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衆議院 憲法審査会

2023年06月15日(木)

1h29m

【公式サイト】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54675

【発言者】

森英介(憲法審査会会長)

橘幸信(衆議院法制局長)

新藤義孝(自由民主党・無所属の会)

階猛(立憲民主党・無所属)

三木圭恵(日本維新の会)

上川陽子(自由民主党・無所属の会)

三木圭恵(日本維新の会)

北側一雄(公明党)

玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)

階猛(立憲民主党・無所属)

赤嶺政賢(日本共産党)

北神圭朗(有志の会)

23:30

これより会議を開きます。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題について、討議を行います。本日の議事について申し上げます。まず、幹事会の協議に基づき、衆議院法制局当局から説明を聴取し、その後、討議を行うことといたします。

23:58

衆議院法制局当局から説明を聴取いたします。

24:04

衆議院法制局長、橘幸信君。

24:07

会長。

24:08

橘君。

24:09

衆議院法制局の橘でございます。会長のご指示に基づきまして、私ども衆議院法制局と、光崎一郎事務局長をはじめ、衆議院憲法審査会事務局の皆さんとの共同で、お手元配付の論点資料を取りまとめさせていただきました。この資料はあくまでも事務方の責任で取りまとめたものですが、幹事懇談会でご報告の上、各会派においてもご確認いただいているものでございます。さて、資料の内容報告に入る前に、資料取りまとめの基本方針について、ご確認いただきたいと存じます。まず、資料の形式につきましては、昨年12月1日の論点整理ペーパーに倣って、各論点ごとの先生方のご発言のポイントや、その比較がわかりやすくなるように、比較対象表の形式とし、同趣旨のご発言をまとめる形で、要約させていただきました。ご発言の趣旨にたがわないよう、客観的かつ公正中立に要約したつもりですが、要約作業の正確上、先生方のご発言の微妙なニュアンスまでは、表現しきれていない部分もあるかと存じます。あらかじめ、ご容赦願います。次に、資料の内容に関しましては、次のような観点から、論点整理をさせていただきました。第一は、取り上げるご発言の範囲についてですが、一つ、前回論点整理をさせていただきました、昨年12月1日以降のご発言を中心とし、今国会の3月2日から、先週6月8日まで、合計14回の憲法審査会の議事録を参照しつつ、先生方の緊急事態に関するご発言を対象として、分類整理をいたしました。また二つ目として、基本的に各会派の一巡目の先生方のご発言を中心としつつも、当該論点について、一巡目の先生方のご発言がないような場合には、補充的に二巡目以降の先生方のご発言も対象といたしました。第二に、分類整理の基準となる論点項目の設定についてですが、これも基本的には、昨年12月1日の論点整理ペーパーの分類を踏襲いたしました。ただし、今国会では参議院の緊急集会の位置づけについて深掘りした議論が行われ、これに関連するご発言がかなり多く見られましたので、この部分については論点を再区分してございます。先生方の議論の趣旨と数性ができるだけわかりやすく反映されるようにいたしたつもりでございます。以上、よろしくご理解のほどお願い申し上げます。それでは早速、内容のご報告に入ってまいりたいと存じます。お手元配付の資料をご参照願います。今回特に深掘りした議論が行われたのが、関数字の1の参議院の緊急集会についてでございます。1の総論をご覧ください。まず、自民・公明・維新・国民・英士の5回派の先生方は、①の制度趣旨について、参議院の緊急集会は総選挙の実施を前提とする平時の制度であると述べられた上で、②の54条のような例外規定の解釈姿勢については、厳格に解釈すべきとの意見で一致されているものと拝察いたします。他方、立憲の先生方は、憲法制定時、緊急政令等に代わって参議院の緊急集会が設けられたという制度趣旨に留意すべきであり、また、ルールの刑事的解釈ではなく、権力の恣意的行使を防止する観点から解釈をすべきと述べられています。また、共産党の赤嶺先生は、参議院の緊急集会制度の制度趣旨は、戦前の緊急勅令等の乱用という歴史の反省に立ち、民主政治を徹底するためということにあり、その解釈もこのような規定の趣旨目的を踏まえて考えるべきと述べられています。次に、②の各論に掲げる①から④までの4つの論点に入ります。まず、自民・公明・維新・国民有志の誤解派の先生方は、①の解散時に限られるか、それとも任期満了時にも累推適用できるか、といった場面の原点については、基本的には例外規定の厳格解釈の原則に照らして、拡張解釈は望ましくないが、短期の衆議院不在という状況の共通性に鑑みれば、累推適用についても検討の余地あり、とか、義意が生じないように任期満了時にも開催できることを憲法に明記すべき、といった意見が体制でした。また②の期間限定につきましても、文言通り最長70日という意見で基本的に一致されていましたが、自民党の振動先生からは、選挙が予定されている状況の中では、70日ぴったりでなくても、多少の延長について検討の余地はある、旨の留法的ご発言もございました。次に③の権限案件の限定につきましては、参議院の緊急集会においては、総理の氏名や条約締結承認、内閣府新任決議などは行使できないことについて共通の認識が表明されていたと思います。議論がございましたのは、過去の緊急集会で処理された実例が暫定予算であったことを念頭に置きつつ、本予算は愚か、補正予算についても権限外と考えるべきではないか、といったご意見が相次ぎました。なお④として、事後に衆議院の同意がないとその効力を失う、といった緊急集会で捉えた措置の効力の暫定性につきましては、異論は全くなかったものと承知いたしております。他方、立憲の先生方は、①の場面の限定について、大石・長谷部両参考人のご発言を引用されつつ、任期満了時にも累推適用は可能である、と述べられていました。②の期間限定については、70日を超えても開催可能としつつ、同時に選挙混乱事態の認定基準等についても議論すべき、ことが述べられ、また③の権限案件の限定に関しましては、70日を超えて開催が可能であることを前提に、権限の拡大も選択としてあり得る、旨、述べられていました。また、共産党の中峰先生は、①の場面限定及び②の期間限定に関して、衆議院不在時は、憲法の規定に沿って、国民から選ばれた参議院の緊急集会で対応するべき、との意見を述べられております。以上を踏まえて次に、関数字の②の議員任期延長の必要性の部分をご覧ください。まず、自民公明維新・国民有志の5会派の先生方は、以上のように、参議院の緊急集会は、憲法の規定内容及び文言から、一時的、限定的、暫定的制度であることは明白であり、また、国会は認性が原則であって、その平常時における例外である参議院の緊急集会では、国政選挙が実施困難となるような真の緊急事態への対応は想定されていないし、また対応できない、とのご認識から、緊急事態においてこそ、認意性国会を機能させることが必要であり、そのためには議員任期延長が必要、と結論づけておられました。他方、立憲の先生方は、議員任期延長は国会議員を固定化し、内閣の独裁を生む恐れがある。本来、選挙で民意の審判を仰ぐべきであり、任期延長された議員には民主的正当性が欠けるとして、参議院の緊急集会で対応すべき、とのご意見でした。なお、そもそもの前提として、選挙困難事態を早期に解消できるよう、国難時にも対応できる投票環境を整備しておくべき、との意見も合わせて述べられていました。また、共産党の赤嶺先生は、議員任期延長は選挙権を停止することであり、国民主権の侵害につながり、また、権力の乱用と恣意的延命にもつながることを強調されるとともに、長期間、総選挙が実施できない事態を招かない選挙制度の改善をすれば良く、憲法改正による議員任期延長は本末転倒と述べられております。次に関数字の3の議員任期延長の要件及び効果に関する論点をご覧ください。まず、自民・公明・維新・国民・有志の5会派の先生方は、1の実態的要件として、対象とすべき緊急事態の範囲は、大規模自然災害、テロ内乱、感染症蔓延、国家有事安全保障の4事態にこれらに匹敵する事態を加えた5事態とし、このような事態の発生によって、選挙実施混乱事態がもたらされることを要件としております。この選挙実施混乱事態の要件化については、さらに具体化が必要とのご指摘がある一方、その要件具体化の例として、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域において、国政選挙の適正な実施が70日を超えて混乱であることが明らかであること、といったように、広範性と長期性といった2要件による認定基準の具体化の提案が既になされているところです。次に、2の手続き的要件として、内閣の認定と国会の事前承認を要することについては、5会派では意見は一致しておりますが、国会の議決要件については、議員任期の延長といった例外的事項を定める点に着目して、出席議員の3分の2以上の特別多数を要することとすべき、との見解と、認定国会の原則に回帰する制度であることや、現行憲法における両院での議決の重み及び位置づけに鑑みて、過半数で良いのではないか、さらに議論が必要、といった御意見等があります。また、この内閣及び国会といった政治部門による判断に対して、裁判所による関与といった第三者的なチェックが必要ではないか、といった論点があります。これについては、憲法裁判所による公則的な関与とするか、最高裁判所による勧告的な関与とするか、あるいは、基本的には政治部門が責任をもって判断すべきだが、現行憲法下でも法律によって定めることが可能な客観訴訟として裁判所の一定の関与を組み込むことも、検討の余地あり、とする御意見が唱えられています。最後に、3の効果についてですが、任期延長の幅については、1年、あるいは6月といった違いはありますが、上限を定めるべきこと、そして、選挙が可能な状態となったときは、速やかに延長された任期は終了し、直ちに選挙を実施すべきことについては、認識が共有されているところと、拝察いたします。また、解散後、総選挙前の緊急事態の発生の際には、前議員の身分復活を認めるべきことについても、意見は一致しております。他方、立憲の先生方からは、選挙混乱事態の認定基準、効果が生じる期間と地域、そして、その認定主体について議論をすべき、との意見が述べられております。また、共産党の赤嶺先生からは、極端な事例を出して議論すれば、間違う可能性が高い、との指摘がなされております。ページを送っていただきまして、最後に、関数字の4のその他、緊急事態に関する論点をご覧ください。まず、一の議員任検庁以外の国会機能維持策につきましては、自民・公明・維新・国民・有志の5回派の先生方は、選挙実施混乱事態とは別に、一般的な緊急事態の要件の下での緊急事態宣言を前提に、国会の閉会禁止即時職集や衆議院の解散禁止、そして内閣府新任決議案の議決禁止のいずれの措置も必要、と述べられています。他方、立憲の先生方は、平時からの措置として、臨時会の職集期限明記や解散権制限の検討が必要、との意見が述べられています。また、共産党の赤嶺先生からは、臨時会聴取を無視しながら、緊急時の国会機能維持を言うのは無責任、との発言がなされております。なお、昨年の国会において、本審査会で議論され、森会長から細田議長に申し入れがなされましたオンライン出席、オンライン国会につきましては、その検討状況について本幹事会に報告をしていただきたい、とか、議運で速やかに結論を得るべき、とのご意見や、憲法改正の際にはオンライン国会についても明文の規定を設けるべき、とのご意見がある一方で、そもそも憲法56条1項の出席の解釈を多数で確定させるべきではない、との意見も述べられています。また、国民民主の玉木先生からは、同一基本法を参照しつつ、フルスペックの国会がどうしても機能しない場合のミニ国会、すなわち、両院合同委員会の制度に関するご提言もなされているところです。最後に、二のその他として掲げております緊急政令及び緊急財政処分につきましては、自民、維新、国民の三界派の先生方からは、任期延長、その他の国会機能維持策を講じても、どうしても国会が機能し得ない万々が一の場合も考えられ、そのような場合において、超方機的措置に委ねることなく、立憲主義の観点を堅持しつつ、そのような緊急事態に対応するために、緊急政令や緊急財政処分の制度をも講じておくべきではないか、とのご意見が述べられています。これに対して、有志の北上先生からは、まずは法律対応の可否の検証をすべきではないか、とのご意見が述べられています。また、公明党の北川先生は、白紙委任的な政令委任等は不要であり、現行憲法41条の下で認められる個別法による具体的な政令委任や予備費で対応すべき、と述べられた上で、仮に憲法に規定するとしても、そのことを確認する規定にとどめるべき、さらには、そもそも緊急政令や緊急財政処分は、任期延長とは別次元の問題であり、憲法改正原案策定の際の、いわゆる個別発議の原則に照らしても、別個の問題として検討されるべき論点ではないか、と指摘されています。他方、立憲及び共産の先生方からは、緊急政令、緊急財政処分については不要、との意見が述べられるとともに、それぞれ、任期延長と内容において関連する項目として、一括した国民投票しか許されないとすれば問題、とか、緊急政令、緊急財政処分のような緊急事態状況は、政府に権力を集中させ、国会の権能を奪い、国民権利を制限する憲法停止状況である。このような状況がなかったから、対応できなかった問題は、これまで起きていない、といった意見が述べられているところです。私からのご説明は以上です。ご静聴ありがとうございました。以上で衆議院法制局当局からの説明聴取は終わりました。これより、討議に入ります。この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、各会派一名ずつ、大会派順に発言をしていただくことといたします。発言の中には、事実確認等のため、衆議院法制局当局に対する質疑を含めても結構です。発言時間は10分以内といたします。発言時間の経過につきましては、おおむね10分経過時に、ブザーを鳴らしてお知らせいたします。発言は、自席から着席のままで結構でございます。発言の申出がありますので、順次、これを許します。(信藤義孝君)はい、自由民主党の信藤義孝です。ただいまの衆議院法制局の論点整理を踏まえ、緊急事態条項について、改めて私の考えを述べたいと思います。審査会では、昨年の上回、臨時会を経てこの上回に至るまで、1年半にわたって緊急事態条項に関する討議が積み重ねてまいりました。昨年の上回では、緊急事態条項に関して、計10回、延べ98人が発言。秋の臨時会では、計4回、延べ34人。そして、この上回では、先週まで計14回、延べ109人が発言しており、合計で28回、延べ241人が発言をしております。この膨大な議論を整理したものが、先ほどの論点整理資料であり、この論点整理資料を参考に、今後、さらに議論を深め、絞っていく必要があると私は考えています。主に議員任期の延長を議論する際に、今国会で最も重要な論点となりましたのは、現行憲法上における参議院の緊急集会の位置づけであります。これまでの討議で明らかになりましたのは、参議院の緊急集会は、衆議院解散後の一定期間内に、総選挙の実施が予定され、新しい衆議院議員が選出されることを前提とした制度であり、衆議院の一時的な空白を埋める、平時の制度であるということであります。つまり、現行憲法の参議院の緊急集会は、有事を含むあらゆる事態に対応することを想定しておらず、このことは、内閣総理大臣の指名や条約締結の承認、内閣新任決議などの権限は行使できないといった権限の限定があること、また、内閣が示した案件と、それに関連する案件しか一人できないといった案件の限定があること、といった二重の限定がされていることに端的に現れています。さらに具体的に申し上げれば、衆議院の解散後に緊急事態が発生し、国家機能を最大に発揮し、国民の生命や財産を守らなければならない状況に直面したと仮定します。この場合の内閣は、総理をはじめ衆議院出身の閣僚は議員身分を失った状態であり、かつ内閣の性格は、総選挙後の国会で次の新しい総理が指名されるまでの、いわゆる職務執行内閣となっているわけであります。このような内閣にどこまでの権限を持たせられるのか、思い切った危機対応ができるのか、といった疑問が湧いてきます。国民の生命財産を守り、安心安全を確保するための最も重要な危機対応を講じるためには、正当な民主的基盤を持った内閣が必要であり、集散揃った、認性国会の原則どおりの国会を構成する必要があることは、言うまでもありません。ところが緊急事態により、全国一斉の総選挙ができない状態に陥っております。だからこそ、解散中であれば議員の身分を復活させ、任期満了であれば議員の任期を延長し、正当な民主的基盤を持った内閣によって危機対応に当たらせることが、相応しいのではないかと、私は考えているわけであります。これに対して、選挙を延期して任期を延長することは、国会議員を固定化し、内閣の独裁を生む恐れがあるので、それを避けるために参議院の緊急集会で対応すべきという主張があります。併せて、できるところから順次選挙を実施し、定則数の3分の1を超えた議員が選出されれば、新しい衆議院が構成されるので、その新しい国会で緊急事態に対応すればよいという意見が出されています。しかし、これにはいくつかの問題があります。仮に、選挙が実施できた地域の衆議院議員のみと、参議院議員によって構成される新しい国会で、内閣総理大臣を選出するとなると、選挙が実施できていない地域からは、総理はもとより閣僚も一切選出されないということになります。さらに、選挙が実施できるところから、新たな衆議院議員を選べばよいとの考え方に立てば、新議員が選出されるごとに、閣僚を任命し直したり、総理を指名し直すようなことも理論上想定されてしまいます。そもそも、緊急事態に陥っても、選挙を実施可能なところから新しい衆議院議員を選べばよいとの考え方は、新しい衆議院議員を全国一斉に選ぶという、総選挙の意義を見失った議論であり、国民の民意が反映されたものとは言えず、非現実的な理論に過ぎないのではと指摘をしておきます。東日本の大震災の経験や、高い確率で発生が予想されている首都直下型、南海中南海トラフ巨大地震を考えると、緊急事態が発生する改善性は高まっており、今や現実の脅威です。あらゆる事態において、認定国会を維持し、民主的統制のもとに国の運営を行っていくために、憲法を改正し、緊急事態状況を整備し、認定国会を機能させるための措置を講じておくことは、喫緊かつ必須であり、立憲主義の観点からも極めて重要と考えております。今回の論点整理資料にありますように、2の議員任期延長の必要性については、自民、公明、維新、国民、有志の誤解派において完全に一致をしております。これに加え、3の議員任期延長の要件及び効果に関する論点についても、いくつかの点を除いてほぼ意見は一致しております。残るいくつかの論点とは、裁判所の関与の問題があります。この点については、維新は憲法裁判所の設置を、国民と有志は最高裁による勧告を主張しておられます。しかし、憲法裁判所については、憲法裁を設置すること自体、我が国の司法制度を根本から改めようとするものであり、何より憲法改正を必要とする大きな論点です。憲法裁判所の設置を前提に、新たに創設する緊急事態の認定の関与を議論することは、理論的にまだ困難があると考えております。また、最高裁による勧告についても、勧告権限の付与や、対応した組織についての憲法改正が行われていることを前提とした主張であり、これまた理論的に難しいことがあるのではないかと考えます。私とすれば、新たな権限を最高裁に付与しなくても、現行の司法制度を前提に、裁判所の関与のあり方を検討した方が、より合理的かつ現実的な方策が取れるのではないかと考えているわけです。例えば、選挙訴訟のように別に法律で要件や手続等を定め、制度が適正に運用されることを保証する客観訴訟の創設により、同様の効果を得ることができるとも考えられます。いずれにせよ、選挙困難事態の認定は、様々な状況を勘案した上で行う、極めて政治的な判断であり、一義的には政治部門である内閣と国会が責任を負い、その判断に対する信任は、民主主義の根幹である次の総選挙で示されることになると考えるべきではないでしょうか。また、議員任検証により、国会機能を異常、図ろうとしてもできないような場合、すなわち議員が参集できない、国会が物理的に開会すらできないような究極の事態も想定しておかなくてはよいか、という問題が残ります。このような事態が想定される以上、究極の事態において、内閣が一時的に国会機能を代行する緊急政令、緊急財政処分の制度についても議論が必要ではないか、と考えています。改めて申し上げますが、この制度は積極的に活用しようとするものではありません。あくまで究極の事態に備えた一時的、暫定的な国会機能の代行であり、国会機能が回復した時点で、速やかな国会の同意を必要とすることなども、併せて措置するべきものと考えます。最後に、なぜ日本国憲法に緊急事態条項を創設するべきなのか、その基本的な意義を改めて申し上げます。国家の最大責務は、国民の生命と財産を守り、自由で幸せな社会生活を提供することです。国家の基本法である憲法には、真っ先にそのことが定められているべきです。にもかかわらず、日本国憲法には、77年前の制定以来、緊急事態という国家の根本概念が規定されておらず、緊急事態においても平時の延長線上での国家運営を行わざるを得ないわけです。仮に緊急事態が発生したとしても、平時を想定した一般法の延長線での対応を強化するか、後追いで、いわばパッチワークのような特例法をつくり、問題の箇所をその都度ふさぐような対応しかできないのが現状であります。緊急事態に際し、国家の責務と権限を明確にし、国民を守り抜くための最大機能を発揮させるためには、平時モードから有事モードに切り替える概念を憲法に定めておくことが必要不可欠であり、これこそが国家の責任だと考えているわけであります。緊急事態条項については、今後、これまで積み重ねた議論を最終的にどのように仕上げていくかが、焦点になっていくと考えております。かねてより申し上げておりますように、議員任期延長をはじめとする緊急事態条項については、例えば、幹事会などで一定の取りまとめの方向性を議論する時期に来ているのではないかとも考えております。昨年より憲法審においては、毎週審査会が開催され、濃密な議論が積み重ねられてまいりました。真摯な討議が行われていることに対し、幹事会メンバー及び委員閣議に敬意を表したいと思います。あるべき国の姿を追求し、国の形を整える憲法改正は、未来に対し、今を生きる私たちが果たすべき大いなる責任であることを踏まえ、今後も憲法審査会が安定的に開催され、活発な議論が交わされるよう念願し、私の発言といたします。

49:54

次に、階猛君。

49:56

立憲民主党の階猛です。本題に入る前に、前回の国資源委員からの2つの質問にお答えしたいと思います。1つ目は、政党について国民投票の放送CMを全面禁止する我が党の案は、選挙の場面で政党CMが禁止されていないことと比較して、規制の厳しさが逆転しているのではないかという質問でした。確かにCMという側面で見れば、本来自由であるべき国民投票運動の方が、選挙運動に比べて規制が厳しいように思われるかもしれません。しかしながら、選挙の場面と異なり、国民投票の場面では、国民投票広報協議会を通じ、政党による国民への情報提供の機会が公正かつ公平に与えられます。これに加え、我が党の案では、国民投票広報協議会が、プラットフォームとなり、各党が参加してのオンライン等による国民向け説明会を開催したり、各党が動画や図表などを用いて、意見表明するためのウェブサイトを設けたりすることなども可能となります。したがって、政党の表現の自由や国民の知る権利には十分配慮しており、放送CMを発信できないことだけをもって、規制の厳しさが逆転しているとは言えないと考えます。二つ目は、政党について、国民投票のネットCMを規制し、その他の主体は自由にネットCMを発信できるとすると、言論空間が歪められるのではないか、という質問でした。まず、政党以外についても、ネットCMを自由に認めるわけではありません。我が党の案では、国民投票広報協議会のガイドライン策定や、名称等の表示義務、資金規制などにより、間接的にネットCMを規制します。さらに、5月25日の党史事態会で、私が申し上げたとおり、日米連の最近の意見書や諸外国の規制状況も参考にしつつ、今後ネットCM規制の在り方について、さらに検討していきます。加えて、先ほど申し上げたとおり、我が党の案では、国民投票広報協議会がプラットフォームとなり、ネット上の政党の発信が量的にも質的にも充実するようにします。以上により、言論空間が歪められるといった事態は避けられると考えております。それでは次に、本日の本題である緊急事態について、我が党の見解を述べます。最初に結論を申し上げれば、衆議院の解散や任期満了に伴う総選挙が実施できない状況が相当期間継続するとみられる事態、すなわち選挙困難事態においても、議員任期の復活や延長は必要なく、参議院の緊急集会が暫定的に国会の機能を果たすべきだ、というのが我々の考え方です。ただし、立憲主義の観点から、時の権力者が恣意的に選挙困難事態を認定し、緊急集会が乱用されないような方策を講じるべきです。すなわち、選挙困難事態を予防ないし早急に解消するための方策として、選挙人名簿のバックアップシステムの構築や、避難先やネットで投票できる仕組みの導入などを行うべきです。また、選挙困難事態の恣意的な認定を避けるための方策として、当該事態の認定基準、認定を行う主体や手続、認定された場合にその効果が生じる機関や地域、といった点については、党審査会での議論を進め、必要な法制上の手当を講じるべきです。以上のとおり、選挙困難事態に備え、権力を縛るという立憲主義的な観点から、あらかじめ対応方法を決めるという点については、我が党の考え方も大方の会派と一致します。東日本大震災に際し、私の地元の岩手県では、統一地方選挙について選挙困難事態を経験しました。私自身は、なおさらその思いを強く持っています。ただし、選挙困難事態への対応としては、議員任期の延長ではなく、参議院の緊急集会で行うべきです。今からその理由を述べます。お手元の資料を適宜ご参照ください。なお立憲の発言欄については、衆参の憲法審査会でのこれまでの議論の経過を踏まえて、現時点での我が党の到達線だというふうにご理解ください。第一に、議員任期の延長は、国会議員を固定化し、内閣の独裁を生む恐れがあるということです。議員内閣制の下では、解散や任期切れにより、その地位を失うはずであった国会議員が議席に留まることになり、議員の信任を受けて成立している内閣も、その地位に居座ることになります。しかしながら、本来であれば選挙によって、民意の審判を仰ぐべき国会議員は、民主的正当性を書くことになっており、それに異拠する内閣も、また民主的正当性を書くものと言わざるを得ません。この点、参議院の緊急集会で対応しても、国民の代表者からなる衆議院を書いている以上、民主的正当性を書くという点では変わりないとの反論もあり得ます。しかしながら、議員任期延長では、形式上任性が保たれ、国会の権限を確定的に行使できます。それゆえに、その状態が続くことは、時の政権として極めて都合の良いことであり、選挙混乱事態を口実に、時の政権がいつまでも権力を欲しいままにする内閣の独裁化が進む恐れ、すなわち民主的正当性を書く状態が高級化する恐れが生じるのです。一方、参議院の緊急集会で対応するのであれば、その恐れはありません。なぜなら、憲法54条3項により、緊急集会で取られた措置は臨時のもので、選挙が実施された直後の国会で、10日以内に衆議院の同意がなければ、その効力を失うからです。民主的正当性を書く間は、国会の権限を限定的・暫定的にしか行使できないことにして、時の政権の暴走を防ぐ趣旨だと思われます。と同時に、時の政権にとって、国会を正常に機能させるために、選挙混乱事態を早急に解消しようというインセンティブも働くわけです。北上先生がお得意の逆説的な言い方をすれば、選挙混乱事態において、参議院の緊急集会で対応することは、民主的正当性を書くが故に、民主的正当性を早期に取り戻せるやり方だと言えるのではないかと思います。民主的正当性を高級化する恐れがある、議員任期の延長に比べて、遥かに優れていることは明らかです。第二に、選挙混乱事態において、参議院の緊急集会で対応する場合、場面・期間・権限や案件・暫定性など、様々な限定ないし制約あり、国政に支障を来すとの指摘がありますが、この批判は当たらないということです。まず、場面の限定については、憲法の文言を根拠に、任期満了時に緊急集会は開催できないという施設もありますが、当審査会にお招きした両参考人が述べたとおり、任期満了時にも緊急集会は開催できるという解釈が、今や多数施設であり、あえて憲法を改正する必要はありません。また、期間の限定については、解散から40日以内に総選挙を実施し、総選挙後30日以内に特別国会を招集すべしという憲法の定め、いわゆる70日ルールに縛られる必要がないとの、長谷三公認の見解に対し、立憲主義に反するなどとして、これを批判する意見が、議員任検庁を主張する会派の委員から、三公認質疑が終わっているのに、欠席裁判のように続いています。しかしながら、そうした会派に所属する参議院議員の中にも、70日ルールに縛られないとする見解を比例記する方々がいらっしゃるようです。ぜひ、会派の意見を投じていただきたいと思います。そして、そもそも立憲主義は、憲法によって権力を縛り、主義的な権力交渉を防ぐことにその本質があり、ルールを形式的に解釈して、主義的な権力交渉の余地が広がるように憲法を運用したり、解釈したりすることは、むしろ立憲主義に反すると言わざるを得ません。玉木委員は、参議院の緊急集会の開催期間を70日以内とすべき根拠として、立憲主義の堅持から憲法が定める統治規模のルールは遵守されなくてはならないと兼々主張されています。しかしそれを貫くのであれば、永田町の常識とされる、衆議院の解散は総理の専権事項という考え方こそ、憲法の統治規模のルールに明らかに反しており、問題ではないでしょうか。もし同意いただけるのであれば、この問題の解決策について共に議論していきましょう。なお、緊急集会について、権限や案件の限定があること、暫定性があることは、先ほど述べた民主的正当性の早期回復を促すという大きな利点があり、これを緊急集会の欠点とみなすことはできません。ただし、緊急集会の権限につき、参議院と合同で協議を行い、足らざる部分がないかを検証し、必要な法制上の手当てを講じることについては、私どもも依存がありません。また、本日の主要テーマからは外れますが、緊急事態条項の中に緊急政令や緊急財産処分を設けることは、既存の法制度を勘案した場合にその必要性が乏しく、民主主義や自由主義の観点からも問題であることから明確に反対します。そして、緊急事態条項の名のもとに、例えば、議員任期の延長に関する憲法改正案と緊急政令や緊急財産処分を一括して国民投票に付すことは、主権者の国民投票の機会を不当に制限し、判断を誤らせる危険があるため、許されないということも述べておきます。最後になりますが、本日のテーマに限らず、国民投票法の改正案は論点を整理できる段階に来ていると思いますので、ぜひ次回はそれを行っていただくよう、会長にお願いいたします。併せて、デジタル化の進展に伴う新たな人権保障の問題、先ほども申し上げた衆議院解散や臨時国会の招集、予備費を含めた財政民主主義、地方自治や選挙制度、婚姻の在り方など、我が党は提案しているテーマについても、次期国会以降、順次、党審査会の議題としていただくことを、会長にお願い申し上げ、私の発言を終わります。ただいまの件につきましては、理事会等で協議をいたします。

59:43

次に、美希恵君。

59:45

森会長、ありがとうございます。日本維新の会の美希恵です。本日で、今国会の衆議院憲法審査会は、会期延長がなければ最後となります。本日は、衆議院法制局、衆議院憲法審査会事務局によって、緊急事態、特に参議院の緊急集会、議員臨機延長に関する論点を、各会派ごとにまとめていただき、ありがとうございます。まとめていただいた資料を眺めてみますと、維新、自民、公明、国民、有志の会の論点は、おおむね一致しており、差異のある部分はあるものの、議論を深めていけば、合意点が見いだせるものが、ほとんどではないかと考えます。一番大きな違いは、やはり議員の任期延長に関わる歯止めの部分です。維新、国民、有志の会は、司法の関与が必要であるとの主張ですが、自民、公明は司法の関与はなじまないとのお考えだと指しております。その中でも、我々維新の会は、最高裁判所ではなく、憲法裁判所の関与を求めており、ここは高い派との大きな違いでもあります。緊急事態条項の効果のうち、国会機能の維持として、国会議員の任期延長が必要であることは、ご当派は一致しています。しかしながら、やはり自らの任期を自らで延長するわけですから、その延長が不当に延長されることがないように、極力配慮しなければなりません。その観点から、議員の任期延長が妥当なものであるのかどうかということは、自分たちだけの判断ではなく、第三者の判断を加えるべきであると改めて強く主張いたします。参議院の緊急集会についても、70日を超えて期間を延長したり、権限を拡大させたりすることは、現時点では何も歯止めがない状態ですから、拡大解釈をすること、これはかえって危険であると考えます。次に、議員任期延長の国会機能維持策。関数字4の1の部分、閉会禁止、即時聴取、衆議院解散禁止、内閣不信任案の議決の禁止のところでございますが、我が党の案では、全て必要となっておりますが、ご存じのとおり、我が党は、国民民主党有志の会の方々と、三党派で憲法改正原案を鋭意作成する話し合いを進めております。毎週、実務者協議会を開き、論点について整理し、議論を深掘りし、各党派に持ち帰り、さらに議論を深め、次の実務者協議で合意をしていくという作業を繰り返し行うことにより、はじめは、内閣不信任案の議決の禁止は必要との案でしたが、緊急事態時にどうしてもこの内閣には任せられない、この総理では駄目だとなる場合もあり得るとの考えから、内閣不信任案の議決を禁止することは必要ではないとの結論に、三党派で至りましたことをご報告しておきます。次に、緊急政令、緊急財政処分については、今国会では議論の深まりはありませんでした。国会議員の任期延長について結論を得た後に、緊急政令、緊急財政処分についても憲法審査会で議論を臨むものであります。さて、岸田総理は、ご自身の総裁の任期中に憲法改正を成し遂げると意欲を見せておられます。岸田総理の総裁の任期は、来年の9月ですから、そこまでに憲法改正原案を作成し、憲法改正の発議をしようとすれば、いつまでに憲法改正原案を作成しなければならないのか、前回の憲法審査会で、尾野委員から、進路筆頭幹事に具体的なスケジュールを立ててお示ししてほしいとの趣旨の発言がありました。私の方からもこのスケジュールについて発言をさせていただきます。来年の9月が、岸田総理の総裁の任期ということで、来年の9月までに憲法改正をしようとすれば、逆算すると、国民投票の日を9月と設定すれば、少なくとも2ヶ月の広報期間が必要となっていますので、7月には憲法改正の発議をしなければなりません。7月に憲法改正の発議をしようと思えば、衆議院での審議、採決、参議院での審議、採決は何月までにしなければならないのか、と逆算すると、各委員での審議にはかなりの日数が必要になり、仮に衆議院での審議が2ヶ月、参議院での審議が2ヶ月かかり、各委員で3分の2で可決できた、と計算すると、3月には憲法改正原案ができていないといけないことになります。憲法改正原案を作成するのにも、この憲法審査会でけんけんがくがくの議論がなされ、かなりの日数がかかることが予想されますので、通常国会が始まる1月には、憲法改正原案の作成に取り掛からなければならないことになります。ということは、秋の臨時国会で、まず、憲法改正原案をどの条項で作成するのかを決めなければならないはずです。岸田総理が総裁の任期中に、憲法改正を成し遂げようとすれば、どう考えても、今私が申し上げたスケジュールを組まなければ不可能であると思いますが、このスケジュールに対する、本来は新道筆頭幹事にお伺いしたかったのですが、現在離席をされておりますので、どなたか自民党の幹事の方でお答えいただければと思いますが、このスケジュールに対する自民党のお考えはいかがでしょうか。

1:05:10

上川陽子君。

1:05:15

ただいまのご質問でございますが、岸田総裁が任期中に発議をしたいとおっしゃっているのは、憲法改正への強い思いを表明されたものでございます。歴代の安倍菅総裁におかれましても、同趣旨のことを発言をしておりまして、これは自民党の党勢に則ったものでございます。しかしここで言う任期というのは、具体的に来年の9月を想定したものではなく、具体的な任期は今後の党運営の中で決まっていくものでございます。したがいまして、具体的なスケジュールを年度においての作業を行っている状況ではございませんが、今後のこの審査会におきましての議論が深まる中におきまして、自ら見えてくるものと考えております。各会派のご理解とご努力のもとに、この審査会でのご議論をさらに深めてまいりたいと考えております。幹事社:美樹君。 美樹君:はい。お答えありがとうございます。それではもし仮に岸田総裁が、仮に2期目の総裁選挙で選ばれなかった場合は、お約束が果たせなかったということになると思います。一般的には民間の間隔では目標を立て、目標に向かって計画を立てて、スケジュールを示して達成に向かうということが当然であると考えます。また各会派、各党派の合意がなければというふうにおっしゃいましたけれども、今の与党は3分の2の以上の議席数を確保されておると思います。与党だけではなく、会見に賛成である日本維新の会や国民有志の会を合わせれば3分の2以上になると思いますので、今後は総裁任期中にというお約束をされるのであれば、条件が整っているということで、1期目中にとか何年までにといった期間をきっちりお示しされることをお勧めいたします。岸田総裁が総裁選に勝利されたときに、多くの国民が1期目の総裁任期中に憲法改正をするのだと受け止められたと思います。今のようなお答えでは、憲法改正を待ち望む国民は、期待を裏切られたと感じるのではないでしょうか。憲法改正の発議に必要な3分の2以上の賛成というのは、この国会内ではおそらく成立すると私は考えておりますので、ぜひご検討の方をお願いいたします。これに対するお答えは、もう結構でございます。次に参らせていただきます。そして国民投票の件に移らせていただきます。国民投票協議会の組織等と事務が大変重要な役割を担うと考えます。国民投票では。まだ具体的に決定していない事項があるのではないでしょうか。例えば、委員の人数は国会法によると衆議院10名、参議院10名となっており、同数の予備員も選任することになっていますが、委員の任命はどうするのか、協議会の開催はどうするのか、協議会の規定が必要になってきます。また、事務局は広報協議会の運営及び広報に関する事務を処理となっていますが、事務局の規定も必要となってきます。どれぐらいの人数で事務局を構成するのか、どういった体制を組むのか、何ヶ月間その事務局が必要なのか、とうとうまだ何も決まっておりません。事務の内容においても、国民投票広報の原稿の作成、投票所に掲示する憲法改正案の用紙の作成、広報協議会及び政党等の放送及び新聞広告に関する事務、その他憲法改正案の広報に関する事務となっていますが、放送及び新聞広告の規定が必要になってきます。広報協議会はネットCMについても言及すべきなのか、またネットCMについても公正中立のガイドラインを示すべきでは、あるいは民間のファクトチェックと連携して情報提供すべきでは、とうとう様々に議論して決定していかなければならないことが三石している状況です。いつまでも同様の議論をして、結論を出さないのは如何なものかと考えます。憲法改正の発議は国会議員の3分の2でなされることは、憲法に明記されているわけでございますから、この大原則を遵守していただき、この憲法審査会でも結論を得ていただくことをお願い申し上げ、私の発言を終わらせていただきます。

1:09:41

はい、次に北川和夫君。

1:09:43

はい、公明党の北川和夫です。緊急事態における議員任期の延長等の論点について、これまでの各会派の意見に基づき、衆議院法制局審査会事務局において、簡潔かつ的確に論点整理をしていただきました。橘法制局長をはじめ、事務局の皆様に御礼を申し上げたいと思います。衆議院憲法審査会では、昨年1年間で20回、今年の通常国会で本日も含め15回、この1年半で計35回の実質討議を行ってまいりました。委員の皆様の活発な憲法論議に敬意を申し上げたいと思います。この35回の討議の中で、緊急事態状況について、委員から意見表明された審査会の回数は、35回のうち計28回に及びます。論点は既に出尽くしていると思われます。衆議院法制局の論点整理にあるとおり、自民・公明・維新・国民・英雄氏の5会派の間では、参議院の緊急集会の意義と適用範囲、それを踏まえた上での緊急事態における 議員任期延長の必要性については、おおむね一致しています。議員任期延長の要件と効果について、現時点で若干の相違点はあるものの、後で述べますように、5会派間での具体的な合意形成は 十分に可能と考えられます。以下、緊急事態における議員任期の延長に 絞って意見を述べます。参議院の緊急集会は、衆議院不在時の参議院の重要な憲法上の権能であることは 言うまでもありません。一方で、憲法第4章で定める国会の任意性、両院同時活動の原則の 例外であることも明らかです。したがって、参議院の緊急集会では、内閣総理大臣の氏名、条約の承認、内閣審議案の提出、決議等ができないなど、権限が限定されると 解されることは、学説上もほぼ争いがないところです。衆議院解散後、もしくは任期満了後、衆議院総選挙をできる限り早く 実施すべきは当然のことです。問題は、巨大地震の発生等により 広範な地域で甚大な被害が生じ、長期間国政選挙の適正な実施が明らかに困難と認められる場合、すなわち衆議院の不在が長期に渡ることが明らかな場合に、参議院の緊急集会のみで国会の機能を長期間に直うことを憲法が想定しているのかということです。繰り返しますが、参議院の緊急集会は参議院の重要な憲法上の権能です。しかし、統治機構の基本原理である国会の任意性、両院同時活動の原則からは、その適用範囲に限界があると言わざるを得ません。現行憲法に規定がないのだから、参議院の緊急集会を活用するしかないのではないかとの考え方は、立法機能を担う議会陣の姿勢としてはやや異なるのではないかと考えます。議員任期の延長について、誤解破綻のいくつかの相違点については、私は次のような方向で合意できないかと考えています。その際、憲法45条46条で明記された国会議員の任期の例外を設けるものであること、また、そのときの政権が複製選挙の実施を恣意的に引き延ばすのではないかとの懸念を指摘する意見もあることも考慮し、議員任期の延長の手続き要件については厳格に定めることが勧要と考えます。まず第一に国会の議決要件です。特別多数の3分の2以上とすべきです。国会議員の任期は議会政民主義の土俵に関わる事柄で、衆議院議員は原則4年、参議院議員は6年と憲法上明記されています。緊急事態において議員任期の延長を認めるとすると、これはその重大な例外となるもので、やはり国会の承認には各議員の3分の2の特別多数が必要と厳格に考えるのが適切と考えます。このことにつきましては、自民党の振動幹事も否定されていないことと推察をしております。第二に司法の関与です。内閣による選挙困難事態の認定と議員任期の延長に司法の一定の関与を認めるべきとの主張は、検討に値します。ただ以前にも述べましたように、憲法裁判所の創設には、その是非自体に多くの論点があります。また、現行憲法の統治機構のあり方に大きな変更をもたらすもので、憲法の改正が必要であることは言うまでもありません。直ちにその創設ができるものではなく、緊急事態における議員任期延長の課題とは切り離して、論議をされるべきと思います。現行憲法の違憲審査制度の下で、選挙訴訟や国民投票無効訴訟のように、別に法律で要件手続等を定めて、法的要の客観的適正を保障する、いわゆる客観訴訟といわれる、訴訟類型を創設するのが適切と考えます。第三に、任期延長の上限です。議員任期の延長期間は、6月以内とすべきと考えます。また、再延長は同じ手続で可能とします。一年とする意見もありますが、憲法で定めた任期の例外規定としては、厳格な要件とすべきです。また、延長された任期の期間内であっても、選挙困難事態の解消、すなわち国会が、選挙の適正な実施が可能と議決すれば、任期は終了することは当然ですし、その議決は過半数で足れるとすることも、異論はありません。以前の審査会で、私は、選挙期日の延期は同一の事態で、最初の選挙の困難事態の認定から、通算して一年を超えることはできないとしてはどうか、との意見を述べましたが、ご検討いただければと思っております。困難とも言うべき緊急事態だからこそ、国民の信任が不可欠で、議会の民主的正当性の確保を、図っていかねばなりません。東日本大震災の際、選挙期日を延期した理由は、有権者である住民が、極めて甚大な被害・被災を受け、到底選挙ができる状況でないということですが、一方で、選挙事部の執行も事実上不可能であったという事情も、重視されなければなりません。たとえ緊急事態の状況が継続していても、事態発生の初期と、一年経過後とでは、事情が相当異なっているはずです。新たな緊急事態の発生があると認められない限り、一年という時間経過がある中で、選挙を実施しなければならないとすることによって、民主的正当性の確保という要請に、応えるべきと考えます。第4に、衆議院議員の身分復活規定です。内閣による衆議院の解散は、衆議院議員の身分を失わせることと、解散から40日以内に、総選挙を実施することの、密接不可分な2つの効果をもたらします。したがって、内閣が選挙混乱事態と認定し、総選挙の実施を延期した場合、衆議院解散の意義が失われ、衆議院議員の身分を復活させるのが適切と考えます。ただし、このことは当然のことながら、憲法上明記しなければならない事項となります。自民・公明・維新・国民・英雄氏の5回発判では、できるだけ速やかに一致点を見出せられるよう、検討を積み重ねたいと考えます。また、立憲民主党の皆さんも、選挙混乱事態における議員任期の延長を完全に否定されているわけではないと、受けとめております。審査会でできる限り、幅広い合意が形成できるよう、さらに論議を深めたいと考えます。以上です。

1:18:53

次に玉木雄一郎君。

1:18:55

はい。国民民主党の玉木雄一郎です。私からも冒頭、この立派な資料をまとめていただきました法制局、事務局に感謝を申し上げたいと思います。改めて今日これを見ると、5つの会派ではほぼ意見が一致しております。ぜひ、この議論の積み重ねの上に、幹事会の場や、あるいは作業部会を設置するなどして、議員任期の延長については、具体的な条文化作業に入ることを求めたいと思います。既に国民民主党日本維新の会、有志の会の皆さんと具体的な条文案も作成しておりますので、そういった条文案作りにも積極的に貢献していきたいと思います。いろいろ、憲法改正については立場があるんですが、やはり危機感の共有が大事だと私は思っています。首都直下型地震などの緊急事態は、いつ発生するかわからないような状況にあります。次の衆議院選挙が行われる前に、憲法改正を実現することが理想だと思います。加えて先ほど来、議論になっています。記者総理自身も、自らの任期中、この任期中の手紀はいろいろあるんでしょうが、そのうちに憲法改正をするという意欲を示されているのですから、遅くとも来年の通常国会で、発議ができるスケジュールで作業を進めていただきますよう、特に自民党には作業をリードしていただきたいと、お願いをしたいと思います。そして私は、この議員任期の延長については、依然立憲民主党の皆さんとも合意が得られるものと期待をしております。多くの議員も前回、立憲主義の立場からは、想定し得ることは、権力抑制の観点、分立の観点から憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと考えている。そしてそれは、任期の延長で行くのか、あるいは緊急集会で行くのか、どっちが民主的正当性があるのかということから検討すべきであると、述べられておられます。今日、市内委員からは、立憲民主党の意見としては、緊急集会だということがありましたけれども、ただ私は、議論次第では、まだ十分に合意の余地があるのではないかと期待をいたしております。私たちは、70日を超えて長期に選挙ができないような場合に、最も民主的正当性がある制度として、両院同時活動原則に合致した議員任期の延長を、憲法改正で実現することが適切だということで提案をいたしております。同時に、時の権力者が安易に長期に任期を延長して、政権を延命させるとの、市内委員からも示された危険性には当然留意する必要があることから、司法による権力抑制の仕組みも、同時に改正条文として提案をいたしております。市内委員が前回、議員任期の延長での対応について、恣意的な権力行使の余地が広がるように憲法を解釈し、国家権力にとって都合のよい憲法改正を主張することは、立憲主義に名を借りた立憲主義の破壊だというふうにおっしゃいました。ただ私は、緊急集会が70日を超える長期間にわたって対応できるという解釈こそ、市内委員が懸念する恣意的な権力行使の余地が広がる可能性があるのではないかと考えています。なぜなら参議院といえど権力だからです。しかも憲法54条の以降の条文を見ると、参議院の緊急集会は内閣の求めによって開かれるものであるので、実質的には時の内閣が主導権を発揮することになります。改めてお伺いしたいのは、この緊急集会で長期に対応する方が、議員任期の延長に比べて時の内閣の恣意的な権力行使を抑制できると考えるのか、曖昧な解釈に基づいて行われる70日を超える緊急集会での対応の方が、時の内閣の恣意的な権力抑制の余地を広げることになるのではないかと懸念します。これはまさに大石先生のおっしゃる、参議院による権力の散脱を招くのではないでしょうか。特にこの資料にもあると、立憲民主党は、任期延長された議員には、民主的正当性が欠けていると批判されますけれども、任期の切れた多くの衆議院議員で構成される内閣の方が、よっぽど民主的正当性を欠いているのではないかと考えます。このことについても併せてお考えを伺いたいと思います。明日解散して、私も階さんと一緒にやるべきじゃないと思いますよ。ただ、明日解散して緊急事態が発生した場合には、今憲法改正ができていないので、私もある程度この緊急集会で対応せざるを得ないと思います。これは、そうなんだと思います。ただ、私たちは立法府の人間なので、これもまさに奥野委員が言ったように、立憲主義の立場からは、想定し得ることは憲法にあらかじめきちんと想定しておくべきだと思います。であれば、より民主的正当性を担保できる制度を、憲法改正によって創設し、想定される緊急事態に備えることが、責任ある国会議員の立場だと私は考えます。少なくとも私は、選挙混乱事態は起こり得ないと考える、お花畑の立場ではないことは、改めて申し上げておきたいと思います。それと、そもそも緊急事態における議員任期の延長の憲法改正がですね、国家権力によってとって、都合の良い憲法改正であるとの主張は正直違和感を覚えるんです。で、東日本大震災の際に、議員任期の延長あるいは首長の任期を延長したのは、ただただあの時大混乱の中で、有権者も職場の職員も、選挙することが不可能だったので、それに対する最低限の手当をしたんだと思います。仮に時の権力、とりわけ内閣の暴走を恐れるのであれば、今私が冒頭申し上げたように、司法のチェックに加えて、緊急事態下であっても、おかしな内閣に対しては、不信任案を突きつけて、議決することは認めるような制度にしておけばいいと思います。これ先ほど、美樹さんからもあったんですけど、我々三会派のオリジナル難では、緊急事態においてはですね、この内閣不信任案の提出はできないように最初は条文を作ってたんですけど、まあちょっとここは考えた上でですね、それでもやっぱり暴走する内閣が出てきた時には、時の立法府からのチェック権限は残しておくべきだと、いうことで、その内閣不信任案の議決の禁止規定は取りました。ですからここはちょっと資料とは違うんですが、そこはそういう権力チェックの役割を果たした方がいいんじゃないかということで、最新の案ではそうなっているということは、申し添えたいと思います。要はですね、制度の作り方次第だと思うんですよ。で、それを憲法に明記した方が、解釈によっていろいろ権力を広げるよりは、よっぽど危険性の抑制はできると思います。もう一つ確認したいのは、市内が70日ルールを守れなくなるような、選挙困難事態の対応につき議論することは、やぶさかではないと述べておられます。で、この70日を超えるような選挙困難実施事態に対して、緊急集会で対応する場合ですね。その緊急集会は最大、どこまでの期間対応できるようにするのか、そして、仮に選挙ができるようになったと判断して、緊急集会での対応を終わらせて、さあ選挙をしましょうと決める権限は一体誰が持っているのか。そしてその要件については、どういうものなのか、これは具体的にお示しをいただきたいと思うんですね。というのは、選挙実施困難可能性の判断は、結局内閣だということに多分なると思うんですよ。そうすると、結局その、緊急集会であれば何だろうが、その権力維持を目論ぶ内閣はですね、いつまでも緊急集会での対応をすることを続けてですね、まともな状態に戻らないようなことを、時の内閣は判断することができると思うんです。特にこれ一回指摘しましたけれども、例えば岸田官邸とですね、あの、瀬戸会長がですね、決着したときですね、つまり、具体的に言いました。内閣と時の参議院が決着して、権力を行使する、その姿勢を、どのように防止するのかということもですね、権力抑制の観点から考えとかないといけないと思うんです。で、市内委員は70日という上限を設けず緊急集会の活動を認めるとともに、その権限の範囲は必要最小限かつ暫定的なものに留めると述べられました。つまり、期限は無限だけど、権限はやっぱり暫定的だということなんですが、ただ、その、権限には限定があるけど、期間には限定がないとする解釈そのものが極めて、恣意的であって、権力乱用の危険性を払拭できないと思うんですね。で、この資料の立憲の案のところのですね、真ん中どころにあるんですが、70日超の開催を前提に、権限の拡大も選択肢としてあり得ると書いてるんですよ。つまり、権限が伸びるってことは、権限も、あの、期間が伸びるってことは、それに合わせて権限を膨らますってことを既に、ご発言されているので、結構これは危険だというふうに私は思います。だから、立憲主義の基本点はまず憲法に書いてあることを重視すると、いうのが大原則だと思います。そして、立憲主義を徹底するためにも事前に、緊急事態における例外的対応を憲法に、やっぱり明記しておくべきだと思います。その意味でいうと、緊急集会を70日を超えて使いたいのであれば、そのことを憲法改正して書くべきだと思うんです。で、我々はその間の案として、両院合同委員会ということも実は提案しているんですが、もし緊急集会を今の権限を超えて使うのであれば、その要件と効果を憲法改正して書くべきだと思います。それが立憲主義だと思います。いずれにせよ最後に私たち国会議員は立法者なので、改善性が低くても可能性のある限り、国民の生命や権利を守るためにあるべき法制度を構築する責任に負っています。危機に備えて、どのように我が国の統治機構を決めるかは、学者の仕事ではなく我々の仕事です。私たちが答えを出していかない限り、何も決まらないと思います。緊急事態における対応についても、いや緊急事態における対応こそ、権力の乱用につながりやすい解釈を安易に認めるのではなくて、やはり憲法改正によって、緊急集会における権力抑制のルールを明文化し、立憲主義を守るべきであることを主張して発言を終わります。はい。ちょっと10秒だけ。

1:30:13

はい、それでは、品川健君。

1:30:15

今、玉木委員から御指摘あったことについては、さっき私も時間制限があるので、早口でばっと喋ったので、十分御理解いただけないかと思うんですが、私の今日の発言を議事録で精査していただいて、また御議論させていただければと思います。問題意識には応えているつもりです。はい。

1:30:35

それでは、赤嶺誠賢君。

1:30:37

日本共産党の赤嶺誠賢です。はじめに、今日の運営についてであります。冒頭、法制局が自民・公明・維新・国民・有志・誤解派の要請に基づき、緊急事態、特に参議院の緊急集会、議員任期延長について、論点整理資料に基づく報告を行いました。これは、6月13日の幹事懇談会で、論点整理資料を作成する基準として、一定の討議の積み重ねがあること、複数の会派から会長に論点整理の要請があることの、2つを要件とすることを合意したことに基づくものであります。論点整理資料の作成を、複数会派による要請があった場合にのみ認めるというのは、およそ公正・公平な運営とは言えません。少数意見を切り捨て、憲法審査会の運営に、数の論理を持ち込むものであり、断じて容認できません。今回の今国会の審査会で議論されたのは、緊急事態状況だけではありません。安保三文書に基づく撤去地攻撃能力保有の違憲性、軍事費増額と財政民主主義の関係、沖縄の米軍基地と日米地位協定、放送による表現の自由の侵害、臨時会の招集要求に対する招集期限の法定など、多岐にわたるテーマが議論されてきました。にもかかわらず多数の会派だけで、自分たちに都合のいい論点を抜き出し、改憲案のすり合わせにつなげようとすることは、断じて認められるものではありません。いわゆる緊急事態を口実にした議員任期の延長については、今国会の議論を通じて、権力の乱用と恣意的な延命につながる危険が鮮明になりました。長谷部参考人は、議員任期を延長すれば、総選挙を経た正規のものとは異なる、ある種の国会が存在することになり、国会に付与された全ての権能を行使できることから、緊急事の名を借りて、通常時の法制度そのものを大きく変革する法律が次々と制定されるリスクがあると指摘しました。その上で、任期の延長された衆議院と、それに支えられた従前の政権とが長期にわたって居座り続ける緊急事態の高級化を招くことになりかねないと警告しました。この指摘は、我が国の歴史の教訓のものであります。日中戦争下の1941年、当時の政府は、衆議院議員の任期を立法措置によって1年間延長しました。緊迫した内外情勢のもとに、短期間でも国民を選挙に没頭させることは、極国一体制の整備を邁進しようとする決意に疑いを起こさせないとも限らないというのがその理由でありました。当時の政府は、日中戦争の重圧に苦しむ国民の不満が爆発するのを恐れ、選挙を延ばし、その間に東南アジアへの戦線拡大と真珠湾攻撃に踏み切り、無謀な戦争の道を突き進んだのであります。戦後の日本は、この反省から、権力者の都合で議員任期を延長できないように、法律ではなく憲法に任期を規定しました。その憲法の規定自体を変えてしまおうというのは、歴史の教訓を真っ向から踏みにじるものに他なりません。憲法制定議会において、金森担当大臣は、国会議員の任期を自ら延ばすことは、はなはだ不適当であり、そのために憲法に4年の任期を明記したこと、そのときには必ず選挙に訴えて、国会が国民と表裏一体化しているかどうか、現実に表わさなければならないことを強調しています。この指摘を重く受け止めるべきです。議員任期延長の公実として、国会機能や任意性の維持が強調されていますが、国会機能の維持の大前提は、国会が国民に正当に選挙された議員で構成されていることです。任意的に任期を延長し、国民から信任を受けていない議員が長期にわたって、居座り続けることは許されません。日本国憲法は、全文で、主権が国民に損することを宣言し、国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動すると述べています。国民主権は日本国憲法の基本原理であり、国民の選挙権は最大限に保障されなければならないものです。2005年の最高裁判決は、国民の選挙権について、国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利として、議会正民主義の根幹をなすものと述べ、これを制限することは原則として許されないと強調しています。議員任期の延長は、国民の選挙権行使の機会を奪い、議会正民主義を根底から揺るがすものです。国民主権を軽んじるものと厳しく指摘しなければなりません。そもそも、自民党の改憲案は、緊急事態条項として、議員任期の延長と、内閣による緊急政令、緊急財政処分の制定をセットとして盛り込んでおります。いついかなるときにも、国会の機能を維持するために、議員任期の延長が必要と言いながら、国会の機能を奪い、政府に権力を集中させる緊急政令、緊急財政処分を主張するのは、全くの自己矛盾と言わなければなりません。国会機能の維持のための任期延長という主張が、いかに形だけのものであるかを示すものです。参議院の緊急集会の制度は、緊急の事態に際しても、内閣の独断を許さず、参議院が暫定的に立法や行政監視の機能を果たせるようにしたものです。明治憲法下で、当時の政府が緊急直令、緊急財政処分の制度を乱用し、国民乱発の手段に使ったことへの反省を踏まえたものです。衆議院が不存在の場合は、臨時の暫定的措置として、参議院の緊急集会で対応し、その後に国民から選ばれた衆議院が、その党費を判断する現在の仕組みを維持すべきであります。長期にわたって、総選挙を実施できない恐れがあるというのであれば、そのような事態を招かないための選挙制度の改善を議論すれば良いのであって、憲法を変えて延長を可能にするなどというのは、まさに本末転倒の議論と言わなければなりません。日本国憲法は、かつての侵略戦争によって、アジア2千万人、日本国民310万人という多大な犠牲を出したことへの痛苦の反省に立ち、政府の行為によって再び戦争の惨禍を繰り返さないという決意のもとに作られたものです。悲惨な地上戦を体験した沖縄県民の「無知ず宝」「命こそ宝」の思いと重なるものです。今、政治がやるべきことは、いかに戦争に備えるかの議論ではありません。二度とあのような惨禍を繰り返さないために、いかにして東アジアの緊張を緩和し、平和的な環境をつくっていくかの議論です。戦争の準備ではなく、平和の準備のための国民の声に応える政治を実現するために、全力を尽くすことを表明して、発言を終わります。

1:41:27

次に北上慶郎君。

1:41:30

有志の会の北上慶郎です。先ほどの法制局長の説明のとおり、議員任期の延長制度については、賛成の会派の間では細かい違いが残っているだけで、いつでも常文化の作業に入れるというふうに思います。他方反対の会派においては、まだまだ不信感が示されています。この不信感とは一体何かと。まず一つは、実際に選挙困難事態の長期間の確率は低く、過去にもそのような事例はなく、今後も事前に想定しがたいと。これは中川幹事の発言なんですが、こういう考えです。これについては、非常時を想定外の事態として備えを行わないことこそ問題だというふうに思います。発言が何度もありましたけれども、東日本大震災のときには選挙を最大8ヶ月実施することが難しかったということもあり、立法事実は十分あるというふうに考えます。また今後についても、地震学者が直下型地震のこととか、南海トラフのこととか、それなりの科学的見知からも言われているわけですので、そんなことはないということは、ちょっと違うんじゃないかというふうに思います。なお、終戦後4ヶ月で衆議院を解散して、その後1ヶ月で総選挙を実施しようとしたということを例にとって、敗戦の混乱状態でも選挙ができたじゃないかという指摘もあります。確かに当時は直接的な選挙の被害に加えて、住宅難、大量失業など、特に食料難がひどく、1945年11月には、「がし対策国民大会」というものも開かれるような状況でした。しかしこのとき選挙を急いだのは、抑産体制を早く解体して、当時の白原政権がGHQによる公職追放や戦争責任等を逃れたかったということと、また釈放された政治犯の選挙権、公民権が復活しないうちに、選挙を実施したいという思惑がありました。実際にはGHQの指示により、解散の4ヶ月後の1946年4月に実施されましたが、その前に公職追放により、大意志の83%が淘汰されています。こうした混乱の中で、有権者名簿を急ぎ、作成したため、全国で25万6,988名簿の名簿漏れが発生したと言われています。つまり、占領下というかなり得意な状況のもとで、政治的な思惑があり、強引に行われた選挙であり、これを参考にすることは少々無理があると思います。もう一つの不信感は、不分の法理である国家緊急権を実定化し、憲法上の緊急事態条項を設けるということは、かえって権力による乱用の可能性を高めるというものです。しかし、この緊急事態条項に反対する皆さん自身、災害対策基本法など一連の緊急事態法制は、よしとされていると思います。憲法はだめだけど、法律では国家緊急権の実態化を自ら認めていると理解すべきでしょう。法律では緊急権を実定化してもいいけど、憲法という総出席の3分の2以上の発議があり、加えて国民投票によって選択される憲法での実定化はだめだということに関する議論は、学者さんにお任せします。ここでは皆さんは、緊急事態法制が用意している緊急集会について、平時の70日を超える事情が生じた場合、内閣が緊急権を発動して延長できるんだという主張になろうかと理解できます。私はこれはこれで実は危機管理の一つの考え方としてありだとは思っています。ただ、その場合次の論点をはっきりさせなければいけません。一つは70日を超えるといっても、具体的にどこまで引き延ばせるのかと。緊急時が終わるまでということであれば、平時に戻す判断は内閣にお任せするのかということです。二つ目は緊急集会で認められないとされている権能、例えば本予算の議決や総理大臣の指名について、緊急時が長引く中で必要となった場合どうするのか、これも緊急権によって権能の範囲拡大を認めるのか、認めるとするならばどこまで認めるのかと。三つ目には通常憲法学の考え、あるいは各国の憲法からすれば、超法規的に緊急権が発動された場合には、国会の事後承認が望ましいとされていますが、お考えはどうなのかと。望ましいのであれば国会の承認を憲法に規定する必要はないのかと。四つ目には70日間ルールも緊急権で延長できるのであれば、国会議員の任期も緊急権で延長できるのかと。できないということだったら、一方が許され、他方が許されない理屈は何なのかと。できるのであれば緊急集会との関係はどうするのか、これも内閣の判断にお任せするのかと。少なくとも以上の四つぐらいの論点がはっきりしなければ、緊急集会で対応する案の全体像が見えてこないと。その上で両案を比較考慮して、超法規的措置をあらかじめ想定すること、しかもその判断を全て内閣に一任することが本当に望ましいのかという検討をすれば良いと思います。三つ目の不信感は、議員任期の延長は国民の選挙権を制限し、正当性の根拠が乏しくなる。内閣に選挙困難の認定を委ねると、結局国会議員を固定化して内閣の独裁を生む恐れがある。またその事例として、1941年に衆議院議員の任期が1年間延長されたというものです。確かに議員任期の延長は例外措置であり、国民の選挙権が一時的に制限されることは事実です。しかしその発動は内閣単独で決めるのではなく、我々の案によれば国会の3分の2以上の事前承認が求められ、また事後的に司法の関与もあります。しかもこれは国会議員の発議と国民投票がなされた上で、憲法にその手続きが明記されることになります。こうしたことにより、異常時における民主的正当性は担保されると私は考えています。実際諸外国の憲法でも、フランス、エストニア、スロベニア、ソロバキア、ハンガリー、ポルトガル、ナチズムを経験したドイツ、ファシズムを経験したイタリア、独裁制を経験したスペインにおいても、議員の任期延長、または国会の解散禁止、あるいはその両方を憲法に規定しています。これらの国は民主的正当性を軽視していることになるのでしょうか。他方で緊急集会で対応する案は、国会の議決も国民投票も経ず、憲法に規定もなく、それこそ内閣単独の判断で緊急時が事実上宣言され、不分の法理である緊急件によって、憲法の規定も棚上げすることにより、緊急集会が70日を超えることで、任意性も軽視し、国会の承認は事前にも事後にもなく、平時に戻る判断もおそらく内閣に委ねられます。どっちの考えが民主的正当性を欠くのか、答えは日を見るよりも明らかだと思います。なお1941年の任期延長は、全議席の8割以上を占めるという抑賛体制がすでに出来上がっていた中で、法律で任期延長を決めたものであり、我々の案とはだいぶ前提条件が異なるので、簡単に比較ができないというふうに思います。最後にこの問題を考える上で、改めて危機管理ということはどういうことなのかということを、私の考えを申し上げたいと思います。東日本大震災が発生した当時、想定外という言葉が至るところで広まったことを記憶にあります。この想定外という用語の意味としては、1つはそのようなリスクを予想できなかったという意味と、2つ目には予想はしていたけれども、備えるべき問題とは認識しなかったという2種類の意味があるかと思います。前者の場合、そもそも対策を講じることはできないでしょうが、後者のリスクが予想されたにもかかわらず、対策を実施すべき問題とは認識しなかった場合は、結局のところ対策を実施しないと決定したことであり、その決定の責任は重たいというふうに考えます。危機管理というのは、想定外の事態を1つ1つ潰していく作業であり、備えに伴うコスト、これは当然あります。備えた結果を得ることができるメリットとの比較考慮が求められるというふうに思います。東日本大震災のときには、最大8ヶ月、選挙を実施することが難しかったという立法事実がある中、選挙困難事態が発生した際に、想定外と言い逃れできないためにも、本件に結論を出して、早急に条文案の作成に入るべきであるというふうに考えます。なお、先ほども玉木委員、それから美樹委員からも話がありましたが、議員任期延長以外の国会機能維持対策における内閣府新任決議案の議決禁止に関しては、配付されている論点一覧表にあるとおり、これまでは解散の禁止とのバランス上必要であると私も述べてきましたが、その後さらに検討を深めて、緊急時に適切に機能しない内閣が出現した場合には、これを変える必要があるということで、内閣府新任決議の禁止は不必要であるという結論に至ったことを申し上げまして、私の発言を終わります。これにて討議は終了いたしました。次回は広報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。

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