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ただいまから国土交通委員会を開会いたします。委員の異動についてご報告いたします。昨日までに、安住通くんが委員を辞任され、その補欠として室井邦彦くんが占任されました。また本日、室井邦彦くんが委員を辞任され、その補欠として梅村智くんが占任されました。国土の整備、交通政策の推進等に関する調査を議題といたします。国土交通行政等の基本施策について、斉藤国務大臣から所信を聴取いたします。
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第211回国会における御審議にあたり、国土交通行政の初課題について、私の所信を述べさせていただきます。新型コロナウイルスの感染拡大から3年が経過しました。国土交通省では、この間、厳しい状況にある観光・交通事業者の支援に特に力を入れてきました。このよう な中、昨年10月からの全国旅行支援や水際措置の緩和等により、コロナ禍前に近いにぎわいを取り戻した観光地も増えるなど、回復の兆しが見えてきました。今後、ウィズコロナへの取り組みをさらに進め、こうした流れを一層強固なものとするとともに、日本を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていけるよう、しっかり取り組んでまいります。本年は、G7広島サミットの関係閣僚会合として、三重・伊勢島交通大臣会合、香川・高松都市大臣会合を開催します。今回の会合では、誰もが利用可能で持続可能な交通、都市のカーボンニュートラル・レジリエンスの実現など、根立的な課題の解決に向けた今後の交通・都市政策について議論を行います。 議長国として議論をリードし、日本が持つ技術や先進的な取り組みを世界に発信できるよう、併せて、会合関係者やメディアの方々に日本の魅力を感じていただけるよう準備を進めてまいります。G7広島サミットや関係閣僚会合の開催にあたっては、テロ対策をはじめとした安全の確保にも万全を期してまいります。また、本年は関東大震災から100年の節目の年にあたります。 国民の生命財産を守るため、激甚化・頻発化する災害への備えが必要であると改めて認識しています。昨年も8月・9月に発生した大雨や台風により、全国各地で甚大な被害が生じました。また、昨年12月・本年1月の大雪により、車両の滞留や道路の通行止め、列車の駅間停車等が発生しました。このような事案も踏まえて、災害発生時の国民生活への影響を最小限に抑えるため、引き続き、連携体制の確保や事業者の指導・監督、国民への適切な情報提供の推進に取り組んでまいります。近年の豪雨・台風災害では、河川やダムを計画的に整備・維持・管理してきた結果、被害を免れ、または大きく軽減できた地域が数多く確認されています。今後も、気候変動による豪雨量の増加が予想されていることから、事前防災対策のさらなる強化を含む防災減災、国土強靱化を強力に推進してまいります。この他にも、我が国は、物価高騰、厳しさを増す外交安全保障環境、少子高齢化や人口減少など、依然多くの課題に直面しています。これらの課題に対して、関係省庁と連携し、必要な対策を迅速かつ着実に進めてまいります。今後も、国民の皆様と丁寧かつ誠実に対話し、小さな声一つ一つをよく聞き、真摯に受け止めるとともに、国土交通行政において、気象分野と防災分野、街づくり分野と地域公共交通分野など、省内の様々なリソースを適切に組み合わせながら、現場を持つ強み、総合力を生かして、施策の立案実行に全力で取り組んでまいる 所存です。続いて、国土交通行政において重点的に取り組む3本の柱について申し上げます。1つ目は、国民の安全・安心の確保です。防災・減災・国土強靭化のための5カ年加速化対策も踏まえ、激甚化・頻発化する自然災害や、深刻な状況にあるインフラの老朽化、災害時の人流・物流機能の確保等に対し、重点的かつ集中的な対策を講じてまいります。特に、加速度的に進行するインフラの老朽化に対しては、予防保全への本格転換を図り、インフラの維持管理更新を計画的に進めてまいります。高速道路については、機能の維持に必要となる追加の更新事業や、利用者の利便性向上に資する進化・改良の取組を確実に実施するため、料金徴収期間を延長するための所要の措置を講じてまいります。さらに、5カ年加速化対策後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に取組を進めていくことが重要であり、本年夏の新たな国土強靱化基本計画の策定に向け、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいります。また、東日本大震災等による被災地の復興を着実に進めてまいります。気候変動の影響を踏まえ、河川の整備に係る計画等の見直しを早急に進めるとともに、流域治水の取 組を強力に推進してまいります。併せて、内水対策の強化にも取り組んでまいります。線上降水帯の予測精度向上に向け、次期、静止気象衛星の整備、大学等の研究機関と連携した技術開発等を着実に進めてまいります。また、洪水予報の早期発表を図るための仕組みの構築や、民間による多様なニーズに応じたきめ細やかな予報の提供等を推進するとともに、水災害リスク情報の充実、テックフォースの機能強化等を進めてまいります。併せて、火山・噴火に係る監視体制の強化や、気象台の地域防災支援体制の強化、気象防災アドバイザーの育成などによる地域の防災力向上にも取り組んでまいります。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策については、日本海溝・千島海溝地震特措法に基づき、積雪管理地特有の課題を考慮した対策の推進、続いて発生する巨大地震に注意を促す情報発信に取り組んでまいります。森戸対策については、本年5月に施行される森戸規制法の規制措置が実効性をもって行われるよう取り組んでまいります。また、森戸の把握にも有効な国土の基盤情報の整備を進めてまいります。令和3年6月に千葉県八幡市で発生した交通事故を踏まえ、歩道や防護柵、ハンプの設置など、速度規制等と合わせた効果的な交 通安全対策を推進してまいります。また、自売法に基づき、事故被害者支援や事故防止をより一層充実し、被害者等が安心して生活できる社会、事故のない社会の実現に取り組んでまいります。昨年4月に発生した知列湖遊覧船事故のような痛ましい事故が二度と起こることのないよう、速やかに事業者の安全管理体制の強化などの施策を講じ、旅客船の安全・安心対策に万全を期してまいります。また、今回の事故を受け、海上保安庁の救助・救急体制の強化に取り組んでまいります。新たな国家安全保障戦略等を踏まえ、関係機関との連携強化も含めて、海上保安能力を強化することにより、尖閣諸島周辺海域をはじめとする領海警備等に万全を期してまいります。我が国専属による外交船舶の確保や、博洋機器のサプライチェーンの強靭化等を通じて、経済安全保障の推進に取り組んでまいります。二つ目は、コロナ禍からの経済社会活動の確実な回復と経済の好循環の実現です。観光立国の復活に向けて、三つの戦略を推進してまいります。まず、観光地や宿の再生・交付化・価値化の計画的・継続的支援や、自然・文化の保全と観光の両立等による持続可能な観光地域づくり戦略。次に、特別な体験創出や交付化価値旅行者の地方誘客強化、今月から本格的に再開する国際クルーズの気候促進等によるインバウンド回復戦略。そして、全国旅行支援や第二のふるさとづくり等による国内交流拡大戦略。これら三つの戦略を着実に実行することにより、外国人旅行者の国内需要5兆円、国内旅行需要20兆円という目標の早期達成を目指してまいります。また、これらを踏まえた新たな観光立国推進基本計画を今月中に策定してまいります。地域公共交通については、利用者の減少から引き続き厳しい状況にあり、地域の関係者が競争を共に作る、すなわち連携・協働し、ローカル鉄道はもちろん、地域の路線バス等も含めて、全国で利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザイン・再構築を進めていく必要があります。本年を地域公共交通再構築元年とすべく、ローカル鉄道やバス・タクシー等の再構築に関する仕組みを創設するほか、従来とは異なる実効性ある支援等を実施するなど、あらゆる政策を総動員して取り組んでまいります。2024年問題などの課題を踏まえ、持続可能な物流の実現に向け、関係省庁とも連携して、荷主等のさらなる取組を促し、取引環境の適正化、荷内手の確保、物流DX・GX等の推進に強力に取り組んでまいります。航空については、ネットワーク維持や需要回復後の成長投資の確保に向け、航空会社や空港会社等の経営基盤の強化を図ってまいります。併せて、グランドハンドリングや保安検査の体制強化等による受入れ環境整備、航空脱炭素化の取組を推進してまいります。我が国の持続可能な経済成長を確実なものとするため、高規格道路、国際戦略港湾、整備新幹線、リニア中央新幹線、空港など、ストック効果の高い社会資本整備を、戦略的・計画的に推進してまいります。その際、現下の資材価格の高騰に対応しつつ、必要な事業料を確保するとともに、効率的・効果的な社会資本整備に向けて、PPP・PFIをさらに推進してまいります。また、世界の旺盛なインフラ需要を取り込むため、質の高いインフラシステムの海外展開を、重点的・戦略的に推進してまいります。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅・建築物の省エネ化、グリーンインフラの活用、事業用自動車の電動化を含めた次世代自動車の普及、多様なインフラを活用した再エネの導入促進、カーボンニュートラルポートの形成、道路インフラの省エネ化、下水予定資源の肥料利用の拡大など、暮らしや街づくり、交通運用、インフラなどの分野におけるGXの推進に総力を挙げて取り組んでまいります。また、世界に先駆けたゼロエミッション線の開発や国際ルールづくりの主導等により、国際海運の2050年カーボンニュートラルの実現に向け、強力にリードしてまいります。世界水準のデジタル社会の形成に向け、インフラや交通、建築備物、プラトン、不動産IDなど、建築都市などの所管分野におけるDX、スマートシティやマース等の推進を図るとともに、行政手続のデジタル化等を進めてまいります。特に、自動運転について、実証実験等を通じて社会実装に取り組むとともに、ドローンについて、レベル4飛行の精度運用に万全を期してまいります。所管分野における担い手の確保や生産性の向上に向け、労務費や燃料費等を適切に転嫁できる環境の整備等による取引環境の適正化を図りつつ、賃金の引上げに向けた取組を進めてまいります。建設業においては、最近の物価上昇を上回る前年度比+5.2%という公共工事設計労務単価の大幅な引上げを、技能労働者の処遇改善につなげるとともに、2024年問題などの課題も踏まえ、後期の適正化や施工時期の平準化、建設キャリアアップシステムの普及・活用等を進めてまいります。また、自動車運送事業、自動車整備業においては、多様な人材の確保・育成等を進めてまいります。さらに、造船会員の事業基盤や競争力の強化を図るとともに、船員の働き方改革、内向会員の生 産性向上、船員の教育内容の充実等を進めてまいります。2025年の大阪・関西万博に向け、地元自治体等と連携し、万博に関連するインフラ整備や会場へのアクセス向上、空飛ぶ車の実用化に向けた環境整備等に取り組んでまいります。また、2027年の国際園芸博覧会に向け、関係省庁との連携をより一層強化し、条約に基づき認定された国際博覧会として、成功裏に開催できるよう万全の準備を進めてまいります。3つ目は、活力ある地方づくりと分散型の国づくりです。地域の生活機能の誘導や防災指針を軸とした防災減災対策を推進し、多様なライフスタイルを支えるコンパクトでゆとりとにぎわいのある街づくりや都市再生を進めてまいります。新しい資本主義のグランドデザイン実行計画やデジタル田園都市国家構想を踏まえ、日域居住等を推進しつつ、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を示す新たな国土計画の本年夏の策定に向け取り組んでまいります。また、食や観光、脱炭素化などの北海道の強みを生かし、我が国の豊かな暮らしを支えるため、新たな北海道総合開発計画の策定に取り組んでまいります。所有者不明土地の利用の円滑化と管理の適正化を図るため、所有者不明土地法に基づく制度の活用促進に取り組むとともに、空き家対策との連携強化、早期の災害復旧や社会資本整備の迅速化等に役立つ実績調査を進めてまいり ます。子育て世帯をはじめとして、誰もが安心して暮らせる住まいの確保に向け、良質な住宅確保への支援、マンションの長寿命化の促進等とともに、引き続き、住宅セーフティーネット機能の強化に取り組んでまいります。また、増加する空き家については、除客等のさらなる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や、適切な管理に係る施策を総合的に強化してまいります。誰もが安心して参加し、活躍することができる共生社会の実現に向け、公共交通機関、建築物等のバリアフリー化や、心のバリアフリーなど、ハード・ソフト両面からの取り組みを着実に推進してまいります。特に、鉄道駅のバリアフリー化について、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、一層推進してまいります。天岷、小笠原、半島、離島、豪雪地帯などの条件不利地域の振興に取り組んでまいります。合わせて、令和2年に開業した「うぽぽい」等を通じて、アイヌ文化の復興、創造等を促進してまいります。以上の3点について、しっかりと取り組んでまいります。次に、特定複合観光施設区域(IR)の整備に関する事務を担当する国務大臣として、私の所信を申し上げます。IRの整備推進は、滞在型観光の促進に資するなど、観光立国の実現に向けた重要な施策であると考えています。現在、大阪府及び長崎県の2地域から申請のあった区域整備計画について、外部有識者からなる審査委員会において、公正中立に十分な審査を実施いただいているところです。依存症などの弊害防止対策に万全を期すとともに、IR整備法に基づき、必要な施策を進めてまいります。以上、私の所信を申し述べました。今、国会におきましては、ただいまご説明した重要政策を確実に推進するための関連法案を提出し、ご審議をお願いしたいと思います。委員長、委員各位の各別のご指導をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
20:01
以上で所信の聴取は終わりました。本件に対する質疑は後日に譲ることとします。
20:06
次に、先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。森屋隆君。
20:14
立憲社民共同会派の森屋隆でございます。委員派遣報告をいたしま す。去る2月13日、14日の2日間、国土の整備、交通政策の推進等に関する実情を調査し、もって、今期国会への提出を予定されている地域公共交通活性化再生法等改正案並びに、秋葉島等対策推進特措法改正案の審査に資するため、三重県、滋賀県及び京都府を訪問しました。派遣委員は、蓮舫委員長、長谷川理事、青木理事、高橋理事、石井理事、浜口委員、田村委員、そして私、森屋の8名であります。以下、調査の概要をご報告します。初日は、まず三重県小物町に移動し、柴田町長から、MARS(AIオンデマンド)の取組について説明を聴取した後、乗り合いタクシー及びコミュニティバスに使用されている車両の視察をしました。ついで、伊賀市において、岡本市長から、秋葉島となった古民家を活用した地域活性化の取組や、公有民営方式で運営されている伊賀鉄道による枕木・すり川オーナー制度などの取組について伺いました。市民知事からは、高負荷価値・医療公社にターゲットを絞ったインバウンドプロモーションの展開、人口減少対策の推進体制の構築等について伺いました。派遣員との間では、鉄道施設の保守管理における民間のノウハウの活用、鉄道におけるエネルギー価格高騰の影 響、農地付き空き家の購入時における農地法の規制の適用等について意見が交わされました。次に、滋賀県大津市に移動し、京阪バス株式会社の鈴木社長から、自動運転実用化プロジェクトについて説明を聴取した後、自動運転電気バスに試乗しました。派遣員との間では、EVバスの導入やリーデルバスのEV化における課題等について意見が交わされました。2日目は、まず、国立京都国際会館において、西脇知事及び移動官の内田館長から説明を聴取しました。5,000人規模の多目的ホール整備計画があり、展示施設の第2期事業の工事が着手される予定であるほか、国際水準の感染症予防対策に関する認定を取得したとのことでした。続く、忍耐の視察では、空き家となっていた旧家屋を活用した法日外国人旅行客対象の滞在型文化体験プログラムの実施について、興味深いお話を伺いました。その後、嵐山において、都月亭及び嵐山弁慶の幸福化・価値化事業を視察した後、旅館・航路の北原会長、坂越京都市副市長と懇談しました。次に、京町や市場通りエリアの視察では、各居山町会署は、条例による建築基準法の適用除外の制度活用により増築及び耐震補強を実施し、公約の図紙では、景観及び住環境の両方の保全を目標に、町づくりに取り組んでいると伺いました。最後に、京都市役所に移動し、門脇市長から京都市の観光や国際会議開催への新型コロナウイルス感染症の影響、分科庁移転による地方創生への期待等について説明を受けました。派遣委員との間では、空き家の利活用推進等について意見が交わされました。以上が調査の概略であります。今回の調査では、とりわけ地域におけるマース・自動運転・空き家対策・ローカル鉄道や町づくりにおける先進的な取組について認識を深めることができました。一方、観光・宿泊業は依然として厳しい経営環境に置かれており、回復に向けた支援が必要であると実感をいたしました。最後に、ご協力いただいた皆様に対し、心から感謝を申し上げ、報告を終わります。ありがとうございました。
24:50
以上で派遣委員の報告は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。