2:49
では、今から国民生活経済及び地方に関する調査会を開会いたします。国民生活経済及び地方に関する調査を議題といたします。本日は、中間報告書を取りまとめるにあたり、これまでの調査を踏まえ、誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築のうち、社会経済、地方及び国民生活に必要な施策について、委員間の意見交換を行います。本日の議事の進め方でございますが、まず各会派1名ずつ指名させていただき、その後は会派に関わらず、ご発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。発言を希望される方は、挙手の上、会長の指名を受けてから、ご発言いただくようにお願いいたします。また、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、委員の発言は、お一人5分以内となるようにご協力をお願いいたします。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それでは、発言のある方は、挙手をお願いいたします。
3:47
自由民主党の白坂昭でございます。本日は発言の機会をいただいてありがとうございます。本調査は、誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築を3年間のテーマとして掲げ、2年目の本年におきましては、社会経済、地方及び国民生活に必要な施策について調査を進めてまいりました。本年の調査を振り返ると、地域経済とコミュニティの活性化、若者への教育支援、ジェンダー平等と働き方、障害者、ユニバーサルデザイン、地域交通への対応と、後半多岐にわたり議論を行ってきております。これらにつきまして、我々政治家が全力で解決へと導く必要があると考えておりますが、本日は調査会の議論を取りまとめるにあたりまして、家族を介護するケアラーへの支援、障害者のための災害時における福祉避難所の在り方に焦点を当てて、意見を述べさせていただきます。調査会では、参考人から、ヤングケアラーの問題について貴重な意見を伺いました。この問題は家庭内のデリケートな問題であることから、周囲の人たちが気づきにくいという背景があり、ケアをしている子どもたちや若者にその自覚がない場合もあります。こうした子どもや若者が自らの負担に気づくことが重要であり、丁寧に説明することで状況を理解し、支援について知ることができるようにすることが必要です。また、子育てと親の介護を同時に行っているダブルケアラーと呼ばれる方々への支援も重要だと考えております。ダブルケアラーは複合的な課題を抱えており、こうした方々を支援するためには、一つの機関だけで解決に導くことが困難な状況にあるため、複数の分野にまたがる課題に対応できる重層的な支援体制の整備を進めていくことが重要となります。次に、被害時における福祉避難所の在り方について意見を述べさせていただきます。災害が発生した場合の避難先には、一般の方々が避難する避難所がありますが、障害者、高齢者、妊娠婦など通常の避難所での生活が困難で、特別な配慮が必要な方々を受け入れる施設として、福祉避難所があります。福祉避難所では、市区町村で取り組みを進めているところですが、人手不足などの要因もあり、施設を設けることに苦労しているとの声も聞こえてきます。令和6年の野党反党地震では、手話通訳者のいない避難所での孤立を恐れて、自宅に留まった聴覚障害者の方がいたとの話をお聞きしました。聴覚障害者の方々は、アナウンスが聞こえないなど、情報の取得が難しい場合もあります。調査会の議論の中では、参考人から聴覚障害の当事者の立場で、福祉避難所の手話通訳者の常駐など、情報保障に関する問題点が指摘されました。こうした災 害時においても、誰もが支援に取り残されないようにするためには、情報発信の方法を工夫する必要があります。また、災害時において自治体が福祉避難所を設けるにあたっては、障害のある当事者が参画した場で改善策を検討していくことが求められると考えております。本年の調査会では、誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築に向けて、子ども、若者、女性、障害者等にも焦点が当てられました。また、こうした人たちの生活の場となる街をつくっていく上で、地域経済の活性化だけでなく、ユニバーサルデザイン、バリアフリー、コミュニティ、住民共同といった視点も含め、様々な観点から議論がなされたと感じました。各参考人から御指摘いただいた様々な論点を踏まえ、調査会の提言へとつなげていくことが重要だと考えます。誰もが取り残されず、希望が持てる社会が少しでも早く実現されますよう、私も尽力してまいります。以上です。ありがとうございました。
8:35
誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築を大テーマとする本調査会2年目は、社会経済、地方及び国民生活に必要な施策を中テーマとして、4回の調査会が開かれ、各界の小テーマに豊富な知見を有する参考人の皆様から御意見をお聞きし、議員からの質疑で理解を深めることができました。各界とも大きな学びと気づきを得られました。自分自身、今後の議員生活、議員活動を行う上で大きな財産となっています。少子高齢化、人口減少社会にあって、都市、特に東京への一極集中に歯止めがかからない状況にあります。地方、地域経済とコミュニティの活性化は、地方自治体の存続、食料安全保障に無視する農業の担い手確保や、都市部にも被害を及ぼしている徴従対策、そして、都市部の人口集中によるリスク、すなわち、度重なる大規模自然災害の発生や、未知のウイルスによるパンデミックなどのリスク低減にもつながる重要な取組です。一方で、都内のビル建設や大規模再開発などが進む様子を見ると、そんなことはお構いなしに、目先の経済活動を優先しているようにしか思えない状況となっています。地方消滅を促進しているともいえる重大な問題です。このことは、地方の移動の手段である地域公共交通を民間の営利事業として、不採算地域からの撤退を余儀なくさせ、加速させている状況にも見てとれます。移動なしを奪われた住民は、地域で暮らすことができなくなります。政府・自治体は、公共交通を公共サービスとする世界標準の公共交通政策へ転換すること、公共インフラを維持・確保するための財政措置など、地域経済・コミュニティ活性 化に取り組む必要があります。ジェンダー平等の実現、女性活躍を阻害している要因について、自らを顧みつつ、そして、それぞれの個人の価値観を変える政策推進も急務です。ジェンダー平等の実現は、社会の2分の1を占める女性の尊厳を大切にすることだけではなく、性別に関わらず互いを尊重することにあります。働き方改革や、同一労働同一賃金の実現、男性の育児・家事参加のさらなる推進など、社会の意識・働き方を変えることが求められています。先ほども申し上げましたが、4回の調査会を通じて、様々な要因で困難な状況に置かれている方々がおられること、そして、そうした方々に寄り添い、克服に向けて取り組む個人・団体の皆さんの存在を知ることができました。調査会全体を通じて強く心に残っているのは、何よりも「知る」ということの大切さ、「気づく」ことから全てが始まるということです。私自身、本当に多くの気づきがあり、政治が取り組むべき課題の多さを再認識することができました。そして、困難な状況があることを知り、その方々と同じ目線で一緒に考え、課題解決を進めるための教育の重要性、インクルーシブ教育の推進が極めて重要なものと感じました。子ども時代から、生涯のあるなしに関わらず、共に学び、生活することで、バリアフリー、ユニバーサルデザインにとどまらず、多様な価値観が あることを自然に身につけることが、誰もが取り残されない社会制度の構築につながるものと考えます。人口減少が進む我が国にあって、この社会を構成する一人一人の存在を大切にし、それぞれの幸せを実現することは、社会の活力を生み出すことにつながります。そのための、教育・人材育成・DX推進・インフラ整備・公共サービスの維持・質の向上など、あらゆる政策を講じていく必要があります。本調査会において、皆さんとともに、さらに議論を深めていきたいと思います。以上です。
13:25
公明党の下野でございます。全12人の参考人の皆様からは、大変な学びの機会をいただきまして、これ以上ないというくらいの勉強になったと思っております。12人の皆様のご指摘、意見は非常に多岐にわたっていたのですが、その中でも特に私の印象に残ったのは、富山大学大学院の中川教授の意見陳述でありました。やはり日本の交通事業者は、営利事業を基本としている。世界標準は、公共交通は公共サービスであるといった視点。これは非常に私、目から鱗が落ちたような気持ちで、これが日本の公共交通の考え方には完全に抜け落ちてきたのではないかと思っております。しかし、その一方で、私は、いわゆる田舎といわれるような地域の皆さんにお会いしたときに、こういうふうな言葉をよく聞きます。ここの地域には何もないと。何もないからねというような言葉を聞きますけど、私は何もないのではないのではないかと思っています。自然があるではないかということを強く訴えたいというふうに思っています。一方で、子どもたちが、私、中学校の教員30年間やってきた中で、子どもたちが毎日書いてくる日記の中に、今日は何もなくて暇だった、つまらなかったというようなことを書いてくる子どももいます。私は、地域の中である自然、これをどのような形で教育をしていくのかということが、今回非常に重要ではないかということを改めて考えさせていただくきっかけになりました。NHKの朝の連続ドラマで、『乱万』というドラマがありました。あの中の舞台になったのは、高知県の酒場町。この酒場町で坂本龍馬が登場してくるシーンに使われた音響があります。その音響が何を使われたのかということは、多くの方は素通りしてしまったのではないかと思いますけれども、そこに使われたBGMとしての音響効果として狙ったのは、キツツキのドラミングでした。そのキツツキのドラミングというのは、多くの方にキツツキが続くのをちょっとやってみてというと、手でやってみるとこういう感じでやるんですね。これがキツツキのドラミングじゃないかというふうに皆さん思っていらっしゃるんですけど、そうではないです。限りなく連続音で、一番近いのはアスファルトの道路を崩すときのマシンガンみたいなガガガガガガッと、あれが一番近いと思っています。森中に響き渡るタラララッ、タラララッ、タラララッというこの音、この音は非常に神秘的な音であって、ランマンの中で4回か5回使われたというふうに思っています。この効果音に対しても非常に私は有効じゃないかというふうに思っていましたけど、多くの方はそれに気づいていない方が多いということが少し残念だなと思っています。地域の宝であるような自然を、やはりもう一度教育によって再認識すべきじゃないかというふうに思っています。一方で鳥だけではありません。例えば先日海外に輸出をしている、園芸品種を輸出していらっしゃる方とお会いした話を聞きましたら、林野町が保有している黒幽林の中に道断筒子があると、この道断筒子を許可を得るまでに林野町から3年も、交渉の結果3年かかったと。しかし林野町から許可を得てそれを伐採して、高値で輸出ができている。要するに日本の自然の中には気づいていないだけで多くの宝があるということを、これを私たちはもう一度再認識をしなければいけないのではないかということを改めて、教育の重要性を認識して、そこを課題にしながら、何もないのではない、自然があるということを、地域の活性化の中に取り残されそうな地域には素晴らしい宝である自然があるんだということを、もう一度再認識をして、それをどうやって教育でしっかり育てていくことができるのかということを、考えさせていただけるきっかけになったと思っています。以上です。日本維新の会、教育無償化を実現する会の中城清志でございます。まず、2月7日には石田参考人から、農家に弟子入りする人も増えてはきたが、その一方で、テレワークなどもやりながら農業をしていきたいという人もいて、農業をするにはどのような時期に人手が必要なのかをリアルに伝えていくことと、半分農業、半分は別の事業という特定地域づくり事業共同組合をつくるには、仲間を集めるのがとても難しく、商工会と農業会というように、業界の違う人々が参加して地域を盛り上げていくことが重要であると伺いました。私は、地域の魅力と必要な情報をしっかり伝えていく仕組みをつくり、人々が集まれる場所を創設することで、若者をはじめとした現役世代を、大都市からいかに誘引できるかが、地域の活性化につながるのではないかと考えています。移住を促進していくためにも、ちゃんと働ける場所はあるのか、キャリアとしてステップアップしていけるのかを考慮しつつ、雇用の確保、多様な生き方への実現、そして持続可能な地域づくりの全てを達成していくことが、重要だと思います。また、空き家問題については、平山参考人から、日本の持ち家の大きな特徴としては、ボロボロになるまで徹底的に住み続けることが多く、欧米のように中古取引が盛んな国々では、売買の際など、様々なタイミングでリフォームの手が入るとのことでした。住宅の対応年数も、欧米は日本の4倍以上と聞きます。我が国でもリノベーションすることによって、最新の住宅技術で耐震性や断熱性、機密性を備えた、新築同様の住み心地と安心感のある住宅、加えて住宅市場の支援を行うことで、価格の抑えられたあるいは税制の優遇された物件となれば、大都市に住み続けるという形から、自然豊かな地方への移住促進につながっていくと考えます。次に、4月17日に、美東参考人からは、障害を抱えた当事者の方々にも検討プロセスの中に入っていただいて、情報格差をなくしていくことはとても大切であるものの、その困難を想像するだけでは限界があるというお話でした。特に私は、障害を抱えた方にとって、災害の現場で情報へのアクセスを奪われることは、命の危険を増すことにもつながりますので、当事者の方にも議論プロセスへ参画をいただくことが、ユニバーサルデザインを行っていくための基本と言えるのではないかと思います。中川参考人からは、赤字路線も多くある中で、鉄道事業者だけに対応を求めるというのは現実的ではなく、このままでは公共交通機関そのものがなくなるリスクがあるというご意見をいただき、佐藤参考人からは、無人駅でのスロープの設置など、費用のあまりかからない方法もあると教えていただきました。自治体や鉄道事業者、そして何より障害を持つ当事者の方々のご意見やノウハウなど、これを全国的に集約して、その知識と工夫を平準化することがとても重要ではないかと思いました。本日申し上げました意見も含めて、持続可能な地域づくりを支援していけたらと思っております。ありがとうございます。今回のテーマは「誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築」ということでしたけれども、私もこの参考人の皆さんからのお話は大変勉強になりました。これは通常の縦割りの委員会ではなかなか実現し得ない、幅広い分野横断的な様々な話を聞くことができ、また、この調査会だからこそ、分野横断的に、ぜひいろんな論点を政府に対しても提起いただければと思っております。いくつかに分けてお話したいと思いますけれども、まず1番目は、やはりこの地方、地域という観点からのお話がいくつかありました。私も参考人からもありました。ふる さと会期フェアとか、いろんなイベントをやっていても、結局「来てください」と言いながら、実際に情報を見ると、なかなかネガティブな情報が多いんだというお話もありました。これ、下野議員からもありましたけれども、やはり自分の地域になかなか自信が持てていない、何もないんだと言うんですけれども、やはりそこが、自分の地域に自信を持って魅力をどう発信していくのか、この観点がないと、なかなか地方の人口減少とか活力低下というのは止まっていかないのかなということを本当に強く感じました。ですので、やはり今ある資源にどう磨きをかけていくのか。これ仕事もそうだと思うんですよね。親が「いや、この仕事つまらない、つまらない」ってやっていると、背中を見る子どもは絶対その仕事に就こうと思わない。農業でも、本当に生き甲斐を持ってやり甲斐を持ってやっていれば、その仕事に就こうということで、子どももついてくるということを考えると、まずはそこに住む人が、いくら協力隊が来たりとか、いろんな仕組みを作っても、そこに住む人が自分の地域の魅力に気づいて自信を持っていくと、ここから地方地域の活性化が進んでいくんじゃないのかなということを強く感じました。そして、その上で、やはり現実の問題としては、1つ、これもお話がありまし たけれども、住宅ですよね。中城議員からもありましたけれども、やはりこの空き家対策、この空き家対策をどう住宅市場に結びつけていくのか。ただでさえ、今、世帯分離が増えていく中で、地方も人口減少をしているんだけれども、世帯数が結構増えていたりするんですね。でも、いつまでも命が流れるわけではありませんので、必ず空き家が出てくる。その空き家が次にどうバトンタッチされていくのか。やはりそこの市場をしっかりと活性化することで、今ある空き家を有効に活用していくことが、また人を地方に呼んだりとか、そういった活性化につながっていくと思います。それは農地でも同じことが言えると思います。なんとなく、今、農業に関心がある、やってみたいなと思うんだけれども、これ面白いデータがありまして、外から移住希望者に対してアンケートを取ると、農地がない、農業ができる場所がないという答えがくるんですけれども、地元に行くと農地がいっぱい余っていると。農業委員会も同じですよね。農地が余っていると言いながら、圧戦できる農地がないと、こういった答えが返ってくるんですね。そういった意味で、やはりそこのマッチングをどうしていくのか。そういったことによって、家と農地と、地方の仕事、農業は全てじゃないですけれども、そういった住宅、農業政策に対してきちっとマッチングできる仕組みがあると、もう少し、そして地域の魅力に磨きをかけることができるのかなということを感じました。地方地域の3点目は、やはりこれは交通政策ですよね。中川参考人からは、地域交通は事業者の営利事業、再三最大化ではなく公共サービスだと。公共サービスとは収入ではなく、地域全体にもたらす効果の全体を見るべきだと、こういったようなご提言がありました。まさに、こういう在り方を、ぜひこの調査会で、とかく民間事業者の再三ベースで、再三が取れなければ撤退していくということになっていますけれども、そうじゃない。やはりこういった交通がしっかりと、移動の手段、足がなければ、地方での利便性、そして生活の手段というのが一時的に制約されてしまいますので、まさにこの交通政策をしっかりと再構築することが、地方地域の活性化、経済の再生にもつながっていくということ、このことも調査会として、ぜひ政府に強く提言をいただきたいなと思っています。これからいかに分散社会をつくっていくのか、消滅自治体と言われるところをなくしていくのか、この思いというのは皆さん共通しているんじゃないかと思うんですね。まさにこれからリスクが高まる中で、地方分散こそが本当にこれからの日本の持続可能性を高めていくという観点から、ぜひこういった政策をこの調査会での成果として発信をしていきたいなと思っています。もう時間なの?ごめんなさい。すいません。すいません。簡単にもうすぐまとめます。ジェンダーとかですね、語らし方に関してもやっぱり政策、政策で壁をつくっているところがありますので、年金、社会保険制度の見直しも必要ではないか、それから障害者政策、若者政策に関しても、やっぱりいろんな壁がある中でどうインクルーシブな社会をつくっていくのか、ここについても教育も含めてきちっと見直していく必要があるのかなということを感じました。なんかちょっと地方地域で終わっちゃったんですけども、とりあえず以上で終わります。ありがとうございました。そんなしゃべっちゃうんだ。
29:00
日本共産党の山添拓です。本調査会のテーマ「誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築」、今国会の論点である社会経済、地方及び国民生活に必要な政策に関わって意見を述べます。誰もが取り残されず、希望が持てる社会のためには、人権更新国の現状を改めることが不可欠です。ジェンダー、若者、障害者、外国人など、個人の尊厳を基本とする人権尊重の施策としてこそ、希望につながります。女性の低賃金を告発した竹信美恵子参考人は、「女性の賃金が上がらないと全体の賃金は上がらない。説明のつかない男女の賃金格差があり、性差別を直視すべきだ」と述べました。女性活躍推進法に基づく男女賃金格差の公表が、昨年ようやく始まりましたが、項目も内容も不十分です。格差解消の具体策として、保育士、看護師、介護士など、ニーズもスキルも高い仕事であまりにも賃金が安い、業種別の最低賃金が切り札になるとの意見は、実効性ある提案です。山口慎太郎参考人は、「日本 では、男性の育児休業が世界トップクラスの内容である一方、取得率が低いと指摘しました。合理化・効率化で人びらしではなく、代わりの人がいて安心して育休をとれる職場となるよう、項目を含めて改めるべきです」と述べました。5月13日、東京地裁は、「一般職の女性に社宅制度の利用を認めないことは間接的な男女差別に当たる」として、AGC子会社に損害賠償を命じました。性別を要件としていなくても、結果として一方の性、多くは女性に不利益が偏る間接差別を初めて認めた画期的な判決です。間接差別の是正に、政治も正面から取り組むべきです。若者の教育支援は、教育現場の実態に即した施策が不可欠です。特別支援学校学級に通う子どもが増加する一方、学校数は増えず、加熱になり、カーテンで仕切るしかないなど過酷な実態があります。2年前、遂に設置基準が一部施行されましたが、既存校に適用はなく依然として課題です。国人吉博参考人は、「むしろ普通学級の悲惨な現状を変えることが必要」と述べました。全国学力テストの点数を上げるためテスト付け、子どもに役に立つとは思えないことで長時間労働を強いられる状況を改善する、学力テストを失敗から抽出に 変えるだけでもずいぶん変わるとの指摘には、直ちに対応すべきです。学び成長する子どもの権利を阻害しています。根底にある教員の不足を解消するため、教育予算を増やし定員を拡充すべきです。日本が障害者権利条約を批准して10年、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という当事者をはじめとする運動は、ユニバーサルデザインの広がりなど長期的に見ると様変わりをもたらしています。一方、障害者権利委員会が2022年に行った日本審査では、条約が目指す社会とほど遠い現実が厳しく批判されました。特に日本の政策が障害者を人権の主体と捉えず、恩恵的に保護する考えに立っているという点は深刻です。佐藤聡さん公認は、日本が緊急に行うべきこととして、脱資設とインクルーシブ教育が指摘されたと述べました。政治の姿勢が問われます。伊藤嘉洋参考人は、参議院に手話通訳がないことを指摘しました。議会の状況も手話通訳付きで情報保障を徹底することで、聴覚障害者も政治状況を十分把握し、参加しやすくなると提案されたことは、委員としても受け止めるべきです。民間有識者会議「人口戦略会議」が公表した「消滅可能性自治体リスト」に、人口減少は自治体の責任かと強い批判の声が上がっ ています。教育や社会保障を切り捨て、財政力の強い都市部に人口が集まる現状は、国に大きな責任があります。平山洋介参考人は、「頑張ったところを助ける」という選択と集中で、「頑張れなくて途方に暮れているところには支援が一切入らない」と批判し、田口太郎参考人は、「競争の手段がアピール合戦になっている。その結果、どこでも必要な普遍的なものはどんどんおろそかになっている」と述べました。この掛け違いを正すべきです。中川大参考人は、公共交通を公共サービスとみなす必要性を強調しました。「事業としての収支ばかりを物差しとするのではなく、公共サービスとして利便性を高めてこそ、利用者も増え、地域も活性化する」という指摘に、今日も党派を超えて賛同の声がありました。公共交通政策の在り方に、ぜひとも反映すべきと考えます。この間、自民党の裏金事件で、政治は結局金でしか動かないのかという怒りが広がっています。民意に基づき、命と暮らしを守り、希望ある政治に転換すべきであることを強調して意見表明とします。
33:54
テーマは新選組の木村英子です。この調査会のテーマである「誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築」には、社会で生きづらさを抱えている当事者の方たちが取り残されないための様々な取り組みが急がれています。まず、地域経済とコミュニティの活性化については、障害者の方が地域で暮らすための家探しが非常に高いハードルとなっている現状において、平山参考人からは、空き家に対して、行政がもっと補助金を出して、バリアフリーに改造して障害者に供給することが提言されていました。また、ジェンダー平等と働き方については、今の雇用施策が、基本的に長時間労働や転勤を厭わずに働ける人を前提としており、障害や慢性疾患のある人、あるいは子育てや家族の介護などに携わる人たちが周辺に追いやられる中で、誰もが合理的配慮を受けて働き、その力を発揮できるような労働環境の整備が必要だと感じました。そして特に、介護の必要な障害者が就労から取り残されないためにも、就労中の介護保障の法整備も同時に進めていく課題であることを再認識しました。また、ユニバーサルデザインのまちづくりについては、佐藤さん公認が新幹線のバリアフリーなどが進んでいる一方で、生活に欠かせない小規模店舗や 住宅などの建物のバリアフリー化が特に進んでおらず、障害者が地域でバリアを感じずに生活するための環境整備が遅れていることを指摘されました。そして伊藤さん公認からは、聴覚障害者の方は、教育、労働、医療など様々な場面において、十分な手話通訳の保障がないため、コミュニケーションが取れず、孤立感や疎外感を受ける環境にあることや、合理的配慮が行き届かない現状においては、災害時に情報が得られず、逃げ遅れる人が多く、聴覚障害者の方の災害時の死亡率は健常者の2.5倍となっている実態をお話しされました。参考人の方々の重要な提言は、住宅、交通、労働、教育、介護、公共施設など、社会に混在するすべての課題につながっています。差別されることなく、誰もが取り残されない社会を築くには、幼い時から分け隔てられず、多様性を認め合い、コミュニケーションを取れる環境づくりが不可欠です。そのためには、障害者も健常者も一緒に生きていける社会を築く糸口として、国に参考人がお話しされていた「同じ教室で学び、遊び、育つインクルーシブ教育」を実現していくことが最も必要であると考えます。誰もが取り残されない社会を実現していくために、昨年の調査会でも提案させていただいた「障害者基本法の教育の条文の改正」や、「学校における合理的配慮の提供のための制度などを検 討するプロジェクトチームをつくり、インクルーシブ教育の推進を図るための具体的な施策を検定していくこと」を、今回の調査会においても、委員の皆様に再度提案させていただきたいと思いますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。以上です。
38:10
以上で各会の一巡目の発言は終了いたしました。他にご発言はございませんか。他にご発言もなければ、調査会長でありますが、私から一言申し述べさせていただきます。まず、この調査会でご意見を陳述いただいた12人の参考人の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。また、1年目同様、調査会それぞれの各会において、各委員におかれましては、真摯に、建設的に、また積極的にご意見を述べいただいたことにも重ねて感謝を申し上げたいと思います。党派を超えて、移住・空き家活用、ヤングケアラー、インクルーシブ教育、ジェンダー平等と賃金格差、男性育休、情報保障、ユニバーサルデザイン、地域交通等々について認識を共有した上で、当事者、専門家等からご意見を伺いつつ、リアリティのある議論ができたことはとても良かったと考えております。誰もが取り残されず、希望が持てる社会の構築に向けて、この調査会が 何らかの貢献ができるように、委員の皆様におかれましては、本日も具体的な提案をいただいたところでございますが、中間報告書の取りまとめや、今後の調査におきましても、引き続き、更なるご協力をお願い申し上げまして、会長からの意見とさせていただきます。以上で、委員間の意見交換を終了いたします。各委員におかれましては、貴重なご意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本日伺いましたご意見も踏まえ、各理事とも協議の上、中間報告書を作成してまいりたいと存じます。本日はこれにて、散会いたします。