21:30
これより会議を開きます。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題について、討議を行います。この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず各会派1名ずつ代会派順に発言していただき、その後各委員が自由に発言を行うことといたします。それではまず各会派1名ずつによる発言に入ります。発言時間は7分以内といたします。発言時間の経過につきましては、おおむね7分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。発言は、自席から着席のままで結構でございます。発言の申出がありますので、順次これを許します。信藤義孝君。自由民主党の信藤義孝でございます。この度は、この緊急事態状況について、一心国民有志3会派が共同提案をされ、本日の配付資料としてその概要が示されております。後ほどそれぞれの会派よりご説明があると思いますが、この内容は、これまで審査会において討議されてきた内容を反映されたものであり、伝説的かつ真摯な議論の結果として還元したいと、このように思います。今後は、私たちが申し上げている観点も含め、審査会において、さらに議論を深め、作業を詰めていきたいと、このように考えているわけであります。これまでの討議で、議員任期延長については、国会承認の際の議決要件と裁判所の関与の是非、その在り方が残る論点として絞られていると思います。この点につきましては、私も意見を申し上げておりますので、各会派からのご意見もいただき、引き続き論議を進めていきたい、深めたいと考えております。なお、議員任期延長の前提となっている参議院の緊急集会については、この審議会において、それが一時的、限定的な性格を持つという意見や、最大限これを活用しては、というような意見が出されております。今後、参議院憲法審査会での討議の状況も見ながら、議論のレベルを合わせていくことになると思われます。この際、私から申し上げておきたいのは、そもそも私たちがこのような緊急事態状況の論議を行う大前提は、国はいかなる状況に陥っても国会機能を維持し、民主的統制の下で国家運営を行っていかなくてはならない、ということであります。そして、緊急事態が発生し、平時のルールでは国会が機能不全に陥ってしまう状況になれば、その際は例外的な措置をとってでも国会機能を維持する必要があり、緊急事態状況はその根拠となる規定を憲法に整備しようとするものであります。つまり、やむを得ない場合に備えるための状況であって、積極的にこの状況を活用するような意図を持つ者ではありません。その上で、緊急事態状況により国会機能の維持を図ろうとしても、それでも維持できないような場合、すなわち議員が参集できない、国会が物理的に開会すらできないような究極の事態も想定しておかなくてよいか、という問題が残るわけであります。今、議論をしております国会機能維持のための議員任期延長では、対応しきれない事態が想定される以上、他国の憲法にあるような究極の事態において、内閣が一時的に国会機能を代行する緊急政令・緊急財政処分の制度についても議論が必要ではないかと、このように考えます。こうした内閣による緊急政令・緊急財政処分の権限発動は、あくまでも一時的、暫定的な国会機能の代行であり、国会機能が回復した時点で、速やかな国会の同意を必要とすることは、セットで考えたい、と、このように思います。本日は、憲法9条の改正について、私なりの考え方を、お手元 の配付資料に沿って説明をしたいと思います。まず、この9条を議論するにあたっての大前提は、日本国憲法三大原理の一つである「平和主義は堅持する」ということであります。9条1項の「戦争放棄」と2項の「戦力不保持」「公選権否認」は、いずれも徹底した平和主義の精神、すなわち「戦士防衛」を端的に表したものであり、この原理は今後もしっかり受け継いでいくものと考えております。他方、近年中国の軍事力の増強、北朝鮮による核やミサイル開発の進展、宇宙やサイバー空間といった新たな安全保障領域の誕生など、我が国を取り巻く安保環境は劇的に変化をしています。さらに、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略は、1年を超えてもなお激しい戦闘が継続しており、ウクライナ問題は決して対岸の火事とは言えません。こうした安保環境の激変に対応するため、我が国は平和安全法制を整備し、昨年暮には新たな防衛三文書を閣議決定しました。しかし、これらはすべて法律やそれ以下の閣議決定などで定められているものであります。まず、配付資料の1、国防規定自衛隊をご覧になってください。そもそも、国の最大の責務は、いかなる場合においても国民の生命と財産、領土や資源を守り抜くことです。にもかかわらず、この国家の最重要任務に関する規定が、基本法 である憲法に全く存在しないことは、独立主権国家の憲法としておよそ不自然であり、原法憲法には最も根幹にあたる規定が欠落していると言わざるを得ません。我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つという自衛隊法や、自体対処法といった法律に規定されている国防の概念を、その大元である憲法に規定することが、特に障害になるとは考えられません。本来、こうした国家の根幹にあたる概念は、基本法にある憲法に基づいて導かれるものであり、既に法律で規定されているものを憲法に規定することは、むしろ当然と言えるのではないでしょうか。そして、この国防になる実力組織として、自衛隊を憲法に明記することは、基本法である憲法を掲げる、あるべき国の形を整えることにつながると考えております。このような考えに基づき、私たちは、原稿の9条1項2項をそのまま維持した上で、9条の2として、全項の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として自衛隊を保持する旨の規定を設けては、と提案をしているわけであります。次に、配付資料の2、必要最小限度選手防衛というところをご覧ください。国防及び自衛隊の規定を設けたとしても、原稿の9条1項2項はそのまま維持しますので、自衛権の行使は必要最小限度という現在の解釈に全く変更はございません。先ほど説明した必要な自 衛の措置という表現には、最小限度の文言がないというご指摘をいただくこともございますが、この表現は昭和34年の砂川事件最高裁判決にある文言、すなわち、我が国が自国の平和と安全を維持し、その尊立を全うするために必要な自衛のための措置を取り得ることは、国家固有の権能の公私として当然のことと言わなければならないという判決文を参照したものです。そしてここで言う必要な自衛のための措置の意味は、配付資料の中央、平和主義9条1項2項を基本原則とする憲法が、自衛の措置を無制限に認めているとは介されないとあるように、あくまで必要な自衛のための措置は必要最小限度選手防衛のことであるとの解釈を堅持するものであります。さらに配付資料の3、シビリアンコントロールのあり方について、私たちは9条2の第1項として、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とするという政府内の統制と、第2項として自衛隊の行動は国会の承認、その他の統制に服するという国会による民主的統制の両面から規定し、シビリアンコントロールについて提案しています。この考え方も自衛隊法や自治体対処法などに規定されているものであり、基本法たる憲法に規定することは当然のことと考えております。国防安全保障に関する議論は、緊急事態条項の議論と合わせ、国の根幹をなすものであります。それだけに各会派には様々なご意見があると思いますが、大切なのは、各会派が1つのテーブルにつ き、様々な意見を用い、議論を深めていくことです。その議論の経緯を国民の皆様に明らかにしていくことこそが、国民投票を行う際の最も重要な要素になると考えております。次回以降、この審査会における討議の中では、この重要なテーマについても各会派委員との意見交換を行い、より議論を深めていきたいと考えております。ぜひ、各会派の委員なりのご意見をお頂戴いただければと思います。今朝の幹事会において、来週の定例日にも審査会を開催し、議論を継続することを提案いたしました。今後も憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い議論が行われるよう、委員各位のご理解とご協力をお願いして、私の発言といたします。
30:38
立憲民主党の中川雅春です。今日は、立憲民主党が進める論件 の中身について、総括をしていきたいと思います。時代の変遷とともに、憲法をもみ直すことが必要だと言われています。しからば、その具体的な立法事実は何か。これが論件の出発点であります。続く論件の過程で、第一には、現状において憲法に違反するような権力の乱用や、政権に都合の良い憲法解釈の変更がなされていないかという検証。第二には、新たなルール規定が必要な事象が現れたとして、法律の改正で整理することが可能か否かという検証。そして第三には、憲法制定時には想定されなかった新しい課題に対して、憲法の改正をもって整理することが望ましいということではないかという検証。こうした手順を大事にしていくことが論件だというふうに思っております。立憲民主党では、まず次に述べる4つの分野に焦点を当て、各々の憲法上の課題について具体的な議論を進めています。一つは、情報化社会と人権保障、そして地方自治、国会の在り方、そして安全保障であります。現在、各分野において中間報告をまとめつつあります。まず第一に、情報化社会と人権保障の分野では、議論を3つの領域に分けて、その解決の方向性を探りました。一つは、国家や組織等からデータを通じて制御されない自由を保障する自己情報コントロール権。二つ目は、国家に必要な情報を開示させる請求権である情報アクセス権。三つ目は、多種多様で健全な情報に接する環境を保つように国家等に求める権利である情報環境権であります。国民投票法改正の議論においても、上記の権利についてさらに広く深く考えていくということが必要だと思っております。第二に、地方自治の分野では、憲法における地方自治規定は、その規定密度の低い点において議論の余地があると思っています。その上で、理念としての地方自治の本質に、団体自治や住民自治に加えて、保管性の原理や近接性の原理を読み込むべきではないだろうかということ、さらに、地方文献を進める観点から、法律と条例の関係を問い直すことや、政省令委員から条例委員への法体権の見直し、同時に自治財政権の確立ということも必要だということ、この方向性をもって議論を深めていくということだと思っています。また、中間報告では、統治機構の在り方としては、現状の一律の二元代表制という制度以外に他の選択肢を設けることや、住民投票や外国人の政治参加についても、さらなる議論が必要だとしております。特に、憲法上の結論を出していかなければならないとすれば、繰り返される一票の格差訴訟や、合区問題への対応であります。平等という概念を人口比例原則だけで捉えた今の選挙の加わりだけでなく、行政区単位で代表を出すことで、人口減少地域からの代表選出を保証すべきだという意見も根強く出ております。参議院の役割の見直しなども念頭に、憲法を見据えたさらなる議論が特に今の時点で必要であるというふうに考えています。第三は国会の在り方であります。憲法は徹底した国会中心主義を採用しており、平時有事を問わずいかなる場合でも国会機能の維持は大前提です。まず、内閣総理大臣による解散権の恣意的な行使に対しては、解散権行使を法律で制限するか、または改憲が必要だというふうに考えています。また、憲法53条に基づく臨時会招集の要求を内閣が放置する憲法違反が常態化をしています。私たちは、招集期限を法定する内容の国会法改正案を衆議院に提出をしております。さらに、緊急時における内閣への権限集中については、各分野の個別法で対応し得る現状の形を、危機事態の想定を厳しくしながら、法律でもって改正していくことが適切だと考えています。その上で、任期満了時に大規模災害等で選挙が 執行できない状況を想定した中での、参議院の緊急招集などの議論は、選挙困難事態という形で捉えていくこと、さらに、選挙困難事態の具体的な定義や判断主体などの議論が、まず、選考されなければならないと思っております。その上で、その間の国会機能をいかに持続させるかという観点で、平時の国会機能に関する諸課題と合わせた全体的な話の中で整理していくことが必要だと考えます。すなわち、解散権、臨時会の招集義務、オンライン審議などと並行して、参議院の緊急集会、議員任期の延長の仕組みを総合的に議論すべきであります。中でも、特に参議院の緊急集会については、参議院の憲法審査会自身の議論が、選考されるべきだというふうに考えています。また、最高裁が、違憲審査権を適切に行使しないために、違憲審査機能を事実上、政府の一部局である内閣法制局に委ねている現状は問題であるというふうに考えます。裁判を政治や政局に巻き込まないことを前提にして、現状の裁判所を改革するのか、または憲法裁判所を創設するかなどの議論を深める必要があるというふうに考えます。第4の分野は、安全保障です。この間の議論ではっきりしていることは、まず憲法9条から導かれる選手防衛、集団的自衛権の排除、必要最小限度の自衛力という実質規範は、日本の安全保 障理念の基本として現在もまた将来にわたっても大切にしていくべきことだというふうに考えます。今国会で議論されている敵基地攻撃能力や日米安保協力の見直しなどについては、憲法規範を超えるものではないかという疑念が持たれています。このようなことが議論されている今だからこそ、憲法に照らしてどうなのかという議論は、この審査会において最優先で集中テーマとして取り合えるべきだというふうに考えています。以上の4分野以外でも重要な課題はあります。欧米先進国と比較して議論の遅れが指摘されている同性婚やLGBTQの諸課題です。審査会で緊急に議論の素条に載せるべきであります。解釈と法改正により対応するのか、憲法改正がふさわしいのか、国民的合意に向けた結論を導き出すことこそ、この憲法審査会が果たすべき使命だと私は考えています。最後の指名告示として、これまで述べた取組を踏まえて、最優先で集中審議すべき項目を改めて指名します。まず、一票の格差の問題、そして同性婚、さらに安全保障であります。各会派には特にこの3つを取り上げていただいて、集中闘技の場を皆で作ることを踏み出していただくことを求めて、今日の発言を終わりたいと思います。ありがとう ございました。
39:16
先週の憲法審査会で各政党会派から、私の主張でありました中山太郎先生のご請求に関しまして、哀悼のお言葉を賜りましたことを、心から熱く御礼を申し上げたいと思います。中山太郎先生がご請求されたことは、中山先生を主張と仰ぎ、敬愛していた私としては大きな心の痛手であります。中山先生のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、中山先生の悲願であった憲法改正、国民投票の実現に邁進していくことを、ここに改めてお誓いを申し上げたいと思います。さて、先週3月30日に立憲民主党の枝野委員より、中山方式について御発言がございましたが、根本的に中山方式に対する御理解がなされていないことに、とても驚きました。中山方式とは、憲法を議論するにあたって、会見に賛成する会派も、反対する会派も、政局を論議に持ち込むことなく、同じテーブルについて議論し、共通の認識を見出していくということ、つまり 、全界一致が原則であるとは言っていません。現に、平成17年4月の憲法調査会の最終報告書の議決について、共産党が反対をしています。中山方式とは、立法府として、イデオロギーで国民を分断させないために、オープンの形で徹底的に議論し、最後は民主主義の原則に沿って、つまり多数決によって結論を出すことであります。それが中山先生の思いでした。枝野委員は、政局を持ち込まずに議論するという中山方式が、破られていると述べておられましたが、破っているのは、憲法審査会を慣例により、予算委員会開催中は開かないと言い張ったり、多くの党派が緊急事態の議員の任期延長について議論しようと、建設的な意見を述べているのに、国民投票法のネット規制のみに議論を集中させようとし、これが完璧に解決するまで、憲法改正の発議をすることは、まかりならないと主張する、立憲民主党自身ではないですか。中山先生の「爪の赤でもせんじて飲んでいただきたい旨」、枝野議員から御発言がありましたが、それはそのままそっくり、立憲民主党の枝野委員にお返しいたします。今の憲法審査会の状況を御覧になって、中山先生はいかが思っていらっしゃるでしょうか。御自身が築き上げた、憲法を議論する土台である憲法審査会で、御自身の思いが勝手に、構成の人間によって歪められ、憲法改正の道が遠のくことに、じくじたる思いでいらっしゃるのではないでしょうか。枝野委員は、私は一日も早く国民投票法採決の傷を癒し、中山方式と呼ばれた建設的な議論が回復することを望んでいました、とも発言されました。この発言こそ、構成で民主的な方法で取られた採決を、強硬採決と言い張り、中山先生の御意見にケチをつける、けしからん発言です。我が党は、先週、国民民主党有志の会と、緊急事態時の国会議員の任期延長について合意し、成案をまとめました。真摯に議論するというのであれば、この三党派でまとめた案を議論してください。論件だというなら、どこの党が出した条文案であろうと、議論すればよいのであり、少なくとも私たちは、別の党がもしこの法案に対して対案を出されるのであれば、カンカンカクカクの議論をする準備は整っています。論件を自負される立憲民主党も、この国会議員の任期延長について、条文をまとめられてはいかがでしょうか。枝野委員は、中山法式とは、現状のように、ただ形式的に、あるいは、国会対策的に野党を巻き込もうとしたものではありません、とも述べられました。いつまで巻き込まれるという、受動的なお立場を、論件を掲げる立憲民主党が持ち続けられるのですか。喫緊の課題である緊急事態時の国会議員の任期延長については、維新、国民民主、有志の会でまとめた条文案が、憲法審での意見集約の叩き台になり得ると考えています。自民、公明はもちろん、立憲民主党も、過急的速やかに成案を出し、一致を得るよう真剣に取り組んでいただきたいと思います。この問題に、イデオロギーが支配する余地はないはずであります。また、三党派の合意では、憲法裁判所については、今国会中に成案を得ることを目指す、国会機能が維持できない場合に備えた緊急政令及び緊急財産処分に係る規定についても論点を整理し、条文案の作成に向けて引き続き検討を進めるとしており、我々は普段の努力をもって、この緊急事態条項に取り組むことは言うまでもなく、他の改正項目 についても、志を同じくして取り組んでいこうと決意を新たにしています。国民のため、国のための建設的な憲法改正議論を、一日も早く行うことが、国会議員の責務として課せられています。ここに出席されている全員に、憲法改正に共に真摯に取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私からの発言を終わります。
45:17
公明党の北川和夫です。いかなる緊急事態が発生しても、国会は唯一の立法機関、全国民を代表する国権の最高機関として、その役割を果たしていかねばなりません。そのため、緊急事態において国会機能の維持をどう確保するのかという観点から、党審査会では昨年来論議を積み重ねてまいりました。まず緊急事態が発生し、議場に国会議員が参集するのが困難となった場合にどうするのかが議論され、憲法56条1項の出席の概念は、例外的にオンラインによる出席も含まれるとの意見が体制となり、その結果を昨年3月、衆議院議長に報告したことはご承知のとおりでございます。次に、大きな論議となっているのは、議員任期満了前、もしくは衆議院解散後に緊急事態が発生し、国政選挙の適正な実施が長期間困難と認められるときに、国会の機能を維持するため憲法を改正して、国会議員の任期の延長ができるようにする必要があるのではないかということです。緊急事態における議員任期延長の必要不可欠な要件は、国政選挙の適正な実施が長期間困難という選挙困難事態であることです。3月22日の審査会で述べましたように、選挙困難事態とは、大規模な自然災害など緊急事態の発生により、選挙の一体性が害されるほど広範な地域において、国政選挙の適正な実施が70日間を超えて困難であることが明らかであると認められる事態と定義されます。また、選挙困難事態の認定について国会の承認があると、内閣は速やかに事態認定の日から最大6ヶ月以内の日に選挙期日を延期し、延期された選挙期日の前日まで議員の任期を延長するとします。逆に申し上げますと、当然のことでありますが、どのような緊急事態が発生しようと、選挙困難事態と認定されないのであれば、予定どおり国政選挙を実施するだけで、議員任期の延長という問題は生じません。緊急事態においては、内閣に法律に変わる緊急政令を発布する権限を持たせるべきか、等のその他の論点がありますが、そ の答否は別といたしまして、これは議員任期延長の有無にかかわらないテーマであることを確認をしたいと思います。また、選挙困難事態の認定に係る国会承認の一決要件について、過半数でもよいのではないかとの意見があります。憲法上定められた国会議員の任期は、議会正民主義の土俵にかかわる事柄です。衆議院議員は原則4年、参議院議員は6年と憲法上明記されているのは、正当な選挙によって、試験者である国民から国政を信託された期間、期限を意味するものです。日本国憲法の全文冒頭にあるとおりです。緊急事態において、議員任期の延長を認めるとすると、これはその重大な例外となるもので、やはり国会の承認には、各議員の3分の2の特別多数が必要と、厳格に考えるのが適切と考えます。さらに、国会議員の任期延長の効果をもたらす選挙混乱事態の認定には、手法の関与が必要との意見があります。まず、憲法裁判所を創設し、これを関与させようという考え方があります。しかしながら、憲法裁判所の創設には、その是非事態に多くの論点があります。また、現行憲法の司法権をはじめ、統治機構に大きな変更をもたらすもので、憲法の改正が当然必要であることは言うまでもありません。さらに、仮に憲法改正をして、憲法裁判所を創設することが認められたとしても、その権限の内容、訴訟手続き、裁判所の組織、裁判官の資格等、法律等で詳細な制度設計が必要となります。議論することは全くやぶさかではございませんが、直ちにその創設ができるものではなく、少なくとも緊急事態における議員任期延長の課題とは、切り離して論議をされるべきと思います。次に、現行憲法の違憲審査制度の下で、司法の一定の関与ができないか、ですが、裁判所法3条では、裁判所は一切の法律上の訴訟を裁判し、その他法律において定める権限を有するとあります。選挙訴訟や国民投票無効訴訟のように、別に法律で要件手続き等を定めて、法的要の客観的適正を保障しようとするもので、いわゆる客観訴訟と呼ばれています。議員任期延長の効果をもたらす選挙困難事態の認定等について、その憲法適合性を直接に争う訴訟類型を法律で創設することは検討できると思います。ただし、選挙困難事態の認定は、内閣が被災状況、復旧状況等の事情を総合的に考慮して、国政選挙を適正に実施できるのかという判断であること、また緊急を要する判断であることを鑑みますと、内閣の判断が合理的な裁量の範囲を大きく逸脱し、極めて明白に違憲であると認められる場合に無効となると考えられます。また、3月23日の審査会で、選挙技術の延期は、同一の事態で最初の選挙困難事態の認定から通算して1年を超えることはできないとしてはどうかとの、私の発言に対しまして、先週ご質問がございました。緊急事態の発生により、選挙の適正な実施が長期間困難として、選挙技術の延期、そして議員任期の延長を認めるにしても、一方で議会の民主的正当性の維持・確保を図っていかねばなりません。困難とも言うべき緊急事態だからこそ、国民の信任が不可欠です。その意味で、同一の緊急事態が継続していても、事態発生から1年の間に選挙ができるようにすべきではないかという趣旨です。東日本大震災の際、選挙技術を延期した理由は、有権者である住民が極めて甚大な被害・被災を受け、到底選挙ができる状況ではないということですが、一方で、選挙事務の執行も事実上不可能であったという事情があります。選挙管理委員会や地方公共団体の職員自身が被災者であり、また被災自治体は全国の自治体等からの応援も得て、被災者の救助・救援・復旧に懸命に取り組みました。たとえ緊急事態の状況が継続していても、事態発生の初期と1年経過後とでは、事情が相当異なっているのではないでしょうか。緊急事態の新たな発生があると認められない限り、1年という時間経過がある中で、ネット投票の活用等も含めて、選挙を実施しなければならないとする ことによって、民主的・正当性の維持という要請に応えるべきと考えたところでございます。以上、本日の私の意見表明といたします。
52:57
国民民主党の玉木雄一郎です。先ほど維新の場場幹事からも紹介があったとおり、先週、日本維新の会、国民民主党有志の会の3回派で、緊急事態状況のうち、議員任期の延長に関する条文案について合意を得ました。この条文案の中身は、本審査会での議論を踏まえたものでありますので、憲法改正に向けた現実的かつ合意を得やすい内容になっていると思います。今後、当審査会における成案作りの叩き台として御議論いただき、他の会派の皆さんとも丁寧に合意を得てい きたいと考えています。内容については、先ほど場場幹事から資料をもとに説明があったとおりですが、このうち選挙実施困難と、前衆議院議員の身分の復活について追加で私から説明し、奥野委員と篠原委員に、前回お答えいただき、十分お答えいただけなかったので、質問をさせていただきたいと思います。まず私たちが、この資料のうち上の自治体的要件のところに書いてある、選挙の一体性が害されるほど広範な地域において、国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らかな場合に延長を認めることにしていますけれども、逆に言うと70日までは可能な限り参議院の緊急集会を活用しようという趣旨であります。決して緊急集会をないがしろにしたり、参議院をないがしろにしたり、権限の縮小を意図したものではありません。また、長谷部康生先生などが認めている、緊急集会が解散時のみならず、任期満了時にも開催できることを、条文上明記し、解釈論争に結論を出していることも前回説明したとおりであります。このことで、一時的、暫定的、限定的な対応は緊急集会。70日を超えるような長期にわたる場合については、任期の特例延長という形で、両者の住み分けを条文上明確にしているというのが一つの特徴です。佐藤勲先生の学説でも、緊急集会制度は、両院制の国 会に対する極めて特殊な場合の異例的変則的措置とされており、また、緊急集会制度には乱用の危険もあるともされています。さらに、高篤政宗元法制局長官は、例えば、取り扱える案件として、条約締結の承認については、衆議院の同意をかけば、承認の効力が失われる以上、当該条約の法的地位を安定化することにはならず、かえって、相手国との信頼関係を損なう恐れがあり、緊急集会の措置としてはなじまないとされています。この論点に関して、奥野委員は、前回の審査会で、この任期の延長に関して、公選法が規定する栗述投票での国会議員の任期延長はできないと思っていると明言をされました。また、解釈や国会法等の改正で対応できないことが明確になれば、我々も議員任期の延長を議論すべきであり、議員任期の延長をするということになれば、憲法改正は自明であるとも発言をされました。これは極めて前向きな発言であり、ぜひ一致点を見出す議論を積み重ねてまいりたいと思います。今後、緊急集会でできる範囲とできない範囲、法改正でできる範囲とできない範囲を明確にするための議論に、立憲民主党におかれても積極的に関わっていただきたいと思います。なお、こうした奥野委員の発言は、立憲民主党全体の考えと捉えていいの かというのは、昨日、参議院の筆頭幹事ある杉尾議員からは、私たちの会派は、憲法改正より議員任期の延長は明確に反対と断言されているので、先週聞いた話と、昨日、杉尾議員が参議院で発言された内容が同じ党で異なっているので、これはどうなのかということを、中間報告を読むと、認める余地があるように書いてあるのですが、この点をお答えいただければと思います。もう一点、参加者の乗務案では、解散後、任期満了後の全議員の身分については、延長の国会決議をするために必要な限度において、任期は終了していないものとみなす規定を創設し、議員身分が復活した上で、任期を延長するという規定にしています。この点について、篠原議員にぜひ質問したいと思います。前々回、いらっしゃらなかったので、篠原議員は、選挙で選ばれた衆議院議員としてではなく、経験を積んだ全議員として特別な資格を与え、国政の重要事項に関与できるようにすればいい。緊急事態なので、もう一踏ん張りしていただく。立法措置でやってみて、数年ぐらい経ってから、まとめて明文化したらどうかと述べておられます。まさに緊急事態において、全議員に議員並みの国政の重要事項に関与できる権限を与えるアイデアは、慶長に値すると思います。なので、まさにそれは憲法に書くべき話なので、我々参加委員会の条文としては、全議員の身分復活規定について、憲法上明記しています。逆に言うと、議員でないものに、議員同様の国政の重要事項に関与できる権限を与えるような立法は、議員任期を定めた憲法45条46条、国会が唯一の立法機関と定めた憲法41条、参議院の緊急集会による対応を定めた54条2項などに違反する立法になると考えます。篠原委員の提案する立法は、大変ユニークなんですが、違憲立法ではないかなと。かかる立法は、なかなか実現不可能だと思うんですが、改めてここは篠原委員の考え方を伺いたいと思います。併せて、取扱える内容についても、いわゆるフルスペックでできるのかという議論があるんですが、先ほど提示をした条約承認、本予算ができないのではないかということは、この前答えをいただきましたけれども、条約承認についても、緊急集会で対応可能と考えるかどうか、あるいは、篠原委員の提案する特別な身分復活による国政の重要事項として取扱えるのか、この点についての考えを伺いたいと思います。最後に、立憲民主党の小西白行参議院議員は、任期満了前に必ず解散するという立法措置を講ずれば、憲法改正せずとも議員任期の延長ができると主張していると承知をしております。70日を超えて、長期的、確定的、フルスペックで国政の重要事項について緊急集会で処理するのは、やはり認識を前提とする言語憲法に反する立法になると考えます。なお、解散のない参議院にはそもそも適用できないのではないでしょうか。今後、緊急集会についての有識者の意見を伺う際には、自称憲法学者の小西弘行参議院議員にもお越しいただいて、ぜひ併せてご意見を賜りたいと思います。とにかく我々国民民主党は、緊急事態にこそ国権の最高機関である国会の機能を維持し、行政監視機能や立法機能を保持することで、行政権の被代化や乱用を防止し、もって憲法が保障する基本的人権を守ろうと考えています。立憲主義を貫くためにも、憲法で定める議員任期の延長は、憲法改正によって規定すべきであることを改めて申し上げて発言を終わります。ただいま奥野君からご質問があった、下原君、奥野君、簡潔にお答えいただけるなら一つお願いいたします。場合によっては次回にしていただいても結構です。どうぞ。ちょっとまた総務委員会に戻らなきゃいけないので、人が…人が…すみません。一応前回の発言は、当の調査会長である中川さんと両会の上での発言であります。だからきちんと議論して結論を出すというのは当然のことでありまして、最初から絶対会見しないということですね。結論ありきではないというのは我が党のスタンスだと思います。杉尾さんは杉尾さんの思いがあるし、ハウスが違うので、きちんとした議論をこれから積み上げていくと。いろんなご提案ありますが、いろんな諸説あるのは事実ですが、なかなかこの緊急集会についてきちんと取り上げた学術論文とかもないようですから、きちんとこの前から私が提案しているように有識者のご意見を聞いて、射程をまずきちんと決めていくと。それから当然ハウスが違う話ですから、参議院の意見も聞かなきゃいけないだろうというふうに思っていますので、