19:35
これより、会議を開きます。国勢調査承認要求に関する件について、お分かりいたします。環境の基本施策に関する事項、地球温暖化の防止及び脱炭素社会の構築に関する事項、循環型社会の形成に関する事項、自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する事項、公害の防止及び健康被害の救済に関する事項、原子力の規制に関する事項、公害紛争の処理に関する事項、以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び、資料の要求等の方法により、本会議中、調査を進めたいと存じます。つきましては、衆議院規則第94条により、議長の承認を求めたいと存じますが、ご異議ありませんか。ご異議なしと認めます。よって、そのように決しました。環境の基本制約に関する件及び、公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。この際、環境大臣から所信を聴取いたします。
21:09
環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の西村晃博です。第211回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、所信を申し上げます。まず、東日本大震災・原発事故からの復興再生の推進について申し上げます。基幹困難区域のうち、特定復興再生拠点区域9においては、今年春頃の避難指示会場に向けて、富岡町、浪江町、飯舘村における除染や家屋等の解体を着実に実施いたします。また、拠点区域外においては、基幹移行のある住民の方々の基幹に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいります。福島県内除去土壌等の県外最終処分に向けては、「福島その先の環境へ」対話フォーラムの開催等を通じ、まずは全国の皆さんにこの課題を知っていただく取り組みを着実に推進いたします。また、本年に開始が見込まれるアルプス処理市の海洋放出に対応した海域環境モニタリングを始めとして、放射線健康管理や住民の不安解消、風評払拭に取り組みます。さらに、福島の産業、町、暮らしの創生に向けた「福島再生未来志向プロジェクト」により、脱炭素を基軸とした事業創出等を推進してまいります。次に、環境省の大きな使命の一つである「時代の養成」への対応について申し上げます。環境省は、我が国が直面する数々の社 会課題に対し、炭素中立、カーボンニュートラル、循環経済、サーキュラーエコノミー、自然再構、ネイチャーポジティブの同時達成に向け、地域循環共生権の構築等により、統合的に取り組みを推進することを通じて、持続可能な新たな成長を実現し、将来にわたる質の高い生活の確保を目指してまいります。まず、環境外交での主導的な役割の発揮について申し上げます。本年4月に札幌で開催されるD7気候エネルギー環境大臣会合では、議長国として、世界全体でのカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブのさらなる進展に向け、国際的議論をリードしてまいります。また、条約交渉が開始されたプラスチック汚染対策についても、大阪ブルーオーシャンビジョンの提唱国として条約交渉を主導してまいります。アジアゼロエミッション共同体構想の実現等に向けては、2国間クレジット制度、JCMのさらなる推進、我が国主導で立ち上げたパリ協定6条実施パートナーシップ等を通じた国際的な質の高い炭素市場の形成、都市 間連携による世界の都市の脱炭素化・強靭化、昨年のCOP27で私から発表したロスト&ダメージ支援パッケージの実施等を推進してまいります。国内の気候変動の緩和と適応の取り組みについて申し上げます。気候変動は、すでに顕著なレベルで我々の生活に影響を与えています。国内の年平均気温は、この100年で約1.3度上昇しており、直近4年が最も高い気温になりました。気候変動の影響による熱中症死亡者数は、近年では年間1,000人を超えるなど、自然災害による死亡者数を遥かに上回っています。こうした状況を踏まえ、今後起こり得る極端な行動も見据え、熱中症特別警戒情報の創設や、暑さをしのぐ場所を確保する仕組みなどを含む気候変動適用法及び独立行政法人環境再生保全機構法の改正案を本国会に提出いたしました。2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減、さらに50%の高みに向けた緩和策の加速化も、待ったなしの課題であります。地気温暖化対策計画に基づき、取組を進めるとともに、政府全体の施策の進捗管理を行っていきます。さらに、本年2月、脱炭 素と産業供給強化の同時実現を図るGX実現に向けた基本方針が閣議決定されました。今後、GX実現のための関連法案に基づいて、必要な役割を果たしていくことを含め、成長志向型カーボンプライスコースの実施、地域脱炭素移行の加速化、商用車の電動化、住宅の断熱回収をはじめとして、GXの実現に全力で取り組んでまいります。需要側からのGXの推進が重要となることから、環境省として地域暮らしの脱炭素化を実現するべく、地域共生・被疫型の再エネの最大限導入拡大と再エネと併せた蓄エネ・省エネを推進いたします。具体的には、脱炭素先行地域や、脱炭素の基盤となる重点対策の全国実施を通じて、地域課題の解決に貢献します。さらに、株式会社脱炭素化支援機構による資金供給、社会インフラや中小企業をはじめとするサプライチェーン分野の投資・脱炭素経営促進、地域金融機関とも連携した環境金融等を推進してまいります。また、暮らしの観点では、住宅建築物の絶地化・税埋化やCO2回収などの既存最先端の脱炭素サービスの社会実装を促進いたします。これらの取組を、昨年から開始した「新しい豊かな暮らし」を提案する国民運動で後押ししながら、産業・社会の構造転換や面的な需要創出を進めてまいります。サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組について申し上げます。GX基本方針や循環経済工程表に基づき、製造業など動脈産業と廃棄物処理業など縄脈産業が連携した同縄脈一体の資源循環を実現し、2030年までにサーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を80兆円以上とすることを目指します。国外を含めたライフサイクル全体への徹底的な資源循環により、脱炭素・生物多様性の保全、我が国の経済安全保障の強化にも貢献してまいります。具体的には、プラスチック等のリサイクルの整備、バイオマスプラスチックや持続可能な航空燃料サフの製造実証、太陽光パネルのリサイクルや国内外の金属資源のリサイクル等を推進します。加えて、食品ロスの削減やサステナブルファッション推進などにも取り組んでまいります。また、災害廃棄物の円滑・迅速な処理と、大規模災害に備えた万全な災害廃棄物処理体制の構築に取り組んでまいります。同時に、一般廃棄物処理施設の更新需要への適切な対応、浄化層整備の推進等を進めます。さらに、海洋プラスチックごみに関しても、関連する科学的知見の集約に努めつつ、発生抑制・リサイクルの取り組みを通じた陸域からの流出防止と、海岸に漂着したごみ処理の両輪によって着実に対策を進めてまいります。魅力ある我が国の自然の保全・活用などネイチャーポジティブな取り組みについて申し上げます。昨年末に、生物多様性条約COP15で採択されたコンメイ・モントリオール生物多様性枠組みを踏まえ、生物多様性の損失と気候危機への統合的対応を進めてまいります。生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの実現をキーコンセプトとする我が国の新たな生物多様性国家戦略を策定いたします。2030年までに、陸と海の30%以上の保全を目指す30×30目標の達成に向けては、国立国庭公園の新規指定等により保護地域を拡充するとともに、民間の取組等によって生物多様性が保全されている里地・里山や企業緑地等の区域について、自然共生サイトとして、今年中に100ヵ所以上の新規認定を目指します。加えて、昨年開催した外来生物保護に基づくヒヤリ島の外来種対策や長寿保護管理を着実に実施して、生態系や農林水産業等への影響を抑えつつ、気象床保全や動物愛護管理等に取り組んでまいります。また、企業経営においても、豊かな生物多様性は必要不可欠な経営資源でもあるとの認識の下、経営の釈度としての自然資本の考え方の導入を促すため、「ネイチャー・ポジティブ経済・移行戦略」の策定に向けた検討を進めます。さらに、国立公園満喫プロジェクトにおいて、新たに民間提案を踏まえて、利用拠点の面的魅力向上に取り組み、インバウンド拡大や地域活性化につなげ、保護と利用の好循環を実現してまいります。次に、人の命と環境を守る基盤的な取り組みについて申し上げます。ミナマタ病をはじめとする公害健康被害対策と、石綿健康被害者の救済、子どもの健康と環境に関するいわゆるエコチル調査に引き続き真摯に取り組みます。また、1月に新たに立ち上げた専門家会議による知見集積などを通じた有機物質加工物対策を推進するほか、良好な環境の創出に向けて取り組んでまいります。これらの取り組みは、冒頭申し上げました東日本大震災、原発事故からの復興再生の取り組みと合わせまして、環境省の普遍の原点であり、絶え間ず改善を図りながら進めてまいります。原子力防災等について申し上げます。万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに、終わりや完璧はございません。東京電力福島第一原子力発電所事故の恐怖をしっかりと胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、内閣府特命担当大臣として関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実・強化等を図り、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいります。また、原子力規制委員会が独立性の高い参上委員会として、科学的・技術的見地から、公正・中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣として、予算及び体制面でサポートしてまいります。以上、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。公開委員長をはじめ、理事、委員、各委員におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、ご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。以上で、環境大臣の所信表明は終わりました。次に、令和5年度環境省所管予算及び環境保全経費の概要について、説明を聴取いたします。
33:02
令和5年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、ご説明いたします。まず、一般会計予算についてご説明いたします。一般会計の予算額は、3,257億円余であります。具体的には、地球環境保全対策といたしまして、パリ協定の下で国内及び世界全体の地球温暖化対策の推進、気候変動適用策の推進、環境インフラの海外展開などに必要な経費として、1,333億円余。資源循環政策の推進といたしまして、プラスチックの資源循環など循環経済の実現に向けた取組の推進、廃棄物処理施設や浄化槽の整備、不法陶器対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として、444億円余。自然環境の保全対策といたしまして、国立公園や世界自然遺産などの優れた自然環境の保護と適正な利用の推進、長寿保護管理の強化、動物愛護管理や外来生物対策の推進などに必要な経費として、143億円余を計上しております。また、水面多病対策や石綿健康被害救済制度の適正かつ円滑な実施などに必要な経費として、230億円余。大気・水・土壌環境の保全や海洋プラスチックなどの海洋ごみ対策などの推進に必要な経費として、52億円余。原子力規制委員会が行う原子力安全 の確保に必要な経費として、395億円余を計上しております。次に、特別会計予算についてご説明いたします。エネルギー対策特別会計の予算額は、2,317億円余であります。具体的には、エネルギー受給環境といたしまして、2030年度削減目標、2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、地方公共団体に対する交付金制度の拡充など地域脱炭素の推進、住宅や建築物の脱炭素化などライフスタイル転換の促進、ESG金融や脱炭素経営の促進、脱炭素技術の社会実質上の促進、我が国の環境技術等による世界の脱炭素化への貢献、脱炭素成長型経済構造移行への推進のため、商用車の電動化などに必要な経費として、1,910億円余を計上しております。また、電源開発促進環状といたしまして、原子力安全規制のさらなる高度化及び原子力規制委員会の専門能力の強化等を図るために必要な経費として、407億円余を計上しております。次に、復興庁所管として計上しております環境省関係の東日本大震災復興特別会計の予算額は、3,230億円余であります。具体的には、特定復興再生拠点区域における除染及び家屋解体、中間・貯蔵施設の整備・管理運営や除去土壌等の県外最終処分に向けた取組の推進などに必要な経費を計上しておりま す。以上が、令和5年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。最後に、政府全体の環境政策の効果的な実施を目的として取りまとめております環境保全経費といたしまして、令和5年度の予算額は、1兆6,399億円余であります。以上、令和5年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費について、ご説明いたしました。以上で説明は終わりました。次に、令和4年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。
38:35
公害等調整委員会は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るとともに、工業等と一般工役、または他の産業等の土地利用に関する調整などを行うことを任務とし、総務省の外責として置かれている委員会でございます。当委員会が令和4年中に行った公害紛争の処理に関する事務についてご説明申し上げます。第一に、当委員会に継続した公害紛争事件についてでございます。当委員会は、公害に 係る紛争について、当事者からの申請に基づき、双方の誤譲による合意を促して解決に導く調停、加害行為と被害との因果関係の損費や損害賠償責任の有無及び賠償額について、法律判断を行う最低等により事件の迅速かつ適正な解決に努めております。令和4年に当委員会に継続した公害紛争事件は、小堤が3件、埼堤が73件、合計76件でございます。主な事件としましては、東京都など7都府県の新生人らが、自動車からの排出ガスによる大気汚染により、機関自然促動に罹患し、人間らしく生きる権利の侵害及び医療費負担による精神的な被害を受けたと主張して、国及び自動車メーカーらに対して損害賠償を求めた責任最低申請事件、横浜市の新生人が自宅付近を走行する新幹線からの騒音により、住人限度を超える騒音被害を受けたと主張して、新幹線を走行させている鉄道会社に対して、環境基本法等に定める適正な新幹線騒音対策及び損害賠償を求めた朝廷申請事件などがございます。また、令和4年中に集結した事件は26件でございます。主な事件としましては、茨城県白里町の住民らが所有する建物の柱、壁、基礎等の損傷と、建築業者や建築会社が行った土地造成工事や洋壁工事等との因果関係の損費について、裁判所から原因採決を承諾された事件がございます。本事件については、当該建物の損傷と土地造成工事及び洋壁工事等の因果関係を任用する裁定を行いました。また、奈良県安土町の申請人が、牛舎から牛の尿を農業用水路に不法投棄されたことにより、悪臭による健康被害等を受けたと主張して、牛舎を所有する畜産会社に対して損害賠償を求めるとともに、当該因果関係の存在の確認を求めた責任裁定及び原因裁定申請事件がございます。本事件については、当事者双方から主張と証拠を聴出しつつ、調整を進めた結果、職権で朝廷に移行し、当事者間で朝廷が成立しました。そのほか、水俣病・損害賠償・朝廷申請事件の朝廷成立後に症状が進行したとして、医者料等の増額を求める申請が2件継続し、うち1件について手続きが終了しております。当委員会は、事件処理にあたり、多様化・複雑化する公害紛争への機動的かつ的確な対応を図るとともに、公害紛争処理制度の利用の促進に努めております。具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、被害発生地などの現地で新聞記述等を開催すること、事実関係を明らかにし判断の精度を高めるため、事件調査の充実と専門院の知見の活用を図ること、広報活動として国民や放送関係者、関係する相談機関に本制度を積極的に周知することなどがございます。今後もこうした取組を一層推進してまいります。第2に、都道府県公害審査会等に継続した公害紛争事件についてでございます。都道府県公害審査会等では、都道府県内における公害に係る紛争についての調停等を行っております。令和4年には70件の事件が継続し、公害の種類別では騒音に関する事件が最も多くなっております。これらのうち同年中に集結した事件は29件でございます。第3に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情の実態を調査いたしました結果、令和3年度の公害苦情の受付件数は、前年度から約8000件減少して約74000件となっております。これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭など、いわゆる典型7公害に関する苦情は約51000件、それ以外の苦情は約22000件となっております。党委員会は今後とも、全国で発生する様々な公害関連の事案を全体として適切に解決する観点から、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体への情報提供、相談支援などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。以上が令和4年中に行った公害紛争の処理に関する事務の概要でございます。続きまして、公害等調整委員会における令和5年度採出予算案についてご説明申し上げます。党委員会の採出予算額は5億6000万円でございます。厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速かつ適正な解決に資するよう 、第一に事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として2500万円、第二に地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で新聞記事等を開催する経費として1000万円をそれぞれ計上しております。以上が公害等調整委員会における令和5年度採出予算案の概要でございます。公害等調整委員会としましては、今後とも新型コロナウイルス感染防止のための対策を講じつつ、これらの事務を迅速かつ適切に処理するため、いい努力して参る所存でございますので、何卒よろしくお願い申し上げます。以上で説明は終わりました。次回は来る10日金曜日、委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。(ゴクッ)