19:55
これより会議を開きます。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題、特に参議院の緊急集会を中心として、討議を行います。
20:18
この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず各会派1名ずつ、大会派順に発言していただき、その後各議員が自由に発言を行うことといたします。それでは、まず各会派1名ずつによる発言に入ります。発言時間は7分以内といたします。発言時間の経過につきましては、おおむね7分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。発言は、自席から着席のままで結構でございます。発言の申出がありますので、順次これを許します。
20:49
自由民主党の信藤義孝です。本日は、緊急事態における議員任期延長に関連し、参議院の緊急集会の適用範囲について議論となる点を整理してみたいと思います。まず、この国の運営の大前提とすべきは、どのような事態に陥っても、我が国の民主主義の根幹である国会機能を維持する、このことであります。
21:14
そのためには、あらゆる事態において、任性国会を維持し、民主的統制のもとに国の運営を行っていくことが重要と考えております。しかしながら、我が国の憲法には、いわゆる有事といわれる緊急事態の規定が欠落しております。本日のテーマである衆議院解散時における参議院の緊急集会は、予定した衆議院総選挙が実施されることを前提とした、いわば平時の規定であり、短期間に適用される制度です。
21:42
衆議院の解散時や議員の任期満了時に緊急事態が発生し、長期かつ広範な地域において、選挙の実施が困難な状態に陥った時の対応は、憲法に規定されておりません。結果として、衆議院不在の状態が継続され、国の根幹をなす、任性国会が機能しなくなってしまいます。
22:03
私は、長期にわたって、衆議院不在が予想されるような有事が発生した場合においても、任性国会を機能させるために、憲法の明確な要件に基づき、発動される緊急事態時の議員任期延長などの措置を講じておくことは、立憲主義の観点からも極めて重要と考えているわけであります。この基本的な認 識を前提とし、憲法54条の文言に沿って、参議院の緊急集会が想定している適用範囲について確認をしてまいりたいと思います。
22:32
まず、配付資料上部、この憲法54条の上部をご覧いただきたいと思います。第1項で、衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を招集しなければならない。そして、解散から新しい衆議院議員による特別会の招集までは、最大70日間であることを定めております。
22:57
さらに、第2項では、衆議院が解散されたときは、参議院が同時に閉会となると規定し、認性国会の大前提である、両院同時活動の原則を定めているわけであります。その上で、ただし内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができると規定し、認性国会の例外としての参議院の緊急集会を定めているところであります。
23:23
さらに、第3項では、この参議院の緊急集会において取られた措置は、臨時のものであって 、次の国会開会の後、10日以内に衆議院の同意がない場合には、その効力を失うとして、その効力は限定的なものであることを規定しております。以上の文言を手がかりにいたしまして、日本国憲法が参議院の緊急集会の適用範囲をいかに限定的なものと考えているのか、4つの論点から検討してみたいと思います。
23:52
まず、この配付資料の1、場面の設定でございます。54条2項では、明確に衆議院が解散されたときと定められております。一方で、この規定を拡張解釈し、任期満了による衆議院不在時にも類推適用できるのではないか、との意見があります。この任期満了による衆議院不在の期間は、公選法及び国会法によって、総選挙までの30日、プラス臨時会招集までの30日の最大60日とされており、解散総選挙が想定する70日と同様に、一時的な衆議院不在の場合と言えるかもしれません。しかし、条文上明確に衆議院が解散されたときと規定されているにもかかわらず、任期満了時にも類推適用することは、憲法の明文規定に反し、立憲主義の観点からは決して望ましい解釈とは言えないと思います。次に、配付資料の2、期間の限定の論点です。憲法54条1項が想定する参議院の緊急集会が開催可能な期間は、解散から総選挙までの40日間に加え、特別会招集までの30日間、最大でも70日間と考えられます。総選挙までの40日に特別会招集のための準備期間を加えた40日プラスアルファ程度ではとの見解もございます。いずれにしても、参議院の緊急集会は40日プラスアルファから最大70日程度の期間に、次の新しい国会が招集されることを前提とした平時の制度であることが理解できます。これに対し、この期間の限定を拡張し、衆議院の解散中に緊急事態が発生し、総選挙が70日を超えて困難な場合にも、参議院の緊急集会の規定が累推適用でき、議員の任期延長を行わなくてもこの規定でこと足りるのではないか、との意見があります。この論点こそは、参議院の緊急集会に関する解釈の最も重要なポイントであります。この累推適用を認める拡張解釈の理由は、衆議院の総選挙が70日を超えた場合であっても、衆議院と不在、衆議院不在という点では同じだから、と推測されます。しかし、憲法が想定する衆議院の不在期間は、あくまで平時の一時的な期間であり、予定された期間内に総選挙により、新たな衆議院議員が選出されることを前提としているはずであります。衆議院が解散され、衆議院議員が不在となった状態で、仮に緊急事態が発生し、かつ、総選挙の実施がいつ行われるか予測できないほど厳しい状況に陥ったとします。