19:35
これより会議を開きます。内閣提出「孤独・孤立対策推進法案」を議題といたします。本日は、本案審査のため、参考人とし て、早稲田大学文学学術院教授石田光之君、認定特定非営利活動法人
20:01
福島子どもワクワクネットワーク理事長栗林智恵子君、NPO法人あなたの居場所理事長大空光輝君、平方市副市長長沢秀光君、以上4名の方々から、ご意見を受けたまることにいたしております。
20:28
この際、参考人各位にご挨拶を申し上げます。本日は、ご対応のところ、本委員会にご出席いただきましてありがとうございます。法案について、それぞれのお立場から、忌憚のないご意見をお述べいただきたく、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に、議事の順序について申し上げます。まず、石田参考人、栗林参考人、大空参考人、長沢参考人の順に、お一人10分程度ご意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。なお、参考人各位に申し上げますが、ご発言の際には、その都度、委員長の許可を得てご発言くださるようお願い申し上げます。
21:23
また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめご承知おき願いたいと存じます。それでは、石田参考人にお願いいたします。おはようございます。早稲田大学の石田と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。私は孤独孤立に関して2005年ぐらいからずっと研究をしておりまして、きょうはこのA4一枚の資料の紙にそって、孤独孤立に関して、何で今注目していく必要があるのかというふうな社会的な背景と、あともう一つは法案を立ち上げる意義について簡単にお話をさせていただきます。まず最初に一つ目の丸の孤独孤立に、じゃあなぜ注目する必要があるのかというふうなところでございます。
22:16
基本的に私たちの社会というのは1990年代の終わりぐらいから、かなり一人になりやすい、いわゆる集団が優先の家族であればこういうことをしなければいけないですとか、会社に入ったらこういうことをするのが当たり前だというよりも、どちらかというと個人を優先するような、そんな社会になっていった、そんなところがございます。
22:37
個人を優先する社会になりますと、基本的にはそれは人間関係、人付き合いにもそういったことが及んでまいりまして、その会に入るかどうか、あるいは懇親会に参加するかどうかはその人の自由だというふうな感じになっていく。そうしますとこちらの資料にも書いてありますように、基本的には一人になりやすい。
22:57
今までだったらやはり集団の力学があってなかなか一人になれなかったんだけれども、でも簡単に一人になれるようになった。ただそうなってしまうと、ある程度自分から積極的に動いていかないと、つながりの中に入れない、人間関係をつけれないというふうな事態が生じてくる。ですから2005年ぐらいから徐々に徐々に孤立志のお話とかというのも出始めていたわけです。というようなそのような感じになりますと、つながりに関しての二つの不安というものが生じてまいります。
23:25
まず一つ目は私自身にはもうつながりができないのではないか。私ってずっと一人ぼっちではないのかというふうな形で、関係ができないかもしれないという不安が一つ目に生じる。もう一つは、じゃ仮につながりができたとして、そうしたらどうなるのかというと、できたとしてもやはりそのつながりを維持していかないといけないというふうになりますので、今あるつながりも壊れてしまうんじゃないか。
23:49
若い人には結構典型的に見られておりまして、友達がいるように見えるんだけども、でもその友達というのは一生懸命維持しているようなつながりなので、少し油断すると私はつながりから弾かれてしまうというふうな、そんな二つの不安というものを抱えている。
24:04
次になってきますと、基本的にはこれまで孤独孤立というのは、それこそ1970年代ぐらいは高齢者の方々の問題であったですとか、1995年の震災が起きたときには被災者の問題であるというふうな認識があったわけなんですが、2000年代ぐらいからもう誰もが孤立に陥ってしまうかもしれない。
24:26
というか誰もが孤独感を抱えて精神的に厳しい状態になってしまうということでありまして、基本的には社会全体の問題として孤独孤立というものが立ち上がれてきたというふうなところがございま す。
24:39
さらにコロナ禍がありまして、コロナ禍というのは誰とつき合えばいいのかということを基本的には日本国民が一斉に考えてしまったというところがございますので、そうなってしまうと、その相手に選ばなかった人はどうなるのかというと、つき合いからあるいはつながりからあぶれてしまうというふうなことが出てまいりまして、だからこそ2021年に孤独孤立対策担当室が立ち上げられたといった背景がございます。
25:04
2番目の大きいものの、じゃあ孤独孤立について問題であるというふうな形で議論を立てますと、1人でいることの何が悪いんだ、孤独孤立というのも基本的には人間の成長のためには大事なことなんだですとか、あるいはもっと踏み込んでいえば人権の侵害なんだというふうな言葉もございます。
25:23
こちらももちろんそのとおりでございまして、いくら孤独孤立に関して悪い影響があるといっても、やはり無理やりじゃあ誰かを引っ張り出してきてつながりの中に入れるということがよいのかどうかというと、やはりそういうことではない。
25:37
ただその一方で、やはり孤独孤立の研究、私自身研究をしておりますと、研究の結果を見ると、孤独感を抱いている人ですとか、あるいは社会的なつながりの中にいない人というのは、基本的には非常に厳しい状況に置かれている。心身の状況が非常に悪いですとか、健康が悪化してしまうですとか、精神的にも病んでしまうですとかというふうなことがよく言われている。
26:02
ただ個人の心身の健康のみならず、社会に関しても結構いろいろなことが言われておりまして、例えばみんなが個人になってしまって孤立してしまうと、なかなかほかの人と連絡が取れなくなってしまうというふうになると、社会として何かを動かすですとか、社会として何かをやっていくというふうなときには、やはりなかなか混乱に立ち会ってしまうというようなところがございます。
26:25
そういったようなところから、確かに個人の権利というのを守ることは大事だというふうな考えつつ、やはり研究の結果を見ていくと、基本的な孤独孤立というのは非常に大きな社会問題でありますし、それこそイギリスで孤独孤立対策担当というものが つくられましたのは、それによって社会保障費というものがものすごい上がってしまうからこそ、今まさに対策をしていく必要があるというふうな形で言われていたわけです。
26:50
今後おそらく日本社会というのは単身化が進んでまいりますので、そうなってくると孤独孤立というのはまさに大きな問題関心として、これからもそれこそ10年20年30年代に日本社会に大きな問題として立ちはだかる可能性があるということでありまして、だからこそ今法案を立ち上げて、そういったものに対してしっかり対策をするというふうな必要がございます。
27:13
では3つ目の丸の、この法律が今できることの意義というのはどういうことなのかと申しますと、まず1つ目として持続的な対応あるいは包括的な対応ができるということがございます。やはり孤独孤立というのは社会構造までも含んだ非常に大きな問題ではございますので、単年度で何かをしました、それが解消しました、じゃあそれをやめましょうというふうなところにはなかなかならないわけです。そうなってきますと法案として立ち上げて、しっかり継続的な対応をするというふうなことが求められる。あともう1つは包括的な 対応と申しますのは、やはり孤独孤立というのは非常に多様な問題が絡んでまいります。例えば個別の事例を挙げてみても、ケアがあって貧困があってというふうな形でいろいろな複合的な問題が絡んでまいりますので、そうなってくると既存の個別のメニューでは個別の問題には対応できるんですけれども、当事者全体の問題に対応できるかどうかというとなかなかそれが難しい。そういったような事情もありますので、法案をつくって連携体制を強化していくというふうなことが重要になっているというふうなわけでございます。2番目の社会に対する意識の寛容というふうなところなんですが、基本的には誰と付き合う付き合わない個人の自由というふうになってしまいますと、別に1人でいるのはその人がそれでいたいんだからいいじゃないか。その人1人でやりたいんだから何が悪いのなんていうふうな話になってしまうわけです。ただ先ほどもお話ししましたように、孤独孤立というのは実は個人の心理、心身に対してかなりの悪い影響を及ぼすということが明らかではありますし、それこそ脳の中の痛みを感じるような部分というものが孤独感の高い人というのは同じように作用しているというふうな研究もございます。そのような形で孤独孤立というものがやはり社会の1つの問題なんだというふうなことを認識していただくことも必要だと思いますし、もう1つは困っている当事者がどうなっているのかというと、現状やはり我慢をしてしまうという人が非常に多いわけなんですね。そうなってくるとやはり我慢をするのではなくて、もう少し声を上げやすい、そういった状況を作っていくということも、なかなかこれも個人だけで頑張るというふうになると難しいので、そういった側面的な支援をする、あるいは社会の意識としてそれこそ法律ができるということは非常に大きいことでございますので、社会の意識としてそういうものを高めていくというふうな、そういった意義がございます。最後に各組織への円滑な支援というところなんですが、現在もNPOですとかたくさんの組織があるんですが、やはりなかなか運営が厳しいですとか、持続するのが厳しいというふうなことがございますので、各組織を連携しつつ、そういった組織を支援するシステムというのをより強化することができるというふうなところで、意義があるというふうに考えております。ちょっと短い時間ではございますが、私の報告は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
30:03
ありがとうございました。次に栗林参考人にお願いいたします。はい。よろしくお願いします。
30:15
私は東京の豊島区で子どもの居場所づくりをやっております。そこからさまざまなお節介な活動に展開していきました。その活動例を通じて、孤独、孤立についての思いをお話しさせていただきます。豊島区は人口が29万人の都市です。コンパクトな街で人口密度がとても高い。独居の高齢者がとても多い。さらに2014年には唯一東京で消滅可能性都市に選定されてしまったという、そんな街です。その時すぐにやったのがF1会議という会議です。消滅してはならないということで、行政が私たち女性の声を聞いて、それをすぐに施策に反映するということがありました。その後、民としても官民連携で一緒に街が豊かになることを考えていきましょうということで、今も円卓会議というものを実施しております。この人と人との関係づくりがその後、さまざまな豊島区の施策の展開に広がっていったという背景があります。さらに2020年、SDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業に選定されました。今やさまざまな高齢者から子どもまで、みんなSDGsのために何ができるかという、そういう価値観の共有ができたことも、豊島区の土壌としてとても大きいなと思います。さらに2021年、コロナでさまざまな方が孤立していく中、行政の部下庁の女性たちが連携して、庁内でスズランスマイルプロジェクトというのを立ち上げました。庁内の中でも、そういう孤立を何とかしたいという思いのある人たちがいる、その職員さんたちが孤立しています。その方たちがつながることで、自分たちがプロジェクトを立ち上げ、そして10代、20代の女性の孤立を予防する、そんなことが生まれております。さらに昨年までは、豊島区90周年ということで、あらゆる人たちがSDGsの活動をとにかくコロナ禍でもやっていこう、そういう地域の対話の場、さまざまな場ができております。こういう土壌ができることによって、孤独、孤立というのは多くの人たちが自分ごとにできるんじゃないかなと思っています。私たちの団体は、おせっかいの輪を広げるということをビジョンに掲げ、活動しております。しかし、子どもの貧困というのは、実は貧困は孤立、そして孤立と虐待というのはとても近いし、関係だと思っております。そういう中で、一番社会の中で弱い子どもたち、この子どもたちにおせっかいすることによって、親ではない大人がかかわることによって、社会を良くしていこうという活動をしております。私が孤独、孤立に関して、自分の実体験があります。私自身は豊かな環境で、人も自然も豊かなところで成長して、上京して一人暮らし8年しました。そのときに本当に、ひとりぼっちでつらい、もう帰りたいと思うことがあったんですね。そんなとき、なぜかいつも小さいときに楽しかった、遊んだ経験、お正月みんなで集まってご飯を食べた経験、こういう実体験を思い出すと、もう少し頑張ろう、そんな体験がありました。そういうつらいときに乗り越える、そういう力が実は小さいときの実体験、現体験なんではないかなと思います。ですから、すべての子どもたちが豊かな人の環境の中で育つ、この体験がとても必要なんではないかなと思っております。そして、豊島区で子どもを産み、自分の子どもが豊かな環境で成長してほしいという思いから、プレーパークや子ども食堂、無料学習支援、地域の子どもの居場所をつくってきました。そうすると、そこにやはり同じような思いの人たちが、地域では孤立している、孤立、何かしたいんだけどもできない人たちが居場所に集まってきます。そうやって、社会の課題を自分たちの力で何とか変えていこうという人たちがつながる、これがある意味居場所の役割ではないかなと思っています。さらに、このコロナ禍、子どもたちの不登校、大変増えております。この不登校の子どもたちは、まさに孤独、孤立の体験を小さいうちからしたり、そのまま社会とつながりがないまま、もしかしたら成長してしまうかもしれない子です。今、今年から行政、教育委員会、地域が連携して、今、高校のカフェというのは施策の中にあるんですけども、中学校の中で居場所をつくり 、そこから地域の居場所に不登校気味の子どもたちをつなぐ、不登校気味の子どもたちの声を地域で受けとめる、こんな活動が始まっております。これも全国に中学校はあるわけです。小学校あるわけです。そこで、やはり早期の予防対策というのが必要なのではないかと思っております。私たちは今言ったように、子どもたちの豊かな環境、暮らし環境、学び環境、遊び環境、これをきっかけに地域の方たちのボランティアが募るという活動になって、そしてそういう場が、豊島区には、今3ページごらんください。無料学習支援も4ページ、子ども食堂もとても多くございます。それを行政が事務局を担い、官民連携で、常に対等な関係の中で、この活動を進めております。こうやって居場所ができても、居場所につながらない、特に孤独、孤立の状況にある子どもたちはつながりません。その子どもたちをどうつなげていくかということで、これまで最初に話しました、さまざまなSDGsの活動、官民連携の土壌の中で、今地域の人たちがこういうことをやりたいというと、庁内の中でまずは、関係調整をしてくださいます。そういう調整をする方がいる中で、私たちのこういう活動を行政みんなが応援してくれるというような関係ができています。これこそが、官民連携だと思っています。官ができることというのは限られているんですね。しかし公平に情報を届けることは、官でできることではないでしょうか。例えば4ページ。入学準備にはとてもお金がかかるんですね。そのお金を地域の子どもたちに手渡ししたい。こういうことを行政に相談しますと、じゃあ中学校全員に学校でチラシを配りましょう。ということで、そこからつながりをつくることができました。さらにフードサポート、食料支援です。これコロナの前は、多分ホームレス支援でしか食料支援ってなかったんじゃないかと思います。今や行政と連携して広く、豊島区行政が一人親家庭、困窮児童扶養宅で受給している家庭にチラシを郵送して、そして地域とつながる。そういう伴奏をしてくださっております。さらにですね、豊島区小学校が22校ございます。そこに公民館のような場所があるんですけども、そういう開かれた場所に食材を取りに来てもらって、そこで地域の方たちが食材を手渡す。そうやって有機的なつながりをつくるという取り組みを毎月実施しております。この中はですね、6ページご覧ください。官民連携での地域がつながるプロジェクト。孤立しがちな家庭の子どもに私たち個人情報を得て、地域のお節介さんと呼ばれる方たちが、食料支援やいろんな取り組みに協力してくださっている方が、家庭訪問して、そして幼少期のうちからつながり、子どもと親のサポートをするという、これはかなり有効な取り組みでした。こういうことがコロナがきっかけにできました。さらにで すね、そうやって直接つながって、私たちを頼っていいんだよという関係ができるとですね、仕事のサポート、住まいのサポート、そこに困っていることがわかり、さらにですね、私たちは住まいのサポート、就労サポートも今展開しています。地域の方たち、こうやって子どもに関わっている方たちは、決して子どもだけではありません。高齢者も含めて若者も含めて困っていたんだったら、ぜひできることを何かしたい。こんなふうにですね、思いがつながっていけるのが地域です。どんなに孤立している方たちも、住まいがある限り地域を持っています。この地域の力を有効に使って、うまく連携して官民連携での孤独孤立対策、これがですね、行き届くと、大きなこの法案の成果を生むのではないかなと思っております。私たち、お節介されて、今お節介をしている、この世代はもうほんと少ないです。40代、50代ぐらいじゃないでしょうか。この方たちがしっかりお節介できるような環境を、官民連携で作りたいと思っています。最後に、9ページご覧ください。これがですね、私たち、私が思う、官民連携の孤独孤立予防の図なんですけども、孤独、孤立を抱えている親御さん、子どもたち、これまでは子育ては親の責任だ、ということで、なかなか地域にSOSを親が出せない。だから、いろんな虐待、さまざまな問題が起こるわけです。その親子に地域が、例えば食料を届けたり、時にはお金を持っていったり、時には住まいを探し たり、そうやってですね、直接信頼関係を作る。これをすることによって、受援力、救援力というものが地域で育ちます。その方たちがいる限りですね、行政は担当がですね、毎年変わってしまいますが、地域の誰かが見守りをする過程ができるとですね、ずっと継続的にサポートができるんです。何か異変に気づいたらすぐに行政に一緒に窓口に行く。子どもたちを子ども食堂に連れて行く。私たち地域で子ども食堂を最初に始めたのは、一人ぼっちで、いつも親がダブルワークで、毎日コンビニのご飯を一人で食べている、こんな子どもに出会ったからです。子どもたちの一人ぼっちを決してそのままにしてはいけません。ぜひこの法案でですね、官民連携で、まずは子どもから、そしてその親、家族が孤立しているときに、すぐにサポートができる、そんな体制をつくっていただけたらと思います。ありがとうございました。
42:18
ありがとうございました。次に大空参考人にお願いいたします。
42:29
よろしくお願いいたします。NPO法人あなたの居場所理事長の大空です。本日はこのように意見を述べさせていただく機会を賜りました。後藤委員長をはじめ、皆様に心から感謝 申し上げます。早速、まず私たちが何をやっているかということですけれども、この青いスライド、ここの内容に沿って簡単にお話をさせていただきたいと思います。順番は若干前後するかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。まず私たちは24時間、いつでも誰でも無料で、そして匿名で利用できるチャット相談の窓口を運営しています。いわゆる命の電話のようなものの、チャットSNS版というふうに思っていただけると、分かりやすいかなと思います。さまざまなですね、悩みを抱えている、特に若年層からの相談が寄せられています。相談窓口を開設をしたのは2020年の3月、まさにコロナの一番最小の時期でした。自殺、いじめ、虐待、貧困、本当にありとあらゆる問題を抱えている人が、声も出さなくていい、顔も明かさなくていい、名前も出さなくていい、完全に匿名の形で運営をしています。今、全国規模で相談に応じている窓口の中で、24時間やっているというところは、大変少ないんですね。それは人材が不足しているとか、さまざまな理由があるんですが、私たち世界約30カ国に700名のボランティアの相談を抱えています。一番相談が増えるのは、日本時間の夜の10時から朝方にかけて、この時間帯、まさに時差を使って海外に住んでいる日本人の方、もしくは日本語話者の方、そうした方々が相談員として活動をしてくださっている。これによって私たちは24時間の対応ができている、そういう窓口になります。私たちは、ある程度自動化していく、すなわちAIを使っていくということについて積極的に取り組んでいます。電話相談であれば、応答までの待ち時間、これはプルルルっとずっと待っているのを、だけしかその時間がないわけですけれども、チャットはまさに書き込んでもらうんですね。その方が何を悩んでいるかというのを、AIのチャットボットと会話をしてもらうことによって書き込んでもらう。そしてその書き込んだ内容を、自然言語処理なんかをやっていますので、自動的にどんどん読み込ませて、リスクの判定というのをやっているわけです。すなわちリスクの高い人から優先的に対応していく。このリスクの高いというのは、例えば橋の上に立っているとか、もしくはいじめ、虐待やDV受けていて、命の危険があるような相談、こうしたものを優先的に対応していくという仕組みを取っています。東京と大阪に2つの拠点がありまして、有給の職員がこれらのリスクの高い相談に対応している。また、支援者支援ということが極めて重要になるわけですけれども、先ほど申し上げたような約700名の相談員に対しての支援というのも、オンラインでこの有給の職員が対応しているという構造になっています。私たちが何をやっているかというと、これ一言で申し上げると、マイナスからゼロへということなんですね。孤独や孤立といったときに、それを広く捉えるのではなくて、まずは重症化をしている人、そうしたところから手を差し伸べていくというような考え方です。死にたい、つらい、しんどい、苦しい、さまざまな悩みがあるわけですけれども、まずそうしたいわゆるマイナスの状態にある方を、ゼロの状態まで持っていくのが私たちの役割です。孤独というと、非常に多目広い概念があるわけですけれども、これは極めて主観的なものだというふうに言われています。我々は望まない孤独という言葉を使ってきましたけれども、まさに望まない孤独の重症化が何で図るかというと、持続期間で図っているわけです。ずっと孤独を感じて苦しい方、こうした方にまず手を差し伸べて、完全に孤独が消え去って、もう人生ハッピーな状態まで持っていくということではなくて、その前の段階のゼロ、すなわちちょっと今日は死ぬのはやめときますとか、あなたが話を聞いてくれたから、明日もまた生きてみますよと、このゼロの状態まで持っていくというのが私たちのような広域的なセーフティーネットの役割です。いきなり問題を抱えているマイナスの状態の方に、市役所に行ってください、こういう制度がありますと言っても、それを使う気力がない わけですね。まずはゼロ、スタートラインに立っていただく。そこから先は、これは地域での支援というふうに、グラデーションで分けて孤独効率は見ていかなくてはいけないということになります。さらに申し上げたいのは、スティグマの問題なんですね。これまでこの国は非常に莫大な予算をかけて、自殺対策みたいなことに取り組んできたわけです。年間3万人を超えていた自殺者数が、今2万人台、若干コロナ禍で増えましたけれども、2万人台まで減少した。これは極めて大きな成果だったと思いますけれども、この全ての年代で自殺者数が減少している中にあって、若年数の自殺だけは減らなかった。増えてしまったわけですね。昨年は過去最多を記録したんです。これは出生数が大幅に減少している中での総数が過去最多ということですから、極めて異常事態なわけですけれども、なぜこれが起きるのか。例えばですね、国も当然何もやってないわけではないと思うんですね。スクールカウンセラー、この20数年で200倍に数が増えました。平成7年は154箇所しかなかったわけです。今3万箇所以上に廃墜されているんです。ただ全国で154箇所しかスクールカウンセラーが設置されていなかった時の子どもの自殺は139人です。去年は500人を超えました。スクールカウンセラーの数を200倍に増やしたのに、自殺というのは約4倍に増えている。子どもの自殺が増えている。