19:35
これより会議を開きます。内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき、日本の国籍を離脱した者等、出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。この際、お諮りをいたします。本案審査のため、本日、政府参考人として、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、出入国在留管理庁次長西山拓司君、外務省大臣官房参事官今福貴雄君、外務省大臣官房参事官松尾裕貴君、外務省大臣官房参事官高生労働省大臣官房審議官檜原智美君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。御異議なしと認めます。よってそのように決しました。質疑の申出があります。順次、これを許します。
20:51
おはようございます。自由民主党の宮崎正久です。今日は質問の機会をいただきました。感謝を申し上げて質疑に入らせていただきます。私、今期は自由民主党で法務部会長を務めさせていただいております。法務省提出のこの入管法改正法案を国会に送り出す際には、もう多くの同僚議員の皆様とともに、与党での責任者と一人として仕事をさせていただきました。この法案は我が国にとって非常に重要なものであると考えております。それへ、自民党の法務部会においても、異例の間4回にわたる法案審査を行いました。国内外からの指摘も、政府の方から同意指摘があるのかという説明をしてもらい、それに対する答えも出し、丁寧な審査をさせていただきました。その後の党内手続とともに、多くの議員と審査に意見交換をして、党としてこの法案を了承させていただいたものであります。一方、この法案には様々なご意見、ご批判があるということも従事を承知をしております。そうであるが故に、私は正しい事実認識に基づいて法案審査をして、この委員会でも議論を重ねるべきと考えています。そこで本日の質疑では、まず、「大共強制手続における全権収容主義の意味」と、「大共強制自由に該当する対象の外国人が全員、全権収容されているのではない」という現実の実態についてご説明いたします。ちなみに、 全権収容主義というのは、「大共強制手続は外国人の身柄を収容して行うことを原則とする」ということの意味で、収容全治主義とか原則収容主義などとも言われておりますが、「大共強制自由に該当する外国人が全員収容されているわけではありません」。その上で、今回の改正で、新たに管理措置制度を設けることになりますが、その対象者の規模感などが、現行法の仮方面制度とは異なるということになりますので、その現行法の仮方面制度の運用のイメージを前提として、管理措置制度を議論するのは正しくないということをお伝えしたいと思っています。つまり、現在の仮方面制度が、そのまま単純にスライドをして、管理措置の制度になっていくという構築関係にはないということを順次ご説明したいと思います。それでは、質疑に入ります。まず、現行の入管制度について確認をしたいと思います。現行法下では、大共強制自由に該当した者はどうなりますでしょうか。全員が大共強制への手続きの対象となりますか。
23:35
現行法下におきましても、大共強制手続の対象となる者のほか、出国命令制度の対象となる者がおります。
23:49
それでは、我が国の大共強制手続の出国命令制度では、これ、収容はされますでしょうか。
23:59
失礼しました。現行法上の出国命令は、出国する意思をもって自ら出逃することのほか、一定の要件を満たすものについて、簡易な手続きで出国することを可能とする制度であり、収容せずに手続きを進めるものでございます。
24:17
出国命令制度の対象者はどのようになりますでしょうか。
24:25
速やかに本法から出国する意思をもって、自ら入管当局に出逃した不法残留者が対象となります。ただし、不法残留以外の一定の大共強制自由がある者や刑罰法令違反者などは除外されます。
24:43
現状、大共強制自由該当者のうちどれくらいの割合の人が出国命令の対象となっていますか。
24:53
平成29年から令和3年までの5年間の実績では、大共強制自由に該当する者の約4割が出国命令の対象となっております。
25:05
資料1をご覧ください。左側の現行法の下と書いてあるところでございます。全刑収容主義などと言われておりますが、赤い部分で示されている36.8%、約4割は出国命令の対象となり、そもそも収容されていないというのが実態でございます。そうすると、この出国命令の対象者を増やせば、収容されない方が増えるということになるわけであります。今回の改正法案では出国命令制度をどのように改めるつもりでしょうか。
25:41
今回の入管法改正では、出国意思をもって自ら出党した場合に加え、入国審査官から大共強制対象者に該当すると認定される前に、自ら出国意思を表明した場合にも出国命令を発出できるよう、出国命令対象者の要件を拡大いたします。
26:03
今ご説明があったような出国命令の対象者を拡大することによって、大共強制自由に該当する者のうち、どれくらいの割合の方が出国命令の対象になると見込んでおりますか。
26:19
大共強制手続の対象となった者の約6割が、いわゆる三審制の第一段階において違反を争うことなく直ちに出国意思を表明していることを踏まえますと、改正法下においては、大共強制自由該当者の約7割が出国命令の対象となり得るものと考えております。
26:42
事情ありがとうございました。改めて資料1をご覧いただきたいと思います。この資料は、入管庁の統計数値を出してもらいまして、私の事務所でグラフに作成をしたものであります。左側が現行法の下、右側が改正法下での見込みをお示したものでございます。左側の図の赤色の部分が、現行法の下の出国命令の対象者でありまして、大共強制自由該当者のうち36.8%、約4割の方が出国命令を受けていることになりまして、この方々はそもそも収容されておりません。次に、右側の図の赤は同じなんですが、②の黄色の部分は、法改正により新たに出国命令の対象者に加わると想定されるもの、すなわち今ご答弁がありましたように、自ら出頭してきたものではないが、摘発後に早期に出国希望を表明したものであります。赤色と黄色の部分を足すと、改正法の下では72.8%、約7割の方が出国命令の対象になると見込まれていることがわかります。なお、右側の図に緑の部分がございます。これは早期に出国希望を表明したのでありますが、刑罰法令違反など、不法残留以外の大共強制自由があることによって、出国命令の要件を満たさない方を統計上の数値で拾い上げたものであります。この数字をお出ししたいと思ったのは、実は現行法の下では、大共強制手続の対象となったもののうち、いわゆる三審制の第一段階で違反を争うことなく直ちに出国の意思を表明している方が大変に多くて、過去5年間の平均では先ほど答弁にありましたとおり63%に上っています。そのうち要件を満たさない方を除いた方は、新しい制度の下でも、この出国命令制度の対象と見込まれるのでありまして、それを計算すると、今の右側にある黄色部分の36%に相当いたします。このように改正法の下では、出国命令制度の対象が拡大されることにより逆に、大共強制自由該当者のうち、収容するか否かの検討の対象となるものが大きく減ることになります。現行法の下で青色の部分の63.2%から、改正法の下では青色と緑色を足した31.2%の部分だけがこの検討の対象になるということをまず規模感として御理解いただきたいと思っています。また今回の改正法案では、出国命令の対象とはならず、大共強制手続の対象となったものについても、収容するか否かが問題となる期間を短くするための工夫をしています。その一つは、保護すべきものは保護するということでありまして、改正法の下では在留特別許可の申請手続を創設することといたします。資料2をご覧ください。黒い線で示されている現行法では、在留特別許可について、三審制の違反審判手続の最終段階、法務大臣の採決のところでこの判断がされますので、事実に争いがない場合でも、 不服申した手を重ねないと在留特別許可が得られないという構図になっています。これに対して改正法では、赤い線で示しているように手続中随時在留特別許可の申請が可能となります。三審制の満了を待たずに在留特別許可を得られることになりますので、在留を認めるべきものは迅速に在留が認められるということになります。そのほか、改正法案では、送還停止法の例外規定によって難民認定申請を御用乱用する者を速やかに送還することが可能となり、退去命令制度によりイラン人など送還禁止者を迅速に退去させることが可能となる。こういう一体的な制度改革をしたいというわけであります。改正法のもとで、退去強制手続が迅速に進むことにより、収容するか否かが問題となる期間も短くなると考えておりますが、こういう考えでよろしいでしょうか。
30:59
ご指摘のとおり、在留特別許可の申請手続の創設は、手続保障を充実させるのみでなく、手続の迅速化も図るものであり、在留を認めるべき者には迅速に在留特別許可が付与されることとなります。また、現行法下の収容の長期化の根本的な原 因は、送還規避問題にあり、送還規避問題を解決することは、収容の長期化の解消にもつながると考えております。
31:30
未熟を見てきましたように、今回の改正法の下では、出国命令の対象を拡大することによって、現行法の下と比較して、対処共生自由該当者のうち、収容するか否かの検討対象者が確実に大きく減る上に、対処共生手続も迅速に進むことになり、収容するか否かの問題となる期間も短くなるわけであります。ですから、収容代替措置について議論するにあたっても、こういう前提を持った上で議論することが必要であります。現行法の下では、仮方面を柔軟に活用しておりますけれども、改正法の下で設ける管理措置は、現行法の仮方面とはその規模感であるとか、社会の中で生活する期間が大きく異なってくるわけであります。現行法の仮方面の規模感が、そのままのままで、管理措置に横スライドするようにして置き換わるというイメージで議論をするのは適切でないということを、この委員会でまず共有をしたいと思っています。今、話をさせていただいたことを前提に議論をいたしますが、まず、新た に第一収容代替措置を創設することが必要となる、現行法における課題をお示しください。
32:56
現行法では、対処強制手続を受ける者を原則収容することを前提としており、収容が長期化し、非収容者の健康上の問題など、様々な問題が生じかねないところでございます。現行法下で収容の長期化を防止するには、仮方面を柔軟に活用するほかはありませんが、仮方面は本来、健康上の理由がある場合などに一時的に収容を解除する措置であり、逃亡等の防止手段が十分でなく、現に逃亡事案が多数発生しております。そのため、適切な逃亡等の防止手段を備えた収容代替措置が必要となります。宮崎正久君。今、御指摘のとおりであります。そこで資料3をご覧いただきたいと思います。これは、入管庁の資料です。仮方面の問題、左の下の「身元保障制度の運用状況」という欄をご覧ください。ここに記載されているように、多数の逃亡者を出す不適切な身元保障人の例が、現に把握されています。どうしてこういうことが起きるんでしょうか。
34:06
現行法下の身元保障人は、あくまで運用上を負されているものであり、法的な義務を負わないことから、実際には適切に本人を監督できない、またはしない方が身元保障人となっており、そのことも一因となって、御指摘のような事態が生じたものと認識しております。
34:26
運用上を負されている、法的な義務を負わない、これは大きな一因なんです。ですから今回の改正においても、こういったところをしっかり改正をしていかないといけないと思っています。ちなみに、こういう不適切な身元保障人は、改正法の下で管理人となれるんでしょうか。
34:46
管理措置制度の下では、管理人としての責務を理解し、任務遂行能力を有する者を管理人として選定することとなりますので、御指摘のような方は管理人として不適格であり、選定されないこととなると考えています。
35:03
そうすると、管理人の成り手はどういう人が想定されているんでしょうか。現在の仮方面における身元保障になっていただいているような方が典型例と考えてよろしいのでしょうか。
35:19
管理人としては、典型的には当該外国人の親戚や知人などを想定しておりますが、これに限られるものではなく、支援団体や私業の方々も候補となり得ます。特に現行法科で仮方面の身元保障人となっているような方々は、先ほどのような不適格な方々を除き、その経験等に鑑みますと、管理人の中心的な担い手となるものと考えております。
35:48
そこで、管理人の成り手がいないんだというような御批判がありましたので、私も確認をしてみました。資料4をご覧ください。まず1枚目。先日の質疑でもご指摘をいただいたアンケートであります。確かにこのタイトル「管理措置に関する意見聴取概要」によりますと、左側の「回答者の属性」という欄では、入管庁が新設を提案する管理措置の担い手である管理人として想定されている弁護士、外国人支援者団体から合計132件の意見を聴取しましたと記載がされています。そこで右側の方を見ますと、90%と大きく書いてあって、そこの横に「管理人になれない」「なりたくない」と記載がされています。この数字だけを見れば、確かに管理人になれていないんじゃないかというふうに思うわけであります。しかし、先ほどの答弁にあったように、実際に管理人となるであろう、その中心となるであろう、想定される人がどれくらい回答者の中にいるのかということを確認して みました。資料4、1枚目の左側下の表の部分をご覧ください。仮方面の保証人をしている人が12%、仮方面の保証人をしたことがある人が13%。つまり、このアンケート回答者のうち、仮方面の候補者として中心となると、現実に想定される人は25%になります。つまり、このアンケートについては、回答者のうち、現実に管理人として想定される人は4分の1であるというふうに分析をするべきであります。その上で、先ほどの90%という数字を認識すべきと考えます。また、このアンケートの方法でありますけれども、アンケートを実施するにあたっては、この団体の意見を合わせて示された上で回答するように求められています。資料4、2枚目をご覧ください。四角囲みのところですが、ラインマークを引いているところです。管理措置に関する意見聴取、2023年版補足資料、意見聴取にあたり、FRJが作成しましたということになって、この補足資料が示された上で、資料4、3枚目をご覧ください。これがその補足資料であります。そこはどういうことか、どういうことが書いてあるかというと、この上の段、ラインマークを引いてあるところでありますけれども、2段落目、管理措置に関する論点をより詳し く知っていただけるように、こちらの補足資料を用意いたしました。意見聴取のフォームと合わせて、適宜ご参照ください、とした上で、団体の意見として、下の方にまたアンダーラインを引いております。管理措置には多くの課題があり、難民をはじめとする外国人の基本的人権を尊重し、必要な支援を含んだ適切な制度であるとは言えないと考えます、と記載をされた上で、意見書へのリンクもその下に貼られています。その上で、この意見を適宜参照した上で、管理人を引き受けたいと思いますか、質問をしたのがこのアンケートであり、その結果であります。このように、一定の意見を参照しながら答えるという形式でアンケートを取れば、回答者に対して、あ、そうか、ここは管理になれない、なりたくないと答えるべきなんだなというふうな感じで、誘導が加わりかねないのでありまして、アンケートを取る際の中立性には大いに疑義があると、私は率直にこういう感想を持ちました。国会における法案の審議でありますから、事実に基づいて丁寧にやるべきだと思います。管理人がなり手がいないということになる場合も重大事であります。私は、この御指摘にあったアンケートのこの数値は、これ真摯に受け止めます。政府にも真摯に受け止めてほしいと思っています。ただ一方で、こ のアンケートはこういう形式で行われていたということも、この法務委員会で、委員の皆さんに共有をしていただきたいと思いまして、今日資料提示とともにご説明をいたしました。一方的な批判とならないように、この団体がお作りになって示した資料も、資料として委員会提出したものでありますので、ぜひ、委員の皆さんに御理解いただきたいところだと思っています。そしてこの資料の一枚目ですけれども、このアンケート結果の、管理人になれない、なりたくないという欄には、主な理由として、支援者という立場で監視することは矛盾するとありますけれども、これは本当にそうでしょうか。管理人には監視を求めているという制度になるのか、政府の説明をとります。
40:53
管理人には、管理措置条件等の遵守の確保のため、その方と本人との間の人的関係に応じて、適切な指導・監督や援助などを行うことを求めているものであり、例えば、四六時中本人を監視するような過度な負担を求めるものではございません。支援者の立場で支援することと、管理人として適切に責務を果たすことは、相入れ ないものではなく、十分両立するものと考えております。
41:25
資料4、一枚目の右側下段には、前回の法案からの変更点について、管理人の担い手からは評価されずと記載がされています。今回の法案では、前回の法案を修正して、管理人の定期的な届出義務を削除して、主任審査官から求められたときに報告をする義務に変えております。この点についても、入管庁の運用次第で、全件報告となる可能性がある、こういう指摘もあるわけでありますが、この点についてはどのように考えていますでしょうか。
42:02
本法案では、条文上も、主任審査官が報告を求めることができる場合を、管理措置条件の遵守の確保のために必要があるときに限定しており、必要なときに必要な事項についてのみ報告を求めることとなります。そのため、全件について必要と判断し報告を求めることは、条文上もあり得ないのであって、御懸念には及ばないところでございます。
42:29
そのとおりです。仮に管理人が入管庁の報告を求める判断がおかしいと考えて報告をしなかった結果、例えば過量の制裁であるとか、管理人選定が取り消されるという場合が、仮にあったとしても、管理人が過量の手続の中であったり、行政訴訟で争う余地もあるわけです。そうすると争われうる余地がある以上、入管としては不適切な運用は行えないわけでありまして、適正さはこういう意味で裏側からも担保をされていると私は考えます。いずれにしましても、こういう誤解がされている面も多いと思います。説明が必要なんではないかと思いますが、政府の取組について答弁を求めます。
43:13
管理措置制度を適正に運用していくためには、その担い手となる方々に対して、制度について広く御理解をいただくことが重要であり、入管庁としても引き続き丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。
43:29
このアンケートを全部読ませていただきました。入管の裁量が広いブラックボックスだなどとの指摘もありまして、収容だけではなくて在特の許可など、入管行政全般に対する指摘があります。ただ私は、行政手続においては個別事案で適切な結論を導くためには、一定程度裁量的な判断の余地が残されていることが必要です。行政裁量という言葉がございます。こうしないと判断が硬直化してしまって柔軟な対応ができないからです。ただ、恣意的な判断になってはいけない。合理的な裁量の範囲をとどめないといけないので、バランスが必要なんです。この点について今回の改正法でどういう配慮をしているか説明してください。
44:12
今回の改正法案におきましては、在留特別許可の拒否判断の考慮事情を明示することによって、在留特別許可の判断の一層の透明化を図ることとしております。さらに在留特別許可管理措置及び仮方面について、不許可とする場合には、その理由を告知する制度を設けるなど、判断の透明性を高めるための様々な仕組みを整備しております。この不許可理由の告知を義務付けることにより、合理的な理由のない不許可を抑止できることとなる上、判断に不服がある場合には、行政訴訟を提起して的確に争うことが容易となるのであって、入管当局における判断の公平適正さが一層確保される仕組みになっております。
45:02
行政裁量が必要であることは論を待ちません。ただ、裁量には合理的な制限があります。しっかりとした運用ができるように、さらに検討を重ねていってもらいたいと思っております。さらにもう一つですけれども、国際比較について触れたいと思います。今回の改正 法については、自民党の法務部会でも、法案審査の段階から諸外国との法制度の比較も行ってきております。資料5をご覧ください。これは、入管庁の資料をもとに、私の事務所で作って、部会で提出をした資料でございます。この、双管停止法の例外、退去命令違反罪、収容期間の上限、司法審査について表にいたしました。諸外国は、双管停止法の例外や再申請の制限を設けておりまして、我が国の現行制度のように、何度でも、どんな理由でも、双管が停止する制度は、むしろ異例だと言えます。罰則付きの退去命令制度についても、アメリカやフランスでは同じような制度を設けております。収容期間の上限や事前の司法審査を設けるべきだという議論もありますが、上限については、一部の国は導入していますが、アメリカのように、幅広く例外を認めている国もあります。事前の司法審査をほとんど国が導入しておりません。こうしてみると、今回の法改正は、国際標準を満たさないなどと批判をされていますが、むしろ出入国管理行政上、国際的に見て足りないところがあって、穴が空いている現行入管制度を適切に補うものであって、主権国家として当然行うべき法改正だと私は考えています。斉藤大臣の御認識を問います。
46:45
委員御指摘のとおりでありまして、我が国のみが得意な制度を設けようとしているものではなく、国際標準を満たさない法改正であるとの御批判は当たらないと考えています。
46:59
大臣、ありがとうございました。大臣が強い決意で、この法案のリーダーシップをとっていただいていること等の、部会の審査の段階から拝聴しておりました。そして今回、この委員会で、たくさんの意見が出てくることは、私は大切なことだと思っています。民主主義社会でありますから。ただ、今日私、御説明をさせていただいており、私たちはこの改正法が必要だと考えています。今日は、これまでの法案審議であまり注目をされていなかった出国命令制度や、管理措置制度を考える際の規模感等の前提を共有させていただいたり、改正の全体の前提というか構図についても、御理解をいただけるように質疑をさせていただきました。どうか、これからの議論の中で、こういった前提の共有も、委員の皆様にもお願いをしたいところであります。私は、冒頭申し上げましたとおり、自由民主党の法務部会長をさせていただいております。法務省提出のこの改正法案を、この国会に送り出す際には、与党の責任者として仕事をする機会をいただきました。自民党においては、多くの議員の皆さんと一緒に、異例であるけど4回、部会を開催して法案審査をしました。また、その後の党内手続きもやりました。先輩議員も含めて多くの議員の皆さんと、この法案について、真摯に議論を重ねて、党として法案了承というところまでいきました。この法案は、我が国において、外国人と日本人とが、安全・安心に暮らせる共生社会を実現するために必要だと、自負があります。共生社会の実現のために、日本人が外国人への差別偏見をなくし、人権を尊重することが必要であることは、もちろん当然のことであります。これを努めることも大切なことであることは、論を待ちません。ただ、その一方で、必要なルールを定めること、外国の方にもルールを守っていただくべきことは当然であって、足りない部分についてのルールを補う法改正は絶対に必要です。私は、今日、こういった責任感で質疑 に立たせていただきました。最後に、ここまでのやりとりを踏まえまして、本法改正に向けての、斉藤法務大臣の意気込み、お考えをお聞かせください。
49:24
まず、宮崎委員のこれまでのご尽力に、心から敬意を表したいと思います。本法案は、様々な施策を組み合わせ、パッケージとして、現行法下の課題を一体的に解決をしようというものであります。本法案の全体像を示すことにより、外国人の人権を尊重しつつ、適正な出入国在留管理を実現する、バランスの取れた法案であることが、ご理解いただけると、私は考えています。法案の内容を徹底して、広く国民の皆様にご理解いただけるよう、引き続き丁寧に説明を尽くし、法案の成立に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えています。
50:05
大臣、ありがとうございました。この法務委員会の議論、私は非常に大切なものだと思っております。様々なお立場から、意見が交わされること、そして政府の側からも、真摯な答弁が重ねられております。この議論、しっかりと続けて、適切な時期に、法案の委員会での了承成立を期したいと、決意を申し上げて、今日の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
50:45
自由民主党の山下貴司でございます。まず、上嶋さんが亡くなったことについて、心から哀悼の意を表したいと思います。中国在留管理庁設置掃除の法務大臣として、通責の念に絶えません。ただ、私は、今回の改正、お配りした資料1、2にありますけれども、上嶋さんの悲劇を繰り返さないための法改正でなければならないと考えてお ります。そこで、大臣に問いますが、仮に上嶋さん事件当時、今回の法改正後の入管法が施行されていたとすれば、上嶋さんの悲劇は防げていたとお考えでしょうか。その理由とともにお答えください。
51:32
まず改めて、上嶋さんのご冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。入管庁では、これまで調査報告書で示された改善策を中心に、組織業務改革に取り組んできたところ、こうした取り組みにより、常勤医師の確保等、医療体制の強化や、職員の意識改革の促進など、改革の効果が着実に現れてきていると思います。加えて、今回の改正法案では、例えば、全県就業主義と批判されている現行法を改め、管理措置を創設し、就業しないで待機を強制手続きを進めることができる仕組みとした上で、就業した場合であっても、3ヶ月ごとに就業の要費を見直して、不必要な就業を回避する。体調不良者の健康状態を的確に把握して、柔軟な仮方面判断を可能とするために、健康上の理由による仮方面許可申請については、医師の意見を聞くなどして、健康状態に十分配慮して、仮方面にかかる判断をするように努めること とする等の規定を設けているほか、常勤医師確保のため、現行法における常勤医師の兼業要件を緩和するなどしています。現在、入管庁が取り組んでいる組織業務改革の進捗に加えて、本法案による管理措置及び仮方面を適切に運用し、何としても再発を防ぐ、そういう覚悟で取り組んでいきたいと思います。
52:59
今、施行があって、新たなこういった制度があれば、再発を何としても防ぐ、そういう決意であると、そういうふうに伺いましたけれども、順番に確認していきますけれどもね。まず、この管理制度の創設によって、ウィシュマさんの事案を防止というかですね、再発を防ぐという決意が実現できるということですが、どうやって、どのようにウィシュマさんの事件の防止、再発防止につながるのでしょうか。当局に聞きます。
53:34
ウィシュマさんが、当庁の収容施設内で健康状態を悪くされ、亡くなられたことにつきまして、改めまして、入管庁として重く受け止めているという気持ちを改めて、告げさせていただきたいと存じます。その上で、ご質問にお答えさせていただきますが、管理措置制度の創設により、待機強制手続の対象となる外国人は、手続の当初において、逃亡等の恐れの程度のみでなく、収容により受ける不利益の程度も考慮された上で、管理措置に付加収容するのかが適切に選択されることとなります。また、収容した場合であっても、3ヶ月ごとに、主任審査官及び出入国在留管理庁長官が、管理措置の用費を判断し、定期的に収容の用費を見直すこととなります。これらの規定により、不必要な収容はされないことから、ウィシュマさんのように、収容施設内で健康状態が悪くなって亡くなられるといった事態を防止することができるというふうに考えております。
54:39
現行法では、全県収容主義をとっている、これは宮崎委員も指摘したとおりでありますし、一旦収容された場合は仮方面措置しか身柄拘束をとく手段がありません。そしてまた、仮方面の基準は不明確であると。他方、宮崎委員も指摘されましたが、資料4によれば、現行法下の仮方面措置では、逃亡事案が多数生じているなど問題がありました。この資料4、お配りした資料4によれば、これは令和2年末の数字でありますけれども、仮方面となり逃亡した者は当時415人。これは令和4年末の速報値は1400人に激増しております。そのうち、この表にもありますけれども、自らの健康状態の悪化を理由とする仮方面の許可を受けることを目的として、拒職に及ぶという問題も生じていると。そして拒職の結果、仮方面となり、逃亡中の者というのが67人、令和2年の末にいたということでありました。また、宮崎委員も指摘がありましたけれども、身元保障人の中には、例えば、この身元保障制度の運用状況の弁護士Cさんのように、身元を引き受けた4割が逃亡者となっている。あるいは、弁護士Aさんのように、身元引き受け人となった者の80人が逃亡している、ということもあります。そして、また、この仮方面者の犯罪事例ということで、仮方面中に犯罪行為を及んだ事例もある。その中には、強姦などの重罪もあるという。こうした事実関係を踏まえ、一般論として、基準のない仮方面の運用が慎重になっていたということは、理解できないではありません。しかし、本改正のような管理措置というきちんとした制度があれば、そして定期的な見直しもあるわけですから、ウィシュマさんのような原因不明の接触不良、そして服役拒否もあったようでございますけれども、そうした体力低下について、適切な身元引き受け人がいることを前提に、管理措置をとることができたというふうに考えられます。なお、今回の法改正で、本人及び管理人に法的な届出義務を課し、場合によって保証金を課すこととしているということが批判されておりますけれども、仮方面後の逃亡者は、先ほど申し上げたように、昨年末の速報値で1400人に激増しております。既に述べたように、仮方面の身元保証を行った外国人の最大4割が逃亡している身元保証にも存在すると、こうした事実に照らせば、国民のための入国行政ということを考えると、一定の担保措置をとることもやむを得ないと考えております。ただ、ウィシュマさんは、資料3からもわかるように、急激に体調が悪くなったのではないでしょうか。そうだとすれば、適切な身元被給権人が見当たらないうちに、陽態が急変するなど、管理措置が間に合わなかった場合、仮方面措置がとれるのでしょうか。現行法では、仮方面について基準が定められていませんでしたが、改正法では、健康上の理由による仮方面請求について、医師の意見を聞くことなどの法改正によって、ウィシュマさんの事案を防げるということですが、どのように防止することができるのでしょうか、というふうに聞きます。
57:57
健康上の理由による仮方面請求の判断をするにあたり、医師の意見を聞くなど、健康状態への十分な配慮に努めることを法律上明記することといたしましたのは、健康状態が悪化したウィシュマさんが、就養施設内で亡くなったということがございましたことから、同種の事案の再発防止のために、健康状態を的確に把握して、仮方面の判断を行う必要があると考えて設けたものであり、同様の事案の発生を防止するため、健康上の理由による仮方面請求があった場合には、基本的に医師の意見を聞いて判断することとなります。これにより、ウィシュマさんのように健康状態が悪化して、就養施設内で亡くなるといった事態を防止することができるものと考えております。
58:45
当局に重ねて聞きます が、健康状態の推移というところで、お配りした資料さんのところで、1月中旬頃以降、体調不調という記載があります。そして、これに対して、どのような医療措置をなされたのかということも踏まえて、そういった体調不良の状況の把握について、どうであったのかということについて、重ねて当局に伺います。
59:16
当時、名古屋入管におきましては、ウィシュマさんに対し、1月22日以降、亡くなる2日前、3月4日までの間に、庁内で血液検査、尿検査、心電図検査等を実施し、5回にわたり、庁内医師の診療を実施し、2回にわたり、外部医師の診療を実施するなどの医療的対応を行ってきたところでございます。
59:42
1月中旬以降、体調不良というふうになっておりますけれども、その段階で体調不良を認識したというのは、それ以前ということについてはどういう体調だというふうに認識していたのでしょうか。
1:00:02
調査報告書によりますと、ウィシュマさんは、令和3年1月中旬頃から、食欲不振、吐気系等の体調不良を訴えられるようになり、その頃、看護師に対して、服薬や医師の診療は嫌であり、外部病院に行くのをさらに嫌である旨を述べたこともあったようでございます。
1:00:25
この資料さんによると、収容開始時は約85キログラム、身長158に対して約85キログラム、1月20日には72キログラムということであります。158の日本人の標準体重は55キロであるということでありますけれども、ただ体重が激減しているということは、これから読み取れるわけですが、1月20日の時点で、この体重減少についてはどのように把握していたということでしょうか。報告書の記載からでも結構です。
1:01:07
調査報告書によりますと、体調不良を訴えられるようになった令和3年1月20日の時点で、体重は72.0キログラムであったとのことでございます。
1:01:20
調査報告書によると、看護師の面談記録によれば、先ほど西山次長がおっしゃったように、医師の診察は嫌です、外の病院に行くのはもっと嫌です、私は痩せたいです、食べて痩せたいですと述べるなど、痩せ願望があったというふうな記載があります。こうした認識だったんでしょうか。加えて、西山さんは運動などはしていなかったんでしょうか。
1:01:56
ただいま委員からご指摘があった、上嶋さんが痩せたいというようなことをおっしゃっておられたということ自体は、調査報告書にも記載がございますが、それについての評価は特にございません。それから、調査報告書によりますと、委員ご指摘の時期、1月27日にバレーボールをした旨を述べたことがあったという記載がございます。
1:02:19
他方で、やはり1月中旬以降、体調不良ではないかということで、様々な医療の検査を実施したということですけれども、亡くなるまでに何度医療の診察を実施したわけでしょうか。
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庁内外部合わせて合計7回でございます。
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この資料さんによると、例えば、胃カメラ、あるいは、頭部CT検査なども実施されているようであります。このように、亡くなる40日前から胃カメラ、CT検査を含め、7回内外の医師の診断を受けて、亡くなる2日前も外部病院の診断を受けているということで、限られたリソースの中で入管当局として、できる限りの対応をしたかどうかということは、今後の民事訴訟で明らかになるんだろうと思いますが、いずれにせよ最悪の事態を防げなかったことは、誠に遺憾であります。これを踏まえて、上勤医師の兼業要件の緩和がなされたと言いますが、これがなぜ、上嶋さんの事案の防止につながるのでしょうか。
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調査報告書では、医療的対応のための体制整備や運用が不十分であったことが、改善点の一つとして指摘されたところでございます。上勤医師の兼業要件の緩和は、入管収容施設において、上勤医師を確保する上で支障となっている民間医療機関と比較した待遇面での格差を是正するものでありますことから、医師の確保を促進するもので、改善点として指摘された医療的対応のための体制整備に資するものと考えております。
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こうした上勤医師が拡充されることによって、迅速に体調の変化、そういったものが把握できたんだろうというふうに思います。昨日の審議でも指摘されているところですが、例えば2月15日、ケトン体の数値などの異常を示す尿質検査結果が出たことが問題になっています。これに対して、名古屋入管庁の対応としては、報告書によれば、その資料を非常勤の看護師が医師に示した旨述べている。あるいは、その後の2月16日、18日、22日と3日にわたり、整形外科医や内科医の診断を受けている。それでも、気質性の疾患を認める診断に至らなかったということで、精神病状を疑ったという経緯であります。そして一方で、3月には、下痢方面の方向で検討が進められていたという記載もございます。こうした経過について、薬の処方や接触障害の状況も含め、死因については、医師2名、法律家2名、これの中には東京高裁の元武装活犯時の経験のある方も含まれておりますが、外部有識者の見解も聴取した上で、報告書が作成されたということであります。これ以上の医学的検証については、現在、民事訴訟の継続中であります。司法手続による徹底解明、これを待つべきだろうと考えております。ただ、報告書を司祭に読むと、石間さんは、2月16日以降1週間、緩急食を食べておられなかったようであります。その後も、緩急食については、少量のお粥以外は、石間さん自ら手をつけることがなかったようで、OS1や、あるいは、自費購入のピーナッツバターや果物、パウンドケーキなどは、若干、食していたとしても、栄養状態が、その、血糖体の異常を示した数値よりも、さらに悪化していたということも考えられます。そしてまた、処方された薬も、2月末までは、おおむね、服用拒否状態になったと、報告書にも記載があります。こうした、接触不良や、服用拒否状態に取り得る対応については、さらに検討すべきであろうと思っております。そして、本法案にですね、ウィシュマさんの事案を防止するための措置が盛り込まれたとしても、こうした措置を、こうしても、それを使う職員側の問題も、指摘されておるところでございます。報道でもありましたが、弱った様子で病院に連れて行ってほしいと、ビデオでもございました。懇願するウィシュマさんに対して、例えば、私にはパワーがない、ボスに話すけど、今日行けるかどうか分からないなと言っています。なぜこのような対応になったのでしょうか。
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ご指摘の職員による対応となった理由について、当該職員は、調査報告書で指摘されているとおり、救急搬送が必要な状態と思われず、既に3月4日に外部医療機関への受診が決まっていたためであった旨を述べております。その上で、調査報告書におきましては、こうした対応の要因について、診療の申出の結果として、2月19日の時点で3月4日の精神科での受診が既に決定されており、対応済みと認識していたことなどが原因で、監視勤務者が、石間さんの体調不良の訴えを深刻に受け止めていなかったことによるものと思われるとしているところでございます。この点について、調査報告書では、真に医療的対応が必要な状況を見落とすことなく、適切に対応できるよう職員に意識させておく必要があったとして、職員に対する教育や意識の関与の不足を指摘しているところでございます。以上。
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重ねて聞きますけれども、緊急な搬送が必要な状況だとの診断は指示されていなかったということですが、それはいつの診断なんですか。