6:14
これより会議を開きます。この際、日程に追加して、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認めます。
7:01
脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。ロシアによるウクライナ侵略等により、世界のエネルギー情勢は一変し、諸外国は早期の脱炭素社会への移行に向けた取り組みを加速していきます。こうした中、資源に乏しい我が国においても、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXに向けて取り組むとともに、エネルギーの安定供給を確保することが重要です。このため、再生可能エネルギーの最 大限の導入に向けて、系統整備を加速しつつ、国民負担の抑制と地域との共生の両立に取り組むとともに、原子力については、安全性の確保を大前提とした上で、その活用を進めるなど、脱炭素電源の利用促進と電気の安定供給を確保するための措置を講ずる必要があります。本法律案は、こうした内容を盛り込んだ上で、本年2月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針に基づき、所有の措置を講ずるものであります。次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。まず、電気事業法の一部改正です。第一に、発電用原子炉の運転期間を40年と定めた上で、原子力規制委員会による運転停止命令等を受けていないこと等の基準に適合していると認められるときに限り、経済産業大臣が認可し、運転期間の延長を認めることとします。その際、運転期間は最長で60年に制限するという現行の枠組みは維持した上で、安全規制に係る制度の変更等の予見し難い自由により運転を停止した期間と認められる期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外することとします。第二に、広域系統整備計画に定められた一定規模以上の電気工作物の整備等を実施する一般総配電事業者等は、その整備等に関する計画について経済産業大臣の認定を受けることができるものとし、広域的運営推進機関の業務に当該認定を受けた者に対 して、当該電気工作物の整備等に必要な資金の貸付を行う業務を追加します。次に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正です。発電用原子炉設置者に対して、運転を開始した日から、既算して30年を超えて発電用原子炉を運転しようとするときは、あらかじめ、その発電用原子炉施設について10年を超えない期間ごとに当該施設の劣化に関する技術的な評価を行い、その劣化を管理するための措置等を記載した長期施設管理計画を作成し、原子力規制委員会の認可を受けること等を義務付けることとします。次に、原子力発電における使用済み燃料の再処理等の実施に関する法律の一部改正です。使用済み燃料再処理機構の実務業務に廃炉推進業務を追加した上で、同機構の名称を使用済み燃料再処理廃炉推進機構に改めるとともに、同機構が行う廃炉推進業務に必要な費用に充てるため、実用発電用原子炉設置者等に対して同機構に廃炉枯出権を納付することを義務付けることとします。次に、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置等の一部改正です。第一に、既存の再生可能エネルギー発電設備を最大限活用するため、認定事業者がその発電設備の増設等を行う場合には、増設等に係る部分にのみ最 新の価格を適用する措置を講じます。第二に、再生可能エネルギー発電事業計画の認定の要件に、その事業の実施内容を周辺地域の住民に周知することを加えるとともに、認定基準に違反する認定事業者に対して、交付金による支援額の積み立てを命ずる措置を創設するなど、事業規律を強化します。第三に、今般、電気事業法において創設する認定制度の認定を受けた事業者が当該認定に係る計画に従って、再生可能エネルギー電気の利用の促進に資する電気工作物を設置しようとするときは、その工事を開始した日から特定系統設置交付金の交付を受けることを可能とします。次に、原子力基本法の一部改正です。エネルギーとしての原子力利用は、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立ってこれを行うものとし、当該原子力利用に当たっての国及び原子力事業者の責務を明確化する等の措置を講じます。政府としては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院において一部修正が行われております。第一に、原子力基本法に新たに規定する国の責務のうち、原子力発電に対する国民の信頼を確保し、その理解を得るために必要な取組を推進する責務について、国民の礼事に電力の大消費地である都市の住民を加えるとともに、国民の理解と協力を得るために必要な取組を推進する責務とすることとしております。第二に、発電用原子炉の運転機関、発電用原子炉施設の劣化の管理等に係る改正の施行後5年以内に、政府が行う検討の対象として、原子力規制委員会による発電用原子炉の設置の許可等に係る審査の効率化及び審査体制の充実を含めた発電用原子炉施設の安全の確保のための規制の在り方等を追加することとしております。以上が今後立案の趣旨であります。
13:14
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。
13:41
自由民主党の石井正博です。私は自由民主党を代表し、ただいま議題となりましたGX脱炭素電源法案について質問いたします。まずGXの推進に関して岸田総理に伺います。世界がカーボンニュートラルの実現に向けて取り組みを強化する中、ロシアによるウクライナ侵略が起こりました。CO2排出量が比較的少ない天然ガスは、ロシアの採出量が大きく国際的なエネルギー市場は混乱しました。しかしピンチこそ飛躍に向けたチャンスでもあります。我が国がGXでカーボンニュートラルと経済力の強化を同時に達成できれば国際的な競争で有利となります。そこで総理に脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給への強い思いを語っていただきたいと思います。いかがでしょうか。次に再生可能エネルギーに関連して西村経済産業大臣に伺います。岡山県万屋市では他に先駆けて地元の資源である木材を活用した木質系バイオマス発電によって地域内でのエネルギー循環システムを構築しています。地域主導で地域資源をエネルギーや経済、雇用創出等に最大限活用しようという取り組みであり、いち早く脱炭素先行地域に選定され、全国から視察が相次ぐなど他方面から高く評価されています。また 太陽光発電についても従来よりも低価格でかつ軽量柔軟なペロブスカイト太陽電池の普及や住宅等の建築物へのパネル設置などにより、さらなる展開が可能となります。そこで風力発電を含めこのような再生可能エネルギーの最大限の活用に向けた取り組みをどのように後押ししていくお考えでしょうか。福島の復興再生について総理に伺います。福島第一原発の事故から12年となりました。基幹混乱区域が設定された町村に特定復興再生拠点区域が設けられ、除染やインフラの整備等が進み、避難指示が解除されました。引き続き拠点区域外での特定基幹居住区域の設定とともに、廃炉汚染水処理水対策、福島イノベーションコースト構想の推進等に全力で取り組んでいくことが最重要課題であります。また、アルプス処理水の海洋放出については、IAEAで進めているレビューの発信等、風評対策に万全を尽くしていかなければなりません。7日の日韓首脳会談では、韓国専門家現地視察団の派遣受入れを合意しましたが、海洋環境に影響がないことをしっかりと理解をしてほしいと思います。これらの点を踏めながら、総理から福島の復興再生に向けた強い決意と具体的な取組方針をお示し願います。原子力発電に関して、総理に伺います再生可能エネルギーの中でも、地熱、中小水力、バイマス発電は安定的な発電が見込めます。しかしこれのみでベースロード電源を賄うことはできません。脱炭素に資するとともに、出力も安定的な原子力発電を安全確保を大前提としながら活用していくことが不可欠であります。そのためには原子力発電の利用に係る原則の明確化、そして諸外国の事例や科学的所見を踏まえた、高経年化した原子炉に対する規制の厳格化が重要だと考えますが、総理の御見解をお伺いします。さらに原子力の利用に当たっては、廃炉や使用済み核燃料の最終処分という重い課題を先送りせず、早急に解決に向けて取り組まなければなりません。総理は廃炉や使用済み核燃料の最終処分に向けて、どのように取り組みを強化していくのでしょうか。この点を総理にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
19:09
石井政宏議員の御質問にお答えいたします。ダッツ炭素社会の実現とエネルギーの安定供給についてお尋ねがありました。ロシアによるウクライナ侵略をきっかけに、世界のエネルギー市場は激しく乱高下しています。また、世界全体で気候変動への対応が求められる一方で、エネルギー供給への投資が過小となり、国際市場が中長期的に不安定化している状況も明らかとなりました。こうした中、気候変動への対応とエネルギーの安定供給の両立が最重要の国家課題となっています。本年2月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針に基づき、徹底した省エネの推進や再エネの最大限導入、原子力の活用など、ダッツ炭素電源への転換を進めていきます。同時に、成長志向型カーボンプライシング構想の下、今後10年間で150兆円を超えるGX関連投資を実現することにより、エネルギー安定供給、ダッツ炭素、経済成長の3つを実現してまいります。福島復興についてお尋ねがありました。8歳から12年を迎えましたが、被災地の方々の絶え間ない御努力により復興は着実に進んでいる一方で、いまだ避難生活を送られている方もいらっしゃるなど、地域によって状況は様々です。特に福島の復興再生に向けては、基幹困難区域における避難指示解除に向けた取り組みの具体化、アルプス処理 水に関する国内外の理解情勢をはじめとした福島第一原発の廃炉汚染水処理水対策、福島国際研究教育機構F-0をはじめとする福島イノベーションコースト構想の推進などに取り組んでまいります。今後も被災地の皆様の声をしっかりと受け止め、福島の復興をなくして東北の復興なし、東北の復興をなくして日本の再生なしとの強い決意の下、復興に全力を尽くしてまいります。原発の利用に係る原則と規制についてお尋ねがありました。今般の法案では原子力基本法に安全神話に陥り事故を防止することができなかったことを真摯に反省という表現を盛り込み、事故の防止に最善かつ最大の努力をしていく方針を規定するなど、エネルギーとしての原子力利用の基本的な考え方を法律で明確にすることとしております。また、後継年化した炉に対する安全規制に関しては、独立した原子力規制委員会が運転開始後30年、またその後10年以内ごとに劣化予測等に関する詳細な記載を含めた計画策定を事業者に求めることで、従来よりも高い頻度で、より厳正に審査することとしております。60年目以降における評価の具体的基準等については、国際機関の基準や諸外国の例も参考に議論を進めていると承知をしております。いずれにせよ、規制委員会によって基準への適合性を確認できない原子力発電所の運転は認められないという大前提は 変わりはありません。廃炉や使用済み燃料の最終処分についてお尋ねがありました。半世紀以上にわたり原子力を利用し、使用済み燃料が既に存在している以上、高レベル放射性廃棄物の最終処分は必ず解決しなければならない重要な課題です。4月に閣議決定した特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に沿って、政府一丸となって、かつ政府の責任で将来世代に負担を先送りしないよう、有望地点の拡大や最終処分と共生する地域の将来に向けた施策の比較実施などの取組を進めてまいります。また、今回の法案では、使用済み燃料再処理機構の業務に廃炉推進業務を追加し、原子力事業者に廃炉拠出金の納付を義務づける措置を盛り込むなど、廃炉の円滑かつ着実な実施に向け、取組を強化することとしております。残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。
25:04
石井議員からの御質問にお答えいたします。再エネの最大限活用についてお尋ねがございました。再エネにつきましては、地域 との共生を前提に、再エネの導入目標であります2030年度36%から38%の実現に向けて、最大限導入していくことが政府の基本方針であります。本法案におきましても、再エネ導入に向け重要となる地域間を接続する系統の整備に必要となる資金調達を円滑化する仕組みの整備や、地域と共生した再エネ導入のための事業規律の強化といった内容を盛り込んでおります。また、本法案以外にも、太陽光発電設備の屋根への導入拡大や、再エネ海域利用法による養生不力発電の案件形成、入札の実施、バイオマス、地熱、中小水力を含め、地域と共生した再エネの導入拡大を進めてまいります。さらに、グリーンイノベーション基金などを活用し、技術開発から社会実装まで通じて、通して支援することで、ペロブスカイトなどの次世代型太陽電池や、二体式養生不力の早期実用化やサプライチェーンの構築などに取り組んでまいります。今月開催した再エネ水素等関係閣僚会議において策定したアクションプランに基づき、関係省庁ともさらなる連携をしながら、再エネの最大限導入に取り組んでまいります。
27:13
立憲民主社民の田島 真由子です。ただいま議題となりました「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」について、会派を代表して質問をいたします。我が国が宣言した2050年カーボンニュートラルの目標達成に向け、我が国としても公正な意向という前提のもとで、脱炭素社会の意向に着実にそして確実に取り組む必要があることは論を待ちません。だからこそ私たちは今、危惧をしています。GX、すなわちグラストランスフォーメーションを理由に、政府によるグリーントランスフォーメーションを理由に、政府による原子力政策の見直しがあまりに急に始まり、そしてあまりに急に終わりに近づこうとしているからです。また私たちは危惧をしています。それは、ウクライナ侵略を発端としたエネルギー危機への対応のために、目先の利点のみがクローズアップされ、国の長期的なエネルギー安全保障に関するビジョンや具体的な安全性についての議論が置き去りにされているのではないかという懸念です。また私たちは危惧をしています。それは、本法律案の準備に当たっては、エネルギーの安定的な供給を推進する立場にある資源エネルギー庁が、原子力を規制する立場にある原子力規制委員会に対して、規制側の議論を誘導した可能性が指摘されており、規制と推進の分離という福島第一原子力発電所の事故からの大きな教訓が忘れ去られているのではないか と懸念されるからです。こうした問題意識に基づき、以下、代表質問に入らせていただきます。60年を超える原子力発電所の運転延長に向けた新たな規制制度案を原子力規制委員会が決定したのは、今年の2月13日でした。多数決のうち4名が賛成し、1名が反対の意見を表明しています。経年化した原発への規制のあり方を大転換させる重要な案件が、委員の意見を一致しないまま決められる異例の事態となりました。反対した委員はもちろんのこと、賛成した委員は口々にこう述べました。「説明が圧倒的に足りない」「外から定められた締め切りを守らなければいけない」と急かされて議論をしてきた。60年越えをどうするのだというのが後ろ回しになってしまって、そこがふわっとしたまま、こういう形で決めなければいけなくなったと。総理、これは反対した専門家の発言ではありません。賛成した専門家の、しかも公の会議中の発言であります。まず、総理に伺います。法本案は今後の日本の原子力エネルギー政策において、大きな転換点の一つともなり得る重大なものです。昨年7月に総理が原子力政策で政治決断が必要な項目の検討を指示してからわずか9 ヶ月間という極めて拙速な転換について、政治家による、専門家による原発運転延長に関する安全性の科学的技術的な議論は、両質ともに十分なものであったとお考えになりますか。上野専門家の言葉に耳を傾けた上で、総理のご見解を理由とともにお答えください。また、このように拙速に原子力規制委員会が新たな規制制度を決定した理由として、原子力規制委員会委員長は、法案のデッドラインがあるので仕方がないと記者会見で釈明しています。賛成した専門家も急かされたと感じた本法律案の締め切りを、そこまで急いで区切ったのはなぜでしょうか。それによって得たもの、また失ったものは何か、総理のご認識を伺います。本法律案は、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に向けた施策、原子力の運転機関の規律の整備、高経年化した原子炉に対する規制の厳格化、円滑かつ着実な廃炉の推進、そして原子力基本法の見直しなど、5本の法律を対象に改正を行う「束根法案」です。重要かつ多岐にわたる内容が、1つの法律案にまとめられてしまっています。政府は、束根法案について、法律案にもられた政策が統一的なものであり、その結果として、法律案の趣旨目的が1つであると認められるとき、あるいは、内容的に法律案の条項が相互に関連していて、1つの体系を形作っていると認められるときは、1つの改正法案 として提案することができるとしています。本法律案は、サイエネと原発という全く異なるエネルギー源に関する施策を、1つの法案としてまとめたものであり、政策の統一性も、条項の関連性も、ほとんど見られない内容となっています。そもそも、束根法案は、国会における個別の論点に関する十分な審議を困難にし、よって国民の深い理解を妨げ、国会審議を軽快化する恐れがあるものです。国会議員の氷結権を侵害し、立法府の空洞化も招きかねないものです。少なくとも、サイエネに関わる政策と原子力に関わる政策とは、個別の法律案として提出し直すべきではなかったですか。総理の御見解を求めます。原子力発電所は、発電所の建屋も含め、時が経つごとにコンクリートや電気ケーブルの特性の劣化が進みます。これは、運転期間中も、そして運転停止期間中も同じです。岸田総理は、これまでの国会答弁で、高経年化した原子力については、規制委員会が厳格な審査を行い、規制基準上の適合性が確認できなければ、運転は一切認められないと繰り返してこられました。そこで、原子力規制委員会委員長に伺います。規制委員会は、どのような基準で厳格な審査を行い、整合性をどのように確認するのでしょうか。今、具体的な基準は、今後検討するとした場合、こうした重要な事項が国民に事前に明らかにされなくても、国会では法案審議が可能であると考える理由を明確にお答えください。続いて、原子力規制委員会委員長に伺います。総理によると、規制基準への適合性が確認できなければ、運転が一切認められないとのことですが、これまで原子力発電所で経年による劣化が見逃されたトラブルとしては、どのような事例があったでしょうか。過去にわたり、網羅的な説明を求めます。そして、蒸気について、これまで経年劣化が見逃された理由は、どのような点だったのでしょうか。それを踏まえた上で、今後は規制基準への適合性を漏れなく確認できると、規制委員会が自信を持つ根拠をお聞かせください。新制度では、原子力発電所の運転期間について、再稼働審査や行政指導などによる停止期間を運転年数から除外し、その期間分について60年を超えて運転ができることになります。運転期間の除外対象とされるのは、安全規制への対応や行政指導、後に取り消された裁判所の仮処分命令など、電力会社にとって過利地的要因での停止で、経済産業大臣が認可するものです。岸田総理に伺います。これまで、規制委員会の審査が長期中断したケースとしては、断層の資料を置き換えた場合など、事業者側の不手際や準備不足があった場合などが三権されます。こうした不手際があった場合も、最長の60年に上乗せする形で運転期間の延長は認められるのでしょうか。具体的な上乗せ基準については、今後検討するとした場合、こうした重要事項が事前に国民に明らかにされなくても、法案審議が国会で可能であると、総理が考える理由をお聞かせください。福島第一原発事故の反省から、原子力の推進側と規制側を厳格に分離する形で、原子力規制委員会と原子力規制庁が発足されたはずです。にもかかわらず、本法律案の策定プロセスが正式に開始される前の段階において、経済産業省の職員と原子力規制庁の職員とが不適切な形で会合を持っていたことが明らかになりました。そして、その事実は原子力規制委員会に直ちに報告されていませんでした。この件について政府は、省庁間の情報交換、頭の体操などとい、法律案を策定する上では、行政機関として必要な活動であったという答弁を繰り返しています。西村大臣に伺います。真に必要な活動としてなされたのであるならば、当該会合に関わる資料等の情報開示にも直ちに応じられたはずではないでしょうか。また、総理に伺います。政府にとって、今も生きる福島第一原発事故への反省教訓は何であるとお考 えですか。そして、それらの教訓は、今日どのように活かされているのでしょうか。法律案は、その内容の適切さが担保されていることはもとより、適切なプロセスを経て国会に提出される必要があります。規制側が非規制側に取り込まれ、自主的にコントロールされてしまうような状況は、規制の虜と表現されています。本法律案は、まさに規制の虜が危惧される中で策定されたものと言わざるを得ません。情報交換や頭の体操という名目で、推進側と規制側が事前に話を擦り合わせるような会合を持つことを許してしまうならば、今後もそうした行動が繰り返されるであろうことは明らかです。本法律案では、原子力基本法に原子力に対する国民の信頼を確保することを国の責務として規定する内容が盛り込まれていますが、すでに審議を行う前から信頼が損なわれている状況となっていることを、総理はどのようにお考えでしょうか。公の場において、幅広い国民の意見を聞いた上で、改めて慎重な議論を行うべきと考えますが、総理の答弁を求めます。岸田総理は原子力政策で政治決断が必要な項目の検討を指示した昨年7月、同時期の記者会見で、資源が乏しい我が国には単一の完璧なエネルギー源がない。このため、エネルギーの安価かつ安定的な供給及び 脱炭素化に対応するため原子力を含め、多様なエネルギー源をバランスよく活用していく方針と答えています。何にいくら予算を配分するかは、政治家が公の場で何を語るかよりも、正直かつ有言に優先順位を教えてくれるものです。西村経済産業大臣に伺います。令和5年度に計上された次世代核進路も含む原子力発電所に関する予算、太陽光発電に関する予算、風力発電に関する予算、メタンハイドレートに関する予算をそれぞれお答えください。その上で、今の政府の予算配分のあり方は、岸田総理の言う多様なエネルギー源をバランスよく活用するものであるかお答えください。また、第6次エネルギー基本計画で記載されている原発依存度を可能な限り低減することに本当に資するのかお答えください。本法律案で明らかになった岸田総理の原発政策の見直しについてはっきりとやるべきことをやっていない、非常に残念だと発言する人物がいます。元自民党総裁でもある小泉純一郎元総理です。同じ自民党出身かつ総理を務めた人物の声を今、岸田総理はどのように聞かれていますか。地震災害から逃れることのできない日本で原子力政策に関する考え方は保守、リベラルなどの政治的なスタンスを超えて、過去の事故をどのように捉え、人間の理性をどのように評価するか、そのために我々は今何を準備しておくか、かかって いると思います。そのための新しい技術への投資であり、正直でオープンな議論であり、実行であると考えます。右でも左でもなく前、立憲民主党は人と地域を大事にしながら、クリーンな雇用を生み出し、真のグリーントランスフェーメーションを着実に実現していく所存であることを申し上げ、私の代表質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
42:51
立山外交議員の御質問にお答えいたします。 原発の運転延長に関する議論についてお尋ねがありました。 原発の運転機関の定めについては、令和2年に原子力規制委員会が「意見を述べるべき事柄ではない」との見解を示したことを踏まえ、利用政策の観点から新たに措置を講ずることとしたものです。ロシアによるウクライナ侵略に伴い、歴史上初の世界エネルギー危機に直面する中、エネルギーの安定供給と脱炭素の両立が危機の課題との認識に基づき、再エネや原子力を含め、あらゆる選択肢を確保しておけるよう、関係省庁の審議会における100回以上の議論はもちろん、私が議長であるGX実行会議において、原子力政策の在り方を含め、5回にわたって丁寧な議論を行ってきました。規制委員会においても、高経年化した原発の安全規制について、昨年から今年にかけての4ヶ月余りで9回にわたり、さまざまな議論を重ねた上で、ご議政の下で新たな制度案が決定されたと承知しており、政府としてはその決定を尊重いたします。その詳細については、科学的技術的な議論が公開の形で進められていると承知をしています。いずれにせよ独立性の高い原子力規制委員会が、科学的技術的見地から厳格に規制を行っていく大前提には変わりはなく、その上でエネルギーの安定供給と脱炭素の両立をしっかりと得られるよう取り組んでまいります。法案の束ねについてお尋ねがありました。この法案は、2月に閣議決定したGX基本方針を踏まえ、安定供給とカーボンニュートラルの実現を両立する観点から、脱炭素電源の利用を促進するため、再エネの主力電源化や安全確保を大前提とした原子力の活用を進める措置を講ずるものです。こうした共通の目的の下で、条文上も相互に関連することから束ね法案として提出しているものであり、政策の統一性も条項の関連性もほとんど見られないとの御指摘は当たらないものと考えております。原発の運転期間延長についてお尋ねがありました。個別の事案に関する認可のあり方について、現時点で余 談をもってお答えすることは適当ではありませんが、例えば、事業者の行為に対する不利益処分や行政指導が行われているなど、事業者自らの行為の結果として停止期間が生じたことが客観的に明らかな場合には、当該期間はカウント除外の対象には含めないことが適切であると考えております。まずは、制度の大枠で定める法律について、国会で御審議いただき、それを踏まえて法律の施行に向けた審査基準の策定等を進めていくことになります。その際には、有識者の議論やパブリックコメント等を通じて、広く御意見をお伺いしてまいります。原発事故の教訓等、原子力に対する国民の信頼についてお尋ねがありました。東京電力福島第一原子力発電所事故が起きた反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、世界で最も厳しい水準の新規制基準の策定等の措置を講じていきました。科学的技術的な観点から原子力の安全性を確保していく上で、独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく方針には今後とも全く変わりはありません。原子力の規制と利用の分離を徹底する観点から、資源エネルギー庁と原子力規制庁の間におけるやりとりについては、国民に疑念を抱かせることがないよう厳格に対応することが必要であると考えております。その上で、原子力 規制制度の変更を伴う判断は、公開の原子力規制委員会の場で議論の上決定されることとなっており、御指摘のあったやりとりで、規制と利用の分離に問題が生じたとは考えておりません。事項の反省と教訓を踏まえて、原子力政策に取り組んでいくことは大前提です。今般の法案の目的や内容について、国会において御審議いただくとともに、今後とも国民の皆様の御理解が得られるよう、説明会や意見交換会など様々な手段を通じて、政府の方針をわかりやすく説明してまいります。小泉元総理の御発言についてお尋ねがありました。元総理のメディアでの個々の発言について申し上げることは控えますが、ロシアによるウクライナ侵略に伴い、歴史上初の世界エネルギー危機ともいわれる状況に直面している中、エネルギーについて気候変動問題への対応と両立する形で、将来にわたり安定供給する体制を構築していくことは最重要です。このような状況を踏まえれば、政府として国民生活の安定、良質な雇用を確保した上での経済成長、そして脱炭素への貢献などを同時に成り立たせるとの観点に立って、省エネや再エネ、原子力を含め、エネルギー政策においてあらゆる選択肢を確保しておくことが重要であると承知しております。残余の質問については、関係大臣、政府特別補佐人から答弁をさせます。
50:20
田島議員からのご質問にお答えいたします。原子力規制庁とのやりとりに係る資料等の開示についてお尋ねがありました。ご指摘の資料に係る情報公開法に基づく開示請求に対しては、同法に則り適切に開示をしております。また、衆議院の国会審議においても、委員会でのお求めに応じて適切に対応させていただきました。こうした情報開示については、資料の特定をした上でマスキングを行うことなく、可能な限り速やかに対応しており、特段の問題ないものと考えております。エネルギーに関する予算額と予算配分のあり方についてお尋ねがありました。各電源等に関係する支出が含まれる予算事業のうち、経済産業省に計上されている令和5年度予算額としては、原子力は約1790億円、太陽光は約178億円、風力は約128億円、メタンハイドレード及び支出調査は約273億円です。政府としては、これらの予算事業に加えて、再エネ特措法に基づくフィット・ヒップ制度など、制度的な対応なども併せて、多様なエネルギー源をバランスよく活用していくこととしております。こうした政策の組み合わせ は、第6次エネルギー基本計画で示した御指摘の方針とも整合的であると考えております。
51:57
政府特別補佐人 山中原子力規制委員会委員長
52:21
田島議員からの御質問にお答えいたします。後継年化した原子力発電所の試算に用いる基準についてお尋ねがありました。これまで公開の規制委員会において議論を重ねてきた結果、現行制度の規制基準や劣化評価等の技術的な内容については、新制度においても活用できると考え、今回の法案でその応枠を示しいたしました。その上で、さらに技術的な詳細を詰めるため、公開の検討チーム会合で議論をしているところですが、そうした詳細は法律ではなく、法律が成立した後にその委任を受け定める規則等に委ねられるのが一般的であると考えております。規制委員会としては、公開の場で引き続き丁寧に議論し、国民にも分かりやすく説明していきたいと考えております。原子力発電所の経年による劣化が見逃されたトラブルの事例についてお尋ねがありました。大小様々なトラブルを過去に遡って網羅的に説明することは困 難ですが、経年による劣化が見逃され、事故に至った事例として、平成16年8月に発生した関西電力三浜発電所3号機の二次系冷却配管が破損した事故がございます。この事故の原因は関西電力が本来点検すべき配管を点検しなかったため、当該配管が腐食や浸食を受け、配管の厚さが運転に伴い徐々に減少した結果、強度が低下し破損したものであります。このほか、事業者において、経年劣化によるトラブルも含め、様々なトラブルの事例をデータベースに登録し、情報公開をしていると承知しております。規制基準への適合性の確認についてのお尋ねがございました。今般の提出法案につきましては、事業者に対し、運転開始後30年、またその後10年以内ごとに、劣化予測等に関する詳細な記載を含めた計画策定を求め、規制委員会がこの計画が基準に適合しているか審査し、認可する仕組みとしております。事業者は認可された計画等に基づいて、機器の点検を行いますが、その実施状況については、規制委員会が行う原子力規制検査で確認することとしています。他方、こうした審査・検査によっても、リスクがゼロになることはありません。この残されたリスクを低減させる活動に、規制当局と事業者の双方が継続的に取り組むことが重要であると考えております。
56:20
ただいま議題となりました「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」につきまして、会派を代表して質問いたします。先月、札幌で開催されたG7気候・エネルギー環境大臣会合では、気候変動の加速化及び激甚化に対する強い懸念が共有されるとともに、パリ協定で示されたいわゆる1.5度目標達成のためにも、世界の温室効果が採出量について2035年までに19年比で60%削減することの重要性が確認されました。今月19日から始まるG7広島サミットは、気候変動を食い止め、脱炭素社会の実現に向けて、G7が世界をリードするとの確固たる決意を表明する場にしなくてはなりません。同時に、世界は、屈指の資源供給国であるロシアがウクライナに侵略をしたことを契機に、エネルギー安全保障の問題に直面しています。自国のことにとどまらず、グローバルサウスの国々に対しても、エネルギー市場の安定化に取り組むとともに、技術面や資金調達のあり方も含めた脱炭素化を進めていくための具体的な道筋を示し、転換を促すことが重要です。G7広島サミットでの脱 炭素社会の実現とエネルギー安定供給に向けたリーダーシップについて岸田総理に伺います。さきのG7札幌会合では、新たな目標として、世界で2030年までに、揚省風力を150ギガワット、太陽光を1テラワット以上増加させることも成果文書に明記されました。二体式揚省風力やペロブスカイト太陽電池など、日本が強みを持つ技術を生かし、世界に先駆けた社会実装のための工期と捉えて、技術開発の加速化を後押ししていただきたい。また、こうした脱炭素化の取り組みを日本経済の成長ドライバーとしていくためには、事業を捉えた事業家とサプライチェーン、量産体制の構築が欠かせません。次世代技術の開発と成長産業化にどう取り組むのか、西村大臣の見解を伺います。本法案では、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に向けて、送電網整備の支援強化が謳われています。政府は、広域で系統連携するためのマスタープランを示し、北海道と首都圏を結ぶ海底直流送電ケーブルなどの整備計画を進めていますが、これまで系統整備が進んでこなかった背景には、投資に必要な巨額の資金が挙げられます。現在、送電網整備に必要な金額として、概算で6兆円から7兆円の金額が示されていますが、効率的な投資とする上でも、迅速に整備を進める観点からも、鉄道の在来線や高速道路網など既存インフラの活用が有効と考えます。今後の系統整備の加速化と効率化をどう進めていくのか、またその際、利用者負担はどの程度見込まれるのか、西村大臣にお伺いします。近年、フィット制度の下で急速に太陽光発電設備が導入されたことに伴い、地域住民とのトラブルが数多く見受けられるようになりました。観光資源である景観を乱すとの指摘や、休憩車地に設置された太陽光パネルが土砂崩れとともに崩落する危険性、また、適切な管理がなされず、倒壊したパネルが放置されたままになるなど、様々な事例が報告されていますが、事業者が説明会を開催しないケースや、地域住民との対話に消極的な場合もあります。地域社会の理解を得ながら、さらなる再生可能エネルギー投資を促していくためにも、フィット制度適用における厳格なルールづくりや、発電事業終了後の太陽光パネル廃棄プロセスも含めた適切な管理監督に取り組むべきと考えますが、西村大臣の答弁を求めます。今回、原子力基本法改正案には、かつて国と原子力事業者が安全神話に陥り、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防止できなかったことの反省が明記されました。これは、第6次エネルギー基本計画の中で、福島復興はエネルギー政策を進める上での原点であるとした上で、被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、最後まで福島の復興再生に全力で取り組むことは、これまで原子力を活用したエネルギー政策を進めてきた政 府の責務である。この取り組みなくしては、今後のエネルギー政策に対する国民の信頼回復はなし得ないとした政府方針を踏まえたものであり重要です。今後、原子力政策について国民との対話にどう取り組み理解を得ていくのか。また、本法案に盛り込まれた諸施策は、可能な限り原発依存度を低減すると明記した第6次エネルギー基本計画の方針とそごはないのか、岸田総理の答弁を求めます。本法案では、原子力発電所の運転機関について、原則40年、延長20年の制限を堅持した上で、安全審査などに伴う停止期間を参入しないことが盛り込まれました。一方で、後継年化に係る安全規制については厳格化することとされていますが、こうした内容についての理解が進んでいません。従来の安全規制からどう変わるのかも含めて、分かりやすく説明を尽くしていくことが重要と考えますが、西村大臣にお伺いいたします。日本にはすでにガラス硬化体に換算して約2万6千本以上もの使用済み核燃料があり、今後の原子力政策の方向性にかかわらず、高レベル放射性廃棄物の最終処分は必ず解決しなければならない問題です。処分場の選定については、北海道内の2つの自治体で文献調査が行われてきましたが、地元住民の理解が十分に得られていないこともあり、今後の見通しが立てられる状況にありません。国として、これまで原子力発電環境整備機構、NUEMONに任せてきた体制を改め、今後は国民の理解促進、関係自治体との協議なども含めて、国が全面に立って検討を進めていくべきと考えますが、岸田総理の見解をお伺いします。公明党はこれまで、総合エネルギー対策本部を中心に、エネルギーの安定供給とグリーントランスフォーメーションの実現に向けて、精力的に議論し、政府に提言を行ってきました。日々の暮らしを守り、地球の未来を守るためのエネルギー転換には、確固たるリーダーシップとともに、国民の理解が欠かせません。公明党はこれからも、再生可能エネルギーの主力電源化等を通じて、原発に依存しない社会の実現を目指すことをお誓いして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
1:04:14
平木大作議員のご質問にお答えいたします。脱炭素社会の実現とエネルギー安定供給についてお尋ねがありました。パリ協定の1.5度目標の達成は、日本のみならず、途上国も含めた世界全体で取り組むべき課題です。G20に含まれる主要排出国や、今後排出が大幅に増加することが見込まれるアジア諸国をはじめ、世界全体が一丸となって取り組むことが重要であるとともに、新興国を含む全ての主体が、2030年までの勝負の10年において、脱炭素化を即時かつ加速的に進める必要があります。また、世界エネルギー危機に直面し、脱炭素への対応も進めていくにあたって、エネルギーをめぐる各国の事情は様々であり、多様な道筋でネットゼロという共通のゴールを目指すことが重要となっています。我が国が培ってきた省エネ・再エネ・原子力・水素・アンモニア・CCUS等の多様なエネルギー源及び脱炭素技術は、その重要な手段となるものであり、エネルギー安定供給の確保も可能とするものです。G7広島サミットにおいても、我が国は、2050年、温室効果ガス排出ネットゼロの実現に向け、各国地域の事情に応じた強靭なエネルギー移行や脆弱国に対する支援の必要性等について議論を深め、国際社会を主導してまいります。原子力政策への理解や、第6次エネルギー基本計画と本法案との整合性についてお尋ねがありました。GX基本方針について、今年に入ってから、既に全国で合計10回の説明会を開催するなど、これまでも原子力を含むエネルギー政策について積極的に情報発信、意見交換を進めてまいりましたが、引き続き国民の皆様の理解が得られるよう、国会審議や説明会など、様々な手段で政府の方針をわかりやすく説明するよう努めてまいります。また、第6次エネルギー基本計画では、原子力について再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減するとともに、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくこととしており、本法案はこれらの方針の実現のために必要な措置を講ずるものであり、相互はありません。高レベル放射性廃棄物の最終処分についてお尋ねがありました。半世紀以上にわたり原子力を利用し、使用済み燃料が既に存在している以上、高レベル放射性廃棄物の最終処分は必ず解決しなければならない重要な課題です。4月に閣議決定した特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に沿って、政府一丸となって、かつ政府の責任で将来世代に負担を先送りしないよう取組を進めてまいります。具体的には、国原子力発電環境整備機構事業者で体制を強化し、関心自治体の掘り起こしに取り組む、関心自治体の首長などとの協議の場を設置する、手上げを待つのではなく、地域に対し政府から調査の検討などを段階的に申し入れるなど、国が全面に立って理解活動等に取り組んでまいります。残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。
1:09:07
平木議員からのご質問にお答えいたします。再エネの次世代技術の開発と産業界についてお尋ねがありました。次世代型太陽電池や二体式養生風力については、グリーンノベーション基金などを活用し、技術開発から社会実装まで通して支援することで、早期実用化やサプライチェーン構築に取り組んでいます。具体的には、次世代太陽電池については、ビルの壁面などのこれまで設置が困難であった場所に設置可能なペロブスカイトの技術開発に取り組んでおります。2023年からユーザー企業と連携した実証を開始するとともに、普及拡大に向けた量産化についても、GX経済構成の活用を含め、さらなる支援策を検討してまいります。また、二体式養生風力については、今年度中に実感域における大型の風車実証に着手するなど、技術開発を加速していきます。今後、二体式の導入目標を策定するとともに、EAZにおける導入拡大に向けて法的整備を含め、具体的な制度的措置等を行うための検討関係省庁と連携して進めていく考えです。先月開 催した再エネ推奨等関係閣僚会議において策定したアクションプランに基づき、関係省庁ともさらなる連携をしながら、技術開発や産業化に取り組んでまいります。系統整備の加速化と効率化についてお尋ねがありました。再エネの大量導入と供給の安定性強化に向けて、系統整備を加速することは極めて重要であります。そのため、本年3月に2050年官房ニュータルムを見据えた将来的な系統の姿を示すマスタープランを策定し、6から7兆円が必要との試算も示されました。今後、これを踏まえて全国で送電線の整備を着実に進めてまいります。今後、個別の系統整備の計画を具体化する上では、関係省庁とも連携し、ご指摘の既存インフラの活用も含めた効率的な整備の在り方について検討を進めてまいります。なお、利用者負担については、仮に2050年を見据えたマスタープランに含まれる全ての系統が同時に使用開始され、6から7兆円の費用負担が同時に発生するなど、一定の仮定を置いた場合でも、電気料金全体でキロワットアワー当たり約0.2円程度の負担と試算されております。今後、費用便宜評価を行い、電源や需要の動向を踏まえつつ、効率的に系統整備を進めてまいります。再燃えの適切な管理監督についてお尋ねがありました。再生可能エネルギーにつ いては、地域との共生を前提に、再燃の導入目標である2030年度36から38%の実現に向けて最大限導入していくことが政府の基本方針です。一方、委員御指摘のとおり、これまでに導入された再燃の中には、安全面、防災面、景観、環境への影響など、地域の懸念が顕在化した例もあると承知しております。こうした地域の懸念に適切に対応すべく、本法案では、住民説明会の開催を含め、地域の方々への事業内容の事前周知を認定要件化する措置、また、関係法令に違反する事業者に対して、フィットヒップ交付金による支援を一時停止する措置、さらに、違反が解消されず認定取消しに至った場合、違反期間中のフィットヒップ交付金による支援額の返還を命じる措置など、事業規律強化に向けた制度的措置を講じることとしております。また、太陽光パネルの廃棄については、昨年7月より、廃棄等の費用を厳選徴収的に外部積み立てさせる制度を開始しており、事業者による適切な廃棄を促しております。さらに、再エネ設備の廃棄・リザイクルの制度措置の在り方について、環境省とも連携し、本年4月より新たな検討会を立ち上げ議論しており、適切な廃棄・リザイクルに向けてしっかりと対応してまいります。原子力発電所の運転期間に係る措置に関する説明についてお尋ねがありました。今回の措置は、運転期間は40年、延長を認める期間は20年という現行制度の枠組みを維持しつつ、一定の要件を満たす場合に限り、運転期間のカウントから、多立的な要素によって停止した期間を除外することを認めるとの自己抑制的な政策判断を行ったものであります。また、原子力規制委員会は、運転開始から30年を超えて運転しようとする場合には、10年以内ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行うなどの規制の厳格化に向けた制度を創設することとしているものと承知をしております。いずれにせよ、原子力規制委員会による厳格な審査の結果、運転することが認められたもののみ運転することができるという方針は変わりはありません。今後とも、本法案の目的や内容について、国会審議等の場において、国民の皆様に対して丁寧に説明していくことが重要であり、引き続き、わかりやすい形でしっかりとご説明してまいります。
1:14:30
日本維新の会、石井明です。会派を代表して質問いたします。総理は、政府が掲げる2030年度の脱炭素電源比率を約6割とする目標と、昨年のG7サミットでの2035年までの完全に、または体操が脱炭素化された電源部門という合意 内容との関連について、2035年に向けては、2030年の目標よりも、さらに脱炭素化を進めていくと答弁されました。2030年までの各電源構成費目標ですら、自らかなりチャレンジングな目標と明言している中、G7合意達成に向けて、2030年から5年間で脱炭素電源比率を6割からさらに、完全または体操まで高めるために、どのような方策をお持ちなのか、総理お答えください。総理は、G7合意について、各国が自国のエネルギーをめぐる状況や技術動向を踏まえ、適切に対応していくものであり、体操についての定量的な定義はないと答弁しましたが、フランスでは現時点で既に脱炭素電源が91%を占め、ドイツは2035年に100%、他国も80%近くにする目標を掲げております。既にEUは炭素国境調整措置の導入を進めていますし、他国でも同様の制度の導入が検討されております。政府は、化石燃料付加金の導入を2028年度とする理由について、代替期日の有無や国際競争力への影響を挙げていますが、日本だけ脱炭素化への取組が遅れ、輸出する際に調整金が課せられれば、それこそ国際競争力や経済への悪影響が起こることが危惧されますけれども、総理の見解をお伺いいたします。国民の原子力発電に対する信頼の確保、理解と協力は不可欠であり、国はそのために必要な取組を推進するという国の責務が法案に明記されました。一方で、総理は、こ れまでの国会審議において、今後、原発を新増設するという基本方針を明確にしたことについて、方針の大転換ではなく、一昨年決定した第六次エネルギー基本計画でも必要な規模を持続的に活用していくと記載しており、方針は変わっていないと答弁しております。しかし、福島第一原発の事故以来、原発の新増設立替えを凍結してきた歴代の政権の方針と改めることが必要であると思います。総理自らが決定した新増設に関わる決断について、総理の覚悟を今一度しっかりと国民に示すべきと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。再エネを一層拡大するには、自由な市場を実現するための公正な取引環境が担保されていることが必須です。しかし、大手電力会社において、電力市場の公正な競争を阻害する重大な違法行為事案が次々と発覚しており、抜本的な電力システム改革は不可避です。総理は、発送電の所有権分離について、衆議院本会議で「総配電事業の中立性の確保の一つの手法」としながらも、「法的分離のメリットもある」として、中立性確保のための再発防止策の検討を行う旨の答弁をされました。総理が法的分離のメリットとして述べられた、安定供給やネットワーク環境の変化への対応は、所有権分離では担保されないのか、また、所有権分離を行った場合、法的分離では得られないメリットについて、 総理の見解をお伺いいたします。発送電分離について、もともと2013年の電力システム改革専門委員会の報告書で、中立性を実現する最も分かりやすい形態として所有権分離があり得るが、改革の効果を見極め、それが不十分な場合の将来的な検討課題とされ、まずは法的分離でスタートした経緯があります。今回の発覚した事案によって、現状では公正な競争案件の確保ができないことが明らかになったわけでありますが、総理はこうした経緯を認識されているのでしょうか、ご答弁願います。また、電力自由化の当初により、公正取引委員会は、発電事業者と売電事業者の分離、いわゆる発搬分離の必要性を指摘していましたが、こう取りの指摘について、総理の認識をお伺いいたします。総理は、電力卸取取引市場の活性化や取引条件の適正化等により、公正な卸取取引の環境整備は着実に進んでいるとの認識を述べていますが、いくら不公平な取引を事後に指摘して改善策を講じても、過去の取引は消さないわけであります。こうしたことが起こり得ない仕組みを構築することこそが対策であり、少なくとも発搬事業の法的分離の必要と考えますが、総理の認識をお尋ねいたします。本法案により、原子力規制委員会は、30年を超えて原発を運転しようとする際に作成する長期施設管理計画の認可 を行うこととなりますが、業務が増大する中にあっても審査に遅れが生じることは、電力の安定供給の観点からも避けられないわけであります。そこで、我が党が主導して、法制公務5年以内に政府が行う検討の対象として、原子力規制委員会による審査の効率化及び審査体制の充実を含めた、原発の安全の確保のための規制の在り方等を追加する修正案を衆議院に提出し、可決されました。しかし、先月、規制委員会では、鋭原発第2業期に関し、日本元年に申請書の再提出を求める行政指導文書を出したり、6カ所再処理工場の申請処理の不備などで、日本元年に指導を行うといった事案が発生しております。総理は、審査に際して、事業者と双方のコミュニケーションの強化が図られているとの旨の答弁をしておりますが、今回の事案でも、依然コミュニケーションの問題に起因すると思われる事案も多く見受けられます。現年では、6万ページに及ぶ申請書のうち3,100ページで不備があり、その内容は落書や古い設計情報の記載といった事業者側の考えられないようなミスから、ルール浸透やルール整備の不足、設計図書の解釈の誤りによる記載漏れ、記載の誤り、様式不備といったコミュニケーション不足や認識の差によるものまで幅広くあります。現年のケースでは、観察方式を変更した際の理由が記載されていないなど、事前に事務的に確認できていれば防げているような事項で審査が中断した有様です。これだけの数のデータ、試験結果に関わる資料を規制委員会が不備とするのであれば、ただ一方的に事業者に非を追求するのではなく、事業者側にそうした間違いが発生しないよう、規制委員会側も、例えば解釈に違いが出ないような統一基準の策定や明示、提出フォーラムの統一化など工夫を行うべきではないかと考えますが、総理の考えをお伺いいたします。日本紙の会は3月に提言書を経産大臣に手稿し、原発責任明確化法案、電力市場自由化促進法案を提出した上で、GEX推進法や本法案の審議に臨み、政府案をより良いものにすべく衆議院において修正を行ってまいりました。これからも国民にとってより良い実効性のある対案、修正案を提示し、国会審議を通じて政府と真正面から向き合い、政策の実現に向けて努力していくことをお約束し、私の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
1:24:22
石井明貴議員 のご質問にお答えいたします。電源の脱炭素化についてお尋ねがありました。昨年のG7首脳声明で合意された2035年までの電力部門の完全又は体操の脱炭素化について、体操の定義はないものの、各国が自国のエネルギーをめぐる状況や技術動向を踏まえてきせつに対応することが重要です。我が国としても、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、まずは第6次エネルギー基本計画で示した2030年度の電源構成目標の実現に向けて、再エネの最大限導入をはじめ、全力を挙げて取組を進めてまいります。化石燃料付加金の導入についてお尋ねがありました。脱炭素に向けた着実な取組は重要である一方、十分な準備期間を設けた上でカーボンプライシングを導入しなければ、産業の空洞化など経済・国民生活への悪影響が懸念されます。このため、成長志向型カーボンプライシング構想では、排出削減と経済成長を共に実現すべく、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、徐々に水準を引き上げていく方針をあらかじめ示すとともに、20兆円規模の大胆な先行投資支援などを行うことで、GX投資の前倒しを促進することとしております。EUが導入する予定の「炭素国供調整措置」については、日本企業への影響を把握し、日本の製品等に不適切な形で負担が付加されないよう、EUとの対話をしっかり行ってまいります。原子力政策の方針についてお尋ねがありました。ロシアによるウクライナ侵略に伴い、歴史上初の世界エネルギー危機ともいわれる状況に直面する中で、エネルギーの安定供給と気候変動問題への対応の両立が最重要の国家課題となっています。このような状況を踏まえれば、エネルギーを気候変動問題への対応と両立する形で、将来にわたり安定供給する体制を構築すべく、原子力を含め、あらゆる選択肢を確保しておくことが重要です。このため、GX基本方針において、原子力を持続的に活用していくべく、安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新路の開発建設に取り組むこととしたものです。引き続き、国民の皆様の御理解が深まるよう、国会審議や説明会、意見交換会など、様々な手段で政府の方針をわかりやすく説明してまいります。電力不正事案と発送電の所有権分離についてお尋ねがありました。一連の不正事案は、電力システム改革の趣旨に反するものであり、極めて遺憾です。経済産業省において、各事業者に対して業務改善命令を出すなど、厳正な対応を行っており、また、公開の審議会での議論を踏まえ、今後、再発防止策の実施を含め、公正な競争条件の確保に向けて適切な対応を行うものと承知をしております。所有権分離に関しては、中立性を実現する最もわかりやすい形態であるとのメリットが指摘される一方で、エネルギーの安定供給に必要となる適切な電源投資に影響がある可能性や、災害発生時に現在行われているようなグループ一体での迅速な対応が困難になるなど、課題もあると指摘されているものと承知をしております。発販分離についてお尋ねがありました。公正取引委員会から、以前、小売電機事業者間の競争確保の一つの方策として、発販分離が指摘されていたことについて承知をしています。一方で、今般の不正事案は、いずれも発電部門と小売部門との間で発生したものではなく、発販事業の法的分離が事案を受けた改善の取組として必要なものとは承知しておりませんが、いずれにせよ、小売電機事業者間の健全な競争環境を整備すること、これは重要な課題です。このため、現在経済産業省において、公正で安定的な電力取引を実現するための仕組みの構築などについて検討が進んでおり、今後その結果を踏まえて適切な対応が行われていくものと承知をしております。原子力規制委員会の審査についてお尋ねがありました。規制委員会において、規制基準をよりわかりやすいものにする観点から、基準のさらなる具体化や表現の改善を行うため、原子力規制庁や事業者からの意見提案を収集し、反映させる取組が行われており、また、 実際の審査に際しても公開の会合で指摘事項を事業者と双方で確認し、共通理解を得るなど、コミュニケーションの強化が図られているものと承知をしております。今後とも、原子力施設の審査は、高い独立性を有する規制委員会において、審査プロセスの改善、これを図りつつ適切に対応されるものと考えております。
1:31:49
国民民主党新緑風会の佐々木哲次です。ただいま議題となりました「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」、通称「GX脱炭素電源法案」につきまして、会派を代表して質問いたします。まず冒頭、日本が脱炭素化とともに、エネルギー安全保障や産業競争力の強化を経済合理性も考慮しながら同時に達成していく上で、大変重要な事項を規定する局面にあるにもかかわらず、多くの重要法案を束ねて提出されたことは遺憾です。国民の理解を深めようとするのであれば、それぞれの法律案について、より徹底した審議を行う機会をつくるべきであったと考えます。政府には参議院の審議において、改めて真摯な答弁を求めます。GXに向けた近年のエネルギー政策を振り返ってみると、残念ながら十分な成果を上げてきたとは言い難い状況です。電源の脱炭素化については、第6次エネルギー基本計画に対して進捗は思わしくなく、G7各国と比較しても遅れをとっています。また、大前提であるエネルギーの安定供給が由来でいます。2月10日に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」においても、電力自由化の下での事業環境整備や系統整備、原子力発電所の再稼働などが十分に進まなかったことなどにより、昨年3月には電力需給の逼迫警報が発出される事態となるなど、オイルショック以来のエネルギー危機ともいえる状況に直面していることが示されており、真摯に反省する必要があります。政府としてこのような事態を生じさせ、多くの国民の生活にも影響が及ぶこととなった原因について、どのように分析しておられるのでしょうか。併せてその反省を踏まえた上で、本法律案を措置することにより、現下のエネルギー危機をどのように克服されるお考えでしょうか。岸田総理の答弁を求めます。本法律案では、原子力発電所の運転期間を最長60年とする規定を原子炉等規制法から電気事業法に移すこととしています。しかし、そもそも原子力発電所の運転期間に係 る定めについて、科学的根拠がないことは指摘しなくてはなりません。原子力発電所の運転期間について、原子力規制委員会の山中委員長は、国会において、原子力規制委員会としては、40年や60年に運転期間を限ることは、科学的技術的な根拠があるわけではないと答弁され、あくまで利用のあり方に関する政策判断であるとの見解を示しています。また、衆議院の審議において、西村GX担当大臣も、世界の主要国では、原子力発電所の運転期間に上限はなく、本法律案の上限規定に特定の科学的根拠がないことはお認めになっております。しかし、客観的な根拠がない規制は好ましくありません。原子力発電所の安全性を高めるとともに、事業者の予見可能性を確保し、国民の理解を得るためにも、政府として科学的技術的根拠を見出すべきです。具体的な対応方針を含め、総理の答弁を求めます。本法律案では、運転期間に関する規定の見直しに合わせて、新たに高経年化した原子力発電所に対する安全規制を法定化しています。これまでの省令総統の規制で30年目から10年おきの評価としていたものを法律に引き上げ、30年目以降から10年以内ごとに認可すると した改正内容は、安易な再稼働の歯止めになるという観点から評価をしたいと思います。ただし、この安全規制においては、なおさら科学的技術的根拠に基づく合理的な審査が必要不可欠であり、劣化評価の方法や審査基準など規制の仕組みを国内外の科学的知見、経験をもとに構築し、国民に対してわかりやすく示し、理解を得ていくことが重要です。高経年化した原子力発電所に関する安全規制のあり方について、山中原子力規制委員長の見解を求めます。また、原子力発電所の安全性を確実に確保するためには、規制側だけでなく、事業者による自主的かつ継続的な安全性向上の取組をより一層強化していくことが求められます。さらには、規制側と事業者側、そして運転委員長を判断する政府当局が緊張関係を保ち、透明性と国民への積極的な情報公開を担保しつつ、各社の知見、経験をより効果的に共有する仕組みを構築することも重要であると考えますが、西村経済産業大臣及び原子力規制委員長の見解を求めます。国民民主党は、現下の非連続なエネルギー情勢の変化を踏まえ、当面の間、安全性の確認された原子力発電所の再稼働や次世代炉へのリプレイス等を通じて、エネルギー安全保障の確保とカーボンニュートラルの両立を図ること、そのためにも原子力を安全かつ安定的に利用するための環境を整備する上で、原子力関連技術、国内サプライチェーンの維持・向上、人材育成等に取り組むことが重要と考えます。また、原子力発電所の高経年化を踏まえれば、廃炉に関する人材の育成・確保も同様です。しかしながら、東日本大震災、福島第一原発事故以降、建設プロジェクト等を経験した方の高齢化や高経人材の不足から、知識や技術の継承が困難な状況となっています。また、原子力分野への進学を希望する学生の減少や、試験研究量の減少に伴う実験実習の機会の減少も進んでおり、原子力の利用と安全管理の双方に支障をきたす状況に陥っています。そこで、原子力産業や人材の現状と課題について、西村経済産業大臣の見解を求めます。あわせて、原子力発電に係る事業環境整備や人材の育成確保、技術の維持開発について、今後どのように取り組んでいく方針か、具体的に御説明ください。今回、原子力基本法を改正し、新たに国の責務及び原子力事業者の責務について規定されました。しかしながら、いわゆるバックエンドの問題の解決については、いまだ国及び原子力事業者の責務の項目として明確に規定されていません。2023年2月に改定された原子力利用に関する基本的考え方においては、処分所確保に向けて国としても関与していくべきとの趣旨の記載があります。さらに、欧州のEUタクソノミーでは、グリーン認定要件として処分施設の計画策定を求めており、我が国としてもこうした動きに注意を払う必要が生じています。国民の原子力への信頼を確保していくためにも、最終処分の着実な実施を国の責務として明確にし、実効性ある取組を推進していくべきと考えますが、総理の答弁を求めます。G7気候エネルギー環境大臣会合についてお伺いします。同共同声明では、原子力エネルギーのパラグラフにおいて、今後10年以内の小型モジュール炉を含む革新的な原子力技術の開発及び展開を促進する趣旨の記載があります。国民民主党としても、安全性向上と経済安全保障、脱炭素化を両立させる小型モジュール炉等へのリプレースを訴えていますが、日本政府としての具体的な肯定表を早期に示すべきです。総理の見解を求めます。一方、同共同声明の再生可能エネルギーのパラグラフにおいては、地熱の利用について地熱の文字が一度出てくるだけで方針さえ記載がありません。日本は世界3位の資源量を持つと言われているにもかかわらずです。今後、地熱エネルギーに対してどれだけの投資や規制緩和を予定しているのか、西村GX担当大臣の見解を求めます。最後に、同共同声明の道路部門のパラグラフにおいて、国ごとのカーボンニュートラルに向けた多様な道筋という大前提とともに、ストック、いわゆる車の保有台数全体でCO2排出削減を進めていく重要性についても認識され、併せて燃料電池自動車やプラグインハイブリッド車、合成燃料などのカーボンニュートラル燃料に関する技術開発も評価されたと承知しています。こうした合意の内容は、これまでの日本の主張とも方向性を同じくするものであると考えていますが、日本政府として今回の結果をどう受け止め、カーボンニュートラルに向けた取組をどのように進めていくのか、総理の見解を求めます。以上、質問といたします。ありがとうございました。
1:42:06
伊曽崎哲次議員のご質問にお答えいたします。エネルギー危機についてお尋ねがありました。ロシアによるグライナ侵略に伴い、歴史上初の世界エネルギー危機に直面する中、エネルギーについて気候変動問題への対応と両立する形で、将来にわたり安定供給する体制を構築していくことは最重要の国家課題となっています。その上で、昨年3月、電力需給逼迫警報を発令することになった要因としては、電力自由化の下で供給力不足を回避するための事業環境整備、地域間の電力融通を円滑化するための系統整備、原子力発電所の再稼働などが十分に進んでいなかったこと、さらには地震などの自然災害の多発、想定を上回る気象状況による需要増加などがあると承知をしております。本法案では、こうした反省も踏まえ、将来にわたりエネルギー安定供給を確保するために、再エネの拡大や原子力の持続的な活用を進める上で必要な措置を講ずることとしております。原発の運転機関の科学的根拠についてお尋ねがありました。今回の原発の運転機関に関する措置は、原発の利用をどのくらいの期間認めることとするかは、原子力利用政策の判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとする、令和2年7月の原子力規制委員会の見解を踏まえて、利用の立場から政策判断を行ったものです。一方で、御指摘の科学的技術的な観点からは、利用政策の観点からの判断がどうであろうとも、高い独立性を有する 原子力規制委員会が厳格な審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ、運転は一切認められないという大前提は変わりはありません。また、本法案では、後継年化した炉に対する安全規制に関して、独立した原子力規制委員会が運転開始後30年、またその後10年以内ごとに、劣化予測等に関する詳細な記載を含めた計画策定を事業者に求めることで、従来よりも高い頻度で、より厳正に審査することとしております。最終処分の責務についてお尋ねがありました。半世紀以上にわたる原子力を利用し、使用済み燃料が既に存在している以上、高レベル放射性廃棄物の最終処分は必ず解決しなければならない重要な課題です。4月に閣議決定した特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に沿って、政府一丸となって、かつ政府の責任で、将来世代に負担を先送りしないよう、有望地点の拡大や最終処分と共生する地域の将来に向けた施策の企画実施などの取組を進めてまいります。原子力技術の開発等についてお尋ねがありました。本年2月に閣議決定したGX基本方針では、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新路の開発建設に向けて、国内での研究開発や人材育成、サプライチェーンの維持強化に対する支援を拡充するとともに、同志国との連携を通じた研究開発の推進にも取り組むこととしております。今後、次世代革新路の研究開発に関する見通しをできるだけ早期に具体化していくため、専門家等の参画を得た議論を加速していくとともに、必要な支援策をしっかりと講じてまいります。自動車のカーボンニュートラルについてお尋ねがありました。自動車のカーボンニュートラルの実現に向けては、新車における対応だけでなく、保有車両全体からのCO2排出削減を進める必要があり、電気自動車やハイブリッド車などの電動車や合成燃料の活用など、多様な選択肢の追求が有効と認識をしております。こうした点について、さきの大臣会合において共通理解が得られたことは、大きな成果であったと考えております。我が国としては、国際的にこうした共通理解をさらに広げ、各国と協調した取組を進めつつ、国内においても、あらゆる技術の選択肢を追求し、保有車両からの排出削減に向けた取組を着実に進めてまいります。残余の質問については、関係大臣、政府特別補佐人から答弁をさせます。
1:48:21
磯崎議員からのご質問にお答えいたします。原子力発電所の運転延長に関する知見等の共有についてお尋ねございました。原子力規制庁とは日常的に事務的なやりとりを行っておりますが、そのやりとりについては、東京電力福島第一原発事故の最大の教訓の一つである、規制と利用の分離の趣旨をしっかりと踏まえつつ、法令を遵守して適切に行っていきます。その上で、利用政策の検討状況や立地自治体や事業者等のやりとりを通じて得られた情報については、原子力規制庁側のルールに則りながら、適時適切に共有してまいります。原子力発電に関する人材及び技術、事業環境整備についてお尋ねがありました。我が国は高いレベルの技術、人材、産業基盤を維持してきましたが、震災以降、原子力発電所の建設やものづくりの現場のない状況は継続しており、現場の技術、人材の維持・強化は極めて重要な課題であると認識しております。こうした認識の下、本年3月6日には、関連する企業・団体からなる原子力サプライチェーン・プラットフォームを立ち上げ、研究開発や技能実習、技術・技能の照計などをサポートする支援メニューを、全国400社の原子力関連企業に展開しているところであります。今後とも、こうしたサプライチェーンの維持・強化に向けた取組をしっかりと進めてまいります。加えて、私自身が議長を務めたG7会合でも、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ の同志国と、こうした取組で連携していくことを確認いたしました。また、電力自由化の下でも、安全対策等施策を安定的に行っていくことができる事業環境整備を推進するため、予見可能性の向上に資する事業環境の在り方についても検討してまいります。地熱発電について、今後の投資や規制緩和についてお尋ねがございました。地熱発電は、エネルギーミックスにおいて、地熱発電の比率を足元の0.3%から2030年度には1%に引き上げる目標を設定しております。投資については、平均的な3万キロワット規模の発電所で約240億円の投資額となりますが、こうした民間投資を推進すべく、経済産業省は年間100億円を超える予算を措置し、ジョグメックによる資源量の調査、出資、債務保障などの支援を行っております。規制緩和については、令和3年に環境省によって、自然公園法や温泉法の運用見直しが行われているところ、地熱導入拡大に向けて、今後も関係省庁と連携しつつ、引き続き取り組んでまいります。
1:51:22
政府特別補佐任 山中原子力規制委員会委員長
1:51:47
佐々木委員からのご質問にお答えいたし ます。後継年化した原子力発電所に関する安全規制についてお尋ねがありました。今般提出法案では、事業者に対し運転開始後30年、またその後10年以内に劣化予測等に関する詳細な記載を含めた計画策定を求め、規制委員会がこの計画が基準に適合しているかを審査し、認可する仕組みとしております。また、これまで規制委員会において議論を重ねてきた結果、現行制度の規制基準や劣化評価等の技術的な内容は、新制度においても活用できると考えております。その技術的内容の詳細につきましては、今回の公開の検討チーム会合の場でこれまで実施してきた後継年化した発電用原子炉の審査や検査の実績を土台としつつ、IAEAや諸外国の例を用いて議論を行っているところです。さらに、こうした専門的な議論や制度の内容について、国民の理解を深めていただけるよう、わかりやすい資料を作成をしているところです。原子力発電所の継続的な安全性の向上についてお尋ねがありました。規制委員会としては、新規制基準への適合は、リスクがゼロであるということを保証するものではなく、残されたリスクを低減させる活動に、規制側、事業者側の双方が継続的に取り組むことが重要であると考えております。こうした認識の下、事業者に対しては、原子炉等規制法に基づき、最新の知見を踏まえつつ、施設の安全性、信頼性の 向上に関わる取組が、自主的かつ継続的に行われるよう、定期的な調査、評価を求めているところです。また、事業者との公開の意見交換の場で、知見を共有し、必要に応じて規制に反映する取組を行ってきており、引き続き、こうした規制の継続的な改善に取り組んでまいりたいと考えております。
1:54:45
私は、日本共産党を代表して、議題の法律案を構成する原子力基本法・電気事業法・原子炉等規制法・再処理法・再エネ特措法の改正案について質問します。本法案は、脱炭素やロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機を口実に、東京電力・福島第一原発事故の反省も教訓も投げ捨て、原発回帰へと大転換するものです。原発事故から12年余り経った今も、原子力緊急事態宣言は未だ解除されず、ふるさとに戻ることができない方々は8万人を超えると言われています。今も大部分が避難地域である浪江町・津島地区の方から、私たちが奪われ失ったものは家族・住民・民族・芸能・歴史・伝統・自然・風土・地域社会、そしてこれら一切に対する誇り・境地です。地域の過去・現在・ 未来・人生そのものを奪われ失った。こんなことが許されていいのかと訴えられました。築き上げてきたものが一瞬にして奪われ、苦しみが生涯続く。それが原発事故です。半世紀にわたり、反原発の活動を続けてきた奈良浜町法教寺の住職である早川徳夫さんは、昨年末亡くなる直前に、政府の原発回帰方針に「また安全神話だ。許せない」と怒りをあらわにしました。福島県内はもちろん全国で「事故をもう忘れたのか」という声が上がっており、断じて許されません。総理は「また安全神話に陥り、再び事故を起こしたら責任を取れるのですか」この深刻な事故を受けて原子力規制委員会が設置され、リスク低減のための安全規制として運転期間は原則40年、例外的に一度に限り20年延長できると原子炉等規制法、炉規制法が改正されました。事故原発の運転期間が40年目であり、原子炉が40年使用を目安に設計されていたからです。ところが本法案は運転期間を制限する条文を炉規制法から削除し、推進側である経済産業省所管の電気事業法に移すとしています。しかも安全規制を行うべき山中原子力規制委員長は「運転期間の規定は安全規制ではない」という誤った答弁を繰り返しています。これは規制委員会の独立性に重大な疑念をいでかせるものであり、炉規制法改正時の解釈を根本的にねじ曲げるものではありませんか。さらに本法案では運転期間は40年とするものの、経産大臣の認可で20年プラスアルファの延長を可能とし、延長回数の限度はありません。新規制基準への適合性審査機関や行政指導、仮処分命令による停止期間などを運転期間に含まないとしています。規制委員会で行われた議論では石渡委員が「この改変は科学的技術的な新知見に基づくものではない。安全側への改変ともいえない。審査を厳格に行えば行うほど、より高経年化した炉を運転することになる」として反対したのは当然です。政府は規制委員会が運転開始30年から10年ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行うから大丈夫だと言いますが、これまでも行われているものにすぎません。運転延長した老朽原発の事故の危険性を減らすことにならず、これで安全性が高まると言えるのですか。山中規制委員長は運転機関から停止機関を除く法改正の根拠として、令和2年7月29日の運転機関延長と老朽化に関する規制委員会の見解を繰り返していますが、この見解について当時のふけた規制委員長は、原力会社と原発業界で構成するアテナからの運転機関から停止機関を除くべきという要求をきっぱり跳ねつけたものだと述べています。本法案はこの見解と真逆のものではありませんか。以上、総理の答弁を求めます。原子力基本法の改悪は極めて重 大です。法案では、安全神話に陥り、事故を防止することができなかったことを真摯に反省するとしています。そうであるならば、国は原発事故の法的責任を認めるべきではありませんか。それすら認めず、一方で原発を電源の選択肢として活用し続けることを国の責務として親切し、原発の推進を事実上規定しています。さらに国がとるべき基本的施策を親切し、原発技術の維持と開発の促進、原子力産業基盤の維持強化、原子力産業の安定的な事業環境の整備なども行うべきとしています。基本法を所管する高市大臣は、4月14日の本会議で、原子力を支援することを国の責務とするものではないと答弁しましたが、支援そのものではありませんか。本法案と高市大臣の答弁は矛盾するのではありませんか。総理と高市大臣の答弁を求めます。本法案は原子力基本法の姿も性格も大きく変質させるものであり、原子力産業を政策的に保護し、将来にわたって原発を活用するための法的な枠組みをつくることになるのではありませんか。高市大臣お答えください。国会事故庁が指摘するとおり、原発事故の最大の教訓は、原発を推進する経済産業省の中に規制する役割を持った当時の原子力安全法案員があったこと、規制する側が電力会社に取り込まれる規制の取り子の構造に陥っていたことにあります。ところが衆議院の審議を通じて、原発の運転機関をめぐり、資源エネルギー庁と原子力規制庁が非公式に面談を重ねていたことが明らかになりました。7月28日に、N庁から規制庁に示された資料には、路規制法と電気事業法の改正イメージに加え、安全規制が緩んだように見えないことも大事、などといったコメントがつけられていました。これは推進による規制への介入にほかならないのではありませんか。これまで政府は、原発の依存度は低減する、新増設など想定していないと述べてきました。ところが、国会と国民にまともな説明もないまま、GX基本方針案に対するパブリックコメントでの多数の反対意見も、説明会での意見も、方針には反映されませんでした。この3月に発表された日本世論調査会の全国調査では、原発の最大減活用の方針を評価しない、原発の建て替えなどの開発・建設推進に反対が6割を超え、60年を超える運転期間の延長に反対は7割を超えています。内容を見ても、立法過程を見ても、原発事故の反省と教訓をないがしろにするものではありませんか。本法案では、地域と共生した再エネの最大限の導入拡大支援を掲げていますが、稼働していない、完成もしていない原発を優先する総電網の利用ルールになっており、これが、吸収電力はじめ大手電力による再エネの出力 抑制につながり、再エネの導入を阻み続けています。原発を最優先とするルールこそ、抜本的に変えるべきではありませんか。国連IPCCの最新の報告書が、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ、2030年に排出限度に達すると警告するもとで、もはや一刻の猶予もありません。世界全体で2035年までに60%削減が必要とされており、G7議長国として2030年度の削減目標を60%まで引き上げるとともに、世界の流れとなっている原発からの撤退、石炭火力発電の全廃と徹底した省エネ、再エネの大量導入でこそ脱炭素を実現するべきです。以上、総理の答弁を求めます。ドイツは、チェルノブイル原発と福島第一原発の事故を受けて、脱原発を決断し、一時は発電量が全体の3割を占めていた原発が、4月15日に全て停止しました。一方、事故を起こした日本の政府が原発回帰へと突き進むことは、新たな安全神話を作り、世界の翻流に逆行するものにほかなりません。本法案の撤回を求め、質問を終わります。
2:04:27
岩口智仁議員にお答えいたします。原発事故の反省と政府の責任のあり方についてお尋ねがありました。原子力については、当年福島第一原発事故が起きた反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、世界で最も厳しい水準の新規制基準の策定などの措置を講じてきました。今後とも、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格に規制を行っていくという方針に変わりはありません。今般の法案では、事故の反省を踏まえ、原子力基本法に安全神話に陥り、事故を防止することができなかったことを真摯に反省という表現を盛り込み、政府として事故の防止に最善かつ最大の努力をしていく方針を明記しています。また、万が一の場合に備え、住民の方々の避難計画や損害賠償等についても、事故の反省と教訓も十分踏まえて、引き続き適切に対応してまいります。原発の運転機関についてお尋ねがありました。現行の原発の運転機関の定めについては、平成24年当時、安全性に関する科学的技術的見知や政策上の判断も含めた幅広い観点から原子炉等規制法に盛り込まれたものと承知をしています。その後、令和2年に原子力規制委員会において、運転機関については原子力利用政策の判断に他ならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとの見解が決定をされました。これを受け、今般の制度改正は、運転機関に係る定めを利用と規制の観点から瞬別し、電気事業法と原子炉等規制法の2つに再整理するものです。新たな公権年課規制の下では、利用政策の観点から運転機関の判断がどうであろうとも、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、より高い頻度で、より厳格な審査が法律に基づき行われることになると承知をしており、規制基準への適合性が確認できなければ、運転は一切認められないという前提、これに変わりはありません。原発事故に対する国の法的責任や原子力基本法の改正案と高市大臣の答弁との関係についてお尋ねがありました。原子力については、東京電力福島第一原子力発電所事故が起きた反省を踏まえ、政府においていかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、世界で最も厳しい水準の新規制基準の策定などの措置を講じています。その上で万が一事故が発生した場合には、原子力損害賠償法等のもと、事業者に無限責任を負わせつつ、事業者間の総合扶助システム等を整備しており、被害者に対する賠償が迅速かつ適切になされるよう、政府として引き続き責任をもって対応してまいります。また、今般の改正は、安全神話に陥り、事故を防止できなかったことを真摯に反省という表現を盛り込み、事故の防止に最善かつ最大の努力をしていく方針を規定する とともに、エネルギーとしての原子力利用を行っていくにあたっての基本的な施策等を規定したものであり、原子力を支援することそのものを国の責務と規定するものではなく、ご質問の高市大臣の答弁とは矛盾していないと承知をしております。本法案の検討過程についてお尋ねがありました。一般に関係行政機関が関係する政策について、必要に応じて情報交換を行うことは、業務の一環として自然なことと承知をしております。他方、原子力の規制と利用の分離を徹底する観点から、資源エネルギー庁と原子力規制庁の間におけるやりとりについては、国民に疑念を抱かせることがないよう厳格に対応することが必要であると考えております。その上で、原子力規制制度の変更を伴う判断は、公開の原子力規制委員会の場で議論の上決定されることとなっており、ご指摘のあったやりとりで、規制と利用の分離に問題が生じたとは考えておりません。事項の反省と教訓を踏まえて、原子力政策に取り組んでいくことは大前提です。今般の法案の目的や内容について、国会において御審議いただくとともに、今後とも国民の皆様の御理解が得られるよう、説明会や意見交換会など様々な手段を通じて、政府の方針をわかりやすく説明をしてまいります。再エネの出力制御及び系統利用ルールについてお尋ねがありました。再エネの出力制御は、電力需給バランスを維持するためのものであり、まずは、火力発電の最大限制御や、用水発電等による需要喪失、さらには、他地域への送電などを行ってもなお、供給が需要を上回ってしまう際に限定的に行うものです。出力制御の順番については、コストのみならず、安定供給の観点から各電源の特性を踏まえて決定をされています。今後、出力制御をさらに低減するために、蓄電池の導入や地域間連携線の整備などを加速してまいります。また、送電線の利用ルールについても、再エネの系統接続がより円滑にできるよう見直しを行いました。こうした取組を通じて、再エネのさらなる導入を積極的に進めてまいります。我が国の温室効果ガス削減目標と、その実現に向けた取組についてお尋ねがありました。我が国は、IPCC報告書が示す科学的知見も踏まえ、パリ協定の1.5度目標と整合的な形で、2050年カーボンニュートラル、2030年度46%削減と50%の高みに向けた挑戦、これを掲げております。我が国の目標の在り方については、目標年度や具体的な対策、施策の内容等も含め、普段に検討していきますが、目標を設定した以上は、あらゆる施策を総動員し、しっかりと実現していくことが重要であると認識をしております。政府としては、S+3Eの原則の下、あらゆる選択肢を追求することを前提に、GX基本方針等に基づき、徹底した省エネの推進や、再エネの最大限導入、原子力の活用など、脱炭素電源への転換を進め、気候変動への対応とエネルギー安定供給を両立してまいります。残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。
2:13:50
岩渕智議員からは、原子力基本法の改正に関して、4月14日の参議院本会議での答弁について、また、本改正によって、将来にわたって原子力発電を活用するための法的な枠組みをつくることになるのではないかという点についてお尋ねがございました。今回の原子力基本法の改正案では、国の責務に係る規定を創設しておりますが、4月14日の参議院本会議でも答弁させていただいたとおり、これは原子力のエネルギー利用の目的は、あくまでも安定供給の確保や脱炭素社会の実現、エネルギー供給の自立性向上という点にあることを十分に踏まえ、政府としてこの目的の範囲内で適切な措置を講じるべきという従来の政府方針を明確化するものでございます。また、今回の改正案では、原子力利用に関する基本的施策に係る規定を創設しておりますが、これは安全性向上に向けた技術・人材の確保や安全対策投資等がしっかりと行われるよう、国が必要な施策を講ずるべき旨を規定するものです。したがって、今回の原子力基本法の改正案は、原子力を支援することそのものを国の責務とするものではございません。よって原子力産業を政策的に保護し、将来にわたって原子力発電を活用するための法的な枠組みをつくることになるといった御指摘は当たらないと考えております。
2:15:42
これにて質疑は終了いたしました。日程第一、不当経費類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案。内閣提出、衆議院総補を議題といたします。まず、委員長の報告を求めます。
2:16:08
消費者問題に関する特別委員長、松沢重文君。
2:16:24
ただいま議題となりました法律案につきまして、消費者問題に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。本法律案は、課長金 の納付を命ずる場合において、対象となる違反行為から遡り、10年以内に課長金納付命令を受けたことがある事業者に対して、かつ課長金の額を加算するとともに、不当表示に係る規定等に違反する疑いのある事業者が、疑いの理由となった行為に係る是正措置計画の認定を受けたときは、当該行為について措置命令等の規定を適用しないこととする等の措置を講じようとするものであります。委員会におきましては、閣役手続の導入に伴う対応、課長金制度に係る実効性の確保、直罰規定の新設による抑止効果、景品表示法におけるステルスマーケティング規制のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は、会議録によって御承知願います。質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。なお、本法律案に対し、附帯決議を行いました。以上、御報告申し上げます。
2:18:15
これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。過半数と認めます。よって本案は可決されました。
2:18:42
日程第2、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、内閣提出、衆議院送付を議題といたします。まず、委員長の報告を求めます。
2:19:18
ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過等結果を御報告申し上げます。本法律案は刑事手続において犯罪被害者等の情報を保護するため、犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない基礎上証本等を被告人に送達する措置等を導入するとともに、被告人や刑が確定した者の逃亡を防止し、広範期日等への出逃及び裁判の執行の確保を図るため、位置測定端末により捕捉された者の位置情報を取得する制度を創設し、逃走の罪の公正要件及び法定刑を改めるなどの処罰規定の整備を行うほか、公勤刑以上の実刑の言い渡しを受けた者等が出国により刑の執行を免れることを防止するための制度の創設等を行おうとするものであります。委員会におきましては、個人特定事項の否得措 置による被告人の防御権侵害の恐れ、保釈の適切な判断基準の確保、位置測定端末装着命令制度の運用の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して、2位委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、本法律案に対し、不対決議が付されております。以上、御報告申し上げます。
2:21:24
これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。過半数と認めます。よって本案は可決されました。本日はこれにて散会いたします。