1:04
今から厚生労働委員会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日までに船小康彦君が委員を辞任され、その補欠として天端大輔君が占任されました。政府参考人の出席要求についてお諮りいたします。新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して、生活衛生、関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に理事会協議のとおり、厚生労働省大臣官房、生活衛生職員安全審議官佐々木雅宏君ほか4名を政府参考人として出席を求め、その説明を持ちをすることにご異議ございませんか。ご異議ないと認め、採用を決定いたします。新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して、生活衛生、関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案の趣旨 説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次ご発言願います。
2:24
立憲民主社民の内越桜です。本法律案は昨年の第210回臨時国会での審議が見込まれたため、当時から業界団体などから早期成立を望む声が挙げられました。その一方、ハンセン病患者、元患者や障害者団体などの方々から、感染症の感染者等に対する差別・偏見を助長するものだと厳しい批判も出されました。これには歴史的な経緯があります。感染症予防法は、98年に伝染病予防法、性病予防法、抗テンセイ免疫不全症候群予防法を統合して制定されました。当時の公衆衛生審議会は、過去におけるハンセン病患者をはじめとする感染症患者に対する差別や偏見が行われた事実や、予防法が存在し続けたことが結果として患者、入所者とその家族の尊厳を傷つけ、多くの苦しみを与えてきた事実、同法が平成8年に廃止されるに至った経緯への深い反省が必要であると指摘し、健康の伝染病予防法は、集団 の感染病予防に重点を置いてきたことから、人権の尊重に配慮した法律とは言い難い。今回の見直しに当たっては、患者、感染者を社会から切り離すといった視点で捉えるのではなく、患者の人権を尊重し、差別や偏見なく、一人一人が安心して医療を受けて早期に社会に復帰できるとの健康な生活を営むことができる権利、個人の意思の尊重、自らの個人情報を知る権利と守る権利等に配慮することが重要であると述べています。日本の公衆衛生行政が、差別的で人権への配慮が足りなかった点が厳しく指摘されました。こうしたことから、関連する法律においても、差別や偏見が助長される要因は、注意深く積み取っておかなければなりません。日米連は、宿泊拒否制限の緩和について、宿泊を必要とする者に宿泊場所を提供する、野宿、行き倒れ防止という観点から宿泊施設の公共性に鑑み、一時的に宿泊客の身体や生命の安全を確保し、引いては、憲法13条22条に由来する移動の自由を担保する重要な意義を強調しています。このことから、宿泊拒否を可能とする自由は、極めて限定されなければなりません。ハンセン病の元患者やHIV感染者への宿泊拒否事案への反省から、言われのない宿泊拒否など、決して繰り返してはならないことは、旅 館業法の見直しに係る検討会、厚生労働省はもとより、業界団体、患者団体と全てに共通する問題意識でした。こうしたことから、衆議院において法案に対して述べられた様々な懸念について、与野党が真摯な協議を行い、事業承継の経過措置等を含む修正が行われたことに敬意を表します。第5条において、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるよう、特定感染症の患者等であると改められたことについて、衆議院で我が党の安倍智子議員の質問で、その等が拡大解釈を生まないか、との懸念が表明されています。現行規定の伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められる場合と、衆議院厚生労働委員会における答弁で、等に当たるものとして示された感染法上の疑似症患者、または無症状病原体保有者には、隔たりがあるように思われます。どのような運用が行われるのか、安倍議員の問題意識である無症状者をどのような取扱いとなるのか、わかりやすく説明をお願いします。
6:21
お答えいたします。今、委員に御指摘いただいたように、特定感染症の患者等は、患者のほか、感染症法の8条の規定に基づいて、感染症の患者とみなされる疑似疾患者や無症状病原体保有者も含むこととしています。これは実際に現場でどうかということにでございますが、これは感染症法における考え方にも従って、原則として医師の診断に基づいて判断されることになりますので、ホテルの現場において、あなたは患者等ですとか、そういうふうな区別がされるというものではございません。
6:56
現場にもそのような認識は徹底していただきたいというふうにお考えます。本来、宿泊拒否ができないという立て付けであって、宿泊拒否については極めて限定的に解釈すべきであることについて、修正案を受けて、改めて大臣に御認識を伺います。
7:19
今、委員からお話がありました旅館業の営業者は、旅館業法によって、宿泊拒否事由に該当する場合、除き宿泊を拒んではならないとされております。この法案もその体系を変更するものでは全くなく、営業者は宿泊拒否事由に該当するかどうか判断するに当たり、宿泊しようとする方の状況等に配慮するとともに、客観的な事実に基づいて慎重に検討することが求められると考えております。衆議院における修正において、まず厚労大臣が専門家等の意見を聞いて、営業者が宿泊拒否等に適切に対処するために必要な指針を定めるとされたこと、また、営業者は宿泊しようとする方の状況等に配慮して、未だに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、宿泊拒否事由のいずれかに該当するかどうかを客観的な位置に基づいて判断し、宿泊しようとする方からの求めに応じて、その理由を丁寧に説明することができるようにするなどの修正が行われるところであり、こうした規定に基づき、旅館・ホテルの現場で適切な運用が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。また、さらにこの法案では、旅館・ホテルの現場において適切なサービスが提供されるよう、従業員に対する必要な研修の機会の付与を旅館業の営業者の努力義務としているところであります。指針の内容を周知していただくとともに、旅館・ホテルにおいて指針を踏まえた適切な対応がなされるよう、しっかりと取り組ませていただきたいと考えております。
8:56
今もお話にありましたとおり、修正案も踏まえて、宿泊拒否については、営業者の説明責任と適切に対応するためのガイドラインが作成されることになっており、速やかな対応を望みます。そのスケジュール感と、現在想定しているガイドラインの内容についても可能な範囲で結構ですので、御説明をお願いします。
9:24
お答えいたします。委員御指摘のガイドライン、衆議院での修正を踏まえて指針という方にいたしますけれども、この指針はスケジュールですけれども、交付の日から記算して6月を超えない範囲内のできるだけ早い時期に策定したいと考えております。次に内容についてですけれども、営業者は宿泊しようとする者の状況等に配慮してみたりに、宿泊を拒むことがないようにすること、いわゆる迷惑客の宿泊拒否の対象となる事例としては、宿泊者が従業員を長時間に渡って拘束し、または従業員に対する威圧的な言動や暴力行為をもって苦情の申し出を繰り返し行う場合等が該当すること、さらに障害を理由として宿泊を拒むことはできないことを盛り込むことを考えております。
10:10
今御答弁で障害を理由にした拒否は良くないということを盛り込んでいただけるということだったんですけれども、なお心配に残っておりまして、私が昨年4月21日のこの委員会において、ワクチン接種会場に盲導犬を連れて入れなかったという事例を挙げました。その報道によると、視覚障害者が1人の場合、あるいは盲導犬を伴ったりした場合に、施設側の方から人手不足とか安全上の理由などという説明で宿泊を拒まれるという事例があったと、そういった報道があったんですね。こうした事例は、盲導犬ユーザーの約3割が、3割もが宿泊施設での受入れ拒否を経験しているという調査からも、状態化している、残念ながら状態化していることが伺えるわけです。障害者差別禁止法や身体障害者助犬法などによって、それがあるにもかかわらず現場に周知が徹底されていないという、投げかわしい状況である。ということで、この法案そのものの話でもないんですけれども、改めてこれらの法律の周知状況について伺います。
11:33
お答えいたします。まず旅館業法上の扱いですが、先ほど大臣からお答えしたとおり、まず基本的には宿泊を拒んではならないとしています。障害を有することや身体障害者助犬を同伴していることのみを理由に、宿泊拒否はできないものと考えています。次に、障害者差別解消法の関係ですが、平成27年に旅館ホテルを含む衛生事業者に対するガイドライン、具体的には障害者差別解消法衛生事業者向けガイドラインというものを定めたところです。また、身体障害者助犬法につきましても、本年5月に旅館ホテルの関係団体に対して、助犬の受入れのポイント等をまとめたリーフレットについて、旅館ホテルへの周知を依頼したところでございます。これは自治体、また関係団体を介してでございます。御指摘のとおり、この法案でも研修を行うことになっておりますので、こうした場を通じて、御指摘の点をしっかりと周知を図ってまいりたいと考えております。
12:31
ちょっと後の質問の方でも、研修などについて伺っていきたいんですけれども、この改正案の宿泊しようとする者が営業者に対し、その実施に伴う負担が重であって、他の宿泊者に対する、宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害する恐れのある要求を繰り返したとき、これについては、衆議院において、その要求内容が厚生労働省令で定めるとして明確化するという修正が加えられました。これによって、繰り返しのようですけれども、やはり障害者団体などからの懸念である盲導犬などを伴った場合とか、あるいは車いすでは、やはり宿泊できないということになるのではないかという不安が払拭されなければなりません。これについては、この修正案の提出者に伺います。
13:27
御質問ありがとうございます。石子寺委員の御質問にお答えいたします。第5条第1項第3項の規定は、いわゆる明約客を想定したものでありますが、障害者団体から例えば盲導犬を連れていく場合や車いすが必要な場合に宿泊拒否、自由に該当することになるのではないかという御懸念が示されておりました。このような御懸念を踏まえ、修正案においては、第5条第1項第3項の要求を厚生労働省令で定めるものとし、厚生労働省令でその内容を明確化することで、およそ障害を理由とするものでないことを明らかなこととしております。なお厚生労働省令では、例えば宿泊者が従業員を長時間にわたって拘束し、または従業員に対する威圧的な言動をもって苦情の申し出を行う場合、他の宿泊者に対するサービスと比較して過剰なサービスを行うよう求められる場合などを否定することなどを想定していると聞いております。
14:34
ぜひ、御懸念版に誤解がないように、こうした場合も宿泊を拒否していいんだというような誤解が広がらないようにと望んでおります。そして改正案による第5条第4項、衆議院修正によって第5条第1項第3項になるものですけれども、この5においては、その 実施に伴う負担が過重であって、他の宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害する恐れのある要求と、これは結局誰が判断するのかということが問題になるかと思うんですね。事業者の一方的な判断によって、障害者の宿泊拒否といった差別ができることになってしまわないかということが、NPO法人DPIの昨年10月11日の声明の中にあったと思います。修正案では公正労働省令で定められることになりましたが、これは確実にこうした差別ができることになるんじゃないかという懸念に対して、こうしたものになるのかということについてご質問します。
15:46
お答えいたします。まず、水木委員公正労働委員会の二重決議でも、営業者による恣意的な運用がなされないということを、明確かつ限定的な内容とするよう努めたところでございます。さらに、公正労働省令も、先ほど法案提出から御指摘いただいたような2点をまず盛り込みたいと 考えておりますし、さらにその運用においても恣意的にならないように指針等を活用して、その周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
16:18
具体的に大切になってくるのは、救済あるいは苦情の仕組みだと思うんですね。国連の障害者の権利委員会が、昨年9月9日の総括書件勧告において、障害に基づく差別の被害者が利用しやすい苦情や救済の仕組みがないことの懸念を示しておられました。苦情や救済の仕組みが脆弱の中で、新たな偏見や差別を生み出しかねない法改正は、条約や障害者基本法の理念と正反対ではないかということが、NPO法人日本障害者協議会の昨年10月18日の声明で指摘されているところです。なお、苦情や救済の仕組みが明らかでないということで、これから指針を定めるということが、5条 で明らかにはなっているのですけれども、これが苦情や救済の仕組みも念頭にしたものになるのかということは気がかりですが、ぜひそうしたものにしていただきたいと、これは要望させていただきます。そして次の質問ですけれども、改正案による第3条の第2項において、営業者は旅館業の施設において、特定感染症のまん延の防止に必要な施策を適切に講じ、及び高齢者その他の特に配慮する宿泊者に対して、その特性に応じた適切な宿泊に関するサービス提供するため、その従業員に対して必要な研修の機会を与えるように、そうのめなければならないとされております。このことについてですけれども、第4回の検討会において、日本資格障害者団体連合会の県庁主任を務められた橋上理事より、ホテルの設備に関しては、職員マナーがかなり行き届いているところはいいのですが、ホテルの中、あるいは旅館の中に入っているレストランとか、お土産売り場といった業者関係は、資格障害者がいてもなかなか対応できないというのがあります。利用する私たちの資格障害者の方たちのことですけれども、その方たちから見れば、中に入っているレストランの人は別の会社ということではなくて、やはりホテルあるいは旅館の人だと思っています。それはやはり差別ではないかと。ホテルや旅館の人ではなくて、レストランの人だということであっても、やはり差別ではないかと。それは無理もないと思うんですね。そういった方たちについても一緒に職員研修をやっていただきたいということを要望されていました。こうした不安にはどのようにお答えになるのでしょうか。
19:04
お答えいたします。今回提出した法案では、研修のところについては、従業者に対して必要な研修の機会を与えるよう務めなければならないとなっているため、この法律をそのまま適用すると、その従業員、直接従業者ではない方に対しての研修を行うことは、法的には難しいと考えておりますが、委員御指摘のとおり、それぞれのレストラン、土産店等の営業者において提供するサービスの性質等に応じて、必要な研修等が行われることが望ましいと考えているところでございます。
19:38
やはりちょっと今の御答弁だと不安が残ってしまうというか、これは私たち立法者としてどのように手当てするかも一緒に考えなければいけないところか、これは宿題として残されているところかなと思っておりました。そしてこの旅行について、障害者や病気のある方について、改正案にも懸念が非常に強かったということの背景には、バリアフリー化というものが、地地として進んでいないということがあるのではないかと思います。例えば第4回の検討会において、一般財団法人全日本老幼連盟の理事で、福祉労働委員会の有山副委員長が、聴覚障害のある方へのアンケートを実 施したと、その回答者の500人のうち、なんと331人、66%もが差別的な取扱いを受けたと、もう痛ましいことに回答していらっしゃるんですね。そしてまた差別というか、人員削減が響いて、カウンターが無人のところも増えて、困難がむしろ増しているということもおっしゃっていました。旅館業なども経営が困難でも、いろいろ努力しておられるのかもしれないのですけれども、なかなかそういった事態になっておりまして、一部この熱心なところで、意欲的なところが、バリアフリー化をやっているとか、あるいは研修もやっていますとか、いろいろなことに任せていていいのかと、やはりこうした検討会で指摘された課題について、調査してどうしたらいいかということを考えられるときではないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
21:27
旅館ホテル施設にとどまらず、バリアフリー化、これをしっかり進めることは大事だと思います。旅館業の全国団体である、全国旅行ホテル生活衛生同業組合連合会では、手すり等の設備等で一定の企業を満たす宿、シルバースター施設として登録する制度の運用を図っているほか、国交省では宿泊施設バリアフリー化促進事業などを通じて、ホテルや旅館の適切なバリアフリー化を推進しているものと承知しております。厚労省としても、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、また国交省と連携し、そうした制度、あるいは事業の周知等をしっかりと図ることを通じて、バリアフリー化が一層進むよう取り組んでいきたいと考えております。
22:15
そうしたバリアフリー化の講示例を進めていただくような事業もとても大切だと思うんですけれども、全体的な底上げというか、その ためにはやはり調査して、課題を抽出していただきたいと要望いたします。そして、第3回の検討会で、大阪一IV訴訟原告団の原子力発電所長主任が、ジェンダー、セクシュアリティなどによって、どんな施設であっても差別してはいけないということが、日本の今の現代的な社会規範であると指摘しておられました。ここの法案とは違うことなんですけれども、残念ながら国会の方でLGBT理解増進法案すら進まない状況でございます。だからなかなかこういった、それが社会規範になっているのかということは、心もとない状況ではないかと思います。東京都青年の家事件と、すなわち東京都の宿泊施設が同性愛者団体の利用を拒んだことの違法性が争われた事件がございました。この訴訟自体は、1997年9月、原告団体の全面証訴となったんですけれども、しかし差別を禁止する法律はまだないんですね。ジェンダー、セクシュアリティなどによって、宿泊などについても、差別してはいけないということが周知されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
23:41
お答えします。まず旅館業法では、性的マイノリティの方について、これらの旅館業法で定める宿泊拒否事由に該当しない場合は宿泊拒否ができません。このため、厚生労働省では、平成30年の1月に旅館業における衛生等管理要領を改正し、宿泊者の性的指向等を理由として宿泊を拒否することなく適切に配慮するようお示ししているところでございます。この点については、引き続き周知を図ってまいりたいと考えております。
24:10
LGBT差別の禁止については、国会の方が宿題を抱えている状態で進めなければいけないと考えております。近年、カスタマーハラスメント対策の必要性が強調されるようになっています。本法案に当たっても、旅館業等の利用者だけではなく、働く方の健康が守られるべきであることは当然です。修正案によって 不当な差別や正当な理由のない宿泊拒否が許されないことはより明確になりましたが、これは働く方の健康と感染症への恐れや不安の解消にも資するものであるという理解でよろしいでしょうか。修正案提出者に伺います。
24:54
お答えいたします。先ほども申し上げたとおり、第5条第1項第3号の規定は、いわゆる迷惑客の事案を想定した宿泊拒否事由であり、その旨を修正により明確化することとしております。また、修正案においては、感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合における旅館業の営業者による対応のあり方について、今後政府において検討し必要な措置を講ずる旨の検討条項を設けることとしております。これらの規定は、いずれも旅館業の施設の従業員の健康と安全を確保するという観点が欠かせないものであるという趣旨に至ったものであります。