1:54
ただいまから、政府開発援助等及び沖縄北方問題に関する特別委員会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日、吉田忠敦君が委員を辞任され、その補欠として岸真紀子君が占任されました。政府開発援助等及び沖縄北方問題対策受立に関する調査を議題といたします。まず、政府開発援助等の基本方針について、林外務大臣から所信を聴取いたします。
2:28
政府開発援助等及び沖縄北方問題に関する特別委員会の開催に当たりまして、政府開発援助等についてご挨拶と所信を申し述べます。現在、世界は歴史の転換期にあります。ロシアによるウクライナ侵略に見られるように、ポスト冷戦時代の平和と繁栄を支えた法の支配に基づく国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と知性学的競争の月間に伴い、重大な挑戦にさらされています。国際社会の多数を占める開発途上国は、複雑化する国際情勢と地球規模課題の深刻化の中で、安定的な発展を見通すことが困難な状況に陥っています。最も重要な外交ツールの一つであるODAの実施により、平和で安定した国際環境を構築し、日本自身の国益を増進することは、日本外交にとって不可欠です。実際に私自身も、年始に中南米諸国を励行した際に、日本が各国のニーズに即したODAを実施していることへの謝意と高い評価を直接耳にしました。そして、日本の開発協力が、太平洋を超えて中南米の成長という高さに直結していることを実感したところです。ODAの実施に当たっては、本年、日本がG7議長国を務めていることも念頭に、主に次の2点について重点的に取り組みます。第一に、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化のための取り組みです。自由で開かれたインド太平洋の実現のため、より一層戦略的にODAを実施していきます。具体的には、質の高いインフラ整備を通じた連結性の強化、海上安全の確保のための能力構築支援、法制度整備支援などの協力をさらに推進していきます。経済安全保障の推進に当たっても、ODAを活用していきます。また、ウクライナ支援やウクライナ情勢に影響を受ける国・地域への支援も引き続き重要です。力による一方的な現状変更や威圧を許してはならないというG7の意志を力強く示すためにも、ウクライナ及び周辺国に対する人道支援、ウクライナへの復旧・復興支援に取り組んでいきます。食料やエネルギー価格の高騰などの深刻な影響を受けている脆弱な国の人々の暮らしを支えるための支援も継続して行います。第二に、地球規模課題への対応です。人間の安全保障の理念に立脚し、SDGs達成に向けた取り組みを強化します。気候変動、エネルギー、食料、国際保険、環境開発、鎮固化する人道危機等のグローバルな諸課題の解決に積極的に貢献し、G7議長国として地球規模課題への対応を主導していきます。将来の健康危機への予防・備え、対応の強化に資する国際的な枠組みの構築、ユニバーサルヘルスカバレッ ジの一層の推進や脱炭素社会の実現のための気候変動分野の支援など、途上国の質の高い成長に向け取り組んでいきます。これらの取り組みを力強く進める上で、時代の変化を踏まえつつ、ODAの一層の戦略的効果的な活用を行うとともに、その基盤の拡充と強化を行うことは不可欠です。そうした観点から、本年前半を目途に開発協力大綱を改定し、新たな時代の我が国の開発協力の在り方を示す考えです。最後に、ODAは公的資金を原始としており、国民の理解と協力に支えられていることから、国民の皆様に対し、ODAの実施状況や重要性について、分かりやすく丁寧に説明してまいります。そして、ODAの実施に当たっては、戦略的効果的実施のため、民間企業、国際機関、NGO、地方自治体などとの連携を一層強化します。こうした取り組みを推進するため、外務大臣として全力を尽くす決意です。三原委員長をはじめ、理事・委員各員のご理解とご指示を心からお願い申し上げます。次に、沖縄及び北方問題に関しての基本施策について、関係大臣から所信を聴取いたします。
6:25
沖縄及び北方対策を担当する内閣府特命担当大臣として所信を申し述べます。昨年5月に沖縄の復帰から50年の大きな節目を迎えましたが、この50年間、政府においては沖縄の特殊事情に鑑み、各種社会資本整備や産業振興など多岐にわたる新工作に取り組んでまいりました。沖縄県民の絶え間の努力もあり、県内総生産や就業者数が全国を上回る伸びを示すなど、沖縄振興は着実に成果を上げております。しかしながら、全国最下位の一人当たり県民所得や、全国と比べて深刻な子どもの貧困など、沖縄の自立的発展と豊かな住民生活の実現に向け、なお解決すべき課題が存在しています。一方で沖縄は琉球王国の時代から、その篠利を生かして万国伸廟として周辺諸国との交易交流を展開してきた歴史や、成長が続くアジアの玄関口に位置する地域的特性、日本一高い出生率などの優位性・潜在力を有しています。この優位性・潜在力も活かしながら、強い沖縄経済の実現に向けて、沖縄振興策を総合的、積極的に推進していく決意です。こうした観点から、令和5年度沖縄振興予算案においては、昨年5月に取りまとめた「強い沖縄経済実現ビジョン」の具体化に向け、観光・リゾート、農水産業・加工品、IT関連産業、科学技術・産学連携の各分野ごとに必要な予算を計上するとともに、沖縄科学技術大学院大学・オイストの予算、沖縄の子どもの貧困対策等を増額して計上するなど、厳しい財政状況の下、各事業の所要額を積み上げた結果、総額2679億円を計上しています。また、令和5年度税制改正においては、地元から強い要望のあった「航空機燃料税の軽減措置」の延長を行うこととしました。これまで新型コロナウイルスの感染拡大等により、沖縄経済は大変厳しい状況が続いておりましたが、国内客がコロナ禍前の水準を上回り、クルーズ船の寄港も再開されるなど、回復の兆しも見えてきています。引き続き、物価の高騰の影響など社会状況を注視しつつ、民間主導の強い沖縄経済の実現に向けて、リーディング産業である観光の再生や農林水産業をはじめとした各種産業の振興、交付化・価値化、そしてそれを支える人材育成の取組を支援してまいります。また、県民生活や産業を支える道路・港湾等の社会資本整備を進めてまいります。首里城の復元については、令和8年までの制限の復元に向け、昨年11月3日に既行式を取り行い、本体工事を着工いたしました。沖縄科学技術大学院大学・オイストについては、新たなスタートアップ・創出拠点や漁師・バイオ研究設備の整備等の取組を支援してまいります。このほか、北部及び離島の振興、子どもの貧困対策、不発断対策等についても着実に取組を進めてまいります。沖縄には、今なお多くの在日米軍専用施設区域が存在し、県民に大きな負担をかけています。引き続き、沖縄の皆様の理解を得る努力を続けながら、沖縄の基地負担軽減に取り組むことが政府の方針です。特に住宅や学校に囲まれ、市街地に位置する普天間飛行場については、固定化は絶対に避けなければならないとの認識のもと、一日も早い全面返還の実現に向けて政府として取り組むこととしています。駐留運用地の跡地利用は、今後の沖縄振興の観点から極めて重要な課題です。西普天間住宅地区、跡地における沖縄健康医療拠点の整備が今後の跡地利用のモデルケースとなるよう、関係機関の連携のもと、速やかに取り組みを進めてまいります。次に、北方領土問題について申し上げます。北方領土は、我が国が主権を有する島々であり、我が国固有の領土です。この我が国の立場に何ら変わりはありません。政府は、北方領土問題を解決して、平和条約を締結するという基本方 針のもと、これまで粘り強く外交交渉に取り組んできました。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵略後の昨年3月、ロシアは平和条約交渉を継続しないなどの措置を発表しました。こうした措置は、ロシアによるウクライナ侵略に起因して、発生している事態のすべての責任を我が国に転嫁しようとするものです。また、北方四島交流等事業については、昨年9月にロシア政府が四島交流及び自由訪問に係る合意の効力を提出する旨の政府令を発表しました。これらは極めて不当なものであり、断じて受け入れられるものでありません。日ロ関係の現状は、困難な状況にはございますが、北方母山を含む事業の再開は、今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つであります。ご高齢となられた元島民の方々のご要望に、何とか応えたいという思いには、いささかも変わりはありません。我が国を取り巻く国際情勢等の推移を時々刻々見極めながら、一日も早く事業が再開できるような状況となることを待ちつつ、しっかりと準備を整えてまいりたいと考えています。また、このような時だからこそ、国民世論の高まりが、北方領土問題の解決に向けて重要であると考えています。そのためには、多くの国民、とりわけ時代を担う若い世代の関 心を喚起することが重要であり、様々なメディアを活用した広報啓発に取り組むなど、国民世論の啓発等に、しっかりと取り組んでまいります。さらに、高齢化が進展している元島民の方々への援護についても、引き続き後継者の育成支援等に努めてまいります。2月7日、令和5年北方領土返還要求全国大会において、弱いを重なるにつれて、ますます強くなる元島民の方々の傍聴の思いや、その思いを受け継いでいる若い世代の強い意思に触れました。これらの思いを胸に、植民に邁進してまいります。三原委員長をはじめ、理事、委員の皆様方の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
13:33
政府開発援助等及び沖縄北方問題に関する特別委員会の開催にあたり、沖縄北方問題についてご挨拶と所信を申し述べます。我が国を取り巻く安全保障環境は、大変厳しい状況にあります。新たな国家安全保障戦略のもと、平和で安定した国際環境を能動的に創出するため、力強い外交を展開していきます。また、そのような外交を裏打ちするためにも、防衛力の抜本的強化や日米同盟の強化は最も重要な課題です。特に、在沖縄米軍を含む在日米軍の抑止力は、我が国ひいては地域の平和と安全の確保に不可欠です。こうした観点も踏まえ、米政府関係者と緊密な意思疎通を行ってきております。在日米軍の安定的駐留には、地元のご理解が不可欠です。米軍旗頭の安全確保や事件事故防止の徹底について、米側に対して引き続き強く要請してまいります。また、普天間飛行場の辺野港への移設をはじめ、沖縄の負担軽減に引き続き全力で取り組みます。さらに、沖縄のさらなる成長に向けて、国際社会で活躍する沖縄の人材育成に貢献していきます。尖閣諸島をめぐる情勢について、同諸島周辺の我が国両界における独自の主張する中国会計船舶の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。昨年11月の日中首脳会談において、岸田総理から習近平主席に対し、また私自身も2月2日の新郎外交部長との電話会談や、同月18日、ミュー編で行われた大きい中国共産党中央外事工作委員会弁護室主任との会談でも、直接尖閣諸島をめぐる情勢について懸念を伝えたところです。今後とも、日本の領土、領海、領土を断固として守り抜くとの決意の下、中国に対しては、主張すべきは主張し、冷静にかつ毅然と対応していきます。いまだに続くロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かす傍挙です。ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、ロシアによる一連の行為は国際法違反であり、決して認められません。また、我が国は唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇は断じて受け入れることはできません。ましてや、その使用はあってはなりません。さらに今般、ロシアが新戦略兵器削減条約の履行を停止する旨、発表したことを強く懸念しています。新国開始から1年が経過する中、日本は力による一方的な現状変更の試みは、いかなる場所でも許さないという強い決意を持って、引き続きG7をはじめとする国際社会と緊密に連結しながら、大陸制裁とウクライナ支援を強力に推し進めていきます。また、北方領土問題は日ロ間の最大の懸案です。ロシアによるウクライナ侵略によって、日ロ関係は厳しい状況にあります。政府としては、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していく考えです。その上で、日ロは鄰国であり、例えば漁業といった経済活動のように、日ロが鄰国として対処する必要のある事項については、我が国外交全体において何が我が国の国益に資するかという観点もしっかり考えつつ、適切に対応していきます。また、北方防災をはじめとした、北方四島交流等事業の再開は、今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つです。一日も早く事業が再開できるような状況となることを強く期待しており、引き続き適切に対応してまいります。以上の諸問題に取り組むにあたり、三原委員長をはじめ、理事委員各位の御理解と御指示を心からお願い申し上げます。以上で写真の聴取は終わりました。本件に対する質疑は、後日に譲ることといたします。両大臣は、御退席いただいて結構でございます。次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。
17:25
委員派遣における調査の概要について御報告いたしま す。去る1月17日及び18日の2日間、沖縄の振興開発及び基地問題等に関する事業調査のため、沖縄県を訪問いたしました。派遣委員は三原委員長、江島理事、高野理事、高橋理事、八倉理事、清水理事、上田委員、上院、高良委員及び私、石橋の計10名でございます。今回の委員派遣では、令和4年の沖縄振興特別措置法の改正を踏まえ、令和4年度から始まった現行の沖縄振興計画等に基づく沖縄振興の現状や課題を把握するとの問題意識の下、久米島を訪問し、離島振興に係る実情の把握に努めるとともに、沖縄振興における重要な課題である治理場静電等の復元や、子どもの貧困対策に係る取組状況等について、関係者との意見交換や関連施設の視察を通じ調査を行いました。また、今回の委員派遣では、これら沖縄振興に係る調査に加えて、基地問題をめぐる現状や課題について、カデナ飛行場や普天間飛行場を視察するとともに、議論案紙や沖縄防衛局とも意見交換を行ったほか、市民団体の皆さん方々からも説明を伺う等を通じて、現地の実情の把握に努めました。これらの調査を踏まえ、沖縄県から沖縄振興及び基地問題等について説明を聴取し、意見交換を行いました。以下、調査の概要につきましてご報告もおっしゃいますが、詳細につきましては、お手元に配布されております報告書により ご承知願いたいと存じます。初日はまず、久米島町を訪問し、同庁の概要等の説明及び要望を聴取するとともに、沖縄振興一括交付金を活用して整備された中里公園沖縄県海洋浸送水研究所、沖縄離島活性化推進事業補助金を活用して周辺施設整備を行っている風の返る森及び久米島製糖株式会社久米島工場をそれぞれ視察し、久米島町等から視察先の概要等について説明を聴取しました。次に、公立久米島病院を視察するとともに、同病院と意見交換を行った後、沖縄振興一括交付金を活用して整備された本野森久米島町複合型防災地域交流センターを視察し、久米島町からその概要について説明を聴取しました。二日目は、まず那覇市の手里城公園を視察し、内閣府沖縄総合事務局から令和元年の火災により焼失した手里城製電等の復元に係る取組状況等について説明を聴取しました。その後、那覇市母子生活支援センター「さくら」を視察するとともに、同センター等意見交換を行いました。次に、カデナ町に移動し、沖縄防衛局屋上からカデナ飛行場を視察するとともに、同局からカデナ飛行場と普天間飛行場の概要及び有機物素化合物PFASに関する対応状況等について説明を聴取し、意見交換を行いました。次に、宜野湾市に移動し、宜野湾市役所屋上から普天間飛行場を視察するとともに、同市から跡地利用に係る取組等について説明を 聴取し、意見交換を行いました。その後、宜野湾市立普天間第二小学校近辺において、市民団体からPFASに係る土壌濃度及び血中濃度の調査について説明を聴取しました。次に、那覇市に移動し、沖縄県から沖縄振興等に係る県の取組及びPFAS等に関する状況について説明を聴取するとともに、15項目にわたる要望事項について説明を聴取し、意見交換を行いました。今回の調査を通じて、沖縄が抱える様々な課題と切実な要望について理解を深めることができました。今回の調査の成果を踏まえ、当委員会においても審議等を通じて、更に沖縄振興への取組や基地問題への対応を進めていくことが重要であると考えます。最後に、今般の委員派遣に際し、ご協力いただきました沖縄県をはじめ、関係省、市民団体及び政府関係機関を含む各視察先の皆様に厚く御礼申し上げます。なお、委員派遣の文書による報告につきましては、本日の会議録の末尾に掲載されますようお取り払いをいただきたいと存じます。以上です。以上で、派遣委員の報告は終了いたしました。ただいまの報告につきましては、別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、ご異議ございませんか。異議ないと認めさえお取り払います。本日はこれにて散会いたします。