1:10
ただいまから、厚生労働委員会を開会いたします。生活困窮者・自立支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本日は本案審査のため、4名の参考人からご意見を伺います。
1:30
ご出席いただいております参考人は、早稲田大学理事、法学学術院教授木口義美君。
1:38
一般社団法人つくろい東京フ ァンド代表理事稲葉剛志君。
1:44
座間市福祉部参事、県福祉地域福祉課長林誠一君及び、大阪人間科学大学人間科学部準教授石川久彦君でございます。この際、参考人の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日はご多忙のところご出席いただき誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を賜りまして、今後の審査の参考に致したいと存じますので、よろしくお願いいたします。次に議事の進め方について申し上げます。まず木口参考人、稲葉参考人、林参考人、石川参考人の順に、お一人15分以内でご意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。また、ご発言の際には挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知おきください。なお、ご発言は着席のままで結構でございます。まず、それでは木口参考人からお願いいたします。
3:04
松田大学木口でございます。よろしくお願いいたします。今般、法案審議がなされています、「生活困窮者自立支援法・生活保護法の見直し」向けた議論は、令和3年10月から「生活困窮者自立支援の在り方等に関する論点整理のための検討会ワーキングループ」で開催されました。私は社会保障法学を成功する法学研究者ですが、この検討会の構成員として参画し、令和4年4月に「生活困窮者自立支援の在り方等に関する論点整理」をまとめました。次いで、この論点整理を踏まえ、社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」で議論を開始しました。私は平成29年に開催されて第1回部会から委員として参画しておりましたが、令和4年6月の第14回部会から始まった今回の見直し議論では、部会長として意見調整に当たらせていただきました。以来2年近く合計15回にわたり熱心な議論が行われ、令和4年12月に中間とりまとめ、令和5年12月に最終とりまとめを行いました。本法案は審議会の最新報告書の内容に即したものであり、ここで若干意見を述べさせていただきます。まず、生活困窮者自立支援法等の全開改正は平成30年に行われました。お手元に簡単なレジュメを貸せていただいております。その際の主要改正項目は、生活困窮者自立支援法2条に基本理念の規定を追加したこと、また生活困窮者の定義を見直し、経済的困窮に至る要因として、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性、その他の事情を明記することで、経済的困窮をそれをもたらし得る所状況と関連づけることにより、経済的困窮に陥る可能性のある状況を広く、同方の支援対象に含み得るという解釈を可能にし、支援の可能性が拡大したことでした。その他にも、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携や、任意事業である就労準備支援事業、家計改善支援事業の一体的実施の促進、子どもの学習生活支援事業の拡充、一時生活支援事業の拡充、福祉事務所を設置していない町村による相談支援の実施などを含むものであり、今回の法案も、こうした平成30年改正の延長線上に位置づけられる改正で あると捉えられます。審議会での議論は、地域や自治体の第一線で支援に当たっておられる実務家の委員が多いこともあり、平成30年の前回改正後の各方の施行状況に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大化において、生活困窮者自立支援制度等がどのような役割を担い、どのような課題が顕在化したかを踏まえ、現場の熱気が伝わる雰囲気の中で行われました。この間、生活保護の受給者数自体はそれほど増加しなかったものの、生活困窮者支援の窓口における相談件数や、生活困窮者住居確保給付金の支給件数などは飛躍的に増大し、社会福祉協議会が行った生活福祉資金の特例貸付の件数も、合計380万件を超える状況となりました。仮に生活困窮者自立支援制度をはじめとする、いわゆる第二のセーフティネットが整備されていなかったら、コロナ禍にあって自治体や支援の現場はもちろん、日本社会全体が大混乱に陥ったのではないかと想像されます。それゆえ、平成27年成功された生活困窮者自立支援法は、我が国の社会保障制度の歴 史的展開にあって、画期をなすものであったということができます。また、審議会の議論の中で、個人事業主、外国人、若年層からの相談が増加するなど、相談者の属性の多様化や、3つ以上の生活課題を抱える相談者が半数以上に増加するなど、相談内容の複雑化も明らかになり、このような状況に対応した支援の在り方や、セーフティネットの在り方を検討する視点からの制度改正の必要性についても活発な議論が交わされました。さて、本法案の特徴の一つは、居住支援に焦点を当てた点です。私自身参画している内閣官房の前世代型社会保障構築会議が、令和4年12月に報告書を取りまとめた際、独居高齢者、生活困窮者をはじめとする地域住民が安心して日々の生活を営むことができるよう、入居後の総合的な生活支援も含めて、地域住民の生活を維持するための基盤となる住まいが確保されるための環境整備が必要であるとされ、住まい支援を社会保障の重要な課題として位置づけることが明記されました。これを受けて、令和5年には、省庁官の縦割りを超えて、厚労省、国交省、法務省の3省合同の検討会も開催され、去る2月、中間取りまとめが出されています。我々の部会も、この3省合同検討会と連携しながら議論を進めてきました。生活を支える基本要素として、遺植住が挙げられますが、このうち住まいについては、戦後以来、国の政策として、公営住宅と持ち家施策が主流であり、社会保障制度としての位置づけは希薄でした。今回、住まい保障のための施策として、家賃負担軽減のための給付の仕組みの在り方が重要な論点となり、本法案では、家賃負担を軽減するため、低廉な家賃の住宅への引越費用を補助できるよう、住居確保給付金の拡充が盛り込まれました。コロナ禍で一定の役割を果たした住居確保給付金の役割をさらに広げる改正と評価できます。ただし、単身高齢者の増加、持ち家率の低下といった状況の中、所得再分配政策としての給付の仕組みだけでは、生 活困窮者や高齢者などが賃貸住宅を借りることができないという課題自体は解決されません。そこで必要なのは、生活困窮者や高齢者などの賃貸住宅への入居に対する大屋さんの不安感を払拭し、地域の中で支え合いながら安定した居住環境を確保していくことです。本法案では、生活困窮者への自立相談支援機関や重層的支援体制整備事業を通じて、住まいに関する相談支援を行うことの明確化や、生活困窮者及び被保護者への見守り支援の強化などを通じて、地域とつながりながら、住宅確保が困難な方への居住支援を行うという重要な改正が盛り込まれています。今国会に上庭されている国交省所管の住宅セーフティネット法改正法案に盛り込まれている居住サポート住宅等の仕組みとも合わせて、本法案により住まい支援が前進していくことを期待しています。また、本法案のもう一つの柱である子どもの貧困の対応に関して申し上げますと、生活をご受給している子育て世帯に対し、訪問などのアウトレッ チ型手法により、学習生活環境の改善、進路選択、小学期の活用などに関する相談助言を行うことができる事業の創設や、生活をご受給世帯の子どもが高等学校などを卒業した後の新生活の立ち上げ費用に対する支援について、これまで大学進学等のみが対象となっていたものを、就職の場合も対象とする内容が盛り込まれました。これらの改正は、子ども本人の希望に沿った進路選択を平等に支援し、自立は投資し、貧困の連鎖を断ち切ることに資するものと考えます。なお、生活保護受給世帯の大学等への進学支援の充実も、審議会では論点となりました。ただ、大学等への進学支援の充実は、一般世帯にも共通する課題であり、教育政策の中で幅広く検討すべきであるとまとめさせていただいています。このほか、本法案では、例えば、注目すべき改正として、平成25年生活困窮者自立支援法の制定当初、被保護者は制度の対象の社定外として整理されていたものの、今般、生活困窮者自立支援制度に位置付けられる就労準備支援、家計改善支援、地域居住支援について、被保護者も支援可能とする改正を盛り込んでいます。この改正は、平成25年の制定時には実現が必ず宿題となっていた課題であり、自立相談支援事業は生活保護ケースワークとの重なりがありますので、依然として認めておりませんが、今回、一定の対応したもの等を評価できるとともに、被保護者に対し就労による経済的自立のみならず、日常生活における自立や社会生活における自立も含む自立支援を強化すべきとして行われてきた取組の一つの出口となり得るような改正等を評価できます。また、本法案においては、生活困窮者への支援方針の検討や、地域における生活困窮者への支援体制の整備に関する議論を行う支援会議設置の努力義務化と併せて、これまでケースワークが担ってきた複雑な課題を抱える被保護者への支援方針の検討や、地域における被保護者への支援体制整備に関する議論を行う会議体の新たな創設が盛り込まれています。こうした会議体については、こういったものがなくても関係機関の連携はできるのではないかという声もありますが、複雑な課題を抱える方の支援に当たっては、自治体の庁内の関係部署だけではなく、民間団体との連携も必要になる中で、官民が円滑に情報共有を行うには、公正に法的な主義義務をかけた会議体が重要なツールになり得ます。とはいえ、昨今の法改正により、社会福祉法の支援会議や孤独効率対策推進法の孤独効率対策地域法委員会など、類似の会議体が次々に法定化されており、同じ案件についていくつも会議を別々に開催するのは非効率であることから、本法案にはこれらの会議体同士の連携を図る努力義務についても盛り込まれています。実際には、各自治体の特徴を生かし、どの会議体を軸に据え、あるいは相互の役割分担をどうするかなど、自治体の独自性や創意工夫に期待する部分も大きく、本法案の改正と相まって、地域における様々な主体が相互に連携し、互いに支え合う地域づくりの後押しとなることを期待したいと思います。なお、生活保護ケースワークは、従前ともすれば、他の施策から孤立した形での対応を余儀なくされ、ケースワークの過重負担となっていたとの実態があ り、先に述べた生活保護支払者自立支援制度の各事業の活用とともに、生活保護受給世帯を地域の連携の中で支えていく体制図作りが、こういった新たな会議体の設置を機に加速化することを期待したいと考えています。そうして、本法案は居住支援をはじめとする生活困窮者や非保護者への各種の支援策を、地域の実情に応じて、より一層充実させるものであり、そうしたことと併せて、多制度や多施策との連携を深めつつ、個人が主体性を持って自らの幸福を追求し、自らの生き方を選び取っていけるようにするための個別的な支援を、さらに一歩前進させていく方向にあるものであり、憲法13条の幸福追求権、個人の自立を軸として社会保障を再構成してきた、私の持論、ないし構想からしても高く評価できるものと考えております。とはいえ、特に人が人を支える支援においては、全国一律の給付をなかば義務的に全ての国民に行き渡らせるといった手法は取りづらく、法律を改正しただけですぐに困難を抱えた全ての住民に対する具体的な支援内容まで変わるわけではありません。この改正は形だけのメニュー変更に留まることなく、各自治体において着実に実行されるよう、改正の趣旨の周知や具体的なノウハウの提供も含め、国において必要な支援が行われることを期待しております。最後に、今後の展望について述べさせていただきます。そもそも、生活困窮者自立支援制度は、従来の社会保障の捉え方が、21世紀を機に社会が大きく変容する中で限界を迎えつつある状況の中から誕生したものです。すなわち、日本の社会保障制度は、老齢や障害、疾病、失業、労働災害といった経済的困窮をもたらし得る社会的リスクの発生に際しての所得やサービスなどの給付として理解されてきました。しかしながら、こうした事故またはリスクに対する保障というセーフティネット的な捉え方、それはもちろん大事ですが、それだけでは、本人の自立や成長・発達、社会とのつながりの回復といった観点とは結びつきにくく、こうした所得保障やサービス保障といった物質的ニーズを一方的に充足する保障方法である給付のみでは、行動不効率の問題、社会とのつながりの断裂などの問題に対応することができないことが、特にいわゆるリーマンショック以降明らかになりました。また、世帯が抱える問題が多様化し複合化していく中で、個別制度の谷間に落ちて支援に結びつかないケースも目立ってきました。こうした局面を迎える中で、社会保障を単に給付につなげるための仕組みとしてでなく、社会とのつながりを奪われた人が、人と人の支え合い、つまり一方的でなく双方向の支援関係の中で再び社会とのつながりを回復し、地域で自己実現を図ることを可能にする、社会的発達の実現を目指したことが、生活困窮者自立支援法の重要な意義であり、その予算規模にもかかわらず、戦後社会保障の歴史的展開に活気をなす重要な立法と位置付けられます。このような法の基礎となる考え方は、その後の社会復習法改正などに基づく地域共生社会の理念の広がりにおいて維持され、さらに広がりを見せています。この点にも関連して、審議会の議論では、本法案が前提としている「単身高齢世帯が増加の意図をたどっていく」とい う今後の見通しの下では、生活困窮者自立支援法における生活困窮者の範囲を経済的困窮者に限定せず、社会的効率を含むより広い対象に捉え直す必要があるという意見も有力に展開されておりました。こうした問題意識は、法の制定時から検討課題として議論され続けてきたものでもあります。本法案の先にあるのは、こうした生活困窮者自立支援制度のさらなる見直しを含めた社会的効率の問題への包括的な取組であり、住まい支援の先にあるいわゆる高齢者等の身寄り問題への対応や、令和8年に予定されている民法改正による青年貢献制度見直しとも関連した権利擁護支援の仕組みの充実とも関連して、政府を挙げた取組が求められています。そうした、私後事務の処理まで見据えた支援体制の整備により、戦後日本を含む先進各国の社会保障制度の構築に多大な影響を与えたと言われるウィリアム・ビバレッジが言うところの「ゆりかごから墓場まで」の社会保障制度、給付のみならず個別的包括的相談支援まで含めた社会保障制度が人口減少社会日本にあって、ひとまず、完結とまでは言えないにせよ、一定の到達段階に達するのではないかと考えます。今後検討がさらに含められていくことを期待しております。以上でございます。ありがとうございました。次に稲葉参考人にお伺いいたします。
18:23
一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛と申します。本日は国会の場において意見事実をさせていただく機会を与えていただき、ありがとうございます。私からは、住まいを失った生活困窮者への居住支援を進めてきた立場から、厚生労働省が進めてきた生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の一体的な見直しを私は注視してまいりました。今回この2つの法律が一体として改正されるにあたり、その法案のそれぞれが持つ課題と私が抱いている懸念点についてお話をさせていただきます。資料の方をご覧ください。2020年春以降のコロナ禍は、日本国内 で住まいの貧困が拡大していることを顕在化させました。日本学術会議は、昨年9月22日に発表した見解、コロナ禍で顕在化した危機、リスクと社会保障、社会福祉において居住支援、居住保障の重要性を強調。ハウジングファーストの理念が示すように、まずは適切な住まいを確保することが生活の再建や貧困の予防を図り、危機を回避する前提条件となる。そのためには、住居確保給付金を就労や年齢要件と切り離した普遍的な制度とし、併せて個々人のニーズに寄り添う、伴走型の居住支援を充実させることが重要であると提言しています。しかし、今回の法改正案では居住支援の強化が謳われてはいるものの、生活保護の手前で家賃を補助する住居確保給付金については、低廉な家賃の住宅への転居費用補助が追加されただけで、極めて小さな小幅の改正にとどまっております。居住支援のための対人サービスを充実させ、単身高齢者がアクセスできる住宅取得を増やしたとしても、それぞれの家計の家賃負担のハードルが高ければ、住宅の確保・維持はできません。住まいの貧困を解決するためには、住居確保給付金を大幅に拡充し、普遍的な家賃補助制度に改変するしかないのではないかという考えは、今や住宅政策・生活困窮者支援に関わる人の共通認識になっています。国はこの課題から 逃げないでください。生活保護と生活困窮者支援の一体的見直しを議論してきた社会保障審議会の専門部会は、昨年12月27日に発表した最終報告書の終わりにおいて、制度をより良いものにしても支援が必要な人に適切に利用されないと意味をなさない、必要な人に的確かつ速やかに支援を届けることができるよう、生活困窮者支援制度や生活保護制度の周知広報等が必要だと強調しています。しかしながら、昨年来、必要な人に的確かつ速やかに支援を届けるどころか、役所の窓口に来た住民を制度から遠ざけることに注力し、制度につながった住民にも職員が暴言・同活・ハラスメントの限りを尽くし、短期間で制度から締め出すことに、薬金になっていた自治体の存在が明らかになりました。群馬県紀留市です。紀留市福祉事務所では、生活保護費を1日1000円のみ、ハローワークで給食活動をしたことを確認した上で手渡しを行い、国が定める生活保護基準額の半額程度しか渡さない。ケース記録上は、保護費を全額支給したことにした上で、実際には支給していなかった残金を職員が手下金庫で保管していた。数十年にわたって生活保護世帯から預かった印鑑を計1948本保管し、本人の同意なく応援していた。その中にはおそらく稲葉という名前もあったんだと思 いますけれども、同じ苗字の判公をしていた。職員が本人に確認せず押していた。また、生活保護申請から50日以上経っても保護費を渡していない事例があった。税金で飯を食っている自覚があるのか、等職員による暴言動括が日常的に行われていた。2011年からの10年間で生活保護利用者が半減していた。母子世帯については、2011年の26世帯から2020年、22年にはわずか2世帯まで急減していた。人口約10万人の都市で生活保護を利用している母子世帯がわずか2世帯しか存在しない、そういう状況になっていました。また、自体届による廃止が異様に多い、とうとう数え切れないほどの違法かつ異常な制度運用が行われていました。詳しくは、紀流氏の公文書を分析した「紀流氏生活保護違法事件全国調査団」の要望書、資料1、5ページから付けましたので、ぜひご一読いただければと思います。紀流氏は、相談者を水際作戦によって制度に寄せ付けない、制度につながった人も、動活、暴言、ハラスメント、日常生活への過度な介入、自体届の共用などの手法を駆使して、短期間で締め出すという、排除と管理のシステムを築き上げました。その責任の一端は、厚生労働省にもあります。以下にその理由を述べたいと思います。全国調査団は、紀流氏で生活保護利用者が半減した要因を調査してまいりましたが、情報公開で明らかになった公文書から、紀流氏は国の補助金を活用し、最大値4名の警察官OBを福祉課に配置していたことが明らかになりました。厚生労働省は、2012年3月、暴力団関係者などの不正受給対策として、各福祉事務所に警察官OBを積極的に配置することを促す通知を発出していましたが、紀流氏ではこの通知を受けて、2012年度から警察官OBの配置を進め、近年は生活保護の新規面接相談のほとんどに警察官OBが同席し、家庭訪問にも同行する。就労支援相談員、生活保護生態の就労支援相談員にも警察官OBが担当する。生活困窮者自立支援事業の窓口、生活保護の手前で相談を受ける生活困窮者自立支援事業の窓口にも警察官OBが配置されている、と明らかに趣旨を逸脱する運用を行っていました。情報公開によって明らかになった文書、資料の14ページに出ております。例は、2012年度、紀粒子が群馬県警に提出した紹介のお願いについては、刑事課での暴力団対応経験者を希望ということで、いわゆる丸棒の警察官OBを群馬県警に紹介を依頼していたということも明らかになってい ます。紀粒子による数々の人権侵害は、窓口に相談に来る住民を保護や支援の対象として見るのではなく、排除や取り締まりの対象として見る眼差しが職場全体に浸透していた結果ではないだろうか、というふうに私は考えております。生活保護問題対策全国会議は、2012年3月に厚生労働省が警察官OBの積極活用を打ち出した際、厚労大臣宛ての要望書を提出し、市民と直接やり取りをする現行に、元警察官が社会福祉主義の資格もなく従事すると、警察目的が福祉目的に先行し、結果的に市民の生存権行使を阻害する事態をもたらす危険性、保護受給者、あるいは保護を受給しようとする者を犯罪者視し、その人格権、生存権を侵害する危険性がある、と警告を発していました。この要望書は17ページに記載しておりますので、ぜひご覧ください。昼日ではまさにこのような事態が起こっていたんだろう、というふうに思います。資料3、21ページの資料3にありますように、厚生労働省は今年度より警察官OBの配置をさらに進めようとしておりますが、自らが政策として進めた警察官OBの積極配置が支援を必要としている人を制度から遠ざけるツールとして利用されているということを重く受け止め、各自治体における警察官OBの活用状況を検証し、少なくともその役割を暴力団体を等に限定してください。警察官OBを面接相談、家庭訪問、就労相談などには同席させない仕組みを作るべきです。また、紀流氏は職員が保護費を手下銀行に入れて分割、減額、支給していただけでなく、利用者に家計簿の提出を指導してレシートを100円近く、100円単位まで細かくチェックしたり、民間の金銭管理団体を活用した非保護者家計相談支援事業を実施する等、生活保護利用者の家計支出を徹底的に監督管理するシステムを作り上げていました。紀流氏の家計相談支援事業は、市が選んだ生活保護世帯に民間の金銭管理団体を紹介するという事業です。奇妙なことに、市は各民間団体とは委託契約、一切の契約を結んでおらず、表面上は市が紹介した、市が生活保護世帯に紹介した民間団体とそれぞれの生活保護世帯が、ここに任意で契約をするという形をとっております。2022年度には、一般社団法人日本福祉サポートが26件、NPO法人ほほえみの会が29件、紀流氏社会福祉協議会が11件など、計68件、紀流氏の生活保護世帯の実に13.9%が民間の金銭管理団体に金銭を管理されているという状況になっております。生活保護の開始時に市の職員から民間金銭管理団体の利用を紹介されている方も多く、当事者には、その日初めて会う民間団体の管理者、名前も初めて聞く民間団体に家計を管理される通帳と印鑑を渡すということが、あたかも生活保護の利用の条件であるかのように受け取られています。民間団体活用の問題点は資料の21ページ、東京新聞の記事に詳しく書いてありますので、ぜひそちらもご覧ください。ここでは、この民間金銭管理団体の関与というのは、経済的虐待にあたるのではないかという問題的がなされております。実は、この紀流氏の家計相談支援事業も厚生労働省の通知がかかわっております。厚生労働省は、2018年3月30日に「被保護者家計改善支援事業の実施について」という通知を発出し、各自治体に家計改善支援事業の実施を促してまいりました。紀流氏は、この年、この通知を踏まえて、民間の金銭管理団体の活用という事業を始めました。今回の生活保護法改正案には、第55条の13において、これまで予算措置として実施されてきた被保護者家計相談支援事業を法定化するという内容が盛り込まれていますが、厚生労働省は、これまで各地方自治体が実施してきた家計支援を名目とする事業において、人権侵害が行われていないかどうかを検証すべきだというふうに考えます。具体的には、各自治体の事業をすべて調 査し、それぞれの事業において利用者本人の契約の自由が尊重されているのか、例えば、解約したいというときに解約できるような内容になっているのか、事業者と利用者との契約内容が適法適切なものなのか、事業の利用拒否、停止、この事業を解約したいと、民間団体との契約を打ち切りたいといったときに、それが生活保護の停止や廃止につながっていないか、利用者の権利を不当に侵害するものになっていないかどうか、徹底した検証を行い、違法不適切な行為を見つけたら、直ちに自制する措置をとってください。私は過去30年間、民間の立場で生活困窮者の相談支援に取り組んでまいりましたが、私たち支援者が支援だと思って行っている行為は、支援する側、支援される側という非対照的な関係性の中で、容易に支配やコントロールに転化するリスクを持っているということを常に痛感してきました。特に、公定機関が現金給付を伴って実施する支援は、本人の意思を飛び越えて、日常生活やプライバシーの隅々に介入し、干渉するパターナリズムに陥りやすい傾向があります。私は、生活保護や生活困窮者自立支援事業をめぐる国の議論で欠けているのは、支援が暴力になるという観点だと思います。福祉事務所が、福祉行政が、住民を虐待する加害者になってしまった、紀粒子の事件は、そのことを私たちに警告してくれています。自立支援の名のもとに 、相談者、制度利用者の自己決定権が無視・軽視されていないか、本人の尊厳を傷つける対応が行われていないか、要請は常に確認・検証をしていく必要があります。紀粒子の福祉化が切り刻み、粉々にしたのは、保護費だけではありません。制度を利用する住民の尊厳が切り刻まれ、人間らしく生きるための権利が粉々にされたのです。紀粒子による違法運用・人権侵害は、現在、市が設置した第三者委員会及び群馬県による特別監査で検証が行われていますが、この事件は、一自治体の問題にとどまらず、生活保護制度及び生活困窮者自立支援制度に対する住民の信頼を根底から揺るがしています。また、水際作戦や事態届の共用などの違法行為は、他の自治体でも珍しくないということも指摘しておきたいと思います。厚生労働院の皆様、厚生労働省をはじめとする政府関係者の皆様は、紀粒子で起こった事態を重く受け止め、徹底した検証と再発防止策に取り組んでください。今回の一括改正案の審議においても、事件の教訓が生かされることを心から願っています。最後に、紀粒子の生活保護要請の問題は、長年群馬県で生活困窮者支援を続けてこられた司法書士の中道宗さんが、被害者の相談を受け、行政に働きかけ、社会に発信したことで世の中に知られるようになりました。ことに残念なことに、中道さんは、先月3月20日に休世されましたが、中道さんのご活動に敬意と感謝を表して、この意見陳述を締めくくらせていただきます。ありがとうございました。ありがとうございました。次に、林さん公認にお願いいたします。林さん公認。神奈川県座間市福祉部の林誠一です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。私は、平成18年に中途採用で座間市に入庁し、9年間の生活保護ケースワーカーの経験後、平成27年度から生活困窮者自立支援制度に関わっている者です。以下、生魂制度と呼びます。本日は、これまでの経験や現場の仲間の声も踏まえ、大きく4点お伝えさせていただきます。まず、大事な1点目は、居住支援のための措置についてです。今回の法改正で示されている居住に関する相談支援等の明確化や一貫した居住支援の強化の措置について賛成です。その上で、関連した商務項目として4つ意見を述べさせていただきます。まず、自立相談支援事業に関してです。新たに居住を支援内容として明確化したことで、人材の確保や要請が課題となると思います。県居住支援協議会では、令和5年度から居住支援コーディネーター育成研修を始めています。この研修では、住まい探しや福祉サービスの基本的な知識だけでなく、住まいの課題を生活全般の課題と捉え、困り事を受け止めて成立する力を習得し、課題の発見から専門部署へ寄り添いながらつなぐことができるコーディネーターの要請を目指しています。このような取組などの参考に、居住支援の包括性を意識した人材の確保や要請をお願いしたいと思います。商工目2つ目に、居住支援法人との連携です。住まいの相談窓口ができても、不動産事業者や大屋さんの居住支援への理解がなければ、住まいの確保は進みません。そういった意味で、生根法改正案で居住支援法人との連携が努力義務として規定されたことは重要なことだと考えますので、これまでの経験から感じていることを述べます。一言で言えば、関係機関が連携して住まい支援が機能するためには、お互いの立場の理解が必要です。座間市では、居住支援を事業化する以前から、主に入居支援について、市内で活動する居住支援法人のNPO1Aドと連携をしていました。ある時、自立の就労支援と1Aドによるアパートの入居支援の後、生活が安定し、自立の支援を集結した50代単身の方が、しばらくして病気のため、アパートの実施で亡くなり、時間が経ってから発見されるということが起きました。当時は、支援集結時の個人情報の取扱いについて取り決 めをしていなかったため、市は1Aドに支援集結について連絡していませんでした。一方で、1Aド側では、自立相談支援事業が現在も本人と継続的に関わっているものと思っており、支援が集結したと考えていなかったとのことでした。すぐに連絡が取れる見寄りもなく、部屋の残地物などの問題が残されましたが、行政の立場でできることは限られ、結局、不動産会社や1Aドさんが対応を行ってくださいました。1Aド代表の松本さんからは、こうしたことがあると、ようやく説得して開拓した大屋さんとの関係を失ってしまう場合がある。相談者だけでなく、物件の向こう側にいる不動産関係者や大屋さんを守ることも私たちの役目。相談支援には集結があるが、住まいの支援はずっと続くというお話を伺いました。不動産事業者や居住支援法人の立場への理解が浅かったことについて深く反省し、かなり落ち込みましたが、松本さんから私たちも行政の立場を理解します。支援に関わるそれぞれが相手の立場を理解して、相談者のために手をつなぐことが大事。お互いに頑張りましょうと言われたことが、自治体として何ができるかを考えるきっかけとなり、一時生活支援事業や地域居住支援事業の実施、さらには、座間市居住支援協議会の立ち上げにつながりました。単に「住まいの確保が必要だから、住まい支援をお願いします」と居 住支援に相談者をつなぐのではなく、相談者を中心にチームで関われる環境づくりが必要と考えます。商工目3つ目は、住居確保給付金です。今回の管理政案に、家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する方向が盛り込まれたことは良かったと考えております。その上で、収入が著しく減少し、収入に対して家賃が高額で転居が必要なのにも関わらず、収入基準額が低すぎるため、該当にならない場合が生じるのではないか。暫定する収入等の範囲について、給与収入の場合、社会保険料等転引前の総支給額で暫定するため、実際の生活は苦しくても、制度に該当しない場合がある。転居のためには、契約に係る費用のほかに、引越しに係る費用や不要な家財の処分費用なども年数しなければ転居できないことも多いといったことがありますので、住居確保給付金が現場でこれまで以上に効果的に活用できるよう、収入基準額や収入算定方法の見直し、転居費用の範囲について検討をお願いします。また、地域によっては低廉な住居が少ないために、比較的低廉な住居が多い市外の自治体に転居する場合もあると思います。転居費用を支給された方が市外に転居した際の支援の引き継ぎや、転居後の生活保護申請の実施責任などについても整理を行い、現場で混乱なくスムーズに支援が行われるよう 必要な検討もお願いいたします。商工目4つ目は、今後の居住支援の検討についてです。居住支援については、前世代型社会保障構築会議の報告書で提言された「社会保障としての住まい政策」について、具体的な施策の詳細を検討するため、昨年度中間取りまとめを取りまとめた3省合同の検討会を継続していただきたいと思います。また、その際には、中間取りまとめや、生婚制度の在り方に関する論点整理にも記載がありましたとおり、既に住宅を確保している方についても、心身の機能の変化、収入の減少等により住宅の確保に配慮が必要となり得ることを踏まえ、その居住の安定が図られるような支援、具体的には普遍的な社会保障施策としての住宅手当といった家賃補助的な施策も引き続き検討をお願いしたいと思います。次に大きな2点目ですが、生活困窮者向けの支援会議の努力義務化などについて賛成です。私は、生婚制度が始まった頃、国の研修を受講し「TTP」という言葉を覚えました。これは、「良い取り組みは徹底的にパクれ」の略が「TTP」です。座間では、生活困窮者支援の先駆的な次次第である滋賀県野室さんの取組を徹底的にパクりたいと思い立ち、包括的支援体制構築ワーキングチームを中心に、研修やつなぐシート、相談チャートなど全庁的に取組を進めてきました。本日、参考で配布しておりますのは、 昨年度の研修会のアンケート結果です。先輩職員の豊富な知識を今回吸収することができ、とても勉強になった。この研修を通じて庁舎内に困っている人々を助ける制度や施策が数多くあるということが分かった、など有意義だったとする感想が多くあり、全庁的に生活困窮者支援に取り組むことは、自治体職員のスキルアップ、レベルアップにもつながると実感しております。前述の安市には、「安し暮らし支え合い条例」という条例があります。この条例の23条から25条には、生活困窮者等の発見、生活上の諸課題の解決及び生活再建を図るための必要な情報の提供、助言、その他支援を行うことや支援会議が規定されております。今回の政婚改正法案では、第8条第1項で「生活困窮者の状況の把握」、第2項で「政婚制度の利用干渉」、第9条に「支援会議の設置や関連会議台との連携が都道府県等の努力義務として示されました」が、この箇所は、先ほど紹介しました安市の条例の箇所にとても似ていると私は感じました。安市で取組をリードしてきた翔頭博美さんは、「政婚制度が頑張ろうとしている自治体職員のやりがいを生み出すカテッドとなって、市民の命と暮らしを守るために思いっきり働ける、そうした心強い味方として頼れる存在に成長していってもらえることを心から願っています」とお話しされています。生活根拠者向けの支援会議設置の努力義務化 等の改正は、現場で市民の命と暮らしを守るために頑張ろうとしている自治体職員の後押しになる改正と考えますので賛成です。大きな3点目は、生活保護制度及び政婚政法両制度の連携です。ここでは、小項目として2つ意見を述べます。まず、子どもの貧困への対応のための措置として、情報提供や助言を行うための事業を生活保護法に法定化することに賛成です。先日、移動してケースワーカー1年目が終わった職員から、収入認定除外や奨学金の制度や手続きの流れがよく分からず、ご本人や保護者にきちんと説明するために非常に苦労したという話を聞き、振り返って自分もそうだったと思い出しました。事業の実施により、ご本人や保護者への情報提供や助言が充実させるだけでなく、個々のケースワーカーの理解も深まることも期待されます。座間市では、生婚・生保養制度の家計改善支援事業や子どもの学習生活支援事業を座間市社会福祉協議会に委託して実施しております。現状でも、家計改善支援事業により、進路選択に必要な奨学金などの教育費に関する情報提供を保護者に行ったり、子どもの学習生活支援事業で高校受験に向けたアドバイスなどを学校と連携して行ったりしておりますので、新たな子どもの進路選択事業は、こうした事業と連携することで、さらに効果的な支援が 行えるのではないかと期待しております。つきましては、子どもの学習生活支援事業とともに、生婚・生保養制度の家計改善支援事業について、子どもの貧困への対策からも推進していただきたいと考えます。2つ目、保護受給者の支援に関する会議体の設置や、生活困窮者に就労準備支援事業、家計改善支援事業、居住支援事業を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化することについて、支援力の向上の点から賛成です。その前提として、生活困窮者に対する就労準備支援、家計改善支援、居住支援事業が全国どこででも受けられることにすることが大事ですので、これらの必須事業化を今後も継続して検討していただきたいと思います。生婚・生保養制度が連携した支援は、地域共生社会や一人一人の尊厳の保持など、共通の理念に基づいて行われることが大切だと思います。また、新たに生活保護受給者も、生婚の任意事業を利用できる仕組みを創設することで、生活保護ケースワークの業務の公的責任が交代したり、生婚制度の理念が失われたりすることのないよう留意するとともに、生活保護制度・生婚制度の自治体担当者、さらに両制度の事業重視者の合同の研修の検討をお願いします。大きな4点目は 、自治体の体制整備や自民負担軽減策の必要性です。座間市の就労準備支援事業所、働くくざま代表の岡田さんは、自分たちの団体は他市でも就労準備支援事業を自宅しているが、生婚と生保の事業を一体的にやっている場合は、非保護者の率が徐々に増えてくる傾向がある。会議体の連携や研修はもちろん大事だが、一番肝心なのはケースワーカーが生活保護の利用者本人や外部の支援者と一緒に支援を考える時間を十分に確保できるかどうかだと話されていました。日頃の業務に傍作され、新たな取組を行う余裕のない福祉事務所も多いと思います。改正法が現場で有効に改正されるため、ケースワーカーの人員確保や事務負担軽減の策について検討していただきたいと思います。また、今回の法改正で、生活根拠者自立支援制度や生活保護制度に期待されているような多岐にわたる連携体制の構築やその維持のためには、そうした取組のためのマンパワーの確保が必要です。整項制度については、一定規模以上の福祉事務所設置自治体においては、専従職員を筆地とするなどの検討をお願いしたいと思います。生活保護のケースワーカーをしていた頃、先輩職員に「制度や仕組みだけがあってもダメ。困っている人がいたら、ま ずは気づいた人が声をかけられるようになることが大事」と教わり、その言葉は自分にとって自治体職員としての原点の一つとなりました。今、基礎自治体の職場は様々な課題に対応しなければならない一方で、新しい職員が採用できず人手不足だったり、ストレスにさらされる中でしんどさを抱える職員が増えたりということで、業務に追われ、困っている人に気がついても声をかけることをついつい躊躇してしまうような現実もあります。今回の生活保護制度の改正が困っている住民の役に立ちたいという、自治体職員の素朴な願いを後押しするものとなってほしいと思っております。以上です。ありがとうございました。次に石川参考人にお願いいたします。
48:09
大阪人間科学大学の石川と申します。この度はこのような貴重な機会をいただき、大変感謝しております。私くしは大阪で社会福祉使用生の仕事をしております。地域福祉を専門としておりますが、地域福祉の議論実践の中に今まで住まいというような要素が少なかったと思っております。そのよう な中、この度の生活困窮者自立支援法改正において、居住支援の強化が目指されているということを大変嬉しく思いますし、また目指す姿として示されている中に、相談支援体制の強化、そして見守り支援の強化、サポート付き住宅、住居確保給付金の拡充などというキーワードがありますが、これらは民間居住支援団体が訴え続けてきたことでありますので、このようなものが反映されているということは、非常に居住支援が拡充していくのに非常にプラスになっているというふうに思いますが、しかしやはり質量とも足らないのではないかというふうに思っております。私は地域福祉を研究する過程の中で、いろいろな居住支援に関わる活動を行ってきました。私の意見の陳述のベースになる活動につきましては、補足資料の1の方を見ていただきたいのですが、3つの活動をしております。まず、日本居住福祉学会における活動、そして、住宅セーフティネット法以前より各地で居住支援の実践を作り上げてきた団体同士のネットワーク組織である「居住支援全国ネットワーク」。このネットワークでは、特に後ほど申し上げますが、当事者から見た居住支援という調査活動を特に担当してまいりました。また、私の地元である大阪では、居住支援法人の指定を受けた社会福祉法人間の勉強会を行ってきました。このような3つの活動を背景にベースとして、主に居住支援に関する意見を申し上げたいと思います。まず1点目です。居住支援のあり方を考えるにあたっては、居住困窮者の視点から考えることが重要だと考えます。居住支援の領域質が、これから拡大量をどう増やしていくのかということが今まで考えられてきましたが、やはりもう質をどうしていくのかということはとても大切だと思います。それにおいては、質を何で測るかということでありますが、やはりこれは居住困窮を体験した当事者の視点からチェックするということが大変重要かと思います。住まいの確保は大切ではありますが、確保すればそれでいいということではありません。居住支援全国ネットワークが2022年に実施した当事者調査において、居住困窮を経験したことのある134人の利用者に対し、生活満足度ということで質を測ろうとしたのですが、それに何が影響しているのかを分析しました。私は地域福祉の関係者ですので、見守り活動や社会参加などが生活満足度にプラスになっているのではないかと分析したのですが、なかなかそこは有意ではなくて、はっきりと影響しているのは物件の満足度だったわけですね。フリーアンサーを少し紹介したいと思います。自分が部屋を探そうと思ったときに、理解のある業者さんといわれてあった業者から、制約を受けている人に行かせる部屋はここかなといわれた。アパートの部屋が老朽化して崩壊、そしてそこから転落、入院した。他のヒアリング調査を行ったときも、アパートのベランダが落ちたということであったり、風呂窯が2つある。それは故障したので入れてもらったんですけど、それが撤去されないというような状態。いずれも非常に熱心な居住支援団体の支援を受けていての物件が、このような状況にとどまっているということなんですね。それが現状なんです。居住支援においては、先ほど菊地参考人のお話の中にもあったと思いますが、一番肝心なのは、私は本人の居住力。自ら住まいを整え維持し、そして他者とつながりながら共に地域で暮らしていくことを高めるということが最も関与だと思います。見守り支援、トラブル相談、契約サポート、いろいろな仕組みが検定されていますが、それは何のためにするのか。本人の居住力を高めるということのためにそれを行うということが感じたと思います。そして本人の力が高まるためには、その前提に自分らしい生活の尊重がされる。何よりもやはり住まいを自分で選択できるというふうな、有料な住まいを納得できる住まいを選択することが、生活の質に非常に直接影響しているということです。今回、単身高齢者の居住問題が大き く取り上げられていますが、障害を持つ方に関しても非常に問題があると思います。不動産会社の危機感、いろんな調査がありますが、私の関わっている居住支援法人が大阪で行った調査によると、高齢者の危機感よりも圧倒的に障害者、特に精神障害を持つ方への危機感が強いです。ですので、このような状況をどうするかというところで、グループホームに期待が集まるわけではありますが、その質はもう課題になっております。私が大阪で開いている、呼びかけて開催させていただいている居住支援法人の勉強会の中の、基幹相談支援センターのある方の発言を少し紹介します。住まいで一番大きな課題は、家を見つけることよりも、いわゆる貧困ビジネスに関わっているヘルパー事業所が入り込んでいるマンションなどで、本人は世話になっていると思っているかもしれないけれど、実質的にお金を取られているし、外出制限もされているような相談が何件もあると、この問題についてどうしたらいいのか、一番悩んでいます。権利擁護という面では、僕はキャッチした人がどれだけ踏み込んでいくのかということが大切だと思います。なんでこのマンション、生活保護ワーカーが訪問してこれを良しとしているのか。機関に言うなり虐待通報をするなり、問題意識をどれだけ広められるか、人権意識をどういうふうに高めていく のかということが重要だと。みんな制度上はうまくやっていますというふうな発言がありました。つまり居住支援の現状の中に、アドボカシー権利擁護の機能が欠落しているのではないか、非常に弱いのではないか、少し補足しますと、熱心な生活保護ワーカーの方もいらっしゃることもこの後で発言しております。ちょっと付け加えたいと思います。また住まいの選択に当たっては、民間賃貸住宅だけではなく、シェルターだったり、多様な施設入所というような選択肢もあります。これらの質も非常に重要だと思います。先ほど紹介した居住支援全国ネットワークが2022年に行った調査によると、実はその回答者の中で、かなり福祉施設やシェルターを利用経験がある方が結構多かったのですが、しかし特にシェルターを経由して、その後もう一度居住困窮状態に戻ってしまったという人も多いのです。ということは、福祉施設やシェルターの運用、内容について課題もあるのではないか。ですので居住支援においては、このようなシェルターであったり、既存の福祉施設の役割、もう少し活用できるのではないかと、その機能の向上についても併せて考える必要があると思います。そして2番目の意見が、居住保障の増強が必要ということであります。やはり行政による公的責任を明確にする必要があると思います。また大阪での勉強会のある職員の発言を紹介したいと思います。セーフティーネット住宅が始まっていますが、実際にはそんなに広がっていない、良質な住まいを提供するというところはあまり広がらず、空き家を安物賃で回収して生活保護受給者向けに住まいを提供するという風景が全国に広がっているだけという発言がありました。住居確保給付金の拡大そのものは大変望ましい方向であると思いますが、やはり私も非常に限定的であると、やはり必要なのは普遍的な家賃補助制度であるというふうに思います。コロナ禍の居住支援において、居住支援全国ネットワークが加盟団体に対して調査を行わせていただきましたが、その中でも改めて住居確保給付金の特例措置が非常に効果的だった。ですので居住支援というのは入居支援、そして連帯保障問題の解決、居住生活、その後の生活支援だけではなくて、やはりそもそも家を失わないように居住を、今の住んでいる家を継続するための支援もとても重要であり、これに対して住居確保給付金、やはりお金の給付、やはり給付もすごくパワフルであるということで、改めて検討いただきたいというふうに思います。そして市町村の役割も大きいと思います。資料の項目でいうと3、市町村におけるプラットフォーム市町村居住支援協議会の役割というふうなところであります。まず、住宅セーフティネット法改正において、このたび市町村居住支援協議会を9割まで拡大させようというような方向を出ているのは大変望ましいことだと思いますが、大阪でもいくつかの自治体が居住支援協議会を立ち上げました。しかし、この事務局が民間団体に委託しているパターンが増えています。しかし、民間団体に委託しても、やはりこの取組というのは公的な取組でありますので、地方自治体のやはりプレゼンスというか存在感、その責任、役割というのははっきりしていただきたいんですね。利用委託を受けている民間団体が不動産に回っても、なんで民間団体がそれをしているのということで、公的な取組というふうになかなか理解していただきにくいというふうな、これは発展途上だと思うんですけれども、そのような問題が起こっております。そして次、4の方に移りたいと思います。つまり、この居住支援を広めていくためには、やはり関係者への研修及び地域住民の啓発というふうなことが非常に重要だというふうに思いま す。2017年の住宅セーフティネット法改正以降、居住支援に関する研修の機会はかなり増えたというふうに体感しております。私もいくつか講師をさせていただいていますが、それでもまだまだ居住根拠に関する知識や居住支援の現状であったりということが、福祉関係者、住宅関係者双方に決定的に不足しているというふうに思います。そもそも居住支援の範疇というのは非常に幅広く、また制度が改変するスピード、そして実践のある意味で望ましいモデルのようなものがどんどん生まれますので、非常にこの変化が早いんですね。ですので、それらを参考にしようにも、家中の実践者たちも全体像が難しい状況というふうなことがあります。ですので、今回の改正も、この後審議されるでしょう、住宅セーフティネット法の改正におきましても、このようなことが変わりましたと、こういうふうな新しい仕組みがありますよというようなことは望ましいことではあるんですけれども、地方レベルに降りたときにその制度が淡々と説明されるだけではなかなか伝わらないんですよね。ですので、それぞれの地域ごとの、やはり居住根拠の実態とか支援の現状というふうなものを把握した上で、そこに参加している人々が納得して理解していく、それを広めていこうというような、そのような研修のあり方というのが非常に重要かと思います。そしてその場において、やは り改めて重要なのは、居住根拠を体験した当事者の声を生かす、ご本人さんの体験から学ぶというふうなことが大切だと思います。支援者ベースではなくて当事者ベースの研修が必要ではないか。何度も紹介しておりますが、居住支援全国ネットワークの行った調査においても、この法改正について何か意見がありますかというと、皆さん結構いろいろ意見を持っていらっしゃるんですよね。自分のように部屋探しに苦労する人はたくさんいるので、物件を団体が所有していただいて、もっと障害を持つ人が地域で住みやすくしてくれると嬉しいと。理解ある公屋さん、不動産屋さんが増えるようにセミナーなどを開催してほしいというふうに、皆さん大きな意見を持っています。そして彼ら自身が、実はこの制度を改変して動かしていく力を、本人さんが持っているというふうなことを認識すべきだというふうに思います。そして最後に、終わりにというところでありますが、私は改めまして居住支援というのは、まちづくりでもあるというふうに思います。そもそも住宅生活困窮者自立支援法においても、まちづくりというような要素は非常に重要であると位置づけられてはいますが、しかし個人への支援に比べて、やはりまちづくりというような取り組みは非常に弱いというふうに思います。この居住支援に関しましても、ここに関 わる当事者の方々同士や、それに関わろうとする住民の人たちの組織化であったり活動の支援、そして繰り返しますけれども、その上には各にある困窮の現状の把握と学習、そしていろんな団体の連携、そして居住福祉資源というか、地域に資源を開発していくというような、居住に関わるコミュニティワークが必要だというふうに思います。また、実は地域の中にそのようないろんな資源、つまり居住根拠を体験した当事者同士が共に過ごしたり、住民の方々と関わるような場が作っていかないといけないのですが、既に存在していたりもします。そういった機能のある居住共同空間を掘り起こしていく、古文とも言えると思いますけれども、掘り起こしていく活動をどんどん広めていく必要があると思います。そして最後の最後になるのですが、福祉関係者が居住支援を促進するためには、やはり物件がないと始まらない。福祉関係者は思いもあってネットワークもあるのですけれども、でもやはり物件が住まいにしても居場所にしても場所がないと始まらないところがありまして、これらを獲得したり、また獲得しても借りることができても、例えば公営住宅を活用させてもらえることになっても、これを維持するような、なかなかそのための資金もまた必要だったりするというところがあって、なかなかパワーが足らないところがあります。こういった、もちろん制度も変わっていく、居住保障制度 がしっかりと構築されていくことも必要なんですが、民間の人たちの取り組みが発展するようなことを支えるような仕組みも検討いただければというふうに思います。以上で私の意見を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。ありがとうございました。以上で参考人のご意見の陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑を行います。なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。質疑のある方は順次ご発言願います。
1:03:58
自由民主党の石田雅宏と申します。参考人の皆様方には多様で、そして貴重なご意見どうもありがとうございました。私からは時間がないので全員にはご質問できないと思うんですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。生活困窮者自立支援法の整体に全体的に関わっていらっしゃった菊池先生に、先ほどの今後の展望のあたりにつきましてご質問したいと思います。生活困窮者自立支援は生活保護の前の第二のセーフティーネットと言われていますけれども、法律の目的を比較すると生活保護は生活困窮者に対する給付というどちらかというと性的な仕組みで あって、生活困窮者自立支援制度はまずは自立に向けた動的な仕組みに感じます。かなり体系が異なりますので、生活保護の手前に生活困窮者自立支援があるという段階的なイメージと若干違うのかなというふうに感じます。第二のセーフティーネットというのであれば、例えば生活保護の前の人に対して医療不助だけとか住宅不助だけとか、生活の再建ができる人もいると思います。つまり生活保護法の柔軟化の方がある意味きめ細かい対応ができるかもしれません。また、もしくは生活保護をもっと性的ではなく動的に考えていって、生活困窮者自立支援法での手法を生活保護に応用していくような考え方もあるんだと思います。つきましては、生活保護と生活困窮者自立支援をどのように連続的に整理していいのかのご意見をお伺いしたいと思います。菊地参考人、ご質問ありがとうございます。大変大きな質問で私の手に負えるところではございませんが、先生のおっしゃるように、最後のセーフティーネットと、いわゆる第二のセーフティーネットという、そういう位置づけがあるということを私も総理解しております。ただ、両方の生活保護における自立、それから生活性困窮における自立、この自立概念は共通であるというのが、そういう解釈が、少なくとも政府行政解釈としては取っております。そういう前提で我々も議論しているということがございます。その上で、先生おっしゃるように、住居確保給付金ありますけれども、生活保護は給付中心で、生活保護は支援、相談支援が軸になっているということで、そこの違いはあると思います。ただ、生活保護にもケースワークがあって、そこは相談支援なんですね。そこが給付と結びついているので、先ほど井沢参考人からありましたように、そこは注意しないと権力的な要素がどうしても入り込んでしまうという部分はあると思います。その中で、生活保護をもう少し使い勝手の良いものにしていく方法もあるのではないかという先生のお話、私も発想としてはそのように思っている部分がございまして、例えば、探求家ですね。医療不条を探求していますが、他の不条もそれだけを取り出して受けられるようにする、住宅不条も含めてですね、あり得るとは思います。そのためには、いろいろ法的に整理する必要がある。つまり、憲法25条1項の健康で分割する予算的な生活をどう理解するか、それをパーツごとに切り分けられるかとかですね、そういったことを整理する作業は必要だと思いますが、それはあり得ると私は思っていますし、また今日、他の方からもお発言ありましたが、住宅手当的なものをですね、また別途給付化していくという方策も、私も今までそういう発言をしてきたこともございますし、あり得る方策だとは思ってございます。以上でございます。
1:07:47
ありがとうございます。多分今後の議論で必要になると思いますので、非常に参考になりました。ありがとうございます。もう一点あるんですけども、経済困窮からの自立支援の考え方はですね、ちょっとザクッとしすぎるかもしれませんけども、2つ考えられると思うんですけど、本人が努力して経済困窮から脱することができるので、その努力できる環境を作っていくということと、努力はさておき、支えていくことによって経済困窮から脱すると、大きくその2つがあるんじゃないかというふうに思います。このような議論をするときに、非常に難しいんですけども、よくいろんなところで引用されているのが、安丸義男さんですかね、歴史思想学者の方が唱えている通俗道徳という考え方だと思うんですけど、つまり勤勉に働くとか、奸役するっていう、普通の人たちが良い行いだと考える行為が、勤勉に働けば豊かになるとか、奸役して著作すれば困らないとかっていった考え方になって、それがひっくり返って、そうならないのは良い行いをしていないからという、いわゆる自己責任論というところにつながっていくという考え方なんですけども、言ってみたら、道徳的に正しい行動すれば成功するとか、努力した人が報われるとか、こういった考え方になるわけです。この通俗道徳に従うのであれば、人は道徳的に生き、努力することを基本にするので、自立支援法は、生活困窮者が自立するための努力をできる環境を作ることが大事だということになると思います。ただ一方で、人には人生って偶然があるわけで、努力や道徳をいくら極めても貧困から脱せられるかどうかは別だという考え方もあると思います。最近の親ガチャとかそういった言葉は、これに類する言葉の一つなのかもしれないなと思っています。そうするのであれば、生活困窮者支援は、道徳や努力だけではどうしようもない面を強調して、衆や社会からの支えこそが、まず最初に考えるべきだということになると思います。この通俗道徳をいろいろと調べてみると、もともと日本の古来からの考え方ではないというのが、安松丸さんの論でして、むしろ江戸時代後半から始まった、つまり市場経済がだんだん盛んなっていくと、商人は儲かっていくんだけど、地主たちが没落し始めると。そうなると、その没落の理由を、自分は道徳的な行いができなかったからだと考えることで、不満が社会じゃなくて、自発的に自分自身に向かう、その結果社会は安定していくといった考え方だそうです。明治時代にこのことがさらに進化したと言うんですけど、明治時代は財政的に政府が居取りがなくて貧弱であったために、国民が通俗道徳に従ってきた方が、社会不満が抑えられたといった発想のようです。こういう見方からしちゃうと、生活困窮者自立支援というのは、努力を背 景にした自立を強調するというよりも、生活困窮者の生活を支援する、支え合うといったことに、より重きを置いて考えた方がいいのかなとも思われるわけですね。このように、どうしても出てくる本人の努力とか道徳みたいな考え方と、自立を支援していくということについて、木口先生にご教授いただきたいと思いまして、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。木口さんに非常に哲学的な問いでございまして、これも私の手に余るのですが、先生おっしゃいますように、自立のための環境づくりというのは、広い意味では共通だと思いますけれども、仕事がない方にハローワークに行っていただいて、そこで自分に合った仕事を選んでついていただく、あるいは訓練の機会を提供するという、それで自分で仕事についていけるという、もちろんそういう方がたくさんおられますけれども、生活規制広報が念頭に置いている、なぜそこにセーフティネット仕組みをつくったかというのは、直ちにはそうはいかないという、なぜいかないか、それは本人の責任というわけではなく、様々なそれまでの人生や偶然や様 々なものが積み重なっている。ただその方にも生きていく、自分の主体性に目覚めて前向きに生きていこうという、そういう時が来ると、やはり人間はそういうものだと私は思っているので、そのために寄り添って支えていくところから始めていく。支えるといっても支える、支えられるというのは一方的な権力的な関係ではない、やっぱり対等な関係性をつくって歩んでいく。そこから本人の主体性が芽生えてくるという、そういう時間もかかりますし、個別的な支援もありますが、そういったものを、法律をつくってやろうということが、この性婚法だと思いますので、そういう意味では私、先ほど申しましたように、画期的な法律だと思っているわけです。時間なのでこれで終わりになってしまいますけれども、今非常に参考になりました。今後、議論を深める上ではとても大事だと思いますので、しっかりとまた学んでいきたいと思います。ありがとうございました。
1:13:24
まずは、4人の参考人の皆さん、本当に貴重なご意見を聞かせていただき、本当にありがとうございます。研究の現場、そして行政の現場、支援の現場で皆さんがご経験されてきたことを、非常に今日は学びの時間になりました。そこで質問をさせていただきたいと思いますが、稲葉参考人にご質問をさせていただきます。先ほど、紀流氏福祉事務所のケースについてお話をしてくださいました。聞いている皆さん、非常に衝撃を受けたのではないかと思いますが、私はこの点で一番大きなポイントが、厚労省が特に警察OBに働きかけて配置をしているというところが、非常に大きな問題ではないかなというふうに感じているんですけれども、稲葉参考人から見て、福祉の専門家でもない警察OBをこの分野に配置する、その目的、意図みたいなものをどのように現場から受け止められているでしょうか。ご意見をお聞かせください。
1:14:46
2012年に厚生労働省が警察官OBを積極的に配置するように、国の補助金を使って積極配置するようにという通知を出し た際に、生活保護問題対策全国会議が出した要望書が資料の17ページにあります。厚生労働省としては、おそらく、暴力団などの不正受給対策ということで始めたんだろうと推察いたしましたが、この要望書にも書かれていますように、確かに、行政対処暴力であったり、暴力団対応などで警察の力を借りなければいけない場面というのはあるかと思いますが、そのたびに連携をしていけばいいのではないかと、常時警察官OBを福祉事務所に配置するということを行えば、福祉事務所の職場の雰囲気自体が大きく変わってしまう、生活困窮者に相談に来る住民に向ける眼差し自体が変わってしまうというところが一番問題だろうと思っております。特に今回群馬県紀留市で最大4人の警察官OBが配置されていたと。記録を見てみますと、新規の相談ですね。住民の方が明らかに暴力団じゃないかとたくさん来られると思うんですけれども、住民の方が生活に困っているという相談を来る、新規の面接相談のほとんどに警察官OBが同席していると。その後、生活保護を利用するようになって、就労支援 相談員というのが各福祉事務所に配置されています。通常はハローワークの経験者、職員経験者などが配置されているんですけれども、なぜかそこにも警察官OBが雇われている。警察官OBの方が就労支援そんなにスキルあるのか疑問を持ちますけれども、雇われていて、どの方がそうした暴言を吐いたのか分かりませんけれども、当社の方々からはですね、税金で食っている自覚はあるのかと連日言われ続けたというような、被害の声というのが上がっているという状況になっております。今年度さらに厚生労働省、警察官OBの配置を進めようとしているようですけれども、これがさらにですね、気流氏のように窓口に来た人を追い返したりとか、住民に対して最初から犯罪者指群のような目で見るというような福祉事務所が、増える結果につながらないか大変懸念をしているところであります。稲葉参考人、ご意見どうもありがとうございました。続いてですね、林参考人にお話を聞きたいというふうに思います。資料、大変興味深く読ませていただきました。断らない相談支援ということでですね、市役所の中で、いろんな部署と連携をしながら支援を進めていらっしゃるというところも大変興味深かったんですけれども、やはり居住支援法人との関係も丁寧に進められていらっしゃるんだなということを受け止めました。この間、貧困ビジネスの現場に直接視察に行かせていただくこともあって、今回のこの支援法改正に関しても、やはり居住支援法人との役割というのが非常に重くなっているように受け止めるんですが、ほとんどの支援に携わっている団体は丁寧なお仕事をされていると思うんですけれども、しかしながらそこに貧困ビジネスが入り込んでいるというのも事実です。福祉事務所に相談に行ったところ、居住支援法人に紹介されたけど、そこが貧困ビジネスだったというケースもあります。こういったものをできるだけ排除していくために、行政としてどのような取組、注意が必要だと考えるか、ご意見をお聞かせください。
1:19:03
今回、法改正の中で、無料定額宿泊所の届出の制度等ができあがったことというのは、一つ前進になるのだろうと思っております。今急のところで言いますと、やはりそこについては、ご両者とのご相談の部分とい うのが、例えば入居後もそのまま続いていることで、やはり住居案が実際に紹介されたのはこういうことだったという話が、継続支援の中でご本人からお話をされる場合がおそらくあると思いますので、先ほども申し上げましたけれども、住まいの支援が必要だからということで、居住支援法人にお願いしますと、その後、それで終わってしまうと、やはりそういうことというのが、その後の経過が分かりませんので、やはりしっかりとその後の経過、その方がどう生活されているかというところも含めて把握していくということが大事ではないかと思います。どうも、林参考人、ご意見ありがとうございました。続きまして、石井参考人にお話をお聞きしたいと思います。石川参考人にお話を聞いたのも、名前間違えて申し訳ございません。資料の中でも、そして先ほどのお話の中でも、低所得者層を広く含めた全世代型の家賃補助制度、これを実現していくことが必要なんじゃないかというお話がありました。私自身も長年、非正規労働者として働いてきたんですけどね。その時にやっぱり、家賃というのが一番大きな負担なんです。そこを基準に暮らせるかどうかということを考えざるを得なかった。そういう意味では、この家賃補助制度という提案、非常にいいなと思ったんですけど、どうやってこれを自治体の中で実現していくか、ビジョンみたいなものがございました。ぜひご意見お聞かせください。
1:21:07
はい、なかなか難しいご質問かと思います。まずこれは地方自治体でというか、国で変えていくものだというふうに思いますので、まさにこのような場で検討いただければというふうに思います。なかなか地方が頑張ってもですね、ちょっとそこはできないことなんじゃないかなと思います。ただ少し地方自治体の役割で私が重視したいのは、もちろん国に出てきた制度をどう適切に活用していくのかということもそうなんですけども、やっぱり地域の現状を国に上げるというふうな役割も地方にはあると思いますので、そういったところでどのようにこういった制度が必要なのかどう有効なのかということに、地方の現状に応じてそれを国に上げるということを地方に期待したいと思います。
1:22:06
どうもご意見ありがとうございます。最後にですね、稲葉参考人に再度お話を聞きたいと思います。この間様々な取り組みをされていらっしゃいますけど、空き家、公営住宅の活用について、これ進めていく上でネックになっていることがあれば教えてください。
1:22:26
はい。ありがとうございます。私が代表を務めております一般社団法人つくろい東京ファンドは、ハウジングファースト型の住宅支援ということで、東京都内でアパートマンションの空き家、空き室を現在54室借り上げまして、住まいがない生活困窮者の方、年代でいうと、下は10代から上は80代まで本当に幅広い老若男女の方々、最近では外国籍の難民の方々でホームレス化する方も増えているんですけども、そうした方々の受け入れを行っております。最近は、近年は居住支援ということが一般にも知られるよう になってきましたので、民間の不動産業者の方とか、物件のオーナーの方々の協力というのも得られやすくはなっております。ただ、なかなか東京の場合は特に家賃が高いという問題がありますので、民間団体、NPOで物件を借り上げると、当然オーナーさんに家賃を支払わないといけないという、その分の負担というのも大きくなっている。ですので、可能であれば、公営住宅の空きストックを活用したいというふうには考えております。ご存じの方も多いかと思いますけれども、兵庫県の尼崎市では、公営住宅の建て替えに伴う、政策空き家ですね、数年間建て替えのために空いている部屋を、民間の団体のネットワーク、コープ神戸がハブとなって、そこにホームレスの支援をしている団体であるとか、児童養護施設の出身者の若者を支援している団体、女性の支援をしている団体など、NPOがネットワークを組んで、この公営住宅の、尼崎市公営住宅の空き室を活用するという事業を行っておりまして、私が共同代表を務めているNPO法人ビッグイシュー基金でも、この尼崎市の公営住宅の空き室活用を行っております。この販売者の方が、月額6500円で公営住宅の空き室に入居できるという仕組みが始まっておりますので、ぜひ、まず公営住宅のストック活用という点で、こうした事業を各地、各自治体でも進めていただければというふうに考えております。大柴木裕子君、時間が過ぎておりますので、お まとめください。参考人ご意見、聞く時間がなくて申し訳ありませんでした。どうも4人の参考人の皆さん、ありがとうございました。質問は終わります。エコメトの山本可奈江でございます。本日は4名の参考人の皆様、大変お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。10分という話なので、立て続けにお伺いしたいと思っておりますが、まず菊地先生にお伺いしたいと思います。先生が部会長になられて、最終報告書をまとめていただきまして、本当にありがとうございました。その中で、最終報告書のところで、今後増加が見込まれる見下りのない単身高齢者等については、生活面で様々な課題を抱えているものの、現在の生活困窮者自立支援法の枠組みで、こうした課題の解決を図ることが難しい場合も想定される。しかしながら、これらのものの支援については早急に検討すべき課題というふうな形で、明記をしていただきました。2030年の単身高齢者世帯が800万世帯というふうに推計もされているところでありますけれども、ここに具体的にどう取り組んでいくのかというのが、本当に急がれる課題だなと認識しております。私自身の私の試験ですけれども、今回の社会福祉法の改正も入れさせていただいている中に、10層の中に居住支援も入れるという形になったので、実はここ中身が全然ないんですね、今の段階で。これを具体化していくことが一つの会議になるんじゃないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。結論的には先生おっしゃる形が一つのあり得る選択肢だと思っています。この問題は非常に広くて、判断能力のある方、十分ない方、それから視力のある方、ない方、また高齢者だけの問題でもないということで難しいんですが、一定の視力があって判断能力もある方には、民間のいわゆる見事補償サポート事業者といういわゆる事業者さんが最近出てきていて、そことの契約でサービスを受けるということもあり得るでしょうけど、例えばその契約のガイドラインを設定するといったことも考えられるでしょうが、それで終わりというわけでは全くないと思います。やはり公的な仕組みとしてどうしていくかということを考えることは必須で、その中の一つあり得るのは、先生おっしゃるように、本法案の次の課題だと私は思いますけれども、社会福祉法改正の中で、包括的支援体制整備とか重曹事業のさらなる改革の中に、住まい支援のさらに先を見据えたいわゆる身寄り問題的なものの支援も含めていくというのが、私は十分考えられると思っています。どちらかというと、青年貢献にも関わっていますが、民法改正令は8年予定されていて、青年貢献制度の役割が 縮小していく予定ですので、そうするとそこは福祉が担っていかなければいけないというのも大事なんですけれども、そこの仕組み、貢献人のような特定の人がずっと支え続けるというのではなく、まさに重曹や包括的支援体制整備のイメージで、官民を含む機関が連携して支えていく、ネットワークを組んで支えていく、そういうイメージを持っています。いずれにしても、自治体、あるいは社協さん、福岡市社協さん、就活サポートセンターとか、NPOさんとか、今、地方でいろんな取組がされていますので、それらを生かすような形での連携の仕組みづくりという方向性を考えているところです。以上です。
1:29:05
ありがとうございます。私もガイドランに住む問題じゃないと、逆に言うと、ガイドランに住んだら、またいろんな貧困ビジネスじゃないですけれども、いろんな問題が弱気するんじゃないかと思っておりますので、この辺りはしっかり見てまいりたいと思います。次に林さん公認にお伺いしたいと思います。本当に林さん、現場で頑張っていただいておりまして、今回の私、政婚の法案の一番やっぱり大事なところは市町村の役割、市がやっぱり頑張ってもらわないといけないところでありまして、そのトップバッターをやっていただいていると、トップランナーでいただいていると思っているんですけれども、今回の改正案を100%、皆さんいろんなご意見がありますが、100%ではないにしろ、これをテコにして最大限効果を発現していただきたいと思っておりまして、どのような活用を市役所としてやっていこうかと考えていただいているのかということと、やっぱり住まい支援って今まで市町村やってないんですね。公営住宅の管理ぐらいしかしてなくて、はっきりとこれどうしようという声が上がっています。ここをこうやったらいいんだよということを、ご主催いただけるような、TTPを居住支援でどう活用していくかというところも、ぜひお話ししていただければと思います。
1:30:27
ありがとうございます。まず、今後の市町村の活用のことなんですけれども、こちらの座間市の場合なんですが、生骨制度を担当しています地域福祉課が居住支援協議会の事務局を担当しておりますので、ここにつきましては、本改正案と住宅セーフティーネット法の改正案を合わせて考えていきたいと思っております。住宅セーフティーネット法の改正案では、居住支援協議会の設置が努力義務化されまして、また、その内容、構成員ですとか協議内容につきまして、住宅と福祉の連携がこれまで以上に強く打ち出されております。また、生骨法の支援会議ですとか、介護の地域ケア会議ですとか、こういったものとの総合連携という形で努力義務になっております。こうしたことから、住まいの窓口になります、自治体相談支援機関が居住支援にも対応する包括的な相談窓口となるということですので、まずはその関係の制度の各関係機関に知っていただくというのが大事ですし、また、地域の不動産関係者の方からの相談にも応じられるような体制を、居住支援協議会の活動と併せて構築したいと思っております。2つ目のと ころですけれども、特にこういった居住支援協議会の立ち上げにあたりまして、住宅部局との連携というのは福祉部局サイドから考えるとちょっとハードルが高いということで、我々も本当にそうだったんですけれども、居住支援協議会の板蔵支援プロジェクトという国土交通省の事業を活用させていただいたときに、大分市の牧島さんという方に教えていただいたんですけれども、住宅部局も市営住宅をやっているので、市営住宅の公屋さんだと思って最初付き合ってみたらどうかなということで言われまして、ちょっとほっとしまして、結局、住宅部局も市営住宅を持たれているので、そこに住まわれている方の多様な相談対応をしていて、結構苦労しているということがありますので、そういったところは最初、連携していくというのができるところかということはあるかなと思います。この居住支援をやっていくにあたって、行政だけでは絶対に対応できないと、民間の皆様方のお力もいただかなくちゃいけないと、どういう形でやっていこうかなと思って、四川参考人の方にお伺いしたいと思いますが、私はまさしく、研修、単なる制度説明の研修じゃなくて、実例から当事者の経験から、これが一番効果的かなと、当事者中心にやったときに、他市甲例者もそうなんです、身寄りのない方もそうなんですけど、いろんな例が出てくると思うんです。そういう形をやっていくのが一番いいかなと。私も、障害のある方と、あと外国人のところですね、そういったところがまだまだ共有されていない部分があって、特に障害者団体の方々なんかは、この仕組みすら知らないと。居住支援法人ってダニとかいう世界で、そういう団体の方にこそ知ってもらいたいのに、そこは伝わっていなかったりする部分があって、この研修の在り方ですね、ぜひまた学ばせていただきたいと思いますけれども、より効果的な研修法で具体例みたいなのを挙げていただくと大変ありがたいかなと思います。
1:34:00
ご質問ありがとうございます。大阪でもいろんな、まず都道府県単位の居住支援協議会が研修を行っておりますし、また市町村居住支援協議会ができれば、そこでも取り上げられたらと思うんですけど、いろんな主体が動く必要があると思うんです。例えば市町村居住支援協議会ができたとしても、そこが有効に機能するためには、それと並行していろんなインフォーマルな、いろんなパターンで社協が取り組んでもいいですし、それこそ自立支援協議会が取り組んでもいいですし、そういうふうに複数の人たちが取り組んでいくことが大切だと思います。一つ研修ですごくいいなと思った例を紹介したいと思います。水田市居住支援協議会が昨年度だったと思うんですけども、立ち上がりました。こちらの方、水田市内では4つの社会福祉法人が居住支援法人の指定を受けています。先に社会福祉法人港領が先に受けられて、実践を積み重ねられ、まだ事務局もしているんですが、そこからプラスして3つの居住支援法人が誕生したわけなんですが、ここが月に1回学習会を始めたんですよね。やっぱり最初に始めたとこ、学ぼうというふうなところで、でもそういうふうに事例検討を通じて勉強していくと、実はいろんな問題があると。そこで例えば、障がい者の問題、高齢者の問題があると思っていたけれども、