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ただいまから憲法審査会を開会いたします。幹事の補欠遷任についてお諮りいたします。委員の異動に伴い、現在、幹事が一名決院となっておりますので、その補欠遷任を行いたいと存じます。幹事の遷任につきましては、遷令により、会長の指名に御一人願いたいと存じますが、御異議ございませんか。御異議ないと認めます。それでは、幹事に磯崎哲次君を指名いたします。参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、憲法に対する考え方について、特に参議院議員の選挙区の合区問題を中心としてについて、本日の審査会に鳥取県知事平井真嗣君、島根県知事丸山達也君、徳島県副知事勝野美恵君及び高知県副知事井上博之君を参考 人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。御異議ないと認め、差を決定いたします。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。本日は憲法に対する考え方について、特に参議院議員の選挙区の合区問題を中心としてについて、参考人の皆様から御意見を伺います。この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。本日はご多忙のところ、本審査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。議事の進め方でございますが、平井参考人、丸山参考人、勝野参考人、井上参考人の順に、お一人10分程度で順次御意見をお述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。全体の所要時間は2時間を目処といたします。なお、御発言は質疑答弁とも着席のままで結構でございます。それではまず平井参考人にお願いいたします。
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皆様こんにちは。本日はこの伝統ある、そして非常に重要な審議をされておられます憲法審査会に、私ども知事、副知事のメンバーを呼んでいただきましたこと、心から全国知事会としても感謝を申し上げたいと思います。ぜひ皆様にもこうした選挙区の問題につきまして、ご関心を寄せていただき、この解決を図っていただきたいと念願をいたしております。それではすばってご説明を申し上げたいと思います。私自身この度、都内の丸山知事と一緒に全国の統一の地方選挙でこの度当選を果たさせていただきました。また引き続き皆様に4年間お世話になりますが、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。そして、今日お手元の方に概略の資料をお持ちをいたしております。問題意識を共通にしたいという思いでございます。いろいろとご意見はあろうかと思いますが、後ほどまた質疑でお話し合いをさせていただければと思います。今、ウクライナ情勢が心配です。これは民主主義の危機といってもいい状況だと思います。ペンは剣よりも強しと言いますが、この法理が妥当しなくなって きている。それが現在の世界の状況であります。しかし民主主義を守らなければなりませんし、民主主義の学校ともいわれる地方自治、この自治体の機能というものが今問われ直しているのだと思います。そういう意味で、政治に対する信頼性、投票率の低下ということが今回の統一地方選挙でも問題になりました。これは決して参議院も他人事ではないとご理解いただきたいと思います。投票率にも影響したり、それから代表の正当性も地元で問われかねない、そういう事態が今起こっている。これが私たちが民主主義を守らなければならないという使命の中で、私たちが共に考えるべき課題だと思います。そういう意味で、全国知事会でもたびたび問題意識を発信させていただいております。今日1枚目の方にお書きを申し上げましたのは、私の問題意識でございます。この区におきましては、明治23年の不憲政以来、都道府県というものはほぼ変わらずに来ています。これが民主主義のユニットだと私たちは考えています。都道府県の知事、あるいは議会という存在があり、これが民意を集約して、私たちの単位で代表が選ばれ、それが国政と地方をつなぐ、そういうパイプ役になっていただく。これがそもそも 想定をされていたわけであります。しかしそれが問われかねない事態が今豪雨ということで、都道府県の境目が取り払われようとしている。これは中長期的に見て民主主義を衰退させることになるのではないか、そういう深刻さを感じているところであります。参議院におかれましては、ぜひとも一人一人、それぞれ都道府県という政治的ユニット、これは経済、社会等のユニットでもあります。そこから選ばれるように、今一度制度設計を考えていただきたい。中んづく憲法の問題も絡むと思います。なぜなら最高裁の判決にもよりまして、違憲ということが言われるわけでありますので、憲法の方が変わってもらわなければならないのかもしれません。例えば都道府県単位での選出というようなことなど、規定している国は正直ザラにあります。そういう意味で、そうした違いが我が国の憲法の中にはあるということを、今一度強調をさせていただきたいと思います。釈迦西法のお話ばかりで恐縮でありますが、2ページ目を開けていただければと思います。青い折れ線グラフが、これが従来の選挙区制度によるもの。赤い折れ線グラフが、合区によってどう変わったかということを、鳥取県で示させていただきました。投票率は、鳥取県は実は全国順位、1位、2位、3位という、金銀銅のどれかに入るぐらい、投票率が高かったです。ところが、合区をした後は、一気に20位、そしてこの度は32位というふうに、ガクガクと落ちてしまいました。当然、全国の投票率を下回ることにもなっています。考えられないことです。それから、無公表の率でありますが、これも青いものが従来の鳥取県全国を下回る状況でありました。コミュニティが小さいですから、ある程度わかりやすいんですね。間違いにくい。しかし、隣の県から出てくる人も出てくるような選挙になりますと、エンドオークになります。それで、白票を投じるんですね。あるいは、この合区はやめろと書く。こういうのも無公表になります。つまり、民主主義の屋台骨である投票制度自体が、地元では問われているというのが、この無公表だとご理解いただきたいと思います。次のページを開けていただきますと、これが地方制度と参議院の選挙制度でございます。国会開設の直後が発生られて、伊藤博文先生が憲法調査をしろということになります。当時、モッセという政府の顧問がいました。このモッセは地方自治論者でありまして、地方自治の中で人が育つ。この人が有意の人材として国会議 員になるだろう。そして国会をも活性化することになる。地方と国と両方活性化して、日本という国を作っていこうという思想があったわけです。これに山形有朋内務卿が乗っかりまして、こうした論を立てました。ただ当時は時期焦燥という議論がかなりございました。そういう中、けんけんがくがくの議論をして、府県制が誕生し、山形有朋の想定していたとおり、衆議院の総選挙の前に何とか間に合わせることができました。注目すべきはここで議会が置かれたことです。これにより民主主義の単位というものが生まれました。日本全国つつぐらを通じまして、都道府県ごとに民意をまとめるという機能がこの時から始まるわけです。戦前戦後問わず、もう100年以上もこうした体制が築かれているわけであります。そしてそのうち戦後になりまして、知事の公選制が導入された後も、マッカーサによりまして、この民主政治を取り入れるべきだと。そういう中、貴族院を廃止するというのがマッカーサの議論でありました。しかし参議院というものを作る、それについては衆議院とは別の構成論理であろう。それが地域代表制としての都道府県単位の選挙区でございました。こ ういうのが、権威の中で生まれたのが旧来の参議院法制でございます。今現在も都道府県単位でJAだとか、あるいはPTAだとか、また労働組合もそうです。あるいは環境団体にしても、みんな都道府県単位でいろいろと考え、そして陳情請願を都道府県議会に出し、そこで守られた結果が、意見書としてこの国会の方に届けられる。意見の集約をする母体というのが、実はユニットでありまして、これが認められてきたものであります。次のページは諸外国でありますが、アメリカもドイツもフランスも、こうした公益団体の制度に依拠しているわけであります。おそらく日本の戦後の参議院制度は、アメリカに準拠してやったわけでありまして、半数改選制というのが取り入れられたわけであります。6年に2年ずつ、それで1/2をそれぞれ班ごとに分けて3班で構成していく、そういうアメリカの上院の選挙制度を下敷きにして、半数改選ということをやりました。この半数改選が入ったからこそ、選挙区間の格差が拡大する効果がどうしても生まれるわけであります。2、4、6という、2、4、6、8という定数になりますので、生まれがちなわけであります。ですから、ここが注目をされたということもあったのではないかと思いますが、アメリカではそういう人口によって一定程度配慮することもせずに、カリフォルニア州でもワイオワミング州でも、1人ずつ上院の定数というのは各選挙で与えられ、それぞれ2人ずつであります。ですから、決して難しいことを言っているわけではなくて、それぞれ実は欧米でも上院と下院とは違った構成を求めているところがあるということをご理解いただきたいと思います。そして最後の5ページ目でありますが、その判例の1つの屋台骨になるのが、昭和58年4月27日の判決であります。この大法廷判決の中で、立法裁量が広く認められました。この立法裁量を国会が持って選挙制度を制定できる、これは憲法に基づく権能であります。その中で人口比例という憲法14条に基づくもの以外にも、そうした社会的、経済的、あるいは政治的ユニット、これ2つ目のポツのところにありますが、歴史的にもそういう独自の意義と実態を有する、この政治的まとまりごとに選出することについては合理性があるというふうに言っているわけです。これとの関係で人口比例主義は一定程度情報交代を免れないというのがそもそもの判決の骨子であります。これが平成24年以降ですね、若干揺らぎますけれども、基本は変わっていないわけであります。ぜひ皆様の方でもそうしたことを考えていただきたいというふうに思います。私の方からは以上でご ざいます。ありがとうございました。次に丸山参考人にお願いいたします。本日は合区対象県であります島根県の実情について、この意見陳述にお聞きを頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。私からは島根県の状況を中心に、大きく3点の弊害について、そして私の考えについて申し上げさせていただきます。1点目として、各都道府県から議員が選ばれないことの弊害について申し上げます。合区された2つの県の間で利害が対立する問題が生じた場合に、地方選挙や県議会の議決、また知事の方針といった各県の県民の意思を確認する方法、これが合区の場合はございません。従って、こういったものを確認しながら、この議員の皆さんが国政でどういう立ち位置に立つかということを判断していくことができないという問題がございます。2つの県で利害が対立するような課題なんてあるのかという話があるかもしれませんが、鳥取県と島根県においては、過去、農林水産省の国営中海管宅事業の実施について、意見が分かれたことがございます。こういう名刺は避けますけれども、九州地方では整備進化支援について、意見の一致を見ない状況があるというふうに認識をいたしております。このように、隣り合う両県の意見が、国の事業や国家的プロジェクトについて異なることは十分にあり得るわけ であります。そういった場合に、豪空から選出された議員がどのような姿勢で臨むかということについて、既存の都道府県制度の中で確認する術がないということ、これは大きな問題であると考えております。2点目として、選挙区のエリアが広がったことによる弊害であります。昨年7月の参議院議員選挙では、鳥取市までの豪空の候補者は5名おられましたけれども、本県の離島であります沖諸島を選挙期間中に訪れた方は1名でございました。選挙区をくまなく回ることができない、また顔も見れない、声も聞けない、といったことが実際に発生をいたしております。候補者の体は1つしかございませんので、豪空だから選挙区を2台にすればいいのではないかという問題では、それでは片付かない問題であります。島田県と鳥取県を合わせると、東西の距離が300キロ以上あります。離島もございます。有権者が候補者に接することで、考え方、行動力などを肌で感じて選んでいくという素材を得られる機会が著しく減退しているということでございます。この弊害が、先ほど平井参考人からもお話がございました、投票率の低下に顕著にあられております。島田県の投票率は、5億枚は60%を超えまして、6年連続全国1位でありましたけれども、令和4年の選挙では約56%となりまして、投票率は4.5ポイント低下いたしてお ります。この間の全国平均の低下は0.6ポイントでございますので、著しく低下しているという状況で、全国トップでありました投票率は、令和4年では全国4位となっております。参議院選挙における島根県民の直接的な政治参加が低下しているという状況でございます。このような投票率を招くような5億という制度が、国民主権、民主主義に資するものなのかどうかということについて、大いに疑問を感じるところであります。第3に、さらに5億体種が広がった際に生じる弊害、これは想定でございますけれども、今の状況では人口が比較的少ない2つの県がたまたま隣接しておりますので、今後は人口規模を合わせようとすると飛び散り、また人口規模が相当程度異なる都道府県同士が合区になるといったケースが生じ、人口の少ない方の県の声がますます届きにくくなるという可能性が高くなると考えております。私の考えでございますが、そもそも日本国憲法が任意性を採用しているという理由の1つは、民意の忠実な反映でありまして、人口の少ない地域も含めた多様な民意を忠実に反映していくということが求められていると考えております。参議院、衆議院ともに1人1票の投票価値の平等に重きを置くのであれば、極論かもしれませんけれども、一人制で足りるのではないかというふうに国民に理解されるのではないかという懸念を持っております。そうしたことから、地方創生や人口減少対策など国政の重要課題の解決に当たりまして、地方の実情を多くもなく届けることができる都道府県単位による代表の選出、これが不可欠であると考えております。その解消の手段としては、論理的には憲法改正、法改正いずれもあると思いますので、早急に解消してもらいたいという立場からいたしますと、法改正を望むところでありますけれども、平井参考人のお話にもございましたとおり、最高裁判所が投票価値の平等に重点を置き、意見状態といった判決を出すという側面がある以上、法改正で合区を解消した場合に、憲法違反という判決で手戻りになるというリスクを考えますと、最終的には憲法改正により合区を解消していただくということが必要ではないかと考えております。考え方を明確にお伝えするために行き過ぎた表現があったかもしれませんけれども、その旨はご了解いただきたいと思います。私の意見一週は以上でございます。ありがとうございました。次に勝野参考人をお願いいたします。徳島県副知事をしております勝野と申します。本日は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。私の方からも、まず徳島県における合区の弊害5点、論点を整理させていただきましたので述べさせていただきます。