4:00
ただいまから内閣委員会を開会いたします。委員の異動について、ご報告いたします。昨日までに、天端大輔君及び柴信一君が委員を辞任され、その補欠として大島九州君及び杉尾秀弥君が選任されました。連合審査会に関する件についてお分かりいたします。
4:26
新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会からの連合審査会開会の申し入れがあった場合には、これを受諾することに、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、差を決定いたします。なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、差を取り図られます。次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお分かりいたします。
5:09
新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案審査のための連合審査会に、政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長にご一人願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。ご異議ないと認め、差を決定いたします。新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案を議題といたします。
5:38
本日は本案の審査のため、3名の参考人からご意見を伺います。ご出席いただいております参考人は、国立感染症研究所感染症危機管理センター長 斉藤智也さん、学校法人昭和大学医学部内科学講座臨床感染症学部門客員教授 二木 よしひとさん、
6:06
及び21世紀老人福祉の向上を目指す施設連絡会事務局長 井上 裕美さんでございます。この際、参考人の皆様方に一言ご挨拶を申し上げます。本日は大変お忙しいところ、当委員会にご出席いただきまして、誠にありがとうございました。
6:34
皆様から来たのないご意見を賜りまして、本法案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。次に、議事の進め方について申し上げます。
6:55
最当参考人、二木参考人、井上参考人の順にお一人15分程度でご意見をお述べいただきまして、その後各委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。また、ご発言の際は挙手をしていただきまして、その都度委員長の指名を受けた上でご発言するということになっておりますので、ご承知おき願います。
7:21
なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それでは、まず、最当参考人からお願いいたします。
7:33
この度はこのような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。私、国立感染症研究所、通称感染研と呼ばれておりますが、ここに2020年4月に新たに設立されました感染症危機管理研究センター、こちらのセンター長を務めております、斉藤智也と申します。
7:53
私は感染研に2021年1月に着任しておりますが、それまでは国立保健医療科学院という機関におりまして、新興感染症対策、特にパンデミック対策、他、健康危機管理、いわゆる感染症に限らず、さまざまな原因による健康危機に対処する概念でございますけれども、そのような分野を専門として取り組んでまいりました。
8:18
その以前には行政で3年ほど危機管理、あるいは感染症対策というものに取り組んでいたこともございます。現在は所属先の名前のとおり、健康危機管理の中でも感染症分野の危機管理に取り組んでおります。
8:34
この度、内閣感染症危機管理統括省の設置に係る法案審議ということですけれども、まさにこの感染症分野の危機管理体制の向上に向けて、我が国の重要なターニングポイントになるものと考えております。
8:50
危機管理のフェーズ、これを大きく3つに分けると、いわゆる発災、災害や感染症が起きる、その前の予防のフェーズ、予防をする、未然に防ぐ、あるいはそれを事前に早く察知する、あるいは素早く起きたことを検知する、その発災前のフェーズ。
9:11
そして発災してから収束するまで、その対応に当たってできるだけ被害の軽減を目指していくフェーズ。そして収束後に次に備えて対応の振り返りを行ったり、演習や訓練を行ったり、計画を立て直したり、あるいは物品などの備蓄を行ったりという事前準備、英語でpreparednessと呼んでいるフェーズがあります。
9:35
この3つのフェーズ、予防、対応、事前準備、このサイクルの中でやはり一番目立ってくるのは対応をしているフェーズです。新型コロナ対応はまさにこの対応の部分を3年以上もやることになってしまうほどの大事件だったわけですけれども、もっと長い目で見ますと、
9:56
実はこの危機管理のサイクルの中で対応をしているフェーズというのは非常にわずかな時間で、実際には事前準備という活動に費やしている時間がほとんどであります。しかしながら、この長い事前準備の時間というのは非常に苦しい時間でもあります。残念ながら人は喉元すぎれば熱さを忘れるという言葉の通りで、あっという間に危機で散々苦労したことを忘れてしまいます。
10:24
事前準備、プリペアデニスの活動のために、人もお金も費やす時間もあっという間に減っていってしまうというのが現実でございます。いかに次の危機に備えるためのモチベーション、すなわち人、物、金を維持できるか、これをどれだけできるかというのが次のパンデミックの対応につながっていきます。
10:46
特措法は、計画策定や訓練の実施、備 蓄の構築等を行うことを定める法律であり、この事前準備のモチベーションを維持する重要な役割をこれまでも果たしてきたと考えております。さらにそこに、総理、内閣官房長官直下に統括しようという形で、明確な国のリーダーシップが定まることで、長い年月にわたる事前準備、プリペアデニスの継続的な推進力となることをまずは期待したいと考えております。続いて、この事前準備、プリペアデニスの具体的な在り方についてお話しさせていただきたいと思います。これまで、新型コロナの度々の波を経験する中で、感染処方、特措法等の法改正が行われてきました。当初は、すぐ目の前に迫りつつある次の波をいかに乗り越えるかということで、その対応面での強化の議論が進んでいたかと思います。
11:44
徐々に、次のパンデミックを見込んだ事前準備、プリペアデニスの強化に議論が移ってきたところではないかと思います。この新型コロナの反省を踏まえて、これまで決められていなかったけれども、実際にやることになったことを、しっかりと法的に次にはきちんとできるように位置づけていく、あるいはこれまでできなかったことをできるようにする。
12:07
こういった取組が進められてきているところかと思います。こういった何かを準備するためには、常に何かしらの想定が必要になってきます。多くの場合、これまでの新型コロナでの経験をもとに、その準備の目標数や対応が定められつつあるところです。これだけ、新型コロナの波を経験する中で、新型コロナの波を経験する中で、何かしらの想定が必要になってきます。これだけ社会に未曾有のインパクトを起こしてきた時代を経験してきたわけですから、再度このような事態が起きても対応できるように備える。これは自然な流れでもありますし、一つの妥当な考え方であります。直近の事例というのは、誰にも非常にわかりやすいシナリオでもあると思います。一方で、このような備えを行うときに気をつけておいていただきたいということは、いろいろなところで同じことを申し上げているのですが、危機管理は過去のシナリオ、いわゆる過去文にとらわれてはいけないということでございます。次の危機はまたコロナのようなことが起こるのか、きっとそうではない。全く同じことというのは決して起こらないのです。常に次に起こり得ること、あるいはこれから起こり得ることは何 だろうかというのを問いかけながら前に進んでいくことが大切だと考えております。
13:30
人はなかなかこれまで経験してきたことがないシナリオを考えつかないし、受け入れられないものです。実際、この新型コロナの発生以前もそうでした。新型コロナのようなシナリオはとても考えつかなかったし、考えついたとしてもそれを受け入れられなかったのではないかと思います。事前準備というものには、想像力を存分に働かせて、将来起こり得るリスクのランドスケープ、全体像というのをしっかり考えていくことが大切だと思います。
14:00
一方で、実際に何かを備えるとなったときに、このリソース、人、物、金というものが無限にあるわけではありませんので、何かしら目標値を定めていくことが必要です。例えば備蓄量であるとか、病床の加工数であるとか、新しい組織の人数とか、その準備のレベルはまずは新型コロナの経験を一つの目安として決めようと。これは結構なことなんですけれども、そうしているうちに、ついついまた新型コロナが来たときのためにという考えに陥ってしまいがちです。我々は来る次の新型コロナに備えているわけではなくて、あくまで新型コロナを一つの目安として、我々のパンデミックの備えの土台を作っていこうとしているのだということを改めて考えておかなければなりません。
14:53
そしてその先に危機が実際に発生したときに、おそらく想像していた通りのこととは違うことが起きてしまうだろうと思います。そのときにこれまで備えてきたツール、土台というのをどのように使っていくかを柔軟に考えるトレーニングをしておくということが非常に重要です。
15:13
過去はあくまで備えのための一つの参考であって、常に前向きに応用問題を解くためのトレーニングをしていくというのが事前準備では重要であります。今回、新型コロナを一つの目安として土台を作っていく。これがきちんとできれば非常に大きなパンデミック対策の土台となりますし、この土台の大きさというのがいざというときの選択肢を増やしてくれると思います。
15:39
このような基盤となる能力を徐々に高めつつ、いざ新し いことが起きたときにそれをどのように応用していくかというところに思いをいただけるような未来志向の危機管理を統括省はリードしていただきたいと思っております。
15:55
この統括省の設置、いわゆる司令塔機能の強化については全く賛成ではございますが、この先いかに司令塔をたらしめるか。今回法案で大枠が当てきたとしても、それが司令塔として実際に役割を果たすためには、いわば魂を吹き込む作業というのが重要になってくると考えております。
16:20
この統括省のオペレーションをどのように回していくのか、特にパンデミックになり得る事態の発生といった有事を想定してということになりますが、まずは拡張可能なメカニズムというのを有していることが大事です。
16:35
危機の時には応援職員が多数入って体制を大幅に拡張するというわけですが、そのような時に急に顔を合わせた人たちがすぐに協調して対応できるメカニズムというのを準備しておく必要があります。これは災害対応で培われた考え方というのが参考になるだろうと思います。
16:56
加えて内部のスタッフや幹部も含めて、この危機管理オペレーションの基本的な考え方を理解している必要があります。基本的な考え方について、幹部を含めて全て研修や訓練を受けて、緊急事態のオペレーションのメカニズムに習熟している必要があります。また、危機発生時に増員されたり併任されて危機管理組織に組み込まれる方も全て基本的なトレーニングを受けている必要があります。
17:25
それから、そのようなオペレーションをする場所というのも重要です。司令塔には感染症発生に関する様々な情報や知見が入ってきます。そして各省庁の対応、こういったものも全て共有・統合して迅速な意思決定を行っていく。これを効率的に進めていくためには、共同作業がしやすい物理的な場所の整備というのも非常に重要です。
17:54
各省庁からの人に限らず、外部からの応援が入っても共同作業が可能な環境整備が重要です。我々も感染研で、Emergency Operations Center、逆してEOCと呼ばれる場所を、一番大きな感染研の中にあった一番大きな会議室を改装して整備いたしました。人材を有効活用し、最大限の機能を発揮するためにも重要な物理的な設備というのもご検討いただきたいところであります。
18:23
一方で、今回の新たな統括省の指令等機能というものが、一体どのようなものなのか、何をどこまでするところなのか、というところを連携する関係機関がきちんと理解していることも重要だと考えます。これらを実現するために、演習・訓練というものが重要になってまいります。
18:44
演習・訓練というのはよく混同されて使われておりますが、詳しく申し上げれば、演習というのは、例えば計画や手順というのを作っていく過程で、実際に試してみて検証していくプロセスを言います。一方、訓練というのは、作った計画や手順に習熟することを主な目的とします。
19:05
まずは、訓練を行う前に演習を繰り返しつつ、例えば対応手 順、計画の案を作って、演習で試して、その結果をフィードバックして、手順や計画をプラッシュアップしていくことが重要になります。その過程で、関係機関などとの合同演習なども繰り返していく中で、統括省の指令等機能とは何なのか、何をしてくれるところなのか、というのが周りの関係機関に実感されてくることで、役割分担なども理解され、実際のオペレーションが回り出すようになっていく。できれば、統括省には訓練・演習の専門部署もあるというのではないかと思っております。さて、この国における統括省の指令等機能とリーダーシップは非常に重要なんですけれども、そこで決められることが、あまりにこと細かすぎてもいけないと考えております。感染症、特にパンデミックは確かに各都道府県や地域が大方針に基づいて強調して対応することが非常に重要です。
20:03
一方で、流行状況やその地域的背景、例えば医療提供であったり人口構成、これらそれぞれ異なる中で地域の状況にあった適切な判断というのが求められるところがあります。それには、各地域で情報収集し、分析し、対策を判断する能力というのが必要です。
20:22
統括省ですべてをこと細かに意思決定するという形をとっていくと、そのような地域での分析や判断能力が徐々に失われ、迅速な判断や対応ができなくなっていきます。また、そのようなことができる専門人材も育たなくなってしまいます。結果として、地域の感染症危機管理機能は低下してしまいます。
20:43
そのようなことがないよう、国は大方針を明確に示し進捗管理をしつつ、地方がその中でそれぞれの地域で状況を見極めて考えて判断していける体制を作っておくことが、本当に強い国全体の感染症危機管理体制につながっていくのではないかと考えております。最後に、今後の感染症危機管理の人材育成について一言申し上げたいと思います。
21:07
感染症危機管理という分野の専門家をどのように育てていくか、非常に新しい分野だと思っています。そして、領域横断的な専門性を有します。単に研修等を提供して関連する知識を得る機会を増やせばよいという単純な話ではありません。職能として確立し、様々なとこ ろにその職能を生かすポジションがあり、ステップアップしていけるキャリアパスが社会に形成されるところまでいかなければ、人材育成とは言えないのではないかと考えています。
21:35
もともと感染症分野というのは、そんなにたくさん人材がいたわけではありません。感染症危機管理というのは、様々な科学的知見の上に成り立つ。まずはベースとなる学問分野である、微生物学、臨床微生物学、感染症疫学、実地疫学、数理疫学、感染症臨床、感染管理、臨床研究、そして公衆衛生。こういったそれぞれの既存の専門分野の人材層を厚くするところから、まずは始めなければいけないところです。
22:02
その上で、危機管理という考え方を学んだ人を増やしていくことが必要です。特に感染症対策は、行政が関与するところが大きいので、行政人も知る機会を設け、本能運用であるとか、行政という感染症統治機構を運用する能力を知ることが重要な要素であると考えます。行政の考え方を知る専門家が増えることで、対策に直結する科学的助言の精度も高まっていくものと考えます。
22:27
こういった領域横断的な地域を有する専門家が、国レベルでも県レベルでも地域レベルでも育ってきて、地域のステークホルダーとなる行政、専門機関、医療機関、アカデミア、これらを横断的につないでいける人材となっていくことが、感染症危機管理の強化につながっていくものと考えています。それが職能として、専門性として確立し、キャリアパスとして育っていくことが望ましいと考えています。
22:51
この過程の中では、これまでの人材育成体系とは異なった、様々な分野や立場をクロスオーバーして経験する人材が生まれてきます。これまで専門人材は、その専門性を論文の数などで評価されてきたわけですが、専門性に実務の要素を加えた、これまでの評価軸とは異なる人材の評価体系、評価軸というのが必要になっていくと考えております。
23:15
以上、最後に感染症危機管理の人材育成について、このようなステップを提案させていただきました。どうもありがとうございました。ありがとうございました。次に、二木参考人にお願いいたします。昭和大学医学部で客院教授を務めております、二木義人と申します。
23:42
本日はこのような場を与えていただき、誠にありがとうございます。ただいま、サイト参考人の方から非常にシステマティックなレクチャーをいただきまして、機器管理がどういうものであるかということを私も大変勉強させていただきました。
24:00
私は立場として、2020年3月に昭和大学医学部の内科学講座の特任教授を退職して、その後は客院教授として昭和大学にお世話になっております。ごく初期に、わずかな感染症パンデミックの始まりに、患者さんを見させていただきましたが、基本的には現場の最前線でこの感染症パンデミックと闘ってきた立場にはありません。
24:26
また、公的な組織や会議のメンバーとして参加することもありませんでしたので、他の参考人の方々とはかなり違った立場、あるいは目線でこの感染症と3年半付き合ってまいりました。
24:41
特に、パンデミックの当初より、テレビ、新聞、雑誌などの各種メディアに頻繁に感染症専門家としてお招きいただき、新型コロナウイルス感染症の現状や今後の予測などを解説する機会がたくさんございました。
24:59
メディアに出演する専門家の務めとしては、一般の視聴者や読者がいかに正確な情報を得るかをお手伝いすることが大切であり、膨大な情報が日々集積されてくる。特にテレビ局などでは、毎朝局に参りますと膨大な情報が出てきて、その中から「今日はこれを取り上げたい」という提案があります。
25:23
その提案に対して、その是非や正確性などを評価した上で、番組の中で解説することをするわけであり、これは大変神経を使うもので、私の長い人生の中で、こんなに日々論文を読んで勉強したことがないのではないかと思うくらい頑張って仕事をしてまいりました。おかげさまで、その回あって間違った情報を発信することがあまりなかったのではないかと自負しております。
25:51
そんな中で、私がこの新型コロナウイルス感染症対応で感じたこと、そして、この度は新しい法案をお考えいただく上で、是非反映していただきたいということを、今日は3点ほどお話ししたいと思います。まず1点ですけれども、やはりこれは情報伝達と政府方針の発信の在り方だと思っております。
26:16
パンデミックの初期から感じたことは、他の参考人の方もよその委員会でお話をされておられましたが、2009年に我々は新型インフルエンザのパンデミックを経験いたしております。当時は私も現場の最前線で指揮をとっておりましたので、いろいろと苦労したわけですが、
26:41
前に2010年の6月にパンデミックが終了した後、対策総括会議の報告書が出されまして、その中で提言として示されていることの多くが、今回のパンデミックが始まったときに課題のままで残っていたと考えたことです。この中には、感染症危機管理 に関わる体制の強化、迅速合理的な意思決定システム、そして法整備なども冒頭で謳われております。
27:09
その必要性は3年半のパンデミック期間中に常に感じていたことで、今回それらがようやく法案として議論され、整備されることは大変喜ばしいことですし、必要なことだろうと思っております。そのに対する課題だということですが、このパンデミック初期は、このウイルスがどのようなものか、解剖・検討もつかない状況で、
27:33
日々、週に忠告から寄せられる情報はまさに恐怖をあわせるようなものばかりで、実際に令和2年1月から始まった国内の第1波では、感染者の死亡率も5%を超えると、医療現場も大混乱に陥る状況でした。まさに未知のウイルスとの出会いですし、仕方がなかったのではないかと思いますが、
27:55
これに対し、第3波までは政府や自治体の対応もおぼつかず、最も困惑したのは、政府や行政からのメッセージが明確に国民に届かなかったことではないかと思っております。そして、 大きな問題として、医療衛生物品やマスクやガウン、消毒薬などが深刻な不足に陥り、検査件数も全く増えないという状況が続いておりました。
28:21
これもよく議論されましたが、政府からは明らかなメッセージがなく、コメントに給出した記憶が私自身がございます。なれなれで、そういう状況は仕方がないので、明確にその理由と今後の見通しを述べるべきだったのではないかと思っております。第4波、第5波の折にも、政府のメッセージはあまり明確に聞こえてまいりませんでした。
28:48
東京オリンピック問題が絡んで、より政府の国民へのメッセージが不明瞭になりました。ようやくメッセージが届くようになったのは、ワクチン接種が開始される前後からではないでしょうか。菅総理が毎日、ワクチンとの飲み薬がゲームチェンジャーだと連呼されていたのを記憶しています。そして、この感染症との戦い方を明確にお示しいただいたのが、現在の岸田総理が、
29:14
令和3年の10月に就任後の記者会見で方針を明らかにされた頃だと思います。それまでの対応の中から、この感染症に対する問題点、あるいは行うべきことが明確になったので、メッセージも出しやすくなったものと感じています。決して岸田さんがそれ以前の総理に比べて優れているということではなくて、状況がそういうような形を作ったんだろうと思っております。
29:40
しかしながら、その後のオミクロン株による第6波以降も、政府対策本部で決議された取組の全体像は、国民に明確にされることなく、第7波、第8波での対応が行われました。この間、水際対策や行動制限、営業自粛、マスクの着用などの規制緩和が次々と行われましたが、それぞれの担当大臣や官房長官からは方針の公表はあるものの、メッセージとしては弱く、
30:09
対象者が曖昧で、つまり若い人たちへのメッセージと、高齢者や有病者などの感染弱者へのメッセージの区別が明確でなく、国民はこういうことなんだろうなと推し量ることが多かったように思います。私もそのような解説をいたしておりました。経済優先に舵を切った結果、感染者数と死者数が増加することは当然の結果だったと思います。その決めが欠落していたのではないでしょうか。やはりキーパスのおそらく今回は総理だったと思いますが、彼らの国民に向けての強い明確な、包み隠しのないメッセージが必要だと考えました。海外では、パンデミック当初に、米国のNIHの所長、現在は大統領主席医療庫門のアンソニー・ファウチ氏、ですとか、台湾で感染症期に感染対策のデジタル化で名を馳せたオードリー・タン氏、
31:05
国民に毎晩語りかけて有名になられたニュージーランドのアン・ダン・マイ・ゼン氏など、カリスマ性があり、かつメッセージが明確で説得力がある、すなわちエビデンスのあるエビデンスの伴った説明を、スポークスマンが、私の我々の国には付在ではなかったかなと思っております。長々とお話してきましたけれども、つまるとこ ろ、新しい統括庁ができて、
31:31
これまでの国民の声明が仮に順調に行われたとしても、その内容や政府方針をいかに国民に伝えるかは極めて重要で、明快なメッセージを専任のスポークスマンか、あるいは総理クラスのキーパースが、常に国民に伝え続けることが重要だと思います。我が国の国民が、他の国民に比して政府方針を理解し受け入れやすい機質を持っておればこそ、
31:59
特に結論に至る経過が不明確で、根拠が曖昧と思われる場面が多かったように思います。本来、科学的な根拠に基づき政策が決定されることは理想的ですが、時にはそれを超えた政治反応が必要な場面もあると思います。それを伝えられる範囲で、明確に伝えてほしかったように思います。専門家組織との意見の相互の問題や、メディアやSNSでの誤った情報拡散や
32:28
政府方針に対する批判なども、この点を徹底すればかなり抑制できるような気がします。この点を含めて、東海大震災保護者会長がリスクエミュケーション、情報伝達の確実性を徹底していただければなと思っております。2番目の問題は、ワクチン、治療薬の研究開発と承認についてお話ししたいと思います。今、一つ感じていることですが、新型コロナウイルス感染症へのワクチンや治療薬の開発、これは、欧米製薬企業のワクチン戦略、あるいは抗ウイルス開発、有力薬の開発と比べてみると、歴史上、非常に長い経過の上に成り立っていることがわかります。例えば、ファイザー社などは、随分以前、もう十数年以上前から、今後の感染症への対応は治療薬よりワクチンが中心だと公言しております。
33:24
長い研究と開発の歴史の上に、今回のメッセンジャーRNAワクチンの成功がある。また、ワクチン開発、すなわち、感染予防は多くの欧米の国々が、国家戦略として、国防の一つとして取り組んできているので、やはり長い歴史があります。我が国は、ワクチン開発に関しては、ようやく最近になって、その必要性が認識されるようになって活用が進み始めていますが、国内企業の実力は遠く、海外には及ばないようです。
33:53
さらに従って、次のパンデミックに向けて、国産のワクチン開発を望むならば、相当の覚悟と投資が必要です。コロナウイルス予防薬も同様で、我が国の多くの製薬企業の感染症領域には見切りをつけて、がん領域や中枢神経領域などへその研究を促進を向けています。
34:13
その背景には、かつては感染症領域も、我が国では多くの治療薬が開発されて世界に勘たるものであったわけですが、医療費抑制政策の煽りも受けて、昨今の我が国の製薬企業の業績は振るわず、その結果、研究開発に向ける予算も減少し、新薬開発力の低下も顕著であります。
34:38
もろん、研究開発には人材も必要ですが、そこも固着しつつある状況です。危機対応の当課長の取組ではないかもしれませんが、平時にこの点を 解決しておかなければ危機対応もおぼつかないように思います。そして今回、特例承認や緊急承認、これは新しい仕組みができて、早速、我が国の傾向治療薬が適用され承認されたようですが、ここにも不安があります。特に、特例承認で国内使用が認められた治療薬は、有効性や安全性の継承は不十分です。承認や適用の見直しが頻繁に行われる必要があるのではないかと思っています。特に抗体薬などは、ウイルスが返りすればたちまち効果が損なわれます。
35:29
米国では、エマージェンシーユーソースライゼーション(EUA)と、緊急承認で認められた薬剤が頻繁に承認取消しなどが行われています。EUでも治療薬やワクチンの承認の見直しはしばしば行われており、我が国で現在使用中の治療薬の承認取消しなども昨今ありました。我が国では一度承認された薬剤が膨大な買い置きがなされたためということもあるのでしょうか。承認の見直しや有効性再評価がほとんどありません。特に、傾向薬は国民の安心に結びつくろうと考えられている部分もあるようで、最近薬価もつけられたようですが、現在の運用は経済的効果も含めて適 正でしょうか。国民に広く使用するものです。研究時代が過ぎれば、科学的な再評価が望まれると思っています。
36:19
このような部分は、むしろ新しくできる国立健康機器管理研究機構の業務かもしれませんが、やはり当課長で平時から指導管理されるべき項目であるように思います。先ほど、斉藤参考人から、準備期間の大切さというお話がありました。研究時代が起こる前に、いろいろと取り組まなければいけないテーマがあるように思っております。
36:45
最後に、医療提供体制の強化と無料についてお話しします。もう一点、医療提供体制の強化ですが、今回のパンデミックで問題となった医療提供体制の様々な課題は、実は感染症法が変わって、その中で多くの解決の方向に向けられ、整備が進んでいるように思います。ただ、特にこの領域で感じることは、組織を変えて、仕組みが変わっても大切なのは、運用をスムーズに行うことですので、繰り返し、これも先ほど斉藤参考人からお話がありましたが、演習や実地トレーニングを行うことが重要だと考えています。2009年の新型インフルエンザのパンデミックが起こった折には、実は今回と違って、事前にそろそろ新型インフルエンザ、それも共同育成のインフルエンザが人型となって襲来するのではと言われて数年前から準備をしていたのです。いろいろと取り決めておりましたが、実際にパンデミックが起こると現場は混乱しました。ですので、事前の準備と同時に、そういうものを徹底するトレーニング・演習が必要だと思っております。平時から準備をすることが非常に大事ということを最後にお話をしていただきまして、危機対応をより確実にするためにそういったことをお考えていただければと思っております。以上で私の話はおしまいであります。どうもありがとうございました。
38:19
ありがとうございました。それでは最後に井上参考人にお願いいたします。お願いいたします。私は21世紀老人福祉の向上を目指す施設連絡会、略称21老福連の事務局長をしております。井上博美と申します。本日はこのような貴重な機会をいただき誠にありがとうございます。当会は老人福祉の向上を目指して活動している老人福祉施設関係者の全国連絡会です。私は当会で昨年度2回実施いたしました全国アンケートの結果から、また高齢者施設などを運営する社会福祉法人の理事長の立場から意見を述べさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ご承知のようにコロナ禍特に第6波第8波では高齢者施設のクラスターが急増いたしました。6波は3200件、7波は6600件、8波は8900件と増加しています。また8波では高齢者の死亡者数が急増いたしました。2月に変更されました基本的対処方針には、社会経済活動を維持しながら高齢者等を守ることに重点を置いて感染拡大防止策を講じるとあります。私はこの対処方針の具体化を進めるとき、高齢者施設クラスターの多発と高齢死亡者の増加の要因を現場の実態に即して把握いただき、新たな指揮命令の仕組みや組織によって感染拡大の状況に応じて迅速で的確な対応がなされることが非常に重要と考えております。そのような点から、高齢者施設でのクラスター発生と施設内療養の実際についてお伝えしたいと思います。はじめに高齢者施設について簡単に説明させていただきますが、高齢者施設は、経済的理由や疾病障害で自宅生活が困難な方、身体介護や認知症など介護や見守りが必要な方の入所施設です。人権と尊厳を守って介護や生活支援を行い、食事は日常は一緒にする、行事や交流をするなど、入居者同士や地域との交流を大切にしている施設です。200人定員の大規模な施設もあれば、9人で家庭的に生活するグループホームのような場所もあります。このような施設でクラスターが多発いたしました。資料をお配りしておりますので、資料の2ページをご覧ください。令和4年9月の新型コロナ感染対策分科会では、7派での高齢者クラスター多発の要因として、ゾーニング・換気・陽性者対応時の感染防護が不十分であるということ、そして、利用者のマスク着用困難や職員の感染持ち込みが要因として挙げられています。したがって、施設への感染を持ち込ませない対策が重要であるということを指摘されながら、ただ、感染対策を徹底しても、それでもクラスターが生じる場合があるとも指摘しています。東京都の老人福祉施設協議会が老人ホームなどを対象に実施いたしました7派の調査では、クラスターが発生しやすい理由として感染対策が困難という入所者特性、一緒に食事をするなどの施設の特性のほか、感染した利用者が入院できずに施設にいるからとの回答が86%を占めています。その結果としての施設内療養で職員の負担が課題となり、感染拡大防止が不十分になりやすかったと9割の施設が回答しています。資料の3ページをご覧ください。7派に行った私どもの21老婦連の調査では、全国の特別養護老人ホー ム2017施設の75%が、陽性入居者は全員入院を徹底するべきと回答しています。その理由は、病状悪化したときに対応ができない、施設ではコロナの適切な治療ができないが多数です。また、施設内療養すべきとの回答は17%ありますが、回答施設の半数以上が受入医療機関がないからとの理由を選択しており、やむを得ないとの受け止めであることもわかります。次に、施設内療養の実際についてです。資料の4ページをご覧ください。21老婦連の8派の調査では、回答施設の半数以上でクラスターが発生し、その98%が施設内療養を実施しています。陽性者の9割以上が施設内療養となった施設が半数を超え、陽性者全員が施設療養したところは3割もございました。陽性となった入居者の87.4%が施設内で療養し、1施設あたり平均17名の陽性者に対し、介護職が感染防護をして、身体介護や認知症の方へのケア、そして病状の観察を行ったことになります。同じページの下の表に、入院できなかった理由というのがありますが、入院できなかった理由の多くが病床の逼迫、国や自治体の入院基準を満たさなかったです。病床逼迫はもとより深刻ですが、高齢者は原則入院であるはずなのですが、それ以外の入院基準により入院できない事例も相当数あったということです。京都府の保健医協会が行った7波以降に、障 害者施設も含めて行った調査では、陽性者の80%が施設内療養、東京都の先ほどの調査でも83%が施設内療養になったと報告されています。どの調査でも80%以上ですから、もはや原則施設内療養であったというのが現場の実態です。続いて、クラスター発生や施設内療養の中で、入院や適時適切な医療にアクセスできずに入居者が亡くなられている現状についてお話しします。資料の5ページをご覧ください。7波のアンケートでは、2000施設のうち103施設が施設内で亡くなった方がおられると回答しました。2回通院しても入院できず、ようやく決まった入院前日に急変して、救急搬送したが病院にも入れず、そのまま亡くなった。保健所に入院してもタスクを組み込みはないと言われ、施設で見取ったなどの回答がありました。また、8波のアンケートでは、療養期間中に感染により施設や入院先で亡くなった方は、陽性入居者の3.5%でした。アドバイザリーボードで示されている7波での80歳以上の致死率は1.69%、この2倍です。感染の影響で亡くなった方を含めると6.5%です。15人に1人が亡くなっています。高齢者の命が見捨てられているように感じてならないとの記述もありました。感染や感染の影響で亡くなられた方、ご家族はどれほど無念だったことかと思います。施設職員は施設で感染されたこと、適切な医療につなげられなかったことに責任を感じ、本当に苦悩しています。同時に、事実上原則となった施設内療養が、施設入居者の死亡者を増やしているのではないかとの懸念もあります。資料の6ページをご覧ください。8波のアンケートでの入院率と死亡者数をグラフにしています。入院率50%以上の施設では、施設内で亡くなった方はおられません。入院率が高ければ、施設内で亡くなる人は少ないのではないかと思わせる結果です。けれど、少ないデータですので、もっと大きなデータで、ぜひ検証いただきたいと思っています。ある高齢者施設の例ですが、施設クラスターの中で感染した基礎疾患のある75歳の方が、抗ウイルス薬を服用しても病状が悪化し、保健所に入院相談をしました。けれど、入院調整を行うセンターが、入院は不可と判断しているとの返答でした。理由は、その方が心肺停止時の蘇生処置を拒否していること、施設で点滴や酸素吸入、病院のような酸素吸入ではありませんが、酸素吸入、投薬ができることでした。入院ができないまま数日が経過し、血中酸素飽和度が 急激に下がり、救急車を要請し、救急車が到着したものの、入院調整を行うセンターからは、病院でできる対応と施設でできることは変わらないので、入院は不可と言われました。施設職員が「このままではなくなってしまう」と食い下がりましたが、それでも病院ではそれは同じだとの回答でした。その後、救急隊員も酸素投与量を2倍以上に増やして、何とか改善の見込みがあるということを証明し、交渉の上、何とか入院ができました。この方は治療の後に施設に再入所され、ご自分で歩き、施設で毎日の日課である新聞を読むなど、穏やかに生活しておられるそうです。施設職員は「この方の元気な姿を見るたびに、あの時諦めていたらと胸が苦しくなる」と話しています。この事例からわかるのは、先のアンケートで「このまま見とってください」と、医療機関で診察が受けられずに亡くなった方の中には、入院過療をすれば、または重症化する前に適時適切な医療が受けられれば、回復された方があるかもしれないということです。高齢であっても、施設入居者であっても、新型コロナの治療を受ける権利を奪うことは決してあってはならないことだと思っています。高齢者施設クラスターを起こさないためには、感染の施設への持ち込みを防ぐこと、5例以降後も感染対策や集中的検査が非常に重要であることは間違いありません。現場の私たちも、引き続き対策を継続していきたいと思います。同時に、医療にアクセスできずに施設入居者が亡くなる事態を起こさないためには、陽性者の原則入院を徹底して施設内療養をなくしていくこと、毎日クラスターが発生しても最小限に抑えられるようにすること、重症化防止のための治療と、そして重症化した場合に確実に入院過療できるようにすることが、今最も必要なことです。資料の7ページをご覧ください。今後も地域で感染が拡大すれば、施設への持ち込みや感染拡大リスクは高まります。3月10日に出された感染症法上の位置づけに変更に伴う医療体制及び公費支援の見直しでは、地域包括ケア病棟などでの陽性者の入院受入の促進も出されましたが、本当に受入れが進むのかと非常に不安です。また、入院が必要な人が確実に入院できるようにするためには、施設と医療機関の連携強化に任せてしまうだけではなくて、保健所や都道府県による入院調整がやはり必要です。5例以降に当たっては、私たちの連絡会だけではなく、全国の老人福祉施設の協議会は、施設入所者の陽性者は必ず入院と求めていますし、老人保健施設の協会も、施設医師が重症化リスクが高いと判断すれば、重症度にかかわらず、原則入院を求めています。入院が必要な高齢者が必ず入院できるよう、そういったことを日本の隅々で行えるように切にお願い致します。最後に、高齢者施設や介護現場で、今後感染が拡大しても、高齢者に必要なサービス提供を続けるために必要なことについてです。8ページをご覧ください。クラスター発生や感染により困ったことや苦労したことで最も多かったのは、職員の感染により勤務体制が組めなくなったことです。職員が次々に要請となり、24時間のシフトが組めない、疲れ果てて精神状態が保てない、虐待してしまうそうだと職員が訴えた。このほか、保健所からはダメだと言われたが、職員の少ないグループホームでは、要要介護、要請者が要請者を介護するということを知らざるを得なかった、