22:20
これより会議を開きます。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題、特に国民投票を中心として、討議を行います。この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず各会派1名ずつ、大会派順に発言していただき、その後各委員が自由に発言を行うことといたします。それでは、まず各会派1名ずつによる発言に入ります。発言時間は7分以内といたします。発言時間の経過につきましては、おおむね7分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。発言は、辞席から着席のままで結構でございます。発言の申出がありますので、順次これを許します。
23:11
はい、会長。自由民主党の鎮藤義孝でございます。本日は国民投票に関して私の意見を述べたいと思います。2021年6月に成立した国民投票法改正の附則4条では、第1号で投票の外形的事項である投票環境の向上について、第2号で投票の質に関する事項であるCM規制などについて検討を進めているわけであります。第1号で規定されております投票の外形的事項につきましては、自民、維新、公明、有志の4会派が昨年4月に、い わゆる3項目案を提出し、書士説明済みでございます。その内容については、公選法で既に措置されている事項であり、審議でも特に異論はなかったものであります。書士説明済みの法案を審議するのは、これは国会の当然の責務でありますが、提出以来、残念ながら、立憲民主党と共産党の理解を得ることができず、既に1年以上審議が行われておりません。審議を速やかに処理すべきだということを改めて訴えたいと、このように思います。次に、附則4条2号に規定されている、投票の質に関するCM規制の問題について述べます。国民投票運動に関する基本的な考え方は、国民投票法制定時に整理されたように、国民投票は国民主権最大の発路の場であり、国民投票運動はできるだけ自由に、これが当時の民主党が含めて、この法律として作られた根本的な概念でございます。その結果、投票事務関係者や裁判官等の特定公務員の国民投票運動の禁止、公務員や教育者等の地位利用による国民投票運動の禁止など、それ以外は、放送CMについての投票期日直前2週間の関与CMの禁止のみが規定されることになり、これによって国民投票運動の自由とその公平・公正のバランスが図られているわけであります。すでに放送CMについては、民放連の参考人質疑を通じ、受け手である放送事業者のガイドラインなど 、自主規制の取組や量的な観点も含めて、この公平性を確保するための準備が進んでいることが確認されています。論点として残りますのは、広告の出し手である私たち政党による取組の在り方、そして国民投票広報協議会を通じた公平な広報活動をいかに確保するか、この2点になるというふうに考えます。本日は、すでに法定化されている国民投票広報協議会の規定について、この議論をしたいと考えています。まず、配付資料1、組織をご覧ください。概要にありますように、広報協議会は、憲法改正の発議があったときに国会に設けられる機関です。①委員の人数は、憲法改正発議時の衆議院議員、参議院議員、それぞれ10人ずつの合計20人と規定されています。②選任方法については、原則は各会派の所属議員数の比率により、割り当てて選任することとなりますが、例外として、憲法改正に反対の会派から1人も委員が選任されることのないよう、できる限りの配慮をするものとされています。③会長は、委員の5,000人にやることとなります。④議事の定則数は、各議員の委員10人中7人以上の出席が必要、その議決は出席委員の3分の2以上の多数にやることとし、慎重な手続きをとることとなっています。これらの規定を実施していくためには、右の欄にあります、この課題に記したように、委員や会長選出の方法、協議会の開催日時の決定、その他の議事手続き等の催目について、広報協議会規定を定めなければならないわけでございます。この広報協議会規定は、両議員の議長が協議して定めるとされており、実際には衆参の憲法審査会において協議し、両院の議員運営委員会と相談した上で、両院議長に決定いただくことになるものと思われます。いずれにしても、現在この規定はまだ定められておりません。今後、お作業をしっかりと進めたいとこのように考えます。次に、2、権限をご覧ください。広報協議会の権限は、憲法改正案の国民に対する公法であり、4つの事務が国民投票法に規定されています。まず、①国民投票公法の原稿の作成です。これは、選挙における選挙公法のようなもので、この公法には、(1)憲法改正案や、その要旨等についてわかりやすい説明を掲載することになっており、その記述は客観的かつ中立的なものとされています。また(2)憲法改正案に対する賛成意見、反対意見も掲載することとされており、この部分は公正かつ平等に扱うことになっています。次に、②投票所に提示する憲法改正案の要旨の作成についても、国民投票公法と同様に扱うことが定められています。さらに、③放送及び新聞広告に関する事務について、公法協議会は、憲法改正案の内容を国民に周知広報するべく、テレビラジオの放送メディアや新聞等を使っ て広告を行うこととされており、その際にはわかりやすい説明を客観的かつ中立的に行うこととされています。また、政党等が無料でテレビラジオや新聞に賛成反対の意見を掲載することも認められており、その場合には賛否平等の取扱いが定められています。すなわち、賛成の政党、反対の政党、双方に対し、同一の時間数、同等の時間帯、同一の寸法、回数を与えるなど、同等の利便を提供しなければならないとされているわけであります。最後に、④、その他憲法改正案の広報に関する事務については、国民投票法制定時に想定されていなかったSNSによる周知広報活動なども、この条文を根拠に行うことができると考えます。なお、⑤議案の課題にございます。放送及び新聞広告に関する事務の催目は、放送及び新聞広告に関する規定で定めることになっています。例えば、放送については、放送事業者の決定手続、各政党等の放送時間枠の割当て手続、無料で行う録音録画の上限額等について定めることが想定されており、新聞広告は、新聞社の決定手続、広告の寸法、掲載回数、掲載日の決定手続、各政党等の広告枠の割当て手続等を定めることになると思われます。最後に③事務局として、広報協議会の事務を補佐するための事務局を設置し、事務局長その他の職員を置くこととしております。つまり、この事務局規定の制定や国会議員法などの改正が必要になるということでございます。これら②の放送及び新聞広告に関する規定と③の事務局規定の制定や法改正は、現状全く手がつけられておらず、まず衆参の憲法審査会が共同で案を作らなければなりません。以上、国民投票広報協議会の組織や権限、残された法整備の課題について述べてまいりましたが、これらは事務的な内容であり、速やかに詰められるものと考えています。国民投票広報協議会について定めるべき3つの規定、すなわち、広報協議会規定、事務局規定、放送及び新聞広告規定、及び国会職員法、国会職員育児休業法などの関連法律の改正については、まずは事務方による叩き台を作成し、それをもとに幹事懇談会等において、成案を得るべく各会派との協議を行ってはいかがかと提案いたします。今後、筆頭官協議や各会派の皆さんとよくご相談をさせていただきたいことのように思っております。今朝の幹事会におきましては、次の定例である6月1日にも審査会を開催し、討議を継続することを提案いたしました。引き続き、憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い論議が行われるよう、委員各位のご理解とご協力をお願いして、私の発言といたします。
31:16
はい。立憲民主党の階猛です。本日のテーマである国民投票法について、私からは放送CMとネットCMの規制について、我が党の考え方を述べます。なお、論点を明確にするため、昨年の通常国会以降の放送CMとネットCMの規制などを含む国民投票法に関する各会派の発言について、私なりの視点で衆議院法制局にまとめていただいた一覧表を提出するべく幹事会で提案させていただきましたが、本日も叶いませんでした。自民党の振藤必彦は、3月16日の党審査会において、投票の質に関する国民投票法の論点として、放送CMとネットCMの問題を挙げられた上で、今後さらに論点を深掘りした整理を行ってみたいとも述べられていました。それから、はや2ヶ月余りが経ちます。いつになったら論点整理を行われるのでしょうか。後ほどお答えいただけますでしょうか。緊急事態における議員任期延長については、早々と論点整理の資料を党審査会に提出される一方、国民投票の際の放送CMとネットCMの規制については、いつまでも論点整理を行わず、我が党がこれを行おうとすると妨害する、このような手前勝手でご都合主義な態度は許されないということを冒頭指摘いたします。さて、国民投票に関するCMについては、国民投票運動、すなわち憲法改正案に対し、賛成または反対の投票をし、またはしないよう勧誘する行為の手段として、有料で行うCM、以下、勧誘CMと言います。これと、国民投票についての意見表明のために有料で行うCM、以下、意見表明CMと言います。この勧誘CMと意見表明CMの規制について、放送の場合とネットの場合に分けて、我が党の考え方を申し上げます。まずは放送のCM規制について、現行の国民投票法では、放送による勧誘CMについて、主体を問わず投票期日2週間前から禁止していますが、我が党の改正案では、国民投票運動期間全体にわたって禁止することとしています。改正の根拠となる立法事実としては、第一に民放連の姿勢の変化です。現行法制定時には、勧誘CMの量を憲法改正案の賛成側と反対側で均衡させる、いわゆる両手規制につき、民放連が自主的に行うこととされていたにもかかわらず、現在は両手規制が困難であるとして、直接的な規制を行わないこととされ、禁止期間を2週間とした当初の前提が変わっています。第二に、ネットやSNSの普及です。これにより、現行法制定時にはなかった、いわゆるアテンションエコノミーという状況が生まれ、CM業界では人々の関心と時間を奪い合う競争が激化しています。その中で、多くの人々の関心を引きつけるためだけの、戦場的なCMや経営的貢献度が高い資金力のある広告主のCMが増加し、国民が多種多様で適切な情報を得られるようにするための規制の必要性が高まっているわけです。この点につき、表現の自由の過度な規制に当たるとの批判を、いくつかの会派から受けています。しかし、我々が規制しているのは、表現の内容ではなく表現の手段であり、表現の内容には踏み込まない内容中立規制です。憲法学の世界でも、表現の自由を規制する法律の合憲性を審査する場合、表現内容規制と表現内容中立規制を区別した上で、前者には厳格な基準が妥当するとしても、後者にはより緩やかな基準が妥当するという二重の基準論が多数説となっており、我々の案はこれを踏まえています。しかも、意見表明CMについては、我が党の改正案でも、国民投票広報協議会を通じた広報などの代替手段が存在する政党党については禁止するものの、それ以外の主体については、資金規制に抵触しない限り、従来どおり自由に行えることとしています。表現の自由の過度な規制に当たるとの批判は当たらないと申し上げます。