19:48
これより会議を開きます。内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。本日は両案審査のため、参考人として、国立社会保障人口問題研究所国際関係部長 コレカワユウ君、法政大学名誉教授 上林千恵子君、 常治大学法学部国際関係法学科教授 岡部美典君、株式会社政策広報代表取締役 原英二君、 以上4名の方々にご出席をいただいております。この際、参考人各位に委員会を代表して一言ご挨拶を申し上げます。本日はごたばを中の中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。それぞれの立場から忌憚のないご意見を賜れば幸いに存じます。
21:00
次に議事の順調について申し上げます。まず、コレカワ参考人、上林参考人、岡部参考人、原参考人の順に、それぞれ15分程度ご意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。なお、ご発言の際は、その都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないこととなっておりますので、ご了承お願います。それではまず、コレカワ参考人にお願いいたします。
21:50
それでは始めさせていただきます。私は国立社会保障人口問題研究所で国際関係部長を務めておりますコレカワユウと申します。本日は参考人として意見を陳述する機会をいただき感謝申し上げます。私は移民研究を専門にしています。グローバルな人の移動や日本における移民、外国人の受入れ状況など について研究を行ってまいりました。また、経済協力開発機構、OECD移民政策専門家会合のメンバーを務めるほか、今般の制度改正にあたっては、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議のメンバーも務めました。本日はこうした経験に基づき、意見を申し述べたいと思います。今般の制度改正の方向性として3つのポイントを挙げたいと思います。資料の2ページ目1枚表紙をおめくりいただいたところをご覧ください。1つ目は人材確保と並び人材規制を目的とし、外国人がキャリアアップを図る仕組みをつくるとした点です。アジアは出稼ぎ、つまり国際労働市場が急速に発展を遂げている地域です。日本はその中で最大の移民受入国となっております。年間約590万人の移民がアジアから外国に働きに出ています。日本はそのうち約48万人を受け入れており、これは韓国や米国を抑えて第1位となっております。そうした中、2019年に施行された特定技能制度に加え、今般育成就労制度において人材確保の目的を正面から認めたことは、日本がこうした国際労働市場に本格的に参加する意思を明確にした点、大きな意義があります。例えばこうした動きを受け、インドネシア、フィリピン、ネパール及びインド政府が日本への送り出しを積極に進めています。こうしたことは国際的な人材獲得競争が激化する中、日本が選ばれる国になる上で極めて重要なことです。加えて人材育成を目的に掲げたことも重要です。その理由は現在技能形成を通じた送り出し国への技能移転が世界的に大きく注目されているためです。例えば2018年に国連総会で採択された「安全で秩序ある正規移民に関するグローバルコンパクト」では、国際移住における能力開発及び技能、資格、適正の相互認証の推進の重要性を掲げています。またOECDや世界銀行も技能移転を通じた国際貢献の重要性を指摘しています。少子高齢化が進む先進各国では、広範な技能レベルで外国人労働者の受け入れが必要になっています。とりわけ技能実習や特定技能がカバーするミドルスキル層への需要が強まっています。もちろん資格や経験を有する、いわば即戦力となる労働者を受け入れる制度はこれまでもありました。しかしそれだけでは十分な供給が見込めず、働きながら学ぶエントリーレベルの労働者を受け入れること、つまり就労だけではなく技能形成をセットにした受け入れが国際的に見ても有望な選択肢となり つつあります。さらに技能形成と就労を同時に追求することは、送り出し国や外国人一人びとりから見ても重要です。これまで国際労働意図で見られる人権侵害の多くは、労働者の技能レベルの低さに起因することが明らかにされています。そのため、外国人労働者の権利保護を推進するには、国際条約や法制度などの整備に加え、いかに高い技能を身につけることができるかが最大のポイントとされています。例えば、技能実習制度で実習生が負担する手数料の高さは、労働者の技能水準が低い中、他の多数の応募者との競争に勝つため、現地の送り出し機関などが日本の雇用側に過剰な接待や営業、あるいはキックバックを行うことが原因とされています。なぜなら、そういった競争に勝つためのコストが一番立場の弱い実習生の手数料に転嫁されてしまうためです。仮に高い技能があれば、雇用者としても労働者のパフォーマンスとは無関係な接待やキックバックなどに惑わされず、純粋に能力の高い人を採用するようになります。結果として、仲介手数料も安くなることが考えられます。このことは、技能レベルの高い技術・人文知識・国際業務の在留資格で働く外国人については、このように技能実習生を雇う同じ会社も、