1:10
経済産業委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。先例によりまして、私が連合審査会の会議を主催いたします。東京電力福島第一原子力発電所におけるアルプス取水に関する件を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は、順次ご発言願います。
1:32
自民党福井県選出の滝並裕文です。現在、党において水産部会長を務めており、我が国の水産業者を風評被害から守るべく、政府には全力を尽くしていただきたい立場から、アルプス取水の海洋保湿に関連して質問をいたします。政府与党は、風評被害対策として、一昨年末に300億円の基金を設置、そして、私自身も昨年夏から水産部会長として創設に関わらせていただきましたが、より広く漁業の継続支援を目的とした500億円の2つ目の基金も昨年末に設置、漁業者のサポートに全力を挙げる構えで、しっかり準備をしてきました。両基金はもちろん、全世界全漁種を念頭にしたものですが、加えて政府は今般、中国等が非科学的で、あまりにもひどい金融措置をしたことに対し、岸田総理の指示で、より一段高い中国等対策に焦点を絞った施策の積み上げを行い、水産業を守る政策パッケージとして、今週月曜日に発表しました。両基金の従前、柔軟な活用を含む同パッケージの迅速な実施で、現場の漁業者に寄り添った対策に万全を尽くさねばなりませんが、そのパッケージの内容について、西村経済産業大臣に御説明を願います。
2:54
お答え申し上げます。御指摘のように、既に用意をしております計800億円の基金に加え、予備費207億円を追加いたしまして、水産業支援のためのパッケージをまとめたところ でございます。まず、需要対策の300億円の基金を活用して、水産物の一時の買取とか保管等の支援を既に開始しております。そして、漁業者の事業継続に向けた500億円の基金と合わせて、引き続き機動的に対応していきたいというふうに考えております。基金の使い方などについても、例えば、養殖水産物の出荷調整に必要な、少し遅らせるためにその間の餌代ですね、この餌代などの追加経費なども、この300億円の基金を活用して支援を行うようにするなど、柔軟に対応していきたいというふうに考えております。また、輸出に係る被害が生じた国内事業者に対して、適切な賠償をなされるよう、東京電力をしっかりと指導していきたいというふうに思います。その上で、御指摘のように、中国から一時的な輸入停止ということであります。今後、特定の国・市場だけに依存せず、持続的・安定的に成り割を継続していく。そうしたために、輸出先の多核化転換対策であるとか、販路開拓ですね、それから国内の加工体制の強化などについても、この予備費で手当をしているところであります。特に、ホタテが影響を受けているということで、ホタテやナマコなど、念頭において対応をしていきたいというふうに思います。こうした政策について、特に水産庁と緊密に連携しながら、水産事業者、加工事業者をしっかりと支援していく。これをスピード感を持って、迅速に対応して、全国の水産業、加工業者の支援、万全を期していきたいと考えております。
4:48
今、迅速にスピード感を持って、いいお話を聞かせていただきました。基金の使用ですとか、様々な施策について、今回、全国がまさに金融であります、全国の浜の皆さんが、どこに問い合わせをしたらいいのか、どういうふうに手続きをしとったらいいのか、そういうものがすぐ分かるように、様々なパンフ等々を工夫して広めて、しっかりと全国の漁業者に寄り添っていただきたいと思います。次に、水産関係予算の予算編 成についてお聞きします。これまで5年連続で補正予算と本予算を合わせて、毎年末水産予算3000億円を確保してきましたが、先日、我らが自民党の水産部会にて、全漁連全国漁業共同組合連合会の坂本会長から、今年末も6年連続で3000億円の確保をお願いしたいとの要望がありました。すでに、党幹部から今年度の補正予算への言及もありましたが、その部分も含めて、この要望を、こういう時であります。しっかり叶えていく必要があると思います。とりわけ、放出の3日前に岸田総理は、坂本会長をはじめとする漁業者の方々と面会された際、アルプス処理水の影響に係る必要な予算措置について、水産予算とは別に、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、政府全体として責任を持って対応すると約束されただけに、300億円、500億円の漁基金、そして今回の予備費200億円強を加えた、計1000億円強の政策パッケージの予算をはじめ、処理水放出対応はあくまで別枠だという前提で、今年末も水産予算3000億円の確保が必要だと考えますが、まず経産 省の方にこの整理の見解を聞いた上で、農林水産大臣の意気込みを伺いたいと思います。
6:37
経済産業省大臣官房 片岡福島復興推進グループ長
6:42
お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、8月21日、岸田総理、松野官房長官、西村経産大臣が、坂本会長をはじめとしまして、副会長及び被災地の漁連会長の皆様と会談を行ったとございます。アルプス処理水についての意見交換を行いました。その際に、岸田総理から、アルプス処理水の影響に係る必要な予算措置等については、水産予算とは別に、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、政府全体として責任を持って対応させていただくと、御発言があったというものと承知してございます。
7:21
辰波委員にお答えいたしますが、その場合、皆さんに一つお詫びを申し上げなければならないと思いますが、先般、私がぶら下がりの記者さんに「汚染水」というふうに言っちゃって、もう完全な言い間違いなんですけれども、それが各紙に書かれまして、福島の皆さんに大変不快な思いをさせてしまった。あるいは全国の漁業者の皆さんにも、そしてまた、今日お集まりの皆さん方にも、そういったお気持ちを与えてしまったなということを深く反省しておりまして、これからはもう少し慎重な言い回しで、きちっと言っていきたいと思っておりますので、そのことをまずもってお詫びを申し上げたいと思います。今、滝波委員からありましたように、先ほども経産省の方からお答えいただきましたが、8月21日の総理からアルプス処理水の影響に関わる必要な予算措置については、水産予算とは別に、政府全体として責任を持って対応すると、こういうのを述べていただきました。ですから、3000億は別だぞということで、それにプラス今回の処理水の対応として1707億ということになりま すので、従来の予算からすると総額では増えた形になりますが、ただ使い道が限定されておりますので、そういう意味では今までの3000億にどれだけ加算をして確保できるかということが、これからの予算折衝に関わってくるというふうに思っておりますが、いずれにしても水産業をめぐる様々な課題に対応していくためには、水産予算を確保していくことは極めて重要と考えており、担当させていただいている大臣としては、全力を尽くしてまいりたいと、こういうことをお約束できると思います。
9:37
今般の今言及のございました1707億円だけではなく、今後も処理水対応、また必要なものが出てきたら、それはこの従前の3000億の水産予算の外であるというふうなことで、しっかり政府全体でやっていただきたいと思います。政府と東電は漁業者との関係において、関係者の理解なしに海洋放出はしないと約束をしたところ、その点、漸漁連の坂本会長は、科学的な安全と社会的な安心は異なるものであり、科学的に安全だからといって風評被害がなくなるわけではないと、約束は果たされてはいないけれど、破られてもいないと発言されております。福島県漁連会長からも同様の発言があったと聞いておりますが、一定の理解はあったけれども、100%の理解とまではいかないということだと思います。漁業者からの100%の理解というのは、数十年後、最終的に放出が終わり、廃炉が済んで、その長い期間、国が逃げることなく丁寧に対応し、被災地をはじめとする日本の浜で、漁業者が継続的に漁業を安心して継続することができるようにすることで果たされるもの。それが漁業者の望みであり、それに政府がしっかりコミット、約束をすることが根幹だと思いますが、漁業者等の約束についてどのように整理されているのか、西村経産大臣にお伺いします。
11:06
御指摘のとおりでありまして、2021年4月に基本方針を決定以降、経産省から漁業省をはじめとする地元の方々に述べていますと、1500回以上の説明を重ねてきております。この間、私自身も地元を何度か訪問いたしまして、車での対話集会なども含めて、説明や意見交換などもさせていただいております。その上で、本年8月21日には、全漁連の坂本会長をはじめ、副会長、そして被災地の漁連会長の方々と岸田総理が面談をいたしまして、政府の方針を説明し、ご理解いただけるようお願いをしたところであります。そしてその場で、今もお話ありましたけれども、全漁連坂本会長からは、安全性の理解が深まったと、そして漁業者の成り割継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えているというお話をいただきました。また、福島県漁連か らは、鈴木専務が代表で出席しておられましたけれども、まさにおっしゃったように、廃炉が安全な冠水、そしてその時点で漁業の成り割が継続していることが確認されて初めて、理解は完了し、約束を果たされたことになるというお話。その上で、漁業者と国当電は、復興と廃炉という共通目標に向けて、同じ方向に向いて進んでいるということ。したがって、約束は果たされていないが、破られたとは考えていないという発言をいただいたところであります。こうした声を踏まえまして、私ども漁業者の皆さん、そして自治体の皆さんとの説明会なども含めて、状況を踏まえまして、一定の理解は得られたというふうに判断をしたところであります。ただ、約束を果たし終えるのは、まさに廃炉が終え、そして処理水の海洋保湿を終えるときに、漁業がしっかりとなりわいが継続しているという状況でありますので、まさに漁業者との約束をしっかり果たすべく、そしてまた、安全と安心は違うという言葉もいただいております。安全と安心の間を埋めるべく、今回の1,700億円の予算をはじめとして、水産業、水産加工業をしっかりと応援することで責任を持って対策に取り組んでいきたいと考えております。
13:22
ありがとうございます。アルプス処理水については、IAEA国際原子力機関が本年7月に包括報告書を公表しており、人及び環境に対し無視できるほどの放射線影響になると評価されています。処理水はトリチウムだけでなく、すべての各種について、安全基準を大幅に下回る水準で放出され、海水中に速やかに拡散されるため、魚に対しても、それを食べる人に対しても、安全上の問題はない。それをIAEAが認めているわけです。こうした科学的整理の状況の下、EU等多くの国地域が、日本産食品に対する輸入規制を撤廃し、G7をはじめとする欧米諸国や太平洋等諸国、韓国政府等もこぞってIAEAを支持する一方で、中国と香港、これはコロナ禍のうちに、もはや我々が長く親しんできた自由香港ではない、中国共 産党支配下になってしまった香港ですが、それとマカオのみ、すなわち中国大陸だけが、科学的根拠なく輸入規制を強化しています。例えば香港が海洋放出したら輸入を停止するぞと宣言した10都県には、埼玉、栃木、群馬、長野といった内陸の生みなし県まで含まれています。海洋放出が問題だとしながら、なぜそのような対応になるのか、全く非科学的ですが、これは単に3.11を受けて、中国が引いていた輸入規制に合わせただけです。そして海洋放出後、今度は中国が日本の水産物の全面禁輸という傍挙に出ました。しかしながら、日本の漁業関係者がその圧力に頭を悩ませてきた、中国漁船の日本近海での操業が、中国政府の指示で取りやめられたといった情報はありません。香港を含む中国大陸からの観光客は、日本に来て我が国の海産物をパクパク食べています。そして中国の原子力関係施設からは、アルプス処理水の何倍もの濃度のトリチウムが排出されています。お手元の配付資料のように、アルプス処理水の10倍、桁違いの高濃度で出している中国の原子力発電所もあります。こうした非科学的、自己矛盾で非合理な中国大陸の対応には、しっかりと抗議をしていくべきで、WTOへの提訴もすべきであると考えます。すなわち、単に遺憾だというような受け身ではなく、積極的な対抗策、アクションが不可欠です。例えば、先立ってイギリスが加盟し、台湾については我が国も加盟を支持しているTPPについては、これは先般、世耕参議院自民党幹事長も記者会見で応援発言をしていただきましたが、中国が加盟を希望しているけれども、こんな非科学的な対応をする中国には、TPP加盟の資格はないと、厳明すべきと思います。中国大陸の非科学的対応への積極的対抗策、アクションについて、政府の覚悟を伺います。
16:33
ただいま、委員から御指摘のありましたとおり、今般の中国の輸入規制措置、これは科学的根拠に基づかない措置でございます。まず、WTOの場でございますけれども、中国がWTOの権益に関します、いわゆるSPS協定、これに基づいて通報を行いました。これを受けまして、我が国は9月4日、WTOに対して中国の主張に反論する書面を出し、これはWTOの全メンバーに開覧 されております。また、今後WTOの関連する委員会においても、日本の立場をしっかりと説明していく予定でございます。また、日中両国が締結をしております、いわゆるRCEP協定、これの緊急措置に関する規定に基づきまして、我が国は中国側に討議の要請も行ったところであります。中国がこの協定の義務に従って、討議に応じるよう求めていきます。いずれにしましても、こうした取組を通じて引き続き中国側に対して、今回の措置の即時撤廃を強く求めてまいります。また、今、委員から御指摘のありましたCPTPPに関しましては、そもそも中国の貿易慣行に関しましては、さまざまな意見がございまして厳しい目が向けられております。今回の中国の措置も、まさにこういった国際社会の疑念を裏付けるものだと考えております。CPTPPの加入要請に対する対応、これ自体は、締約国のコンセンサスで対応する必要がございますので、我が国として個別の評価を述べることは差し控えたいと思いますが、ただし、締約国の間では協定のハイスタンダードを維持するため、加入要請エコノミーの貿易に関するコミットメント、約束の遵守状況、すなわちこれまでのトラックレコード、これまでの行動を考慮することの重要性についても一致しているところでございます。