1:05
ただいまから内閣委員会を開会いたします。重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることにより、安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。本日は両案の審査のため、3名の参考人から御意見を伺います。御出席いただいております参考人は、一般社団法人日本経済団体連合会常務理事原一郎君、弁護士齋藤豊君及び東北大学名誉教授井原聡君でございます。この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。本日は御多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に、議事の進め方について申し上げます。まず原参考人、齋藤参考人、伊原参考人の順にお一人15分程度で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。また、御発言の際は 挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知をおきください。なお、御発言は着席のままで結構でございます。
2:37
それではまず原参考人からお願いいたします。原参考人。
2:42
はい。原でございます。よろしくお願いいたします。本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。早速ですが、説明に入りたいと思います。私の方から資料3点をお手元にお配りをしておりますが、本日はこの横長のパワーポイントの資料に基づきまして、御説明をさせていただきます。まず1ページをご覧ください。経団連は、2022年2月の経済安全保障推進法に関する提言におきまして、相手国から信頼されるに足る実効性のある情報保全制度の導入を要望いたしました。その後、経済安全保障推進法成立時の付帯決議、あるいは2022年年末に改定されました国家安全保障戦略を踏まえまして、政府は2023年2月にセキュリティクリアランス制度に関する有識者会議を立ち上げました。私もそのメンバーとして参加をしてまいりました。有識者会議は今年1月に最終取りまとめを公表いたしましたが、経団連はそれを踏まえまして、法制化にあたり留意すべき点などをまとめた提言を、これはお手元にお配りしているものですが、2月20日に公表するとともに、3月19日には日本商工会議所とともに、法案の早期成立を求める提言を公表いたしました。これも併せて配布させていただいております。本日はそれらに基づきまして、今時法案について我々の考えを説明させていただきます。2ページは法案の目次でございますので、省略をさせていただきまして、3ページをご覧いただきたいと存じます。制度設計にあたっての経団連の基本的な考え方をこの1枚で示してございます。まず一番上にございます特定秘密制度をはじめとする既存の制度との整合性や、その次のプライバシーへの配慮につきましては、法文上も配慮されていると考えております。3つ目の保全の対象となる情報につきましては、これまでの国会審議におきまして、政府は政府保有情報が対象であると明言をされていると承知をしております。あとはどこまでこの対象情報が限定されるのかということを注目していきたいと思います。4つ目の情報の共有を受ける事業者につきましては、行政機関の長は当該事業者との契約に基づいて情報を提供することに なっておりますので、共有を受ける意思のない者まで対象とすることはないものと考えております。5つ目の企業のニーズにつきましては、法案の名称及び目的に使用されている活用という表現から明らかであると思いますが、実際に企業ニーズの受け皿として有効に機能するか否かは、法案成立後の開放例あるいは運用基準などを見させていただきたいと思います。また、相手国から信頼されるにたる実効性のある制度にしなければならないことは当然のことでありますが、この点につきましても、実際の運用を見させていただく必要があると考えてございます。全体としては以上のとおりでございますが、以降、法案の順番に沿いまして、もう少し詳しく説明をさせていただきます。4ページを飛ばしていただきまして、5ページでございますが、5ページからの保全の対象となる情報につきましては、基本的に有識者会議及び経団連の意見に沿っていると考えておりますが、慎重記して申し上げれば、6ページにございますとおり、対象が広がりすぎないよう、開放例等を注視する必要があると考えております。6ページをご覧ください。米国では一番左にありますように、セキュリティクリアランス制度の対象となるクラシファイドインフォメーショ ンを、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルの3つに区分していると承知をしております。一方、我が国の特定秘密制度は、トップシークレット、シークレット級の情報をカバーしている一方で、コンフィデンシャル級の情報はカバーしていないと承知をしてございます。この点に関しまして、有識者会議では、新たな制度においては、コンフィデンシャル級の情報を含めて制度の対象といたしまして、クリアランスを実施すべきといたしました。桁根も同じ意見でございますけれども、政府は有識者会議の最終取りまとめの後、7ページの上の囲みの2番目の黒丸にございますように、新たな制度では、コンフィデンシャル級のみを対象とする方針が示されました。そこで、国際共同研究開発等に参加する際に、トップシークレット、シークレット級のクリアランスを求められた場合にあっても、対応が可能となるように、新制度と特定秘密制度等がシームレスに運用されるよう、必要な措置を講じる必要があると考えております。岸田総理もそのような指示を出しておられるものと承知をしておりますが、桂田連としても、そのよ うな形で企業のニーズに対応していただきたいと考えております。8ページからは、保全対象となる情報の提供を受ける事業者についてでございます。そこにございますように、情報を提供する事業者とは、まず契約を締結することになっておりまして、そのような契約を締結する意思のないものは、クリアランスの対象にならないという意味で妥当であると考えております。国会審議におきましても、岸田総理から、適用事業者として選定され、情報提供を受けるのは、事業者自らが意思を示した場合に限るという御答弁がございましたし、高市大臣からは、契約関係に入る前の段階で提供される可能性がある情報の概略や当該情報の活用方法などについて、可能な範囲で伝えることになり、そのやりとりの中で、事業者としてその情報の提供を受けるかどうかについて判断することになるという御答弁もございましたので、この点は満たされるものと考えております。9ページは、保全情報の提供を受ける意思を示したもののクリアランス・適正評価についてでございます。有識者会議の最終取りまとめでは、現行制度の運用や主要国の例も参照しつつ、我が国の企業等の実情や特定秘密保護法等の整合政務を踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされております。桂田念といたしましても、国内既存制度との整合性を踏まえて現実的な制度とするとともに、国際的にも通用する実効的な制度となるよう、諸外国の理解を得ていくことを求めております。この点、法案では、事業者の保全体制について、法案成立後に策定される運用基準で、適用事業者の認定等に関して定めることとしておりますので、そちらを注視させていただきたいと考えております。10ページは取扱者の制限でございますけれども、ここは飛ばしていただきまして、11ページからは、共有された情報を取扱う者のクリアランス適正評価についてでございます。13ページを具体的にはご覧いただければと思います。取扱い者個人の信頼性の確認につきましては、法案では調査は一元的に行う一方、評価は各省庁が実施することになっております。調査のみならず、評価結果も含めてポータビリティを確保してほしいという企業の当初の要望からすれば、経団連としては調査、評価ともに一元化が望ましいと考えておりましたけれども、保全すべき情報の指定が各行政機関において行われるという法案の立て付けに鑑みれば、評価については各行政機関が行うことに一定の合理性があると考えております。いずれにいたしましても、信頼性の確認を受ける保全情報の取扱い者個人の負担を減らしていくことが重要と考えてございます。14ページをご覧いただければと思います。適正評価調査に同意しなかったことや、適正評価の結果及び取得した個人情報につきましては、不利益取扱いを含めて目的外の利用を禁止することは当然と考えております。法案におきましてもそのように規定されており妥当な内容であると考えております。15ページの雑足は飛ばしていただきまして、16ページからの保全情報の漏洩等に対する罰則につきまして考え方を述べさせていただきます。17ページにありますとおり、既存制度との整合性をとるべきと考えており、基本的には法案もそのようになっておると考えております。法人に対する罰則につきましては、法案では業務に関して違反行為をした際に罰するとなっておりますので、いわゆる組織ぐるみの違反の場合にのみ法人も罰則の対象となるものと理解しておりまして、その限りにおいて、この両罰規定もやむを得ないと考えてございます。18ページの不足は飛ばしていただきまして、19ページをご覧ください。これは法案の対象事項ではございませんが、経団連として、制度の分かりやすい説明、あるいは他国との情報共有をスムーズにする政府間協定 の締結などを併せて求めてございます。いずれも衆議院内閣委員会の不対決議に同種主義が盛り込まれていると理解をしてございます。最後20ページは、クラシファイドインフォーメーション以外の重要な情報の取扱いについてでございます。これも法案の対象ではございませんが、有識者会議は一定の保全措置を講ずる必要性について、今後検討を進めていくべきとしております。この点も先ほどの不対決議に同種主義が含まれていたと理解をしておりますが、経団連としては、クラシファイドインフォーメーション以外の重要な情報につきましても、民間事業者などが保有している情報までをも対象といたしますと、民間の自由な活動を阻害し、国力の重要な要素である経済力、技術力を既存しかねないという恐れも抱えておりまして、仮に今後政府としてその取扱いを検討していく場合には、改めて経団連としての意見を申し述べていきたいと考えております。私からの説明は以上となります。ありがとうございました。次に斉藤参考人にお願いいたします。はい、弁護士の斉藤豊でございます。それでは、重要経済安保情報保護法案についての意見を、資料1をもとに説明させていただきます。最初に、重要経済安保情報保護法案の主要な問題 点と衆議院での修正について、ということが資料に書いてございますが、これはお読みいただければと思います。続きまして、2の秘密指定の適正化が果たされるのかということでございますけれども、本法案修正により指定状況等の国会への報告が規定されましたけれども、これでは秘密保護法と同じであります。秘密保護法でも秘密指定の適正化は図られておりません。2015年にアメリカで強制秘密解除制度により全体として秘密指定解除されたのは24万ページ以上。対して日本では秘密指定要件を満たしていないということで、独立公文書管理官や審査会が秘密指定を解除した事例というのはないわけでございます。重要経済安保情報情報監視審査会がチェックすることになったことは良いことですけれども、だからといって秘密指定の適正が担保されるわけではありません。情報監視審査会について積極的に活動されておられることは理解しております。しかしメンバーが先駐でそれだけをしているわけではないこと、行政庁が必ずしも情報監視審査会にきちんと説明しているわけではないこと、特定秘密の提出要請について過半数で決することになっていることからして、その機能には限界がございます。高市大臣も参議院で審査会での経験談として、限られた時間中で対処するには使う情報が多すぎた、十分 に理解できなかった、審査会に提供される情報が不十分であったということを率直におっしゃっていたところでございます。審査会で行政庁がきちんと説明をしていないことについては、衆議院情報監視審査会令和4年年次報告書に指定等の適正性を説明するにあたっては、指定の3要件に該当するものを指定するといった説明に終止し、要件の重則性を十分に示さないなど丁寧な説明とは言い難いケースもあったとされているところです。特定秘密の提出要請について過半数を求めているというのが現行制度ですが、政府与党側のメンバーが審査会の過半数を占めているため、政府与党に批判的な観点から提出要請を活用することにはなりにくいことになってしまいます。結局行政庁の方で見せても良い特定秘密しか見ないでチェックするということになりがちだというふうに考えます。国会に報告がされ、仮に情報監視審査会がチェックをするようになったとしても、秘密指定について十分なチェックは不可能であります。さらにアメリカと日本における秘密概念の根本的な違いにも留意が必要です。日本においては秘密指定が抽象的になされ、チェックも同様に抽象的になされるため、独立公文書管理官にしても情報監視審査会にしても十分なチェックが期待できません。