1:05
ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。議事に先立ちまして、一言御挨拶申し上げます。去る10月20日の本会議におきまして、外交防衛委員長に占任されました北村恒夫でございます。本委員会は、外交防衛安全保障に関わる事項を所管しており、国民の関心も高く、その使命感は誠に重大であります。委員長といたしましては、皆様方のご指導、ご協力を賜りまして、公正かつ円満な運営に努め、充実を果たしてまいりたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。委員の異動について、御報告いたします。昨日までに小野田紀美君、岩本強人君、武見恵蔵君、平木大作君、小戸北俊君、金子道人君、旗次郎君及び足立雅史君が委員を辞任され、その補欠として若林陽平君、宮城慎吾君、上田勲君、石井光子君、松沢茂文君、水野本子君、有村春子君及び私北村恒夫が占任されました。理事の補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴い、現在、理事が3名決院となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。理事の選任につきましては、選例により、委員長の指名に御一致に願いたいと存じますが、御異議ございませんか。御異議ないと認めます。それでは、理事に松川瑠衣君、上田勲君及び石井光子君を指名いたします。国勢調査に関する件についてお諮りいたします。本委員会は、今期国会におきましても、外交防衛等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。御異議ないと認め、採用を決定いたします。この際、国務大臣、副大臣及び大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。
3:20
外務大臣を拝命した上川陽子です。外交防衛委員会の開催にあたり、北村委員長をはじめ、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、外交政策の初心について申し述べます。現在、世界は歴史の転換点にあります。ロシアによるウクライナ侵略は長期化し、ポスト0世紀の平和と繁栄を支えた国際秩序は重大な調整にさらされています。また、グローバルな課題が散席する一方で、中東で新たな危機が生じるなど、国際社会は分断と対立の要素を一層深めています。中東の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄に不可欠です。先般のハーマス等によるテロ攻撃を断固として非難します。在留法人の安全確保に万全を期し、ガザに おける人道状況の改善及び、それに資する先頭の人道的救出、事態の早期鎮静化に向け、全力で取り組んでいます。ガザからの退避を希望していた全ての法人及びその家族は、無事に退避を完了しました。また、私自身、先週末にイスラエル・パレシナ・ヨルダンを訪問し、イスラエル・パレシナ双方への働きかけなどを行ってまいりました。引き続き、積極的な外交動力を行っていきます。中東情勢に対応する中にあっても、ロシアによるウクライナ侵略への対応をもう忘れてはなりません。この侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす傍挙であり、強く非難します。1日も早く侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するべく、G7等と緊密に連携しつつ、来年初めに開催予定の「日ウクライナ経済復興推進会議」等の取組も進めつつ、引き続き、厳しい大陸制裁と強力なウクライナ支援を継続していきます。こうした中、全ての人が平和を享受できるよう、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を踏まえつつ、人間の尊厳が守られる安全・安心な世界を実現するための外交を推進していかなければなりません。その際、国・地域・世代・ジェ ンダー等、様々な垣根を超えた連携が重要と考えています。このような考えのもと、外務大臣として特に、日本の国益をしっかりと守る、日本の存在感を高めていく、国民の皆様からの声に耳を傾け、国民に理解され、支持される外交を展開するという3点を重視していきます。外務大臣は首脳外交を支え、最前線で指揮を取る重責を担っています。私は就任直後から国連総会ハイレベルウィーク出席、東南アジア訪問をはじめ、集中的に外交を進めてきました。米国ではG7外相会合の議長を務めたほか、ブリンケン長官を含む16人の要人と会談し、個人的信頼関係を構築するとともに、女性・平和・安全保障、いわゆるWPS関連をはじめ、各種会合に出席しました。東南アジアでは、我が国に対する高い信頼を時間に感じたところであり、心と心の繋がる真の友人として、さらなる連携強化を確認しました。法の支配は、全ての国にとり、平和と繁栄の基礎であるとの認識の下、本年、我が国は、G7議長国及びアンポリリー自国として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組んできました。G7議長国の任期は第4コーナーを回りましたが、本日からの外相会合では、ウクライナや中東、インド太平洋に関する議論をさらに深め、G7 を超えた国際的なパートナーへの関与の強化といった優先課題につき、最後まで議長国としての責任を果たしていきます。自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現は、日本外交の最優先課題の一つです。その要であるアセアント日本は、本年、有効協力50周年を迎えます。12月に東京で開催する特別首脳会議では、将来の関係の方向性と新たな協力のビジョンを共同で打ち出す考えです。日米合意により、FOIPの実現に向けた実践的な協力が進展しています。来年の外相会合の議長として、地域の国々に真に悲劇する実践的協力を一層推進していきます。ルールに基づく自由で公正な経済秩序の担いに向けて、日本はリーダーシップを発揮します。CPTPPについては、ハイスタンダードの維持を重視し、また、RCEP協定について、透明性のある利向の確保に取り組みます。IPEFについても、成果の早期具体化に向けて、引き続き建設的に議論に貢献します。デジタル分野でもOECDなどの国際機関において、国際的なルール作りで中心的な役割を果たします。また、私が議長を務めたG7大阪・堺貿易大臣会合での議論も踏まえ、来年の第13回WTO閣僚会議も見据えつつ、WTO改革を主導します。アルプス処理水の海洋放出の安全性については、引き続きIAEAと緊密に連携 し、科学的根拠に基づき、高い透明性をもって国内外に丁寧に説明していきます。我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。国家安全保障戦略では、日本の安全保障に関わる総合的な国力の要素として、まず外交力を挙げています。危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するため、様々な分野の垣根を越える必要があります。外交と防衛を連携させながら、強い経済や高い技術力、豊かな文化等、我が国が誇る様々なソフトパワーを有機的・効果的に結びつけ、総合的に外交安全保障政策を進めていきます。また、政府安全保障能力強化支援、OSへの着実な実施、経済的威圧への対応を含む経済安全保障政策の促進、サイバー安全保障等に積極的に取り組んでいきます。偽情報の拡散を含め、情報船への対応能力を強化すべく、情報の収集・分析・発信に加え、情報セキュリティ基盤の構築・強化に取り組んでいきます。日米同盟は、日本外交安全保障の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄への礎です。引き続き、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性・強靭性の維持・確保のための努力、日本における米軍の体制の一層の最適化に向けた取組を進めるとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。また、経済版2+2を通じて、外交安全保障と経済を一体として議論し、日米共通の課題について一層連携を強化していきます。日米間の連携もこれまで以上に重要です。本年8月のキャンプデイビットにおける日米韓首脳会合の成果も踏まえ、北朝鮮への対応のみならず、4インプの実現に向け、一層緊密に連携していきます。また、欧州諸国、EU及びNATOとの間で、引き続き連携を強化していきます。日本及び地域の平和と安全を維持すべく、近隣国等との難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。中国との間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力や威圧による一方的な現状変更の試み、中路の連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。台湾環境の平和と安定も重要です。中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。同時に、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して、大きな責任を有しています。主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸議案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な日中関係の構築を双方の努力で進めていくことが重要です。その中で、中国による日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めていきます。重要な鄰国である韓国とは、パートナーとしての力を合わせて、新しい時代を切り開いていくため、緊密な意思疎通を重ねていきます。地域の厳しい安全保障環境を踏まえれば、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされるときはなく、グローバルな課題についても連携を一層強化していく考えです。竹島については、我が国の基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。また、日中間協力は、様々な課題に協力して取り組む上で重要です。地域の繁栄の原動力である3カ国でしっかり連携していきます。ロシアに対しては、日本の国益を守る形で、引き続きしっかりと対応していきます。日ロ関係は、ロシアによるウクライナ侵略によって、引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。北方四島交流等事業の再開は、最優先事項の一つです。ご高齢となられた元島民の方々の切実なお気持ちに何とか応えたいとの強い思いを持って、ロシア側に対し、特に北方母山に重点を置いて、事業の再開を引き続き強く求めていきます。ロシアによる日本産水産物の輸入規制措置の強化は、何ら科学的根拠に基づくものではなく、日本からの食品輸入規制緩和、撤廃という国際的な動きに逆行する不当なものです。極めて遺憾であり、撤回を強く求めていきます。北朝鮮との間では、日朝平原宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった処刑案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。とりわけ、拉致被害者ご家族もご高齢となる中で、拉致問題は時間的制約のある人道問題です。すべての拉致被害者の一日も早いご帰国を実現すべく、全力で過断に取り組みます。グローバルサウスと呼ばれる途上国・進行国の重要性が増す中、アフリカ、太平洋東諸国、東南アジア、南西アジア、中東、中南米、西バルカン諸国、中央アジア、コーカスス諸国との連携も強化していきます。来年、日本で開催予定の第10回太平洋シマサミット「ティカード国家官僚会合」を、中央アジアプラス日本首脳会合などの機会に、人間の尊厳を守りつつ、人への投資などの日本らしいきめ細かな取り組みや、科学技術を経済成長に生かしていく等の取り組みを通じて、さらなる関係強化に努めます。我が国は、食料・エネルギー安全保障、気候変動問題、国際保険課題、人口問題、難民問題、海洋の持続可能な利活用、北極に関する協力等の地球規模課題に取り組むとともに、ルール形成にも積極的に貢献することで、SDGs達成に向けた努力を拡足し、その後の未来を切り開いていきます。同時に、核兵器のない世界の実現、日本らしい人間外交、平和構築、アンプリ改革を含む国連全体の機能強化等を積極的に推進します。特に核軍縮不拡散については、広島アクションプランの下での取り組みを一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取り組みを継続強化していきます。新たな開発協力対抗に基づき、オファー型協力をはじめ、開発協力を一層戦略的・効果的に実施していきます。グローバルな課題を横串で貫く視点として、国際社会で急速に主流化してきたWPSの推進が重要です。日本はアンプリ理事国として、WPSを国連の重要アジェンダとして推進するとともに、国際協力においても重視していきます。今や中高生を含む若い世代が、国際問題を自分ごとと捉え、取り組みを発信する時代です。21世紀は命の時代と位置づけ、ユースを含む様々なステークホルダーを巻き込みながら、日本の法制度や科学技術をソフトバワーとして積 極的に活用し、世界に貢献していきます。以上の取り組みで着実な成果を上げるためには、外交実施体制を強化し、日本の存在感を高めることが不可欠です。対日直接投資の推進拡大、日本産食品の輸出拡大、2025年大阪関西万博の成功に向け、引き続き力強く取り組みます。魅力ある日本文化の外交的な役割を改めて認識し、文化の輪を含む文化・人的・知的交流の促進を通じて、戦略的な対外発信をさらに推進していきます。佐渡の近山の世界遺産登録に向け、外務省としてもしっかりと役割を果たしていきます。また、国際機関等で法人が職員としてさらに活躍できるための取り組みを強化します。日系社会との連携も強化します。外交の要定は、人との考えのもと、在外職員等の勤務環境や生活基盤強化を含め、人的体制、財政基盤、DXや働き方改革の推進を含めた外交・用事実施体制の抜本的強化に取り組みます。緊急事態における法人保護をはじめとして、危機対応にあたり迅速かつ機動力のある対応が可能となるよう、人的体制を含む速応体制を充実させます。北村委員長をはじめ、理事、委員各位のご指導とご理解を心よりお願い申し上げます。
19:19
防衛大臣の木原実です。北村委員長をはじめ、理事及び委員の皆様に防衛大臣としての挨拶を申し上げます。国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識しており、我が国を取り巻く安全保障環境も、戦後最も厳しく複雑なものとなっています。こうした中で、中国は国防費の急速な増加を背景に、我が国を大きく上回る数の近代的な海上航空アセットを保持するに至っています。さらに、宇宙サイバー等の新たな領域における能力や、各ミサイル戦力の強化、無人アセットの開発配備を進めています。このような軍事力を背景として、中国は尖閣諸島周辺をはじめとする東シナ海、日本海、さらには伊豆・小笠原諸島周辺を含む西太平洋等、いわゆる第一列島線を超え、第二列島線に及ぶ我が国周辺全体での活動を活発化させるとともに、台湾に対する軍事的圧力を高め、さらに南シナ海での軍事拠点化等を推し進めています。特に我が国周辺においては、中国海軍艦艇が尖閣諸島周辺海域での活動を活発化させており、そうした状況の下、中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返しています。また、中国海軍艦艇が南西諸島周辺の我が国領海や接続水域を航行する例が見られています。このような中国の対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦力的な挑戦となっており、我が国の防衛力を含む総合的な国力と同盟国同士国等との協力連携により対応すべきものと考えています。北朝鮮は、体制を維持するため、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の増強に集中的に取り組んでおり、技術的には、我が国を射程に収める弾道ミサイルに核兵器を搭載し、我が国を攻撃する能力を既に保有しているものとみられます。特に弾道ミサイルについては、その発射の対応を多様化させるなどして、関連技術、運用能力を急速に向上させています。近年は、低空を変速的な軌道で飛翔する弾道ミサイルの実用化を追求し、これらを発射台付き車両、潜水艦、鉄道といった様々なプラットフォームから発射することで、発射の調校把握、探知、迎撃を困難にすることを既としているとみられます。北朝鮮は一貫して、核ミサイル能力を強化していく姿勢を示しており、昨年以降、これまでにない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。このような北朝鮮の核弾道ミサイル開発等は、累次の国連安保理決議等に違反するものであり、地域と国際社会の平和と安全を著しく損なっており、こうした軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっています。ロシアは、ウクライナ戦力を継続するとともに、我が国周辺においても、北方領土を含む極東地域において、新型装備の配備や大規模な軍事演習の実施等、活発な軍事活動を継続しています。さらに、近年は、中国とともに、官邸の共同航行や爆撃機の共同飛行を実施するなど、軍事面での連携を強化しています。こうしたロシアの軍事動向は、我が国を含むインド太平洋地域において、中国との戦略的な連携と相まって、防衛上の強い懸念となっています。さらに、今後、インド太平洋地域において、こうした活動が同時に行われる場合には、それが地域にどのような影響を及ぼすかについて、注視していく必要があると考えています。このように、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、防衛大臣として大きく4つの施策を特に推進していく考えです。1つ目は、昨年末に策定された国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画に基づく防衛力の抜本的強化の着実な実現です。その裏付けとなる防衛費の規模は、5年で43兆円程度であり、その1年目に当たる令和5年度は、約6兆6千億円の予算をお認めいただきました。スタンドオフ防衛能力や無人アセット防衛能力といった、将来の中核となる能力の強化に優先的に取り組む必要があり、先月には、スタンドオフ防衛能力の構築に向けた取り組みについて、前倒しして実施することを指示したところです。加えて、防衛力強化の迅速化のためには、必要な装備品を速やかに取得するだけでなく、物体に届いたらすぐ運用できるようにする必要があります。特にスタンドオフミサイルやAEGシステム搭載艦など、新たに取得する装備品を取得後、速やかに運用できるよう、必要な準備を進めてまいります。また、持続性強靭性の強化も重要な課題です。現有装備品を最大限有効に活用するため、装備品の稼働数向上や弾薬誘導弾の十分な確保、防衛施設の強靭化への集中投資を進めてまいります。2つ目は、同盟国・同志国等との連携です。今やどの国も、一国では自国の安全を守ることはできません。既存の国際秩序への挑戦が続く中、我が国は、普遍的価値と戦略的利益等を共有する同盟国・同志国等との協力・連携を深めていくことが不可欠になっています。米国との同盟関係は、我が国の安全保障政策の基軸であり、先日の日米防衛省会談の成果も踏まえ、日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた具体的な取組を着実に進めてまいります。