11:30
大変お待たせいたしました。ただいまから法務委員会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日までに高橋晴美君が委員を辞任され、その補欠として堀井和夫君が占任されました。刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案、及び性的な死体を撮影する行為等の処罰、及び、応酬物に記録された性的な死体の映像に係る伝辞的記録の消去等に関する法律案、両案を一括して議題といたします。まず政府から順次趣旨説明を聴 取いたします。
12:11
(斉藤法務大臣)まず刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨をご説明いたします。性犯罪は被害者の尊厳を著しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける悪質重大な犯罪であり、厳正に対処することが必要です。平成29年には刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の構成要件を見直すなどの改正が行われましたが、同法の不足において、性犯罪における被害の実情や改正後の規定の施行状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討を加えることとされており、性犯罪について被害の実情や事案の実態に即した規定とすることが求められています。そこでこの法律案は、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、この種の犯罪に適切に対処できるようにするため、刑法及び刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。この法律案の要点を申し上げます。第一は、性犯罪の罰則規定が安定的に運用されることに資するため、強制壊設罪及び準強制壊設罪、並びに強制性行当罪及び準強制性行当罪をそれぞれ統合した上で、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態での壊設な行為、または性行等であることを中核とする要件に整理し、不同意壊設罪及び不同意性行当罪とするものであります。第二は、若年者の性被害の実情に鑑み、現行法上13歳未満とされている、いわゆる性行同意年齢について、16歳未満とした上で、その者が13歳以上であるときは、後遺者が5歳以上年長である場合に処罰することとし、これにより13歳未満の者に対して壊設な行為、または性行等をした者に加えて、13歳以上16歳未満の者に対し壊設な行為、または性行等をしたその者より5歳以上年長の者についても、不同意壊設罪、または不同意性行当罪として処罰することとするものであります。第三は、若年者の性被害を未然に防止するため、壊設の目的で16歳未満の者に対し、威迫、議刑、利益供与等の手段を用いて面会を要求する行為等を処罰対象とする罪を新設するものであります。第四は、性犯罪の被害申告の困難性等に鑑み、性犯罪についての拘束事項期間を5年延長するとともに、被害者が18歳未満である場合には、その者が18歳に達するまでの期間に相当する期間、さらに拘束事項期間を延長するものであります。第五は、被害状況等を繰り返し供述することによる心理的・精神的負担を軽減するため、いわゆる面接的手法を用いて被害者から聴取した結果等を記録した録音・録画・記録媒体について、一定の要件の下、反対尋問の機会を保障した上で主尋問に変えて証拠とすることができることとするものであります。このほか、所有の規定の整備を行うこととしております。なお、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案については、衆議院において一部修正が行われております。続いて、性的な死体を撮影する行為等の処罰及び応酬物に記録された性的な死体の映像に係る電子的記録の消去等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。平成29年には、刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の構成要件を見直すなどの改正が行われましたが、同法の不足において、性犯罪における被害の実情や改正後の規定の施行状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討を加えることとされています。近時の性的な死体の撮影行為等をめぐる実情に鑑みると、性的な死体を撮影する行為や、こうした撮影行為により生成された記録を提供する行為等は、撮影対象者に重大な権利利益の侵害を生じさせかねないものであり、こうした行為等に厳正に対処し、そうした撮影行為により生成された記録等の的確な剥奪を可能とすることが、きつきんの課題となっています。そこで、この法律案は、性的な死体を撮影する行為等の処罰規定を整備するとともに、そうした撮影行為により生成された記録等の剥奪を行うための手続等を整備し、もって、性的な死体を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止するため、所要の法整備を行うとするものであります。この法律案の要点を申し上げます。第一は、性的な死体を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等について、罰則を新設するものであります。第二は、性的な死体を撮影する行為等の犯罪行為により生じたものを、腹瀉したもの等の募集を可能とするものであります。第三は、検察官は、その保管している応収物が、性的な死体を撮影する行為等により生じたもの、またはこれを腹瀉したもの等である場合において、当該応収物が電磁石記録を記録したもの であるときは、その記録状況等に応じて、当該応収物に記録されている電磁石記録を消去し、または当該応収物を廃棄する措置を講ずることができるものとし、当該応収物が電磁石記録を記録したものでないときは、これを廃棄することができるものとするなどの仕組みを設けるとともに、これらの措置等について、聴聞手続や不服申した手続等に関する規定の整備を行うものであります。このほか所要の規定の整備を行うこととしております。以上がこの法律案の趣旨であります。何卒慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。この際、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者、衆議院議員、宮崎正久君から説明を聴取いたします。
19:01
ただいま議題となりました、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、その修正部分の趣旨及び内容について御説明申し上げます。第一に、今般の法改正では、同意しない意思の形成等が困難な状態での歪説な行為等であることを中核の要件とする、いわゆるノーミンズノーの不同意歪説罪等を設けることとしております。これに対し、イエス・ミンズ・イエスのような要件にまで踏み込むべきではないかとの御指摘があったことも事実です。今回はノーミンズノーにとどまったとしても、性被害に係る犯罪規定は、社会の受け止め方や意識の変化に対応して定められるものでありますから、この改正法が施行された後、一定期間を経過した場合には、その時点における性的同意についての意識等も踏まえた上で、性被害に係る犯罪規定の在り方が改めて検討されなければなりません。そこで、この改正法の施行後5年を経過した場合に、政府が速やかに性犯罪に係る実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、所要の措置を講ずる旨の検討条項を不足に設けることとしております。この検討に関連して、今般の法改正では、高層事項期間を延 長することとしていますが、性被害を申告できるようになるまで、どれくらいの期間を必要とするのか、どれだけの困難さを抱えているのか、といった実態を踏まえ、その妥当性を判断する必要がありますし、また、衆議院の委員会質疑においては、今般の法改正に当たって、若年者や障害者の性被害の実態について、どれだけ把握しているのか、との御指摘があったところであります。そこで、政府は、この検討がより実証的なものとなるよう、性被害を申告することの困難さ、その他、性被害の実態について、必要な調査を行うもので行うものとしております。第2に、今般の法改正では、性交同意年齢を引き上げる一方で、その処罰範囲を適切に隠すため、13歳以上16歳未満の者を相手に性的行為をする場合の、いわゆる誤歳差要件を設けております。しかし、衆議院の委員会質疑や、与野党の修正協議において、誤歳差未満であれば、行為者が18歳以上の成人であっても、全部許されることになるのか、中学生が守られないことになるのではないか、といった強い御懸念が示されたところです。このような御懸念も踏まえ、不足に、政府は、この法律による改正後の刑法等の規定が、性被害の実態及びこれに対する社会の意識の変化に対応して、刑罰を伴う新たな行為規範を定めるものであることに鑑み、今般の法改正は、誤歳差未満であれば、18歳以上の成人が、何をしても許されるというものでは決してなく、また、中学生をしっかり守るという意図に基づくものである、ということを含め、その趣旨及び内容について、国民に周知を図るもの、とする旨の規定を追加することとしております。以上であります。何卒、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。ありがとうございます。以上で、両案の趣旨説明及び刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。速記を止めてください。ください。
23:35
参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案・法改知案の審査のため、本日の委員会に、武蔵野大学副学長、道大学大学院人間社会研究科教授 古西貴子君、大阪大学副学長、道大学大学院法学研究科教授 島岡天奈君、神戸大学大学院法学研究科教授 島屋孝行君、及び大船榮寺クリニック精神保健福祉部長 斉藤昭義君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、採用決定いたします。刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案、性的な死体を撮影する行為等の処罰、及び応酬物に記録された性的な死体の映像に係る 伝事的記録の消去等に関する法律案、両案を一括して議題とし、参考人の皆様から ご意見を伺います。この際、参考人の皆様に一言、ご挨拶を申し上げます。本日はご多忙のところ、ご出席をいただき、 誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を賜りまして、今後の審査の参考に致したいと存じますので、 よろしくお願いいたします。次に、議事の進め方について申し上げます。まず、小西参考人、嶋岡参考人、島屋参考人、斉藤参考人の順に、お一人、15分以内でご意見を述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。また、ご発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、 ご承知おいてください。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それではまず、小西参考人からお願いいたします。
25:41
はい、よろしくお願いいたします。皆様、おはようございます。武蔵野大学の副学長を務めております、小西孝子と申します。精神科医で専門は、BTSDの治療及び研究です。被害者のお話を伺うようになって、30年になります。前回の2017年の改正の時の法制審議会、それから今回の検討会及び法制審議会に 委員として参加してまいりました。現在、東京都の性暴力被害者支援ワンストップセンターと連携をもって、 精神科の外来をしております。また裁判、特に刑事裁判における被害者の精神状況について、 鑑定を行うこともございます。本日は、私の臨床経験と内外の研究に基づき、 改正案について、いくつか意見を申し上げたいと思っております。性暴力は、もう皆様がおっしゃっているように、 被害者の精神に大変深刻な影響を与えます。最初の資料1をご覧くださいますか。これは、WHOの行った国際的なメンタルヘルスの疫学調査です。7万人近くを対象に行われた調査ですが、 トラウマ体験の影響が調べられています。例えば、資料の2番目の黒ポツのところ、 トラウマ体験の後、最もPTSDになりやすい被害は、全てのトラウマの中で、レープが19%、 DVが11.7%、その他の性暴力10.5%で、これが最も高い、例えば戦争とか事故とか災害を抑えて、 一番高い値になっています。それでもこの値は低めであると、 有名な疫学者なんですけれど、この論文を 書いた人も言っていて、 大体これまでの先行研究では、性的な被害を受け、レープの被害を受け、 PTSDになる値というのは大変高くて、20%から50%あたりにあります。4番目のポツのところですが、 レープとその他の性暴力は、いずれもPTSD診断の平均持続期間が110ヶ月を超えており、 長期にわたって存在する。事故や災害の平均が41.2ヶ月ということになっています。この110という数字を考えてみると、 平均で10年近いということになります。学校に行けなかったり、仕事ができなくなるような期間が、 10年が平均だとしたら、日常生活、社会生活は崩壊することが容易に想像できます。そういう意味では、PTSDは重い疾患です。自殺リスクを増やすこともわかっていますし、 貧困や医療費用の増大などとも関わりがあります。さらに、身体的な慢性疾患とも関わりがあることがわかっています。性犯罪の被害を受ける方の4分の1から半分近くが、 このような状態にあると考えてみると、これは大変なことであることがわかります。実際に私が自分の臨床で被害の様子を聞いたり、 患者さんの状態を見ますと、法律がこれまでモデルとしてきた被害者像は、 あまりにも現実とかけ離れているということは、これはずっと思ってきました。2019年の名古屋地裁岡崎支部で無罪判決の出た事例などもそうです。私はこのケースについて、一審後に精神鑑定を行い、 実際に被害者の話を聞きました。詳細は避けますけれども、性的虐待の被害者に、 よくある感情や行動がありました。しかし、大臣の司法の関係者には、 その特徴は見えていなかったのだと思います。虐待のもとでの被害者の行動を、 普通の人の普通の場の感覚で考えて終わりにしているように見えます。法律家には、この一審判決は、 公共不能の解釈が偏っていることが問題である、というふうに感じられているようですが、私にとっては、虐待される人、性的にトラウマタイズされる人の 心理行動について、あまりにも無知で関心がない、というふうに感じられました。性的虐待を長時間に渡って受ける子どもは、 深刻な被害を受けているにもかかわらず、表面上は明るかったり、何にも気づいていないように、 傷ついていないように見えることが多いです。被害を受けた人の心理が、どのように被害者の意識形成や行動に結びつ いているのか、無視されたまま、司法の場で評価されるというようなケースもあったことを、 この裁判は示していますし、このような状況を、他の被害者の例でも、 私は繰り返し経験してきました。性的虐待の被害者は、抵抗できないのが普通です。今回の法案の中に、その項目が明示されるようになったということについては、安堵しています。今ちょうど、性的虐待の話をしましたので、 構想事項の延長について、簡単に述べたいと思います。性的虐待の被害者が、自分で被害を被害だと認識できるまでに、 30代ぐらいまでかかることもあります。子どもの時期の被害なのに、医療に受診される方の年代は、 性暴力被害者の中でも高く、30歳前後が普通ですし、 40歳過ぎて初診ということもあります。治療は、実行はありませんから、 20代の方と変わらず治療ができますが、これまで臨床の中で複数の患者さんが、 弁護士等に相談したが、もう実行だったので何もできなかった、 というふうに言われていました。いずれも性的虐待の被害です。そういう意味では、構想事項の延長は、 ぜひ必要なことだったと思います。ただ、今回の延長案は、構想事項については、 最大で33歳ということに なるんだと思うんですが、これは平均的な方には何とか間に合っても、 さらに時間のかかる人もかなりいらっしゃいますので、もう少し伸ばすべきだと、私は考えています。次に、不同意性交当罪について、意見を述べます。被害者の同意のない性交は犯罪である、 ということが基本である、ということについては、 法制審議会でも確認されました。私も以前の合間罪という名称、それから 強制性交当罪という名称が、不同意性交当罪という名称になったことには、 賛同します。特に今回の8項目の例示は、私は今の日本社会においては、 ぜひ必要だと考えています。明示的に、具体的に書かないと、 社会の中に多くの偏見がある状態では、様々に異なった解釈が繰り返される恐れがあります。例えば、恐怖に突然晒されるときに、 人がどんな反応をするかについても、これは近年、生物学的な解明が進んできています。詳細は資料の2をご覧ください。いろいろな説明が可能ですけれども、 例えば、体が凍りつくように動かなくなったり、フリーズですね。感情が麻痺したりという反応は、動物の段階では生存に役に立つ 適 応的な反応だったからこそ、進化心理学的に今の人類まで残ってきているものです。このような事実に基づいた法律にするべきです。ただし、この8項目は、例示列挙であって、 網羅的な分類ではなく、同意を示せない、これ以外の状況がないわけではない ということも確認しておきたいと思います。医学的に言えば、旧世紀の帰りなども その一つになると思います。この書き方が最善かどうかは、将来にわたって検証し、 より良い方向に改正していく必要があると思います。それから、いわゆる成功同意年齢の引上げに関して、 意見を述べます。法制審議会の議論の中でも、何歳までが同意できないのか、発達科学的にそのことが実証されているのか、というご質問を、多分、心理学や医学の専門家に向かっていただきました。しかし、人の発達に関することで、ある誕生日から 突然誰でもできるようになるということは当然ながらありません。発達は連続的なものです。さらに、人との関係性の理解の能力や対応能力も、 人によって実は様々です。こういう状態の中で、どうやって条文を作るのが、 一番適切に罰するべき ケースを罰し、不適切なケースを罰しないで済むのか、 議論がなされたと思います。私は法律家ではないので、表現が正確ではない点は、 ご感情いただきたいと思いますが、年齢者要件というのは、外から見てわかりやすく、 これですべての罰すべきケースを拾えるわけではないですが、子どもと成人との非対等な関係性を利用した性犯罪の、 ある部分については適切に罰することができると考えます。16歳以上、あるいは17歳以上、この辺りを、 いわゆる性行動員年齢の加減とすることは、他の多くの国でも行われています。生物学的な脳の発達からいっても、思春期の被害者に一定の同意能力の限定があると 考えることは妥当だと思います。今回、新たな法案が対象としているのは、 ほぼ中学生の年代ですけれども、例えば、SNSを使った子どもになりすました成人からの 誘いによって、中学生が性的被害に遭うというようなことが、頻発している。そういうこと一つから考えても、この年代が性行為に関する理解はあるとしても、 知識、判断力などの不足、制御力の不足、感情の不安定などから、危険な事態に対応する能力に かけるところがあると言える と思います。それでも個人差があったりすると思います。この事態を解決するために、不適切な刑罰を防ぐという 刑法上の観点も含めて、これだけ違えば明らかに対等ではないという年齢差を 切り取るということは仕方がないことかなと思っています。もちろんこれは、決して子どもの性被害についての 完璧な解決とは言えません。この条文だけでは、やや年齢差の近い罰すべきケースを 見逃す可能性があります。例えば性的いじめのケースなどでは、 年齢差がないことも多いですが、実際には不同意なのに、周囲の圧力で それを示せないというケースもあります。年齢差だけが非対等な関係を作る原因ではないからです。ここで、このような切り取りにすると、 対象から漏れてしまう被害がある可能性は残念なことですけれども、それでも前より適切に罰するという方向に 一歩進むと思います。その漏れるケースは、176条7条の1項の8項目の方で 考慮されるというふうに理解しています。この分野でも、日本の実証研究は十分ではありませんから、 運用し、また検討する必要があります。衆議院における附帯決議も、このことに言及しており、 賛同するもの です。また、この法律を有効に活用するためには、 社会の啓発や学校での教育がぜひとも必要です。今の状態をかなり超える教育が必要だと思います。司考後の調査研究、法律の検証も必要だと思います。こういう性行動員年齢の問題が大きく取り上げられるのは、失春期も含めた子どもの被害が非常に クリティカルであるということを示してもいます。次の資料の3ですが、これは内閣府の調査を そのまま持ってきたものですけれども、被害に遭った時期を見ますと、未成年者が大変に多いです。女性で約70%が20代まで、男性はもっと多いですね。男性の被害者の絶対数がまだ少ないので、数字が信頼できるというところまで 言っていないかもしれませんが、女性よりもさらに若い被害が多い可能性があります。ちなみに海外では、男性被害は女性被害の ほぼ10%ぐらいという研究が多いです。最後の資料4に関しましては、これはサーク東京の 昨年と今年の相談数、サーク東京というのは東京の性暴力被害者支援 ワンストップセンターですけれども、そこの相談数を示していますが、これで見ますと、男性被害も内閣府の調査等を 維持した割合となっています。社会がこのような被害について認めるようにならないと、調査にも出てこないということがあるので、男性の被害の数は今後さらに伸びてくる 可能性もあると思います。例えば、性的役体と非公の関連、 性被害と非公の関連は有名です。日本でも共生施設等における研究で 繰り返し示されています。子どもや若い年代の人々を性犯罪から守るということが、 社会の将来にとっても大事なことです。ちょっと司法面接についてお話しする時間が なくなったのですが、供述が汚染されやすい子どものケースなどで 是非必要だと思います。話を何回も聞くことができない状況の最初の時点で 注意深く取られた資料を裁判官が判断の材料にできないのは不合理だと思いますし、大人の性被害などでももともと障害があったりして 尋問に対して脆弱な人がいますので、そのような場合にそれを証拠として 使用できるということには賛成します。一方で、被告人の権利も当然守られる必要があり、 反対尋問の確保は必要だと思います。ただ一つ私がこれをやるために は条件があると思っていまして、どのような場合でも十分な技術を持った専門家が行うことで、 その専門性を担保するべきであると考えています。司法専門家が行う場合でも、その中でさらに司法面接の専門家の育成に 努める必要があるのではないかと私は思っています。衆議院での附帯決議には全面的に私は賛成します。法制審議会の会議中にも、今このように説明があっても、 実際に施行されたときにどのように運営されるのか、大丈夫かということで不安になることもありました。司法課程で様々な異なる判断が出されていることが現実だからです。5年後の見直しとそこに至る調査も、ぜひ必要だと思っております。社会の変化を感じる現在ですが、それでもまだ日本は特に性暴力に関しては根強い偏見が残り、 法律的にもさらなる検討が必要な国だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。以上で終わります。
41:41
ありがとうございました。次に島岡参考人にお願いいたします。島岡参考人。
41:47
大阪大学の島岡でございます。本日はこのような場で発言の機会を与えていただき、どうもありがとうございます。肩書きが大阪大学副学長となっておりますが、本日の私の発言は、 刑法学者としての研究の知見に基づいた個人的見解ですので、ご了承ください。専門は刑法、フランス刑法、ジェンダー刑法でございます。この資料のタイトルが、性犯罪関係改正法案に対する評価と課題となっておりますが、時間の関係で不同意性交等罪、性交同意年齢の引上げ、構想事項の延長を中心にお話しさせていただきたいと思います。まずはじめにご覧ください。私は今回の刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律提案理由を読みまして、もう間無料でございました。と申しますのは、今の現行刑法典が明治40年、今から116年前の過不調整の下で、男性のみによって起訴された刑法典ですので、自覚はないかもしれませんが、女性差別的な規定がいくつか残っていると考えておりました。その最たるものが性犯罪規定と思いまして、ここに書きましたようなジェンダーと現行刑法典という2003年の論文で、その問題性を指摘してから20年でございます。それからその後に、新規法法コンメンタル刑法の2012年に出た解説書の中で、性犯罪規定の持つ問題性を刑法学者としては初めてだと思うんですが、主張してから11年経ちました。ですので、間無料ということです。そして、性犯罪の本質が被害者が自由意思に基づき任意に与えられた同意に基づかない性行為が全てであるということが、2011年のイスタンブール条約ですでに記載されていたんですけれども、そこには行為が男性起訴に限定されることはないとか、暴行拒迫要件もどこにも出てきませんでしたし、配偶者看護官を明記するようにすでに言っていたにも関わらず、ご案内のように110年ぶりになされた2017年の改正ではこれがどれも取り入れられなかったということで、私は半分絶望しておりました。でも、ようやく6年後の2023年、今年に入って国際水準にかなり近づいた性犯罪改正が行われようとしております。これを絶対に先送りしてはならず、必ず今国会で成立させていただきたいと心から願っております。それでは、歪説・不同意性行動罪の新説についても簡単にご説明します。たくさん書いてしまったんですが、評価する点は、(1)はちょっと読んでいただいて、(2)が中心ですね。暴行拒迫の ほか、心身の障害やアルコール薬物の摂取又は影響等8項目の具体例を挙げ、その他これらに類する行為又は自由により、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な場合に性犯罪が成立したことです。どのような客観的行為が性犯罪となり得る危険があるかを、一般人や裁判官にも分かりやすく示し、かつ性犯罪の本質は、不同意の形成、表明、全うが困難な中での性行為であることを明確に示した優れた規定方法であると思っております。2ページ目に続きます。従来の刑法の構成要件としては、少し違和感がある規定方法だと思われるかもしれませんが、やはり在刑法定主義の要請と一般人や裁判官に解釈の指針を与えるために、分かりやすく例示する要請という2つのバランスを考慮した、非常に苦労して作成された案だと思いますので、私は性犯罪に関する刑事法検討会や法制審議会委員の先生方のご尽力の賜物と感謝して評価しております。次の米づるしが実は重要なのですが、単なる不同意を要件にしてしまうと、意思に反したというだけにしてしまうと、性行為の意味が分からず不同意を形成できなかった場合が入らず、ドイツ刑法の他の者の認識可能な意思に反して、農民図農業権では不同意を表明できなかった場合をカバーできないと思うんですね。でもそれが今回の改正では入る案では、どちらもカバーするだけでなく、しかもですね、一旦不同意を表明しても、相手の圧力に屈して、恐怖の念から諦めてしまった場合、これが非常に多いというふうに聞いておりますが、これの場合でも全うすることが困難な状態での性行為ということで、性犯罪となり得るということで、今まで涙を飲んできた多くの被害者を救う可能性があると高く評価して、ぜひそのように解釈していただきたいと思っております。時間の関係で3と4は抜かします。課題懸念なんですけれども、0時、(3)の0時というところで、8番目の項目で、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益の有料という要件がありますが、これ処罰範囲が不当に限定されないだろうかというふうにちょっと懸念を持っております。と申しますのも、教師と生徒とか施設職員と入所者、障害者のように被害者が未熟で不利益を有料する能力さえない場合に不処罰となってしまうのではないか、もう少しはっきりとこういうものを規定した新しい立法が必要ではないかと思っています。でも、先ほど小西先生もおっしゃったように、5年後の見直しで検討していただければと思っています。それから、固4の行為の認定ですが、これも行為 者が同意だと誤信したということで無罪になっている判例がここに挙げましたように、最近でも出ております。それで、かつては強い暴行脅迫が要件となっていたので、それがない場合に同意の誤信が認定されやすかったと思います。しかし、改正法成立後は、犯罪の行為が公正要件該当事実の認識ですので、条文に規定された8類型の事情を認識すれば、被害者が同意の形成、表明、全うが困難な状態にあることを慎重に確認すべきという規範が働きうるのではないかと考えております。ですので、それをしなかった、加害者の方が悪いということで、加害者の言い逃れを許さないためには、裁判官は他の犯罪と同様に、客観的状況から未筆の行為を適切に認定するよう解釈すべきであると私は考えております。では次に、性行動員年齢の引上げに入ります。評価する点は、もちろん13歳から16歳の引上げが今まで私が長年論文等で主張してきた内容ですので評価します。そして、13歳から15歳について、5歳以上の年齢差を要件とすることにつきましては、青少年の対等で自由な性的自己決定権を尊重し、不要な処罰を避けるという意味では一定の評価はしております。ただ、課題懸念としましては、(3)に書きましたように、成人18歳と14歳の中学生ではたった5歳差はないのですけれども、経済力等の差は明らかで権力関係が生じやすいです。13歳の中学生、1年生と16歳の高校生でも同様です。将来的には3歳差にすることも検討の余地があるのではないかと考えております。4番の、おあいせつ目的で若年層を介受する行為、いわゆるグルーミングに係る罪の新設については、時間の関係上詳細は省略させていただきますが、大人が児童を手名付けて自由恋愛と思わせる性的搾取が横行しており、最近、こう、ジャニー北川氏による未成年者に対する性加害も社会問題化しておりますので、3ページ目です。そのような行為は未成年者保護のためにきちんと処罰すべきで、刑法庭の中に新設されることを評価しております。5番目の、高所持高についてです。これも、評価する点は、成人年齢までの実質的停止と、5年の延長、今の時効よりも5年の延長は、現在よりはまだ良いという意味で評価しております。ただ、課題懸念を申し上げますと、しかし、未だ圧倒的に不十分だと思います。スイスは未成年児の性犯罪の事項を撤廃したと聞いておりますし、私の専門であるフランス刑法は、成人から30年、48歳まで国訴可能でございます。その試験と書いたところですが、事項の理由とされてきた証拠の三逸というのは、やはり過去の話で、現在の技術革新により、スマホの映像やデジタルデータ等、反映像的に証拠が残る場合もございます。そのような場合は、事項の意味が半減する と思いますので、むしろ被害者の保護や、加害者処罰による正義の回復の方を重視すべきではないか、先進国はそのように考えていると思っています。米印ですが、その他、性的な死体を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された、性的な死体の映像に係る伝辞的記録の消去等に関する法律案についても、時間の関係で省略いたしますが、盗撮が社会問題となり、各自治体の条例だけでは適切に処罰できない事案もあるため、特別刑法で処罰し、記録の消去等も速やかに行えるようにする方向性には賛成いたしております。最後に、終わりに、性犯罪・性差別的暴力の根絶は、刑法改正だけでは決して実現しないと思っております。性犯罪DVセクハラ等は、性差別・ジェンダー差別に根ざした暴力・人権侵害で決して許されないというのが先進国の常識でございます。性犯罪はまさに人権問題です。性犯罪の遅れは日本のジェンダー不平等の反映であると、私は20年代主張してまいりました。日本のグローバルジェンダーギャップ指数は、ご案内のとおり、146カ国中、116位でございます。ちなみに、私の専門のフランスは16位でございます。日本とフランスの間は100カ国も差があるということを考えていただきたいと思っています。必要なことは、やはり3点あると思 っております。最初に、ジェンダー平等意識を促す包括的性教育、これは人権教育だと思うのですが、これは犯罪を未然に防止するために絶対に必要だと思っております。ここに書きましたが、妊娠の経過は使わないとされているということなんですが、それだけでなく、対等なジェンダー平等意識の醸成、セクシャルリプロダクティブヘルスライツ、SRHRの関用等、海外では当然学校教育で教育される包括的性教育は、イコール人権教育がなされていないことが日本の大きな問題であり、加害者も被害者も出さない性差別根絶のためには最重要課題だと考えております。金曜日の本会議の方の質問答弁をちょっと拝見させていただいたのですが、長岡文部科学大臣の答弁が、性に関しては個人差があるということで、全体に共通の教育はしないけれども、個別に指導することは重要だというふうにお答えになっていたのですが、ここで私の個人的エピソードでご紹介したんですが、恐縮ですが、私は2人の子どもをフランスの教育を受けさせまして、下の息子が5歳だった20年前です。すでに20年前に学校から帰ってきて、お母さん、今日赤ちゃんがどうして生まれるか習ったんだよと、私にフランス語で説明してくれました。卵子と生子が結合してこうこうこうなるんだよって、私もう顔が真っ赤になっち ゃうぐらい当時は20年前ですからびっくりしたんですね。でも私考えたのは、そうやって恥ずかしいという観念を生まない、早い段階で教えてしまった方が、それで親子ともオープンに性のことを話せる雰囲気を作り出すということでは大変いいと今考えております。そして北欧もそうだと、本当に一桁台の時から教えるというふうに言っています。ですから、もう日本の小学校、高学年で性に対する個人差が出てきてしまう、思春期になってからでは遅いんですね。むしろもっとその前に共通に教えるというのが世界標準だということをご紹介させていただきます。そして2番目の、被害の早期発見や被害者支援の充実というのは、弱者保護人権擁護のために必ず大切ですけれども、これはもう多くの方がすでにワンストップセンターの設置とか支援とかいうことは、いろいろなところでも出ておりますので省略させていただきます。それから3番目の、加害者プログラムの充実というのも、こちらもやはり被害者に非常に焦点を当たっていますが、これから齋藤参考人がお話しすると思うんですが、再犯防止のためには必ず必要ですので、ぜひそちらの方も充実させていただければと思っております。早口で失礼いたしました。ご静聴ありがとうございました。
55:40
ありがとうございました。次に嶋谷参考人にお願いいたします。嶋谷参考人。
55:46
おはようございます。神戸大学の嶋谷と申します。刑法の研究をしておりまして、今回の改正に関しては、法制審議会刑事法部会において、幹事を拝命しておりました。本日はこのような意見を申し述べさせていただく貴重な機会を設けていただき誠にありがとうございます。簡単な項目表でございますが、そちらを参照しながらお聞きいただければと思います。本日は専門に関わります実態法について、時間の関係もありますので、特に176条、177条の「正犯罪の基本成立要件」の改正と、若年者保護の強化に関わる部分について、意見を申し述べさせていただきます。はじめに、今回の改正は、本日お話しいたします実態法のテーマにつきましては、大きく分けまして、2つのことが目的とされています。1つは、処罰範囲の明確化のため、正犯罪の基本部分である強制売接罪、強制性行踏罪の成立要件を改めることです。現行法は、176条、177条で暴行脅迫を手段とし、178条で心身喪失、公共不能にさせ、あるいはそれらに乗じて性的行為を行うことを処罰しております。この点の規定ぶりを大きく改め、8つの例示の困難事由を定め、それによって同意しない意思の形成、表明、全うを困難な状態に被害者を置いて、性的行為をすることを処罰する規定となっております。また、もう1つの目的は、性犯罪の被害にさらされやすい、また、被害に遭った場合には非常に重大な影響を受ける若年者に対する性的保護の強化です。こちらは、2つの改正が該当し、1つは、現在13歳と規定されております、いわゆる性行動員年齢を16歳へ引き上げるものです。もう1つは、いわゆるグルーミング、怪獣行為を新たに犯罪として新設することです。処罰範囲の変化という観点から申しますと、前者は基本的に現行法の処罰範囲を維持することとなりますが、後者は処罰範囲を強化・拡張することとなります。そうしますと、新たな処罰範囲を設定するという場合には、そこから誤った処罰や行き過ぎた処罰が生じないように、慎重に検討を行うという視点も必要となります。刑事処罰という強い手段で介入し、捜査や裁判の実績のない行為を処罰対象として取り上げることになるからです。以上のような理解からしますと、1つ目の性犯罪の基本部分の改正は、これまでの処罰可能であった行為をより明確に処罰の実態を明らかにし、捜査・訴追・裁判でのばらつきがなくなるようにすることが重要となります。それに対 して、新たな処罰の設定は、狙いとする処罰目的を達成する明確な規定を説得的な理論的根拠に基づいて設けつつ、誤った処罰や行き過ぎた処罰が生じないように配慮することも重要となります。以下では、改正案の具体的部分につき、まず不動位性交等罪からお話したいと思います。前提として、従来の規定において、なぜ不明確性やばらつきが生じたのかという点を考えますと、3つの要因が考えられます。1つは、176条・177条の某公共白に、解釈上程度が要求され、その程度の理解につき触れ幅が大きかったこと。2つ目は、178条・心身喪失や公挙不能は、その言葉だけ見ると、全く何もできない状態を意味しているようにも思われますが、そうではなく、某公共白以外により公挙が困難となる場合にも、積極的に成立を認める裁判例も複数ありました。しかし、その理解が十分に共有されていませんでした。2つ目として、以上のとおり、現行178条による積極的処罰の余地は十分にあったのですが、176条・177条が原則で、178条はやや例外的に適用する場合とのイメージが持たれていたこと。これらが見通しの悪さやばらつきをもたらしていたのではないかと、個人的には考えております。そのような観点から改正案を見ますと、8つの困難事由について、程度を要求す ることなく、従来の裁判例で認められていた類型や、心理学・精神医学の知見から同等の事態が想定されるような類型、それを取り出し定めている点が注目されます。その上で改正案は、それら困難事由により、同意しない意思の形成、表明、抹倒が困難な状態での性的行為の処罰を定めており、意思決定・実現のプロセスに着目しつつ、性犯罪としての法益侵害の実態である、違反した同意のない性行が処罰されるものとなっております。また、現行の178条にあたる事由も統合して規定することで、いずれかが原則・例外という関係にあるものではないということが明らかにされているのかと思います。従来、明確性にかけばらつきをもたらしていた原因が除かれ、より適切な規定となっているものと思います。これにより、社会一般に「こういう場合は性的行為をしてはだめだ」あるいは「こういう場合には十分に相手の意思を確認しないとまずいな」というようなことが普及し、行為規範として機能することも期待できます。さらに、捜査・訴追・裁判に関わる法律専門家の間でも理解の共有が進み、判断の触れ幅が小さくなるのではないかと思います。本改正では、以上の基本部分の改正に関係し、次の3つの指摘すべき事項があります。1つ目は、疑問誤診による場合の処罰規定です。従来、原稿178条、準強制性行等で処罰されていた性的事故決定の前提となる基本的事項の疑問誤診について、他の性犯罪と同等の侵害性を有すると考えて規定されたものです。疑問誤診がある場合のすべてを処罰するのは行き過ぎとも思われますことから、このような規定となっているものと思われます。2つ目は、婚姻関係の有無に関わらずと規定したところで、現在の一般的な理解を確認し、性犯罪の法解釈としては、婚姻関係によりそれを左右する余地は全くないということを明確化しております。3つ目は、この点のみ処罰の強化にあたるものですが、性行等の中に陰形以外のいわゆる異物挿入を加え、原稿176条の強制外説にあたる行為をより重い、177条にあたる行為であると規定しております。この点は、性犯罪被害実態という面で、実訪問の場合には挿入されるものによって被害は変わらないという理解から変更したものと理解しております。次に、若年者保護の強化についてお話したいと思います。若年者の性的保護を強化すべきであり、そのための処罰規定を強化・拡張すべきであるという点については、大方の一致があり、異論はないところです。被害が重大で長期に人生を及ぼすこと、加害に対して特に脆弱であること、それが理由となります。そのような共通理解から、性行同意年齢の引上げによる処罰の強化、懐中行為の処罰規定の新設が改正案に含まれております。まず、性行同意年齢の引上げについて、従来は13歳が基準で、その年齢未満の者は性的行為の意味を理解できないと解されることから、性的行為から絶対的保護をされておりました。しかし、この点は、若年者の能力を十分に理解しないもので、年齢的に低すぎるのではないかとの批判もあったところです。そこで、性的行為に関する能力をより立ち入って分析をし、従来言われていた性的意味の理解能力だけではなく、性的行為が 将来にわたって事故に及ぼす影響を理解する能力、性的行為に直面した際、それに的確に対処する能力なども重要であり、それがある程度備わり、発揮できるのは16歳程度であろうということで、今回の改正案となっております。ただ、他方で16歳未満であるとはいえ、近い年齢の者同士の性的行為を全て処罰してしまってよいのかという懸念も共有されていたところです。そこで、先ほどの能力の分析から、年齢が大きく離れていなければ、直ちに対処不能となるものではなく、性的行為に関するイエスの希望を表明し、対応することも可能な場合があるのではないか。それが含まれるような年齢差の場合には、処罰から除外すべきではないかと考えられたところです。その検討の際には、改正案と異なり、対処能力が足りないことに成じたなどの実質要件を加えるべきではないかという議論、5歳差は年齢差として大きすぎるので、3歳差とすべきではないかという議論もあったところです。難しい問題ですが、本規定は、「困難自由」や「同意しない意思の形成等の困難化」の認定を要することなく、一週に処罰をする規定と理解されます。そうしますと、実質的判断を入れるのは、規定の趣旨に反するということから、実質要件は入っておりません。他方で、3歳差では、例外なく年齢差により、同意しない意思の形成等が困難になる、性的自己決定の侵害があると言えないのではないか、それも規定の趣旨に沿わないのではないかということから、5歳差の案となりました。この点は、年齢という形式判断のみによる処罰強化を及ぼす範囲を、理論的に問題がない範囲に限定し、若年者同士の性的行為に配慮をしたものと理解しているところです。もちろんこの点は、5歳差がなければ対等であるという趣旨ではなく、1歳差、同年齢であったとしても、176条や177条の困難自由である社会的地位利用などによって、若年者の重弱性・脆弱性を十分に踏まえつつ、個別に判断されるべきこととなります。最後に、懐中行為についてお話申し上げます。この規定は、これまで全く存在しなかったもので、若年者の性的自由が侵害された後に処罰することと、同等かそれ以上に未然に防ぐことが重要であるという理解に基づくもの です。特に、いわゆるグルーミングと呼ばれ、大人が若年者と信頼関係を築き、あるいは恋愛関係にあると信じ込ませるとして、関係性をコントロールして、望ましくない性的行為に至るような事態を防ぐことが重要と考えられました。もっとも、それをそのまま常文化することが難しいことも課題でした。大人と若年者が日常的にコミュニケーションを取ること自体、あるいは信頼関係を築くこと自体は禁ずべきことではありません。性的目的でそれらが行われた場合に処罰をする考え方もあり得ますが、そうしますと処罰の可否がもっぱら行為者の内心に依存することとなり、明確性と安定性に問題が生じ得ます。そのような考慮から、改正案182条は、1号で威迫、議刑等による、2号でこまばれたにもかかわらず反復して、3号で利益供与等による、という手段を定め、面会要求をすることを処罰しております。不当な手段を用いて意思決定を左右することを定め、かつ、会うことで性的被害の危険が飛躍的に拡大することから、それを要求する行為を処罰する形になっております。これにより、外形的・客観的に処罰すべき行為が明確となり、誤った処罰や行き過ぎた処罰となることを慎重に防ぎつつ、若年者が性的保護に合わない性的保護状態という法益を守ろうとする規定になっております。以上のとおり、処罰の明確化や処罰の強化・拡張が必要である、という大筋の共通の理解を共有しつつ、その範囲につき、誤った処罰や行き過ぎた処罰に至らないように、慎重に考える意見も踏まえた法制審議会の要項、及びそれに基づく開催案であると考えます。刑法研究者として、性犯罪の処罰範囲の明確化、若年者の性的保護を大きく前進させるものと、積極的に評価をしております。私からの意見は以上です。ご静聴ありがとうございました。ありがとうございました。次に斉藤参考人にお願いいたします。おはようございます。大船榮本クリニックの斉藤と言います。私は榮本クリニックという依存症の専門医療機関で、現場のソーシャルワーカーとして働いております。現在、榮本クリニックは都内に6カ所 、鎌倉市に1カ所、計7カ所あります。規模としては、アジア最大規模の依存症の専門医療機関と言われています。私自身はそこに約20年間勤める中で、様々なアディクション問題、いわゆる依存症の問題に関わりながら、約16年前から性加害を繰り返す方の再犯防止プログラムを日本で初めて、社会内処遇の枠組みでクリニック内でスタートし、現在、昨年の3月末までに2500名を超える性犯罪加害者の再犯防止プログラムに関わってまいりました。おそらく、人数で言うと、日本で性犯罪加害者に適している専門家と言えるのではないかと思います。そういうバックグラウンドを持ち、今日私はここに座っているわけですが、最初、被害者支援団体の方から、今日このような会があるということで、ぜひ出てほしいと打診を受けたときに、私は捕まった側の再犯防止プログラムをやっておりますので、果たして私がここで話す意義があるのだろうかと思ったのですが、その方から、ぜひ今日参加される方々に、子どもへの性加害者の実態をしっかりと知ってもらうということと、ぜひ加害者目線で見た刑法改正の意義を話してもらいたいという、非常に大きなテーマをいただきました。15分でそのテーマにしっかりと答えられるか、少し自信はないのですが、私は現場の人間ですので、現場の中で見てきた、つまり2500名の加害者を見てきた中で、積み重ねた知見を通して、今日少しお話できればと思います。大きく分けると、今日のお話のテーマは3つになります。1つは、子どもに対する性加害者の実態についてです。日本ではまだまだ、この分野に関する研究がほとんどありません。なぜなら、彼らはなかなか臨床の現場に出てこないからです。ですからデータも非常に少ないというのが現状です。その中で見えてきた実態についてお話できればと思います。2つ目は、加害者視点から見た、高層事項の延長についての視点になります。3つ目は、先ほど島岡先生がおっしゃりました、加害者のプログラムについてのお話をしたいと思います。では、青いパワーポイントのスライドの資料と、2022年8月31日付、長官の朝日新聞の記事を参考に進めていきたいと思います。朝日新聞の記事は、最後のページにおそらくあるかと思います。まず2枚目のスライドです。私自身は、社会内で性犯罪の再犯防止プログラムにも携わっておりますが、実は刑事施設でも、つまり受刑中の方へのプログラムの提供や、スーパーバイズなんかも行っています。これは、某ある類犯の刑務所での、性犯罪のプログラム参加者の、実際の生の声です。実はこのような類の声を、私たくさん聞いてまいりました。先生、俺、このまま刑務所から出たくないよ。また絶対に小さい子をやってしまうのは分かっているから。つまり、刑務所から出ずに、ずっと刑務所内で過ごしたいと。その理由としては、また再犯するのは分かっているという切実なメッセージでした。実は私、このメッセージは、日本の刑事司法の問題が凝縮されたメッセージだと感じています。性犯罪の問題は、どうしても逮捕、起訴、拘留、そして判決が出るまでは、非常にメディアも盛り上がりますが、実はその後の受刑、そして出所、そして出所後のコミュニティへの再統合、そして就労、そして再犯せずにどう生きていくかというのが、実はこの加害者臨床と言われる中で非常に重要なポイントになります。ですから、彼のメッセージというのは、つまり出所後の話で、どこにも繋がれる場所がなく、最終的に再犯するという選択で、再びまた刑務所に戻るしかないと。このような満帰出所者の非常に厳しい現状を表したメッセージだと感じています。実は子ども性加害者の当クリニックでのヒアリング調査117名の調査によると、初めての加害行為から専門治療につながるまでの平均の年数は14年と出ています。つまり14年の間にかなりの数の被害者を出しているということになります。なぜ14年かかるのか。例えば痴漢の場合は8年、盗殺の場合は7.2年というデータが出ています。それよりも子ども性加害者の場合は14年かかっているわけです。もちろん痴 漢や盗殺に比べて母数のデータは少ないのですけれども、約倍ぐらいの期間がかかっています。これは彼らが泣き寝入りしそうな、そして訴え出なさそうな、特に小学校1年生から3年生を主に狙っている加害行為を繰り返している人たちだからです。つまり子どもは、不正被害を受けているとき、何をされているかわからないからです。彼らの中には、実は男児を狙う者が非常に多いです。これは理由は、同性愛者ではなくて、女児よりも男児の方が声を上げにくいと知っているからです。昨今、某芸能事務所の男児への性加害の問題がメディアで出ておりますが、実は加害者というのは、自分が逮捕されないために、この問題行動を続けるために何が一番正しいのか知っているわけです。そのために男児を狙うという加害者が結構多いという事実が、あまり知られていないなというふうに感じます。次のスライドに行きたいと思います。子ども性加害の実態ですが、1つ目は、これは実際のプログラムを受けている当事者の言葉です。「その常習性と衝動性は他の正当策の群を抜いている。好みの子どもを見ると、まるでそれに吸い込まれるように近づいてしまうんだ。」このような発言はよくプログラムの中で見られます。有名な研究で少し古いのですが、アメリカのジョナサン・エイブルの研究では、未治療の性犯罪者が生涯に出す被害者は平均380人であり、延べ518回の加害行為に及ぶと言われています。これは子ども性加害だけではなくて、あらゆる性暴力を含むアメリカの研究です。私は刑務所等のプログラムで必ずこのデータを出すのですが、先ほどの「刑務所から出たくない」と言った方のグループでこの話をしたときに、たまたまそのグループは5人参加していて、3人が子ども性加害の受刑者だったのです。累犯です。皆さん刑務所に5、6回は入っている方々です。このデータを見て彼らの1人が「私はその3倍はやってきました」と言いました。私はびっくりしまして、他の方の顔を見たら、他の方もうなずいていました。実は子ども性加害の問題、これだけの現象を見て確定的なことは言えませんが、非常に案数が多く、そして背景には何十人、何百人という被害者がいるのだなというふうに現場で実感しました。法務総合研究所の調査、これも少し古いですが、子どもへの性犯 罪、前科2回以上のものの再犯率は84.6%と言われています。ちょっと母数が少ないので、もう少し母数をとった方がいいと思うのですが、現場でこれは私自身が感じている実感と非常にシンクロします。次のスライドに行きたいと思います。これは実際に子ども性加害を繰り返した方が、党員の再犯防止プログラムにつながる際に、診断名として「小児性愛障害」という診断がつくケースが多いです。実際に子どもに性的な関心を持つ人は、男性では人口の5%、女性では大体1%から3%と言われています。その対象は同性、異性、どちらもあります。実際に私は今、女性のペドフェリアの加害者の治療に当たっています。初めて私も女性のペドフェリアの加害者に出会ったのですが、現場で。ただ多くの加害者は男性です。そして被害者は女児もいれば男児もいるということが言えると思います。小児性愛障害のタイプとしては、純粋型と混合型2つに分かれます。純粋型は13歳未満の児童のみが対象です。混合型は13歳未満もそれ以上成人も対象としています。党員の117名のデータでは、約1割が純粋型、そして残りの9割は混合型でした。小児性愛障害を見る上での留意点として、印象的なところで重要なポイントとして挙げておきました。児童への性的指向は必ずしも直接的な加害行為を含むわけではありません。実際に児童への性行を想起しながらも、障害加害行為を実行に移さない人も一定数存在します。またセクシャリティの複雑さというのも、実はあまり知られていません。小児性愛障害の方のセクシャリティの複雑さということで、今回、キッズライン事件と呼ばれる事件の朝日新聞の記事を持ってきました。私はこの方の担当を今もずっとしているのですが、この方に関しては、成人の男性女性も性対象ではなく、児童に関しても女児は対象ではなく男児のみ性対象という方です。他にもこういう方がいらっしゃいました。成人の場合は男女とも性対象だが、児童の場合は男児のみ性対象で、女児は性対象ではない。このように非常に複雑なセクシャリティを持った加害当事者がいますので、初心の時には必ずその方のセクシャリティを確認するようにしています。次のスライドに行きたいと思います。実際に彼らが見ている世界というのはどういう世界なんだろうかというのを少しまとめてみました。今回、刑法改正の中で不同意性交当罪ということで、同意という言葉が入ったのは私も非常に画期的だなと思います。彼らの考える同意の概念はどういうものでしょうか。彼らの考える同意というのは、自分の行為は、これ行為というのは加害行為です。自分は受け入れられて当然であるという認知の歪みに支えられています。つまり子どもは無条件に自分を受け入れてくれているという中で、加害者自身は承認欲求を満たしています。実際に純愛元素、飼育欲、支配感情という3つの特徴がありますので、そちらは目を通していただければと思います。よく彼らは「可愛い」という言葉を使います。この「可愛い」は我々の子どもに感じる可愛いとは質的に異なります。その背景にある言葉は、相手を絶対に脅かさないという保障がそこに含まれています。だから彼らは子どもを可愛いというふうに感じるわけです。彼らの同意というのは、支配、非支配の中で成立するもの です。ですから、この法律の中に不同意性交際、この同意という概念が入ったことによって、彼ら自身も治療の中でこの同意の概念をアップデートしていく大きなきっかけになりますので、ぜひこの名前で法律ができるということを私は強く望んでいます。最後のまとめです。性犯罪の再犯防止に重要な視点としていくつか挙げました。一つはやはり刑罰や監視によるアプローチというのはもう限界が来ています。先ほども申し上げたとおり、過去に2回以上子どもに性犯罪で逮捕されている人の再犯率は86%でした。刑罰だけでは防げないというのが多めに見えております。ですからやはり医療モデル、教育モデル、社会福祉モデルを統合的に加えたアプローチを普遍化していくことが重要だと思います。そして一つ気をつけないといけないのは、これは我々自戒を込めてですが、医療機関でこういうプログラムをやっている以上、診断名がつきます。そのことによって過剰に病理化してしまうことは、本人の行為責任を隠蔽してしまう機能があります。彼らは 交番の前ではやりません。ですから非常に選択的な行動といえます。ですからこの辺の行為責任と疾病の部分をしっかり分けて考える必要があります。そして3番目は関わる支援者が子どもへの性暴力に対する正しい知識と認識を持つことも大事だと思います。昨今から出ています男児も性被害の対象になることやカミングアウトにはやはりそれ相応の時間がかかります。ですからこの辺りもしっかりと世間一般の常識として知ってもらいたいですし、グルーミングという言葉に関しても、ぜひ多くの人が知ってもらいたい言葉だと思います。最後になりますが、性犯罪に関しての一時予防、二次予防、三次予防というふうにまとめました。一時予防は先ほどから出ています啓発、そしてやはり性教育です。包括的な性教育の重要性というのは、私もこのプログラムを通して感じています。実は昨年の9月から我々の加害者のプログラムで性教育のプログラムを始めました。実際に助産師の桜井優子先生に来ていただいて、月1回ではあるのですが、学校で受けるような性教育のプログラムを行っています。これ非常に参加者に好評で 、こういうことをもっと早く知っていたかったと加害当事者が言っています。ですから、この包括的性教育を幼少期からしっかり学ぶということの重要性は、当事者も声を上げているということを知っていただきたいと思います。あと二次予防に関しては早期発見、早期治療。先ほど初めての加害行為から専門治療につながるまで、かなりの期間を要しています。このあたりは経時手続きも含めて、早い段階で治療につながっていくようなシステムの構築が重要だと思います。最後は再発防止です。これを今我々が取り組んでいるプログラムになります。まだまだ少ないので、もう少し増えていくといいなと思います。最後ですが、今回の資料から引用したデータ等は、こちらの「小児性愛という病、それは愛ではない」という本の中に書いてあります。もう少し詳しくデータとかまとめたものが、この本の中には集積されていますし、実は加害者自身も過去に小児期の逆境体験を多く経験しています。つまり彼らも過去被害者だった経験があるわけです。このような被害と加害の負のサイクルを断ち切るためにも、我々がやっている加害者臨床の意義というのは非常に大きいなというふうに感じています。ご清聴ありがとうございました。
1:26:41
ありがとうございました。以上で参考人のご意見の陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑を行います。なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。質疑のある方は順次ご発言願います。
1:26:58
住民省の加田博之でございます。本日は4名の参考人の先生方から、本当に現場に即した中でのご意見をいただきましたことに感謝、恩恵申し上げたいと思います。まず、小西参考人にお伺いしたいと思います。私も兵庫県ですので、先生が県立心のケアセンターの外部評価員をしていただいておりますことに感謝申し上げます。実際、今回私がお伺いしたいのは、障害の特性を踏まえた性犯罪の創設の必要性についてなんですけれども、小西参考人は様々な研究、そしてまた先ほど言いました、いろいろな機関の委員もされておりましたり、いろいろな方の研究も長年されているんですが、被害者の方に障害がある場合なんですけれども、健常者とやはり異なる困難を抱えることになると思います。その点について、どのような形の困難さというものがあるのかということについて、現場の経験からお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
1:28:12
お答えします。まとまってお答えできるかどうか分かりませんが、障害といった場合に多岐にわたるわけですね。例えば身体障害もあれば、精神障害もあれば、それから知的障害ということも、この性犯罪の被害ということについては結構関わってくると思います。それぞれが今回の法案に沿って言えば、意思の形成、認識のところですね。そこで例えば、年齢が政治に達していても、これが被害だと分からないというようなこともあれば、あるいは、真っ当なところで同意しないことは思っていても、何も表出ができなかったというようなこともあるわけで、法案に述べてある3段階の中の様々なところで、引っかかってくると思います。今日私が述べた、性的虐待の被害者の場合も、PTSDだけではなく、障害名として言うのであれば、乖離だとか、あるいは、中にはこういう被害を受けていることでも、精神障害が出ているような方もいらっしゃいますので、そういうときには、さらに同意の意思の形成、表明、真っ当、その3つの様々なところでできなくなる。だから、全体的な言葉で言えば、脆弱であると言えますけど、すみませ ん、個別で本当にケースによって違いますので、そこを評価することが必要だと思います。
1:29:57
ありがとうございます。続いて、次、斎藤参考人にお伺いしたいと思います。本当に加害者視点という形でということで、私も事前に資料を読ませてもらいまして、本当になかなか聞くケースがない中でのお話だったので、大変参考になりました。そうした中におきまして、先ほど言いました複雑なセクシャリティの中で、いろいろなケースが想定ということで、組み合わせみたいなお話があったんですけど、その中で、また、障害のある性犯罪、被害ということについて、その要素が入りましたときに、またより一層複雑化すると思うんです。実際、斎藤参考人から見て、加害者が被害者の障害を知る立場にある性被害という部分についての特徴とか、事例についてありましたら教えていただきたいと思います。
1:31:01
ありがとうございます。加害者が被害者に障害があるということを知っている場合の加害者の特性ということでよろしいでしょうか。私も様々な加害者を見てきましたが、基本的に彼らがターゲットとするのは、加害行為を達成しやすいかどうかが基準になりますので、そういう意味では、例えば、軽度知的障害や発達障害を持つような児童はターゲットとされやすいと言えると思います。そういう場合は、教職員の加害者の方はそういうケースで加害行為を行って、我々のところに来る方もいらっしゃいますし、非常に子どもに関わる職業を選択している方の中にも、小児性愛障害の当事者の方がいらっしゃるので、そこのあたりというのは少し何か配慮が必要なのかなと思います。
1:32:03
ありがとうございます。やはりそういう部分で、実際、声を上げにくいところを巧妙に狙ってやってくるということがあります。先ほど斉藤参考人がおっしゃいましたように、教職員の方とか、本来であれば一番守る立場である保育される方とか、キャンプの指導員とか、そういう方の立場がそういう形になるということで、これをどういう形で、もちろんですけど、パッと一見すれば分かりにくいのですが、どうすればこれは分かるようになるのか、特徴的とか、そういう部分についての見解がありましたら、ちょっと再度教えていただきたいと思います。
1:32:51
はい。当院のデータでは、初心児、教職関係、子どもに関わる仕事に就いていた方の全体のパーセンテージは15%でした。ただ、事件によって職をなくしている方も来ているので、そういう方も含めると約3割、全体の3割が子どもに何かしらの教育的な立場で関わっていた方々でした。ですから、今おっしゃったように、どこの辺りまで、例えば加害者のことをデータベース化するにしても、今回のKIDSラインで起きた事件に関して見ても、実はマッチングアプリで起きた事件の件数よりも圧倒的に多いのはキャンプ場とか、親が夏休みに子どもに自主的に参加させたいというような、そういう中で起きているケースが結構多いので、どこまでを規制していくか、データベース化していくかというのは非常に範囲が難しいなというふうに感じています。ありがとうございます。実際、この範囲というものと、またデータベース化の部分についても、我々も考えていきたいと思います。次に、島屋参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、現行刑法が被害者に障害がある場合、心身喪失として扱っていることの限界について、その点について、島屋参考人についてのご見解をお伺いしたいと思います。島屋参考人 ありがとうございます。現行刑法の心身喪失について、こういうことですね。行為者が心身喪失である場合には、責任能力を書 き、処罰されないということになります。心身喪失については、精神の障害により、是非、辨別の能力、あるいは行動制御能力、いずれかについて、一律、障害があるという場合に、責任能力がないと考えられて、処罰をされないということになり、先ほど申し述べました2つの能力が減弱している場合には、心身交着ということで、処罰が減刑されるという取扱いになっております。岡田博之君 ありがとうございます。次に、島屋参考人にお伺いしたいのですけれども、フランスの事例の方が最後に言われていたのですけれども、フランス刑法における被害者に障害がある場合の取扱いについての現状について教えていただけたらと思います。
1:35:53
ご質問ありがとうございます。フランス刑法は、暴行、脅迫、強制、不意打ちが行為要件になっておりまして、そこで実質的に性犯罪の成立を検討します。そして、障害 がある場合とか、脆弱性ですね。障害だけじゃなくて妊娠なども入るのですが、身体障害、精神障害、あるいは性別とか、さまざまな要件が入っていまして、そちらの脆弱性が認められた場合は、行為主者に刑罰が加重されるという方向で規定になっていますので、今回の日本の規定とは少し違っております。
1:36:41
それで再度お伺いしたいのですけれども、やはりこの部分について、今回もちろん改正を我々もやっていくのですが、今後の課題点ということについて、フランスとの比較という部分について、もちろん今はこの現部分についての改正案の議論ではあるのですけれども、今後のこれからの課題ということについては、先生のご見解をお伺いできたらと思います。
1:37:11
ありがとうございます。評価と課題については、先ほどの意見陳述で述べたとおりです。それでフランス刑法は今申し上げたように、かなり広く、処罰範囲を広い規定が1992年からあったものですから、私は今までずっとフランスの方が進んでいるとずっと申し上げてきたのです。ところが4月にボルドー大学に客員教授で参りまして、この新しい改正法案をほやほやの紹介しましたところ、大学院生がとてもびっくりしていまして、日本はすごい進みましたねと、これではフランスが追い越されてしまいますねというふうに評価されたのですね。今のところは課題もあるかと思うんですが、先ほど申し上げたような、それよりもぜひこの新しい改正法案を通していただければと思っております。よろしくお願いいたします。以上で終わります。ありがとうございました。立憲社民の福島みずほです。今日は4人の参考人の皆さん、今までの長年の研究仕事を取り組み、本当に敬意を表します。そして今日、非常に私たちにいろんなことを教えてくださって、心から感謝をしております。小西参考人は、私がセクシャルハラスメントの裁判をやるときに、原告のカウンセリングをしていただいて本当に感謝しています。法律化が見えないこと、わからないこと、やれないことが本当にたくさんあるというふうにも思っております。ありがとうございます。今回、不同意性交際や性交同意年齢の引上げ、このことは本当に必要であり、農民頭脳というのが、何とかこれを刑法にどう位置づけるかということで、いろんな議論があり、今回提案に至ったことは心から歓迎します。今回の改正案には本当に賛成です。その上で、今回の176条ですが、まさに明確性とばらつきをなくす、それからどうするというところの、本当に農民頭脳をどう法案にするかという、非常に苦肉じゃないけれども、すごく努力をされたんだと思います。それで刑法を習ったときに、一番初めにやっぱり財系法定主義、憲法31条に基づく財系法定主義、明確性、類推適用の禁止というのが、まず胃の一番に叩き込まれるわけで、今回176条が8項目あり、かつ治療などが入っているので、逆にこういうことについて気をつけるというか、十分配慮して同意をちゃんとあるように、世の中がなるようにと思っているんですが、ただ、刑法ってやっぱり明確性が必要で、人を殺してあるものは、他人のものを摂取してあるものはと明快なのが、ちょっとセクシュアルハラスメントガイドラインではないけれど、分かりやすい面とどうなっていくのかという若干不安な面と、正直あるんですね。この176条に類推適用になったりすると、これまた本当に問題ではないかと思い、この点について、島岡参考人いかがでしょうか。
1:40:36
ご質問ありがとうございます。ご質問の趣旨は従々承知しております。ただ、島岡参考人もご発言なさったんですが、今まで認められていたものを、ここにもっと分かりやすく、それでもまだばらつきがあったので、むしろ明確性を担保するために、この8類型を規定したという理解でありますので、確かにこれだけでは言い切れないところを、これに類する行為というふうに包括的なものとして入れましたけれども、その後に一番大事なのが、同意の形成、表明、全うが困難である状態であったという、この要件が一番重要なものがあるわけですから、そこで類推適用ということはなく、ここでしっかりとその要件に当たるかどうかを厳格解釈されるものと承知しております。
1:41:32
ありがとうございます。今日は性教育、包括的性教育の必要性ということをそれぞれおっしゃったんですが、確かに代表質問に対する文部科学大臣の答弁は、本当にちょっと正直、私ももっと踏み込んでほしいというふうに思いました。小西参考人、島岡参考人、斉藤参考人に、この性教育はどうあるべきかということについて、私は性暴力の被害者、加害者、同伴さんならないということも必要だし、性の権利ということも必要であると、人生においてどういう自分が性的な関係を人と持つかということに伴う性の権利ということも必要だし、何も教えられない状況は良くないと思っているんですね。とりわけ斉藤参考人、先ほどもちょっと性教育をおっしゃいましたが、どういう性教育をすれば、先ほど加害者の人がこんな性教育を早く受けたかったとおっしゃったとおっしゃいましたので、どういうことをすれば本当にいいのかと思いますので、それぞれ性教育の今後の在り方について、小西参考人、島岡参考人、斉藤参考人、教えてください。
1:42:50
はい。性教育についてはですね、要するに多角的、要するにここの輪での子どもに必要な、だいだらすべき情報は何かということから考えると、いわゆる教義の性教育ではなくて、さまざまな面での教育が必要だと考えております。それは今先生が言われたことと、ほぼ共通しているかもしれません。例えばそれは権利の問題でもありますよね。人権の問題でもある。それからもう一つ、体を触ってきたり、悪意を持って近づく人がいることもやっぱり事実として知っていく必要がある。それからもう一つ、じゃあ自分がどうやってこれは被害なんだと気づけるか。身を守る。よく水着で隠れるところは大事なところだから触っちゃいけないっていうような言い方で教えるっていうことがありますけれども、実際上、防犯と言いますか、被害を防止するためにどうすればいいかということも必要ですよね。それらを統合するところである年齢からはやっぱり性そのものについても教えていく必要があります。だから発達上、それからさまざまなところからの角度からですね、教育をしていく必要があるというのが私が思っていることです。続いて島岡さんにお願いします。はい、 ありがとうございます。私の資料の3ページに、ジェンダー平等意識を促す包括的性教育ということで、どういうことが必要かというふうに書きましたので、ここに書いてあるとおり、対等なジェンダー平等教育を醸成したり、おっしゃったようなセクシャルリプロダクティブヘルスライツ権利をきちんと教えたりということが非常に重要かと思っております。それでまたエピソードを一つご紹介したいのですが、私は1990年に初めてフランスに留学しましたけれども、33年も前ですが、大学院、グルノーブル大学というところに行って、授業の前に健康診断を受けたんですけれども、そこで女性の医師さんが最初に言ったのが、あなたピルはちゃんと使ってますよね、という一言だったんですね。もう衝撃を受けまして、33年前ですから、見たこともありませんと言ったら、どんな甲進国から来たんですかという目で見られまして、あなたその年齢で自分の身は自分で守れなくてどうするの、すぐ行きなさいと言って、無料でそこで配布してくれるアソシエーションがありましたので、そこに行ってもらった覚えがあるんですね。そのぐらいフランスでは5歳から妊娠の経過を教え、それからずっと対等な関係を教え、中高になったら否認教育をしっかり教え、ピルをちゃんと飲むように指導するというよう な、システマティックな性教育が行われているということをご紹介させていただきます。続いて、再度参考人お願いします。はい、ご質問ありがとうございました。昨年の9月からクリニックの方で月1回外部の講師を招いて、性教育のプログラムをやっております。このプロジェクトのテーマは「性的同意は世界を救う」という名前のプロジェクトです。まだまだ広がりとしてはそんなに大きくないんですが、私自身がこのプログラムを長年やる中で、なぜ性教育、つまり包括的性教育が必要だなと感じたきっかけは、私は性加害のプログラムは成人だけじゃなくて、少年事件も結構扱っているんですね。少年事件の加害者、いわゆる非公少年に刊別書等で面会に行くと、彼ら自身がこんなに大事になると思いませんでした。相手は自分に行為を持っていたと思うし、まさかこんなに大事になって引っ越さないといけないことになったり、転校しないといけないことになると思いませんでした。彼ら自身が自分がやった加害行為によってどういうことになるかの想像力が非常に貧困だったということに加えて、私自身、少年事件と いうこともあって、性的同意に関するパンフレットと、今大学等で配っているので、そういうものを参考に、まずはその再犯防止のスキルを学ぶよりは、性的同意について学んでいこうということで関わりを始めたら、そのセッションが終わる頃に、その少年たちが、先生、僕これを知っていたら、もしかしたら今回の事件をしなかったかもしれません、という少年が結構いたんですね。私、この性的同意という言葉は学校でも教えてもらったことがないし、親からも聞いたことがないし、やっぱり性について自然に覚えるものだと思っていたし、YouTubeとかTikTokとかいろんなSNSで見て、今回の行為、自分はこんなに相手が傷つくと思っていませんでした。だからこの性的同意という言葉をもっと早く知りたかったです、という、実は非公少年の言葉がきっかけでした。それから去年の9月からプログラムを始めるようになって、実際にプログラムをやる中で、参加者からも、性教育どんなものを受けていましたかという質問に対して、みんな受けていないですね。僕たちの性教育の教科書はAVでした、という答えがほぼ全員でした。もちろんフィクションとノンフィクションを分けて、彼らも生活はし ていましたけど、AVを真似て加害行為する人も中にはいらっしゃいます。そういうところからも、やはりこの性教育の重要性というのは、未成年だけじゃなくて大人も必要ですし、私このプログラム、実は今週の金曜日第10回目をやるんですが、今回のテーマは、生家会社における恋愛と結婚というのがテーマです。私このプログラム一緒に助産師さんとやりながら、私自身が性教育ちゃんと受けてきてないなということを実感しました。ですから私も一緒にプログラムで学びながら、彼らと同意の概念をアップデートしていっているというのが現状です。
1:49:12
同意の概念を、性的同意も含めて学校で教えれば随分変わるのかなと思いました。小西参考人にお聞きをいたします。先ほど、岡崎支部の判決で実際鑑定書を書かれて、そして同意があっても暴行脅迫がないから無罪ということに、どうしても法律家が着目するけれど、それだけではないと おっしゃったわけで、ぜひそこのそれだけではないという部分をもう少し教えていただけますか。
1:49:45
この事件で無罪になったということが、法律の雑誌なんかを読みますと、公共不能の解釈というところに問題は修練していて、そうじゃないことも十分あり得たと書いてあるんですけれども、でもこの人が本当にどういうふうに傷ついていたかということを一心の関係者が分かっていたとは記録を見ると私には思えません。どっちかというと、被害を受けた人は泣いたり苦しんだり、そういう状態で人の前には現れないんですね。加害者がいるところでそういうことをしたらどうなるかというと、さらにやられる。何でもないというふうにやってこそ生き延びられるわけです。そういう形で生き延びてくるからこそ、虐待の被害を受けた子どもは一見何でもなさそうに見える。でもよく聞いたり、症状について調べたりすると、とても傷ついているし、本人が苦痛を感じていたり、とても不利な状況をそのまま感受したり、というようなことがあり、それがまた今度は加害者の方の行為を招いたりするわけですね。そういうような被害者の方の脆弱性を増すようないろいろな被害、それから相互作用における問題、そういうようなところは全く捉えられておらず、虐待の問題ということがとても平面的にというか、形式的にしか扱われていないというのが私の感想です。
1:51:27
島岡参考人にお聞きをします。性的な死体を撮影する行為などについてと、グルーミング剤について一言、評価というか、お考えを教えてください。
1:51:41
ありがとうございます。先ほども本当に一言申し上げたんですけれども、まずグルーミング剤の新設は、先ほども申し上げましたが、この性的搾取が多くしており、弱者である未成年者が十分保護されていない現状がありますので、これらをきちんと刑法庭の中に、こういう行為はしてはいけないんだという、しっかりと規範として入れることには私は評価しております。この条件も、無制限に広がらないようにきちんと考えられているのではないかと思っております。それから、性的な死体撮影等の法律ですが、こちらもやはり、先ほども繰り返しになりますが、やはり自治体の条例等で討殺が規定されていますと、例えば有名なもので、飛行機の中でスチュワーデスの討殺が、どこの上空では何県かわからないということで、結局条例案が適用できなかったというニュースもありましたので、このようにきちんと全国に適用される法律で、特別法で規定されそうだということには非常に評価しております。
1:53:04
はい、どうも本当にありがとうご ざいました。
1:53:13
公明党の佐々木紗友香です。今日は参考人の皆様、大変貴重なご意見をいただきまして、私も非常に改めて勉強をさせていただいております。最初に小西さん個人にお聞きしようと思うんですが、今日改めてお話をいただいた被害者の被害児の心理のこと、改めて、徹底的に抵抗する人は、臨床でもほとんど見たことがないと、こういったお話をいただいたわけであります。この事実というのは、おっしゃるとおり、本当に残念ながら、裁判所、もしくは司法関係者には、これまで認識されてこなかったと思います。司法試験でも出ませんし、その後の司法研修所の収集でも、こういったことは一切勉強いたしませんし、その後、最近、裁判所において、こういったことも、裁判官に、これは任意だと思いますけれども、研修をしていただくような機会も出てきたと。こういったことというのは、 小西さん、公認を始め、関係者の皆さま、それから、何よりやはり被害当事者の方々が声を上げて、当時の心理というのはこういうものなんだということを表に、声を上げていただくようになった前回の改正以降、本当にこの流れがあって初めて、残念ながらといいますか、認識され始めたのは良いことなんですけれども、これまでは本当に認識されてこなかったなというふうに思っています。ですので、今回の改正を踏まえて、よりこのことについて、しっかり、省関係者、そして国民を広く認識をして、そして、性質疑問を追い取ることについて、しっかり啓発教育をしていくと、これが本当に今回の肝であるなというふうに私自身も思っております。それで、まず小西さん、公認にお聞きしたいのが、今申し上げた、裁判官への研修、おそらく昔よりは良くなってきたんじゃないかなとは思うんですけれども、私が法務省じゃなくて、最高裁に聞きましたら、めちゃくちゃ公裁管轄で任意で、こういう研修があるということを裁判官に声かけをして、他に予定がなかったら行くというような形での研修は実施されていると聞いておりましたけれども、やはりしっかり、必須のものとして、事実認定を行う上で、こういった被害者の心理状態というのは、必ず理解していただかないといけませんので、裁判所、それから検察官、警察、特にこの関係者への研修ということについて、ご存知のこととか、問題点とか課題とか、現状何かございましたら、ぜひ教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。小西さん、公認。小西 はい、そうです。例えば、裁判官向けの司法研修所における研修とか、あるいは法務総合研究所における検察官の研修、警察官の研修、いろんな研修の中で、こういう被害者の心理ということについて取り上げていただき、私もそのうちのいくつかに講師として参加したりしています。おっしゃるとおり、任意ですので、全体のこういう裁判に関わる放送の人たちに伝えるということができていないのは、とても 残念だと思っています。実態をお話しすると、そういう方たちもむしろ衝撃を受けたりするというようなことが伝わってくることもあって、本当にどういう状況にあるのかというのを、ご存じないんだなというのが、最初はむしろ私にとっても衝撃でした。そういう点では、以前に比べれば、研修が増えていることは間違いないと思いますが、必修になっていないとか、それからやる側から言いますと、1時間半でこの被害の実証をどういうふうに伝えるのかというのがすごく難しいです。例えば、事例を挙げて出せば、やっぱり細かいところまで分かっていただけますよね。だけど、そうすると全体像を示せないし、今度、全体像を抽象的に語るだけでは、これまでの状態と何も変わらないわけです。さっきの虐待を受けた人たちが、一体どうして黙っているのか、それから被害を受けたときに何の抵抗もできないときに何が起こっているのか、そういうことをちゃんと説明しようと思うと、そういう具体例で分かりやすくするのと、抽象的に語るところが同じ時間でできなくて苦労しています 。だから本当は、私の立場から言えば、必修で多くの時間を割いていただけるとありがたいというふうに思っています。
1:58:33
ありがとうございます。次に、島岡参考人と島屋参考人にお聞きしたいと思います。先ほど話題になりました小西参考人がお示しいただいたような、被害者の被害時の心理状態というものは、これをしっかりと踏まえていただいて、法制審でも議論をしていただいて、今回適切な処罰がこれまで以上にされるような刑法の改正ということがなされるんだというふうに理解をしておりますけれども、やはり放送関係者にとって、この暴行脅迫要件というのは非常に強いイメージがありまして、やはりまず暴行脅迫があったかどうか、しかもその被害者の抵抗を自主懇願にする程度の暴行脅迫があったのか、ないとなると結 構難しいかなと、他の事情でいろいろ事実認定できるかもしれないけど、どうしたらいいかなというような思考回路だったと思うんですよね。その中で今回の法改正というのは、暴行脅迫という文言はありますけれども、それは程度とはないと、その他の様々な困難事情を礼事列挙をしていただいて、分かりやすく明確に適切な処罰がよりなされるようになるというふうに私も思っております。恐らく今までも、これは処罰すべきだというものは処罰されなければならないし、従来の刑法であっても、使い方によっては処罰することはできたんだと思いますけれども、その使いにくさというところがあって、やはり使う人によって判断が分かれたりとか、なんとなく明確性というか、適切な判断がなされなかった場合があったのではないかと、それを誰が使っても適切に処罰ができるように、より良いものになるのではないかと思っています。質問といたしましては、先ほど話題になりました小西参考人がお示しいただいたような、被害者の実装、被害者の被害時の心理というものをしっかりと、これが適切に考慮されて処罰されなければ、今回の法改正はあまり意味がないと思いますので、これが今回の条文で示された構成要件によって、こうした被害者の心理をしっかりと状態を踏まえた処罰がなされるということで、よろしいのかという確認をさせていただきたいと思います。島岡参考人、島屋参考人の順でお願いできればと思います。まず島岡参考人お願いします。ご質問ありがとうございます。おっしゃるとおりなんですけれども、小西参考人がおっしゃったように、やはり被害者がすぐに抵抗しない状況がいろいろありますけれども、例えば、新しいもので6号にあたる予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、もしくは驚愕させることで、急に驚いてフリーズしてしまうわけですよね。まさかそんな事態になると思っていない時にそういうことをされるとフリーズしてしまったり、あるいは7号の虐待に起因する心理的反応を生じさせることは、まさに岡崎事件なんかでもあったように、ずっと長年虐待を受けても諦めの気持ちになってしまっているし、ここで抵抗したらまた何か悪いことが起きるんじゃないかということで抵抗しないとか、今まで散々問題になってきたことをず っと何年もかけて議論していただいて、ここにきちんと明確に規定されていただいたことで非常に状況を改善するのではないかと思っております。
2:02:31
はい、ご質問ありがとうございました。お答えさせていただきます。心理について着目するという点については、今、島岡参考人がおっしゃられた通り、176条の6号とか、さらには2号、その他の7号など虐待に起因する場合など、被害者の心理がそういったことを抵抗、抵抗じゃなくて同意できないような事態をもたらし得るということですね。そういったことに着目した規定となっており、また未成年者の保護に関しましても、未成年者の能力的な問題ですね、性的意味の能力、性的意味の理解能力だけではなくて、影響力の理解とか対象の能力などの児童の心理能力等に着目した考え方をとっております。その上で、基本となる構成要件につきましては、それらの心理が作用したということを確証するために、同意しないし、を形成、表明、全うするということを困難な状態にし、あるいはそういう状態に生じてという定め方をしておりまして、その被害者の心理が最終的な侵害につながるという点を、そこで担保する形で条文が作られているというふうに理解をしております。ですので、ご質問につきましては、被害者の心理を捉えた処罰が今後はなされるというふうに理解をしております。佐々木紗友香君。 最後に、性教育、包括的な人権教育を含む性教育のことについてお聞きしたいと思います。これ非常に重要だと思ってまして、政府としてもこの法律が成立した場合には、内閣府、それから文科省、学校現場での性教育を含めてしっかりやってもらいたいと思っているんですけれども、やはり学校現場はなかなか現状難しい部分もありまして、先進的に取り組んでいただけるところももちろんあると思うんですけれども、やはりこの文科大臣の答弁をお聞きいただいたとおり、なかなかこの日本の学校現場でそこまで十分な教育をなせるかどうかというのは、私は少し心配に思っています。ただ、いのちの安全教育ということで、数年前から、日本にしては私は過激的だなと思っているんですけれども、そういった中で、性的同意的な教育もされますし、ただ現在、教材がやはりないの で、文科省がそういったものを作るというのは、なかなか専門性の観点からは難しいので、そういうこともあって、まだまだいろんな課題があるなと思っています。ですので、私はこの学校現場での教育もそうですけれども、同時に地域とか民間においてきちんと専門的な、十分に信頼性のある教育というものを進めていって、教育を受けさせたいなと思うような、ご家庭が利用できるようにしていくというのも、私は同時並行的に日本においては重要じゃないかなと思うように思ってまして、例えば、入院時研診というのがありますけど、発達研診ということで、1歳とか3歳とかありますけど、そういうところで、例えば知らしよう、行政の側がこういう講座がありますから、関心あれば受けてみませんかとか、そういうアナウンスをして、やはり行政がやっているということであれば、行ってみようかなというようなご家庭もあるかもしれませんので、そういった民間での教育啓発というところについても、日本でもっとやっていくべきではないかなと思うので、すみません、ちょっとあと残り2分になってしまうので、大変申し訳ないんですが、端的にお答えいただければと思います。斉藤参考人からお願いできますでしょうか。
2:06:42
はい、ありがとうございます。実は実際に文科省のホームページから資料がダウンロードできるように今なってまして、学校現場でどのようなパワーポイントを使って教えるかというのは、文科省のホームページを見るとわかるんですが、もう実際に当院のプログラムでそのパワーポイントを使って、加害者の人から見たこの命の安全教育の足りない視点というディスカッションもすでにしております。そこから出た意見としては、もちろん被害者にも加害者にもならないための正教育ではあるんですが、実際見るとですね、禁止、回避、性行為はやってはいけないというような、そういう内容が結構中心で、そもそも性というのは非常に神聖なものであって、相手との親密な関係の中で行われるものであって、大切にしていかないといけないものなのにもかかわらず、そこを回避するような内容が中心で、さらに加害者にも被害者にもならないと言いながら、加害者の視点でどう加害者にならないのかというような内容がほとんどなくてですね、ちょっとそのあたりが非常に足りない部分だなというふうに感じました。あれを使って学校の先生たちがこれから教材を使ってやるところというのは非常になかなか大変な作業だろうなという感想を持ちました。続いて島岡参考人お願いします。お答えします。学校教育をぜひ進めていただきたいのですが、その前にやはり子どもたちだけではなくて大人の意識を変えるということが重要だと思いますので、やはり民間の、私なんか今ダイバーシティの方のアンコンシャスバイアス研修というのをやっているのですが、それは民間でいろいろ新しい研修材料とかが出ているので、そちらを利用したりもしています。ですのでおっしゃるように行政と民間と協力してこの点を進めていけばいいのではないかなと思っております。
2:08:53
日本支社会の清水と申します。今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。まず初めに斎藤参考人よろしくお願いいたします。加害者側の立場として本当になかなか聞くことができないお話を教えていただきました。ありがとうございます。その承認、承認性愛障害についての話なんですけれども、これをどうですね、再犯防止をしていくかという中で、私が疑問に思ったのが、この承認性愛というのは、いろんな性的思考がある中の一つと捉えることもできるのかなと思ったりですね。これ行為に及ばなくて、頭の中でイメージしている分には、いろいろな性的思考の中の一つと捉えることもできますし、ただそういったところから犯罪、加害行為に発展することもあるので、そこの時点から、ある意味治療するといいますか、止めていくような教育みたいなものをしていくのか、それともやっぱりそういうことは、加害行為はしてはだめなんですよという、そういうことを教えていくのか、このあたりが非常に、私、お話を聞いていて難しいなというふうな感情を受けたんですけれども、現場ではどのように対応されていらっしゃるんでしょうか。斉藤参加おにん。ありがとうございます。初心の段階で、子ども性加害の方以外も含めて、必ず聞く質問 が一つありまして、逮捕されていなければずっとこの加害行為を続けていましたかという質問を必ずします。受診された方は100%「はい」と言います。ということは、逮捕されたときが治療的介入のチャンスということになるんですね。逆を返して言うと、逮捕されなければずっと続けているということになります。ですから、自身の問題性を自覚して、自らこのままだと僕は事件を起こす可能性があるから、再犯防止プログラムを事前に受けたいという問い合わせは今までほとんどありません。特に子ども性加害の性指向を持っている方は、自分の性指向を格下がります。実際に逮捕されて弁護人がついて、弁護人から「あなた治療を受けた方がいいよ」と勧められても、「治療に行ったら自分の子どもへの性指向の話をしないといけないから治療を受けたくありません。刑務所に行く方がいいです」とこういう回答をする加害者もいるので、そもそも事前に子ども性加害者かどうかをフィルタリングするのは非常に困難ではないかなというふうに感じています。海外ではアベルテストという事前にフィルタリングをかけるテストがあるとは聞いていますが、実際 に現場で働いていると、そういうテストだという前提で、もし試験を受けたら、彼らはより問題を隠そうとしますので、そういう意味では、初犯は防げないが、再犯は防げるというのが現場の意見です。この後、我々は午後に対政府質疑が準備されておりまして、その場で私が質問しようとしているのが、精神科医や心理カウンセラーの方々による性的加害、性被害を起こしてしまうというケースも残念ながら起きてしまっておりまして、逮捕者なども出ていると。こういったことをどう防いでいくかということを今回法務省に聞こうと思っているんですけれども、これは今回の8つの要件のうちの、例えば精神科医と患者さんでしたら、これ薬を使うことも、治療として使うことも出てきます。8番の要件の社会的関係上の地位というのも、これは先生と患者さんですから発生をすることになります。こういうのが進んでいくと、陽性定員というんですかね、恋愛感情のような感情が生まれてしまうこともあるという中で、これをどう治療なのか、それとも加害なのか、どういうのはどうやって判断して、これ本当に難しい問題か なというふうに思っているんですが、まずは小西参考人に現場にいらっしゃって、これをどういうふうに見ていったらいいのかなというのを教えていただいてよろしいでしょうか。
2:13:32
おっしゃっているような加害というのは実際にございますし、例えば薬を使ってやるものもあるし、それからカウンセリングの中で恋愛感情を持ったように、ようにという言い方があるんですけど、なって後で訴訟になっているケースなんかも実際に経験しておりますので、医師患者、それからカウンセラークライアントの関係というのはやっぱり対象ではありませんから、当然職業的な倫理が非常に要求されるものですよね。それが守られていないということで、これはこれで一つどうやって防止していくかというのは問題だというふうに思っております。例えば倫理として患者さんと恋愛関係 になってはいけないというぐらいのことは、どこかで言われたりするんですけれども、これがパワーの関係として非常にハラスメントが起きやすいものだというような教育はなされていないと思います。それからこういう事態が実際には常に発生しているわけですけれども、それに対してどうシステムとして応えていくかというのも、例えば移動審議会みたいなところまで上がらないケースというのが結構たくさんあると思うので、医師の側にあるいはカウンセラーの側にこういうことがあるということを、団体がまず意識してシステムを作るということも必要なのではないかなと思っております。本当におっしゃるようなことは実際に結構ございます。
2:15:21
続いて島岡さんにも同じ内容をお聞きしたいんですが、先ほどの陳述をいただいたときに、課題懸念の部分で、ここの8番の要件8の部分を触れていただいてお りまして、また海外でこれは法律をちょっと見てみますと、イギリスとかドイツなどはそういう同意があるなしではなくて、そういう立場、特にイギリス、ドイツ警報が相談、治療、または世話を行う環境を利用した性的虐待というのは、もう完全に禁止されているということなんですね。こういうことを見ますと、今回の要件8で、そういったことが十分に防げるのか、ちょっと曖昧な部分があるのではないかとも考えてしまうんですけれども、この辺りについてお聞かせいただけたらと思います。
2:16:04
ありがとうございます。ここ本当に悩ましいところでございまして、これを取り出して、もうそれだけで、その地位と地位関係があるだけで性犯罪成立するというふうにしてしまいますと、それこそ医者と患者の恋愛が全くないか、あるいは先ほどおっしゃらなかったのですが、