6:20
(拳を叩く音)これより会議を開きます。この際、日程に追加して、刑法及び刑事訴 訟法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、ご異議ございませんか。(( 答えます ))ご異議ないと認めます。
7:08
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。性犯罪は、被害者の尊厳を一流しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける悪質重大な犯罪であり、厳正に対処することが必要です。平成29年には、刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の構成要件を見直すなどの改正が行われましたが、同法の附則において、性犯罪における被害の実情や、改正後の規定の施行状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について、検討を加えることとされており、性犯罪について、被害の実情や事案の実態に即した規定とすることが求められています。そこで、この法律案は、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、この種の犯罪に適切に対処できるようにするため、刑法及び刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。この法律案の要点を申し上げます。第一は、性犯罪の罰則規定が安定的に運用されることに資するため、強制壊竊罪及び準強制壊竊罪、並びに強制性行当罪及び準強制性行当罪をそれぞれ統合した上で、同意しない意思の形成表明、全うが困難な状態での壊竊な行為、又は性行等であることを中核とする要件に整理し、不同意壊竊罪及び不同意性行当罪とするものであります。第二は、若年者の性被害の実態に鑑み、現行法上13歳未満とされている、いわゆる性行同意年齢について、16歳未満とした上で、その者が13歳以上であるときは、後遺者が5歳以上年長である場合に処罰することとし、これにより13歳未満の者に対して、壊竊な行為、又は性行等をした者に加えて、13歳以上16歳未満の者に対し、壊竊な行為、又は性行等をしたその者より5歳以上年長の者についても、不同意壊竊罪、又は不同意性行当罪として処罰することとするものであります。第三は、若年者の性被害を未然に防止するため、壊竊の目的で16歳未満の者に対し、威迫、議刑、利益供与等の手段を用いて、面会を要求する行為等を処罰対象とする罪を新設するものであります。第四は、性犯罪の被害申告の困難性等に鑑み、性犯罪 についての控訴時効期間を5年延長するとともに、被害者が18歳未満である場合には、その者が18歳に達するまでの期間に相当する期間、さらに控訴時効期間を延長するものであります。第五は、被害状況等を繰り返し供述することによる心理的・精神的負担を軽減するため、いわゆる司法面接的手法を用いて、被害者から聴取した結果等を記録した録音録画記録媒体について、一定の要件の下、反対尋問の機会を保障した上で、主尋問に変えて証拠とすることができることとするものであります。このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。政府といたしましては、以上の内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において不足について一部修正が行われております。その内容は、第一に、政府はこの法律の施行後5年を経過した場合において、速やかに性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとし、また、この検討がより実証的なものとなるよう、性的な被害の実態について必要な調査を行うものとすること、第二に、政府はこの法律による改正後の規定等の趣旨及び内容について、国民に周知を図るも のとすることです。以上が刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
11:57
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。
12:41
社民党の福島みずほです。私は立憲民主社民会派を代表し、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問をいたします。まず冒頭、昨日の法務委員会での入管法改悪法案の強行採決と、本会議において採決が行われ、整理させようとしていることに強く抗議をいたします。入管法改悪法案の立法事実は崩壊をしました。難民認定制度が全く機能していないことが明らかになりました。難民申請する人たちの中に、ほとんど難民はいないということの根拠がないことが明確になりました。にもかかわらず、2回難民申請をすれば、3回目申請中でも本国に送還するとなれば、難民の人をまさに本国に送る危険性があります。命の危険が発生します。国会議 員の皆さん、死刑執行のボタンを押す共犯者にどうかならないでください。入管法改悪法案に反対してくださるよう強く求めます。性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、心身に深刻な影響を与えるものです。魂の殺人です。国連は、1993年、女性に対する暴力の撤廃に関する宣言を採択しました。女性に対する暴力は人権侵害であると考えますが、法務大臣、男女共同参画担当大臣、いかがでしょうか。そしてそのために、どのような施策を行ってきたか、法務大臣、男女共同参画担当大臣、お聞かせください。ヨーロッパ協議会は、2011年に、女性に対する暴力とドメスティック・バオレンス防止条約、いわゆるイスタンブール条約を採択をしました。2023年2月現在、44カ国とEUが署名をしています。日本はヨーロッパ協議会のオブザーバーステータスを持っている国です。また日本もこのイスタンブール条約を批准することができます。法務大臣、日本も批准するよう検討すべきではないですか。そしてILO195条約、仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約を批准すべきではないでしょうか。検討状況について、厚生労働大臣にお聞きをいたします。イスタンブール条約は、女性及び女子がジェンダーに基づく暴力にさらされる恐れは、男性より大きいと述べています。性差別のある社会では、女性はもっぱら性的存在として扱われ、同意のない性的行為が強制されます。性的行為の同意以前に、日常的にそもそも女性はどうしたいかと聞かれ、その意思が尊重されることが少ないように思います。対等な存在としてリスペクトされることが、まだまだ少ないのです。性暴力は、なかなか性暴力として認識されず、また被害者に落ち度があるという考え方が、まだまだ根強いです。被害者は恥として自分の被害を言うことができず、話題にもできず、また理解をされません。また、家の中での性暴力、職場や学校におけるセクシャルハラスメント、電車や映画館や様々なところである痴漢、就活ハラスメント、ドメスティックバウレンス、ごくごく小さい時から性的なからかい、性的なねぶみ、性暴力にさらされ、レイプカルチャーの中で、そのようなものが空気のように充満しているところで生きていきます。女性、女子に対するすべての暴力、性暴力を根絶する決意を、法務大臣、男女共同参画大臣にお聞きいたします。イスタンブール条約は、レイプを含む性的暴力について、同意なしの性的行為と定義していることは重要です。No means no, yes means yes です。本人の同意のない性的行為は、本人の性的自由を侵害するという理解でよろしいですか。一緒に食事をしても、お酒を飲んでも、一緒に部屋に帰っても、ホテルに行っても、性的行為について同意があるのではないということでよいですね。これらの2点について、法務大臣にお聞きをいたします。性犯罪が成立するためには、判例は、その手段たる暴行脅迫が、少なくとも相手方の犯行を著しく困難にさせる程度のものであることを要するとしていました。暴行脅迫が相手方の犯行を著しく困難にする程度のものではないとして、性犯罪が無罪になったケースがいくつもあります。2019年3月、名古屋地方裁判所岡崎支部の判決は、実の父親による性行に娘が不同意であったことを認定しながら、公表不能ではなかったと父親を無罪にしました。この月に無罪判決が相次ぎ4件続き、衝撃を与えました。性暴力の根絶を願うフラワーデモが全国に広がりました。今回の刑法改正が、強制性行当罪を不同意性行当罪と名称を変更し、同意のない性的行為を問題としていることの意味について、法務大臣に説明を求めます。何をもって同意とするのか。この法案で同意のない性行当が適切に処罰をされるということで良いでしょうか。良いですね。これら2点について法務大臣にお聞きをいたします。13歳以上に対し暴行や脅迫を用いてという要件から、16歳以上に対し次の類似した行為、自由やこれらに類する行為、自由により性行当に同意しない意思を形成表明、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態に、常時点に改めて8つの事例を列挙したことの趣旨を法務大臣ご説明ください。刑法は国家権力を処罰する基本法です。憲法31条の在刑法定主義に基づき、公正要件の明確化が厳しく求められます。捜査機関や裁判所における恣意的な運用を許さず、国民に何が処罰されるのか、あらかじめ明確に示しておくことが必要です。次の類似した行為、自由やこれらに類する行為、自由によりという文言があります。他方法案で不同意性行当罪について、8つの事例を列挙したことで、分かりやすくなった面はあります。例えば、地位利用ということでいえば、私は職場のセクシャルハラスメント、学校の中のセクシャルハラスメントの裁判を弁護士としてやってきました。上司と部下、大人と子ども、男性と女性、クラブの、例えば部活の顧問と部員など、力関係の作用、利用背景に地位利用で行われる性暴力は抵抗することができないという深刻さがあります。公正要件の明確性という面と、例示によって分かりやすくなった面の両方の観点からの答弁を法務大臣に求めます。また、犯罪をなくすためにも不動位性交当罪にしたことの意味を、社会的に広く広報する必要があると考えますが、法務大臣いかがですか。配偶者間でも不動位性交当罪が成立するとしたことの趣旨について、法務大臣お説明ください。かつて配偶者間で合間罪の成立を認めた犯例はあります。別居している妻を連れ戻す過程で、車中で他の男性と一緒に臨監したという例です。このように極端なケースではなくても、一般的に配偶者間でも不動位性交罪が成立するということで良いですね。法務大臣お答えください。16歳未満に対する性行等は成立要件を満たさなくても処罰対象となります。その理由について法務大臣ご説明ください。また13歳から15歳は年齢の低い場合には免責し、処罰は5歳以上の年長者に限るとした理由について、法務大臣ご説明ください。構想事項の延期についてお聞きをいたします。性被害は大人であっても子どもであっても子どもであればなおさら被害を犯罪と認識できなかったり、自分も悪かったのではないかと自分を責めたり、あまりに傷ついて沈黙を強いられたり、加害者が身近な人であればあるほど被害を訴えられないという状況にあります。苦しすぎてその苦しさを語れないという苦しみがあります。構想事項の延長の趣旨について法務大臣ご説明ください。同意のない性的な 行為は性暴力であり、相手の同意は尊重しなければなりません。そのためには性差別を根絶する必要があります。また自分の人権と相手の人権を尊重する人権教育としての性教育が必要です。知的障害などを持つ障害者の人は性暴力にあいやすいというアンケート結果があります。だからこそ七尾養護学校で性教育が行われていました。しかしそのことが叩かれ日本の性教育は冬の時代を迎えます。性教育について学習指導要領には小学5年生の理科では人の受精に至る過程は取り扱わないものとする、また中学1年の保健体育科では妊娠の経過は取り扱わないものとするとされています。つまり学校教育の中で性交は扱わないものとなっています。しかしこれでは妊娠や性交を理解することにはなりません。改善の必要があると考えますが男女共同参画担当大臣と文部科学大臣いかがでしょうか。ユネスコの包括的性教育ガイダンスに立脚した性教育がなされるべきではないでしょうか。男女共同参画担当大臣文部科学大臣にお聞きをいたします。男性の性被害についてお聞きをいたします。フランスのカトリック教会のシンプラが21万6000人の子どもたちに性的虐待を加えたとする報告書が2021年10月5日に公表されました。70年間にわたり2000人から3200人の生殖者が関与し たということです。被害者の8割は少年で大半が10歳から13歳の頃に被害を受けています。フランスのカトリック教会から依頼を受けた独立調査委員長は2000年代初めまで被害者は深く完全に残酷なまでに無視されていたと指摘をしています。元ジャニーズ事務所に属していた人たちが性被害を訴えました。私たちは性被害の訴えや報道を無視することで性被害の共犯者になってきたのではないでしょうか。ジャニーズ事務所の創設者に対し被害者たちの証言を前提とすれば現行法でどのような法的処置が可能だったのか改正法案が成立すればどのような条文が対象になるのか法務大臣お聞かせください。内閣府は2021年に男女間における暴力に関する調査を発表しました。男女の被害に関する質問項目がありますが、男性が性暴力被害を認識し相談しなかった理由は、自分さえ我慢すれば何とかこのままやっていける、相談しても無駄だと思った、世間体が悪いなどがあります。男性の性被害について厚生労働省は2022年度から実態調査に乗り出しました。調査の結果と取組について子ども政策担当大臣、男女共同参画担当大臣にお聞きをいたします。LGBTQの人たちの性被害についてお聞きをいたします。神奈川県は2019年から性暴力被害に 関するワンストップ支援センター内に性的少数者を対象にした男性及びLGBTS被害者のための専門相談ダイヤルを開設し相談者が対応しています。担当者によると過去の被害をやっと打ち上げられたと話す人もいるそうです。政府の取組がどうなっているのか、男女共同参画担当大臣についてお聞きをいたします。性犯罪・性暴力のためのワンストップ支援センターの支援についてお聞きをいたします。とりわけ病院拠点型のワンストップ支援センターや定型病院を用するワンストップ支援センターは、被害者に対する医療的支援のネットワークの核になっており、極めて重要な役割を果たしております。政府の更なる支援が必要だと考えますが、男女共同参画担当大臣いかがですか。伝聞証拠の取扱いの例外についてお聞きをいたします。刑事訴訟法における証拠は、公判定において反対尋問による検証を経るのが原則であり、原則として公判定外供述は証拠能力を持ちません。法案はなぜ聴取対象を子どもや障害者、性犯罪被害者に限定せず、文言上すべての犯罪類型のあらゆる関係者に適用することを可能とするのでしょうか。犯罪の被害に乗じて、伝聞証拠の例外の拡大を余りに進めるもので問題だと考えますが、いかがですか。法務大臣にお聞きをいたします。もし、この社会から女性や子どもに対する暴力がなくなったら、どれだけこの社会は変わるでしょうか。全ての子どもが幸せだと思える子ども時代を送ることができたら、この社会は根底から変わると確信をしています。最後に、男女LGBTQを問わず子どもたちの性暴力をなくすために何ができるか、男女共同参画担当大臣、子ども政策担当大臣、文部科学大臣に決意をお聞きをいたします。全ての暴力をなくすよう、政治は全力を尽くすべきだと申し上げ、私の質問を終わります。
28:37
福島みずほ議員にお答え申し上げます。まず、女性に対する暴力は人権侵害であるという考えについてお尋ねがありました。女性に対する暴力は、その女性の人権を著しく侵害するものであって、我が国が男女共同参画社会を形成していく上でも、政府一丸となって克服すべき重要な課題であると認識しています。次に、女性に対する暴力を防止するための施策についてお尋ねがありました。令和2年12月 に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画には、女性に対するあらゆる暴力の根絶が掲げられており、法務省を含む関係府省庁において、これに沿った取組が行われてきたものと承知しています。特に、性犯罪・性暴力については、女性に対するものだけでなく、男性に対するものも含めて、その対策を進めるため、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において、令和2年6月に性犯罪・性暴力対策の強化の方針が、令和5年3月に性犯罪・性暴力対策のさらなる強化の方針が策定され、関係府省庁において、これらの方針に沿った取組が行われてきたものと承知しています。法務省においては、性犯罪に厳正かつ適切に対処できるよう、所要の検討を進め、今般の2つの法律案を提出するなど、性犯罪・性暴力対策強化のための様々な取組を行ってきたところでございます。次に、イスタンブル条約についてお尋ねがありました。ご指摘のイスタンブル条約は、女性に対するあらゆる暴力やドメスティックバイオレンスの防止、被害者の保護、違反者の訴追等が規定されているものと承知しております。本条約の締結に関する所要の検討は、条約等の締結を所授する外務省において、関係省庁と連携しながら行われるものと承知しており、法務省としても必要な協力を行ってまいります。次に、女性女子に対する暴力・性暴力の根絶に向けた決意についてお尋ねがありました。私としては、関係府省庁とも連携しつつ、先ほど申し上げた取組等を着実に実施し、女性に対する暴力や性暴力の根絶に向け、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えています。次に、同意のない性的行為についてお尋ねがありました。性犯罪の本質的な要素は、自由な意思決定が困難な状態で性行為を行うことであり、そのような行為は被害者の性的自由や性的自己決定権を侵害するものであると考えています。次に、一緒に飲食するなどの行為が、性的行為についての同意があることを意味するかについてお尋ねがありました。不同意性行当罪などの犯罪の正規は、個別の事案ごとに収集された証拠に基づいて判断されるべきものですが、ご指摘のような行為をする際に、その行為をすることに同意していただけであれば、それをもって性的行為についての同意があることにはならず、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態で性的行為が行われた場合には、不同意性行当罪などが成立し得ると考えられます。次に、強制性行当罪から不同意性行当罪への改正の意味についてお尋ねがありました。本法律案においては、現行の強制性行当罪及び純強制性行当罪について、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素が、自由な意思決定が困難な状態でなされる性的行為であるという点を、同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態という文言を用いて、統一的な要件として規定し、これに伴い強制性行当罪と純強制性行当罪を一つの罪に統合することとしています。そして、このような文言を用いた要件とすることに鑑み、いわゆる罪名については不同意性行当とすることとしています。次に、何をもって性的行為の同意とするのか、とのお尋ねがありました。お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではありませんが、本法律案におきましては、同意していないこと自体を要件とするのではなく、自由な意思決定が困難な状態で性的行為を行うことが性犯罪の本質的な要素であるとの考えのもと、同意しない意思、すなわち性的行為をしない、したくないという意思を形成、表明、全うすることが困難な状態であることを、中核的な要件として定めることとしています。次に、同意のない性的行為の処罰についてお尋ねがありました。本法律案においては、先ほどお答えした性犯罪の本質的な要素を、同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態という文言を用いて、統一的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や自由を具体的に列挙することとしています。これにより、現行法のもとでも、本来なら処罰されるべき、同意していない性的行為が、より的確に処罰されるようにな ると考えています。次に、暴行または脅迫を用いてとの要件を改めることとした趣旨についてお尋ねがありました。現行の刑法第177条の、暴行または脅迫を用いてとの要件につきましては、判例上の解釈として、公共を著しく困難にさせる程度であることを要するとされていることなどから、個別の事案において犯罪の成立範囲が限定的に介されてしまう余地がある。安定的な運用を確保する観点からは、処罰すべき行為を適切に補足しつつ、判断にばらつきが生じない規定とすることが重要であるといった指摘がされています。そこで、本法理座においては、より明確で判断にばらつきが生じない規定とするため、この要件を改め、同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態と規定した上で、その状態の原因となり得る行為や自由を具体的に別居することとしています。次に、不同意性交等罪の要件について、分かりやすさと明快性の観点からお尋ねがありました。本法律座においては、不同意性交等罪について、同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態であることを中核的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や自由を具体的に例次列挙することとしており、これにより、個別、具体的な事案ごとに、どのような場合に同罪が成立するかの判断が容易かつ安定的に行え得ると考えています。そして、原因となり得る行為自由において、その他これらに類する行為又は自由と規定していますが、同罪の正規は中核的な要件である先ほど申し上げた状態にあるかどうかによって決せられるものである上、その他これらに類する行為又は自由とは、列挙された行為自由ごとに見たときに、それぞれに類する行為自由という意味であり、その範囲は不明確ではないことから、構成要件の明確性に問題はないと考えています。次に、不同意性交通罪の趣旨等の広報についてお尋ねがありました。本法律案については、衆議院における御審議の結果、不足について一部修正が行われ、政府は改正後の規定等の趣旨及び内容について、国民に周知を図るものとされています。法務省としては、本法律案が成立した場合には、不足の趣旨を踏まえ、不同意性交通罪の趣旨や内容についても、関係府省庁、機関や団体と連携しつつ、適切に周知・広報してまいりたいと考えています。次に、配偶者間においても、不同意性交通罪が成立するとしている趣旨についてお尋ねがありました。現行の刑法のもとにおいても、婚姻関係の有無は、強制性交通罪の成立に影響しないとする見解が一般的であり、リズムにおいてもそのように理解されています。もっとも、この点は条文上明示されておらず、学説の一部には、配偶者間における性犯罪の成立を 限定的に回避する見解もあります。そこで、本法律案においては、不同意性交通罪が配偶者間においても成立することを条文上明確にするため、改正後の刑法第170条第1項において、婚姻関係の有無にかかわらず、この罪が成立することを確認的に規定することとしています。次に、配偶者間において、不同意性交通罪が成立する範囲についてお尋ねがありました。先ほど申し上げましたとおり、改正後の刑法第170条第1項において、婚姻関係の有無にかかわらずとしているのは、婚姻関係の有無が不同意性交通罪の成立に影響しないことを条文上確認的に明確化するものであり、配偶者間であっても同行の要件を満たすものであれば、同罪が成立することとなります。次に、16歳未満の者に対する性行等を、それ自体として処罰対象とする理由についてお尋ねがありました。16歳未満の者は、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられ、そのような者に対する性的行為は、暴行等の意思決定に影響を及ぼすような状況がないとしても、性的自由・性的自己決定権という保護法益を侵害すると考えられます。そこで、改正後の刑法第177条第1項、第2項の要件を満たさなくても、性的行為をしたこと自体で処罰対象とすることとしています。次に、いわゆる性行同意年齢を引き上げる改正における年齢差の要件についてお尋ねがありました。13歳以上、16歳未満の者は、おおむね中学生の年齢層であり、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において性的行為が事故に及ぼす影響を理解し対処する能力が十分に備わっておらず、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられます。そして一般に相手方との年齢差が大きくなるほど、両者の社会経験等の差異により、対等な関係でなくなると考えられるところ、いわゆる性行動員年齢の規定は、性的行為をしたこと自体で性犯罪が成立するものとする規定であることから、その年齢差要件については、刑罰の権欲性の観点から、双方の年齢が要件を満たすだけでなく、例外なく、対等な関係はおよそありえず有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると言えるものであることが必要と考えられます。そこで本法律案におきましては、心理学的、精神医学的知見も含まれ、5歳以上年長であることを要件としているものであります。次に、性犯罪の構想事項期間を延長する趣旨についてお尋ねがありました。本法律案において、性犯罪については一般にその性質上、恥の感情や自責感により被害申告が困難であることなどから、他の犯罪と比較して類型的に犯罪が潜在しやすいこと を踏まえ、訴追可能性を適切に確保するため、構想事項期間を延長することとしています。次に、個別の事案を前提とした現行法及び本法律案による改正後の条文の適用についてお尋ねがありました。個別の事案における犯罪の誠意については、捜査機関により収集された証拠に基づき、個別に判断されるべき事柄であり、法務大臣として言及することは差し控えたいと思います。その上で、あくまで一般論として申し上げれば、現行の刑法においては、暴行または脅迫を用いたり、公居不能に成じるなどして性的行為をした場合のほか、13歳未満の者に対して性的行為をした場合、強制売接罪、強制性行当罪などが成立することとされています。また、本法律案による改正後の刑法においては、所定の原因行為事由により同意しない意志を形成し表明し、もしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに常時性的行為をした場合のほか、13歳未満の者に対して性的行為をした場合、13歳以上16歳未満の者に対して5歳以上年長の者が性的行為した場合に不同意売接罪、不同意性行当罪が成立することとなります。次に改正後の刑事訴訟法第321条の第1項の対象者の範囲についてお尋ねありました。同条は聴取を受けた者がさらに広範記述において供 述する場合に生じる心理的精神的負担の軽減を図るため、いわゆる司法面接的手法による聴取の結果を記録した録音録画記録媒体を広範に検出するための新たな伝聞例外を設けるものです。そしてこのような負担軽減の必要性があり、かつ司法面接的手法を用いることにより信用性が担保されるのはお尋ねのような性犯罪の被害者等に限られるものではないと考えられます。そこで対象者の範囲については、性犯罪の被害者のほか、さらに広範準備または広範記述において供述するときは、精神の平穏を一律しく害される恐れがあると認められるものも対象としているものであります。次に改正後の刑事訴訟法第321条の3大1項が伝聞例外を不当に拡大しないかとのお尋ねがありました。いわゆる伝聞証拠には原則として証拠能力が認められず、その理由については一般に伝聞証拠が供述内容の真実性を吟味確保するための要素を書くことにあるとされていますが、現行の刑事訴訟法においても証拠としての必要性と信用性の状況的保障の強弱の兼ね合いにより伝聞例外として証拠能力を認める要件が定められています。改正後の刑事訴訟法第321条の3においては、証拠としての必要性に関する要件として、性犯罪の被害者等の供述であることを定めるとともに、信用性の状況的保障に関する要件として、司法面接的手法の中核的な要素である 所定の措置が特に捉えたこと、聴取に至るまでの状況その他の事情を考慮し相当と認められること、聴取の全過程を録音録画すること、訴訟関係人に証人尋問の機会を与えることを定めており、これらの要件の兼ね合いにより証拠能力を認める要件として十分なものとなっており、伝聞例外の範囲を不当に拡大するとは考えていません。最後に改正後の刑事訴訟法第321条の3の運用における聴取主体についてお尋ねがありました。同条における証拠能力の要件においては、聴取主体がどのような立場であるかではなく、司法面接的手法において求められる措置が捉えたことこそが重要であり、かつ、それで足りることから聴取主体の限定はしていません。現在の運用においては、検察・警察・児童相談所が連携し、代表者が聴取を行うなどの取組を実施しているものと承知しており、これらとは別のものが聴取主体となることについては、司法面接的手法による聴取を効果的に行うためには、福祉と捜査の双方に就職している立場の者が聴取することが適切であるとの指摘がある中で、これにふさわしいものが具体的に想定できるのかといった点などが、課題になると考えられます。そのため、御指摘 の点については、今後の運用状況も踏まえて、慎重に検討すべきものと考えています。
45:37
女性に対する暴力に関する認識と施策についてお尋ねがございました。女性に対する暴力は、個人の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であり、決して許すことのできないものです。その根絶を図ることは、男女共同参画社会を形成していく上で、克服すべき重要な課題であり、政府としては、これまで累次にわたる男女共同参画基本計画において重要分野と位置づけ取り組んできたところです。過去2年に策定した現行の第5次男女共同参画基本計画においても、女性に対する暴力をなくす運動をはじめとする広報啓発により、暴力を容認しない社会規範の情勢を図るとともに、性犯罪、性暴力、配偶者等からの暴力ストーカー事案などへの対策を総合的に推進しております。女性女子に対するすべての暴力、性暴力の根絶についてお尋ねがありました。先ほど申し上げたとおり、女性に対する暴 力は、個人の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であり、決して許すことのできないものです。そのため、男女共同参画基本計画等に基づき、引き続き女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて、政府を挙げて取り組んでまいります。その中でも、性犯罪、性暴力への対策については、本年3月、性犯罪、性暴力対策の更なる強化の方針を取りまとめ、今年度からの3年間を、更なる集中強化期間と位置づけたところです。同方針に基づき、性犯罪、性暴力の根絶に向けた取り組みや、被害者支援の充実を一層強化してまいります。学校教育における性教育の改善の必要性、及び、ユネスコの包括的性教育ガイダンスに立脚した性教育の必要性についてお尋ねがありました。学校における教育は、文部科学省の所管であり、私の立場からお答えをすることは差し控えます。なお、学校における性に関する指導は、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動をとれるようにすることを目的に実施されていると承知しており、その目的に照らして必要な教育が行われることが重要だと考えております。男性の性被害の実態調査についてお尋ねがありました。女性や女児だけではなく、男性や男児の性被害や親からの性虐待等についても、医療機関や行政機関はこれを早期に 把握し、適切な支援につなげていく必要があります。このような中、令和4年度から令和6年度の3年間の計画で、DV(性暴力被害者)の医療と連携した支援体制の構築のための研究を実施しているところです。この研究では、小児会、産婦人会、比尿機会等に対し、男性を含む性暴力被害者の対応経験等に関するアンケート調査等を行い、医療機関や行政機関が連携して支援するための手引きの作成等を行う予定としています。現在、研究は途中の段階ではありますが、子ども家庭庁としては、研究者から研究の進捗状況を適宜ヒアリングしながら、その知見を施策に生かしてまいりたいと考えております。性的マイノリティの方々の性被害に対する取り組みについてお尋ねがありました。性犯罪・性暴力は、誰に対するものであれ、被害者の人としての尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与えるものであり、被害者に寄り添った支援を提供することが重要と認識しています。内閣府においては、ワンストップ支援センターを設置する都道府県等に対する交付金において、男性・セクシャルマイノリティへの相談対応を先進的な取り組みの一つに位置づけ、各センターの取り組みを促すとともに、センターの相談員等に対して実施している研修においても、多様な被害者への相談対応について取り上げているところです。引き続き、性的マイノリティの方々を含め、多様な被害者がためらうことなく被害を訴え、相談し、適切な支援を受けることができるよう、必要な取り組みを進めてまいります。ワンストップ支援センターへの支援についてお尋ねがありました。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを可能な限り、一箇所で提供する機関であり、すべての都道府県に設置されています。内閣府においては、ワンストップ支援センターを設置する都道府県等への交付金を通じて、センターの運営の安定化や被害者支援機能の強化等を支援しており、中でも、拠点となる病院を有するセンターについては、基準額を加算する措置を講じることにより、その運営を特に支援しているところです。引き続き、本交付金の活用により、拠点となる病院を有するセンターをはじめ、ワンストップ支援センターの支援に取り組んでまいります。最後に、子どもたちの性暴力をなくすための決意についてお尋ねがありました。性犯罪・性暴力は、子どもの心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと認識しております。政府としては、本年3月に取りまとめた、性犯罪・性暴力対策の更なる強化の 方針に基づき、刑事法の改正に係る対応、再犯防止政策の更なる強化、被害申告・相談しやすい環境の整備、切れ目ない手厚い被害者支援の確立などに取り組んでいます。とりわけ、子どもに対する性被害については、昨年取りまとめた「子どもの性被害防止プラン2022」に基づき、児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上、被害児童の迅速な保護及び適切な支援の推進、被害情勢に即した取り締まりの強化と被害者の公正、児童が性的搾取等の被害に合わない社会の実現のための基盤の整備・強化などに取り組んでいるところです。今後とも、関係省庁と連携しながら、性犯罪・性暴力対策の強化にしっかりと取り組んでまいります。
51:54
福島みずほ議員から、ハラスメント禁止に関する条約の批准についてお尋ねがございました。ILOの仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約については、その趣旨は概ね妥当と考えております。一方、批准との関係では、禁止規定を創設する場合のハラスメントの定義等について、国内法制との整合性の観点から、関係省庁とも連携しつつ、なお検討が必要であります。まずは、昨年4月に完全施行された職場におけるハラスメント防止対策の強化に関する改正法の周知啓発や、履行確保などに取り組んだ上で、改正法の附帯決議なども踏まえ、施行状況や諸外国の動向などを把握しつつ、必要な対応を検討してまいります。
53:18
福島議員にお答えいたします。まず、学校教育における生教育の改善の必要性についてお尋ねがありました。学校における生に関する指導に当たっては、児童・生徒間で発達の段階の差異が大きいことなどから、全ての児童・生徒に共通に指導する内容と、個別に指導する内容等を区別して指導することとしています。こうした中、全ての児童・生徒に共通に指導する内容としては、妊娠の経過や人の受精に至る経過は取り扱わないこととしていますが、個々の児童・生徒の状況等に応じ、必要な個別指導が行われることが重要と考えており、各学校における指導・相談体制の充実を図ってまいります。次に、ユネスコの包括的性教育ガイ ダンスについてお尋ねがありました。我が国においては、中央教育審議会の議論を経て策定された学習指導要領に基づき、児童・生徒の発達段階に応じて、性に関する指導を行うこととしています。このため、文部科学省においては、ユネスコの国際セクシャリティ教育ガイダンスに基づく指導を行うことは考えておりませんが、学習指導要領に基づき、例えば、性色・機能の成熟など、身体的側面のみならず、異性の尊重など、人間関係に関する観点からも指導をすることとしております。文部科学省としては、児童・生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動がとれるよう、学習指導要領に基づく着実な指導に努めてまいります。次に、子どもたちの性暴力をなくすために何ができるかについてお尋ねがありました。性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であって、決して許されないものであり、これまで文部科学省においても関係省庁と連携し、対策の強化に取り組んできました。本年3月に政府全体で取りまとめた性犯罪・性暴力対策のさらなる強化の方針においては、売接行為を行った教員等の厳正な処分と再反防し、学校等で相談を受ける体制の強化、命の安全教育や情報モラル教育等の推進、痴漢撲滅に向けた政策パッケージの確実な実行等を盛り込んでいるところです。被害者は悪くないという認識を社会全体で共有し、性犯罪・性暴力を根絶するという目的に向けて、文部科学省としても引き続きしっかりと取り組んでまいります。
56:48
日本紙の会の清水貴之です。会派を代表して、ただいま議題となりました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問いたします。今回の改正では刑法177条の強制性行当罪と178条2項の準強制性行当罪を統合し、不動位性行当罪に、176条の強制売接罪と178条1項の準強制売接罪を統合し、不動位売接罪に改めるものとされています。この強制という言葉を不動位という言葉に変更することが今回の法改正の大きなポイントであると思います。その意味や目的について、まず法務大臣に伺いたいと思います。処罰対象となる具体的な行為や状況については、暴行、脅迫に加えて地位に基づく影響力の利用など8項目を規定し、被害者の意思を重視したより厳格な処罰を行えるよう見直されています。性暴力被害者団体からは、明確な性犯罪規定にすべきという当事者などの声に応えたものであり、前進といった声が上がっています。拘束時効も原則5 年延ばし、18歳未満で被害に遭った場合は、被害時から18歳に達するまでの年月を時効に加算するなど、より厳しい内容となっていますが、ただ時効の延長期間が5年では足りないといった意見も上がっています。この意見について法務大臣はどのように答えますか。一方、本来は刑事罰として処罰することになじまない行為でも罪が成立する恐れがあり、加害者側の冤罪になりかねないケースもあるのではないかという指摘もあります。被害者の内心で罪が成立するという要件により、処罰対象が広がりすぎると不安視されていることについて、法務大臣の見解をお聞かせください。次に、性交同意年齢について伺います。日本の性交同意年齢は刑法が制定された1907年から変わっておらず、明治時代から13歳という年齢設定のままです。今回の改正案では、いわゆる性交同意年齢を16歳としつつも、13歳以上16歳未満の者に対しては当害者より5歳以上年長の者が売説な行為または性行動をしたとき処罰対象になるとされています。つまり13歳から16歳未満に関しては、5歳以上の年齢差がある場合のみ規定が適用されます。このように5歳差を要件とした趣旨は何でしょうか。また、性交同意年齢が引き上げられたことをどのように若年層に周知するのでしょうか。法務大臣に伺います。日本維新の会は国際的な基準も参考に、学習指導要領を適切に見直した上で、生きるための性教育を行い、自他の心身や人生を大切にできる子どもを育むことを政策に掲げています。子どもたちを性被害から守るため、また加害者にならないためにも、子どもたち自身に正しい知識を身につけてもらうことが必要です。しかし現在の学習指導要領では、13歳以上16歳未満に該当する中学生であっても、全ての中学生に共通に指導する内容としては、妊娠の経過は取り扱わないこととされています。性交同意年齢の引き上げに合わせ、国際的な基準に沿った性教育の在り方への見直しについて、先ほどの答弁ではあまり前向きな回答ではなかったように感じましたが、文部科学大臣はどのように考えますでしょうか。刑法等同様に提出されている、性的な死体を撮影する行為等の処罰及び、応酬物に記録された性的な死体の映像に係る伝辞的記録の消去等に関する法律案について質問します。まずは、いわゆる撮影罪について伺います。現在刑法に盗撮の規定はなく、捜査機関は条例や軽犯罪法、児童改修運、ポルノ禁止法などで取り締まっていましたが、盗撮の疑いで逮捕送検した件数は2021年に5000件を突破するなど、スマートフォンの普及によりこの10年で倍増しています。これまで盗撮は自治体ごとの条例によって規制対象の範囲が異なるなどばらつきがあり、 全国一列で適用できる撮影罪については評価の声も上がっています。そこで今回審査される撮影罪について、正当な理由がなく、画像を加工された場合、そもそも誰が加工したのか判別が難しくなった場合の対応について法務大臣に伺います。18歳未満の子どもに対する性犯罪に対して、大阪府では子どもを性犯罪から守る条例が制定されています。平成24年に全国で初めて施行されたこの条例は、子どもへの性犯罪の前歴がある者に、刑期を終えた後の住所の届出を義務づけました。この条例では、元受刑者が罪に係る刑期の満了の日から5年を経過しない者で、府の区域内に住所を定めた者は、名前や住所、性別、生年月日、連絡先、届出に係る罪名、加えて刑期の満了した日を届けなければならないと定められています。また、届出を行わなかったり虚偽の届出をした場合は、5万円以下の仮料を課すこととされています。こうした地方公共団体の取り組みについて、政府はどのように評価されているのでしょうか。法務大臣に伺います。この大阪府の条例については、法務省が個人情報の取扱いに配慮しながら、性犯罪により受刑した者に係る情報を適切に提供することとしています。しかし、個人の犯罪経歴に関する情報については、特に慎重な取扱いが必要という理由により、府内を基準先とした出所者の全体数などの基準者情報 が得られません。届出が自己申告性である中で、国と地方の情報共有に壁があることで、条例を活用しきれていないといった課題が生じています。実効的な政策にするために、条例の周知や国と地方が情報共有できる法整備が必要と考えますが、法務大臣の見解をお聞かせください。大阪府の条例に関し、これまでに住所の届出件数は197件、社会復帰支援の実施人数は72人、社会復帰支援の延べ実施回数は1336回に上ります。全国で同様の条例は福岡県と茨城県にとどまります。政府の性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針においては、地方公共団体による再犯防止施策の支援が盛り込まれています。その中で、必要な体制ができた地方公共団体に対しては、引き続き出所者に関する情報を含め、必要な情報提供を行うとの記載があります。出所後の住所の届出義務を課す自治体が3つしかない状況で、必要な体制ができた地方公共団体に対してと言わず、国が地方公共団体に対し積極的に働きかける必要性があるのではないでしょうか、法務大臣に伺います。続いて、日本版DBS制度について質問します。日本維新の会は、保育士や教員から子どもへの外説事件が後を絶たない事態を重く受け止め、免許を再交付しないことを可能とする立法に続き、過去の性犯罪経歴の紹介や無罪証明書の発行ができる日 本版DBSの創設を政策提言に掲げています。政府は昨年5月、犯罪対策閣僚会議において、子どもの性被害防止プランを決定しました。この中で、教育・保育施設や放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ、部活等などの子どもが活動する場において働く際に、性犯罪歴についての証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討を進めると明記しています。そして、本年4月に発足した子ども家庭庁において、日本版DBS設置の法制化に向けた検討を開始していると聴取しています。まず、この制度の必要性とスピード感を持った日本版DBS創設への決意について、子ども政策担当大臣の見解をお聞かせください。先週事例であるイギリスでは、内務省の関連団体のDBS事務局が犯罪歴をデータベースで管理し、子どもや障害者等に関わる仕事の雇用主が給食者の情報を紹介し、給食者が受け取った証明書を雇用主に提出する仕組みになっています。雇用主による紹介は、給食者本人が申請書に記入し、証明書は給食者本人が受け取ることとなっています。政府は、職業選択の自由やプライバシー意見との関係等の懸念があるとして慎重な姿勢を見せてきましたが、イギリスの制度では、無罪証明書が必要となる職種は限定されており、また、採用する側や他人が本人の許可なく勝手に犯罪歴を調査したり、他人の目に触れることはなく、闇雲に犯罪歴を公開するような制度にはなっていません。子どもと関わる職業は多岐にわたり、無罪証明書を発行する対象を広げれば規制効果は高まる一方、対象の範囲をどう絞るのかが課題であると考えますが、子ども政策担当大臣、日本版DBSの対象の範囲をどのようにお考えでしょうか。我々日本維新の会は、性犯罪の未然防止と被害の根絶、加害者を生み出さない社会の実現にしっかりと取り組んでいきます。以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
1:06:56
清水貴之議員にお答え申し上げます。まず、強制壊設罪等の要件を改め、罪名を変更する意味や目的についてお尋ねがありました。本法律案においては、現行の強制壊設罪及び準強制壊設罪、並びに強制性行当罪及び準強制性行当罪について、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素が、自由な意思決定が困難な状態でなされる制定行為であるという点を、同意 しない意思を形成し表明し、もしくは全うすることが困難な状態というものを用いて、統一的な要件として規定し、これに伴い、強制壊設罪と準強制壊設罪を、また強制性行当罪と準強制性行当罪を、それぞれ一つの罪に統合することとしています。そして、このような文言を用いた要件とすることに鑑み、いわゆる罪名については、不動意壊設、不動意性行当とすることとしています。次に、性犯罪についての、控訴事項期間を延長する期間についてお尋ねがありました。本法律案においては、他の犯罪と比較して、類型的に被害が潜在化しやすいという性犯罪の特性を踏まえ、その控訴事項期間を延長することとしています。そして、延長する期間については、実証的な根拠に基づいて定めるという観点から、内閣府の調査において、無理やりに性行当されたことがあり、被害を誰かに相談した方について、被害に遭ってから相談するまでにかかった期間がどの程度であったかを踏まえて、誤念としています。もっとも、この点に関しましては、衆議院における御審議の中で、性犯罪についての被害申告の実態が十分に踏まえられていないとの御意見が示され、御審議の結果不足が修正され、政府において施行後5年を経過した場合の検討や、性的被害の申告の困難さ等についての必要な調査を行うことが定められるなどしたところです。法務省としては、こうした御審 議の結果を踏まえ、本法律案が成立した場合には、関係府省庁とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えています。次に、改正後の不同意外接罪、不同意性行当罪の要件と処罰対象についてお尋ねがありました。これらの罪の同意しない意思を形成し表明し、もしくは全うすることが困難な状態との要件は、被害者の内心そのものではなく、性的行為がなされるときの状態を要件とするものであり、同意しない意思の有無自体ではなく、その意思の形成表明全うが困難な状態であったが否かで処罰を確するものです。そして被害者がそのような状態にあるかどうかは、列挙自由、列挙行為と相まって、客観的外形的に判断することが可能であると考えています。したがって処罰対象が不当に拡大するようなことはないと考えています。次に、いわゆる性行同意年齢を引き上げる改正における年齢差の要件についてお尋ねがありました。まず、13歳以上、16歳未満の者は、おおむね中学生の年齢層であり、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において、性的行為が事故に及ぼす影響を理解し対処する能力が十分に備わっておらず、対等な関係のもとでなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられることから、対象となる年齢を16歳未満に引き上げることとしています。そして一般 に、相手方との年齢差が大きくなるほど、両者の社会経験等の差異により、対等な関係でなくなると考えられるところ、いわゆる性行動員年齢の規定は、性的行為をしたこと自体で性犯罪が成立するものとする規定であることから、その年齢差要件については、刑罰の権欲性の観点から、双方の年齢が要件を満たすだけでなく、例外なく、対等な関係はおよそありえず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると言えるものであることが必要と考えられます。そこで、本法律案においては、心理学的・精神医学的知見も踏まえ、5歳以上年長であることを要件としているものです。次に、いわゆる性行動員年齢が引き上げられた場合の若年層への周知についてお尋ねがありました。本法律案については、衆議院における御審議の結果、不足について一部修正が行われ、政府は改正後の規定等の趣旨及び内容について、国民に周知を図るものとされています。その具体的な方法等について、現段階で書くたることをお答えすることは困難ですが、法務省としては、本法律案が成立した場合には、不足の趣旨を踏まえ、いわゆる性行動員年齢の引き上げの趣旨や内容についても、関係府省庁・機関や団体と連携しつつ、適切に周知広報してまいりたいと考えてい ます。次に、静的死体等撮影罪に関し、画像が加工された場合等の対応についてお尋ねがありました。画像の加工に関するお尋ねの具体的状況は必ずしも明らかではありませんが、静的死体撮影等処罰法においては、静的死体等を撮影する行為や、画像を提供する行為などを処罰することとしているものの、画像を加工する行為自体は処罰対象としていません。もっとも、静的死体等撮影罪にあたる行為により、画像が生成された後、それが加工された場合であっても、同一性が失われていない限り、加工された画像を提供する行為や、その画像が処罰対象としていない限り、 画像が処罰対象としていない限り、そして、誰が加工したのかの判別が困難な場合においても、その画像が静的死体等撮影罪にあたる行為により生成されたものかどうかや、加工の前後における同一性については、捜査機関により収集された証拠に基づき、判断されることになります。次に、地方公共団体の性犯罪者に対する取り組みに関する評価についてお尋ねがありました。お尋ねの大阪府子ども性犯罪から守る条例は、大阪府がその自治権に基づき制定したものであるため、法務大臣として見解を述べることは差し控 えたと思います。その上で、一般論として申し上げるならば、性犯罪者の再犯を防止するためには、刑事司法手続の修了後も、地域社会において必要な支援が受けられるようにすることが重要であると考えております。その観点からしますと、大阪府は性犯罪者の再犯を防止するため、大変意欲的な取り組みをされているものと認識をしています。次に、大阪府の条例の周知及び地方との情報共有のための法整備についてお尋ねがありました。大阪府子どもを性犯罪から守る条例の施行に当たり、大阪府の依頼を受け、法務省では大阪府に対し、届出者の同意を前提として出所者の情報を提供しています。また、受刑者及び保護観察対象者に条例の内容を周知するため、刑事施設及び保護観察所内にポスターを掲示したり、刑事施設での性犯罪再犯防止指導の実施の際に資料を閲覧させたりするなどの対応を行っております。次に、地方公共団体の情報提供について一般論として申し上げれば、個人の犯罪の経歴に関する情報は、人の名誉あるいは信用に直接関わるものであり、個人情報としてもその取扱いに特に配慮を要するものと承知をしています。その上で、受刑者の記述先にかかる情報につ いては、そもそも法務省として網羅的に把握しているものではないこともあり、情報提供には慎重を期するべきものと認識しています。今後とも、条例による届出対象者に条例内容を周知するとともに、関係法令に基づき地方公共団体に対する適切な情報提供を進めてまいりたいと考えております。最後に、地方における再犯防止政策推進のための情報提供についてお尋ねがありました。法務省としても、地方公共団体が再犯防止の取組を行うために必要となる情報の提供は重要であると考えています。一方で、出所者等に関する情報は犯罪の経歴等が含まれる個人情報であって、その取扱いについては特に配慮を要するところであり、各地方公共団体においてそのための必要な体制を構築していただくことも重要であると考えています。法務省においては、これまで全ての都道府県及び指定都市に対し、地方公共団体における再犯防止等施策に必要な情報提供に係る執務参考資料を配布するなど、そのような体制の構築を含む地方における再犯防止政策推進のための働きかけを行ってまいりました。今後とも、議員の御指摘を踏まえ、地方公共団体において必要な体制が構築され、情報提供がなされるよう、国としても積極的な働きかけに努めてまいります。
1:17:46
清水議員にお答えいたします。国際的な基準に沿った、性教育の在り方への見直しについてお尋ねがありました。性に関する指導に対する価値観は、国によって異なっており、我が国においては、中央教育審議会の議論を経て策定された学習指導要領に基づき、児童・生徒の発達段階に応じて、学校教育全体で必要な教育を行うこととしています。性に関しては、生徒間で発達の段階の差異が大きいことなどから、全ての生徒に共通に指導する内容としては、妊娠の経過は取り扱わないこととしていますが、個々の生徒の状況等に応じ、必要な個別指導が行われることが重要と考えております。また、文部科学省では、子どもたちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための「いのちの安全教育の教材」及び「指導の手引 き」を作成し、全国の学校での取組を推進しております。
1:19:22
性犯罪歴を確認する仕組みの必要性と創設への決意についてお尋ねがありました。子どもが性犯罪・性暴力の被害に遭うようなことは、断じてあってはなりません。教育・保育施設等や子どもが活動する場等において、働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組みの必要性に関しては、子どもの安全・安心を確保するための重要な施策であると考えています。このような仕組みの導入に向けて、具体的には、職業選択の自由やプライバシー権との関係を含む法的論点の整理や、証明のための具体的な手続やシステムの在り方等について検討を進めているところであり、現時点で導入時期が定まっているものではありませんが、できるだけ速やかに導入できるよう、しっかり取り組んでまいります。性犯罪歴を確認する仕組みの対象となる職種の 職業の範囲についてお尋ねがありました。性犯罪歴を確認する仕組みは、憲法上の権利、具体的には職業選択の自由やプライバシー権と関わるため、対象となる職業の範囲については過度な制約にならないように、必要な範囲を考えていく必要があります。さらに対象となる職業は、他の職業と明確に区別する必要がありますが、個別の業法がない職業も考えられることから、そのことを踏まえた仕組みについても考えていく必要があります。対象となる職業の範囲について、現時点で定まっているものはありませんが、これらの観点を含めて必要な検討を進めてまいります。
1:21:05
the floor is yours.国民民主党新緑風会のカダ・ユキコでございます。ただいま議題となりました、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につき、会派を代表いたしまして、斉藤法務大臣、加藤厚生労働大臣、奥浦内閣府特命 大臣の見解を求めます。はじめに、性犯罪や性暴力被害者の総合的な救済のための公的機関のあり方について、法務大臣及び厚生労働大臣にお聞きいたします。性犯罪や性暴力被害に遭われた方たちの医学的・精神的支援は、公的機関が本気で対応するべき課題です。個別的事例で恐縮ですが、滋賀県では、総合的な啓発ステーションを、私自身が知事を務めていた2014年の4月に開設いたしました。当時、滋賀県内での性犯罪被害者が、2013年には170件を超えてしまい、被害にあっても相談ができない人たちが多いことが分かりました。そこで、性被害にあって、恐怖と混乱の中でどうしたらいいか分からない被害者に対して、緊急支援を行い、二次的被害を防止するために、産婦人会員と犯罪被害者支援センターと県警の3社に協力を求め、県としてワンストックの総合的なケアを行う「SATOCO」を2014年4月に開設いたしました。具体的には、産婦人会での緊急受診や被害者の心理的相談など、24時間対応の仕組みをつくり、基本的な診療費用などは、公費負担としました。大見犯罪被害者支援センターの理事で専門相談員の松村博美さんは、「性犯罪は人権を踏みにじる悪質な犯罪です。私の体は私のもの、私の心は私のものという信念のもと、被害に遭われた方が前に向かって進む力を取り戻せるよう、全力でサポートしています」と語っておられます。その通りです。性犯罪は魂の殺人です。相談者の数は毎年増えており、滋賀県では10年間で3000件ほどの支援を行っておりますが、人的・財政的にも近年次第に難しくなっております。日本全国47都道府県に性犯罪被害者支援組織が設置されていますが、被害者にとっては、真夜中でも緊急に支援を受けられる体制が求められます。24時間365日、電話やメールを含めて緊急相談体制を有する都道府県はどれくらいあるでしょうか。また、運営のための国からの財政的支援はどうなっているでしょうか。お伺いします。次に、司法と医療の連携について、法務大臣にお尋ねいたします。「加害者が減らない限り、被害者も少なくならない」と、犯罪加害者の治療に力を入れる、生障害専門医療センター代表理事の福井博之医師は述べています。