1:24
ただいまから、外交安全保障に関する調査会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日までに松川瑠衣君が委員を辞任され、その補欠として江島清志君が選任されました。外交安全保障に関する調査を議題といたします。
1:50
本日は、21世紀の戦争と平和と解決力、新国際秩序構築のうち、気候変動や武力紛争等の影響を踏まえた国際的な食料・エネルギー安全保障及び人間の安全保障の確保等に向けた取組と課題について、
2:15
3名の参考人からご意見をお伺いした後、質疑を行います。ご出席いただいております参考人は、東京大学大学院新領域創生科学研究科教授、亀山康子君、
2:33
公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所特別研究員秋元一美君及び国連開発計画UNDP駐日代表、梁家立志英子君でございます。この際、参考人の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はご多忙のところご出席いただき誠にありがとうございます。皆様から悲惨のないご意見を賜りまして、今後の調査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に、議事の進み方について申し上げます。
3:30
まず亀山参考人、秋元参考人、梢山立志参考人の順にお一人20分程度でご意見をお述べいただき、その後午後4時頃までをめどに質疑を行いたいと存じますので、ご協力よろしくお願いいたします。また、ご発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知をおきください。
3:58
ご質問は着せ機のままで結構でございます。それではまず、亀山参考人からお願いいたします。
4:08
ありがとうございます。マイクはこのままでよろしいですか。今日は貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございます。まず20分というお時間をいただきまして、私のレジュメの言えるところまで申し上げたいと思います。カラーのスライドでございます。
4:29
気候変動に関して、私のイメージをマップのようにしたものが2枚目のスライドになります。2枚目のスライドで、緑色の四角が横に4つ並んでいるのが気候変動の流れになります。私たちが石炭や石油などの化石燃料を燃やすことによって、二酸化炭素の排出量が増え、その結果、待機中の濃度が増えて、今地球が温まっている、これが地球温暖化でございます。その結果として、とても暑い夏だったりとか、あるいは寒抜、あるいは洪水、台風など、そういった異常気象が起きる、 これが気候変動でございます。今これが問題となっているわけでございます。気候変動が起きると私たちが被害を被る。
5:23
被害を被るところで終わればいいんですけれども、それが地域によっては紛争なし、暴力といった形につながっていく、ここが安全保障に関係する部分と理解しております。なお、私たちは温暖化対策という名前で、この黄色く色を塗った3つのタイプの対策をとっております。
5:51
一番左にあるのが緩和策。これが言ってみれば予防策でございまして、これ以上オニスコカガスの排出量をできるだけ出さないようにするということが緩和策でございます。カーボンニュートラルですとか、2050年ネットゼロといったのは全部緩和策になります。二つ目の適応策、これはもう既に温暖化してしまった地球において、私たちができるだけ被害を減らすために工夫することが適応策でございまして、例えば、より温暖な気候に適した農作物の品種に改良していくことでありますとか、あるいは堤防より高く設定していくこと、こういったものが適応策となります。適応策を私たちは取るわけですけれども、それでもなお洪水などで被害を受けます。家屋が流されたりするわけです。
6:43
そういった被害を受けてしまった方々に対してサポートしていくことがロス&ダメージという対策になります。ですので温暖化対策は今この三つの種類に分けることができます。この三つが今日のテーマである安全保障にどうかかってくるのかということを三つの色に示してあります。
7:04
一番左の色がエネルギー安全保障に関係すると思われるものでございまして、これは当然緩和策に関係してくるわけであります。化石燃料の需要がどんどん減っていく、石油を今までよりもみんなが買わなくなっていくということで、国際的な知性格のバランスが変化していきます。あるいは今後電気自動車なんかが増えていくわけなんですけれども、電気自動車にはバッテリーが必要です。
7:31
バッテリーの中には様々なクリティカルミネラルというふうに呼ばれますけれども、レアアースが使われると、そうするとそれの争奪戦というのがもうすでに始まっております。こういったものがエネルギー安全保障あるいは経済安全保障と呼ばれる部分になります。二つ目、適応策、それから気候変動の影響の部分に関しては食料安全保障というふうに水色で書きましたけれども、
7:57
日本は海外から色々な食料を輸入しているわけなんですけれども、海外で小麦とか大豆とかが取れなくなった時に価格が高騰します。そういった時にいかに国家として食料安全保障を確保していくのかという話、あるいは企業レベルではすでに原材料の獲得が困難になっております。今まで取れた魚が取れないですとか小麦、カカオ、コーヒーなどの値段が上がっているという話はもうご存じかと思います。
8:24
緑色で書いたのが人間安全保障に関係する部分なんですけれども、こちら緩和策においてもあるいは適応策においてもやはり値段が上がっていくということは、すなわち経済的に困っている方々が一番最初に被害を受けるわけでありまして、そういった格差の問題というものが生じてまいります。
8:47
また特に海外ですけれども紛争、暴力というところまで至りますと、干ばつ等を発端とする地域紛争、あるいは干ばつや海面上昇などを発端とする気候難民の発生、こういったことが海外ではもうすでに大きな問題となっております。ですので、これが私なりの全体のマッピングでございまして、
9:10
他にお二人の参考人の方々がそれぞれのご専門分野非常に詳しいですので、そこを避けて、ちょっと私の方で、まずちょっと安全保障に入る前に残りの時間、気候変動の現状についてご紹介したいと思います。もうすでにもしかしたら他のところで聞かれているかもしれませんけれども、3枚目のスライドの上の方の左のグラフだけ見ていただきたいんですけれども、
9:34
この上の方のスライドは過去2000年にわたる地球の平均気温をプロットしたものでございます。これで明らかになっておりますように、1850年、人々が産業革命で石炭を掘って燃やすようになってから、明らかに気温は上がって いる。そしてその上がるスピードが非常に今までの歴史の中でもと比べてもとても速いということであります。
10:02
このIPCCという報告書が出たのが2021年ですから、このプロットは2020年までしか書かれていないわけですけれども、2020年時点で地球の平均気温はそれ以前よりも1.1度近く上がっているということになっておりました。ですのでこれが当時の事実でございます。
10:24
それで下の方の黒っぽい図に映っていただきますと、残念ながらこの1年間温暖化がさらに進んでおります。2023年の赤い線がご覧いただけるかと思いますけれども、去年の3月ぐらいからおかしくなってまいりまして、
10:46
この後これ以降過去には見られなかった温暖な状態になっております。去年の日本もとても暑い夏でしたけれども、日本だけではなくて世界中が暑い夏を迎えるようになっております。この状況は今年になっても黄色で表している分 ですけれども、もう続いておりまして、
11:06
去年の4月から今年の3月までの1年間12ヶ月をとると平均気温は産業課前と比べて1.58度、つまり2020年のときには1.1度上がりましたと大騒ぎしていたのですけれども、もうこういうとり方をすると1.58度まで上がっちゃっているんですね。ただこれが100%温室効果ガスの温暖化によるものなのかどうかがまだ分からなくて、
11:35
もしかしたらこの一部は温暖化以外の自然現象でもって複合的な結果として上がりすぎている場合もありますから、今この1.58度のうちのどの部分が温暖化によるものなのかということを検証しているところなんですけれども、もしもこの時点でやっぱり1.5度分ぐらいは温室効果ガスの濃度が増えたことによりますねという結果が出てしまいますと、
11:59
私たちはすでにこの1.5度という当時3年前に目標としていたはずの温度をもうすでに超えてしまったということになります。ですのでここはすごく私たちが予想していたよりももしかしたら速いスピードで温暖化が起きているかもしれないということになります。5枚目のスライドです。この辺りからまたIPCCの報告書から図を取ってまいっているんですけれども、
12:28
これは排出量をゼロにしても基本上昇は続くというものを示しております。真ん中に2020年というラインがあるんですけれども、これを今日というふうにしますと、皆さんがお生まれになった年代をちょっとご覧になってください。今よりもだいぶ薄い色かなと思います。ですので私たちが生まれた時もすでにちょっと温かくなりかけていたんだけれども、
12:55
今と比べても今はもう全然違う地球にいるということであります。そして今後私たちがパリ協定で目指している排出削減を実現できると、真ん中のインターミディアットというところを進んでいくことになるんですね。
13:14
ですのでパリ協定の努力だ けだと温かくなるスピードがベリーハイと比べると遅くなるだけで、温かくなり続けること自体は変わらないんですよ。それでベリーローというところが1.5度目標を達成できた場合の温暖化シナリオで、これは2050年までの排出量実質ゼロという目標を達成できた場合に想定される基本上昇なんですけれども、
13:41
これもまだ暖かくなり続けはしないが温度が下がることにはならないですね。それはどうしてかというと排出量をゼロにしたところで短期的にはこれ以上濃度が増えないだけであって濃度自体が減るわけではないですから、濃度が変わらない以上そこに含まれる熱量は変わらないわけです。
14:05
なのでこういう状態が排出量をゼロにしたところで続くということ、そして2020年に生まれた子どもたちというのはこういう世界の中で生きていかなければならない、これはもう元に戻れない、そこまで今私たちは来てしまっているということでございます。海面上昇も続くというところにありますけれども、今現在海面の上昇は20センチぐらいであります。
14:32
海面の上昇は2つの理由で起きます。1つは北極とか南極の氷が溶けることによってお水の量自体が増えるということ。もう1つは熱膨張ですよね。お水が熱があったかくなるとそれ自体が膨張しますので、この2つの理由によって海面は上昇します。こちらも私たちが今後どんな対策を取ろうとも上昇し続けることには変わらなくて、
14:56
下手をすると今2100年ぐらいでは1メーターあるいは、南極の氷が急に溶けてなくなったりするともう1.5メートルぐらいまで上がる可能性がございます。また次のページですけれども、その時に生態系にどういう影響が起きるかであります。ちょっと英語で申し訳なかったんですけれども、上の方は「Risk of species loss」って書いてありますので、生物多様性がどれぐらい失われるのか、生物種がどれぐらい減るのかということを示しております。紫色になるほどそこの種はほとんど住めないぐらいの状態になるということなんですね。見ていただくとこの紫色が出てくるのっていうのはやっぱり3度4度だともうひどいです ね。2度でもよく見ると紫色のところがポチポチとありまして、
15:52
私たちは2度目指す以前にまず1.5度で温暖化を止められたらいいねと思って頑張ってきているわけなんですけれども、こういったことで1.5度あるいは2度でも特に赤道近辺では生物が絶滅するぐらいの気温の上昇が起きることが想定されております。似たようなことは下の方の人に対する影響でも言えます。人間に関しては単に気温だけではなくて湿度も関係してくるんですね。同じ気温だと湿度が高いほど不快感あると思います。そして人にとっては死亡するような、近づくような状態になっていきます。ですので気温と湿度の組み合わせで持って指数を作って、その指数が1年中365日全部死ぬほどの状態だというのが紫色なんですね。これもやはり2.4度以上ぐらいになってくると、やはり赤道辺りで1年中人々が死んでしまいそうな状態の気温の日が続くと。やはりこういう日って1日や2日あってもつらいじゃないですか。1ヶ月ぐらい続くと本当になくなると思うんですよね。1年中続かなくても。
17:15
そういうところで言うと、1.7とか2.3度ぐらいのところで抑えてもかなり厳しい国があるということがわかります。それでこの図の見方としては、生物種も人間も今住んでいるところから動かないということを仮定しております。実際には多分暑くなるとみんな寒い方に一生懸命逃げていきますので、今ここに書かれているそのままのことにはならないとは思いますけれども、
17:42
人間の場合移動していくということは、すなわち気候難民がさらに増えていくということになります。ですのでそれが人間安全保障につながっていくということになります。ここまでが気候変動の現状のお話だったんですけれども、8枚目のスライドで気候変動を安全保障につなげてみたいと思います。気候変動あるいは地球環境安全保障なんていう言葉が海外で出てきたのは1980年代でございます。ちょうど冷戦が終結して当時ソビエットのゴルバチョフさんが地球環境安全保障という言葉を使いまして、今まで軍事力に当てていた予算を全部地球環境に当てれば平和も達成できるし環境も良くなるんじゃないか というようなスピーチをなさいました。
18:33
こういう時に使われる安全保障という言葉と、別の方々が地球環境安全保障あるいは気候変動安全保障という時とで、時々ニュアンスといいますか文脈が違うんですね。ですのでどう文脈が違うのかということを調べるためにいろいろな文献を漁っていた時期が私の研究生活の中でございまして、
18:56
それでどうやらこの4つに分けられそうだというのが私の当時書いた論文の中にございます。安全保障という言葉は一般的には国家安全保障の文脈で使われることが多くて、他の国からの攻撃から自分の国を守ると。
19:21
国対国の問題なんですよね、安全保障という言葉。だけれどもこの気候安全保障に関しては国という主体とは限らなくて、例えば一番、地球そのものが気候変動のおかげで大変なことになっているから、国家の安全保障なんかも語っている場合ではなくて、地球そのものを守るべきだというような文脈でこの言葉を使う方がいらっしゃいます。
19:49
二つ目、国家を気候変動の影響から守る、あるいは観測による影響から守る、あるいは気候変動、影響による紛争から守る、何らかの気候変動に関係するリスクから国家を守るという意味で、この言葉を使うパターンもございます。
20:11
まず分かりづらいかもしれませんので、いくつか例を申し上げますと、気候変動、影響ですね、台風が来て自分の国の一部が浸水して、そこから人を助けるというのは、日本国内ではあまり安全保障という言葉は使われないんですけれども、アメリカでは使われています。アメリカの国内の洪水関係ではセキュリティという言葉、クラメタセキュリティという言葉を使います。
20:40
観測による影響、これは観測のために電気自動車をいっぱい作らなければいけなくて、先ほど申し上げたようなレアメタルがなくなってきて、どこから調達しようかというような話になると、これは国家の経済的な意味での安全保障につながってまいります。
21:00
また、気候変動、影響による紛争から守るという意味では、やっぱり難民を受け入れるのかとか、勝手に入ってきてしまう人たちをどうすればいいのかとか、そういった問題が関係してまいります。
21:17
3つ目が個人あるいは集団を守るというニュアンスで使う場合がございます。人間安全保障に関する議論というのは、たぶんここが一番大きいかなというふうに思います。
21:33
気候変動影響、緩和策による影響、気候変動影響による紛争あるいは暴力から守るときに、気候安全保障あるいは気候と人間安全保障というような話し方をいたします。2枚目のスライドで冒頭お話ししましたように、やっぱり緩和策にしても適応策にしても、何らかのイベントが発生すると物の値段が上がります。
22:02
物の値段が上がったときに一番困るのは、経済的に困難な方々ということで、これは今日の外交の話ですので、先進国と途中国という意味ではもちろん途中国でありますが、
22:19
一つの国の中でもこの問題は起きていて、やっぱりヨーロッパでは電力の値段が上がって、それでやっぱり貧しい方々が電力を使えなくなるということで問題となっているんですけれども、
22:38
その辺りを安全保障という言葉を使って議論したりとか、それから最近ですとクライマットジャスティスという言葉も使えますね。正義という観点から、社会的な弱者を気候変動の緩和策からあるいは適応策からもきちんと救うべきだというような議論をいたします。それから一番最後が防衛インフラを気候変動影響から守るということです。
23:06
アメリカが多分この文脈一番強くてですね、もうすでに2007年ぐらいの論文からアメリカの国の軍事施設あるいは航空機とか、そういったものが洪水であったりとかあるいは竜巻とかそういうものでいきなり飛ばされたりするらしいんですよね。
23:31
やっぱりそこをどうやって守っていくのかという文脈で、アメリカの防衛関係の方々が気候変動安全保障というようなことをだいぶ前から言っております。
23:47
防衛保障とかアメリカ以外の国ではこの文脈で論文はそれほど出ていないかあるいは防衛関係の象徴ですね、からレポートが出ている程度かなというふうに思いますけれども、やっぱり安全保障の文脈では非常に重要な部分かなというふうになります。
24:09
私のスライドはまだ続くんですけれども、これでちょうど20分くらいかと思いますので、ここで一旦止めさせていただきまして、この後の質疑応答のところで、このスライド気になるというのがありましたら言っていただければ追加で説明したいと思います。御清聴どうもありがとうございました。ありがとうございました。次に秋元参考人にお願いいたします。
24:37
聞こえてますでしょうか。秋元でございます。本日私がお話しさせていただきますのは、食料、エネルギーあるいは人間の安全保障という概念からは少し離れているかもしれませんけれども、どちらかというと知性学だとか、最後はパワーポリティックスの方にまで入っていくかもしれませんので、
25:05
ご容赦お願いいたします。まずですね、冒頭申し上げておきたいことは、気候安全保障という言葉ができたのは最近のことでありますけれども、気候安全保障というのは人間の歴史の中で最初から、実は安全保障の最初の原点であったんじゃないかと考えております。
25:28
レジュメに沿って話させていただきますけれども、1ページ目の1項で、気候変動の中の人の移動と定住ということで、学説によりますと6万何千年か前にアフリカを出て、それから3万5千年前ぐらいまでは南アメリカまで到達していたと言われておりますけれども、なぜ移動していったのかと。
25:52
食糧を求めるでとか、あるいは人口が大きくなりついたとか、そういうものはあるんですけれども、その中の1つに気候変動というものがあったことは確かだと思います。これは古くは、信じるか信じないかは別でございますけれども、ノアの箱舟だとか、あるいはギリギリアメシュ伝説とかにも出てまいりますけれども、洪水で人が移動したとかですね、そういうものが出てまいります。
26:18
そういう中でですね、あるときに人口が増えていて、もう移動がなかなかできなくなる。それから食糧を確保するために農業と畜産等をやっていくということで定住していくと。定住したところで、文化が発展していきますと定住したところだけではなかなか生活ができないので、他の定住した人たちと交流をすると。
26:45
そこで地性学というものが生まれ てくるんだと思います。今日の地球温暖化に伴う気候変動というものは、大きな原点に帰った人間の安全保障というものをパラダイムシフトを起こすようなものではないかなと考えております。
27:09
それから一つ、先ほど亀山先生からもありました、大きな自然現象としての気候変動と、それからいわゆる産業革命後の地球温暖化というものの区別としてですね。我々の研究ではですね、この大きな流れですね、今の地球は第三氷河期の寒冬期にあると言われておりますけれども、北極海がメタセコイアが生い茂っていたときもあれば、あるいはマンモスがこの辺りを活歩したときもあると。
27:38
そういう大きなですね、何万年何千年の大きな地球サイクル、それからさらに近いことで言えば、エルニーニョが起こったり、その単年度の気候のサイクルですね。それと、いわゆる産業革命後の人間に起因する地球温暖化というものは、区別して考える必要があると思います。もちろんそれは複合作用として生じるんですけれども、どれがいわゆる地球温暖化と。
28:06
我々の研究ではですね、大きなサイクルのことは、そのクライメイト、そのチェンジを、そのクライメイトバリエーション、気候変動、それからそのいわゆるその満明度のようなものについてはですね、これは変動するものではなくて、先ほど亀山先生からもありましたように、これはもう1点、もうすでにその1.5度Cぐらい上がってしまっている。
28:30
2度Cぐらい、これはもう2度Cは不可能ではないかというような、これは変化してしまう状況ですので、そういうものは気候変動ではなくて、気候変化と呼んではどうかというふうにして話しております。それから、気候安全保障の概念ですけれども、おそらく気候安全保障の概念を整理されたのは、亀山先生が最初ではないかと思っておりますけれども、
28:56
その気候安全保障とは一体何かというのを具体的にですね、ちょっと私が考えているところを6つの類型で考えております。1つが自然災害ですね。これは海面上昇したり、あるいは台風が大きくする。2つ目がその濃厚牧畜地帯、あるいは海洋生態系の変化によって資源紛争が起こったり、それから、木がもうそうですね。
29:25
それから3つ目がですね、脱炭素化というのをどんどん今国際社会は進めていっておりますけれども、それによってですね、いわゆる化石燃料地帯の戦略的な重要性というのが減って、レアメタルだとか、そういういわゆる再生可能エネルギーに必要な資源地域というものの戦略的な重要性が高まってくる。そういうことによって、その安全保障環境が不安定化する。
29:53
その安全保障に入れるものかという疑問を提出する方もおられますけれども、一応私はこれも入れております。それから4つ目にですね、北極海遊泳によるシーレンの連結と、これは後ほどお話ししたいと思いますけれども、北極海の遊泳によって、よく貨物が3分の2の工程で届くようになるとか、いろいろ言われますけれども、
30:16
その 海上交通路ができるということはですね、皆さんもご存じのとおり、マハンだとか、あるいはマッキンダーの世界に入っていくと、シーレンができるということによって、それでよって知性学的な変動が起きます。これも大きな気候変動の一つではないかと、気候安全保障として取り扱うものではないかと考えております。
30:37
それから5つ目がですね、防衛装備、基地機能への影響ということで、これはいわゆる海軍で行きますと、その水速ですね、魚雷の所見がまた変わってくると、それから気候で大型化が起こったり、あるいは海面上昇が起こったりしますと、基地機能にも大きな影響を及ぼすたれと。
31:00
その5つとそれによってその総合作用と6つに累計を分けて一応考えております。そのような中でですね、現在顕在しているものはどんなものか、いわゆる定量評価ができるものかと。定量評価ができて、それに対して安全保障政策として国家が対応しているものはどんなものがあるのかといいますと、
31:23
まずはですね、大規模災害に対する救助、これは多国籍な救助活動というものが既に累計化され、あるいは観光化されていっております。それからその漁業監視活動ですね、その違法操業に関するもの、これもですね、明らかに漁業資源というものは変化してきております。
31:46
例えばですね、フィジアあたりは大きな排他的経済水域を持っているんですけれども、それに対する漁業監視というものはできないので、フランス海軍がニューカリドニアに展開している船と飛行機で、フィジの違法操業を監視していると。オーストラリアもそのようなことをやっているということで、これもある程度取り組みが行われております。
32:11
国境界遊標が戻らず安全保障環境の変化に対してはですね、これは主にアメリカが非常に重点的にやっておりまして、後ほどお話ししたいと思います。国防機能の影響への対策、これも神山先生が言われましたように、ずいぶん前からですね、アメリカは軍の方で基地機能の低下、それから装備品、それから艦 艇航空機への影響というものの対策を講じてきております。これについては後ほどちょっとお話ししたいと思います。
32:40
2ページ目に移りまして、今後必要となるのがですね、海面上昇に起因する人口移動への対策ということ。
32:53
確かにですね、実際に人口移動に対してどうするのか、あるいはモルジーブに対してですね、中国だとかあるいはオランダとかがですね、これは難民というのではなくて海面上昇に対する、いわゆる施設のレジリエンスというところでやっておりおりますけど、
33:19
大きな人口移動、マイグレーションに対する対策というのはまだ手がつけられていないんじゃないかと思います。それから脱炭素化とか、あるいは農耕、それから漁業の変化に伴う資源紛争とか人口移動と、これはですね、個人的には私がこれは非常に大きな問題になってくると思うんですけれども、これを実施するほどのですね、低量的な評価というのがまだ集まっていないんじゃないかなと思っております。
33:44
それから地球温暖化を及ぼす国防機能への影響につきましては、これは私と同じく一緒に研究しておりますジャパンタイルズの記者がですね、昨年の3月に記事にしましたので、このレジュメの後につけております。時間がありましたら補足したいと思います。
34:04
それから一つですね、北極海遊泳によるシー連結が及ぼす地勢学的な概念の影響、これについてはですね、アメリカがかなり非常に、かなり非常に面白い、変な表現ですけれども、マンパワーを投入していっておりますので、ちょっと紹介したいと思います。
34:28
北極海が、船が通れることになるということは、すなわちですね、地球の海を簡単なくぐるぐるぐるぐる回ることができることになるということになります。例えばですね、北極海通りますと、ユラシア大陸がぐるっと回る。その船が同じくアメリカ大陸がぐるっと回る。8の順にどんどんどんどん、もう簡単なく回るということができるわけですね。
34:52
3ページ目に移りまして、8字型にぐるぐるぐるぐるサークルが回ると。これはですね、地勢学的に大きなパラダイムシフトを起こすわけで、3ページ目の真ん中の地図に書いておりますけど、いわゆるマッキンダーだとかあるいはスパイクマンの地勢学というのはですね、北極海が氷に閉ざされているのが前提になっております。
35:16
その前提のもとにですね、ユラシア大陸はハートランド、それからインド洋の遠辺をリムランドと呼んでいるわけですね。
35:25
で、ちょっと脱線しますけれども、バルチック艦隊、これはご存知のとおり、西洋戦争の時ですね、1904年の10月にラトビアの海をバルチック艦隊出港して、なんと日本に到達したのが1905年の5月に日本海で、日本海海戦で沈められてしまう。
35:45
7ヶ月以上要して日本に来ている。これがもしですね、北極海が溶けてしまったら、当時溶けていたらですね、全く状況は変わっていたんじゃないかなと思っております。
35:58
一目に移りまして、ではですね、そのようなことを考えますと、今日本は自由で開かれたインド太平洋というものを標榜して、これはもう世界でも同じ言葉がいっぱい使われておりますけれども、そのようなことを考えるとですね、
36:17
基本的にもう一つ北極海というものが、いわゆるリムランドになるというふうに考えなければいけないと思っております。その北極海というリムランドがですね、その西洋世界からの繁栄、
36:31
今のグローバリティブの中で経済協力をし繁栄のもとになるのか、あるいは今のウクライナとかイスラエルと同じようにですね、その西洋世界の紛争はそのままインド太平洋に来てしまうのか。どちらかはこの北極海という新しいですね、リムランド、マリタンコリドの安全保障がどうなるのかということによって変わってくると思います。
36:55
この辺りはですね、実はですね、北極海に関する国際シンポジウムの中でもかなり取り上げられるようになっております。ご存知のとおり、北極協議会というのは、安全保障は取り扱わないということになっておるんですけれども、アークティックサークルというのがこのアイスランドで毎年行われるので、2020年に私も初めて参加させていただいたんですけれども、
37:23
それでも安全保障の議題がですね、ずいぶん出ている。それから今年ですね、先週なんですけれども、アラスカでアークティックエンカウンター2024というのがあって、この時もですね、海軍の偶然がずいぶん出てきて、北極海の安全保障のセッションがずいぶんたくさんできておりました。そのような関係でですね、北極海の安全保障というものが、北極海の優兵によってどう変わるかというのには、
37:51
安全保障に大きな影響を与えるものになると思っております。これは打則になるんですけれども、4ページ目、日本の現在のシリレーンですね。主に北極海は入っておりません。次の5ページ目はですね、原油淡過が中東から来ているんですけれども、これがですね、もし南シナ海、東シナ海を遊土の時に通れなくなったらですね、西太平洋を通っていかなきゃいけない。この赤で書いてある西太平洋を通っていきましてもですね、これによって船舶を補充しなければいけないとか、あるいは石油の量が減るとか、コストが高くなる、バリオラタリのコストが高くなるというのはあるんですが、ある程度ですね、許容できるもの、ある程度許容できるものになると思います。
38:41
ただ、6ページに移りましてですね、もし太平洋も西太平洋も、なかなかの紛争によって通れなくなった場合ですね、これは本当に日本経済、原油とそれからLNGが全く通れなくなるということで、そのカタストロフィーになってくる。そうしますとですね、北太平洋のシリレーンというものを考えていかなきゃいけない。
39:06
どこから持ってくるかというのは別の話ですけれども、そうしますと北極界というものが非常に重要になってくるので、日本としましても、その北極界の安全保障というもの、これからどんどんどんどん北極界の優先を進んでいきますので、考えていかなければいけないんじゃないかなと思っております。昨年もですね、そのようなことから、うちの財団でですね、アメリカ、アラスカの方に情報収集に行ったんですけれども、
39:34
アメリカではですね、国防総省がTed Stevens Center for Arctic Security Strategyというのを、昨年の7月にですね、開所しております。これは国防総省が作った北極の安全保障に関するセンターです。そこでですね、もちろん研究もやりますし、各国から海軍の軍人を集めて、
39:58
失礼、海軍だけじゃないですね、各国の軍人を集めてですね、そこで北極界とは何かという、いわゆる集合教育のようなものもやる計画を作っております。今やりやしたか、もうすでにやりやしたかというのはちょっとまだわかりませんけれども、プログラムの中には載っております。それからさらにですね、アラスカ大学、アンカレッジであるアラスカ大学の中に、
40:25
国家安全保障省がアークティックドメインアウェアネスセンターというのを作って、これは北極界のいわゆるドメインアウェアネスセンターですね、それを作って情報収集を図っていっております。そのようなことで、日本としてもですね、北極界のことに、安全保障に関心を持つ必要があるのではないかと思っております。
40:52
時間も迫ってきましたので、そのあたりにつきましては、質問があったときにということにしまして。もう一つですね、英語で申し訳ないんですけれども、私のレジュメの次にですね、ジャパンタイトルズの去年の記事、去年の3月の記事なんですけれども、
41:16
ガブリエル・ドミンゲスという、ひどい名前になるんですけれども、若いジャパンタイトルズの記者でですね、安全保障の外交をやっている人間で、彼がですね、我々が2021年に気候安全保障、地球温暖化と自由で開かれたインド太平洋という冊子を、
41:37
うちの財団で出したんですが、その英語版を読んでですね、興味を持って、日本の自衛隊と、それから日本に展開しているアメリカ軍の、いわゆる防衛装備とか、基地機能に与える影響はどんなものかというのを調べてくれまして、
42:01
これはジャパンタイトルズの記事にしてありますので、もしお時間ありましたら読んでいただきますので、特にですね、基地機能、彼は基地機能のことしか調べられなかったようなんですけれども、先ほど神山先生からもありましたように、今世紀末にはもしかしたら1メートルぐらい海面上昇があるかもしれない、そういうことの定量的な分析の中でですね、
42:27
沖縄、佐世保、横須賀、この辺りはですね、海面上昇の影響、30センチぐらいの影響を受けるんじゃないかと、それが防衛機能にどのような影響を与えるのかというのは、これはこれからのことだと。それからさらにはですね、海面の水温が上がったり、そういうものによって、
42:49
具体的に言いますと魚雷の所源をどうするかだとか、潜水艦の機能をどうすればいいかというものにも影響が及んでくるということで、外国の記者が日本の防衛のことを心配してくれておりますので、紹介をしておきたいと思います。20分経ちましたので、これで終わらせていただきます。
43:16
ありがとうございました。次に、梶浩理智参考人にお願いいたします。本日は貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。人間の安全保障は過去30年間、日本と国連が推進してきた重要な理念でございます。グローバル化が進む中、環境破壊、気候変動、紛争や戦争、食料とエネルギーの安全保障の課題が
43:44
国境を越え相互に関連し合う中、人間を中心にあらゆる課題に多角的に取り組むことが主な理念となっております。1994年、UNDPは「人間の安全保障の新次元」という報告書をリリースし、国連システム内に「人間の安全保障」という信号を 作り出しました。
44:06
人間が中心になることはもちろんのこと、相互依存性や早期警報を人間の安全保障の特徴として掲げました。今年1月、グテレス国連事務総長は、4回目の「人間の安全保障について」の事務総長報告書を発表いたしました。
44:28
世界が混迷を極める中、国際社会が複合的な危機も含めた様々な課題に向き当たるにあたり、人間の尊厳に注目を当て、改めて世界に大事な理念として提示いたしました。
44:43
今回の報告書では、さらなる人間の安全保障の推進を行い、気候変動、パンデミック、貧困、飢餓の削減、不平等の是正から紛争や暴力の防止まで国境を超える課題に対して、国際社会が一丸となって取り組むことを提唱しております。こうしたことからも、今回の調査会で先生方が非常にタイムリーなトピックを取り上げてくださったことに、心より感謝する次第でございます。
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それでは、ロシアとウクライナの両国で、世界の小麦生産量の30%、ひまわり油は80%を占めております。2022年の戦争以降、ロシアが国海の港を封鎖したことで、ウクライナからの穀物、ひまわり油などの輸出は大幅に減りました。
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これらの輸出の減少は、世界の食料の価格上昇の一因ともなっておりまして、食料価格の高騰により、世界中で飢餓と貧困が悪化いたしました。アフリカ諸国は、ロシアとウクライナからの輸入依存度がとても高く、エジプトでは小麦の80%以上を両国から輸入しております。ベナン、コンゴ、カーボベルデ、タンザニアなども、小麦をロシア、ウクライナに依存しております。
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さらに気候変動も加速しており、亀山教授がおっしゃったとおり、まったなしの気候変動でございます。1970年代以降、西アフリカのサヘル地域では、他の地域の2倍の速さで気温が上昇しており、既に月平均気温が35度を記録しております。