19:35
これより会議を開きます。内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。本日は本案審査のため、参考人として、公益社団法人日本医師会常任理事 永島 紀之君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長 富田 珠代君、
20:03
公益財団法人東京財団政策研究所研究主管 森信 茂君、株式会社ニューストーリーズ代表取締役 太田 直樹君、以上4名の方々にご出席いただいております。この際、参考人各位に一言ご挨拶を申し上げます。本日は、ご対応のところ、本委員会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。
20:28
参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から、 忌憚のないご意見をお述べいただきたいと存じます。次に、議事の順序について申し上げます。まず、参考人各位からお一人10分程度でご意見をお述べいただき、 その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。なお、念のため申し上げますが、ご発言の際は、 その都度、委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。
20:56
また、参考人は、委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、 あらかじめご了承を願います。それでは、まず、長嶋参考人、お願いいたします。日本医師会で、情報、IT化、医療保険などを担当しております、 常任医師の長嶋でございます。本日は、医療の現場の立場から、意見を申し上げます。
21:22
マイナンバーカードと健康保険証を一体化した、 マイナ保険証によるオンライン支価確認システムを基盤とする医療DXは、 是非とも推進すべきと考えております。資料、お手元の2ペー ジをご覧ください。では、なぜ、今、医療DX、すなわちデジタル化、 IT化による変革が必要になったのでしょうか。それは、医療を取り巻く状況が大きく変化したからです。
21:50
まず、医療提供体制といたしましては、 医療機関の機能が専門化、分化が大きく進んでおります。1つの病気、1つの怪我であっても、 まず、救世機、回復機、慢性機、あるいは在宅など、 それぞれの機能を提供する医療機関が分化してまいりました。次に、患者さん側の状態も変わりました。
22:16
昔は、救世機や怪我が中心でしたので、 1つの病院で完結しておりました。しかし、現在は複数の病気を抱える、 慢性の状態であるという方が大きく増えております。また、介護も必要となってまいりました。したがいまして、現在は、地域の医療機関の間の連携、 医療と介護の多色種連携の必要性が大きく増大しております。
22:45
ところが、そこで重要となる、 医療情報の共有に関しまして、医学の進歩によりまして、 医療情報が大きく、種類も量も増大してまいりました。したがって、従来の紙の紹介上でのやりとりでも、 十分な場合もまだございますが、それだけでは十分ではない、あるいは大きな負担がかかる ということが増えてまいったということでございます。
23:10
また、医療関係者の様々な業務も増大し、 負担も大きくなっております。さらに、今後、人生100年時代を迎えまして、 国民ご本人が主役となる健康増進、健康寿命延伸が大変重要です。その際には、ご本人がご自分の状態をよく把握していただいて、 把握に基づき、しっかりと生活習慣を改善したり、
23:36
また、適切かつ必要な医療を継続する ということが重要です。これには、今までのやり方では十分対応できない IT化、デジタル化が必要となってまいりました。3ページをご覧ください。こういった状況の変化を踏まえま して、 日本医師会では、2016年に「日IT化宣言2016」として、 今後の指針を示しました。
24:00
その中では、医療機関が安心・安全・安価に 地域医療連携に活用できる、医療専用ネットワークの構築を目指すべき、また、地域医療連携、医療介護の多色種連携を ITで支えるという方向性を示しました。今まさに、国が進めております医療DXの中核となる 全国医療情報プラットフォームは、まさに、この日本医師会の考えを実現したものと考えております。このプラットフォームは、マイナンバーカードによる オンライン資格確認システムのネットワークをさらに拡充して、介護を含む医療全般にわたる情報について、 共有・交換できる全国的なプラットフォームです。日本医師会としまして、このシステムがまさに、 今後の医療DXの基盤となるもの。
24:51
これが、まず何よりも、国民・患者の皆様に、 安心・安全で、より質の高い医療が提供できるもの。これは、日常の診療だけではなくて、 例えば、災害や救急など、まさに、命に直結する場面においても、 非常に有用であるというふうに考えております。また、医療現場の負担軽減にもつながるということで、 現在、全面的に協力しております。
25:17
4ページをご覧ください。 ただし、注意すべきことがございます。医療は、国民の健康と命にかかることですので、 誰一人取り残されるということがあってはございません。これは、国民の皆様はもちろんのことですけれども、 その国民に医療を提供している、全国の医療機関や介護施設、ここが取り残されてしまえば、 肝心の医療・介護は提供できません。
25:46
また、全国の医療現場も決して取り残されることは あってはならない。そこに対して、国としてしっかりと、丁寧、きめ細かい、 持続的な支援を必要と考えております。さて、デジタル総務厚生労働大臣による、 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会におきましては、一体化に向けた課題を整理して、 必要な検討を実施しようということがまとめられました。そのもとに、おかれました専門家ワーキンググループに、 私も参加して、さまざまな意見を申し上げました。本年2月には、その中間取りまとめが作成されましたので、 これに沿ってしっかりと対応を進めるということが重要かと思っております。5ページ目です。まず、何よりも重要なことは、このマイナ保険証の意義、メリットを、 国民の皆様、医療現場の皆様にしっかりとご理解いただくということです。
26:44
最大のメリットは、何よりも、これまでの、 例えば薬の副用理歴などを含めた医療情報を、正確かつ網羅的に医師等に説明できるということで、 これは手間を省くということ以上に、そもそもそのような詳しい細かいことを ご記憶なさっているという方は、ほとんどいらっしゃいません。つまり、これが今まで不可能でした。 これを可能にするということが最も重要です。
27:12
今までの様々な健康医療データに基づいて、 より安全で適切な医療を受けることができる。一方、医療機関側としては、医療を提供することができる。 これが最大のメリットと考えております。したがいまして、こういうメリットがあるんですよ。 この意義を国民の皆様に広く知っていただく。そして、マイナーバーカードをしっかり取得していただいて、 健康保険証と一体化していただく。
27:40
これが最も重要なことと考えております。また、このことを医療現場の皆様にご理解いただくことも 重要と考えております。6ページです。では、中間取りまとめで示された 一体化に当たっての取組は何かと申しますと、この両括弧1から両括弧8まででございますが、 この中には法律上の対応が必要というものがございました。
28:05
これがまさに今回の一部改正において、 対応されたものと思い、大げ感言しているところでございます。例えば、両括弧1のマイナーバーカードの 特急発行交付の仕組みの創設。両括弧3の市町村によるマイナーバーカードの 申請受付交付体制強化の対応ということ。例えば、市町村から指定 された郵便局で 可能となるというようなこと。
28:30
また、両括弧4、健康保険証廃止後の 資格確認の取扱いということで、資格確認証が提供されるということ。また、両括弧7の入用時のマイナーバーカードということで、 顔写真を不要とするということで、このような適切な対応が今回の法改正によって 行われるということで、これはぜひ進めていただければと思っております。それ以外にも、両括弧2の環境整理、 あるいは両括弧5のタイムラグへの対応、
28:58
また、両括弧6の実務上の課題ということで、特にここにおいては、第三者による マイナーバーカードの取扱いということが現実的には必要となりますが、その際に、 預かる側、管理側の不安を解消するような環境整備というのも、大変重要かと思っております。また、国民のご利益を得るということで、 両括弧8の説明会も大変重要かと思います。また、これは中間取りまとめですので、 最終取りまとめの中には、
29:27
これに追加される取組もあるかと思います。ここのところをしっかりと実現していくということが、 極めて重要と考えております。最後、7ページでございます。医療DXは、国民の命と健康を守るに 大きく貢献しますので、ぜひ推進すべきと考えます。その医療DXの基盤となるのが、マイナーバーカードと 健康保険証の一体化に基づく
29:52
資格確認システムですので、これも ぜひとも推進すべきと考えております。私からは以上です。
30:03
ありがとうございました。 次に、冨田参考人、お願いいたします。
30:14
ただいま、御指名をいただきました 連合の冨田でございます。
30:19
まずは、このような場で、私たち連合の意見を 表明する機会をいただき感謝を申し上げます。連合には約700万人の組合員が集っており、 本日は働く者、生活者の立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。はじめに、マイナンバー制に対する 連合の考え方を申し述べます。連合は、納税者共通番号制度の頃から、 いわゆるマイナンバー制の早期導入を求めてまいりました。その理由が次の2点です。
30:47
1点目は、税による所得再分配機能の強化です。コロナ禍では、諸外国と比して、 日本のセーフティーネットの脆弱性が露呈をしました。マイナンバーを使って正確な所得把握ができていれば、 真に支援が必要な層に対して、申請型ではなくプッシュ型の給付が 実現できたと考えます。加えて、すべての預貯金口座を マイナンバーに紐づけることができれば、
31:12
金融所得を含む所得 税の総合課税化を実現するとともに、 低所得者対策として、給付付き税額控除制度を構築することも可能となります。2点目は、安心と信頼の社会保障の実現です。データ基盤の整備推進を通じた 医療・介護の情報連携の向上により、本人にとっては良質な医療・介護サービスの 受領が可能となりますし、
31:38
自分の健康情報を確認できることによって 健康意識が高まることも期待されます。これらを実現していくには、いまだ根強く残る マイナンバー制の不安や誤解を払拭し、マイナンバーカードの普及促進を図るため、 安全性の一層の周知や個人情報管理体制の強化を行っていくことが必要です。また、オンライン申請など利便性の周知を 徹底するとともに、
32:04
マイナンバーカード国民の利便性向上を図るためにも、 行政手続のデジタル化やマイナンポータルの活用を推進していくべきと 考えてございます。連合としても、お 手元にチラシを お配りさせていただいておりますが、マイナンバー制度に対する理解や、 マイナンバーカードの取得促進に向けたチラシを作成し、組合員へのマイナンバーカードの 取得の働きかけを行っているところです。
32:29
本日は、こうした考え方に基づきまして、 特に個人番号の普及促進策、戸籍などの記載事項への 氏名の仮名表記の追加、行政機関等経由登録等の特例制度の創設の 3点につきまして、実施に際して国民への丁寧な説明が必要との観点に 立って、意見を申し述べます。1点目は、個人番号の普及促進策です。
32:57
マイナンバーカードと健康保険証の 一体化の推進に当たっては、大前提として、医療DX推進基盤となる オンライン資格確認などのシステムの導入が必須です。先月よりシステム導入が原則義務化をされましたが、 運用開始状況を見ると、完全導入にはいたっておりません。また、医療機関などに対しては、導入促進のための 進路報酬 上の加算も講じられておりますが、
33:24
さらなる導入促進策の周知徹底、 取組の加速化を図ることが重要です。そもそも、医療DX推進によるメリットは何かということが、 国民に十分理解されていないのではないでしょうか。医療DX推進によって、自分の健康情報を 確認できるようになることで、健康意識が高まることや、データ活用で医療の質が向上されることなどが 期待ができます。
33:53
本来は、こうした点について、 教訓認識が醸成された上で、システム導入などの各種政策を 進める必要があると考えます。なお、今回の法案では、 資格確認書の仕組みの整備などが盛り込まれています。資格確認書は、マイナ保険証を所持していない人が 医療を受ける際に必要な規定と考えますが、同時に、従来の保険証配置により、 患者や国民、医療機関などにとって、
34:20
不 便や過度な負担にならないようにすることも必要です。改正法案の概要資料にも書かれているように、 国民会保険のもと、全ての被保険者の円滑な保険診療を可能にするためにも、現場や当事者の声も含めて進めていただくことを 求めたいと存じます。2点目は、戸籍などの記載事項への 氏名の金表記の追加についてです。
34:45
法改正の中間試案の補足説明の中には、 氏名の金表記を法制化する必要が高まった背景の一つに、我が国における社会全体のデジタル化の推進、 特にベースレジストリとしての整備を推進する方針が定められたことが挙げられており、 また、登録交渉が必要な理由として、正確に氏名を呼称することが可能となる場面が 多くなることによって、
35:12
他人から事故の氏名を正確に呼称される 権利・利益の保護に資するとあります。本日はこの点に立って、特に国民への丁寧な説明が 求められる点について、2件、1点を申し述べます。1点目は、氏名の金表記の許容性及び 氏名との関連性についてです。戸籍法第13条に、氏名の金表記は、 氏名として用いられる文字の読み方として
35:40
一般に認められているものでは ならないとする規律が設けられます。一般に認められているものは、読み手によっては、 すでに読み方として、一般社会に認められているもの以外は 認めないと解釈されることも懸念されます。この点について、法制審の中では、 名乗君のような創造的な読み方が制限されることを危惧する意見が多数を占めてございました。
36:05
そのため、要求案の補足説明では、 命名文化や名乗君が創造される監修を否定したり、その創造を制約したりするものではなく、 それらを前提として、常用漢字表の制定経緯や、 名乗君が多用されてきた歴史的経過も踏まえて、氏名の金表記の許容性及び氏名との関連性に 係る審査について、規律を設けるものであるとあります。
36:31
さらに、名を書きでは、国民への周知に当たっては、 以上のような本部の規律の趣旨についても併せて周知することが考えられるとされてございます。したがいまして、国会審議においては、 この読み方の許容性の範囲が狭まることのないようにご利用いただきつつ、国民への周知の方法についても ご議論をいただきたいと存じます。二つ目は、読み方の届出についてです。
36:58
国会審議に読み方を付すにあたっては、 1億2千万人を超える全ての国民が自ら届けられる必要があるわけですが、 高齢者やDV被害者など届出が困難な層への特段の配慮が不可欠です。併せて、膨大な届出を受ける地方自治体の負担軽減策の 検討も求めたいと存じます。三点目は、行政機関等経由登録の 特例制度の創設についてです。
37:24
今後進めていく上で、丁寧な対応が必要と 考える点について申し述べます。口座登録通知に不同意の回答をしない場合は、 自動的に口座登録されると認識をしてございますが、まずは国民にこのことを周知をし、 国民全員から同意を得られるように取り組むべきであり、回答までの期間については、 十分な期間を設けるべきと考えます。
37:49
また、通知を受け取ることが困難な層、 特に視覚障害者や療養中の方などへの十分な配慮を行うべきと考えます。併せて、今回は人給受給者が対象であり、 事務手続は日本人金機構が担うとされておりますが、通常の業務に付加されるものですので、 人員増など負担軽減策の検討も必要と思います。
38:13
また、本施策の実施によって、システム回収や 郵送代など少なからぬ費用が発生すると思いますが、この費用が年金財源から手当てされることのないよう、 しっかりとした予算措置を求めておきたいと存じます。最後に、今回の特例措置により登録した 口座の利用目的が安易に拡大され、流用されることではあってはならないと 考えておりますので、この点についても十分な御議論をお願いしたいと存じます。
38:40
以上申し上げまして、私からの陳述といたします。 御清聴どうもありがとうございました。ありがとうございました。 次に森信参考人、お願いいたします。おはようございます。東京財団政策研究所の森信でございます。
39:09
私からは、マイナンバーを活用した デジタルセーフティネットの構築の必要性についてお話をさせていただきたいと思います。現在、本委員会でマイナンバーの利用範囲の拡大、 マイナンバーカードの普及、利用促進などの法案が審議されていますが、
39:29
マイナンバーやマイナンバーカードを活用した行政手続の簡素化、 利便性の向上という点については順調に進んでいると考えております。一方で、マイナンバーを活用し、国が取得している所得情報を 国民生活の安心につなげる給付制度、私はこれをデジタルセーフティネットと呼んでおりますが、
39:56
その構築という面において、つまりインフラの整備と制度の構築という両面においては 遅れているのではないかと感じております。マイナンバー制度の趣旨・理念を改めて、 社会保障・税・番号法対抗で確認しますと、社会保障と税を一体で運営し、 効果的・効率的な政策を実現することとなっております。
40:24
具体例を挙げてみたいと思います。政府は、物価対策として、低所得世帯に一律3万円の給付、子育て世帯には別途子ども1人当たり5万円の給付を行いますが、その判断基準は、住民税・非課税世帯かどうかとなっております。
40:46
住民税・非課税世帯で子どもが2人おられる場合には、 3+10で13万円の給付がもらえますが、住民税を少しでも負担しておればゼロになります。これまで、コロナ対策として、1世帯当たり10万円の臨時特別給付金なども行われてきました。その対象は住民税・非課税世帯でした。
41:13
しかし、このように住民税・課税か非課税かというアナログ的な基準に基づいて、給付を受けられるかどうかという制度設計は、次のような問題を生じかねません。住民税の課税最低限、つまり単身の給与所得者の場合には年収100万円、会社員、専業主婦、子ども1人の3人世帯では年収205万円、この以下では住民税が非課税になりますが、先ほど述べた給付金がもらえるということになれば、ここのところで就業・就労調整を行う壁を作っている可能性があります。今、大きな社会問題になっている106万円や130万円を超えると、本人の社会保険料負担が生じ、就労調整が起きるという問題にも通じるところがあります。
42:12
我が国は現在、マイナンバーで納税者全員の収入所得情報を把握しているわけで、それをうまく活用して給付と組み合わせる制度を構築すれば、このような壁はなくなり、無駄な給付を排除するとともに、住民税を負担しているが困窮している家庭への給付なども可能になると思います。
42:37
さらには、このような制度を所得の不安定なフリーランスやギブワーカーにも広げて、新たなセーフティーネットを構築することもできます。欧米には、専業主婦などが新たに労働市場に参入する際に生じる逆転現象をポバティートラップ、つまり貧困の罠と捉えて、番号で収入と給付を連動させて対応する制度が導入されています。
43:06
例えば、オランダでは、勤労によって生じる社会保険料負担を低所得の間は軽減する制度を個人に適用し、就労の促進を図っています。英国では、税や社会保険料を差し引いたネットの世帯所得に低減型の給付を与える制度を導入し、労働インセンティブを与えてこの問題に対応しております。
43:35
これらの制度は、給付付き税額控除と呼ばれ、番号で個人や世帯の所得を把握して、税と社会保険料負担を一体的に捉えた上で設計されております。先ほど、連合の方からもこの制度についての言及がありました。欧米諸国で積極的労働政策の一環として広く導入されているグローバルスタンダードな制度といえます。
44:04
マイナンバー制度が普及してきた我が国でも、所得と給付を連動させ、きめ細かい給付が行われるようなインフラ整備と制度の導入を進めていく必要があると思います。このような制度は、単に逆転現象を防止するだけではなく、勤労インセンティブを強要する、いわゆるトランポリン政策として大きな意義を持っております。
44:29
このような制度構築に向けての努力がマイナンバーへの国民の信頼情勢につながると考えております。私は、番号を活用して収入所得情報と社会保障などの給付を連携させる姿をデジタルセーブティーネットとして提言してきましたので、もう少し具体的な話をしたいと思います。
44:57
制度設計の肝と言うべきは、給付を行う社会保障官庁や地方自治体がデジタル手続法のワンス オンリーの原則に則り、国税当局・税務当局の所有する所得データを広く利用できるデータハブを作るということです。
45:19
給付を行う社会保障官庁などが、給付事務に当たって所得情報をフルに活用できるシステムで、一方でデータの一元管理が最高裁の判例で禁じられておりますので、ハブという概念で整理をしております。
45:37
具体的には、企業が従業員の給料や契約先の個人への報酬などの支払情報をデータ化して税務当局に提出します。これは今もこういう資料を提出しているわけです。それをデータ化して提出するということです。
45:59
社会保障官庁などは、その業務の必要に応じ、必要なデータをそこから入手し、給付事務に活用します。このような情報連携をスムーズに行うためには、関係者間の主主義務の解除や目的外利用などの問題もあるので、仕組み全体をハブということで法令で定めることが望ましいと思います。
46:23
企業による所得情報の提出頻度を月次、つまり毎月にまで高めれば、個人や家計の所得に応じたきめ細かく精度の高いプッシュ型給付も可能になります。
46:38
英国では、企業から従業員の所得情報が毎月歳入関税庁、日本の国税庁ですが、ここに報告され、その情報が労働年金賞に提供され、中低所得者の有資格者に毎月給付が行われる「ユニバーサルクレジット」という制度が導入されております。
47:03
我が国でも、働き方改革などで増加したフリーランスやギブワーカー、さらには副業などの収入情報をマイナンバー制度と法定聴取制度を活用して、プラットフォーマーや業務を発注する企業などから税務当局が効率的に集め、情報連携をすることが可能になれば、広く勤労者全体をカバーしたセーフティネットの構築が可能になります。
47:31
デジタルセーフティネットというコンセプトは、デジタル庁も共有しており、様々な検討が進められていると承知しております。
47:41
2025年には、ガーメントクラウドにおいて、情報連携の基盤である公共サービスメッシュの構築が行われ、住民データを保持している自治体の基幹業務システムについて、データの標準化やガーメントクラウドの活用を進めることが可能になります。
48:02
これにより、ガーメントクラウド上で自治体が保有している住民データを給付等のサービスにおいて、円滑に活用していくインフラが実現します。このようなことを念頭に置いた上で、我が国でも所得に応じてきめ細かい各種給付ができる制度の構築を検討していただきたいと思っております。
48:27
繰り返しになりますが、マイナンバー制度の理念は、より公平・公正な社会の実現、社会保障がきめ細やかかつ的確に行われる社会の実現です。国民の将来不安を軽減するデジタルセーフティネットの構築は、我が国経済社会の安定的な発展に寄与するものと考えます。以上です。よろしくお願いします。
48:57
ありがとうございました。次に太田参考人、お願いいたします。
49:09
株式会社ニューストーリーズの太田と申します。よろしくお願いいたします。
49:15
2015年1月から国民一人一人に番号が付番をされまして、翌年1月からマイナンバーカードの交付も始まっておりますが、ちょうど同じ時期に、具体的には2015年1月から2018年8月まで、私は総務大臣、後にマイナンバーカード担当大臣も兼務された大臣の補佐官をしておりました。
49:37
その前は、世界的なコンサルティング会社のアジアのテクノロジーの統括をしておりまして、データ利活用に関して日本だけではなく海外の知識、経験を持っております。大臣補佐官退職後は、自分の会社を起業しまして、地方におけるデータ利活用の支援をしております。
50:02
こうした 経験を踏まえて、今日は3点。まず現状認識、それから次に今回の法改正に対する私の意見、最後に今後の課題を申し上げたいと思います。
50:15
現状認識ですけれども、プライバシーあるいはセキュリティ等の個別の大事な論点はありますけれども、全体としてマイナンバー制度がどういうものなのかという共通認識があった方が、建設的な議論ができるというふうに考えて申し上げます。
50:33
3点申し上げます。まず1点目は、海外と比較した日本の選択についてです。我が国の個人番号制度の導入は、同時に海外に比べるとかなり広発になります。
50:49
そして、選考事例を見ますと、番号制度の導入の仕方、利用の仕方は非常に様々な幅があることがわかります。そうした中で、日本の選択については、ご記憶かと思いますけれども、2010年に専門家や様々なステークホルダーが参加をして、国民的かつ集中的な議論がされております。
51:14
当時、個人番号の利便性とそれに対してセキュリティ・プライバシー等の不安は比例するという認識のもとに、かつ海外のベンチマークとして、利用範囲が小さく絞られているドイツ型、中程度のアメリカ型、大変広い範囲で利用されている北欧型を比較した上で、
51:42
その基礎を踏まえて、最も大きな利用範囲をやっていこうという選択がなされております。当然、情報管理のディスクが大きくなるわけですが、そこは公発にやるということのメリットを生かして、分散型の管理方式、国民が自分の情報をどう使われているのかが見えるようにすること、
52:07
確実な本人確認、データ利用に関しての、法令により目的外利用を防ぐという様々な仕組みが制度面、あるいは運用面で導入されるということになりました。こうした選択がなされたわけですが、2015年から導入された後、こうした仕組みは必ずしも全てが円滑に動いていたわけではありません。