19:35
これより会議を開きます。国の安全保障に関する件について調査を進めま す。この際、お諮りいたします。本件調査のため、本日、政府参考人として、内閣官房・内閣審議官 室田光成君、内閣官房・内閣審議官 真波学君、内閣官房・内閣審議官 門前浩二君、内閣官房・内閣審議官 飯島英俊君、警察庁・刑事局長 渡辺邦義君、外務省・大臣官房審議官 岩本慶一君、外務省・大臣官房 サイバーセキュリティ情報貸産事官 今福貴男君、外務省・北米局長 有馬豊君、外務省・中東アフリカ局長 長岡冠介君、経済産業省・大臣官房 原子力事故災害対処審議官 湯本慶一君、資源エネルギー庁・電力ガス事業部長 久米孝君、国土交通省・大臣官房審議官 西生重和君、国土交通省・海事局次長 宮武義文君、海上保安庁・警備救難部長 鹿之添博明君、防衛省・大臣官房施設官 大宮治君、防衛省・大臣官房審議官 今丘霊学君、防衛省・大臣官房審議官 北尾雅也君、防衛省・防衛政策局長 鹿之弘司君、防衛省・人事教育局長 美海聡君、防衛省・地方協力局長 大和太郎君、防衛省・統合爆料幹部総括官 田中俊則君、防衛総部長・プロジェクト管理部長 片山大輔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、 御異議ありませんか。御異議なしと認めます。 よってそのように決しました。質疑の申出がありますので、 順次これを許します。
21:15
おはようございます。自由民主党の長嶋昭久です。質疑の機会を与えていただきました委員長、また理事の皆さんに心から感謝を 申し上げたいというふうに思います。また質問時間を譲りいただきました 国務大臣先生方には、改めて感謝を申し上げたい というふうに思います。まず冒頭、先月のオスプレイの 事故に関してでありますが、昨日、本当に残念なんですけれども、米空軍が乗員8名全員の死亡を認定したと。米軍関係者、なるべく御遺族の皆様方に、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また亡くなった乗員の方々の御冥福を 心からお祈り申し上げたいと思います。また捜索に当たっていただいている 自衛隊の関係者の皆さんには、本当に敬意を表し、また感謝を 申し上げたいとこのように思います。オスプレイは、我が国の陸上自衛隊も 運用している航空機でありますので、1日も早い原因の救命、そして再発防止策、しっかり日米政府には 講じていただきたいと考えております。それでは質疑に入りたいと思います。木原大臣とは、民間のシンクタンクが主催した 日本戦略研究フォーラムという、民間シンクタンクが主催した シミュレーションゲームに、去年、今年とご一緒させていただいたわけですけれども、今日はそのシミュレーションのシナリオの 一部を皆さんと共有しながら、一番、去年も今年も問題になった 事態認定について、焦点を絞って議論をさせて いただきたいと このように思っています。まず、皆さんのお手元に、 武力攻撃予測事態、武力事態、損失事態への対処の手続きという 一枚紙を配らせていただきましたけれども、まず、手続きの確認をさせていただきたいと思います。事態が勃発した場合に、まず政府としては、どういう事態であるかという 事態認定を行います。それに基づいて、対処基本方針というものを 策定して、それを閣議決定をしなければいけない。まず、閣議決定が必要だと。そして、防衛出動を過令する場合には、 国会の承認を求めると。これは、原則事前の承認ですけれども、 間に合わなかった場合には事後でもいいと。こういうことになっています。この、内閣総理大臣による防衛出動が過令されて初めて、平時の法体系から有事の法体系に ガチャッと変わるわけですね。有事の法体系に切り替わることによって、 平時の法体系では自衛隊にもかかっていた、さまざまな法的な制約が適用除外になるということで、 自衛隊がスムーズに展開できると。フルスペックで、速報体制で動けると。 こういう立て付けになっているわけです。平時の制約というのは、例えば何かというと、例えば緊急通行が平時はできない。 それができるようになると。有事の法体系に変わることによって、 できるようになる。あるいは道路交通法によって、大型の装備移動というものが、重量とか幅とか高さとか、 これ制約を受けているわけですけれども、その制約が解除される。あるいは火薬取締法によって、 武器弾薬などの運搬の規制が、平時の法体系ではありますけれども、 それも解除される。あるいは消防法による燃料や危険物の貯蔵、 こういったものにかかっている制約も解除される。こういう平時有事の法制度の立て付けになっている。それを前提に、シミュレーションに従って、 大臣と議論をさせていただきたいと思っているのですが、当然のことながら、こういった手続きは、 アメリカにもないし、中国にもないし、韓国にも台湾にもないわけですね。特有の、ある意味でいうと、非常に シビリアンコントロールを効かせるという意味では、大事な手続きなんですけれども、 それが実践といいます か、本当にこの事態が起こったときに、 うまく機能するかどうかというのが、今日の私の質疑のポイントであります。まず最初に伺いたいんですけれども、その前に、もう1枚皆さんのお手元に、政策シミュレーションにおける シナリオの例ということ。これは最大のポイントは、直接我が国が武力攻撃を受けていない、 いわゆるグレーゾーンの、危機は高まっているけれども、直接我が国に武力攻撃が起こっていない。現代戦というのは、例えばハイブリッド戦、 あるいはグレーゾーン事態、こう言われているように、 平時と有時の境目がないというか、非常にわかりにくい。ここが特徴です。これからエスカレーションしている可能性のある、例えば大規模なサイバー攻撃を受けているとか、あるいは、ある地域では、既に日本の近傍で、激しい武力衝突が既に起こっているとか、あるいは、どこかとは言いませんけれども、軍や軍事組織、あるいは海上民兵とか漁船団とか、こういった動きが活発化している。それと同時に、日本に対して侵害を行おうという、相手国としては、最近よく言われるんですが、認知戦と言って、なるべく日本の政府の意思決定が、遅れるように、自衛隊が動けないような、そういう仕掛けをしてくるわけです。例えば、沖縄とか南西諸島で反戦運動を盛り上げて、政府がなかなか決断ができないようにする。あるいは、政府用心にスキャンダル、これは本当か嘘かも別にして、スキャンダルをルフして、そしてその偽情報も含めて、政府に対する不信感を煽っていく。あるいは、ここまで言うとどこだか分かってしまうのですが、反スパイ法なんかで、国内に在留している法人を拘束したり、あるいは拘束するぞと警告したり、こういうことをしてくる可能性がある。他方で、アメリカはエスカレーションを抑制するために、FDOと言って、フレキシブルリタイアンスオプションと言うのですが、一番端的な 例は、1996年に台湾の総統選挙を行ったときに、中国がミサイル発射を台湾周辺で行いましたけれども、そのときにアメリカは空母2隻を台湾海峡の付近に派遣して、事態を人生化させた。こういうのをフレキシブルリタイアンスオプション、FDOと言うのですが、それを日本と一緒にやっていこうと言うようなことが、そういう呼びかけが起こる。政府としては、最後の2行ですけれども、さらなる事態のエスカレーションを防ぐ、あるいはそれに備えて、例えば、南西方面の国民保護を行っていく必要性を認識している。あるいは、さらなる事態のエスカレーションを備えて、南西方面に早く自衛隊の部隊を速報体制で展開していきたい。そういう認識をしている。こういう前提で、以下お伺いしたいのですが、まず、大臣もシミュレーションに参加されて、我が国が直接武力攻撃を受けていないという、そういう事態において、事態認定が非常に難しい。まだ武力攻撃を受けていませんから、武力攻撃自体は認定できない。そういう中で、武力攻撃予測自体を認定するという方法もあるのですけれども、まだ武力攻撃が起こっていない段階で、日本が例えば予測自体を認定した場合に、相手国から、日本は戦争準備に入ったのではないか、日本側が事態をエスカレートさせるのではないか、極める事態認定というのは、外交的なメッセージ性の高い手続きでありますので、こういったことで、政府の意思決定や自衛隊の行動を、ある意味でいうと、遅らせる、こういう効果があるのだろうと思うのですけれども、こういった非常に難しい判断に困るような事態、大臣もシミュレーションで経験されたと思うのですけれども、この点の難しさについて、大臣はどのようにお考えか、伺いますでしょうか。
30:01
まず冒頭触れていただいた、薬師間沖でのオスプレイ、米空軍CV-22の墜落事故につきましては、昨日、私の方から、ロイド・オースティン国防長官並びに、陸基ラップ在日米軍司令官に対しまして、懲役の所管を発出したところであります。8名の乗員が亡くなられたという悲報に接しまして、心から哀悼の意を表したい。亡くなられた方々に加えて、ご家族に対しましても、また米国の皆様に対しても、懲役を示したいというふうに思います。そして、ご質問の点でございますけれども、委員の御指摘のとおり、今年と昨年と2回にわたって、シンクタンクの協力も得て、大規模なシミュレーションを参加させていただきました。ここには大塚委員も一緒に参加させていただいたところですが、その中で、前段で申し上げるとすると、今は、私たちはシミュレーションでも防衛大臣役でしたけれども、今、その後、本当の政府の閣僚として防衛大臣という立場になりましたので、私のコメントというのは、シミュレーションでのコメントというのは、実は差し控えなければいけません。それは、御理解いただけると思っておりますが、その上で、武力攻撃事態、武力攻撃予測事態などの一連の事態認定を過段に行っていくということは、我が国の安全を確保し、国民の生命・身体を守り抜くための政府としての最大の責務の遂行であると、私は考えております。とりわけ、御指摘いただいたような事態が緊迫し、時間的な制約があるという状況において、我が国として法律に定められた手続きに従いつつ、必要な措置を的確に実施するためには、事態対処法制を適用する武力攻撃予測事態を、極力早期に認定することが特に重要であるというふうに認識しております。武力攻撃予測事態の認定は、我が国として、抑止体制を構築し、もって武力攻撃の発生という最悪の事態を阻止しようという意思決定にほかならないということであります。そして実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府としてその用いる全ての情報を総合し、躊躇なく認定すべきものであるというふうに考えています。政府としては、平素より武力攻撃事態等を含む様々な事態への対応を想定し、各種の検討訓練等を行っているところであり、今後とも不断に検討訓練等を行い、対象に万全を期してまいります。その上で、さらに安保のジレンマといいますか、武力攻撃予測事態をすることが、かえってエスカレーションをするんじゃないかということについては、これは武力攻撃予測事態認定によって、我が国の抑止体制の構築開始を相手が察知し、それによる進行の開始があったとしても、それは相手国の一貫した意図に基づく進行であって、エスカレーション、すなわち互いの防衛体制を誤認した、意図しない武力紛争への発展には該当しないというふうに考えております。
33:38
おっしゃるように、事態認定というのは非常に滅生性が高いですので、これを判断するには、かなりの勇気、決断力が必要になってくる。別の角度から言うと、さっきFDOの話をしましたけれども、やはりアメリカとの共同作戦というのは、非常に日本の安全保障、つまり国防にとっては致命的に大事なポイントなんだろうというものですが、日米が共同行動するためには、意思決定が同期、シンクロナイズされていないといけない。アメリカ側には日本のような手続き的な、さまざまなバンプというか、敷居というのはないわけで、ここは是非、防衛大臣として意を用いていただきたいと思っているんです。シミュレーションに参加したアメリカの専門家は、これはシミュレーションに対してですけれども、日本政府の事態認定の遅れが、我々、つまり日米が対処する際の柔軟性を制約してしまうリスクとなり、それが仮に決断力の欠如として受け取られれば、抑止力そのものを読めることになると、こういう感想をもらしているんです。これを是非、防衛大臣にも念頭に置いていただいて、決断をしていただきたいと思います。