけでありますけれども、物価安定目標が達成されなかった、この理由についてどのようにお考えになっているかお聞かせいただければと思います。
2:48:25
これは金融緩和としては非常に強力な政策を取ってきたわけでございますが、ここ2、30年、さまざまなデフレ方向の力を加えるような、経済にデフレ方向の力を加えるようなさまざまなショック、具体例としましては先ほど2、3、申し上げたとおりでありますが、が起こってきたこと。あるいはその結果、長期間デフレ、物価の下落が続く中で、物価や賃金が上がりにくいということを前提とした物価賃金設定行動が定着して、その転換に若干良い目は出つつありますが、時間がか かっているということが強く影響しているというふうに考えてございます。
2:49:18
2022年12月のコアCPIは前年同月比で4%となりまして、1982年以来、41年ぶりの高水準というふうになっております。また、2月、食料品の値上げが集中するなど、物価上昇、落ち着くかは見通せない状況にあります。しかし、2022年の実質賃金は前年比0.9%減、賃金上昇が物価高に追いつかない状況にございます。足元の物価上昇をいかにして賃金の上昇を伴う物価上昇につなげていくか、これが今後の重要な課題になるというふうに思います。黒田総裁は、先日の衆議院の予算委員会におきまして、金融緩和によって経済活動を刺激し、労働市場をタイトにして、物価や賃金が上がりやすい形にしていくことは必要であると述べられています。賃金の上昇を伴う物価上昇を目指すためにあるべき金融政策について、後方はどのようにお考えでしょうか。
2:50:38
まず実質賃金ということで申し上げれば、足元4%の消費者物価指数の上昇率でありますが、何回か申し上げておりますように、今後かなり急速にその上昇率は来年度半ば頃にかけて下がっていくというふうに考えております。これに対し、名目賃金の上昇率がある程度上昇してきますと、実質賃金にも良い動きが出てくるというふうに思っております。それでは名目賃金の方でございますが、これは基本的には中央銀行としては金融緩和を継続して財サービス、農村需要を支える、それが労働市場で労働需要への良い動きにつながるというルートを通じて賃金が上がっていくというふうに考えておりますが、それに加えて物価上昇が賃金に反映されるかどうかというところの人々の行動もひょっとしたら変わりつつあるということもプラスに働くかなというふうに考えてございます。
2:51:53
政府と日銀の共同声明についてお伺いしたいと思います。2013年の1月に公表されました政府日銀の共同声明では、日銀は物価安定目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指すとしております。一方で政府は機動的なマクロ経済財政運営に努めるとともに、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組の具体化、持続可能な財政構造を確立するための取組を推進するとしておりまして、デフレ・脱却に向けて政府日銀がそれぞれ果たすべき役割について定めているものであります。共同声明にある政府日銀のそれぞれの役割について、これまでの両者の取組をどのように候補は評価していらっしゃるでしょうか。お聞かせください。
2:52:59
2013年以来、共同声明に沿って政府日銀それぞれ必要な政策を実施してきたと考えております。その下で先ほども申し上げましたように、我が国経済は着実に改善してきております。企業収益は過去最高水準まで増大しましたし、賃金、雇用者所得も上がってきて、緩やかですが上がってきております。物価面では無価 が持続的に下落するというデフレではなくなっていると考えられます。また、働き方、政府からの働き方改革の推進もありまして、助成労働者、高齢者の労働参加が済んだ結果、雇用者数の大幅な増加が実現しているというふうに見ております。というふうに、政府日銀の政策連携は、物価と賃金がともに上昇するという好循環の形成に向けて着実に成果を上げてきたというふうに考えております。佐々木さん、赤くん。次に、いわゆる出口戦略についてお伺いしたいと思いますが、今後、賃金の上昇を伴う物価上昇が実現すれば、いずれこれまでの金融緩和の出口戦略に着手することになります。日銀は金融緩和政策を転換する局面となった場合には、拡大した日銀のバランスシートの縮小と政策金利の引き上げが課題になるとしております。出口戦略の進め方について、現時点で想定していることはあるでしょうか。また、金融緩和政策を転換するとなりますと、住宅ローン金利のさらなる上昇や中小企業等の債務負担の増加などによって、国民の生活や日本経済全体に影響があることが予想されます。出口戦略を実行する場合には、少なくともコロナ禍から日本経済がしっかりと回復している状況にあることが求められますけれども、そのタイミングの判断 というのをどのようにお考えでしょうか。出口戦略の実行に当たりまして、市場を混乱させないようにするために、政府に求める、望むことがありましたら、併せてお聞かせいただきたいと思います。梅田参考人 出口のタイミングでございますが、これは何度か申し上げておりますように、持続的に安定的に2%のインフレが達成できるという見込みが得られるというところまで、現在の金融緩和を基本的には続けるということでございます。そうした見込みが得られるようなときに、出口戦略を開始するわけでございますが、様々な側面を持ちます現在の緩和政策のそれぞれを、どのように出口に向けて修正していくか、どの手段をどういうふうに先行させるか、後の方に回すかという具体論につきましては、考えていないわけではございませんが、今後の経済、物価情勢の変化に応じて、最適な望ましいやり方は変わっていくものと思いますので、現在時点では具体的にコメントすることを差し控えさせていただければなというふうに思います。政府に向けて望むことは、というご質問もあったかと思いますが、現在政府は、賃上げの促進やデジタル化などの様々な成長力強化の取組を行っていただいているものというふうに承知しております。これは出口戦略というよりは、私どもとの関係では、物価目標の達成に力となる動きというふうに考えてございます。
2:57:30
次に日銀の新型コロナ対応についてお聞きしたいと思います。日銀は、2020年3月の金融政策決定会合以降、新型コロナウイルス感染症への対応として、国際やETF等の積極的な買入や企業金融支援のための措置を行い、金融緩和をさらに強化してきました。企業金融支援については、コロナオーペを導入しております。金融機関に対して有資の減資を有利な条件で貸し出し、企業の資金繰りを下支えする狙いのもとを行ってきたわけでございます。このコロナオーペは多くの金融機関に利用されまして、ピーク時の利用残高は約86兆円でありました。企業の資金繰りの状況等を踏まえまして、日銀はこのオーペの対象を段階的に縮小しており、現在は中小企業向けのうちの一部のみというふうになっております。候補はこの日銀のこれまでの新型コロナ対応、これについてはどのように評価をしていらっしゃるのかお聞かせいただければと思います。
2:58:54
委員御指摘の日本銀行が実行してまいりました新型コロナ対応の様々な措置でございますが、その後の経済の状況を見ますと、企業等の資金繰り支援に十分役に立ってきたと思いますし、金融市場もその後安定的に維持しておりますので、成功であったというふうに考えてございます。
2:59:27
それでは、気候変動に関する日銀の取組について伺いたいと思います。各国中央銀行は気候変動が金融システムに与える影響への対応を進めております。日銀も2021年9月に気候変動対応オープの詳細を決定し、同年の12月に初回の資金供給を実施しております。気候変動対応オープとは、我が国の気候変動を対応に資する、投入し行う金融機関に対してゼロ金利で資金を貸し出すものでありますが、日銀は気候変動問題は、中長期的に経済、物価、金融情勢に極めて大きな影響を及ぶものであり、中央銀行の立場から民間における気候変動への対応を支援していくことは、長い目で見たマクロ経済の安定に資するとの立場を示しています。気候変動対応オープを含む、気候変動に関する日銀の取組についてのその意義、またその在り方について、候補はどのようにお考えでしょうか。
3:00:47
気候変動問題でございますが、委員御指摘のように、将来にわたってグローバルな次元で社会経済に広範な影響を及ぼす課題となっていると思います。気候変動問題への対応は、かなりの部分、政府の裁度で行われるもの、行い振るものが多いと思いますが、日本銀行も、物価の安定と金融システムの安定という使命に沿って、気候変動に関する取組を進めているものというふうに理解しております。例えば、委員御指摘の気候変動対応オペを導入して、民間の金融機関による関連の投入資をバックファイナンスしたりしており ます。これも、民間の投入資に関する判断を尊重するという意味で、中央銀行としては、ミクロの資源配分に直接関与するということを避けつつ、また、物価の安定という目標との関連では、将来そこで何かバッティングが生じたときには、このオペレーションをストップするという条項も加えつつ、実行されているというふうに考えております。気候変動対応オペは一つの例でございますが、そのほか調査研究も含めまして、包括的に日本銀行がこの問題に取り組みつつあるというふうに理解しております。
3:02:26
次に、金融政策の透明性について、ご質問させていただきます。金融政策は国民の生活に大きな影響を与えるものでありますので、日銀には決定した政策の内容や判断の根拠をわかりやすく説明をする責任があると思います。しかし、日銀が1月に発表した生活意識に関するアンケート調査を見ますと、日銀の外部に対する説明の評価について尋ねた項目がありますけれども、わかりにくいと回答 した人の割合が5割を超える状況でございます。わかりにくい理由につきましては、日銀の説明や言葉が専門的で難しいとの回答が一番多くございました。日銀の金融政策や取組をよりわかりやすく国民に発信するためには、今後どのような取組が求められるというふうにお考えでしょうか。
3:03:38
委員御指摘のように、政策や政策の考え方や政策の手段の運用の仕方について、わかりやすい情報を発信を行っていくことが、日本銀行にとっては極めて重要であると考えておりますが、そのためにも各種のデータを日本銀行としては丹念に分析し、ヒアリング情報も活用し、判断を合理的に行っていく、合理的・論理的に行っていくということを心がけてまいりたいと思いますし、また情報発信については記者会見、あるいは各種の講演などを通じて、金融関係者だけでなく広く国民の皆さんにわかりやすい感じていただけるよう工夫の余地がないか考えてまいりたいと思います。ご指摘のように現在の緩和が極めて複雑なものとなっていますので、それを わかりやすく説明していくということは必要だと思いますし、それから今日もいろいろご議論がありましたが、足元のインフレは4%なのに日本銀行は基調的な物価の動きはもう少し弱い、だから金融関を続けているというところもなかなか国民一般にはわかりにくい部分があると思いますので、そこも丁寧な説明を心がけるべきかなというふうに感じております。
3:05:07
ぜひよろしくお願いしたいと思います。日銀総裁としての役割についてお伺いしたいと思います。日銀総裁には日銀の目的であります物価の安定と金融システムの安定の達成に向けて、約4,600名の職員の皆さんを束ねていく役割が求められます。現在日銀の金融政策は足元の物価高をいかに賃金の上昇を伴う物価上昇につなげていくかの正念場とも言えるのではないかと思います。金融緩和の出口戦略の実行という仕事も待ち受けているわけでございます。また金融システムが正常に機能し企業や国民が安心して使用できるよう金融システムの安定に向けた取り組みも求められます。日銀総裁に就任された場合、上田候補におかれましては、どのようにリーダー シップを発揮をして、日銀の目的の達成に向けて組織全体を動かしていくおつもりかご決意を伺いたいと思います。
3:06:25
日本銀行には金融政策運営に加えまして、金融システムの安定確保、銀行権の発行取り打つ、決済システムの運営、国庫金に関する業務など幅広い重要な仕事がございます。総裁として占任された場合には、これまでの経験を生かし、両副総裁候補とも協力して、約5000人の職員が十分力を発揮できるよう努めていきたいと思います。私自身は小さな経験でございますが、大学で学部長といっても、前の学部長から引き継ぐというのではなしに、新しい学部をゼロから立ち上げるという仕事をしてまいったり、あるいは審議院の時代に様々な日本銀行の内部管理の議論にも参加したことがございます。こういう経験を生かしてリーダーシップを発揮し、組織を活性化していければなというふうに思っております。
3:07:30
就任の際にはぜひお力を発揮していただきたいと思います。金融政策の決定自体は国や地域ごとになされますけれども、経済やマーケットはグローバル化が進み、世界は一段と一体化しているとの指摘もございます。そのため、二次議員総裁にはG7やG20の財務省、中央銀行総裁会議等の国際会議に出席をして、各国の中央銀行総裁と国際金融情勢などについて緊密に意見を交わし、適切な対応について協議することが求められます。また、我が国の金融政策の考え方を丁寧に世界に向けて発信していくということも、総裁の重要な役割であります。上田候補におかれては、二次議員総裁に就任された場合、各国の中央銀行総裁らとの議論、世界への発信に際して、どのようなお決意を持って臨むお考えか伺いたいと思います。
3:08:38
リマショックや感染症によるショック等、様々な金融不安の事態、金融不安が広がるよう な事態の時には、先ほどドル供給オーペの例をもうちょっと申し上げましたが、各国の中央銀行が緻密な情報交換を行いつつ、協力して対応を行ってきております。こういうことに象徴されますように、海外中銀との連携の重要性は高まっているというふうに認識しております。その前提となります海外中央銀行との意見交換の重要性も一段と高まっていると思っております。こうした取組日本銀行は行ってきていると思いますが、それを着実に進めていくことが重要だと思っております。また私自身、様々な国際会議等の場で、審議員であったり大学の研究者の立場で海外の関係者と意見交換を行ってきておりますが、その経験を生かして、今後の海外の関係者とのコミュニケーションを適切に行っていきたいというふうに考えてございます。
3:09:52
今日御答弁いただいた内容を参考にさせていただいて、ぜひ我が党でも検討させていただきたいと思います。予定した質問が終わりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございま した。
3:10:26
立憲民主社民の牧山浩恵です。よろしくお願いいたします。日銀は我が国の金融政策を主導する立場であり、そのトップである総裁人事は極めて重要であります。なおかつ、黒田総裁時代の長ききにわたる異次元金融緩和の弊害があらわになってきている現在の状況下においては、新総裁の選択する方針が日本経済の明日を左右するといっても過言ではありません。上田参考人の所信を踏まえて、参考人の問題意識や今後取ろうとされている方向性などを中心に数点お伺いさせていただきたいと思います。上田参考人が総裁に任命されれば、戦後初の学者出身者の総裁となります。上田参考人は、東京大学経済学部長や、京立上志大学ビジネス学部長を歴任され、数多くの著書、論文を発表するなどの経歴をお持ちであると承知しております。また、アメリカのマサチューセッツ工科大学へ留学した際には、著名な経済学者でFRB副議長などを務められたスタンレイ・フィッシャー氏からの指導を受けたと伺っております。日銀総裁には、金融経済に関する高い見識はもちろん、世界の金融政策や経済事情に詳しい国際感覚も求められるかと思うんですね。上田参考人には、MITなどで研究されていた際の人脈を生かされて、中央銀行のトップとのコミュニケーションを図るなどの役割を期待されるところでございます。上田参考人は、ご自身の経歴、そして人脈をどのように生かして総裁の任に当たるおつもりか、その決意をお聞かせいただければと思います。
3:12:40
私は、これまで、審議員あるいは引退任後も、学者として金融政策の理論や実践についてタッチしたり研究を深めてきたりしております。また、様々な会議で関係者と議論を行ってきております。こうした知見や人脈を生かして、今後の政策運営を行っていきたいと思いますが、特に決定会合等では、理論的な側面を含めて議論が活発になるように努力してまいりたいと思っております。さらに申し上げます、付け 加えるといたしますと、海外の関係者との議論では、私の経験では、議論や説明を論理的にするということによって、相手の共感も得られて、様々な情報も得られると思っておりますので、そういう点も重視しつつ、情報交換等に当たっていければと思っております。
3:13:52
今までの日銀総裁は、財務省内し日銀の出身者が多く、経済学者出身というのは異例の人事だと思うんですね。上田参考人は、ご自身のどのような点が評価されて、今回の起用に至ったとお考えでしょうか。
3:14:17
私は、指名をいただいた立場ですので、自分から人生の理由について何か申し上げられるということではないというふうに考えてございます。その上で、私が貢献していることがあるとしますと、これまで学校審議員として政策決定や業務運営に参画してきた経験や、学会で金融政策の理論や実践について研究してきた知見を生かして、理論面からリードするということが可能性として挙げられるかなと思いますし、先ほどお答えしましたように、海外とのネットワークも活かすことができるかなと思っております。
3:15:05
アカデミズムご出身の方には、本能を極める今後の金融政策の舵取りに、合理的そして論理的に最適解を出し続けることが望まれると思うんですね。また、学問や研究は真実を追求するものですが、人の意見に耳を傾ける柔軟性も合わせて求められる局面でございます。さらに、総裁になられた際には、学者さん出身だからこそしがらみにとらわれず、政治の過剰介入を断ち切り、日銀の独立性を取り戻すことも期待されると思います。日本では経済学者出身というのは異例ですが、欧米ではしばしばあるケースでございます。2年で2% の物価安定目標を達成しようとした異次元の金融緩和は、10年をたっても目標を達成できず、物価だけ上がって賃金が上がらない現状を改善するどころか、悪化させてきました。2年限定のはずだった異次元の金融緩和を長期にわたって継続したことで、多くの弊害が生じております。為替相場、国際相場の動きは、従来の異次元の金融緩和が限界であることを示しております。我々は、市場の継承に真摯に耳を傾けなければいけないと思うんですね。このような認識を前提に、上田参考人に具体的な金融政策についてお伺いしたいと思いますが、上田参考人は、現在の金融政策からの出口戦略について、どのような方針、そして方向性でお考えでしょうか。どのような条件を満たしたときに発動し、どのような順序、段取りで実施し、最終的にどのような状況を着地点、ターゲットとして想定しているのか。総論的な御回答をお願いいたします。 上田参考人。 出口への動きはどういうタイミングでということをご質問だと思いますが、これはずっと申し上げておりますように、2%の物価目標の持続的安定的な実現が見通せるようになれば、正常化に向けた動き議論を始めるということかなと思いますが、もちろんその前段の段階、現在から含めまして、それがどういうふうになるかという様々なスミレーションは、我々常に行うということだと思います。しかし、それが結果的にどういうふうに具体的なやり方として結実するかというところは、これから出口に至るまでの局面での経済の動きに依存して非常に大きく変わる可能性がありますので、現在どういうふうになるかということ、出口のところでどういうふうに進むかということを具体的にコメントするのは、差し控えさせていただければなというふうに思います。出口を出た場合、最終的にどういう状況を着地点ターゲットとして想定しているのか、これも具体論にかなり関わってきますので、現在は差し控えさせていただきますが、出口あるいは安定の目標の実現が近づいてきました段階では、適切な情報発信をしていきたいというふうに思っております。
3:19:11
出口戦略の遂行には市場と国民の理解が必要だと思うんですね。そのためには出口とは何かをまず定義する必要があると思うんです。そして出口に至るまでの経済、物価の条件を明らかにするという段取りなのではないかなと思うんです。上田参考人は衆議院での質疑で、黒田春彦総裁の下で、10年間続いた現在の大規模金融緩和について、様々な副作用が生じているとの認識を示されました。それでは、大規模金融緩和により、具体的にどのような副作用が生じていると判断されておられるのでしょうか。また、その副作用の深刻度について、どのように御認識をされておられるのでしょうか。併せてお願いいたします。
3:20:10
大規模金融緩和の副作用でございますが、一つは金融機関収益の影響を通じて、金融仲介機能に悪影響が及ぶ可能性、それからもう一つは市場機能を低下させる可能性という二つかと思います。前者に つきましては、現状金融機関が自己支援を十分に有しているということ、それから特にマイナス金利につきましては、それが適用される賛打価、東西預金賛打価を非常に限定的にしているということなどを考えまして、十分な副作用対策がなされ、ネットの効果、ベネフィットの方が大きいという状態であるというふうに考えております。金融仲介機能は円滑に発揮されている。後者の市場機能の低下でございますが、これは先ほど来、御議論がありましたように、12月以降、その機能の低下を限定的にするような様々な措置を発動し、現在その効果を見守っているという状態であるというふうに考えてございます。
3:21:31
日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、YCCのユードカーブコントロールの柔軟化を決定しました。上田参考人は、以前、ユードカーブコントロールの修正に向けて、コントロ ールの誘導対象を10年から5年に変更することを提案しておられます。このお考えに現在も変更はございませんでしょうか。
3:22:11
長期金融のコントロールの対象年限を10年からもう少し短いところに打つということでございますが、それは将来、YCC、ユードカーブコントロールを見直す際の一つのオプションではあると思いますけれども、他のオプションもたくさんございまして、その中でどれが相対的に良い、あるいはどういうタイミングでどれを採用するのが良い、そういう具体論につきましては現在お話しさせていただくのが適当な時期とは思っておりません。
3:22:58
物価高騰を 助長する悪い円安の是正と、再建市場の歪みの修正を図るための民間経済や国家財政の負担に配慮しつつ、長期金利の許容変動幅を現行のプラスマイナス0.5%程度からさらに拡大するなど、一層の柔軟化を図るべきだと思います。誘導対象の短期化もその趣旨で有用と考えます。上田参考人は衆議院の方で、基調的な物価の見直しがもう一段と改善していく姿になっていく場合には、ICCについても見直しないし、正常化の方向での見直しを考えざるを得ないと発言されておりますが、もう一段の改善というのはどのような状況を指しますでしょうか。もう少し具体的に御説明いただければと思います。
3:23:59
基本的には2%の持続的安定的なインフレ率の達成が見通せる時期、あるいはその周辺ということでございます。
3:24:20
そうすると、すみません。もう一度同じ質問で申し訳ないです。もう一段というふうにおっしゃっていた、もう一段の改善というのは具体的にどういう意味なんでしょうか。質疑録を見て思ったんですが、ちょっと分からなかったものですから、すみません。
3:24:42
数値的にもう一段の改善というのを、例えば現在0%だとしたのが1なのか1.5なのか、そういうふうに具体的に申し上げるのは非常に難しいかなと思います。見通しの中ではっきりとした改善があって、持続的な2%に近づくというイメージが得られたときということかなと思っております。
3:25:13
黒田総裁の下で継続してきた異次元の金融緩和は、金融市場や金融機関経営に様々な影響をもたらしてきました。この間、日銀は金融システムが相対的に安定しているとの見解を示していますが、相対としてはそうであっても、細部に関してはあまりに長期間にわたる金融緩和によって、歪みを起こしていないかが懸念されております。金融緩和が長期化して金利が極端に下がりすぎると、銀行の収益環境が悪化して金融仲介機能が滞るというリバーサルレート論が指摘されたことがあります。黒田総裁自身も講演で言及したことがあり、上田参考人もかつて、日本経済新聞電子版に日銀が次に政策金利を引き下げればリバーサルレートに到達する可能性が確実に高まると予想したことが報じられておりました。リバーサルレート論との関係も含めて、金融緩和の長期化と日本の金融システムへの影響について、上田参考人の見解をお伺いできればと思います。
3:26:32
委員御指摘のリバーサルレートでございますが、これは通常は金融緩和で特に金利を下げていきますと金融緩和効果が強まっていくというふうに考えるわけでございますが、あまりに下げていきますとそこから副作用の方が大きくなりまして、緩和効果と副作用両方を足したネットの効果ではまったく同じで、ネットの効果ではマイナスになってしまうところが出てくる。その境目がリバーサルレートという金利の水準という議論かなと理解しております。それで、現在日本がそういう状態にあるかどうかというご質問だと思うんですけれども、現状は日本の金融機関が充実した自己資本を備えているということもあり、信用コストも大幅に低下しているという事態に考えますと、現在極端に金融仲介機能が疎外されているというふうには思えません。こうした意味でリバーサルレートのところにはまだ達していないというふうに一応評価しております。
3:27:51
長すぎる異次元の金融緩和は、悪い円安と物価高騰を招き、実質賃金の低迷と相まって日本経済に悪影響を与えただけではなく、金融システムにも大きな打撃と歪みを生じさせています。それによるマイナスが本格的に表面化するのはこれからだと思うんですね。現在の金融政策の枠組みであります、長短金利、捜査月、量的・質的金融緩和におきましては、10年もの国債金利が0%程度で推移するように国債を買い入れることで、長期金利を捜査しています。長期金利の捜査については、変動幅の拡大など政策の修正を示唆しただけで長期金利が動いてしまうとされています。修正を事前に市場に伝えることが困難であることから、市場との対話が難しい手法であるともいえます。上田参考人は、市場との対話に関連して、政策当局者と学者では、対外的な発言時に持つべき心構えが違うと考えていると報じられています。西銀審議委員を務めておられた当時、自身のメディアにおける発言が、縁相場に影響を与えてしまった経験から教訓を得たとされています。上田参考人が総裁に就任されれば、再び政策当局者という立場となります。自身の経験も踏まえて、どのような姿勢で市場との対話に臨み、円滑な情報発信に努めるつもりか、見解をお伺いできればと思います。