19:59
内閣提出、育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案、並びに、猪木光雄君ほか8名提出、訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案及び、介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案の各案を議題といたします。
20:26
本日は各案審査のため、参考人として、一般社団法人日本経済団体 連合会労働法制本部参事野山祐子君、UA全選日本介護クラフトユニオン副会長村上久美子君、東京大学大学院経済学研究科教授山口新太郎君、東京大学名誉教授佐藤裕樹君、
20:55
日本労働弁護団本部事務局次長小野山静香君、以上5名の方々にご出席をいただいております。この際、参考人の方々に一言ご挨拶を申し上げます。本日はご対応のところ、本委員会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。
21:19
それぞれのお立場から忌憚のないご意見を述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。次に、議事の順序について申し上げます。最初に、参考人の方々からご意見をそれぞれ10分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
21:46
なお、発言する際は、その都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめご承知おき願いたいと存じます。それでは、まず野山参考人にお願いいたします。
22:11
おはようございます。 経団連労働法制本部の野山と申します。本日は、育児介護休業法等の一部を改正する法律案に対する経団連の考え方について、ご説明する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。改正法案に賛成の立場から、意見を述べさせていただきたいと思います。
22:32
まず、今回の育児介護休業法や次世代育成支援対策推進法の改正は、昨年6月に政府が取りまとめた当時の子ども未来戦略方針を踏まえたものと理解をしております。経団連といたしましても、同方針に盛り込まれた「共働き、共育て」のこの実現につきましては、大変重要と考えております。
22:55
そこで、昨年6月には、徳良経団連会長名で、会員企業・団体に対しまして、全ての社員が働きやすい環境整備の推進とともに、特に男性の育児休業につきましては、政府が掲げる取得率の目標の達成だけではなく、男女がイコールパートナーとして家事・育児を実質的に担うことができる十分な日数の取得に挑戦するよう要請をいたしました。
23:24
加えて、本日お手元にお配りしておりますが、春季労使交渉における経営側指針として、今年1月に経団連が公表した「2024年版経営労働政策特別委員会報告」では、賃金引上げのモメンタルの維持・強化と合わせて、女性に偏っている家事・育児の負担の軽減に向けて、アンコンシャス・ワイヤスを払拭するための研修の実施や、
23:51
男性による長期の育児休業取得の促進、さらには性別を問わず時間外労働の削減、柔軟な就労時間の設定、テレワークの活用、家事・育児支援サービスの利用促進などを広く呼びかけてまいりました。この辺は経路委員の報告書の36ペー ジあたりに書いてあるところでございます。
24:12
その上で、厚生労働省の労働政策審議会における育児介護休業法の見直しに当たりましては、女性の家事・育児負担が大きい現状の改善や、中小企業における対応のしやすさ、育児期・介護期の社員をサポートする周囲の社員の配慮などを特に重視して議論に臨んでまいりました。
24:40
今回の改正法案は、こうした経団連の考え方が反映されており、仕事と育児・介護との両立をしやすい環境整備を大きく発展させるような内容と考えております。それでは、改正法案に盛り込まれている各措置につきまして、特に重要と考えているものを5点に絞って申し述べます。
25:01
まず、子が3歳以降、小学校・修学前までの間、労働者が柔軟な働き方を活用し、フルタイムで働くことができる措置についてです。本制度は、従来、育児休業を延長したり、あるいは短時間勤務で就労していた可能性のある女性が、柔軟な働き方によりフルタイムで就労しやすくすることに加え、男性の仕事と家事・育児の両立を促進する観点から大きな効果が期待できるものと考えております。設定されている5つの柔軟な働き方につきましては、事業所内の業務の性質・内容に応じて組み合わせを変えられることのほか、テレワーク等は1ヶ月10日の基準を設けつつも、これを柔軟に運用することが可能とされていること、新たな休暇の付与は業務の性質・実施体制に照らし、時間単位での取得が困難な業務に重視する労働者について、
25:55
労使協定で除外できることなど、いずれも企業における多様な働き方の実態を踏まえた仕組みと評価しております。2点目は、この看護休暇の拡充についてです。取得自由に入園式や卒園式などの行事参加、完成書に伴う学級閉鎖が追加されること、
26:15
通常年齢を小学校3年生修了まで延長されること、そして継続雇用期間6ヶ月未満の労働者を労使協定で対象から除外する仕組みを廃止することにつきましては、子どもが診療を受けた日数の実態などを勘案した 上、多様な労働者のニーズやコロナ禍で生じた学級閉鎖等の状況を踏まえた必要な措置と考えております。
26:43
3点目は、子が3歳になるまでの適切な時期に、3歳から小学校修学前までの柔軟な働き方を実現する措置に関する面談等を義務付けること、併せて、勤務時間や両立制度の利用期間などに関する労働者の意向を確認した上、配慮することを事業主に義務付ける制度についてです。これらの措置は、企業が育児期の全ての従業員の両立を支援する観点から有効なものと考えております。
27:12
各企業の状況に応じて、勤務時間や配置、業務量の調整などについて配慮することが望ましいことが例として示されることになっており、経団連としても周知してまいりたいと考えております。なお、障害児や利用的ケア児に関しましては、こうして奥さんを持つ従業員の要望を受けて、短時間勤務や子の看護休暇等の利用可能期間を延長することが望ましいことも指針で示さ れる予定です。
27:40
障害児、利用的ケア児につきましては、育児と介護の両面からのアプローチが必要な問題と認識しており、例えば、要介護状態の要件を満たせば、介護休暇等の制度も利用可能であることなど、企業に周知してまいりたいと考えております。4点目は、次世代育成支援対策推進法の見直しについてです。
28:04
まず、同法の期限を2035年3月末まで10年延長することにつきましては、急速に進行する少子化に歯止めをかける観点から不可欠な措置と考えます。その上で、同法に基づく一般事業主行動計画において、男性の育児休業の取得率などの状況を把握、分析し、計画を定めること、
28:26
さらに、行動計画策定指針において、男性の育児休業取得期間に関する目標を設定することが望ましい旨を明示することにつきましては、各企業が自社の状況を踏まえ、男性の家事・育児を促進し、共働き、共育てを実現していく観点から必 要な施策と考えております。最後に、介護費の両立支援についてです。
28:52
家族の介護の必要性に直面した労働者が申請をした場合、事業主が両立支援制度等に関する情報を個別に周知し、履行を確認することを義務付けること、また、40歳のタイミングなどにおいて、事業主が労働者に一律に情報提供を行うこと、介護に関する両立支援制度の利用が円滑に行われるよう、研修の実施、相談体制の整備等の措置を講じることを義務付けることにつきましては、
29:21
事業主・従業員の介護離職を防止し、仕事と介護との両立を支援していく観点から有効な措置と考えます。政府におかれましても、自治体等と連携しながら、介護保険制度のさらなる周知にお取り組みいただくとともに、中小企業の事業主が周知に活用できるツールの提供などの支援をお願いしたいと思います。以上が主な措置についての考え方でございます。
29:47
今回の改正法案は、共働き共定ての実現や介護離職の防止などの観点から大変多くの見直しが盛り込まれており、企業としても労働組合等と協議しながら準備・対応をしっかりと進めることが求められます。併せて、男性の育児休業取得促進や、全ての従業員を対象とした長時間労働の是正など、
30:11
働き方改革を継続し、仕事と育児・介護を両立しやすい環境整備に取り組んでいくことが必要と考えております。桁根といたしましても、引き続き、男性の家事・育児に関する公事例の周知などを通じまして、企業の取組を後押ししてまいる所存でございます。私からは以上です。ありがとうございます。
30:48
皆さん、おはようございます。私は、UA前線日本介護クラフトユニオンで副会長を務めております村上でございます。本日は参考人としてお招きいただきましてありがとうございます。
31:03
私ども、日本介護クラフトユニオン、役所をNCCUと申しますが、企業の垣根を超えて、全国の介護従事者で組織しております、日本では珍しい職業別労働組合です。現在、組合員数は約8万7000名、労使関係のある法人が64法人です。本日は、介護従事者、労働者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
31:28
まず、育児介護休業法の、この年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充についてです。私も、共働きで子どもを2人育ててきて、その間一番大変だった時期が、子どもを保育所に預けて職場復帰した生後6ヶ月から、子どもが小学校に上がって自分のことが何とかできるようになった小学校3年生までの間でした。
31:53
今回の改正法案を見てみると、柔軟な働き方の中にテレワークが入っていることはありがたいと思いました。ただ、子どもは小さければ小さいほど病気になることが多いので、3歳までの施策については、努力義務というだけではなく、より多くの企業が導入できるように工夫していただければ、今より一層働きやすくなるのではないかと思います。
32:16
また、小学校では学童保育のお世話になりますが、受け入れを小学校3年生まで、時間は18時までとしているところが多いです。しかし、学童は保育所より預けられる時間が短いということから、いわゆる小一の壁というものが立ちはだかっています。この壁を乗り越えることができなくて、仕事をやめてしまう親がいます。
32:39
それを考えると、所定外労働の免除については、この看護休暇と同様、小学校3年生まで延長していただき、壁を乗り越える手助けをしていただきたいと思います。次に、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援の強化についてです。両立支援制度等に関する情報の周知が、事業主に義務付けられるということです。
33:03
私どもも介護離職防止についてお話しさせていただく機会がありますが、両立支援制度自体を知らない方がとても多いです。また、お手元の資料がございますけれども、1ページを見ていただきますと、仕事をやめる理由となった勤務先の問題で最も多いのは、勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかったとなっています。
33:30
このようなことから、周知を義務化することによって、自社の制度を整備しなくてはならなくなりますので、介護離職防止にとても有効だと思います。また、先が見えない介護機の対応として、テレワークが選択できることはとてもありがたい措置ですが、努力義務となると対応は企業の裁量に委ねられることから、要件を加えた上での義務化が望ましいと思いました。
33:57
一方で、資料2ページを見ていただきますと、こちらは施設入所できるまでの期間が載っています。3ヶ月以内が最も多いのですが、ついで2年長が17.9%となっています。介護休業は法律で93日、3分割でとれることになっていますが、法律の範囲内では足りません。
34:19
入所できるまで在宅で切り抜けようと考えたとしても、資料の3ページにありますように、在宅での従働者が多く利用している間滝、定期巡回の事業所数は全国の自治体数にも満たない状態です。地域包括ケアシステムは2025年を目途に構築を目指すとしていますが、このように地域によって整備の仕方にばらつきがある状態では厳しいと思います。
34:45
結果として、仕事を辞める理由となった介護サービスの問題として、利用待ちが発生していて利用できなかった、希望する介護サービスが地域で提供されておらず利用できなかったということです。つまり、仕事と介護の両立を支援するために、法律を整備することは素晴らしいのですが、実際に両立しようとした場合、介護サービスが充実していなければ仕事に戻れないことになるのです。
35:10
ところが今、介護現場は疲弊しています。資料の4ページですが、私どもが毎年行っている調査での組 合員の記述内容です。いくつかピックアップしました。最も多い内容が人手不足、次が賃金の低さです。また、介護サービスの中でも在宅サービス、そして訪問介護サービスは、要であると言っても過言ではなく仕事との両立、そして家族のレスパイとの観点からも欠かせないサービスです。
35:39
しかし、その訪問介護のサービスの求人倍率は、資料5ページにあるとおり15倍を超えています。その結果、資料6ページを見ると、介護を必要としていても、介護員がいないため断ざるを得ないというような状況になっていて、いわゆる介護難民が発生することになっています。
35:59
そのような中、本年4月から介護報酬の改定によって処遇改善加算率が大幅アップされるとともに、訪問介護サービスの基本報酬が切り下げられました。もちろん、私ども働く者にとって、各種処遇改善加算が一本化され、加算率も大幅アップしたことについては大変感謝しております。ですが、加算率のアップと基本報酬の引き下げとは別の話です。
36:26
これは現場の従事者もよく理解しています。資料の7ページのデータをご覧ください。基本報酬の引き下げには99.2%が反対。処遇改善加算の加算率を高く設定したため、事業収入全体では影響がないという説明に納得できるとした割合がわずか5.8%。そして、加算率を高くするだけでは人材は確保できないとした割合が90%。
36:51
確かに私たちは、人材の確保を定着のための最も有効な処方箋は処遇改善であるということを言い続けておりますが、雇用される事業者が安定した運営がなされているということが大前提です。その事業者ですが、ある法人ではすでに、4月になる前に継続の見込みが立たないと判断した事業者を数カ所廃止しました。
37:13
また、これまでやってこなかった訪問事業者の当配合に踏み切る考えがある。現行の給与を下げることも視野に入れなければいけないという声も聞かれています。訪問介護員の賃金は処遇改善加算だけで支払われているわけではなく、そのほとんどは基本報酬から支払われています。基本報酬が引き下げられ、事業収入が落ちても賃金を下げることなく、そして引き上げていこうとしたら、事業運営に支障をきたします。
37:41
先行不安な事業所に果たして人は集まるのでしょうか。このようなことから、時期改定を待たずに、訪問介護事業者が需要に応じて安定的に提供できる体制を確保する観点から、補助金の支給が必要だと考えております。
37:58
また、介護人材の不足ということから、厚労省は介護経営への大規模共同化を図っていく方向であるのは承知していますが、特に地方で暮らす高齢者が、要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしく最後まで暮らすことができるように、通所介護のように規模別に分けて単位数を決め、小規模事業者に手厚くするということも必要なことではないかと思います。
38:22
介護離職防止のためには、介護サービスの利用は必須なのですが、それを担う介護従事者が充足していなければ、サービスを提供することができません。介護従事者の確保・定着のためには、処遇改善が重要です。岸田総理も、全産業平均との格差是正や構造的賃上げについておっしゃられていましたが、資料8ページを見ていただくと、介護従事者の平均賃金と全産業平均との格差は5万5千円。
38:49
そして資料9ページ、昨年の賃上げ率。一般企業では過去最高の3.58%でしたが、介護分野では1.42%。今年の春冬は、7月2日現在5.24%。介護分野は、2024年度分が2.5%の賃上げ見込みとなっています。これでは、国が行っている処遇改善加算によって縮まれかけていた格差は広がるばかりです。
39:15
これに対して、介護従事者の賃金と全産業平均賃金を同水準にするべく、さらなる処遇改善をお願いしたいと思います。育児介護休業法が改正され、育児介護の両立支援体制が強力に推進されることは素晴らしいと思いますが、一方でこの法律だけではカバーできない両立支援の問題があり、それを解決していかなければ、労働力人口減少への対策にはならないのではないでしょうか。
39:41
以上で私からの意見陳述を終了いたします。ありがとうございました。
39:50
ありがとうございました。次に山口さん御任にお願いいたします。おはようございます。東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎と申します。本日は家族政策、労働政策の実証研究を行う経済学者の立場から、本改正案について意見を述べさせていただきたいと思います。最初に総論を述べさせていただいて、その後主要な3点についてお話しさせていただきます。総論としましては、まずワークライフバランスの改善で多くの人が活躍する社会をつくることができるのではないかというふうに期待しております。
40:31
現在少子高齢化で労働力不足が実際に進行しておりますし、これが今後深刻化していくことが見込まれていますが、ワークライフバランス改善することによって、全ての人が労働市場に参加していただくことで、ご本人も経済的に収入を増やすことができるし、経済社会の安定にもつながるというふうに考えております。
40:55
これだけ短期的には女性の労働市場における活躍が進むのではないかという点に特に注目しております。一方で、育児・介護をしながら働けるようになるということになると、じゃあ女性がもっと育児・介護をやったらいいよねというふうに期待されてしまうのではないかという懸念も同時に抱えております。
41:19
いわゆるマミートラックに女性が押し込められてしまうのではないかということも重要な懸念点として指摘しておきたいと思います。ワークライフバランスの改善、それ自体は望ましい方向だというふうに認識しておりますが、同時に男性が家事・育児を積極的にやりやすくなるような、より踏み込んだ強い措置についても、今後何らかの施策が講じられる必要があるのではないかというふうに考えております。では、3つの主要な点について意見を述べさせていただきます。1つ目、この年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充についてです。子どもを持つ労働者により配慮した制度になることで、子育てと仕事の両立が一層しやすくなるというふうに期待しております。
42:11
また、全ての職種で利用可能なわけではないのですが、可能な方についてはテレワークの利用というのも非常に効率的で有効な取り組みになるのではないかというふうに考えております。私たちの研究グループでは、テレワークがどのように労働者、特に男性の中高年の方の家事・育児に影響するのか、働き方に影響するのかという点について研究を行いました。
42:38
その結果、テレワークが増えることによって、家事・育児時間が伸びて、家族と過ごす時間が増えていくという好ましい方向の変化が起こることが分かりました。同時に、通勤時間が減ることによって、労働生産性を犠牲にすることなく、ワークライフバランスの達成に寄与することも分かっています。
42:59
特に、東京のような大都市部では、通勤時間が2時間になることも珍しくありませんので、週1日、2日といった少ない日数でも、家族に対して大きな変化を及ぼすことができる、非常に有効な施策だというふうに考えております。
43:17
また、育休取得などについて、個別に意向聴取を行う、個別に配慮を行うこと、事業主に義務づけることも非常に重要な取り組みだというふうに認識しております。実は、日本は、育休制度については、世界でも最も充実したものの一つであるということが、国際機関ユニセフによって指摘されております。
43:41
しかしながら、実際の男性の育児休業の取得率を見てみると、先進国の中でも極めて低水準にとどまっています。この背景にあるのは、やはり職場で同僚、上司に気兼ねしてしまう、遠慮してしまう、そのために実際のところ取得はできない、制度としてはあるんだけれども、使いにくいというのが現状になっています。
44:04
こういった周囲に対する気兼ねを打ち破るための一つの方法として、第一歩として、意向聴取を個別に行う、配慮を個別に行うということは重要な変化になり得るというふうに思っています。もっともそれだけで直ちに男性の育休取得が容易になるというふうには考えにくいと思われますので、何らかの踏み込んだ施策がさらに必要にな ってくるというふうには考えています。
44:33
例えば一部の民間事業所では行われていますが、育休取得者の代替あるいはバックアップとして入る従業員の方に仕事料が増えるわけですから、追加の手当を支払う、それに対して行政が補助金をつけるといった取り組みも一つの男性育休取得を促進するための有効な取り組みではないでしょうか。
44:58
次に、育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進強化についてです。多くの若い労働者は、例えば私たち、私のような40代、50代、あるいはそれ以上の労働者と比べて、ワークライフバランスを非常に重視する世代だというふうに認識しています。
45:20
これは各種アンケート調査にも顕著に現れるものですし、男性の育休取得意向などを見ても、20代、30代ですと80%から90%で育休を取るということが基本になっています。
45:36
こうした状況を必ずしも 上の世代は理解できていないのではないかという懸念があるわけなんですが、企業が育休の取得状況を公表することによって、若い労働者がどういう企業で働こうかという選ぶ際に、ワークライフバランスの重視というのが重要な観点になってくる。
45:58
このような観点の情報を透明化することによって、ワークライフバランスを重視しているような企業が、より若い労働者に選ばれやすくなってきて、将来的には社会全体で育休を取りやすいような状況を作り出せるのではないかというふうに期待しています。今回の改正法案では300人以上の企業ということになっていますが、今後はこの適用範囲を広げていくことが望ましいというふうに考えています。
46:26
また、数値目標の設定も必要な措置だというふうに考えております。一定以上の規模を持つような企業であったとしても、必ずしも自社の状況を把握できているとは限らないというふうに認識しています。
46:41
自社の状況が正しく把握できていなければ、適切な措置を講じることができない ので、こういった形で公表義務ですとか、数値目標を設定させることによって、社会がより育休を取りやすくなる、ワークライフバランスを重視するような方向に進めていくことにつながっていくというふうに思っています。
47:02
そして3点目、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化ですが、先ほども申し上げたように、今後、高齢者人口比率というのが上昇していくわけで、そうなってくると労働者不足が大いに懸念されてくるわけです。また、全体の年齢層が上がってくるということは、介護を行う人が今後増えていくことが見込まれています。
47:26
そうした状況で、介護離職で労働力を失ってしまうというのは、企業にとっても社会にとっても大きな損失となり得ます。同時に、介護を行われる労働者ご本人にとっても、所得の減少・喪失につながるので、介護離職を事前に防げるような措置を講じておくというのは、社会にとって非常に重要な取り組みになってくるというふうに認識しております。
47:53
最後に改めて、まとめとして、今、改正法案についての意見を述べさせていただきます。育児・介護と仕事の両立支援を充実させることは、多くの人材を活躍させるために必要な措置であり、労働力不足を迎える日本経済にとって重要な措置になり得るというふうに考えております。
48:15
一方で、育児・介護をしやすくなるからといって、女性に育児・介護の責任を期待してしまう、押し付けてしまうといったことにならないように、同時に注意していくことも必要であり、男性が育児・介護でもっと大きな役割を担っていくような措置も同時にとっていかなければいけないのではないかというふうに考えております。私からは以上です。ありがとうございました。
48:43
ありがとうございました。次に佐藤参考人にお願いいたします。
48:50
東京大学名誉教授の佐藤です。本日は人事管理が専門です。その中で、今回の法改正の中で、仕事と関与を両立に絞って、私の意見を説明させていただければというふうに思います。お手元に資料が あると思いますので、飛ばしながら、ところどころ説明させていただければというふうに思います。
49:10
今日お話ししたいのは1枚目ですけれども、企業にとって、これから社員の高齢化がますます進んでいきますので、後でお話ししますように、仕事の介護を両立することはすごく重要になってきています。ただし、企業も社員も仕事の介護の両立の仕方について誤解が結構あります。仕事と子育ての両立を同じようにすれば仕事の介護の両立ができるというような誤解があるということですね。
49:36
今回の法改正は、その点を解く上で非常に重要だなというふうに思っています。そういう意味で、法改正の強化については、仕事と介護の両立の仕方について、企業や社員に適切に事前に情報を提供するという点で貢献できるかというふうに思います。
49:58
3ページですけれども、社員が45歳を過ぎると、親御さんが75歳を過ぎていきますので、だいたい70代後半から高齢者、養家や養子者の人がだんだん増えていきますので、そういう意味では、企業からすると45歳後半以降、つまり40代後半から定年までの社員というのは、仕事の介護の課題に直面するそうだということであります。
50:23
もう一つ大事なのは、誰が定年までに介護の課題に直面するか、これは事前にわからないんですよね。一定の確率で発生する。確かに今40代前半で介護の課題にある社員は、4ページにあるようにこのパーセントですけれども、この人以外の人たちが来年再来年、介護の課題に直面しないのかというと、そうは言えないんですよね。
50:50
それともう一つは、ある一定時点で介護している人の割合なわけでありますけれども、結婚している社員でいうと、親御さん4人いる可能性があるんですよね。1人の親御さんの介護の課題が過ぎると、また別の別の、場合によっては4人の親の介護の課題に直面する可能性がある。それが介護の課題であります。5ページですけれども、そういう状況がある中で、企業にとって社員が仕事の介護に両立ができないと、先ほど介護離職ということが起きたり、あるいは離職しないまでも、今日親はちゃんと家で過ごせているかなと、そういう心配を持ちながら仕事に集中することがなかなか難しいですよね。やはりモチベーションが下がってしまう。すべて生産性が下がるということが起きてしまう。企業にとっても、やはり社員が仕事と介護の両立をうまくマネジメントできないと、離職や生産性の低下という大きな課題を受ける可能性があります。
51:45
社員にとっても、確かに仕事の介護の両立は結構大変です。ただ、やめるともっと大変なんですよね。介護離職した人に調査をすると、6ページにありますけれども、やはりやめなければよかったという人はほとんどいないです。もちろんですから仕事の介護の両立が優しいという意味ではありません。ただ、やめるともっと大変なんですね。そういう意味では、どういうふうに仕事の介護の両立をしながら、できるだけ円滑にやれるような支援というのは、すごく大事な状況にあるというふうに考えています。
52:15
8ページですけれども、先ほどお話ししましたよ うに、仕事と子育ての両立と仕事の介護の両立は違うんですよね。一番大きいのは、事前に企業であれば45歳以上の社員の誰が介護の課題に直面するか、いつ誰が、これ分かんないです。本人もなんですね。親がいても今元気だなと、75歳だけだと。
52:39
でも翌年、庭で転んで、腰の炎があって妖怪の状態になる、こういうことが起きるわけですよね。つまり、事前に予測できない、これはすごく大事であります。そういう意味では、そういう問題が起きる前から、もし親がいる限りですね、もし自分の親が妖怪の状態になったら、どういうふうに両立していいのかということを事前に知っておく、これはすごく大事なんですね。親が妖怪になってからどうしよう、これじゃ遅いんですよね。事前の知識を得ておくというのはすごく大事であります。
53:08
もう一つは、いつまで続くか分からない、これなんですよね。これが子育ての違いである。お子さんが生まれた、育児休業を取り、短時間勤務を取り、保育員に預けてですね、ある程度、お子さんの成長によって、どういうふうに仕事と子育ての両立していいか、ある程度見通しが立つわけであります。企業もそれに応じた支援もできるわけでありますけれども、介護の場合は、いつまで続くか分からないんです。
53:37
9ページになりますけれども、平均50ヶ月くらいなんですよね。10年以上かかる人もいるんです。1ヶ月の人もいる。これ分からないんですよ、事前に。ですので、例えば、自分で介護をしようとすると、介護休業期間が足りなくなるんです。しばしば、だから介護休業を延ばせという議論があるんですけれども、じゃあ10年以上延ばせばいいのかって話なんですね。
54:04
いつまで続くか分からないというのが、介護の課題であります。そういう意味では、社員が自分で介護しちゃいけないんですよね。介護は両立のマネージメントです。介護自体は専門家に任せるということが、すごく大事になってくるんです。この点でも子育てと違うんですね。ですから、育児休業というのは、 社員が子育てするような仕組みですよね、男性も含めて。介護休業は違うんですね。もちろん、介護しなきゃいけない時もあるんですけれども、
54:30
介護休業を使って介護を続けると、いつまで続くか分かりませんから、仕事を辞めるということが起きるんですよね。ですので、同じ休業といっても、中身が違う、その目的が違うということがすごく大事であります。しかしながら、そのことを知らない社員がたくさんいるんです。11ページにありますように、介護休業の制度や介護保険制度、両方についてきちっと説明している企業を半分下回っていますし、
54:57
社員も介護休業や介護保険制度の仕組みについて知らないという人が多いわけであります。13ページ、14ページに、介護休業の利用の目的について、社員や企業に聞いているんですけれども、社員だけじゃなくて企業もまだまだ、介護休業は介護するための制度だと思っている人が結構いるんですよね。この辺を変えていくということはすごく大事だろうというふうに思います。
55:22
そういう意味では、16ページにありますように、社員が親がいる限り、いつかは介護の方に直面する可能性があるという心がいを申し、もし親が要介護になったら、自分が介護するのではなく、マネジメント、仕事と介護を両立することを優先するんだということを知って、そのためには介護保険制度の利用の仕方、例えば地域保護支援センター、知らないとしているんですね。介護保険制度は認定の手続を得ないと使えないんですけれども、こういうことを知らないんですよね。
55:50
一つは、40歳の時に介護保険制度の被保険者になりますが、保険証は来ないんですよね。保険証が届くのが65歳です。つまり、40歳になると介護権利を取られるわけでありますけれども、自分自身が介護保険制度の被保険者というふうに知らない人が結構います。それはそうですよね。保険証がないわけであります。でも、自分が65歳の誕生月になると保険証が届くわけですけれども、
56:17
実はその前に、親がいる限り、親の介護の方に直面したときに、子どもが、親が養子園・養介を認定を受けたりとか、介護サービスの在宅であればケアマネージャーを探したり、これ多分子どもがやるわけですよね。そうすると、介護保険制度のサービスをどうすれば利用できるかというのを知らなきゃいけないわけでありますけれども、そういう知識を欠いている人が多いということであります。
56:42
その意味で、19ページのように、社員が介護の方に直面したときに、自分で介護するだけではなく、もちろん緊急対応をしなければいけないんですよ。その後、自分はマネージメントに徹して仕事に戻れるようにしていく、このことを知っておくということであります。その意味では、事前に介護保険制度の利用の仕方、あるいは介護休業の利用目的、こういうものを事前に知っている。
57:08
そして、事前に親がいる限り、いつか親が要介護になるかもしれないという事前の心がながらを持っておく。これがすごく大事だというふうに思います。その意味で、今回の法改正の評価でありますけれども、23ページに書いてありますように、今回は、社員が親等の介護の方に直面したら、個別収支です。これすごく大事だと思います。それまで知らないですし、あるいは事前に40歳になったとき、これが一つのポイントだと思います。介護保険制度の表現者になりますから。40代後半ぐらいから、親の介護の課題に直面する社員が増えてきますからね。40歳になったときに、介護保険制度の仕組みなり、親御さんはまだ元気かもしれないけれども、要介護状態になったら、こういうふうに両立するんですよというような検証をする。こういうことがすごく大事であります。そして、介護休業の目的ですよね。もちろん、緊急対応で介護をしなければいけないこともあるわけでありますけれども、
58:05
これまで続くか わからないので、介護休業というのは両立体制を準備する、そういう体制をつくるための準備のために使う。これをきちっと社員に周知するということが大事であります。その意味で、法律中は介護休業という名称ですけれども、企業によっては、介護休業中っぽち、両立準備休業。これだけでは違うんですね。今回も、多分厚労省、法律が通った後、そういうような情報提供を始める方もいますけれども、
58:33
やはり、育児休業にやや引っ張りすぎちゃっているということがあると思いますので、介護休業の違いということもきちっとわかるような情報提供も大事だと思います。最後に、これからますます社員自身が両立のマネジメントに行くときに、誰と相談するか、もちろん企業も大事ですけれども、介護の場合、個別性が高いです。まず、在宅から始まるわけですから、そうするとケアマネージャーさんと相談する。これ結構多いんです。
59:01
仕事は、要介護者の状態をきちっと把握して、要介護者が質の高い生活を送るために、どういう支援をすればいいかという考える。これは役割ですよね。でも、要介護者の家族は、ケアマネージャーに相談するわけですよね。仕事の介護を両立にどうしたらいいか。そういう意味では、ケアマネージャーさんが、そういうことのアドバイスもできるようなことも、これから必要になるのではないかというふうに思います。実際、ケアマネージャーの団体、ちょっと5職がありますけれども、24ページ、日本介護支援専門員協会が、ワークサポートケアマネージャーという、上乗せ資格ですよね。ケアマネージャーさんが、要介護者の家族の両立についても相談できるような仕組みを作るというふうになっていますので、こういうことも、これから必要になるのかなというふうに思います。あと最後ですね、家族の役割は何かということは、これから大事だと思います。ぜひその点もご検討いただければというふうに思います。どうもありがとうございます。
1:00:03
ありがとうございました。次に小野山参考人にお願いいたします。
1:00:11
日本労働弁護団、本部事務局次長の小野山静香と申します。本日は日本労働弁護団、本部事務局次長として、また、小学生の子どもを育てる1人の親としてお話をさせていただきます。
1:00:26
日本労働弁護団としましては、現在審議されている育児介護休業法等の改正案について、主なものだけでも4点、問題点があると考えております。まず1点目が、この看護休暇制度の見直しが極めて不十分だという点です。今回の改正案は、この看護休暇を対象年齢を現行の小学校修学前から、小学校3年生修了前まで引き上げるという内容になっていますが、小学校3年生までとする合理的な理由はあるのでしょうか。お手元に配布しました、この看護休暇制度に関する アンケートをご覧いただくと、日本労働弁護団が実施し、4月21日時点で714件の回答が集まっております。このアンケートにおける、この看護休暇制度は子どもがどのぐらい大きくなるまで必要ですか、という問いに関する回答結果をご覧いただくと、
1:01:24
小学校3年生まで必要であるという回答は、わずか3.9%です。小学校卒業までという回答が45.2%、中学校卒業までという回答が32.4%となっています。小学校卒業まで必要であると回答された方の中には、病気の小学生1人では病院に行けないからという意見が多く見られました。
1:01:51
また、中学校卒業まで必要であると回答された方の中には、中学生までは小児科扱いで受診には保護者の同伴が必要だから、また、田舎では通院に車が必要なため子どもだけでは通院ができないという意見が見られました。実際に子育てをされたことがある方であれば、こうした意見は当然納得されると思います。国民の声に真摯に耳を傾けていただけるのであれば、
1:02:20
この看護休暇制度の対象年齢は少なくとも小学校6年生まで引き上げていただきたいです。小学校3年生までというのは、はっきり申し上げると中途半端です。また、今回の改正案はこの看護休暇の取得日数については何ら触れていません。つまり、現行の日数のままということになります。しかし、1年間に5日、子が2人以上の場合には10日という現行の日数は、
1:02:49
15年も前に改正されたものです。15年前と比較して、共働き世帯は約300万世帯も増加しています。それでもまだ15年前に改正された日数で足りると思われますでしょうか。アンケートにおいても、現行の日数では十分ではないと回答した方は、実に92.5%に上ります。現行の日数で足りていると思う当事者なんてほぼいません。
1:03:19
アンケートの結果を見ると、子1人当たり年間10日、2人以上の場合には20日を希望する人は44.3%、子1人当たり年間15日、2人以上の場合は30日を希望する人は41.7%です。インフルエンザなどの感染症にかかった場合に、年に1度感染しただけでも、5日間の看護休暇を使い果たしてしまうことがあります。
1:03:45
この看護休暇制度の拡充を求めている、おかゆプロジェクトのメンバーの方も、すでにインフルエンザ、幼齢菌、変動炎で入院もあって、残り有給休暇5日、この看護休暇2日ほどしか残っていない状況で、あと8ヶ月、これで乗り切れるとは到底は思えないとお話しされています。こちらに関しても、国民の声に真摯に耳を傾けていただけるのであれば、
1:04:11
この看護休暇の取得可能日数も、ぜひ速やかに見直していただきたいです。ちなみにスウェーデンでは、子1人につき120日間の看護休暇制度が設けられていて、