6:09
これより会議を開きます。日程第一、国務大臣の演説に関する件、第二日、去る二十三日の国務大臣の演説に対し、これより順次出迎を許します。
7:48
立憲民主社民の伊豆岡俊一です。会派を代表して質問いたします。総理は、施政方針演説の中で、戦後77年が経った今、我々は再び歴史の分岐点に立っているとおっしゃいました。しかし、お話を聞く限り、問題や課題が散席している中、分かれ道のそれぞれの先に何があり、日本は一体どの道を進もうとしているのか、全く理解できません。また、これまでの時代の常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンを持ってとも話されましたが、これまでの常識を捨て去る判断は正しいと言い切れるのか、時代を見通すビジョンとは一体どんなものなのか、それらをお示しになるのが施政方針演説なのではありませんか。そうでなければ、国民の代表である国会議員も、テレビ、ラジオ、インターネット、新聞などを通して見聞きする皆さんも、総理の考えておられることがさっぱりわかりません。正直なところ、私は演説をお聞きしてびっくりしました。あれもやる、これも大事、矛盾をはらんでいようが、とにかく何でもかんでもやるというお話で、一つ一つに深まりがなく、総理の意図や本気度が伝わってきませんでした。先日、民主主義について書かれたある本を読みました。「政治にも、政治家にも、選挙にも、私はまるで興味が持てない。どうでもいい。そう感じてしまう。楽しく笑顔で生活したい人間は、近寄らないに越したことがなさそうだ。」と、辛辣な言葉が続きました。これが多くの国民が感じているところだとすると、まさに日本の民主主義は崩壊寸前ではないかと、私は目ぶるいしました。そこで最初の質問です。総理は選挙の投票率が極めて低いことに代表されるように、日本の民主主義が危機的な状況であることを認識されていると思いますが、その原因はどこにあると思われますか。続いて質問2。今こそ総理はじめ閣僚が国民からの信頼を得た上で、熱意と誠意をもって国会で政策を語ることが求められていると考えますが、総理の見解はいかがですか。ここで国会における議論について、基本認識をお問うておきたいと思います。総理は演説の中で、政府の検討も決断も、政府における議論も国会における議論も、すべて重要かつ必要であり、それらに等しく全力で取り組むと意思を表明されました。これについてははっきり申し上げて、憲法の定める議会性民主主義の認識が根本から間違っていると言わざるを得ません。なぜなら、憲法に定められた国民主権に基づき、内閣法第一条二項には、内閣は行政権の行使について全国民を代表する議員からなる国会に対し、連帯して責任を負うとあり、行政権の行使に対する民主的統制の重要性を強調している趣旨に反しているからです。国会審議をせずして、政府が秘密裏に議論、検討し、勝手に決議することは、議員内閣制のもとでの国会による内閣監督の機能が全く損なわれているわけです。そこで質問3、総理は政府の議論や決断を国会の議論と同等だと正当化することは、憲法と内閣法を侵すことであるとの認識がありますか。岸田政権になってからも閣議決定を先行させ、国会での議論を内賀代にしていることは、国民主権を真っ向から否定していると考えますが、いかがですか。続いて、国会の役割という観点で、参議院に対する総理の演習についてお伺いをします。2007年1 月30日、参議院本会議で、民主党の越石亜住議員会長が月のように述べています。参議院は、時として衆議院のカーボンコピーと呼ばれることがあるが、任意性はほとんどの先進国で採用され、安定した政治のためには欠かすことのできない制度である。今ほど、国民生活の全ての分野において、税金の使い方、使われ方が問われているときはない。この分野で参議院の果たす役割は大きい。これに続く質問で、自民党の青木美京議員会長が次のようなことを発言されました。決算審査の強化は、参議院の独自性の観点からのみで主張しているわけではない。深刻化する少子高齢化や、財政状況の悪化など、様々な課題を克服し、我が国が永続的に発展していくためには、決算を予算に反映させ、行財政執行の適正化を図ることが不可欠と考えるからである。このようなやりとりが過去に何度も繰り返され、参議院における決算重視、参議院の存在意義の確認が与野党を超えて展開をされてきました。当時を知る議員も少なくなってきましたが、紛れもない参議院の歴史として刻まれ、その精神は生き続けています。そこで質問4です。改めて総理から参議院の存在意義について、どのようにお考えであるかお示しください。質問5です。昨年末の臨時国会では、政府自民、自公政権はあらゆる追求から逃れた一心で、一刻も早く見せじまいをしたいと、従来から参議院で重視されてきた決算審査の本会議をすっ飛ばして強引に閉会しました。このことにおける総理の責任をどうお考えかお聞かせください。演説の中での矛盾に満ちた説明の典型は防衛力についてです。反撃能力の保有や大幅な防衛予算増額など、防衛力の抜本的強化を謳いながら、安全保障政策の大転換ですが、憲法国際法の範囲内で行うものであり、非核算原則や選手防衛の堅持、平和国家としての我が国としての歩みを、いささかも変えるものではないとおっしゃる。これが矛盾でないと誰が言えるでしょう。総理が率いる公地会の重鎮である小浜孤島自民党元幹事長は、敵基地攻撃能力を持てば完全に選手防衛を逸脱してしまうのではないかと警鐘を鳴らしています。かつて内閣で安全保障を担当された柳沢教授元内閣官房副長官補は、台湾問題をめぐって万一有事となった場合は安保法制に従って対応すると総理は言うが、これは事実上参戦するということ。敵基地攻撃つまりミサイルの撃ち合いという状況で日本が戦場になると国民の命を守ることは不可能と選手防衛からの逸脱について重大な危惧を指摘をしています。そこで質問6です。総理、安全保障政策の大転換と平和国家としての歩みをいささかも変えないことが矛盾しないとすればその理由を御説明ください。質問7。選手防衛から逸脱するケースを綿密にシミュレーションされているとすれば逸脱しないポイントはどこにありますか。質問8。これほど重大な安全保障政策の転換について国会に詳しく説明せず議論する場を設けないまま閣議決定し広く公表したのはなぜですか。質問9。総理は絶対に戦争はしないという決意と確信がありますか。まさか時と場合によっては戦争もやむなしと考えていることはないでしょう。お答えください。さて地球が誕生してからの46億年を46年に縮めたとすると産業革命が始まったのは今から約1分前のことになります。このたった1分間で人間活動を起因とする温暖化が起こり人間の様々な需要による開発が世界の森林を破壊し生物多様性に多大な損害を与えました。人間の罪深さを痛感するところです。総理が気候変動対策に関して述べられたのはもはや待ったなしとなっているのが深刻さを増す気候変動という下りだけでした。認識の薄さを思い知らされます。一歩でも前進させなくてはならない気候変動対策は排出削減対策の強化であり今回の通常国会でその立法提案がないことは甚だ疑問です。2030年度に温室効果ガス排出を46%削減しさらに50%の高みを目指すという目標達成のためにもはや残された時間はありません。立憲民主党では緻密なデータを分析シミュレーションして2030年60%の削減も可能であるとエネルギー転換戦略で提案をしています。質問中です。総理この目標に変わりはありませんか。そして目標達成の道筋をどのように見通していますか。昨年開催されたCOP27の首脳会議でアントニオ・グテイレス国連事務総長は我々は生死をかけた戦いの最中でありしかも敗北しつつある。我々は気候変動の地獄へと向かう高速道路をアクセルを踏んだまま走っていると発言しています。2030年までの重要な10年間はもう残り7年しかありません。スウェーデンでは昨年環境気候問題担当大臣に史上最 年少26歳の女性ロミーナ・ポルモタリさんが起用されました。思い切った若手起用です。立憲民主党は未来世代のための法案もつくっており2050年代を人生の真っ只中で生きていく今の20代の人たちを環境行政の中心に据えた将来問題研究チームをつくって日本の環境行政を進めていくというようなビジョンが必要だと私たちは考えています。質問11です。日本は地獄へ向かうアクセルを踏んだままなのに総理の頭は思考停止状態ですか。さてどうします。急ブレーキを踏む判断はつきましたか。気候変動に関する思い切った政策を実行するおつもりはありませんか。2020年秋日本学術会議会員候補のうち6人のみの任命を当時の菅政権が理由の説明もなく拒否しました。2年がたった昨年末日本学術会議に組織改革を求める方針を岸田政権が示しました。私はこの方針文章を一読して極めて異様だと感じました。それはA44紙でたった3枚の文中に政府等と問題意識や時間軸を共有という文言が4回も出てくるからです。何を勘違いしているのでしょうか。そもそも日本学術会議法には会議の独立性が明記されています。アカデミーは政府の有識者会議や諮問会議ではありません。そこで質問12です。独立した存在である日本学術会議は政府等と問題意識や時間軸を常に共有する必要はありません。むしろ時には異なる目線で課題を提起する必要があると考えますが総理いかがですか。その後に示された具体化検討案では今時通常国会で関連法案の提出を目指すことなどが含まれていました。任命拒否問題を機に日本学術会議は改革方針をまとめ実行に取り組んでいます。そうした事実を無視し立法事実もなく拙速な法制化を進めることは認められません。このことはノーベル物理学賞を受賞した梶田貴昭日本学術会議会長も懸念するとおりです。質問13です。学術会議側の進めている改革を実行させずに日本学術会議法の改正を急いで行おうとするのはなぜですか。今回の法改正の根拠となる立法事実を示しください。17歳から19歳の若者で将来必ず結婚すると思っているのはわずか16.5%しかいないという驚くべき結果が日本財団の行った18歳意識調査で分かりました。一方結婚願望について尋ねると65%以上があると答えているのです。総理この意味をお考えください。婚姻の自由は憲法で定められており結婚しないことも自由なので結婚を押し付ける必要はありません。しかし若者が結婚したいのにできないというのは大きな問題です。総理は年頭の記者会見で異次元の少子化対策に挑戦し若い世代からようやく政府が本気になったと思っていただける構造を実現するべく大胆に検討を進めると述べられました。私は笑ってしまいました。やっぱり政府はまだ本気でなかったのだと誰もが認識したでしょう。そして未だに本気だとは思えない。異次元の少子化対策ということは次元が異なるということはこれまでの古通で的外れな対策ではなく例えば多様な家族のあり方を認めない現在の婚姻制度を改めたり雇用制度などの社会構造やライフスタイルを抜本的に改革するなど従来とは全く発想を変えてこそ異次元と言えるのではないでしょうか。そこで質問14です。総理、異次元の少子化対策の異次元とは具体的にどのような意味ですか。少子化対策の一環として多様な家族のあり方を認めない婚姻制度を改革し選択的夫婦別姓制度や同性婚を導入する考えはありますか。そもそも世の中の皆さんはこれまで最低限の少子化対策すら講じていないのに一足飛びに異次元なんて信じられないと思っています。子ども関連予算がOECDで最低水準であると岸田総理も発言しており優先して確保するべきは防衛予算より子ども予算です。そこで質問15です。防衛予算は5年間で43兆円おと明確です。対して子ども子育て予算はいつまでにいくらを投入するつもりでしょうか。もし今示せないとするとやはり優先順位は子ども子育てよりも防衛ということでしょうか。総理お答えください。有名を増やせは時代錯誤です。政府に少子化で国が滅びると言われてじゃあ出産しようと思う若者がいるでしょうか。ナンセンスも鼻はだし生きにくい社会に人は増えません。安心して子育てできる環境があれば子どもは自然と増えていきます。新型コロナの拡大から約3年政府は新型コロナが社会経済活動に制限をかける疾病であるため感染法上の位置づけを変更して5類にする方向で議論を進めることを発表しました。しかし類型見直しの議論は医学的な検知から慎重に行うべきでありこれまでに得られた医学的データや臨床記録を客観的に検証分析しそれをもとに冷静な判断と対応が求められます。そこで質問16です。2類5類の2者卓一ではなく新型コロナに合った類型を考えるべきとの指摘がありますが総理のお考えをお聞かせください。質問17政府が国際クルーズ客船の受入れを再開しました。2020年に発生したダイヤモンドプリンセス号の集団感染を重く受け止める上でクルーズ客船の受入れ再開をどのような場で議論しどのような判断で認めることになったのかご説明ください。
25:38
全国の学校で教員不足が深刻です。政府の無策により働き方改革が進まない中21年度病気求職者は過去最高の8314名に上り心の病で1ヶ月以上休んだ教員はなんと1万人を超えているのです。沖縄のとある小学校でついに信じられない出来事が起こりました。病気で休まれた先生の代わりを見つけられないことから1年生の一クラスを閉鎖することとなったのです。年度途中の学級解散でクラスは解体され子どもたちは他のクラスへ割り振られました。子どもたちのショックはどれほどであったか想像するだけで胸が締め付けられます。各地でこのような事態が起きてしまうほど教員不足は深刻です。総理は教職員の処遇見直しを通じた質の向上と述べておられますが質どころかそもそも教員がいない状態です。そこで質問18です。各自治体は教職員を何とか確保しようとしていますがやけ石に水の状態。地方自治体に責任を押し付けている場合ではありません。国として根本的な対応策が必要だと考えますが総理いかがですか。2023年度公立小学校の教員採用試験においては12の自治体で採用見込み数より合格者数が下回る深刻な状況となっています。また東京都の教員採用試験では新 年度より教員免許を持たない25歳以上の社会人でも受験できるようにしました。深刻な教員死亡者減少を受け無免許の方でも教職を検討してほしいとアピールしています。総理このことの意味を御理解いただけますか。自民党は14年前に不適格教員排除とばかりに教員免許更新制度を導入しました。予算を渋って適切な教職員配置を行わずその上に定額働かせ放題を押し付けて結果としてこの有様です。質問19総理文教政策の失敗によりこのような状況を生んだ与党自民党の責任をどのように考えますか。そして今後の文教政策をどのように転換していくおつもりなのか。お答えください。質問20財務大臣に聞きます。ここまで教員不足が深刻化している中で依然として教職員定数の合理化を前面に出すことにどんな意味や資料があるのかお答えください。総理が演説で触れられた法設的な経済社会づくりについてお尋ねします。私たち立憲民主党は全ての人に居場所と出番のある共生社会を目指していますが今の政府が目指している社会は方向性が大きく違うように思えてなりません。2014年に日本が障害者権利条約を批准してから私たちの暮らしの中でバリアフリーや合理化配慮が合理的配慮が進んできました。この参議院も同様です。批准後に日本がどのように取り組んできたのかを国連の障害者権利委員会が昨年初めて審査しました。日本政府への勧告は全体で18ページにも及び他の国への勧告と比べても分量が多いものでした。その中で国連が勧告の中でより力点を置き強く要請とした一つが日本のインクルーシブ教育についてです。インクルーシブ教育は全ての子どもたちが国籍や人種宗教性別貧富の差障害の有無にかかわらずともに学べる教育 のことです。国連が日本政府に強く要請したのは分離された特別支援教育を中止せよということでした。日本では障害がある子どもたちが地域の学校になかなか受け入れてもらえず特別支援学級学校へ行くことがその子のためだと教育委員会が勝手に決めつけている実態があり強く非難されているのです。インクルーシブ教育への転換で日本は世界から大きく遅れをとっています。政府の行っている特別支援教育の推進は分離教育であってインクルーシブ教育ではありません。それを国連に指摘されています。ところが国連のこの厳しい勧告に対して驚くことに文部科学大臣は特別支援教育の中止は考えていないと宣言したのです。総理にお聞きします。質問21国連の勧告についてどのように受け止めていますか。勧告に従い分離教育をやめませんか。質問22日本が進めているインクルーシブ教育システムと国際的なインクルーシブ教育には大きなギャップがありますがその隔たりを埋めていくつもりはないのですか。質問23総理のおっしゃる包摂的な経済社会づくりとは何ですか。また多様性について触れるときあえて経済とつけた意味を教えてください。日本の人口ピラミッドはもはやピラミッドの形ではなくカンオケ型と呼ばれ現在は年間60万人も人口が減少しています。2100年には日本の人口は約6000万人になると予測をされています。2100年というと遠い未来のように感じるかもしれませんが今年ギャーッと生まれた赤ちゃんが80歳になる頃がまさに2100年です。そう思えば2100年は全く遠い未来ではなくすでに当事者がいる近い未来なのです。その未来世代のため私たちがきちんと当事者目線で政策決定ができているのか政府はもちろんここに座る皆さんにも改めて考えていただきたいのです。もっと良い未来のためもっと良い未来のため総理及び大臣の真摯な答弁を求めまして質問を終わります
33:09
小林大臣 御静粛に。小林大臣 本日は、衆議院議員の御質問にお答えいたします。まず、岸田内閣の政治姿勢についてお尋ねがありました。確かに、民主主義の基盤といえる選挙の投票率が、近年低い水準で推移してきたのは事実です。その理由については、様々な事情が影響するものと考えますが、投票しなかった理由に、そもそも選挙に関心がないことを挙げた割合が高いという調査結果もあり、大変有料すべきことであると考えます。こうした中、国民の政治への関心を高めるために、政府の立場から我々が熱意と誠意を持って国会で政策を語ることはもちろん、各政党が具体的な政策の違いを国民の前に明らかにし、建設的な議論を行うことが重要であると考えます。だからこそ、施政方針演説の中で、政府与党として決断した方針や決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において国民の前で正々堂々議論したいと決意を申し上げました。歴史の転換点を迎える中、乗り越えなければならない難しい課題が散席をしています。そうした課題に正面から愚直に向き合い、一つ一つ乗り越えていく、それが私の基本的な認識であり、演説では限られた時間の中で、そうした様々な課題一つ一つを丁寧に取り上げました。それらの内容がわからなかったということであれば、これからの国会論戦の中で正々堂々議論を行い、政府として丁寧な説明を尽くしていきたいと思います。政府と国会の関係についてお尋ねがありました。施政方針演説の中でも申し上げたとおり、多くの皆様のご協力の下、様々な議論を通じて、慎重の上にも慎重を期して検討し、それに基づいて決断をした政府の方針や決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において国民の前で正々堂々議論することは大変重要なことであると考えており、国会での議論をないがしろにするつもりは冒頭ありません。言うまでもなく、こうした考えは、内閣は行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対して連帯して責任を負う旨の憲法や内閣法の規定への趣旨に沿ったものであると考えております。参議院における決算審議の予算への反映等についてお尋ねがありました。参議院におかれては、これまでも決算審議の充実に力を入れていただいており、そうした参議院の議決内容や決算結果を予算編成作業に適切に反映し、予算の効率的かつ適切な執行につなげていくこと、重要であると考えております。また、これまでの参議院における決算審議に対する改革を踏まえ、決算の早期提出などに取り組んでおり、令和3年度決算については、昨年11月に国会へ提出するとともに、令和5年度予算編成等に反映してきたところです。提出した決算を御審議いただく具体的な日程等は、国会においてお決めいただくものと承知しておりますが、いずれにせよ、政府としては引き続き、決算書類の早期提出 、そして決算結果の予算への反映に努めてまいります。そして、我が国の安全保障政策についてお尋ねがありました。三文書に基づく取組は、我が国の安全保障政策の大転換であると考えていますが、あくまで憲法国際法の範囲内で行うものです。平和国家としての歩みを維持するとの方針は、三文書が前提としているものであり、矛盾するとは考えておりません。敵基地攻撃は、先週防衛を逸脱するものとの議論がなされていることは承知しておりますが、反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力行使の三妙見に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない、必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、先週防衛から逸脱するものではありません。三文書については、国家安全保障会議4大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチームなどで活発な議論を積み重ねてきました。その集大成として、政府与党としての方針を、三文書の閣議決定の形でお示しをしました。議員内閣制の下では、政権与党が国政を預かっており、まずは政府与党において、1年以上にわたる丁寧なプロセスを経て、方針を決定しました。その過程において、国会においても、できるだけ丁寧な説明を心掛けてきました。進め方に問題があったとは考えてはおりません。政府与党の決定を踏まえて、今国会に令和5年度予算を提出しており、与野党との活発な国会論戦を行ってまいります。そして、三文書で示した施策により、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで、武力攻撃そのものの可能性を低下させることが重要であると考えており、私が戦争をやむなしと考えているということはありません。我が国の温室効果ガス削減目標など気候変動対策についてお尋ねがありました。我が国は、パリ協定の1.5度目標と整合的な形で、2050年カーボンニュートラル、2030年度46%削減を掲げています。我が国の目標は、カーボンニュートラルに向けた削減ペースで見れば、欧米との比較においても野心的なものであり、堅持をいたします。我が国の温室効果ガスの総排出量は、直近の2020年度で11億5千万トン、2013年度比では18.4%の減少となっており、目標に向けた削減ペースを概ね達成をしています。大切なことは、目標を設定した以上は、新たな技術を実用化するイノベーションを生み出し、しっかりと目標を実現することです。目標実現に向けた取組を加速化するために進めているのが、脱炭素とエネルギー安定供給、そして経済成長、この3つを同時に実現するGXです。昨年末にGX実現に向け た基本方針を取りまとめたところであり、この方針については、今後各地で開催する説明会などを活用して、国民各界各層からの声に直接耳を傾けてまいります。本方針を踏まえ、今後10年間で150兆円超の投資を引き出す成長志向型カーボンプライシング、国による20兆円規模の先行投資の枠組みを新たに設け、予見可能性を高めながら企業の投資を誘引していく、このための法案を今国会に提出をいたします。官民の持てる力を総動員し、GXという経済、社会、産業、地域の大変革に挑戦をしてまいります。日本学術会議の在り方の見直しについてお尋ねがありました。グローバル社会が直面している地球規模の課題や、進行技術と社会との関係に関する課題など、政策立案に科学的な知見を取り入れていく必要がこれまで以上に高まっています。このため、学術会議には中長期的で、不完的かつ分野横断的な課題に関し、広く社会と問題意識や時間軸等を共有しつつ、時期を得た質の高い科学的助言を行うことが期待をされています。ここでいう問題意識等の共有とは、政府等との結論の共有を求めるものではありません。学術的観点に立って、政府とは異なる立場から科学的知見を提供していただくことは、もとより重要です。一方で、学術会議が政府等への科学的助言を公務として行うことを役割とし、国費が投入される期間である 以上は、受け手側の問題意識、あるいは時間軸や現実に存在する様々な制約等を十分に踏まえながら審議等を行っていただく必要があると考えております。法案の具体的な内容については、検討中ですが、学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるためには、徹底した透明化、ガバナンス機能の強化、これが必要です。また、対話機能の強化、科学的助言機能の強化、会員選考における透明性の向上をはじめ、学術会議自らの改革の成果も着実に法律に取り込みつつ、また政府の考え方を学術会議に丁寧に説明をしながら、さらなる改革、加速させていきたいと考えております。そして、少子化対策についてお尋ねがありました。子ども子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。個々の政策の内容や規模面が重要であるということはもちろんでありますが、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども子育てを応援するような社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する、こうした次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。まずは、子ども政策担当大臣の下、今の社会において必要とされる子ども子育て政策の内容を具体化し、6月の骨太方針までに、将来的な子ども子育て予算倍増に向けた大枠を提示をいたします。そして、なお、選択的夫婦別うじ制度の導入については、現在でも国民の間に様々な意見があることから、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると感じています。また、同性婚制度の導入については、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えております。そして、新型コロナの累計見直しと国際クルーズ受入れ再開についてお尋ねがありました。新型コロナについては、原則、この春、新型インフルエンザ等から外し、新たな累計を設けるのではなく、5類感染症とする方向で議論を進めます。そして、その際、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策措置の対応について、医療現場の混乱等を回避するためにも、段階的な移行が重要であると考えており、具体的な内容について検討調整を進めます。国際クルーズ受入れ再開については、国土交通省において、クルーズの安全・安心の確保に関する専門家会議での検討結果を取りまとめた上で、関係業界と検討を重ねてきました。先般、業界団体が作成した感染拡大予防ガイドラインについて、関係省庁において専門家の意見を確認し、安全対策が取られていると判断できたため、昨年11月、国土交通省において受入れ再開を公表いたしました。政府として、引き続き、安心してクルーズを楽しめる環境の確保を図ってまいります。教師不足への 国の対応と、分教政策についてお尋ねがありました。昨年度、文部科学省が行った教師不足に関する調査において、全国の学校における厳しい状況が明らかになったと承知をしており、政府として危機感を持って受け止めております。このため、国としては、教師の成り手の確保のため、講師等の候補者を集めた人材バンクによる情報提供や、求民免許等補助者に対する教職への入職支援などの取組を強化してまいります。また、分教政策については、社会の変化や子どもの状況を見据えながら、学校教育の充実発展を図るべく、地域と共同した学校づくりや、子どもたちの指導に当たる教師の支出向上、そしてギガスクール構想の実現などに取り組んでおり、今後とも、子どもたち一人一人の多様性や個性、あるいは能力を最大限に伸ばすよう、教師不足への対応を含め、分教政策をしっかり取り組んでまいりたいと考えております。そして、障害がある子どもの教育に関する勧告や、包摂的な経済社会づくりについてお尋ねがありました。障害者権利委員会の勧告は、法的拘束力を有するものではなく、また各国ごとに様々な制度があるものと、承知をしておりますが、ご指摘の勧告の、障害のある子どもを包容する教育を推進すべきとの趣旨については、十分受け止め、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取り組みを進めてまいります。具体的には、障害のある子どもの教育については、我が国において特別支援学校等に在籍する子どもが増加する中、本人及び保護者の意向を踏まえつつ、特別支援学校、特別支援学級、通常の学級、いずれにおいても、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り、ともに学べるよう環境整備を進めてまいります。また、豊節的な経済社会づくりとは、施政方針演説で述べたとおり、老若男女、障害のある方もない方も、すべての人が生きがいを感じられる多様性が尊重される社会、意欲のあるすべての方が置かれている環境にかかわらず、従前に力を発揮できる社会を目指すものであり、経済活動においても、社会課題の解決と持続的な経済成長を実現していく上で、そうした社会を目指すことが重要であると考えております。残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。ありがとうございます。
52:41
水岡衆一議員の御質問にお答え いたします教職員定数についてお尋ねがありました 教職員定数についてはこれまでも少子化に伴う生徒の自然源を反映 するとともに社会情勢の変化に伴う様々な課題に対応するため既存 の定数を見直しつつ必要な措置を行ってまいりました こうした考え方の下令和5年度予算においても小学校高学年の教科 担任制の推進や小学校4年生の35人学級の実現などのため必要となる 教職員定数を措置することとしておりこうした対応を踏まえて財政 演説において教職員定数の合理化等を図りつつ必要な措置を講じる と申し上げたところでありますなお令和5年度予算においては学校 における働き方改革の効果を確実なものとするため教員業務支援 員やスクールカウンセラーソーシャル
54:15
ワーカーなど外部人材の活用の ための予算も計上しており教員
54:21
が事業等に注力できる環境を整備 することとしております
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自由民主党山本純三です。会派を代表して岸田総理の政法審議演説と政府4演説について質問をいたします。まず冒頭、このようにマスクを着用せず、この本会議場で質問できることに感謝します。ポストコロナに向けて一歩一歩前進していくことに喜びを感じるとともに、最近の新型コロナウイルス感染症に対して気を緩めることなく、ウイルスとの共存、共生を図るべく対策を講じていく覚悟です。さて、私が参議院に議席を得て19年目になります。それ以前は愛媛県議会議員として21年間、政治に関わってまいりました。その過程で、今日ほど大きな変革の嵐が我が国に押し寄せている時期はなかったと、改めて、理解しております。米ソの冷戦が終結し、グローバリゼーションと相互依存が進む中で、世界の平和と安定が保たれるのではないかという淡い期待は今や儚い夢です。ロシアによるウクライナ侵略は一向に戦争終結の様子が見えません。北朝鮮の弾道ミサイルの発射回数は、昨年30回以上とかつてない頻度で、脅威のレベルも格段に上がっています。中国も尖閣諸島での領海侵入等を繰り返し、台湾周辺でも軍事活動を活発化させ、軍閣のスピードが劣れることはありません。我が国の安全保障環境は極めて厳しいと言わざるを得ません。多くの国民が、今、我が国はこのような変化により、国の存亡と国民の生命が危機にさらされているという不安を抱いていると思います。このような時にこそ、原点に立ち返って、我々政治家は新たな対策を講じていかなければなりません。私の座右の銘は不益流行、不益すなわち、この世には決して変えてはならない大切なことがあり、これは命がけで守らなければならない。一方、流行、すなわち時代の流れに即応して変えなければならないことは、勇気をもって変える。このような考え方の下、何を変えずに守っていくのか、また、何を変えるべきものとして決断していくのかを、政策の原点に立てて、この危機の波が迫り来る時にこそ、国難に対処していくべきと考えています。まさにキーワードは危機管理。日本を取り巻く様々な危機にどのように対処して、国民の生命財産を守り、安心・安全を確保すべきか、安全保障、食料やエネルギー、サプライチェーン、消費化、物価高騰、新型コロナ、地方存続、自然災害といった具体的な危機に絞り込んで、政府の方針について質疑をしてまいりますので、率直かつ前向きの、そして確固たる信念に基づいた答弁を期待するものであります。そこでまず、岸田総理は、国の内外を問わず、かつてないほど様々な問題が複雑に絡み合いながら、我が国の前途に立ちはだかる中、何を守り、何を変革していくのか、その基本的な政治理念について、どのようにお考えか、その一端をお示しいただきたいと思います。昨年末、世耕議員を中心に有志で台湾を訪問し、総統や外交部長らとお会いいたしましたが、まさに、閉域義務を現在の4ヶ月から1年に延長する計画が発表された時でありました。我が国も昨年末に、国家安全保障戦略など、新たな3文書が閣議決定されており、総統はそれを高く評価され、日台双方にとって大変タイムリーな会談となり、与党間の日台外交防衛の2+2の必要性までにも言及されたところです。台湾における有志に対する危機意識の高さが、ひしひしと伝わってくる場面でありました。我が国も厳しい安全保障環境に置かれているという現実を直視せずに、対応を誤れば、国民の生命と安全、国の存亡にとって致命的な事態に陥りかねないところにあることを認識すべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。また、安全保障政策の基軸とある新たな3文書で、選手防衛などを念頭に、戦後の安保関連の基本原則を維持しつつも、安保政策を実践面から大きく転換する施策が展開されることとなりました。すなわち、防衛力強化や反撃能力の保有、そして、年始のG7参加各国への訪問による関係の進化のような外交力強化などの構築が寛容になります。これらの政策転換が抑止力を高め、守るべきものを守るために必要不可欠であるという点について、総理から直接説明願います。さらに、防衛についても外交交渉上、総額の定時による国同士の信頼関係の構築も必要とは考えますが、国難とも言うべき厳しい安全保障環境の変化に対処するために、必要不可欠な施策を積み上げた結果であるということも、しっかり説明していくことが大切だと考えます。総理のお考えをお聞かせください。加えて、ロシアの言動により核兵器を巡る深刻な懸念が高まるなど、厳しい安全保障環境という現実の中で、核兵器のない世界という理想を実現していかなければなりません。総理は、年初の欧州北米訪問の際、G7首脳との会談で、核兵器のない世界の実現について、どのような成果を得られたのでしょうか。また、それを踏まえたG7広島サミットに向けた取り組みについても、総理にお伺いいたします。サイバー攻撃は、露見するリスクが低く、攻撃者側が優位にあることから、その脅威は急速に高まっています。国境を越えて、領土内の重要インフラの機能停止や破壊行為、さらには選挙への干渉、機微情報の摂取等も行われています。ロシアによるウクライナ侵略でも、最初の砲撃はサイバー空間で放たれたと言われております。各国は、サイバー関係の部隊を増強し、中国の戦略支援部隊は17万5千人、その中に約3万人のサイバー攻撃部隊があります。北朝鮮も約6800人のサイバー部隊を抱えています。一方、政府のサイバ ー攻撃に対応する体制は十分とは言えません。そこで、中国や北朝鮮、ロシアなどのサイバー上の脅威にどう対処するのでしょうか。また、高いサイバーセキュリティ技術を有する民間との連携、協力をどう考えていかれるのでしょうか。他に担当大臣にお伺いいたします。加えて、食料危機についてもお伺いいたします。カロリーに着目した食料自給率は、日本の場合40%を切っています。家畜の餌となる飼料の多くも輸入に頼り、飼料自給率は25%に過ぎません。化学肥料の原材料も海外に依存し、その供給が途絶えても厳しい事態となります。昨今の国際情勢下では、食料安全保障について、しっかりと検討と議論を重ねて、国民の食と生活を守り抜く覚悟が必要だと思いますが、総理の御認識をお伺いいたします。その上で、野村農林水産大臣は、食料安全保障に対してどのように取組を強化していくおつもりでしょうか。お聞かせください。我が国の存亡に係る国難として、少子化があります。昨年の出生数は、国が統計を取り始めた明治32年以降で初めて80万人を下回ります。しかも、80万人割れは、国の研究所による予測より8年も早くなっています。その流れに歯止めをかけなければ、社会の活力が失われ、医療や年金、介護など、社会保障制度の維持が危ぶまれることになるでしょう。昨年11月、参議院自民党は、研究提言を取りまとめ、経済対策に10万円相当の出産準備金給付等が盛り込まれました。その上で深刻化した少子化を解決するには、本年4月に本格稼働する子ども家庭調を軸にした、より包括的、総合的な対策の強化・充実が必要です。結婚を望む方々が結婚できるような環境づくり、出産・子育てしたいと思う方々が増えるような環境の整備、キャリア形成も子育ても両立できる環境の構築等に向けて、社会の意識改革も含め、官民挙げて取り組まなければなりません。政府での少子化対策の検討においては、まず叩き台を、次にそれを踏まえて財源の議論を進めるべきだと申し上げます。総理は、自ら掲げる新しい資本主義の取組において、子ども・子育て政策を最も有効な未来への投資と位置付けられております。その総理だからこそ、少子化は日本の縮小だという危機感、そして子ども政策は日本の未来をつくるという期待感、これが国民に伝わるような、ここまでやるのかというほどの大胆な少子化対策を示してほしい。そしてそのことが、次元の少子化対策の展開につながると考えますが、ご決意とご所見をお聞かせください。民間調査機関の調べでは、本年1月から4月に約7,000品目の食品・飲料の値上げが予定されています。消費者物価指数も、昨年11月が3.7%、12月が4%と高くなっています。物価高騰対策や最近の為替動向から物価上昇率も落ち着くという見方もありますが、エネルギーをめぐる国際的な状況の不透明感などから、コスト高の傾向がしばらく続くとの予想もあります。この物価上昇局面で経済をまん延びに転がすには、個人消費を冷え込ませないことが大切であります。その鍵は賃金の上昇です。新しい資本主義を次の段階へ進めるためにも、物価高騰に負けない賃上げは実現されなければなりません。そこでまず、エネルギーや食料品など物価高騰に対する政府の対応をお伺いします。その上で、現下の価格上昇に対応するためには、速やかな賃金上昇、そして、中長期的にはデジタルやグリーンなどの成長産業への労働移動による構造的な賃上げを、総理はどのように進めていこう考えでしょうか、お伺いいたします。次に、サプライチェーン機器について伺います。ウクライナへの侵略を機に、世界中で石油や天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、経済への不安定要素が増しています。ロシアからの天然ガスパイプラインに依存していた欧州各国では、他の国からの天然ガスの確保に莫大なコストをかけています。日本も、石油・天然ガスは他国からの海上輸送に頼っています。仮に台湾海峡等で緊迫した時代となれば、エネルギーの確保は難しくなり、経済的な損失、生活への影響は図り知れません。また、世界の半導体住宅シェアの6割を超える台湾やその周辺に何かがあれば、コロナ禍で半導体のサプライチェーンが滞った際、日本の経済活動が停滞した時以上のダメージを受けることになるでしょう。万が一、このような事態が発生した場合、我が国の経済的な損失は、どのようなことになると見込まれるのでしょうか。その上で、政府としては、エネルギー輸入のための海上交通路の確保や、サプライチェーンの維持等のために、どのように万が一の脅威に対応していくおつもりでしょうか。また、海上輸送に直ぐ海運業や造船業、それを支える船舶工業も、経済安全保障上極めて重要な役割を担っていますが、その役割を安定的に果たすことができるよう、政府としてどのように対応していかれるのでしょうか。これについて、総理にお伺いいたします。地球温暖化問題も、世界そして日本が取り組まなければならない喫緊の課題であります。我が国のCO2排出量のうち、国内産業部門は全体の3分の1強を占めており、その中でも鉄工業などの重工業部門は、その4割以上を占めています。一方、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロの政府目標が達成可能となれば、世界がGXA、火事を切る中、我が国の産業競争力の強化にも、大きく貢献するチャンスにもなります。ただ、革新技術の開発実用化は、そう簡単ではありません。例を挙げれば、現在、鉄工業は、水素還元製鉄といった革新的技術の開発実用化に取り組んでいますが、この次世代技術が確立したとしても、日本にある20数基の航路をすべて水素還元に切り替えるとなれば、約10兆円にもなんなんとする膨大なコストが必要になります。また、電気炉を活用するにしても、世界的に見て割高な日本のエネルギーコストを引き下げることが不可欠です。そこで例えば愛媛県であれば、鉄工業や造船業、製糸業などになりますが、重化学工業が日本の経済、地域の雇用を支えていく重要な産業であるとの認識のもと、カーボンニュートラルを目指して苦悩する企業に対して、どのような支援をされていくのか、国家戦略として位置づけた上での取り組みが必要だと思いますが、総理の御見解を伺います。また、エネルギーコストやエネルギー供給体制の脆弱性への対応も必要です。昨年12月、総理はエネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を両立するため、安全最 優先で原発の再稼働を進めることとしました。その上で、廃炉となる原発の建て替えを念頭に、次世代型の原子炉の開発と建設を進める方針を固められました。また、最長で60年と定められている原発の運転機関について、審査などで停止した機関を除外し、実質的に上限を超えて運転できるようにするなど方針も示したところです。我が国が置かれている現状を踏まえれば、極めて現実的な方向性が示されたと考えております。日本のエネルギーコストと安定供給、そして、脱炭素化の両立のためには、再稼働やリプレイスと次世代型の開発・建設等が必要であることを、具体的に国民の皆様にわかりやすく、総理から説明をいただきたいと思います。(( 音楽 ))東京一極集中と人口の減少が止まらず、地方存続の危機です。少子化と高齢化により、日本全体の人口減少が進む中、大都市圏への人口流入が続けば、地 方はさらに衰退し、我が国を支えてきた土台が崩れてしまうのではないかという不安を覚えます。農業従事者の99%近くは、東京都・大阪府以外の道府県で農作業に従事しています。平均年齢が68歳を超える中、地方の農業生産体制が弱体化し、生産活動が停滞すれば、食料安全保障は危機的な状況に陥ります。原子力や自然エネルギー等による電力の供給も、地方がつくり、大都市が消費するという構造になっています。そもそも、地方で生まれ育ち、教育を受けた人材が、大小試験に吸引され、経済活動を支えている、その地方が衰退すれば、大小試験の成長も持続できなくなります。また、今月、日本海のど真ん中で、さまざまな知恵を発揮しながら、人口増加を成し得ている島根県の天町や、沖ノ島町を訪ねました。日本の領海やEZは、沖諸島のような友人国境離島があってこそです。これら離島地域に住む人がいなくなり、適切な保全ができなくなれば、領海やEZを失われ、そこにある天然資源も失われてしまいます。大都市だけで我が国は持続できない、ということは明々白々です。また、霞が関での志向に基づく、政策立案だけにとどまらずに、天町で展開されているような、地方独自の政策への支援策を、タイムリーに講じていくことの重要性を認識すべきです。そこで、総理は、当初部を含め、玄海市町村と称される自治体が増加し、地方の衰退への危機が高まる中、我が国における地方の意義と将来を、どのようにお考えでしょうか。さらに、大都市県と地方が共に支え合う、持続可能な国づくりをどのように進めていく、お考えでしょうか。そして、岡田担当大臣におかれては、持続可能な国づくりに向けて、大胆な地方総政策を進めるべく、どのように政策を展開されようとしているのか、お伺いをいたします。地方に生活する者にとって、移動手段の確保は深刻な問題です。高齢者が車の運転をやめようとしても、地方では免許を手放した後の移動手段の確保が、難しいのが実情です。人口減やコロナ禍により、地方公共交通を担う地方鉄道会社やバス会社も、危機的状況に置かれています。経営効率を努めることは、経営効率下に努めることは前提ではありますが、地域の活力が失われている危機に直面するなど、経営努力や地方からの支援だけで乗り切るのは、極めて難しく、大変厳しい状況にあります。かといって、廃線してしまえば、地方は負のスパイラルに陥ります。確かに、新型コロナの感染拡大に伴い、リモートワーク等の経験する中で、大都市圏から地方への人の流れが大きくなる、ポストコロナ社会に向けた、新たな帯同も感じられるようになりました。この動きを加速化させるには、人体における神経のような、デジタル基盤の整備はもちろんのこと、骨格や血管にあたる交通網により、全国が一体的なネットワークで結ばれることが不可欠です。そこで、経営的指向一変等ではなく、我が国の国土をどのように維持、発展させていくのか、という視点を持つ必要があります。すなわち、国土のグランドデザインを描くということです。四国新幹線や三井新幹線を含めた、高速鉄道ネットワークの整備、そして、地方の隅々まで人々や物資を運ぶ、地方鉄道や路線バスといった、公共交通網の整備と維持について、国が大きな責任とビジョンを持って、政策を進めるべきと考えますが、総理のご見解をお伺いいたします。気候変動がもたらす自然災害の激甚化、頻発化も深刻な問題です。私は、防災担当大臣就任時、平成30年7月豪雨など、大規模な災害が発生した被災地に、何度も足を運び、被災自治体の皆さん方と意見交換を行いました。その中で、自然災害は決まった形態ではなく、各地域、被災地によって、異なってくるという特徴があると、強く感じてきました。人の命を守り、生活を守るためには、地域地域で、実情を踏まえながら、緊急度の高い防災・減災、国土強靱化事業を、着実に進めていかなければなりません。そして、次の段階として、今の5カ年加速化対策では、まだまだ不十分であるからこそ、地域の声を反映させて、しっかりと対応していくことが求められています。ハードのみならず、ソフト面での対策も重要です。地元の状況を頭に入れ、膝というときには、的確な指示を下すことができる、防災リーダーの存在や、日頃からの地域ぐるみの防災訓練は、極めて重要です。実際、優れた防災リーダーを有し、防災訓練でやるべきことが身についていた集落等では、犠牲者を出さなかった、という事例が数多くあります。ぜひとも、政府には、ハード面、そしてソフト面の双方から、5カ年加速化対策の速やかな実施、さらに、その次を見据えた、中長期的な対応について、検討していただきたいと思いますが、総理のご見解をお聞かせください。新型コロナウイルスの感染が、国内で初確認されてから、今月で3年となります。地球誕生から46億年。ウイルスの起源は、30年から40億年前に遡ります。たかだか誕生から数百万年ないし、数万年という人類にとって、戦うにしても共存するにしても、実に厄介な相手であることは間違いありません。しかしようやく明るさが見えてきました。ワクチンや治療薬も開発されるなど、戦い方もわかってきました。政府は、今春を視野に、二類相当から五類へと見直す方針で検討しています。新規感染者が減少傾向にあり、懸念された変異株の流入も、確認されていないことなどから、コロナ禍からの社会の正常化を進めていく時期と考えます。ただ同時に、医療費の全額交費負担が続くのか、重症化リスクの高い人たち、特に高齢者などへの医療提供体制はどうなるのか、またマスク着用はどうなるのかなどについて、国民の皆さんが不安を持つことがないように、春の見直し時期までに、しっかりと準備を進めて、明確に示してほしいと思います。これらの点について、総理のお考えをお聞かせください。冒頭にも申し上げましたが、憲法についても、その基本理念たる国民主権、平和主義、基本的人権の尊重などを必ずや守り抜くと同時に、時代の流れに応じて、変えるべきは勇気を持って変えていくべきであると、確信するところです。本当に今の憲法の条文で、現にウクライナで起こっているような、力による一方的な現状変更という、暴挙の現実化から国民を守ることができるのか、大規模災害が発生したときに、国家の機能を維持することができるのか、あるいは人口源に悩む地方の方々の声を、国政に反映させることができるのか、憲法をめぐる重要な問題を議論し、国民の皆様の前にお示しすることは、国会の役目であると考えています。この時代の大きな転換期にあって、政府においては問題を先送りせずに、正面から愚直に挑戦し、政権運営に臨んでほしいと思います。そして私たち立法府においても、最終的な判断は主権者である国民の皆様の権利である、このことを強く認識しながら、この議論を真正面から進めていかなければなりません。親党の立場を超えて、真摯な議論がしっかりと展開できるよう期待するところです。このことを最後に強く訴えて、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。
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山本純三議員のご質問にお答えいたします。基本的な政治理念についてお尋ねがありました。私は内閣総理大臣として直面する様々な課題を乗り越え、平和で安全安心で豊かな日本という国を守り、次の世代に引き継いでいくことが私の使命だと考えています。守るべきものはこうした国の有り様であり、そこで暮らす国民の暮らしです。今は歴史の分岐点を迎える中にあって、守るべきものを守るために必要であれば、様々な制度、予算、さらにはこれまでの常識など、政治の力で変えられるものは全て変えていく覚悟を持ち、この内閣に立ち向かってまいります。例えば、いざという時に国民の命を守り抜くために、平和国家としての我が国の有り様は一切変えることなく、防衛力の抜本的強化に取り組みます。また持続可能で豊節的な経済社会をつくっていくために、民間の活力を重視するという基本は変えずに、民の力を引き出すための新たな官民連携を進め、新しい資本主義を実現してまいります。こうした考えのもと、これからも我々が直面する課題に、正面から愚直に向き合い、一つ一つ答えを見出すために全力を尽くしていきたいと考えております。我が国の安全保障環境及び安全保障政策についてお尋ねがありました。御指摘のとおり、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中でも、政府の最も重要な責務として、国民の命や暮らしを守り抜かなければなりません。そのためにまず優先されるべきは、首脳レベルを含む積極的な外交の展開ですが、同時に外交には裏付けとなる防衛力が必要です。いざというときに国民の命を守り抜けるのかという観点から、反撃能力保有を含む防衛力の抜本的強化を具体化した今回の決定は、戦後の安全保障政策を大きく転換するものですが、抑止力対処力を高めるために不可欠なものです。外交力防衛力を含む総合的な国力を最大限活用しつつ、3文書で示した政策を早急に取り組んでまいります。防衛費の考え方についてお尋ねがありました。防衛力の抜本的強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に退治していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。1年以上にわたって活発な議論を積み重ねており、その過程において必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛費の規模を導き出しています。政府与党の決定を踏まえて、今国会に令和5年度予算を提出しており、与野党との活発な国会論戦を行ってまいります。それによって、さらに国民の皆様への丁寧な説明も行ってまいります。核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。ロシアの核兵器による威嚇などにより、現在、核兵器のない世界に向けた道のりは、一層厳しいものになっています。このような中、先般の欧州北米訪問では、核兵器のない世界に向けた取組について、各国首脳と議論を行い、G7広島サミットの成功に向けて、引き続き緊密に連携していくことを確認いたしました。G7広島サミットにおいては、広島と長崎に原爆が投下されてから77年間、核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることは、決して許されないとのメッセージを、力強く世界に発信するとともに、広島アクションプランをはじめ、これまでの取組の上に立って、国際研議会議の英知も得ながら、現実的かつ実践的な取組を進めてまいります。食料安全保障についてお尋ねがありました。現下のウクライナ情勢を受けた、世界規模の食料危機の中、食料安全保障の強化は、緊急の対応が必要な世界の重要課題の一つです。我が国としては、昨年末決定した食料安全保障強化政策大綱に基づき、輸入に依存する肥料・飼料・主要穀物の国産化推進など農業構造の転換を力強く進め、国民生活に直結する食料の供給基盤を確かなものにしていきます。その上で、来年度中に食料農業農村基本法改正案を国会に提出することを視野に、6月をめどに食料安全保障を含め、食料農業農村政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。消費化対策への決意等についてお尋ねがありました。急速に進展する消費化により、昨年の出生数は80万人を割り込むと見込まれ、我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれています。子ども子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題だと考えます。子ども子育て政策は、最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面はもちろんのこと、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢性別を問わず皆が参加する、次元の異なる消費化対策を実現したいと考えております。まずは、子ども政策担当大臣のもと、子ども子育て政策として充実する内容を具体化し、6月の骨太方針までに 、将来的な子ども子育て予算倍増に向けた、大枠を提示いたします。物価高騰への対応と、賃上げの取組についてお尋ねがありました。政府はこれまで物価高の主因たる、エネルギー、食料品等に的を絞り、燃料有激減緩和や、肥料高騰対策、特に経済的に厳しい世帯への5万円の給付金など、累次にわたりきめ細やかな対策を行ってきたところです。さらに、電気都市ガス料金の負担緩和策によって、今月使用分より、家庭において電気料金の2割程度を値引きすることなどにより、燃料有価格の対策と併せて、来年度前半にかけて、標準的な世帯において、総額4万5千円、エネルギー価格高騰の負担を軽減いたします。また、木下の物価高に対する最大の処方箋は、賃上げであり、まずはこの春の賃上げ交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、下請地面の体制充実等による価格転嫁対策の強化、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇など、政策を総動員して環境整備に取り組みます。その上で構造的賃上げの実現に向け、企業間、産業間の労働移動円滑化等に対する支援として、5年1兆円の政策パッケージを着実に実行してまいります。エネルギーや半導体の安定調達、サプライチェーン維持に向けた取り組みについてお尋ねがありました。ご指摘の事態が発生した場合の影響については、様々なケースが考えられることから、経済的な損失など数字を一概にお示しすることは困難ですが、一般論として、例えばエネルギー供給の途絶や大幅な縮小、あらゆる製品に組み込まれ、産業に不可欠である半導体の供給途絶は、国民生活や経済活動に甚大な影響を及ぼし得ると考えており、影響を最小化する取り組みが必要です。エネルギーについては、省エネの徹底に加え、石油の備蓄、民間企業にお ける戦略的なLNGの余剰在庫確保など、万が一の脅威への備えへの充実、再エネの最大限導入、安全性が確保された原子力の活用など、多様なエネルギー供給源の追求、LNG調達先の多額化などに取り組んでいきます。半導体についても、有志国等との連携強化とともに、令和4年度補正予算において、国内の製造拠点整備等への、約1.3兆円の支援策を講じています。また、我が国の国民生活や経済にとって重要な物資の安定供給を確保すべく、昨年成立した経済安全保障推進法の活用も含め、サプライチェーンの維持に万全を期します。そして、この経済安全保障推進法では、海運や造船を支える船舶用の部品も特定重要物資として指定しています。併せて、海事産業強化法に基づき、我が国海運業による船舶の導入促進と造船業の基盤強化を進めます。こうした取組により海上輸送を支える海運や造船、舶用工業がその役割を安定的に果たせるよう取り組んでまいります。カーボンニュートラルを目指す重化学工業への支援についてお尋ねがありました。我が国GDPの1割を占める重化学工業は、日本経済を支える屋台骨である一方、CO2を多く排出する産業セクターでもあります。このため、カーボンニュートラルに向けては、これまでにない技術を確立し、化石燃料を使わない製造プロセスの社会実装を進めていくことが必要です。例えば、鉄工業については、グリーンイノベーション基金等により、水素還元製鉄など革新的技術の開発を支援しています。さらに、より広く製造業の製造プロセスの転換を促すため、省エネ低炭素化に資する設備導入支援を強化していきます。また、今後、成長志向型カーボンプライシング構想の下、民間企業だけでは投資判断が困難であり、産業競争力強化、経済成長と排出削減のいずれにも貢献する分野を対象に大胆な支援を行ってまいります。原子力政策についてお尋ねがありました。歴史上初の世界 エネルギー危機に直面していると言われる中、エネルギー政策については、いわゆるS+3Eの原則の中で、近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるか、これが重要となります。我が国の低いエネルギー自給率、高い中等依存度、再エネ適時が限られているといった厳しいエネルギー供給の状況を踏まえると、再エネ導入を最優先とし、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める必要があります。具体的には、引き続き厳しい規制基準に基づき、厳格な安全審査を行った上で、年末にお示ししたGXに向けた基本方針では、既存の原子力発電所の再稼働を進めるとともに、一定の停止期間に限り運転期間の追加的な延長を認めること、新たなメカニズムを組み込んだ次世代核心炉の開発建設に取り組み、廃炉決定した炉の建て替えを進めること、最終処分を含めたバックエンドに政府を挙げて全力で取り組むこと、こうしたことを盛り込んだところです。この方針については、今後各地で開催する説明会などを活用して、直接国民の皆様の声に耳を傾けるとともに、国会での議論を通じて政府の考えを説明するなど、あらゆる機会をとらえて丁寧に説明をしてまいります。地方の意義と将来についてお尋ねがありました。新しい資本主義の主役は地方であり、成長と分配の好循環を図り、我が国の経済社会を持続可能なものとしていくためには、各地域でデジタル実装を加速化し、地方から全国にボトムアップの成長を目指す、デジタル田園都市国家構想を実現することが重要です。テレワーク普及をはじめ、デジタルの力で物理的距離がマイナス要素でなくなりつつある中、大都市の人材と地方の企業がつながり、イノベーションが創出されるなど、