1:09
ただいまから、資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日、加田幸子君が委員を辞任され、その補欠として植田清志君が占任されました。原子力等エネルギー・資源・持続可能社会に関する調査を議題といたします。まず、原子力問題に関する件のうち、原子力規制委員会の活動状況について、原子力規制委員会委員長から説明を聴取いたします。
1:55
昨年9月26日付で原子力規制委員会委員長を拝命いたしました山中信介でございます。原子力規制委員会は東京電力福島第一原子力発電所事故の反省等教訓等に基づき設置された組織ですが、私は5年前、このような原子力災害を二度と起こさないとの決意のもとに原子力規制委員会の委員に任命され、原子力施設の審査・検査などの規制に当たってまいりました。委員長が交代いたしましても、福島を決して忘れないと いう強い気持ちを持ち続け、独立性・透明性を堅持し、厳正な原子力規制を遂行することが原子力規制委員会にとって重要であると考えています。規制に関する情報発信と対話、原話の設備や運用の実態、規制に関わる人材育成などに重きを置き、常に自らに問いかけ、変化を恐れることなく改善を続けることが重要であり、委員や規制庁職員とともに最善を尽くす覚悟です。よろしくお願いいたします。それでは、参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会における御審議に先立ちまして、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。まず第一に、原子力施設等に関わる規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、強化した規制基準への適合性審査については、これまでに申請がなされた27基の発電用原子炉のうち17基に対して設置変更許可を行いました。また、申請がなされた21基の核燃料施設等のうち、これまで核燃料物質の加工施設、使用済み燃料の再処理施設等について11基の事業変更許可を、試験研究炉について2基の設置変更承認及び5基の設置変更許可を行いました。発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに申請がなされた6基のうち4基に対して認可を行いました。原子力施 設の排出措置については、これまで発電用原子炉に対して計18基の認可を、核燃料施設に対して計9件の認可を行いました。また、平成29年に改正された原子炉等規制法に基づき、令和2年4月から原子力規制検査制度の運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っております。東京電力・貸車崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用事案及び核燃料物質防護設備の機能一部喪失事案については、昨年4月に追加検査の中間取りまとめを行うとともに、昨年9月に東京電力の改善措置活動を評価するための確認方針を策定するなど、重大な問題を繰り返さないための対策が実施されているかどうか等について確認を行っているところです。引き続き追加検査を進めるとともに、原子力規制委員会委員長及び委員が全員が現地を訪問し、東京電力の改善状況を直接確認するなど、核物質防護への取り組みを監視指導してまいります。原子力規制検査については、引き続き事業者等とのコミュニケーションを図りつつ、検査制度の継続的改善に努めてまいります。また、これ以外にも、原子力施設等での事故・トラブルが発生した場合は、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対応してまいります。以上のとおり、原子力施設等に関する審査・検査を順次進めております。規制基準については、安全研究等に得られた最新の科学的・技術的知見、新規制基準に関わる的合成審査の実績等を踏まえ、継続的に改善を図っております。第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水の対策の実施に向け、規制当局としての立場から、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、積極的な監視指導を行うとともに、関係省庁とも連携し、環境放射線モニタリングの実施とその結果の公表を行っております。令和3年4月13日に政府方針が決定された多角種除去設備等処理水、いわゆるアルプス処理水の開用放出については、アルプス処理水の開用放出設備が、昨年7月に認可した実施計画に沿って適切に設置されているか等について、厳正に検査を進めるとともに、昨年11月に東京電力から申請のあったアルプス処理水の開用放出時の運用等に関わる実施計画について、厳正に審査を行っております。本年1月16日から20日には、国際原子力機関IAEAによる第2回アルプス処理水の開用放出に関する規制レビューを受け入れ、審査等の客観性、透明性を高める取組を進めました。昨年4月には、関係省庁と連携し、開用放出が行われる前の海域の状況を把握するためのモニタリングを開始しました。東京電力福島第1原子力発電所の事故調査については、令和3年4月から令和4年12月までの放射性物質等の移動メカニズム、要有路線の挙動等の調査分析に関する検討内容を取りまとめ、現在、科学的技術的意見の募集を行っております。引き続き、これまでに得られた知見と規制との関係を精査するとともに、調査分析を継続してまいります。第3に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実、並びに保障措置について申し上げます。原子力規制委員会では、原子力災害対策指針の継続的な改定を進め、昨年7月に防災業務関係者の放射線防護対策の充実等を内容とする改正を決定しました。また、基幹高度被曝医療支援センターの機能強化など、原子力災害における医療体制の着実な整備を進める等、原子力災害対策の充実を図っております。放射線モニタリングにつきましては、原子力規制事務所の体制整備及び関係同府県への技術的支援等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。また、国際約束に基 づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内すべての核物質が平和活動にとどまっているとの評価を継続して、IAEAより得ております。最後に、原子力利用における安全対策の一層の強化のための制度の見直しの検討状況について申し上げます。今般、政府としてGX実現に向けた基本方針を取りまとめられたことを受け、経済産業省において電気事業法を一部改正し、原子力発電所の運転機関に関する定めを整理する方針としています。原子力規制委員会としては、これがどのような内容であっても、後継年化した発電用原子炉に関する安全規制が損なわれることがないよう、厳格な安全規制の検討を進め、今、国会に核燃料物質、核原料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正案を提出する準備をしています。原子力規制委員会としては、引き続き実効性の高い規制の実現に取り組んでおります。以上、原子力規制委員会の業務についてご説明させていただきましたが、原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力をしてまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。
12:55
以上で説明の聴取は終わりました。次に、原子力問題に関する件について質疑を行います。質疑のある方は、順次ご発言願います。
13:08
立憲民主社民の尾嶺孝でございます。質問の機会をいただきありがとうございます。私は昨年の3月、東日本大震災に被災地帯訪問をして、今なお努力が続く復旧復興の現場を拝見をさせていただく。そしてその現場最前線で働く職員の皆さん、多くの皆さんの率直な気持ち、思いというものもお伺いをしてまいりました。また今年の1月には、当調査会所属でございます岸間子理事とともに、福島、とりわけ被災地帯を視察をさせていただきながら、復旧復興の最前線を拝見をさせていただく。そして、基幹等の状況等を拝見をさせていただきながら、ここでもまた現地の皆さんと多くの意見交換をさせていただいたところでございます。とりわけ強く印象に残っているのは、現地の皆さんから、とりわけ自治体職員の皆さんなんですけ どもから、10年を節目として被災地以外の方々の大震災の記憶が薄れている。そのように感じることが多々ある。さらには被災地の現状に対する受け止め方に変化を感じる。そのようなことを多くの方がおっしゃっていたという点でございます。現地の皆さんが被災地以外の方とお話をすると、口に出したあからさまに言われることはないけれども、まだやっているのか、あるいはまだそんなことを言っているのか。そういう態度を言葉辞から、あるいは対応から感じてしまう。そのようにおっしゃってあった。災害の記憶の風化、そして被災地の視線の変化を現地で努力をされている方は如実に感じていらっしゃる。確かに10年に及ぶ復旧復興の絶え間ぬ努力の中で、確実に進んでいる、前に進んでいるというふうには思います。ただ、これも確実に復旧復興が終わっていない。貫通をしていない。その意味で、あの災害はまだ途上にある、途中なんだという認識を共有する必要があるのではないか。そして、その現実と日々向き合っている多くの皆さんが、先ほど言ったように災害の記憶の風化を感じる、あるいは意識のずれを感じる。そう指摘をされたことについて、私たちは重 く受け止める必要があるのではないかというふうに感じています。とりわけ福島においては、当初の予定から大きく遅れて、復旧すらまだまだ道半ば。将来の展望を描ききれない、そうおっしゃる方がたくさんいらっしゃいました。帰還ができるようになったとはいえ、事故前の街とは変わり果てている。戻ることに躊躇する。人や車が通るところは除染が終わっているけども、除染されていない森林から放射性物質が流れてくる。そのことが怖い。あるいは、帰還を進めるとして、元のにぎわいを取り戻すためには、どこから何を手をつければいいのかわからない。そのような声がたくさん聞かれました。まさに深刻な課題がまだまだ散策をしている状況。国の政策がふるさとを奪う。そして人々の人生を大きく変えてしまう。そのことを改めて再認識、再確認をしてまいりました。本日、山中委員長初めてのこの調査会へのご出席だというふうに思います。委員長になられてからも被災地を訪問され、今日の現状については様々思いをお持ちのことというふうに思いますので、