19:45
これより会議を開きます。内閣提出「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」を議題といたします。本日は、本案審査のため、参考人として、特定非営利活動法人法務区理事長 奥田智君、日本労働組合総連合会総合政策推進局長 佐穂昭一君、名古屋昭和大学ビジネススクール教授 原田豊君、一般社団法人命支える自殺対策推進センター地域連携推進部地域支援室長 松津博美君、国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事 坂庭邦治君、以上5名の方々にご出席をいただいております。この際、参考人の方々に一言ご挨拶を申し上げます。本日は、御多様のところ、本委員会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお楽しみの場から、忌憚のないご意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。次に、議事の順序について申し上げます。最初に、参考人の方々からご意見をそれぞれ10分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。なお、発言する際は、その都度、委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は、委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめご承知をおき願いたいと存じます。それでは、まず、奥田参考人にお願いいたします。
21:45
皆さん、おはようございます。今、ご紹介いただきました参考人として参りました、奥田智子であります。今日は、このような機会を与えていただき まして、ありがとうございます。お手持ちの資料を要約しながら、少しお話をしたいと思います。今回の改正において、居住支援が非常に強化されるということ、そのことに私は非常に喜んでおります。また、前世代型社会保障構築会議においても、住まいの政策を社会保障の重要な課題と位置づける、そのようなことが確認されています。今回の改正は、その第一歩であるというふうに理解をしています。その上で、いくつかの意見を述べたいと思います。まず、対象者についてですが、一時生活支援事業は、これまでホームレスの人たちが対象だと、そのように捉えられてきましたので、自治体においては、ホームレスがいないから、事業をしないという自治体がありました。しかし、住まいの確保は、もうすでに前世代型の課題となっていますので、今回、事業名が一時生活支援事業から居住支援事業というところに広く受け止められたこと、あるいは自治体に努力義務を課したこと、この辺りの意義は大きいと思います。しかし、生活困窮者自立支援法の対象者自体が、現に経済的に困窮しているものという経済的な困窮に焦点が当てられた制度でありますので、ここからすると、例えば経済的課題はないけれども、単身の高 齢者に関してはどうするのか、この辺りの対象者の枠づけについては課題が残ると思います。さらに、自立支援法でありますから、自立という問題が解決したら終わるという、期限付きの制度であるわけでありますから、居住支援という入居前の相談から、いわば志望事務に至るまで一気通勘で行う、時間軸がちょっとずれているというか違う枠でありまして、この辺りに関しても、対象者をどう包括的に今後捉えていくか、ついては第3条の定義についても、今後私は課題になるというふうに考えています。次に、シェルター事業と地域居住支援事業についてですが、これもホームレスが対象であったために、シェルターが非常に強小、アイ部屋、そのようなものが多かったです。ホームレスだからそれでいいというわけでは当然ないんですが、さらに今後対象者が全世代に広がっていく中で、現在のシェルター仕様ではなかなかここに入ってもう一回頑張ろうという、そういうのが難しいんじゃないか。特にホームレス自立支援センターにおいては、抜本的な改修等を考える必要があると思います。シェルター利用の所得水準についても、所得の基準がありまして、その基準以下の人が入れるという構造になっていますけれども、今回は緊急一時的な居所の確保ができるような加算が創設されましたので、このことは非常に意義が大きいと思いますけれども、それにしても、ならばこのシェルター事業自体の所得基準についても撤廃するという方向で検討していただいてもいいのではないか。さらに地域居住支援事業の単独実施が可能になったことも非常に今回評価しております。しかも利用期間の柔軟性を持つということで、1年過ぎたところで延長の議論ができる。ただこれは非常に広がったんですが、これもやはり入居から死後事務までという長いスパンを考えると、少しこれだけで対応するというのは大丈夫だろうかという心配があります。その次に、居住支援における相談事業のことについてですが、スタッフの研修強化は当然のこと、大都市部においては居住支援の専門員のようなものを配置するということはどうだろうか。あるいはこの法律ではありませんが、重層的支援体制整備事業において、この居住支援の強化ということをどう考えるか。重層は皆さんご存じのとおり、4事業一体化の分け付けでありますから、困窮のみならず、4つの介護や子育て等々を含めた枠の中で居住支援をやる。これは先ほどのロングスパンの捉え方においても一致するのではないか、そのように考えます。次に、無料定額宿泊所の届出義務ですが、これは貧困ビジネス防止の観点から有効だと思います。ただ、規制をするのは大事なんですが 、規制の後、どこに次の受け皿を考えるか。令和2年に日常生活支援住居施設が設置されましたけれども、ここを拡充していくという受け皿と規制というものはセットで考えるべきだろう。日中はできた以降、まだ見直し、手直しがされていませんので、今後、改設の支援等を含めた日中の拡充というものをセットに考えるべきであるというふうに考えます。6番目、住宅扶助の代理納付でありますが、今国会で住宅セーフティネットの改正が同時並行で進んでおります。その中に居住サポート住宅というものが設置される。これに入った人は、原則的には住宅扶助の代理納付を原則化するということが今回述べられています。代理納付は、公屋さんの貸したくないという思いを緩和する、あるいは滞留物件を市場化するということにおいては非常に大きな意味があります。生活保護世帯の55%は高齢者、ほとんどが単身者です。これは、公屋さんの拒否感が強い層の方々でありまして、一方で代理納付は民間の賃貸住宅では21%、公営住宅は65%。公営住宅では結構使われているのですが、民賃の方は代理納付はあまり使われていないのです。これをせめて民賃が公営住宅並みに代理納付ができれば、公屋さんのマインドはさらに変わるのではないか。あるいは最終的には生活保護世帯は原則的に代理納付の方に移行していく、こういう議論も必要ではないか。次に住居確保給付金ですが、今回は定年家賃物件への転退の費用を付加する、これは非常によかったと思います。ただ、住居確保給付金に関しては基準が低すぎて、使う段階でもほとんど生活保護の基準になってしまう。ここのところをもっと手前で対処できるような基準に変えるべきではないか。次に8番目ですが、強制施設収集者、刑務所収集者ですね。この人たち一番アパート設定が難しい人たちです。今回の生活困窮者事例支援法の改正において、やはり出所者をどうするのかというところをもう少し強調強化すべきだと思いますし、厚労省社員局が担当しています地域定着支援センターですね。この地域生活定着促進事業との関係をもう少しはっきりと出すべきだと思います。最後に、生根法からは離れますが、私は住まいの保障に関して少し意見を述べて終わりたいと思います。まず初めにお願いしたいことは、令和5年から始まりました国交省、厚労省、法務省、三省合同による検討会議。これ中間報告で一応、今年の2月ですか、終わっているんですけれども、いい方向性が示されています。ただ問題はですね、誰が、いつ、どこでやっていくのかっていう中身がもう一つわからない。社会保障としての住まい保障という観点からすると、まだ未知半ばと言わざるを得ない。この三省合同の会議はですね、中間報告から最終報告に向けて、さらに続けていただきたいと思います。次に、必要となる住まい保障の形については、お手元の資料の図1をご覧ください。私も参加してました平成27年の困窮者支援の今後の在り方検討会なんですが、住宅のターゲットゾーンとしてはですね、安価であること、家賃が安価であること、施設ほどではないけれども見守りや支援がついている、この2つが満たされるものが今後必要になるということになっています。そこで、空き家が全国で800万個あるという中で、定連で見守りがついた空き家活用型のサブリースモデル。これがですね、私は今後必要なんじゃないかというふうに思っています。報告ではですね、もうすでにこれを2017年からやっておりまして、北九州市なんですが、西冷市ではですね、空き家が、空き家率がワースト2、結構空き家があるんですね。それで、大谷さんから一括でマスターリースで借り上げまして、借り上げ費用を市場のだいたい6掛け で借りまして、生活保護の住宅基準で課す、住宅所基準で課す。その差額がですね、実際支援の費用として使われるという、公費を入れないで民間の住宅のサブリースの活用によって支援付きの住宅が実際に稼働できる。家賃もですね、住宅所基準ですから、地域においては最低ぐらいの家賃で運営できる。まさに定連で支援付きというのは、このサブリースモデルで可能だろうと。今回住宅セーフティネットにおいてはですね、居住サポート住宅というものを10万戸作るということですが、問題は、その支援費は誰が出すのかというのがはっきりしてないんですね。このところを、国費の投入は当然のこととしても、一方で民間がまさにソーシャルビジネスモデルとしてこういうものができていくことを、国がどうバックアップするかというのが大事です。最後に、居住の問題の一番のポイントは、この単身化だと私は見ています。図2をご覧ください。現在、世帯の分布を見ますと、単身世帯が一番多い。単身世帯が全体の38%になってまして、標準世帯と言われる夫婦と子どもの世帯は、もう25%しかいない。この家族がいるという前提で社会保障が組まれてきたわけです。家族、中間層、そして持ち家というこの3つが3セットになって、企業が長期の雇用慣行、就寝雇用みたいな形で安定した収入が維持できた。それによって住宅ローンが組めて持ち家が持てた。家族がいること、家があることが社会保障のベースとなってきた。とするならば、今ここがこの30年ぐらいで非正雇用が増えて、住宅が持つ人が少なくなって、単身世帯が増えて家族のサポートがなくなった。この家族がやってきた機能をどう社会化するか。あるいは住宅に関しては空き家を使って持ち家ではないけども安定した住居をどう確保するか。この2つをどうクリアするかというのが非常に大事です。最後に載っています、この地域包括ケアシステムの絵ですが、上に生徒の葉っぱが咲いているんですね。咲いているというか茂っている。このベースのところの植木鉢は何によって構成されているかというと、一番下が本人と家族。植木鉢が住まいなんですね。本人と家族と持ち家というものをベースとして制度をつくってきたというのを非常に明らかにしてくださっている絵なんですね。この家族の部分と持ち家という住まいと住まい方のところが脆弱化すると、今後どんな良い制度があっても制度につながらない、手遅れ状態で社会コストが非常に高くなる人たちが増えるというのは明らかです。この手前のところをどうしていくかという、この問題こそが日本の住まい保障が社会保障であるといわれる有縁でありまして、ここのところはもう少し長いスパンで、生活根基者実践制度だけじゃなくて、長いスパンで議論していただきたいと思います。私からの意見は以上です。ありがとうございました。
34:31
ありがとうございました。次に、作法参考人にお願いいたします。
34:41
皆さんおはようございます。ご紹介いただきました、連合総合政策推進局長の佐保と申します。本日は貴重な意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。私からは、はじめに、連合の社会的セーフティーネットについての考え方を述べ、その後、今回の政府提出法案についての意見を述べます。生活上の困難に陥ったときや、やむを得ない事情で働けなくなったときに、公的支援制度の狭間に置かれることなく、安心して社会的セーフティーネットを利用することで、生活が保障され、再び働けるようにするためには、重層的な制度の構築が必要不可欠です。資料の1ページ目は、連合が実現を求める社会的セーフティーネットの姿です。2015年4月に、生活困窮者自立支援制度が始まり、現在、社会保険労働保険、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度の3層からなる社会的セーフティーネットが構築されています。今後は、各層のさらなる充実・強化を図るとともに、生活困窮者自立支援制度が軸となり、既存の社会保障制度との連携を強くしながら、困難に直面したそれぞれの人が抱える課題に対応したオ ーダーメイド型支援を可能にする社会的セーフティーネット体系の実現が求められると考えます。また、すべての人の生存権と尊厳ある暮らしを保障するため、誰もが安心して住まいを確保できるよう、質の伴った住宅セーフティーネットの構築が欠かせません。そして、生活困窮者自立支援制度を基軸とする、子の支援と地域コミュニティ活性化の一体的な推進が重要となります。住み慣れた地域を基盤にしたつながりを再構築し、地域の伴走者を増やすことで、社会的孤立や行きづらさを感じることがなく、誰もが居場所を持って自分らしい生活を送ることができる共生社会の実現が急務であると考えます。さて、今回の政府提出法案について意見を申し述べます。まず、法案全体についてですが、社会経済状況の変化や、コロナ禍で顕在化した相談者が抱える課題の複雑化・多様化に対応するため、居住支援の強化や子どもの貧困への対応、支援関係機関の連携などが盛り込まれ、全体的に概ね評価しており、今国会での成立を求めます。ただ、法改正の実効性を担保する施策、現場を担 う支援員の処遇改善や、人員体制の整備、そのための十分な予算の確保など、残された課題について、国会審議において議論を深めていただくようお願いしたいと思います。それでは、各論について意見を述べます。資料は2ページ目を適宜ご覧ください。まず、居住支援の強化についてです。生活困窮の相談窓口において、住まいに関する相談支援が明確化されることは評価しておりますが、入居時から入居中、退居時まで切れ目のない支援体制を構築するためには、公営住宅やセーフティーネット住宅、空き家の活用を進めるとともに、居住支援法人などとの連携を強化することが必要です。また、住まいは生活就労の基盤であることから、誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、国による住居費の支援など、住宅確保要配慮者に対する向上的な居住保障の仕組みを検討していただきたいと考えます。次に、子どもの貧困への対応についてです。生活保護受給中の子育て世帯へのアウトリーチ事業の法定化については評価しておりますが、こうしたアウトリーチによる支援に加え、子ど もの食堂など学校や家庭以外の居場所を充実するとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化する必要があります。また、子どもの学習生活支援事業の必須事業化を目指し、当面は実施率の向上が重要だと考えます。次に、就労準備支援事業と家計改善支援事業についてです。家計改善支援事業への国庫補助率の引上げなどは評価できますが、就労準備支援と家計改善支援、両事業の必須事業化が見送られたことは残念に思っております。全国どこに住んでいても必要な支援を受けることができるよう、両事業の必須事業化を目指し、各事業の実施率を高めるとともに、自治体間格差の是正、事業の質の改善を図ることが必要だと考えます。次に、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携についてです。生活困窮者向けの事業を生活保護受給者も利用できる仕組みを創設することに異論はありません。ただ、現場の業務負担の増加により支援の支出が低下しないよう、両制度の自治機関の適切な人員体制を確保することが求められます。また、こうした生活困窮者向け事業について、事業者等へ委託している自治体が多い状況です。委託契約が1年ごと となっているところも多く、現場で支援に携わる方たちが、次年度以降の事業委託が決まっていないことにより、不安定な雇用形態で働いていると聞き及んでおります。事業の委託方法については、各自治体のご判断となりますが、そうした課題があることもご認識いただければと思います。次に、医療扶助についてです。医療扶助の適正化などを促進するため、都道府県が広域的な観点からデータを分析し、市町村に対し、必要な助言を行う仕組みの創設が盛り込まれております。自治体のガバナンス強化や、賓会受診、長期入院の適正化の観点から考えれば、生活保護受給者の国民健康保険や、後期高齢者医療制度への加入について検討することが必要だと考えます。最後に、公改正事項ではなく、運用面での話になりますが、連合として最も強く訴えている支援員の処遇改善、人材の確保・定着、財源の確保についてです。生活困窮者自立支援事業の機能強化に向けては、各支援員の処遇を改善し、人材の確保と定着を図ることが欠かせず、その裏付けとなる財源を確保することが不可欠だと考えます。以前、全国いくつかの地域の委託先における、相談支援員をはじめとする人員体制の状況や基本賃金を知る機会がありましたが、相談支援員全員が有機雇用、あるいは主任相談支援員の方で、勤続年数5年、週5日のフルタイム勤務でも月額17万6千円、年額211万2千円という事例がございました。こうした低賃金では、必要な人材確保もままなりません。そのためには、まず政府による全国の支援員の賃金実態の調査・把握が必要でございます。また、社会福祉士など専門性を持つ専門職員の配置を含め、地域の実情に応じて、適切な人員体制が確保できるよう取り組むことも求めます。生活保護の被保護者に対する自立支援においても、生活困窮と同様に、人材確保のための処遇改善と財源確保が今後の課題であると考えます。以上、御清聴ありがとうございました。
44:15
ありがとうございました。次に原田参考人にお願いいたします。
44:26
名古屋小学大学の原田豊と申します。本日はこのよう な機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。本日の目的は、生活困窮者自立支援法の一部を改正する法律案についての参考人質疑と、理解しておりまして、こういう法律改正が必要だということも理解しておりますが、その上で、あえて抜本的な見直しの考え方を提起してみたいと思います。それは、ベーシックインカム、基礎的所得と言われているものですけれども、それによって全ての人に最低限の健康で文化的な生活をするための所得を給付して、貧困をなくすことを提案したいというように思います。まず、現状の生活保護制度の問題点と、ユニバーサルベーシックインカム、これは全ての人にというわけですけれども、それ以外に、部分的なベーシックインカムという考え方もあると思います。それについては、順次ご説明してまいりますが、まず、現状の生活保護制度の問題点について、いくつか指摘してみたいと思います。生活保護が、無年金、低年金者を救う方策になっていて、年金制度の不備を助ける制度になっております。これは、私は非常におかしなことではないかというように思ってお ります。2番目は、生活保護は本当に貧しい全ての人を助けているのかという疑問があります。生活保護水準で生活している世帯が、生活保護受給世帯の13倍ぐらいあるのではないかというように考えております。先ほど、住宅など支援員の年収が200万円ちょっとというお話ありましたが、そういう人々はかなり貧困に近いのではないかというように思います。それからまた、日本の貧困はシングルマザーの問題なわけですけれども、シングルマザーの数についても、厚労省の数字と内閣府の数字でかなりというか非常に大きく違いまして、内閣府ですとシングルマザーは119万世帯ある。この中で生活保護水準で生活している人は、30万から40万世帯あるいはもっといるのではないかというように思います。生活保護制度はシングルマザーの貧困を見逃しているのではないかというように考えております。4番目は生活保護制度が壁を作ってしまうこと、むしろ自立を妨げること、つまり働いて余計に稼ごうとすると、ほとんど全部取られてしまうということになっております。生活保護の不正受給と言われるものは、ほとんどがこっそり働いたということなんですね。