1:05
ただいまから法務委員会を開会いたします。委員の異論についてご報告いたします。昨日までに、友野理夫さん、山崎雅明さん及び福島みずほさんが委員を辞任され、その補欠として、田中雅史さん、雨水昌一さん及び大椿雄子さんが選任されました。民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本日は、本案の審査のため、8名の参考人からご意見を伺います。午前にご出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授沖野雅美さん、弁護士熊谷慎太郎さん、東京都立大学教授木村颯太さん及び特定非営利活動法人女のスペースオン代表理事山崎紀久野さんでございます。この際、参考人の皆様に一言ご挨拶を申し上げます。本日は、ご多忙のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を賜りまして、今後の審査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に議事の進め方について申し上げます。まず、沖野参考人、熊谷参考人、木村参考人、山崎参考人の順に、お一人15分以内でご意見を述べいただき、
2:30
その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。また、ご発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知をお聞きください。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。それではまず、沖野参考人からお願いいたします。
2:53
ありがとうございます。東京大学法学部法学政治学研究科で民法を担当しております沖野正美でございます。本日はこのように貴重な機会を与えてくださいまして、誠にありがとうございます。提示されております本法律案につきましては、法務大臣の諮問を受けて設置されました法制審議会家族法制部会におきまして、約3年間にわたり、様々な立場を踏まえて審議・検討が行われ、両公案として取りまとめがされました。
3:22
これが法制審議会総会における議論と承認を経て、両公となり、法務大臣への答申がされました。本法律案はこの答申を踏まえたものであると理解しております。私はこの法制審議会家族法制部会の委員を務めさせていただいておりました。本日はその経験を踏まえつつ、民法の一研究者としてお話をさせていただきたいと思います。
3:46
本法律案は民法のみならず、人事訴訟法・家事事件手続法を改正するものですが、もっぱら民法の改正についてお話をさせていただきます。本改正法案と申しますが、それによる民法の改正は、この要域の在り方の多様化等の社会の情勢に鑑み、離婚に伴うこの要域への影響を踏まえ、この利益の確保の観点から離婚関連制度の見直しを図るものであり、
4:14
1.親子関係に関する基本的な規律、2.新権、3.養育費、4.親子交流、5.養子園組、6.財産分与に関する改正を柱といた します。以下では、親子関係に関する基本的な規律と新権を中心にお話をし、養育費・親子交流について簡単に取り上げ、最後に民法の改正の意義について一言いたします。いささか大冗談のお話をすることを許しください。
4:42
日本改正法案の中核の課題は、この要域、特に離婚後のこの要域の法制度として基本法たる民法が、どのような制度や枠組み・規律を用意すべきかというものです。子は出生と同時に民法を基礎とする民事法の世界におきまして、権利能力を当然に付与され、1個の独立した人格として存在することになります。
5:07
しかし、生まれてすぐはもちろん、一定の時期までは1人で立つことができない保護や支援を要する存在です。そのため、この心身の生育、そして社会的な生育をどのように図り行っていくか、その制度が必要であり、
5:23
この制度は法律上の親子関係を基礎として、子に対して親たる地位の者に、この要域のための責任を担わせ、必要な権限を与え、またその妨害に対してそれを排除するなどの権利を与えています。そのような総合的な地位を表すのが親権です。昭和22年、1947年の民法改正前の明治民法は、このような親権は基本的に父が有するものとしていたところ、
5:52
昭和22年改正により、婚姻夫婦にあっては父と母の双方が親権を有し、双方が共同でそれを行使すると定めました。父と母が共に親権者としてこの要域を担うことが、その任務の実現のために適切であるという判断を示すものと考えられます。同時に、離婚後は親権者の一方のみが親権を有し、他方は親権を失うという仕組みを設けました。
6:21
その理由は事実上の困難と言われたりしておりますけれども、必ずしもはっきりしておりません。このような昭和22年民法の在り方につきましては、1.離婚に伴い当然に一方が親権者たる地位を失うという制度が適切なのか。また、2.親権を有しないことになる親が子どもの要域に対する責務を負わないわけではなく、しかしその基礎づけが示されていないのではないか。
6:47
さらに3.婚姻中の共同での親権行使もそう定めるだけであって、親の間で意見が対立するような場合の解決方法が用意されていないのは、法律として無責任ではないか。といった問題があり、議論がされてきました。本改正法案はこれらの問題に次のような形で解決を与えています。第一は親子関係に関する基本的な規律を明らかにしたことです。
7:12
父母は親権の有無に関わらず、この要域に関して一定の責務を負っていると考えられますが、現行民法ではこの点が必ずしも明らかではなく、そのため、親権者でない親はこの要域に何ら責任を負わないかのような誤解がされることもあるという指摘もあります。本改正法案は親権の有無に関わらない父母の責務等を明確化しています。
7:36
具体的には817条の12ですけれども、1、この親身の健全な発達を図るため、この人格を尊重する、とともにこの年齢及び発達の程度に配慮して、こう要域しなければならないこと、2、子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならないこと、また3、父母がこの利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないことを明文化しています。
8:05
この人格の尊重に関しましては、この意思の尊重との関係が問題となり、かなりの議論がありました。しかし人格の尊重において、その意思の尊重はむしろ当然のことです。これを礼事することも考えられなくはありませんが、理論的な問題に加え、この利益の確保の観点からの緊張関係や弊害も懸念されるため、意思の尊重は人格の尊重に当然含まれるという、いわば当然の理解の下に法文が作成されており、適切なことであると考えます。また、父母の間の相互の人格の尊重は虐待が許されるものではないことや、それへの対応の基礎を民法そのものに明文でもおける意味をも有するものです。第二は、離婚後の当然単独申請の見直しです。父母の子の養育への関わり方、在り方は様々であり、昭和22年当時に比し、一層多様化しています。
8:59
夫婦としての法律婚は解消するものの、この養育については協力して当たるという場合もありますが、現行法では離婚後も夫婦双方が共に親権者という立場で、この養育に関わる道は全く閉ざされています。父母の婚姻中は、その双方が親権者となり、親権を共同して行使することされていますが、父母の離婚後は一切の例外なく必ずその一方のみを親権者と定めなければならないこととされているからです。
9:27
このような制度は、およそその余地がないという点において、父母の離婚後もその双方がこの養育に責任を持ち、ここに関する重要な事項が、父母双方の熟慮の上で決定されることを法制度として支えるということがされていない点で問題であると考えられます。改正法案が離婚後の父母双方を親権者とすることを可能とするとしているのは、このような考慮に基づくものであると理解しております。
9:54
これに対し、離婚後の父母双方を親権とすることに対しては、子に関する意思決定を適時に行うことができない恐れがあるのではないか、との懸念や、DVや虐待等がある事案において、父母の一方から他方に対する支配、非支配の関係が離婚後も継続する恐れがあるのではないか、という懸念があります。本改正法案では、父母が協議上の離婚をする場合には、父母の協議によって父母の双方または一方を親権者と定め、
10:22
裁判上の離婚の場合には裁判所が父母の双方または一方を親権者と定めるということを基本とした上で、裁判所が親権者を定める場合の考慮要素に関して、この利益のため、父母と子との関係や父と母との関係、その他一切の事情を考慮して判断しなければならないこととし、かつ、父母の双方を親権者と定めることにより、この利益を害すると認められるときは、
10:49
DVや虐待等がある事案を念頭に置いた例示列挙がされています。これらの規律は、こうした事案に対する懸念を踏まえ、それに対処できる規律としたものといえます。もっとも、協議上の離婚の場合に完全に父母に委ねてしまうという現行法を維持することには、父母の合意について、この規律を認めることによって、この規律を認めることによって、この規律を認めることによって、
11:15
この親権者と認められてしまうという現行法を維持することには、父母の合意について、この利益の保護の観点からの適切性が確保されないという問題もあります。協議離婚の際に、DVなどを背景とする不適切な形での合意によって、親権者の定めがされたという場合には、これにとって不利益となる恐れがあるからです。協議離婚の成立にチェックをかけるという事前確認型の規律も考えられますが、
11:42
その後、速やかな離婚が困難になるなどの問題もあります。そこで、改正法案では、事後の対応の手法をとり、家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能とするとともに、家庭裁判所が変更がこの利益のために必要であるか否かを判断するにあたり、父母の協議の経過、その他の事情を考慮すべきこととし、DV等の有無がその考慮要素の一つとして明示されています。
12:10
第3は、双方が親権を有し、それを共同で行使する場合の規律です。改正法案では、親権の共同行使の場合の規律を設け、まず、看護又は教育に関する日常の行為をするときは、一方の親権者が単独で行使できることを明らかにし、また、それに該当しない、従って共同で親権を行うべき重要な事項について、
12:36
父母の意見対立がある場合には、家庭裁判所が父母の一方を当該事項についての親権の行使者と定めることができる手続が新設されています。また、日常の行為に当たらない重要な事項であっても、協議や家庭裁判所による手続を経ていたのでは、この利益を図ることのできない場合、これをこの利益のため、窮迫の事情があるときとして、単独での行使が認められる場合であることが明らかにされています。このように、新権の行使の規律が整備されることは、単独行使の認められる余地や範囲の規定を書き、意見対立の調整手続を書くという現行法の不備を補うとともに、父母の双方が新権者である場合に、子に関する意思決定を適時に行えなくなるという懸念に対処するものといえます。続きまして、親子交流及び養育費について簡単に申し上げます。まず、親子交流でございますが、
13:33
親子交流については、新権の所在にかかわらず、子が父母の一方とのみ同居する場合に、別居心との交流は、この成長のために重要な意義を有するものです。が、その一方で、親子の交流の実施が、この危害へつながる場合もあり得ることも否定できません。そのため、親子交流については、子や同居心の安全・安心を確保した上で、適切な形での親子交流を実現できるような仕組みを設けることが重要となります。また、親子の交流は別居に伴うものであって、必ずしも離婚後に限定されません。むしろ、離婚前の婚姻中の別居においても重要となります。しかし、現行法は、この局面での規律を置いておりません。また、別居心と交流をしておきており、その中で祖父母等との親族と交流をしていたのだけれども、その別居心が死亡した場合に、それまでの祖父母等との交流を継続することが望まれるといった場合もあります。改正法案は、これらについて規律を設け、また、それとともに手続法関係になりますが、裁判手続き過程において、家庭裁判所が事実の調査として親子交流の趣向的実施を促すことができる旨の規律が設けられています。いずれにおきましても、この利益の観点からの要件設定が明示された、適切な親子交流を実現できる仕組みの構築のための改正であると理解しております。次に、養育費でございますが、これはこの養育を経済的に支えるものであり、その取決めや支払いの確保が重要であることは異論がありません。問題は、それをいかに実現するかです。本改正法案では、取決めがされないときへの対応として、法定養育費の制度が設けられ、また、支払いの確保への対応として、養育費再建につきまして一般先取り特権を付与することで、他の一般の再建者に優先して弁済を受けられる地位、かつ、サイン名義を取得していなくても、民事執行手続の申立てができるという地位が付与されています。また、手続面では、裁判手続における収入等の情報の開示命令の仕組みや、また、民事執行手続におきまして、1回の申立てにより複数の手続を連続的に行うことができることとされ、再建者の負担を軽減する仕組みが設けられています。最後に、民法の改正の意義について一言申し上げます。
15:57
民法の制度は、社会における基本設計として非常に重要であると考えられますが、父母の離婚後のこの利益を確保するためには、民法等の民事基本法制を整備するだけで足りるわけではなく、その円滑な施行についても、必要と思われる環境の整備を図ることが重要であり、何よりまた、この利益の確保のためには、総合的に各種の支援等の取組を充実させることが重要です。法制審議会家族法制部会において、
16:26
民法等の改正内容を示す要項案の取りまとめに加えて、附帯決議がされ、総会議でもこれが認められております。この附帯決議には、改正法の内容の適切な周知を求めること、各種支援についての充実した取組を求めること、家庭裁判所における適切な審理を期待すること、改正法の施行状況や各種支援等に関する情報発信を求めること、これらの事項の実現のため、
16:55
関係府省庁等がこの利益の確保を目指して協力することなどが盛り込まれております。民法等の改正の実現が重要であることはもちろんですが、それのみで目的を達成 するものではないこと、環境整備や各種支援のための総合的な取組があってこそであることにつきましても、改めて指摘させていただきます。以上でございます。ご静聴ありがとうございました。
17:27
弁護士の熊貝でございます。私は昭和62年から東京で弁護士をしておりまして、来年で約40年の実務経験でございますが、養育費に関しまして、今お話がありました法制審議会で答申が出るまでの間に、
17:48
どういう検討 がなされたのか、その辺を振り返りながら話をしたいと思っております。資料、お手元資料の横のA4の養育費の不払い解消に向けた検討について、という法務省免除局の資料をご覧いただけますでしょうか。左から右に向かって時系列に沿って説明をしております。A4横の資料であります。左側にあります法務大臣養育費勉強会。
18:16
これが当時の森法務大臣の御指示で、このような勉強会が立ち上がりまして、令和2年1月から令和2年5月まで勉強会が7回にわたって行われました。ここでは重要な論点整理、いろんな養育費の現状について認識するとともに、どういう対策が必要かといった論点整理を行いました。
18:45
ご存じのとおり、先進国の中で我が国は残念ながら、養育費の支払いが30%切っているという非常に低い状況でございます。それに対してどう対応したらいいのかということで、さまざまな論点整理を行いました。養育費の取決め率の低さをどう対応するのか、一旦取決められたものについての支払い確保をどうするのか、そもそもDV被害などで話し合いすらできないような場合の養育費どうするのか、といったさまざまな問題について検討をし、令和2年5月29日に取りまとめを行いました。それに基づきまして、その真ん中にあります養育費払い解消に向けた検討会議というものが、大臣の指示で立ち上がりまして、私これの議長をさせていただきましたが、ここでより具体的な政策についての提言を行うということで、
19:43
令和2年12月24日に取りまとめを行い大臣に提出をいたしました。そういった敬意を受けて法制審議会での御議論をいただいたという、こういった流れになってくるわけであります。私は今回の法案に関しまして、基本的には賛成の前向きの評価をしている立場のものでございます。今、大きな参考人からも御説明がありました。養育費についての取決めをした場合の履行の確保の問題、それについては先取り特権が付与されたわけですが、それ以外に取決めがない場合についての法定養育費の設定ということで、大きな前進ではあると思っております。ただ、今回の法案に関しましても、さらにもっとこうしてほしいという点についての意見を述べたいと思いますので、私が関与してきました養育費の問題に限りまして、今回の民法の改正についての意見を述べたいと思います。このような機会を与えていただきまして、本当に有難く思っております。
21:09
まず、今後先生方にぜひ御認識いただいて御議論いただきたいと思う点が5点ございます。まず1点目は、養育費の取決め率の向上のためにはどうしたらいいのかということでございまして、
21:29
養育費の取決めに関しまして、今回の法案では競技離婚に関して公的な関与の手続きを取ることは見送られています。これは今後の検討課題かと思います。
21:47
例えば、これは勉強会での議論でも出てきたのでありますが、離婚届 を出すときに、そこに今現行は養育費の欄というのがないんですね。養育費に関しての取決めをどうするという欄を設けておく。
22:11
そして、それについてその記載を必要的なものとすると、その養育費の同意が競技離婚の要件という形になるわけですけれども、そこまで一足飛びに行かなくても、任意的なものとしてでもそういった記載欄を設けておくということが必要ではないだろうかと思いますし、
22:32
これはもちろん諸外国では、養育費の合意があることが競技離婚の条件になっている国もあるというふうに聞いておりますので、これは将来的にはそういう方向を目指していただきたいなというふうに思うところであります。
22:50
ただ、DV被害の方などの御意見を聞くと、そういう養育費の支払合意を競技離婚の成立要件にしてしまうと、DV被害の方の場合にはもう離婚ができなくなってしまうということもあるようですので、
23:11
そこに関してのDV被害の方に関する対策ですね、それは別途手当が必要だろうと思いますけれども、子どものやはり養育費を確保するという大きな目的の上では、将来的には競技離婚の成立に養育費の合意を必要とするということも考えていいのではないかなというふうに思っております。
23:37
2点目は、離婚に関する支援体制の充実ということでありまして、これ法律はできても、結局支援体制が十分でないとうまくワークしないということでありまして、地方自治体への相談体制、民間の相談団体への支援、こういったものも必要でありますし、一番痛感しているのは、弁護士会がやっているホーテラスというのがございますけれども、
24:04
これはいろいろな相談機関であるんですけれども、ホーテラスの相談案件が非常に多くて、競技離婚している養育費の問題だとか、そういった離婚していく場合の子どもの対応、こういったものへの支援が必ずしも十分でない。一生懸命やっているんですけれども、費用も予算も人員も足りないということで、
24:32
ホーテラスへの支援をぜひ先生方に御議論いただきたい、御検討いただきたいと思いますし、それから養育費の算定表というのがございまして、我々法律家は養育費の算定表を用いて、家庭裁判所での離婚だとか競技離婚の場合でもそれを使うんですが、これはやはり一般の方が見てもなかなか分かりづらいという批判がございます。
24:59
なので、一人親の方でも簡単に利用できる養育費算定表を作成をしたり、もっといえば自動計算ツールですね、そういうものを作って、そこに条件さえ入れれば養育費の額も出てくるというような自動計算ツールが望ましいのではないかなと思います。残念ながら我が国ではそういったことへの行政の支援が非常に受け身でありまして、
25:27
もっと積極的に、例えばこれ勉強会で出てきたものとしまして は、フィンランドなどではそういう行政サービスをプッシュ型で行っている。つまり、あなたどういうニーズがありますかということを行政の側からネット上で聞いてくるということですね。自分のこの条件を入力すれば、こういうものはいりませんか、養育費はどうですかといったものを聞いてくるような、
25:56
そういうような仕組みもご検討いただきたいテーマだなというふうに考えております。3番目は、今回の改正で乗り込まれました先取り特権、それから法定養育費についてですけれども、大変いいことで、私は非常に喜ばしいと思っておりますが、留意していただきたい点としましては、
26:21
これの金額ですね、法定養育費の金額、それから先取り特権の非担保債権の範囲、これについては法令で書き込まれておりませんので、法務省令で決めるということになっております。その法務省令で決める際に、子どもの食費とか教育費など、子どもの健やかな成長のために必要不可欠なものが、
26:50
非常に必要な額が支払われるような配慮をぜひお願いしたいと思っております。法務省令で決めるということで、金額が非常に低額になってしまうのではないかという懸念を、これ起用だといいんですけれども、若干持っておりまして、というのが、この制度として法定養育などは非常に補充的であるというようなご説明がされることがあるものですから、
27:17
そういう意味で、この点に関して、現実的に生活できる金額を設定していただくように、先生方からもぜひご検討いただきたいなと思っております。4番目が、養育費の不払い率が、あまりにも不払いの率が高いものですから、これを減少するための更なる措置としまして、
27:43
悪質なその不払い者に対するペナルティ、ないしは支払っていくものに対するインセンティブというものを導入していただくことをご検討いただきたいと思っております。この考え方は、この悪質なと申し上げ たのは、支払い能力があるのにということです。
28:02
養育費の不払いというのは、本来的にはこれは不作為による子どもへの経済的虐待であるというふうに捉えることができると思います。そうであるなら、不作為によって子どもに対して経済的な虐待を与えるようなケースに対しては、ペナルティを与えるということも十分検討に与えられるのではないかというふうに思います。
28:28
諸外国の例では、不払い者の氏名を公表する、あるいは運転免許とかパスポートの資格を提出するというようなすごいことをやる国もあるわけです。
28:45
また、賃金を不払い、賃金不払いの場合には付加金制度というのはございますけれども、付加金制度を養育費にも導入をするであるとか、あるいは遅延損害金を法定利息を上回る形で養育費については設定するとか、
29:08
養育費再建に関しても諦めてしまう親も多いんですけれども、これを消滅事項の期間を延長するとか、かなり思い切った、踏み込んだ措置も取っていかないと、先進国で最低というような恥ずかしい状況を改善することがなかなか難しいんじゃないかというふうに考えております。
29:34
一方で、つまりこれらは養育費の不払いを許さないぞという国としてのメッセージですね。これを打ち出していっていただきたいというふうに思うわけであります。一方で、支払った人へのインセンティブ、ご褒美として、例えば養育費を支払った場合の控除ですね、控除制度。
29:56
いろんな不要控除などありますけれども、その控除制度の中に養育費の支払いを位置づけていくということも一つの方法ではないだろうかと思っております。そして、不払い解消への国の積極的な関与としまして、いわゆる代理強制徴収制度、
30:17
お給料の厳選徴収などと同じように、養育費の給料からの転引などの法律的な強制徴収といったものもご検討いただければというふうに思います。これは将来的なものだと思いますけれども、そういったご検討をいただきたいと思います。
30:40
そして最後に、これは非常にハードル高いかもしれませんけれども、国による縦替え払い制度の導入、これもぜひご検討いただきたいところだと思います。まあ、北欧諸国などでは現実にこれ導入されて、非常に支援対象も広く、期間も長期にわたっておりますし、韓国でも同様の制度が少し規模が小さいですけれどもあるわけであります。
31:08
対応するに、もうDV被害その他もあるでしょうし、合意が残念ながらできないという場合にですね、その、今日のご飯、明日の子どものご飯を確保するために国が縦替えてまず養育費を払って、それを債務者から、義務者から徴収していくという考え方であります。
31:34
で、これができればですね、非常に養育費不払いに対しての、その解消への大きな進歩になると思いますが、問題点ももちろんあるわけでありまして、 縦替えた金額のその回収をですね、どういうふうにやるのか、サービスアーを仮に使うにしてもサービスアー法の改正で、特定債券の範囲を変える必要がありますし、そういった問題がありますし、それから養育費だけをそういうふうな特別扱いといいますか、
32:03
国にもいろいろ犯罪被害者その他いる中で、こういうものをですね、導入していくということになりますと、やはりなぜ養育費を特別扱いするのかの、国民のコンセンサスをですね、得ながら進めていく必要があると思いますので、ぜひ、明日の日本を支える子どもたちの生きる基盤になる制度としてご検討いただければと思います。私からのお話は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
32:30
ありがとうございました。次に木村さん公認にお願いいたします。木村さん公認。はい、私の専攻は憲法学です。私は子どもの権利と家庭内アビューズの被害者の権利の観点から、共同申権の問題を研究しています。現在審議中の民法改正案には、非合意強制型の共同申権が含まれています。この点について意見を述べます。
32:53
共同申権の話をすると、別居へが子に合う、合わないの話を始める人がいます。しかし、これから議論する申権とは、子どもの医療や教育、引っ越しなどの決定権のことであり、面会交流とは別の制度です。面会交流と混同せずに話を聞いてください。また、これまで説明されてきた離婚後共同申権のメリットは、父母が前向きに話し合える関係にある場合、つまり合意型共同申権のメリットです。非合意強制型のメリットではありません。合意型と非合意強制型は全く別の制度ですから、両者を分けて議論をしてください。
33:22
民法改正法案第819条7項は、父母の一方あるいは双方が共同申権を拒否しても、裁判所が強制的に共同申権を明示する内容です。衆議院では合意がある場合に限定する修正案が検討されました。しかし、衆議院多数派は、非合意強制型が必要だと言って譲りませんでした。この法案には、あまりにも多くの問題があります。
33:42
第一に、父母の一方が共同申権に合意しない場合とは、現に父母に協力関係がなく、話し合いができない関係です。こうした父母に共同申権を明示れば、子どもの医療や教育の権利が停滞します。つまり、非合意強制型の共同申権は、子どもから 適時の決定を受ける権利を奪います。
34:00
第二に、法務省は、法案824条の2第1項によって、共同申権下でも、日常行為休白の場合であれば、父母がそれぞれ単独で申権を行使できるから適時の決定ができる、と説明してきました。しかし、この条文によれば、学校のプールや修学旅行、病院でのワクチン接種や手術の予約などの決定を、いつでももう一方の父母がキャンセルできます。結果、いつまでも最終決定できない状態が生まれます。
34:24
また、病院や学校は、どちらの要求を拒否しても損害賠償を請求される危険にさらされます。条文の狙いとは裏腹に、病院や学校がトラブル回避のため、日常行為についても一律に、父母双方の参与を要求するようになる可能性もあるでしょう。この問題は、日常行為休白の決定について、優先する側を指定しない限り解決しません。
34:44
ところが、この問題を指摘された法務省の回答は、「こうすれば解決できる」ではありませんでした。驚くべきことに、その問題は婚姻中の父母について、現行法の下でも生じ得ますと答えたのです。私 はこの回答を聞いたとき耳を疑いました。婚姻中にも問題が生じているなら、婚姻中の問題を解決する手段を作るべきです。離婚する人の中には、子どもを巡る決定の困難が離婚原因となっている人もいます。
35:08
離婚をしてもなお、同じ問題が継続するような、場合によってはより悪化するような制度を作るのは言語道断です。そもそも婚姻は非合意で強制される関係ではありません。合意に基づく父母の強い信頼と協力があってこそ成立する関係です。原因は様々あれど、信頼や協力が失われた場合に離婚するのです。法務省は、婚姻中でも起こりうる問題だから、離婚後にそれが継続してもいいと本気で考えているのでしょうか。
35:33
法務省は法案817条の12第2項に、父母の互いの人格尊重義務が定められているから、適時の決定を邪魔する共同親権の行使はできないと言い続けています。しかし義務違反があったとき、誰が、どうやって、どのぐらいの時間で是正するのでしょうか。法務省は、相互尊重義務違反の場合、何時間、何日以内に是正されるのかを説明していません。その是正の際には、弁護士に依頼するなど経済的コストも大きな負担となることでしょう。
36:00
そのため、適時の決定を得る権利に興味がないと評価せざるを得ません。実は政府自身、過去に安倍首相や山下法務大臣の国会答弁で、離婚後共同親権には子が適時適切な決定を得られなくなる危険があると指摘してきました。今回の法案のひごい強制型の共同親権には、政府自身が指摘してきた課題すらクリアできていないという問題があります。第4に、法案819条7項は、共同親権を強制した方が子どもの利益になる場合とはどのような場合なのかを全く規定していません。適時適切な決定のための信頼協力関係がある場合という文言すらありません。これでは裁判所が法律から指針を得られるはずがありません。場合によっては適時の決定が得られなくなるケースで、共同親権を明示かねないでしょう。法務省は法制審議会で共同親権を強制すべき具体例が挙がったと主張しています。しかし法制審議会で挙げられた具体例は、小谷太郎委員が示した「別協やが子育てに無関心である場合」と、
36:54
佐野美行幹事が示した「同居家に親権行使に支障をきたすほどの精神疾患がある場合」だけです。無関心親に共同親権を持たせる小がゆケースが、なぜ子供の利益になるのでしょうか。日々子育てに奮闘しているであろう一方の親に無関心親との調整という著しい負担を貸すことになるだけです。また親権行使に支障をきたすほどの病がある佐野ケースなら、もう一方の親の単独親権とするのが適切でしょう。
37:19
さらに佐野幹事の発言の中には、今回の参議院法務委員会でも話題となった精神疾患の方への差別が現れているようにも感じます。法制審議会の非合意強制型の共同親権の議論は極めて粗雑です。もう一度、離婚家庭の現実を適切に理解している専門家を交えて審議会をやり直すべきでしょう。理論的に考えても、同居家に親権を奪うほどの問題がなく、かつ話し合いは無理と判断して共同親権を拒否している場合に、別協やとの話し合いを強制することは、
37:48
問題のない同居家に無意味にストレ スを与え、子供のために使えるはずの時間と気力を奪う結果になるはずです。第5に法務省は、DV虐待ケースは除外する条文になっていると言い続けています。しかし法案819条7項の条文は、将来のDV虐待の恐れがある場合を除外するだけです。
38:09
過去にDV虐待があったことが明白で、被害者がその事実に恐怖を感じ、あるいは許せないという気持ちで共同親権に合意しない場合でも、「もう止まった。反省している。」と認定されれば共同親権になり得る内容です。実際、同じような内容を持つアメリカのニューヨーク州には、父が15歳だった母に不動意性行の罪を働いた事案で、母側が拒否しているのに、もう反省しているという理由で共同親権を明示した例があります。
38:33
今回の法案の条文でも、夫婦間の殺人ミスや子供への性虐待があり、それを理由に共同親権を拒否している場合ですら、裁判所が反省や加害行為の停止を認めれば共同親権を明示する内容です。そうしたくないなら、はっきりと過去にDV虐待があった場合は、被害者 の同意がない限り絶対に共同親権にしてはいけないと書くべきでしょう。相手の反省を受け入れるかどうかを判断できるのは被害者だけです。その人が話し合いや共同行為の相手として安心できるかを判断できるのかもその人だけです。しかし、今回の法案では被害者が自分の意思で共同親権を拒否できないのです。だから被害者たちは恐怖を感じているのです。DV虐待をめぐっては家庭内のことで証拠の確保が困難であること、当人が多大な苦痛を感じていても第三者の理解を得られにくいことなどから、DV虐待の認定そのものが困難であるという深刻な問題もあります。今回の法案はDV虐待を軽視し被害者を置き去りにするものです。以上が非合意強制型の共同親権を犯案にすべき理由です。
39:29
そのほかにも今回の法案にはDV虐待を主張すること自体が相互の人格尊重義務違反として扱われる危険、被害者やその代理人支援者への嫌がらせや乱想への対策がないこと、火災の理想物不足に対する具体的改善策の不在などたくさんの 問題があります。今回の民法改正法案には子どもたち自身を含む家庭内アビューズの被害者からこの条文では安心できない、再び被害者との関係を強制されるという不安と恐怖の声が上がり続けてきました。
39:57
被害者の方を安心させるのは簡単です。合意型の共同親権に限定すれば良いのです。共同親権のメリットとされてきたのものもの、それで実現できます。しかし被害者の声は切り捨てられ続けてきました。法制審議会ではDV保護法を専門とする会の民営委員がこの要項では被害者を守れないという理由で反対しました。しかしDV保護を専門としていない他の委員の多数決で要項は押し切られました。衆議院ではDV被害の当事者がこの法案が可決されれば
40:25
被害者と対峙しなければならず、場合によっては共同親権を強制されるという恐怖を涙声で訴えました。衆議院はこの方が安心を得られるよう努力したでしょうか。そうは思えません。なぜ恐怖を訴える声が届かないのでしょうか。法務省や衆議院多数派はDV被害の訴えを極端な被害妄想と見てその主張はまた始まったと嘲笑しているように見えます。そもそも法務省は「父母が共に関わるべきだ。どんな親でもこの利益のために行動できる」と強調し続けてきました。
40:52
「子どもの関わりは良いもの」と留護なく断言するあらがにはシングルの子育てはまともではないという下げ隅の感情すら見てとれます。被害者の訴えをしるづけ続ける態度もシングル家庭への差別に由来しているのではないでしょうか。シングルでも一生懸命、子どもを幸せにしようと努力している親たちがいます。加害的な親と離れて、やっと安心できる生活を手に入れた離婚家庭の子どもたちもいます。シングル家庭への差別をやめ、彼ら、彼女らの声に耳を傾けるべきです。
41:20
シングルは切り捨てられているのは日本の被害者だけではありません。イギリスのブリストール大学のヘスター教授も次のように指摘します。離婚後の親子コンタクトを推奨する専門家たちはDVを解決済みの問題、既に過去のものとみてDV被害をまるで違う惑星のもののように扱っている。アメリカのジョージ・ワシントン大学のマイヤー教授はアメリカの裁判所で子どもが別居へとの関わりを拒否する場合別居への加害行為ではなく同居への悪口を疑うべきだという理論が
41:47
出ているという統計研究を発表しています。マイヤー教授はアメリカ家族法学でDV虐待が衆院部に追いやられている。アビューズの問題を中心に置かなくてはならないとも指摘しています。ドイツやフランスではDV虐待があっても特別な手続きをとって裁判所が認めない限り共同申権です。ヨーロッパのDVの専門家や支援者からはDV事案を除去できるような法案改正の必要が指摘され続けていますが一方は対応しません。
42:15
アメリカの家族法の専門家の方がDVを無事親から逃れようと子連れで転居した母親が無断転居を責められ共同申権を命じられた事案があります。オーストラリアの家族法の専門家の間では性虐待の過去を持つ親と子どもとのコンタクトをどうやって実現すべきかが検討すべき論点として扱われていました。オーストラリア法にも被害者の声を軽視してきたという批判があります。欧米では共同申権が主流というスローガンばかりが
42:39
日本の家族法の教科書でもDV被害者の声は書き消されあるいは虐待の被害者の声は書き消されその支援者は嘲笑されているのです。日本の家族法の教科書でもDV虐待の問題が中心に置かれているとは到底言えません。日本の民法学家族法学がどこま で欧米のそして日本の被害者たちの声に向き合ってきたでしょうか。このように検討してみるとなぜ日本の現行法はそんなにまともなのかという疑問が浮かぶのではないでしょうか。その答えは憲法24条とそれによる戦後家族法の大改正にあります。日本の法律家の中には欧米に比べ日本の法律は遅れていると考える人が多くいます。例えば同性婚の問題に関わっている人は日本の取り組みはあまりに遅いと感じているでしょう。そうした分野があるのは事実です。しかし男女平等の新憲法の実現はヨーロッパよりも長い歴史を持っています。フランスやドイツでは府県に基づく男性優位の制度が20世紀後半まで続きました。これに対して日本は新憲法を制定した1940年代に憲法24条の男女平等の理論に基づく新憲法を実現しました。婚姻中の共同親権を導入し離婚後は女性であっても子どもの親権を持てるようにしたのです。日本の新しい憲法、民法が重視したのは共同行為は合意がない限り 強制できないという当事者の意思の尊重をする姿勢です。民法の旧規定の下では子主の同意がないと婚姻ができず父母や夫になる男性が女性に婚姻を強要することもありました。新憲法はこれを反省し両者の合意のみで婚姻の成立を認めその効果を合意なしに強制することを禁じました。憲法24条は合意なしに強制してはいけない婚姻の効果があることを前提としています。合意なしに強制してはいけない婚姻の効果の範囲をどう理解すべきか、その中に子どもの医療や教育についての話し合いの義務付けが入っていないのか、政府は真面目に検討すべきです。この点、政府は同性婚訴訟の書面で憲法24条に言う婚姻とは共同で子育てをする関係なのだと言い続けています。これを前提にすると、合意もなしに共同の子育てを強制することは憲法24条の理念に反しています。戦後の民法改正をリードした和勝間栄先生は「父母が離婚するときは、こう看護すべき恩賞が破れる」と言っています。父母が共に作る恩賞は、父母の真摯な合意によってのみ作られるのです。和勝間先生は、ある最高裁判決について夫婦の力関係の差が厳にあることを強調した上で夫婦を形式的に平等に扱えばその争いは、とかく力の強い夫の勝利となり夫婦の平等は実現されないと批判しました。もちろん、夫は常に強く、妻が常に弱いということはなく逆のケースもあるでしょう。しかし、協力関係が築けない背景に力関係の大きな格差があることは少なくありません。そして、その格差は当事者の一緒にいることの辛さとしてしか表現できないこともしばしばあるのです。和勝間先生は、形式論や理想論だけでなくそれがどんな現実をもたらすのかを含めて家族法を考えました。先人は、子どもの利益と男女の実績平等への深い洞察の上で現在の民法を作り上げました。私たちが成すべきは、憲法の当事者の合意の尊重の理念と戦後民法を作り上げた先人の遺産を受け継ぐことです。大事な遺産を台無しにすることではありません。参議院議員の皆様は、被害者の声を無視して差別し、嘲笑する側に就くのか子どもが適時に決定を得られる権利と
46:00
被害者が安心できる環境を得られる権利を守る側に就くのか重大な軌路に立っています。ぜひ、このことを自覚して法案の審議に臨んでください。終わります。【山崎】ありがとうございました。次に、山崎参考人にお願いいたします。【山崎】山崎菊野です。本日は、私のお話を聞いていただける機会をいただき本当にありがとうございます。
46:28
私は、DV防止法が施行される前の1997年に3人の子どもとともに シェルターに避難した経験があります。その後、20年以上、DV被害者支援現場でシェルター活動や自立支援活動を行っております。現在、全国女性シェルターネットの共同代表であり、普段は北海道でシェルターの運営をしています。まず、私の被害者としての体験談をお話しさせていただきます。私は、DV防止法が施行される前の1997年に3人の子どもとともにシェルターに避難した経験があります。
46:55
現在、全国女性シェルターの運営をしています。大学時代に知り合い、対等に付き合っていたはずの夫は、結婚式の日から変わり始めました。私の行動が自分の思い通りでないと、機嫌が悪くなるようになったのです。私の実家に対しては、非常に攻撃的になりました。私の両親が遊びに来ると不機嫌になりました。初めてのお産は、里帰り出産でした。自宅に帰るとき、実家の母がおふたりの中で
47:23
お米を10キロ渡してくれました。これに対し、夫は「俺をバカにしている」と実家に米を送り返した上、新生児のそばで寝ている私の顔を殴りました。掛け布団が鼻血で真っ赤になりました。翌日、私は夫に「暴力を振るうのであれば離婚する」と言いました。すると彼は土下座をして涙を流し、「離婚するくらいなら死んだ方がいい」などと言うので、私は「離婚するくらいなら死んだ方がいい」と言いました。
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私は「離婚するくらいなら死んだ方がいい」と言うので、私は「これほど反省しているなら」と離婚を思い留まりました。しかし、一度暴力を振るわれてしまうと、夫婦の関係が全く変わるのです。夫の顔色を見て「怒らせないように」と振る舞う癖が私についてしまいました。彼が暴力を振るうのは自分 のせいと感じ、努力しましたが、何をしても収まることはありませんでした。人格を否定され、人間扱いされないような
48:19
言動が絶えずある生活は、身体的暴力よりつらく、私はいつも落ち込んでいました。子どもたちもいつもピリピリしていました。多くの人は「DV被害者になぜ逃げないの?」と言いますが、これまで生活してきたすべてを捨てて、将来的な保障も住む場所もない、未知の世界に人は簡単には飛び込んでいけません。ところがある日、どなり馬乗りになって私は自分の家に帰り、
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私の首を絞める夫に向かって、長女が泣き叫びながら「父さんやめて」と包丁を持って向かっていったのです。子どもたちのためにと思っていた私の我慢が、子どもたちを大きく傷つけていたことを思い知らされ、避難するしかないと決断し、DV防止法がまだない中、民間団体が運営しているシェルターに避難しました。先日、私は勇気を出して当時中学3年生だった娘に包丁を持ち出したことを覚えているか聞きました。娘は「はっきり覚えている。いつもカッターを持っていて、何かあったらお母さんを助けようと思っていた。朝は泣きながら投稿していた」と話してくれました。何十年もたっていたのですがショックでした。お手元の資料1、
49:41
2022年にシングルマザーサポート団体全国協議会が行ったアンケート調査の結果、1ページをご覧ください。「離婚を決断した理由で一番多いのが、子どもに良くない影響があった」というものです。次のページ、その子どもへの悪影響とは何か。具体的な内容では、
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「自分が 大切に対立・口論したり、自分がバカにされている様子をこれ以上子どもに見せたくない」が最多です。「司法統計で性格の不一致」とされてきた中身がこれらです。大きな決断をして避難した先に一体何があるのか。シングルマザーの平均年収は200万円ぐらいと言われています。ダブルワーク・トリプルワークをして自分の健康を顧みずに働いているお母さんがたくさんいます。子どもに1日3食食べさせても、自分は2食で我慢している人もたくさんいます。私も3人の子どもを抱えて生活に困窮し、生活保護を受給しました。このような大変な生活を強いられるのに、逃げざるを得ないことをどうか皆様にご理解していただきたいと思います。日本社会のDV被害に対する認識はまだまだ薄く、暴力から逃れることも難しく、相談機関からさえ理解のない対応を受け続けています。この状況を改善することなく、共同申請にすることは、逃げることしか許されない日本の被害者が、さらに逃げられなくなることが目に見えています。配付資料に「ここがおかしい日本の被害者支援」を見ていただくと、現状がわかっていただけると思いますが、
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DV被害者が相談や支援を求めたときにどんな対応があるのかを、時系列的に挙げてみたいと思います。まず、一番初めの相談は、実家や友達が多いのですが、「そのくらい我慢しなさい。子どもがいるんだから離婚なんかしちゃダメ」といった反応は、全く珍しくありません。身近な人から否定されたことで、逃げられない、DV被害を受けた自覚が持てない状況になっているわけです。そして次、勇気を出して相談機関に行くと、「あざがないから、殴られていないからDVじゃないですよね」「身体的暴力に比べると大したことないよね」と言われるのは、本当にあるあるです。日本のDV法では、DVを身体的暴力だけではないとしています。しかし、日本中で身体的暴力以外はDVじゃないとする運用が、残念ながら行われてきました。
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相談の次は、一時保護になります。シェルターに避難することです。全国の都道府県に公営のシェルターがあり、DV被害者を保護することになっていますが、