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参議院 憲法審査会

2023年05月31日(水)

1h58m

【公式サイト】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7501

【発言者】

中曽根弘文(憲法審査会会長)

松浦一夫(参考人 防衛大学校教授)

長谷部恭男(参考人 早稲田大学大学院法務研究科教授)

土井真一(参考人 京都大学法学系(大学院法学研究科)教授)

浅尾慶一郎(自由民主党)

杉尾秀哉(立憲民主・社民)

西田実仁(公明党)

音喜多駿(日本維新の会)

礒崎哲史(国民民主党・新緑風会)

山添拓(日本共産党)

山本太郎(れいわ新選組)

4:05

ただいまから憲法審査会を開会いたします。参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について本日の審査会に、防衛大学教授松浦和夫君、早稲田大学大学院法務研究科教授長谷部康夫君及び京都大学法学系大学院法学研究科教授土居正一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。御異議ないと認め、採用を決定いたします。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。本日は憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について参考人の皆様から御意見を伺います。この際参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。本日は御多忙のところ本審査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますのでよろしくお願いいたします。議事の進め方でございますが、松浦参考人、長瀬部参考人、土居参考人の順に、お一人十五分程度で順次御意見を述べいただいた後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。全体の所要は二時間を目途といたします。なお御発言は質疑答弁とも着席のままで結構でございます。それではまず松浦参考人にお願いいたします。

6:07

松浦参考人。

6:09

本日は意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。防衛大学校の松浦と申します。参議院緊急集会制度と国家緊急事態の関係につきまして話を進めるにあたり、まず確認すべきことがあります。それはこの制度が戦後占領期にGHQ総司令部の提示した案に基づく日本国憲法起草時において、ドイツ法モデルとする緊急命令制度の導入を期とする日本側と、英米法的国家緊急権利会に基づくGHQ民政局次長チャールズケイリスの間の激しい論争の結果を生まれた妥協の産物であるということであります。総司令部案が日本側に提出される以前、日本側で新憲法案を検討していた松本委員会に出席した委員の多くは、いわゆる常地委員会の制度の導入を指示していました。常地委員会とは、ドイツワイマール共和国憲法と共和国を構成する国の憲法、例えば1920年のプロレスチェン憲法などが、議会閉会中及び任期満了や解散による新議会招集までの議員不在時に議会の権能を維持するため設置したものであります。この委員会による政府権力の統制、特に緊急命令の事前審査ですね、これを考えていました。帝国憲法時代の日本におきましても、議会が開会できないとき、緊急の必要を名目に緊急勅令、緊急財政処分による政府権力の乱用があったことに鑑み、訂正から共和制に移行したドイツの制度をモデルとすることが考えられたわけです。政府が設置した松本委員会の案のみならず、民間憲法草案にも常地委員会の設置を提案するものもありました。そして後に日本国憲法案の帝国議会での審議において説明を担当する金森徳次郎も、その著書で緊急勅令、緊急処分の常地委員会による統制を提案していました。1946年2月13日に総司令文案が日本側に提示され、それまでの松本委員会の検討が白書に戻った後も、緊急勅令、緊急財政処分に変わる規定を提案する中で、政府単独による緊急命令を修正し、常地委員会によるその民主的統制を提案しましたが、総司令文により拒絶されました。その後、衆議院解散の場合に限り、常地委員会または参議院が国会への権限を臨時に代行する案を提案しました。この提案が国会の権限を臨時に代行する案を提案したわけですが、後にこれが参議院の緊急集会制度につながるわけです。しかし経理図はこのとき、解散後、次の国会が招集されるまでの70日間に国会の議決を必要とするような場合は想定できないし、災害発生等のために必要になる緊急の立法や財政措置は政府のエマージェンシーパワーで対応すればいいと言いまして、これを却下しています。その後、国会が招集不可能な場合に、次の国会で承認を得ることを条件に、内閣が臨時に必要な措置を取ることができる旨の規定を提案し、内閣主導の緊急事態対応を再度提案しましたが、これも却下されました。ここでGHQの経理図が折れまして、以前提案した参議院による衆議院解散時の国会権限代行案、すなわち参議院緊急集会制度に落ち着いたということであります。その結果が、今日の憲法第54条2項3項ということになります。つまり、衆議院不在時の緊急の必要に対応するため、特別な憲法規定は不要であると、譲らないGHQから情報を引き出すために、日本側はその出方を探りながら、落としどころを見つけ種過ぎず、憲法第54条の規定が緊急事態対応規定としては、はなはだ不十分なものにとろまったこと、それが今日の議論の混乱を招いていることを、感化すべきではないと考えます。さて、54条2項3項の解釈に話を進めます。解散による衆議院不在以外、任期満了による衆議院の不在の場合にも、参議院の緊急集会の開館が可能かについて、憲法名分上、解散の場合のみを規定していることから、これを限定的に解釈し、任期満了の場合には開会できないとする説があります。これは、憲法制定時に、短期的な政治的事情から衆議院が急に解散された場合、解散後特別会まで待てない緊急案件が残される可能性が高いのに対して、任期満了の場合にはその時期があらかじめ定まっており、それまでに案件を処理できるため、緊急案件が生じる可能性が少なく、あえて明記する必要はないと考えたからであるとされます。私は、現行日本国憲法が重大かつ長期にわたる緊急事態対応を想定していないと考える立場ですので、衆議院任期満了の場合には、参議院緊急集会の開会は制度上想定されていないと考えます。しかし実際上、任期満了の場合も解散の場合も、衆議院が不在になることに変わりはなく、任期満了後にも緊急案件が発生する可能性も皆無とは言いません。緊急事態の発生は時を選びませんから、任期満了の場合にも緊急集会の開会を可能にすべきという意見も最もだと思います。それを可能にするため、五十四条二項の累推解釈で対応すべきとの一部の憲法学者の意見があるようですが、その一方で国会法の研究者の中には、任期満了による総選挙を選択する場合でも、運用上その直前に衆議院解散の手続を取ることで、憲法上の不満に対応すべきとする意見もあるようです。ですので、この想定については、意見の対立はそれほど深刻なものではないと考えます。柔軟に対応すればいいと私は思っております。緊急集会の開会可能期間の問題ですが、これまでの学説では、総選挙が問題なく実施でき、選挙後の特別会が速やかに開会できる平常時の場合、解散から総選挙実施により新たな逆施金が確定するまでの上限期間である四十日間が参議院の緊急集会開会可能期間であるのか、実際の特別会招集までの間の三十日を加えた最長七十日かについて説は分かれておりますが、いずれにせよ選挙が平常通り行われ、特別会が滞りなく招集されることが想定されていると考えられます。しかし衆議院解散後、あるいは任期満了後に重大かつ長期に及ぶ緊急事態が発生し、総選挙の実施が困難となり、長期にわたり衆議院が不在となる場合については、現行憲法は想定していません。この欠落を解釈により補填しようと、参議院の緊急集会があるから、これに国会の見直を必要な期間代行させればいい、緊急の必要がある限り七十日という期間に縛られる必要はないという主張が一部にあります。このような主張は、憲法改正をしないこと、新たに緊急事態条項を導入しないことを大前提として、現行憲法の中にあえて緊急事態対応の根拠を読み込むとすれば、このような解釈方法があると主張するものにすぎません。緊急時の政府の迅速な対応と、その議会による民主的統制の確保に最も有効な方法は何か、という目的、視点を描いているように思います。この目的を達するには、もともと制度設計にはない役割を参議院緊急集会に負わせるのではなく、憲法改正により緊急事態宣言の制度を設定し、宣言下での衆議院議員の任期の延長や、衆議院解散の禁止などの措置を認め、国会が両院完全な形で政府を統制する方が、民主的観点から見てはるかに効果的であると考えます。重大緊急事態対処のためには、個別に処理すべき案件に限らず、包括的な案件を提示する必要があるだけに、なおさら衆参両院が揃う完全な国会がこれを審議すべきであると考えます。国際比較の観点から見ても、緊急事態宣言下での国会の解散禁止や、議員任期の延長を認める国は多く見られます。西尾山小松澤大学名誉教授がOECD諸国を中心に調査されたところによれば、フランス、イタリア、エストニア、スロベニア、スロバキア、ハンガリー、ポルトガル、スペインといった国々が議員の任期延長、または国会の解散禁止、あるいはその両方を憲法に規定しております。ドイツもこの制度を採用していますが、この後改めて言及をいたします。参議院の緊急集会で臨時に代行できる国会の見論がどこまでに及ぶかについては諸説あるものの、内閣府信任決議など衆議院のみに認められている見論が除外されるほか、憲法改正の発議、条約の承認、内閣総理大臣の指名は認めるべきでない、この点について既に見解の位置があるものと考えます。一部には内閣総理大臣の指名について、大規模災害等により総理大臣ほか多数の国務大臣がかけ、かつ総選挙の実施の目処が立たず延期を余儀なくされた場合に、例外を認めざるを得ないとして緊急集会での総理指名も例外的に認められるとする説もあるようです。ですがそのように政府が正常な統治能力を喪失する非常事態を想定する必要があると、真剣に考えるのであれば国会についても同じ例外を考えなければならないはずです。つまり参議院の緊急集会を含め、国会自体が集会不能となる非常事態も想定しておく必要があるはずです。非常時に国会が集会不能となったとき、確実に集会できる小規模な委員会に国会の見直を代行させる制度が考えられます。現にこの制度を採用している国はあります。選事に限ってではありますが、ドイツがその例として挙げられます。ここで選事というのはドイツ基本法、ドイツの憲法ですが、この第115A条が定める防衛事態のことであり、日本の武力攻撃事態に相当するものです。防衛事態下で連邦議会、連邦参議院が集会不能となった場合、平時から委員が指名されている合同委員会という機関、これは両院の議員48名から構成されるものですが、この合同委員会が一定の条件はあるものの、連邦議会、連邦参議院の機能を代行することが憲法に明記されています。なお防衛事態の下では、連邦議会の解散も禁じられ、任期満了となった連邦議会及び衆議院の議員の任期は自動的に延長されることになっており、事態終了から6ヶ月後をもって任期を終えることとなっています。議員以外にも連邦大統領等の任期の特例も認められています。非常時に議員等の任期が延長されたからといって、国民の賛成権が侵害されたとか、議会が民主的正当性を欠くといった批判があったという話は私は知りません。最後に、例え話としていいかどうか分かりませんが、例えば、地区75年の家にいくら耐震補強工事を施しても、軟弱な地盤、脆弱な基礎の上に建てられた家であれば、その効果は期待できず、とろうに終わります。国家の基本法である憲法も同じです。その制定過程の特殊性ゆえに、日本国憲法の基礎は残念ながら脆弱であります。特に国家の基礎であるべき主権に関わる部分について、見解の一致を見ず、いまだに鶴接な対立があり、問題を生じさせています。すなわち、対外的主権を最終的に確保するための防衛関連規定への不存在と、非常時における国家統治能力の維持、及びその民主的統制に関わる緊急事態関連規定への欠落であります。この欠落から生じる不都合を憲法解釈により解決するにも限界があることは明らかであると私は考えます。以上でございます。ありがとうございました。次に長谷部参考人にお願いいたします。

18:56

長谷部参考人。

18:58

発言の機会を与えていただきましてどうもありがとうございます。レジュメを用意しておりますが、時間も限られておりますので、中でいくつかの項目をかいつまんでお話を申し上げます。まずは緊急集会の実態的要件のうち衆議院が解散されたときというこの論点です。日本国憲法の条文は衆議院が解散されたときに内閣が緊急集会を求めることができるとしております。このことから衆議院議員の任期満了により総選挙が実施される場合、緊急集会を求めることができるか、これが論点になります。そもそも解散がされず衆議院議員が任期満了となることも極めて稀ではありますが、さらに公選法は議員の任期が終わる日の前30日以内に総選挙を行う、これを規定しておりますので、任期満了によって衆議院議員が存在しなくなることは一般的には想定しにくいところです。もっとも例外的には任期満了直前まで国会の任期が、会期が続くと、これもあり得ますので、任期満了によって衆議院議員が存在しなくなることもあり得るといえばあり得ることになります。こうした場合、内閣が緊急集会を求めることはできないとする説もありますが、この説は、衆議院議員の任期満了の期日は解散の場合とは異なり、事前に明らかですので、内閣は当該期日までに必要と考えられる措置をあらかじめ講じ得るはずである、このことを根拠としているものと思われます。もっとも、転載等、事前に予測しがたい危機が生じまして、そのために総選挙の実施に支障が生じると、こういった場合には、臨時会の招集まで日数を要するということも理論的にはあり得ます。そうした場合、内閣の独断選考を避け、可能な限り憲法の定める制度を活用して、権力の抑制・均衡を確保する。そのためには、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも、憲法54条の規定を類推をして、内閣は緊急集会を求めることができると考えることが適切のように思われます。こうした考え方は、現在では多くの学者の支持を得ていると考えられます。続きまして、レジュメで申しますと、大きな4になりますが、緊急集会に代わる対応施策、この論点です。どのような事態が対応、すみません、想定されているのかという話ですが、最近、外国による武力の行使ですとか、大規模な自然災害等のために、衆議院議員の総選挙を行うことが長期にわたって困難と考えられる事態におきましては、参議院の緊急集会ではなく、既に失職をした、あるいはこれから失職するであろう、衆議院議員の任期を延長する、そのことで対処するべきである、という憲法改正論が浮上をしております。こうした提案についてでありますが、第一にそうした場合というのが、そうした事態が果たしてどれほどの改善性で発生し得るのか。また、仮に発生するとしても、長期にわたって総選挙を実施し得ないことを事前に予測し得るという状況が、これもどれほどの改善性で発生し得るのか、こういった論点がございます。重大な緊急事態が発生したために、後半にわたる地域で総選挙の実施が困難となるということは、確かにあり得るでありましょう。ただ、そうした転載その他避けることのできない事項により、投票所において投票を行うことができないときにつきましては、衆議院議員の選挙を含めまして、公職選挙法がすでに繰り述べ投票の制度を設けております。もちろん投票だけではなくて、選挙の実施そのものの延期が必要となることもあり得るかもしれませんが、その場合には参議院の緊急集会が選挙期日を延期する臨時特例党を定める法律、これで対処するということになるでありましょう。解散の日から40日という憲法54条の定める期限を超える延長となることも考えられますが、これは本日お出での土井参考人も御指摘のとおり、法が不可能時を要求するものとは考えがたい上に、あとで述べますところの40日という期限の趣旨からしても、私は憲法はこれを容認するものと考えております。多くの選挙区で繰り述べ投票へ選挙の延期が行われることはもちろん好ましい事態ではございませんが、理論的に申しますと、衆議院の定則数に当たる総議院の3分の1の議員の選出がなされれば、国会を招集して審議・帰結を行うことは可能のはずでございますし、しかもいずれの地域から選出された国会議員も憲法43条によりますと全国民を代表しております。全ての衆議院議員の選出が終わらないまま、すでに選出された議員のみで国会としての審議・帰結を行うことに正当性がないとまでは言いにくいように思われます。また郵便投票制度の拡充など、自然災害等の場合に避難先からの投票を可能とするような公選法の改正、こういった法制度の改正を行うことで、投票の繰り述べですとか選挙そのものの延期の必要な場合を減らす、こういうことも考えられます。最高裁の判例は選挙権の制限は、これは引用になりますが、そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ、選挙権の行使を認めることが自律上不能ないし一律しく困難である場合、そういった場合のみ許されるとしております。憲法自体を変えてしまう以上は、現行憲法の規定を前提とする判例法理は妥当しないのだ、そういう主張もあり得ないではございませんが、緊急の事態におきましても基本権は可能な限り保障されるべきですので、正当な目的のもと、必要最小限度においてのみその制約が許されるという比例原則は、これはなお妥当するはずです。選挙の実施が部分的とはいえ可能である以上は、緊急の事態におきましても、困難が解消され次第、過急的速やかに順次選挙を粛々と実施することは要請されるはずでございまして、そもそも困難がない選挙区も含めて丸ごと延期をするということは、やはり許されないのではないかと思われます。さらに、そうした状況を万一発生し得るといたしましても、総選挙の実施を長期にわたって先送りせざるを得ないということを前もって予測するということが果たして可能なのか、そういった問題もございます。理論的には確かにそういった状況を発生することはあり得るでしょうが、先のことははっきり申し上げてわからないはずなのに、また、国の目投票や選挙そのものの延期も可能であるのに、あたかも将来のことが確実にわかっているかのように、総選挙の実施を長期に先送りをする、こういった判断をすることは国民に胃袋しがられるということになりはしないかという、そういう懸念もございます。二つ目の緊急事態の高級化の回避という論点ですが、今申し上げた点に加えまして、こうした対処策を取るべきでない理由は私はもう一つあると考えております。これはドイツの憲法学者で、憲法裁判所の判事も勧めましたベッケンフェルダ教授が強調する点ですが、緊急事態に対処するための制度的対応にあたってはあくまで臨時の暫定的な措置にとどめること、これには十分な理由があると考えます。現行憲法54条の定める参議院の緊急集会による対応は、これは条文にもありますとおり、限られた期間しか通用しない臨時のしかも措置です。緊急集会の権限にはそもそも限界があると一般的に考えられてきましたことも、緊急集会の行われるのが暫定的な臨時の措置にとどまるということと対応しております。これに対しまして衆議院議員の任期を延長するといたしますと、そこには総選挙を経た正規のものとは異なる、異常なものではありますが、国会に付与された全ての権能を行使し得るある種の国会が存在する、そこでは通常の一般的な法律が成立をするということになります。そういたしますと、緊急時の名を借りて通常時の法制度そのものを大きく揺るがすような法律が次々に制定されるリスクもそこには含まれているということになります。悪くいたしますと、任期の延長された衆議院とそれに支えられた従前の政権等が居座り続けて、緊急事態の高級化を招くことにもなりかねません。緊急事態の高級化を防ぐためには、これもベッキン・フェルデ教授が指摘していることですが、平常時と非常時とは明確に区分をされるべきです。ところが、衆議院議員の任期延長というのは、つまるところ平常時そのものを非常時に近づける、憲法制度のすべてを永続する緊急事態へと変質させるリスクを含んでいるのではないか、そういった疑いがあります。他方、参議院の緊急集会による緊急事態への対処、これは平時の状況が回復したときは、過急的速やかに通常の制度へと復帰をする、これが予定されていることを意味しています。繰り返しになりますが、将来の状況を確実に予測することは極めて困難でして、平常の事態に長期にわたって戻ることはないと、予断をしてしまうべきではないと思われます。これに対しましては、現行憲法の規定は緊急集会が長期にわたって継続することは想定していないのではないか、そういった疑問もあり得るところで、確かに憲法54条の規定を素直に読みますと、緊急集会は解散後40日以内に行われる総選挙までの間、あるいは長くとも新たな国会招集までの最大70日間にしか求めることができないかのように、見えます。しかしながら、今議論の対象となっておりますのは、国家の存立に関わるような、そういった事態でございまして、通常時の論理がそのままの形で通用すると考えるべきかどうか、そういう問題がございます。そうした非常の事態では、あらゆる考慮要素が、くまなく総合的に勘案されるべきでございまして、特定の論点、特に引数を限った規定の文言にこだわって、それを動かし得ない切り札であるかのように捉えて、議論を進めるべきではないのではないかと考えられるところです。そもそもなぜ憲法54条が40日、そして30日という引数を限っているかと申しますと、解散後も何かと理由を構えて、いつまでも総選挙を実施しない、あるいは総選挙の後もいつまでも国会を招集しないなど、現在の民意を反映していない、従前の政府がそのまま政権の座に座り続けることのないように、というそういう考慮からです。同様の規定は各国の憲法にも見られるところです。緊急集会の継続期間が限定されているかのように見えるのは、実はその間接的派生的な効果としてに過ぎません。にもかかわらず、緊急集会の期間が限定されているかのように見える、このことを根拠といたしまして、従前の衆議院議員の任期を延長する、それに伴って政権の座りを認める、このことはまさに本末転倒の議論ではないかとの疑いを抱かざるを得ないところがございます。条文のそもそもの趣旨目的を踏まえた解釈、何が本来の目的で何がその手段に過ぎないか、その点を踏まえた解釈が求められるように思われます。参議院の緊急集会制度には、平常時と非常時とを明確に区分をするとともに、そこではあくまで暫定的で臨時の措置のみが取られる。選挙を経て正規の国会が招集され次第、その当日は改めて審議決定されるものである、このことを国民に広く示す意味があります。衆議院議員の選挙も災害等による困難が解消した選挙区から順次速やかに実施をすべきものでありまして、困難がそもそもない選挙区の選挙を含めて、丸ごと延期をすべきものではないと考えられます。このように現行憲法の定める参議院の緊急集会制度、これは十分な理由に支えられておりまして、これに新たな制度を追加する必要は見出しにくいというのが私の見解でございます。以上、御清聴どうもありがとうございました。

33:27

ありがとうございました。次に土井参考人にお願いいたします。土井参考人。

33:32

はい、本日はこのような意見を述べる機会を賜り、光栄に存じます。私から参議院の緊急集会について、四つの論点を中心に意見を述べさせていただきます。まず第一に、衆議院の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことができるか、という論点です。憲法54条2項は、衆議院が解散されたときは、参議院は同時に閉会となると定め、その正しがきにおいて、参議院の緊急集会を定めていますので、同項に基づく緊急集会については、衆議院が解散されていることが、その実態的要件の一つであると解されます。そこで、この憲法54条2項正しがきが、緊急集会の開催を、衆議院が解散されている場合に限定したものか、それとも、衆議院議員の任期満了による総選挙が実施される場合にも、緊急集会を開くことができると解すべきかが問題となります。この点、従来の多数説は、衆議院議員の任期満了の場合には、内閣が緊急集会を求めることはできないと解してきました。その理由は、第一に、憲法を制定時に、任期満了の場合の緊急集会が必ずしも想定されていなかったこと、第二に、参議院の緊急集会は例外的な事態であり、憲法による明文の根拠を要すること、第三に、衆議院の任期満了の期日は明らかであり、内閣は当該期日までに必要な措置を講じるべきであることなどが挙げられます。しかし、大規模な自然災害や安全保障上の危機の発生を事前に予測し、制御することは困難であり、このような事態が現実に生じれば、解散による場合のみならず、任期満了による場合であっても、緊急の措置が必要になると考えられます。また、衆議院が存在しない状況で、参議院の緊急集会を認めなければ、緊急事態の法理に依拠するなどして、内閣が単独で必要な措置を講じる事態を招きかねません。確かに、緊急集会は、療院制の例外に当たることから、これを安易に認めることは適切ではありませんが、内閣が単独で法律に変わる措置を講じることは、より重大な例外に当たります。本来、緊急の場合であっても、憲法の定める制度をできる限り用いて、権力の抑制と均衡を確保することが、憲法の趣旨にかなうと考えられます。したがって、54条2項正し書きの規定は、衆議院が存在しない例として、解散の場合について緊急集会を定めたものであると介し、衆議院議員の任期満了による場合にも、同条を累推適用して、国に緊急の必要があるときは、内閣は緊急集会を求めることができると介すべきであると考えています。第2に、緊急集会の期間は最長で70日間に限定されるかという論点です。憲法54条1項に基づけば、衆議院が解散された日から最長70日で特別会が招集されなければなりませんから、参議院の緊急集会が認められるのも、この70日間に限定されるとする見解が導かれ得るところです。確かに日数は一義的な意味を有していますので、これを解釈で変更することは困難であるとする見解にも一定の理由がございます。しかし、54条2項に、衆議院の解散の日から70日以内に限り、という文言が直接存在するわけではございません。衆議院が存在しない間における緊急の対応であるという同行の趣旨を踏まえて、まず緊急集会の開催は、衆議院の解散の日から次の国会の招集が可能になるときまでの間に限られるという解釈が導かれます。次に1項の規定から70日という数字が導かれるわけですが、これは2項にとっては、衆議院の解散の日から次の国会の招集が可能になるまでの期間の目安であると位置づけるのが適切ではないかと思います。したがって、第1に、54条1項は、総選挙の日から特別会の招集まで最長30日の期間を置くことを認めていますが、現に総選挙により衆議院議員が選出され、特別会の招集が可能な状態に至れば、たとえ総選挙の日から30日以内であっても緊急の必要がある場合には、内閣は緊急集会ではなく特別会を招集すべきであると解されます。他方、第2に、大規模自然災害や安全保障上の危機のために総選挙を実施できない場合には、たとえ解散の日から70日を経過したとしても、衆議院議員が選出されず、特別会の招集ができない状況は現に存在している以上、このような場合においてなお、70日という数字に現閣に拘束されるべき実質的理由があるかを問う必要があります。そもそも解散の日から40日以内に総選挙が実施できない事態は、文言上54条1項の規定に抵触することになります。しかし、大規模自然災害等で総選挙の実施が事実として不可能である以上、法は不可能を要求しないという法原則に基づけば、総選挙の実施の延期を例外として容認するのが憲法の趣旨であると解すべきであると思います。そうであれば、緊急事態に対応するために、54条1項が許容する範囲内で2項により緊急集会の開催を認めることは不合理ではないと思います。ただし、そのような例外的場合であっても、憲法上代表民主主義の基盤である国民の選挙権の行使は強く保障される必要があり、また衆議院が存在しない事態は極力回避すべきだと考えられますので、54条1項は可能な限り速やかに適切な方法で総選挙を実施し、国会を招集できるようにすることを求めていると解されます。なお、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合には、総選挙の時期及び国会、この場合には臨時会になりますが、国会の招集の時期は憲法ではなく公職選挙法及び国会法で定められています。したがって、54条1項については異なる取扱いになりますが、2項については同様の考え方でよいのではないかと思います。第3に、緊急集会において参議院議員が発議できる議案に制限があるかという論点です。緊急集会において審議される議案について、国会法は99条1項において、内閣総理大臣が緊急集会を請求する際に案件を示すことを求め、101条においてこのような案件に関連のあるものに限って、参議院議員は議案を発議することができるとしています。このような参議院議員の議案発議権に対する制約が憲法上適切かどうかが問題になります。この点につきましては、緊急集会は国権の最高機関である国会の権能を代行するものであり、立法の優位を確保しようとする憲法の原則に鑑みれば、ひとたび集会した以上は、参議院の審議権は、集会時に内閣の提示した案件に限定されるべきではないとする見解もございます。しかし憲法53条が臨時会について各議員に召集要求権を認めているのとは異なり、54条2項は緊急集会への要求権を内閣にのみ認めています。これは衆議院を各例外的状況であることから、緊急性を理由に権限の散脱等が生じることを防止するために、一般的には衆議院に起訴を置く内閣に緊急集会の開催を要求し、案件を提示する権限を委ね、その内閣を統制するための審議議決権を参議院に認め、さらに事後の同意権を衆議院に認めることで、内閣と両議員により権力の抑制と均衡を図る制度設計にしたものと解するのが適切です。そうしますと、参議院の議案発議権に対するこのような制約は、憲法上の要請を国会法において具体化したものと理解されます。しかし他方で内閣が提出した議案の審議議決のみを行うと解することは狭すぎると思われます。参議院は内閣提出の議案について修正案や対案を提出することができると解すべきでしょう。また大規模な自然災害等の緊急事態においては、広範な措置を逐次講じる必要があることから、内閣が開催要求時にすべき案件も包括的なものにするほかなく、それに応じて参議院議員の議案発議権や質疑討論等が及ぶ範囲も広範になることを認めざるを得ません。国会法101条などが案件に関連のあるものと定めたのは、このような趣旨に基づくものであると解されます。第4に緊急集会の権能に制限があるかという問題に進みます。憲法は緊急集会の権限及び行為形式を具体的に定めていませんので、緊急集会は原則として内閣が示した案件に関連する範囲内で、広く国会の権限を代行することができると解するのが適切であると思います。ただ衆議院が存在しない例外的状況で、緊急集会が暫定的な措置として行使することができない権限が類型的に存在すると解するのが一般的です。このような例外として、第1に憲法改正の発議があります。そもそも憲法改正のためには十分に審議を尽くす必要があり、その発議を参議院の緊急集会で暫定的な措置として行うことは適切でありません。また、憲法改正が成立するためには国民投票を実施する必要がありますが、憲法改正の国民投票を行うことはできるが、衆議院議員の総選挙を実施し、国会を招集することはできないという事態を想定することは困難です。第2に、衆議院が存在しない間に、内閣総理大臣がかけた場合に、緊急集会において内閣総理大臣の指名を行うことができるかが問題になります。この点、既に衆議院議員総選挙が実施されることになっており、内閣は総選挙の後に初めて国会の招集があったときは、総辞職しなければなりませんから、緊急集会で内閣総理大臣の指名を行わず、内閣総理大臣臨時代理の下、総辞職した内閣に引き続き職務を行わせることが原則であると解されます。ただし、大規模の自然災害等により、内閣総理大臣のほか多数の国務大臣をかくことになり、かつ総選挙の実施も延期せざるを得ないような深刻な緊急事態においては、緊急集会による内閣総理大臣の指名を例外として認めざるを得ない場合が生じるかもしれません。そのほかにも、条約の締結の承認や、両議員または衆議院に付与された権限の行使などの問題がありますが、時間の都合で省略させていただきます。最後に、緊急事態への対応に関する検討について、一言申し述べさせていただきたいと思います。大規模な自然災害等の緊急事態において、国民の生命、健康及び権利等を守るために必要な措置を講じることは、国家、政府の重要な役割です。それと同時に、歴史に照らせば、緊急事態は、権力の散脱や乱用が行われる危険性の高い時期ですから、これを防止するための仕組みについては、国会において慎重に御検討いただくべき事項であると考えます。その際にお願いしたいのは、緊急事態から通常時へのレジディエンス、復元力の高い仕組みを御検討いただきたいという点と、そして通常時に復帰した後、緊急事態において講じた措置について、その合憲性、合法性を審査する機会を適切に確保していただきたいという点でございます。重要な政治的アクターが、こぞって緊急事態の継続に利益を有することになる仕組みは危険であり、例外的に認められた権限の行使には重い責任が伴わなければなりません。この2点は、自由と民主主義を基礎とする立憲主義体制を維持しつつ、緊急事態に対応するために不可欠の要件であると考えます。この点について、緊急集会は合理的な設計に基づく制度の1つではあります。第1に、衆議院議員の候補者の皆さんはもちろん、内閣を構成する内閣総理大臣及び国務大臣の多くが、官公上、衆議院議員から選ばれていますので、自らの正当性を支える衆議院が存在することになるよう、できる限り早期に総選挙が実施されることを強く働きかける復元力になる、得ると考えられます。そして第2に、次に開かれた国会において、10日以内に衆議院の同意が必要とされていますから、緊急事態において講じた措置について、その合憲性、合法性は、まずもって衆議院によって網羅的に審査されることになります。もし緊急集会に変わる仕組みを検討されるというのであれば、今申し上げたような点について、緊急集会よりもより優れた仕組みであると、国民が納得するようなものとなるよう、慎重に御検討いただく必要があることを申し上げて、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

48:39

ありがとうございました。以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑を行います。質疑を希望される方は、指名票を立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。なお、質疑が終わった方は、指名票を横にお戻しください。参考人の方々におかれましては、答弁の際、挙手の上、会長の指名を受けた後、御発言をお願いいたします。それでは、質疑のある方は、二十名以降の質疑を希望される方も含め、指名票を立てください。まず、一十名は各官へ一名ずつ指名させていただき、質疑時間は答弁を含め、各八分以内といたします。

49:27

麻生啓一郎君。

49:32

自由民主党の麻生啓一郎です。三名の参考人の皆さんには、大変貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。私から、二点、参考人の皆さんに質問させていただきたいと思いますが、まず最初は、三名とも御発言をいただきましたけれども、衆議院の任期満了時における緊急集会のあり方について、質問させていただきたいと思います。三名とも、皆さん御発言をいただいておりますけれども、その中で、任期満了のときに累推適用ができるのかどうか、緊急集会の扱いが累推適用ができるのかどうかということであります。実際上は、任期満了の30日前に、総選挙の工事を行わなければいけないということになっております。任期満了の30日前に、総選挙を行わなければいけないという公職選挙法の規定がありまして、なおかつ任期があるということでありますから、30日を超えた中で解散をすることもできるということで、事実上、この任期満了時で緊急集会を行うというのは、かなり珍しいということでありますけれども、昭和51年には1回、任期満了で衆議院の選挙が行われたということがございます。そうした場合に、繰り返しになりますけれども、現行の憲法の中で緊急集会を行うことが、累推適用によってできるかどうか、その点について、まず3名の参考人の皆さんにお答えいただきたいと思います。

51:14

松浦参考人

51:17

先ほど私の意見の中にも申しておりましたんですが、累推解釈、累推適用でこれを行うのか、あるいは運用上、全て、これ、任期満了によって総選挙というのは非常にレアなケースではありますので、累推適用という形ではなくても、運用上、解散をしてしまうということもできないわけではないので、これは建前論として、どちらを取るかという話だと思います。ですので、先ほどの私の意見の中でも、それほど深刻な対立ではないということであります。だから柔軟に考えて、累推適用でそれを納得できるのであれば、国会の議員の先生方が、コンセンサスがあれば、それでも構わないと思います。

52:08

長谷川参考人

52:11

累推適用可能だと思います。以上です。

52:14

土井参考人

52:16

私も累推適用可能だと思います。

52:19

麻生圭一郎君

52:21

それでは次の質問は、この緊急集会を70日という期日を超えて開くことができるかどうかということでありますけれども、基本的には衆議院が解散をされてから、40日以内に選挙を行うということが公職選挙法で定められております。選挙の運動期間は、維持の改正によって、現在衆議院の選挙は12日というふうに短縮をされておりますので、総選挙の期日は、その12日前に公示しなければいけないというのが公職選挙法において決められているわけでありますけれども、そうすると仮に一番短い場合で、解散の日から17日とかそんな形で選挙が決まってしまうと、その後、非常事態が起きて、その際に解散の日から40日以内では選挙ができないといった場合に、どのように取り扱っていくことが可能かということについてのご意見を伺っていきたいと思います。ちなみに、地域における自然災害等においては、国延投票ということがありますので、その際には全員の議員が揃わないけれども、先ほどもちょっと参考に皆さんからもご意見がありましたけれども、国延投票という規定がありますが、全国において投票ができなくなった場合に、この40日を超えて緊急集会、40日以内からプラス特別会の30日を足した70日を超えて緊急集会を開くことができるかどうか、その点について、3人の参考人の方のご意見を伺いたいと思います。

54:22

松浦参考人。

54:24

私自身のお考えとしては、70日を超えて開会はできないと考えます。それは、その70日を超えて、じゃあいつまでこれが続くのかという問題があります。先ほども他の参考人からもありましたように、将来のことを見通してあることをすると。これも参議院の緊急集会があるから、緊急の必要があるから続けていいのかという問題がありますが、もしかしてその間に非常に重要な案件があり、その後衆議院で同意が得られなかったとか、いうようなことになった場合、非常に国勢は混乱すると思うんですね。そうであるならば、参議院のみならず、衆議院も両方、両翼揃った形で審議を行う体制を整えるべきだというように考えます。先ほども申しましたように、諸外国ではそうした国会、特に会員の議員の任期の延長というのは、それほど珍しい制度ではございませんので、そちらで制度設計をされた方が、私は懸命だと思います。

55:30

長谷部参考人

55:31

私は70日を超えて、緊急集会を継続するということは好ましいことではございませんが、あり得る話であるというふうに考えております。先ほども申しましたが、最長70日で限られているかのように見えるのは、現在の民意を反映しない政権の意思割を防ぐ、それを阻止するということは、これが本来の目的でございますので、その目的を没却するような形の制度を作るのは考えものではないかというふうに私は考えているところでございます。

56:06

土井参考人

56:08

緊急事態に対応するために憲法を改正するということは、理論上あり得るというふうに思いますが、現行憲法を前提にしてどうあるべきかというふうに考えたときには、大規模自然災害が生じた場合に、現に総選挙が実施できず、衆議院解散から70日が過ぎた段階で、例えば参議院の皆さん方が国民によって必要な法案や予算案の審議を打ち切れるかというと、それは非常に困難であって、憲法も立憲主義の基本的な考え方とすれば、権力の抑制と均衡の機会はできる限り認めるべきだというふうに考えするのであれば、70日を超えて緊急集会を認めることはできると、そう考えております。

56:54

麻生君

56:55

ありがとうございました。大変参考になりました。時間になりましたので終わります。

56:58

杉尾秀也君

57:03

立憲民主社民の杉尾秀也でございます。参考人の先生方、本日は分かりやすい、そして継承すべきご意見を賜りまして大変ありがとうございます。早速質問の方に入りたいんですけれども、何分にも時間が限られておりますので、できる限り端的にお答えいただければ幸いに存じます。よろしくお願いいたします。長谷部参考人に伺います。今の質問にもありましたけれども、この40日30日というこの期限がですね、定められている憲法50項に、この趣旨はどういうことなのか、今政権の椅子割りを阻止するという、そういう例がありましたけれども、それ以外の理由もあるかどうかということも含めてお答えいただけますでしょうか。

57:51

長谷部参考人

57:53

このこういったの、引数を限るというのは、世界各国の憲法にある規定ですけれども、これはもともとは、立憲体制以前の、いわゆる絶対主義的な体制の下で、議会を解散したまま、なかなか選挙を行わないと、選挙は行ったけれども、新たな議会を招集しないということがままございましたので、そういうことが起こらないようにということで、こういう引数を限っていると、それが主な趣旨であるというふうに考えております。

58:31

杉尾君

58:33

ありがとうございます。そうしますと、その54条1項の規定から緊急集会を70日間に限定して考えるのは根拠がないと、こういう趣旨であるというふうに理解しておりますけれども、それでは54条2項に書かれた、国に緊急の必要があるとき、これが終わるまでは緊急集会の開催は可能というふうに考えてよろしいんでしょうか、どうでしょうか。

58:55

長谷部参考人

58:57

これは先ほどの報告の中でも申し上げたことなんですけれども、やはり選挙は実施が困難な部分があるといたしましても、困難でないところから可能な限り速やかに選挙を実施すべきものでございまして、その結果新たな国会の招集が可能になった時点では、これは新しい国会を招集すべきものであるというふうに考えております。

59:21

杉尾君

59:23

それでは次に同意参考人に伺いたいと思います。54条2項の緊急の必要があるときについて、同意参考人は、これ事前に配っていただきました中尺日本国憲法3の中で、他国からの武力行使、それから内乱又は大規模自然災害等による国家緊急事態、こうしたのを例示として挙げておられます。これについて憲法の立法経緯を踏まえて趣旨を具体的にご説明いただけますでしょうか。

59:54

同意参考人

59:56

ここの部分につきましては、私の論文の中にも書かれていますし、それから松浦参考人の論文の135ページにもありますように、英訳はin time of national emergencyという表現になっております。このnational emergencyというのが広いか狭いかということについて、日本側とGHQの側でやりとりがございます。日本側は主張していますのは、このnational emergencyというのが今ご指摘のありましたような、他国からの武力の行使、内乱、大規模自然災害等の場合に限定されると返しますと、日本側としては狭すぎると。そういう理解でもう少し広く理解したいというふうに主張しておりますので、前提としては今申し上げたような点は含まれるものと理解されていたと返されます。以上です。

1:00:48

杉尾君

1:00:50

もう一問同意参考人に伺います。同意参考人はですね、道書におきまして、大規模自然災害などで総理大臣や多数の国務大臣がかける場合について言及をされておられます。これは先ほどの意見の中にも出てまいりましたけれども、そこで3点伺いたいんですが、まず1つ目は、緊急集会で対処できる国家緊急事態の内容や規模には基本的に制限はないという、こういう考え方でよろしいのか。2つ目は、憲法制定時に緊急集会は憲法73条6項の政令委員とともに制定されました。こうした経緯から考えますと、日本国憲法は全体として想定し難い大規模災害のような国家緊急事態への備えができていると、こういうふうに理解してよろしいかどうか。そして3つ目ですが、緊急集会70日間限定制、先ほどから焦点になっておりますけれども、緊急集会の立法趣旨等を考えますと、必要な間は緊急集会を開催できると考えていいのか。これは先ほどの長谷参考人の質問にも共通しますけれども、以上3点お答えいただけますでしょうか。

1:01:59

土井参考人。

1:02:01

基本的には、先ほども申し上げましたように、内閣が示した案件に関連する範囲内で広く国会の権限を代行することができると、解すべきだと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、では憲法の改正の発議までできるかというと、それは私はできないと思いますので、限界はあろうかと思います。それから、すべての緊急事態について憲法は備えているかという問題ですが、およそ緊急事態の備えというのは一長一短ございまして、完璧かと言われた場合に完璧な備えというのはできないというのが、緊急事態の難しい点でございます。ただ、そのような点を想定して作られているかと言われれば、参議院の緊急集会がそのような一例であると考えられると思います。70日につきましては、長谷部参考人がおっしゃられたように、選挙が行われて、それから特別会が招集できるという事態になりましたら、それはそちらの道を選ばなければいけないというような限界はあろうかと思います。以上です。

1:03:03

はい、杉尾君。

1:03:04

はい、会長。ありがとうございます。それでは最後にですね、3人の参考人の先生方にですね、同じ質問をしますので、お答えいただけるとありがたいです。一つ目は、憲法に国会の立法機能を代行する参議院の緊急集会制度があります。にもかかわらず、国会議員の議員任期の延長のための憲法改正というのは、政策的に本当に必要なのかということ、また民主主義の在り方として、選挙された国民代表であります我々参議院議員が一旦その役割を担って、その後に選挙された衆議院議員の同意を要件とする、いわゆる緊急集会等。選挙を経ずに内閣と国会の判断で任期を延長された国会のどちらに、憲法の基本原理であります。国民主権や議会制民主主義における正当性があるとお考えか、それぞれの先生方のお考え、端的にお示しいただきたいと思います。

1:03:57

松浦参考人。

1:03:59

今の質問のご趣旨がちょっとよくわからなかったんですが、参議院の緊急集会の方が民主的正当性を担い得るということなんでしょうか。どちらとお考えかということです。どちらが、その国民主権並びに議会制民主主義における正当性があるとお考えか。それはもちろん選挙によって、衆議院、参議院、両院揃って国民から選ばれたわけですから、その両方が揃うということが民主的な正当性、これを確保するのが最上位だと思います。ただ、衆議院がかけた場合に、それを担うのが参議院の緊急集会ということですが、ただそれは無限の権限を、つまり、衆議院の権限のみならず、国会全体の権限をですね、全て参議院が担うというのはちょっと無理があるかと思います。

1:04:55

長谷部参考人。

1:04:57

現在の民意を反映していない衆議院の任期を延長するということは、やはりその民意の反映という点では問題があるというふうに考えておりまして、そういう意味では、任期延長という制度よりは、現在の参議院の緊急集会制度を活用して、しかしなるべく早く選挙を行う、新たな国会を創出する、それが民主的な制度の運用になるかと考えております。

1:05:24

土井参考人。

1:05:26

基本的に民主的正当性というのは、やはり選挙が早急に行われる事態が生じることになるということであろうと思います。いずれの緊急集会の場合も、あるいは任期を延長する場合にも、共に民主的正当性において、両院委員制が機能している時よりは問題があるというふうには変わりございませんので、基本的にはどちらの場合が、次の総選挙を速やかに実施できるような仕組みになり得るかというところが重要なんだろうと思います。以上です。

1:05:58

西田誠君。

1:06:01

ありがとうございました。公明党の西田誠でございます。今日は3人の参考人の皆さんありがとうございます。まず私の考えを述べます。災害等の緊急事態は政府に権限を集中させる必要があります。その上でそれを過度に妨げることなく、しかしその活動を国会で適切に監視しなければならない上、国会議員の民主的正当性の確保が重要だと考えます。ゆえにできる限り選挙を行うべきであり、議員の任期延長や全議員の身分復活は極めて例外的に扱うべきであると思います。基本は参議院の緊急集会プラス国述投票で対応しつつ、衆議院議員選挙が相当数の選挙区において長期間実施できないという極めて例外的な場合にのみ、議員の任期延長や全議員の身分復活を認めるかどうか慎重に検討すべきという立場であります。その際には参議院の緊急集会での議決を行い、民主的正当性を担保すべきと考えます。そこで、まず松浦先生にお聞きをいたします。議員の任期延長や全議員の身分復活の場合において、その兼納の範囲であります。十分な民主的正当性が認められない以上、これも暫定的一時的であり、参議院の緊急集会との間で根本的な差異があるとまでは言えないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

1:07:24

松浦参考人。

1:07:26

先ほど、大石参考…、あ、ごめんなさい。長谷参考人の方からですね、おっしゃったことなんですけれども、その平時と有時と言いますか、平時と非常時の区別というものを最善と分かたなければいけない。で、どこからが非常時でですね、どこまでが平時なんだということについての判断というのは非常に難しい問題があると思います。で、例えば自民党のですね、緊急事態条項も平成24年でしたか、発表されて、一度手直しされてますけれども、その非常時対宣言を出すということに対して、国会がこれを承認するかどうか。国会の承認がなければこれは執行するわけですね。ですから、政府単独でもってこれを行うということはできないわけで、ただその非常時というものを、政府がどう考えるか。で、選挙などについてもですね、できるできない、どの地域ができて、どの地域ができないのか、あるいは広域的にもできないのか、全部やめてしまったらいいのかというのは、その状況によってですね、全部違ってくると思うんですね。ですから一律にその、これを、私ももちろんですね、総議、総選挙ができれば、なるべく早くできた方がいいというのは、それはもう当然のことなんで。ただそれができないときにどうするかという話をですね、今させていただいております。ですのでこれはケースバイケースで、緊急時、緊急事態を宣言するなんてことは、滅多にやっちゃいけないことなんですよ。で、それをですね、やらざるを得ない状況というのが、それは何なんだということを、まずこれをはっきりさせなければいけないということなんだと思います。

1:08:58

石田誠君。

1:09:00

はい、土井先生にお聞きします。全議員の身分復活を認めるに対しましても、極めて例外的な場合を超えて、容易に生じ得るような要件にまで広げた場合、参議院の緊急紹介の意義を失わせる恐れはないか。それはひいては参議院の存在意義についての議論につながらないか、お聞きしたいと思います。

1:09:21

土井参考人。

1:09:23

はい、任期延長の問題の中で、私自身、憲法理論上、最も難しいと考えますのが、失職した衆議院の身分の復活させる場合でございます。とりわけ解散が行われて、その後、衆議院の身分を復活させるということになりますと、実質的に解散の効力を失わせる仕組みになります。従って特に慎重な検討が必要で、もしこの衆議院議員の身分の復活に内閣の関与不可欠だとしますと、解散を行った内閣自身に解散の撤回を求めるということになりかねませんので、そのような仕組みが機能するかという問題がございますし、既に衆議院が存在しませんので、このような仕組みを行うかどうかは、参議院でお決めになると、緊急集会でお決めになるということを考えざるを得ませんが、参議院に内閣の解散権の行使を否認する仕組みを認めるということになりかねないという問題がございます。従ってこの問題は、参議院の役割を、緊急集会の役割を失わせるという面もあろうかと思いますが、参議院にそこまでのことを認めていいのかという問題点もございますので、理論的には慎重に御検討いただいた方が良いかと思います。以上です。

1:10:46

西田君。

1:10:47

長谷部先生にお聞きをいたします。緊急集会プラス栗の部投票のみでいかなる緊急事態でも対応すべきとした場合、栗の部投票ではなく、緊急事態が収束するまで議員の任期延長等を行い、全国で一律の投票を行うべきとの指摘がございます。全国一律に投票を行うべきとの憲法学説は、聞いたことはありませんけれども、先生はどうお考えでしょうか。

1:11:18

長谷部参考人。

1:11:20

私自身は、全国一律でなければいけない要請というのは、憲法学上はそれほど強いものではないというふうに考えております。先ほど申しました最高裁の判例を前提として考えれば、可能になったところから順次、速やかに選挙というものは実施すべきものであるというふうに考えます。

1:11:40

西田誠君。

1:11:42

三人の先生に端的にお聞きします。選挙が困難な事態と、いわゆる非常事態を立て分けて議論する必要もあると思います。非常事態において、私ども公明党は緊急政令や緊急財政処分は不要であり、個別法の政令委任や予備費で対応すべきとの考えでありますが、それぞれの先生のお考えを端的にお聞きします。

1:12:04

松浦参考人。

1:12:06

事前に法律の委任の条項を、今、災害対策基本法であるとか、もう既にあるものがあります。問題は、その委任を事前に様々な危機状況を想定して、委任事項を盛り込めばいいのですが、ただ、それが想定できないような状態というものがあったときにどうするかという話、そこだと思うんですね。平時から非常に詰めた議論をして、こういう緊急事態においては、こういう政令委任が必要であるということを十分検討されていればいいのですが、しかしながら、その中には人権を制限するということも含まれる可能性が非常に高いわけで、そうしますと、やはり国会でそうした議論をするということについて、国民の理解がなかなか得られないということで、およびごしになってしまう。そうなりますと、緊急事態が生じたときに、委任事項がないので政府は何もできないかという話になってきた。そのときに、緊急政令の必要があるかどうかという議論が、現実に帯びてくるんだろうと思います。

1:13:08

長谷部参考人。

1:13:10

現行の憲法制度の範囲内で可能なことがあるのであれば、それをできるだけ活用するというのは、それは正しい方向性であるというふうに私は考えております。

1:13:20

土井参考人。

1:13:22

私も現行法制度上やれることは、それでやるのが適切だと思いますし、法律の委任という形をとりますと、委任が後半に過ぎると考えるときには、法律を改正することによって限定することができます。ただ憲法で過剰な権限を与えてしまいますと、それを直すのに憲法改正が必要になるという面がございますので、国権の最高機関の方で委任の範囲を大きめになるのが適当かと思います。

1:13:48

西田誠君。

1:13:50

終わります。

1:13:51

小戸北俊君。

1:13:56

日本維新の会の小戸北俊です。参議院の参考人の先生の皆様、本日は誠に貴重なお話ありがとうございます。まず長谷部参考人にお伺いをしたいと思います。衆議院の憲法審査会の方の御議論も拝見させていただきました。長谷部参考人、その中で、毛利数往留の緊急事態の法理を紹介されました。非常時になれば、まずは生き延びることが大事なのである。生き延びるために必要な場合には可能な限りで守るというものでありました。また1970年代のバーコック判決ですかね、この判決を紹介されて、赤信号を通過する緊急車両というのは、必要があって赤信号を通過したのであれば罰せられるべきではなくて、むしろ褒めたたえられるべきではないかというような判決内容でございました。しかしながら、憲法にこうした法理を果たして適用していいのかどうか。この緊急事態は、ことさらこの権力の乱用、例外を認めれば権力が乱用されるということが問題となります。この憲法で規定されていることを、緊急事態であることを理由に幅広く解釈するということは、むしろこれは権力の暴走を招くことであって、長谷部参考人が日頃から憲法というのは権力を抑制していると、ご主張ともいささかずれが生じているのではないかと思いますが、その点の見解、またこの罰告判決は、即務実用によるとですね、最終的にはやはり法律を改正すべきだという結論になったというふうに聞いております。ですからこれをご紹介されるのであれば、やはり憲法を改正して、ちゃんとこのルールを変えることが望ましいという結論になるんじゃないかと思われますが、その点の見解も併せてお願いいたします。

1:15:20

長谷部参考人。

1:15:22

罰告判決、これは最後でデニング卿は暴論としてそういう趣旨のことは言っておりますが、これはその判決そのもので問題になった話ではございません。その判決自体で問題になっているのはあくまで、その当時のイングランドにおきましては、緊急車両、火信号を通過しても構わないということが名分で定めがなかった場合に、それに対してロンドン市の消防局が、緊急の場合には火信号を通過してもいいのだという通達を出した合法性が争われたという問題でございます。それについてはこれは合法であるという判断が示されております。それからこういう必要が生じた場合に、名分の規定に反するようなそういう判断が必要になると。これは好ましい事態でないことはその通りなんですけれども、そういった場合にあくまで前もってそういった場合に対処するような、これまた名分の規定を設けておくべきなのかどうかというのは、これはまた別の判断が必要になってくる話です。これは昔の話になりますが、かつてダッカーにおける日光機ハイジャック事件というのがございました。その時には人質が次々と殺されていくかもしれない、そういった事態を避けるためにこれはテロリストの要求に応じて、刑事施設に収容されている、いわば仲間を超法規的に釈放したわけです。これについてもちろんよしよしの判断というのはあり得るでしょうけれども、しかしそれはその当時の政権の判断としては必要やもえない、根拠になるような法令は何もないが、そうした事態を、そうした措置を取らざるを得ないということだったと思います。しかしひるがえって考えてみたときに、そうした場合には超法規的と言いますか、他には何の根拠もないのであるけれども、刑事施設に収容されている人間を釈放して構わないのだというふうに、あらかじめ明文で決めておくべきなのかということになります。これはおそらくそういうものではないだろうということになるはずでございまして、やはりこれはどういった場合にあらかじめ法で持って、そういうルールなり、純粋な理を決めておくべきなのか、ことの性質に応じた対応が必要になるのではないかというふうに私は考えております。

1:18:09

小時田俊君

1:18:11

ありがとうございます。ちょっと興味深いお答えなんですが、ちょっと時間がないので次の質問させていただきたいと思います。次の長谷部参考人なんですが、70日を超える参議院の緊急集会は可能であると、これは容認されるということなんですが、それとはいえ、これはいつまで有効になるのかという問題に直面します。長谷部参考人は先ほど来、この権力者が居座ることを防ぐということをおっしゃっておりますけれども、これは参議院は与党が絶対安定多数を占めていて、その参議院の与党がずっとこの緊急集会を伸ばして、復元しないと、そういう権力の居座り方というのも考えられるのではないかと私は思うんですね。そうしたところについての懸念というのは、むしろこのルールを設けないで柔軟に運用した方が、そうした形での権力の暴走というのは招きやすいのではないかと思いますが、その点に対する御見解をお願いいたします。

1:18:56

長谷部参考人

1:18:59

これはあくまで現行の制度を前提としての話になりますが、現行の制度では、内閣が提示をした案件が全て終了すれば緊急集会はそこでそこで閉じることになっております。いつまでも伸びるということは普通は考えられないということになりますし、先ほども申し上げましたが、衆議院の選挙、場合によっては部分的に延期しなくてはいけないということもあるかもしれませんが、最高裁の判例を前提にすれば、選挙は可能になったところからできるだけ速やかに順次実施をするべきものでございますので、そうなれば、これも速やかに新たな国会が昇進されるはずであります。緊急集会がいつまでも続くということは、それほど御懸念には及ばないのではないかというのが私の考えです。

1:19:48

小戸北俊君

1:19:50

ありがとうございます。では次にですね、土井参考人にお伺いしたいと思います。このリジリエンスが重要というのは、私も全くその通りだと思っております。その点、我々日本維新の会は、国民民主党さんと有志の会さんと、人気延長の緊急事態条項の案を策定しまして、緊急事態には人気が延長できると、ただそれには制限を、期間の制限を設けて延長するのであれば、再度議決、国会の議決が必要であるといった仕組みを提案しています。こうしたですね、期間の定め、そして延長する場合のルールというのを設けておいた方が、この緊急事態から平時に戻すためのリジリエンスは、むしろ増すのではないかと。やはり緊急事態だからといって緊急集会をルールなく容認し続ける方が、リジリエンス的には私は少し脆弱なんじゃないかなというふうに思いますが、その点に対する見解をお願いいたします。

1:20:32

土井参考人

1:20:33

先ほども申し上げましたが、内閣総理大臣はおそらく衆議院議員から選ばれており、閣僚の多くが衆議院が選ばれている状況で、衆議院が解散されますと、すでに衆議院議員の地位を失っているという状態になっています。その状態においては、基本的に自らの正当性を支えている委員がないという状態について、長期に維持しようという意向が働きにくいと考えられますし、衆議院議員の先生方はその段階では候補者になっておられて、自らの選挙がいつまでも行われないという状態が続く。各党において、おそらく衆議院議員の先生方の多くが幹部を占めておられるという状態であれば、その人たちがリジリエンスになって、できる限り総選挙を早く実施すべきであるというふうに働きかけをされるというのは、私は想定できる事態だと思っておりますので、緊急集会の場合におよそリジリエンスが働かないのだというふうには考えておりません。以上です。

1:21:36

おとぎ田俊雄君。

1:21:37

貴重なお話ありがとうございます。ちょうど時間になりました。今日の参考人の皆さんのお話を踏まえて、しっかり議論を深めていきたいと思います。ありがとうございました。

1:21:43

磯崎哲次君。

1:21:47

国民民主党新力崩壊の磯崎と申します。本日は3名の参考人の皆さんどうもありがとうございました。この緊急事態における緊急集会も含めてですけれども、やはり憲法あるいはこの統治機構という意味では、どういった状況にあろうともしっかりと国会の機能、この統治機能、機構、これをまずはどのように維持していくかということが大変重要だという認識に立っています。また、併せてこの憲法の中で、これも同じく緊急的な状況になったにおいてもやはり人権保障がしっかりとなされていく、こうしたことが非常に重要だという認識に立って、これまで党内でも様々な憲法の中身についての、課題についての議論をしてきたところでもあります。先ほど今、弟北さんの方からもお話がありましたけれども、本当に大変厳しい状況になったときの衆議院の議員任検庁ということ、究極の状態というふうに考えてもいいと思うんですが、そういう意味で我々も提案をさせていただいているところでもありますけれども、やはりまずはこの参議院の緊急集会、これをしっかりと活用していくということ、これが大変重要だというふうにも考えています。その中で、先ほどこの70日に関係して、その更なる延長と言いましょうかね、70日以上のものということで、長谷部参考人、それから土井参考人の方からありまして、今、長谷部参考人の方からは、それほど長期になることが想定できずというふうなお話もありました。今、内閣からの提案を処理するということだということでありましたけれども、それが繰り返し繰り返しということになれば、結果としてその全体的な期間としては長くなっていくのではないかなという、こういうことも考え得るんですけれども、こうしたやはり最長としてどれぐらいの期間までこの緊急集会というものは許され得る、認められ得るのか、この点について改めて長谷部参考人と、あと土井参考人もこの延長はあり得るというふうに考えています。これもこの延長はあり得るというお話がありましたので、お二人の参考人からご意見をお頂戴できればと思います。

1:23:53

長谷部参考人

1:23:55

これはあらかじめ、例えば何十日とか何ヶ月とかというのをあらかじめ申し上げることは、これは多分できない話ではないかと思います。私として申し上げられますのは、結局この点も含めまして先のことは分からないわけですね。ですので、参議院の緊急集会制度というこの制度の趣旨も含めまして、なるべく早く平常時に戻す。そのためには選挙が難しいだろうとおっしゃらないでですね、可能なところから順次可能な限り速やかに選挙を実施して、新しい国会を招集する。そのためにできる限りの努力をする。それが第一に重要なことになるのではないかというふうに考えております。

1:24:45

土井参考人

1:24:48

具体的にはやはり自然災害等の緊急事態の実情に即した対応を行うほかないとしか申し上げられないんですが、次の二つの歴史的事実は参考になろうかと思います。一つは、阪神淡路大震災の際、あるいは東日本大震災の際に行われた選挙期日の延期で、これが東日本大震災の際には最大7ヶ月程度の延期が実際に行われたということが一つです。もう一つの事実は、終戦後最初の帝国議会衆議院議員総選挙が、終戦後約8ヶ月後の昭和21年4月10日に行われているという事態になります。ご存知のように、東京、大阪等の大都市は大空襲にあっておりますし、広島、長崎に原子爆弾が投下されて、8月14日にポツダム宣言を受諾したという、我が国にとって未曾有の緊急事態だったと思います。しかし、これ4ヶ月後の12月8日には衆議院の解散が行われておりまして、政府は1月に総選挙を実施する予定だった。ただ実際ちょっとGHQとの関係で、4月まで延びておりますが、そのぐらいの間隔で実際に行おうとした。これが我が国にとって経験した、おそらく大きな緊急事態における2つの事例だと思いますので、その辺りを参考にしながら、ご検討いただくことになるんじゃないかというふうに思います。

1:26:07

磯崎哲次君。

1:26:10

ありがとうございます。今、長谷部参考人から、やはりそうは言ってもやはり選挙できるだけ早くというご発言も、まさにそれができればやった方がいいなという思いはあるんですけれども、そこで先ほど選挙に関連して、国の上の規定ですとか、あるいはできるところからということが長谷部参考人の方からもありました。これは、そうしますと、随時、想定されておられる考え方としては、随時選挙をやれるところからやっていくという、多分お考えだと思うんですけれども、そういった形で行われた選挙において、やはり任期はそれぞれの地域で、やはり4年という任期をしっかりと考えて、満期という意味ですね、議員任期という意味では、4年ということを想定していくべきなのか、それともやはり将来的にはもう一度全国一律の選挙制度に戻していくということを想定すべきなのか、その後どのようにこの選挙制度、ずれてしまった選挙制度を戻していくか、この辺についてもしご見解があればお伺いしたいんですが。

1:27:12

長谷部参考人。

1:27:14

特にその点は詳しく考えているわけではございませんけれども、国の目投票ですとか、選挙そのものを延期するということは従来も行っている話ですので、それのときにそんなに困った話にはおそらくなっていないはずでございますから、過去の先例に即してしっかりと運用していただく、それで特に問題はないのではないかというふうに私は考えております。

1:27:39

石澤貴哲次君。

1:27:41

ありがとうございます。それとあと、すいませんもう一つ長谷部参考人の方に立て続けて恐縮ではありますけれども、あとこの議員任期延長ということをした際に、やはりその、椅子割りのような状況になってしまって、それこそ平時で成立させ得るような法律もですね、その中で作られていってしまうこと、これにはやはり問題があるというお話もあったわけですけれども、これも実は我々議論をしている中で、こういう議論もやはりありました。ただ、その中で少なくとも4年という任期がそもそもあった衆議院議員を選んでいるので、少なくともその任期中は国民から信任を得たという立場だとすると、解散総選挙ということでその身分は、そのときは失ったとしても、少なくとももともと4年という任期は国民からの信任を得ていたのではないかとすると、その部分の任期延長というような考え方というのは、これはあり得るのではないかなという、こういう考え方もあったんですけれども、そこはやはり解散総選挙という時点で、やはり国民からの信任も、そこはやはりなくなったという考え方をした方が、そこは整合性が取れるということになるんでしょうか。長谷部参考人。やはり解散の場合もございますけれども、期限を定めて、その時点、その時点での有権者の信任がどこにあるのか、それを聞いていくということが民主的な政治体制の運用にとっては大変肝心なことではないかというふうに考えております。磯崎哲次君。はい、時間になりましたのでこれで終わります。ありがとうございました。山添拓君。日本共産党の山添拓です。参考人の皆さん今日はありがとうございます。松浦参考人にまず伺います。参議院の緊急集会では対応できない場合があるということで、緊急事態における国会議員の任期延長の必要性について、今日も議論がされてきました。これも議論になっていますが、一方で憲法が国会議員に任期を定めているのは、選挙で国民に選ばれた代表であるからこそ、立法を通じた権利の制限、あるいは義務を課す、その正当化がされるという理屈であろうと思います。この任期を延長された国会議員の民主主義的な正当性、あるいはその延長された後の国会議員が自らの次の総選挙に向かわせるような、つまり総選挙を行おうというそういうインセンティブですね。それはなかなか働かないのではないかということも思うのですが、その点はいかがでしょうか。

1:30:25

インセンティブの問題は私は議員の… 松浦参考人

1:30:29

インセンティブの問題というのは私は国家議員でございませんので、あまり理解をしておらんのですけれども、その任期の延長が必要なケースというのはですね、繰り返しになりますけれども、緊急事態が宣言されて、それに伴って例えば衆議院の解散が禁止されたり、あるいは任期の延長がなされるということですから、単独でもって任期が延長されるという話ではないんですね。緊急事態を宣言しなければならない要件というものはかなり政治的なものでありまして、これはケースバイケースだと思うんですね。非常に重大な、つまり通常の統治機構が機能しないような状態になった時にどうするかという話。その時にもう選挙をやっている場合じゃないだろうと、選挙もできないという時に任期の延長をすべきだと。一旦はですね、これ選ばれた議員ですから、国民の信任を完全に喪失したわけではないし、先ほどもご質問でありましたように、解散のケースだってあるわけですから、解散は国民が解散したわけではなくてですね、政府の都合で解散しているわけですので、国民の信任をそこでですね、失ったという考え方ではないんだろうと思うんですね。緊急事態になった場合にですね、何を優先させなければいけないかというのは、もう言うまでもないことですが、国民の生命財産を守るということが最優先であって、それを優先させるために国会が混乱してはいけないと。政府の統治能力を従前に機能させるために国会がですね、権力の乱用は抑制しなければならないけれども、国会の機能もちゃんと維持しなければいけないというところが重要なのであって、そのためにはですね、一時的に任期の延長が必要になる。衆議院の場合には4年任期ですけれども、解散があったらもっと短いわけですね。一方でその参議院の場合は6年任期が保障されているわけです。6年任期だからですね、参議院よりも任期が長いので、民主党が保障されているから衆議院の優越、これは国民の意識がですね、繰り返し反映されるのでというような議論がありますけれども、それを言ってしまいますとですね、衆議院は6年任期だから国民の信任は薄いことを認めるって話になってしまうと思うんですね。やはりその、場合によっては3年で終わる衆議院もいればですね、4年任期を全うできる議員もいらっしゃる。それでも国民の信任を一度は得ている。優先しなきゃならない国会のですね、緊急事態にそれを優先する。で、そのために国会を混乱させてはならないどれに任期を一時的に延長する。その必要がなければ緊急事態宣言はもう解除するというシステムを作ればですね、それは乱用の危険というのはないんだと思います。

1:33:10

山添拓君。

1:33:11

ありがとうございます。長谷部参考人と土井参考人に伺います。今の点にも関わるのですが、私は選挙で選ばれて任期中の参院議員が関与する緊急集会と、内閣の判断によって他にもいくつかの手続きがあり得るとしても、内閣の判断で任期が延長された衆院議員が権限を持つ仕組みとでは、民主主義的な正当性という点では、質的な異なりがあると思います。これは緊急時における、緊急の必要があるときの民主主義的な正当性の持つ意味ということかと思います。その点について、両参考人の御意見を伺いたいと思います。

1:33:49

長谷部参考人。

1:33:51

先ほども申し上げましたけれども、憲法54条で40日、30日という非活動を限っておりますのは、現在の民意を反映していないような政権のいすわりを防ぐ、それを阻止するということ、それが主たる目的でございますので、それなのにそれに代わって衆議院議員の任期を延長するということになります。それは結局、現在の民意を反映していない政権のいすわりを正面から認めるということになってしまうわけでございますから、できる限り慎重にお考えをいただくということが大切ではないかというふうに考えております。

1:34:32

土井参考人。

1:34:34

私も先ほど申し上げましたように、いずれの場合であっても、完全な民主的正当性がある状態ではないという事態ですので、どちらが民主的正当性があるのかということを議論しても若干観念論に陥ります。なので先ほど申し上げましたように、正常な事態に戻すためにどちらが有効な方策であるかという点をしっかり御検討いただくのが良いかと思います。以上です。

1:35:00

山添拓君。

1:35:01

ありがとうございます。長谷部参考人と土井参考人に続けて伺いたいと思います。この間、緊急事態状況あるいは緊急集会をめぐる議論は、自然災害への対応を理由とするもの、また新型コロナなど感染症の拡大を理由とするもの、そしてロシアの複雷な侵略を契機に戦時対応を理由とするものなど、その必要性議論の根拠自体が変遷を重ねてきたかと思います。こうした議論の状況をご覧になってお感じのことがありましたら、ご紹介ください。

1:35:34

長谷部参考人。

1:35:36

緊急事態の発生の原因、いろいろなものがあるということ自体は、その通りだと思いますので、その折々で話題になった問題、御議論になるということ、特に不自然なところは、私はないかとは思いますけれども、ただ、そのために憲法を変えることがぜひとも必要なのか、それ以前に憲法以下の対処は果たしてできることはないのかということも、やはり十分お考えをいただくということが必要ではないかというふうに考えております。

1:36:13

土居参考人。

1:36:15

私も初めに参考人がおっしゃられたように、緊急事態の問題はその都度その都度の状況を踏まえて御議論になっておられると思いますので、それについて意見を申し上げることはございません。緊急事態について、できる限り適切な仕組みを検討されるというのは国会の役割でございますので、それについても異論はございません。ただ、緊急事態というのはあまり観念的に議論しても進まない話で、実際にどういう場合があるのかということを想定して御議論になるのが一番現実的であろうと思います。その意味では現に緊急集会の制度があるわけですから、参議院におかれまして、実際に緊急集会をどのような形で開催する必要があるのか、その際にどこに問題があるのかということをしっかり御議論になった上で、次のステップに進んでいかれるというのが、温当な方法ではなかろうかと感じております。以上です。

1:37:11

山添拓君。

1:37:12

ありがとうございました。終わります。

1:37:15

山本太郎君。

1:37:17

参考にいる先生方、非常に貴重なお話ありがとうございました。令和新選組の山本太郎と申します。松浦先生は防衛大学で教えていらっしゃるということで、松浦教授の先生の2019年の論考、日本国憲法と国家緊急事態では、事前に法律で委任した範囲を超える対応が必要になる事態を想定して、憲法で政府に緊急命令権を与える必要性を指摘されています。緊急命令権の乱用を防ぐために、あらかじめ緊急命令の限界を定める、事前に委任事項をできる限り網羅的に整備するなど、できる限り事前に想定して、制度を作り込んでおくことも御提案なさっています。想定外の事態にも対応できるようにというのは、これは絶対必要なこと、私自身もそう思います。事前にあらゆる法整備も行わなければならないというメッセージは非常に重要だというふうに感じています。実際に今、日本を引いてみれば、もちろん近隣諸国といいますか、このアジアの緊張が高まっていると、どこからミサイルやロケットが飛んでくるか分からないみたいな状況も、そういうような、いわば緊迫したような空気も確かにあるんですよね。そんな状態において、海岸線に原発が並んでいる、核燃料が貯蔵されている、再稼働されているという状態というのは、私ちょっと矛盾しているんじゃないかなというふうに思うんです。外からの攻撃が来るぞ来るぞと、軍備を増強しろ増強しろという空気の中で、絶賛再稼働中、そして準備中というような状況が当たり前にあると。でも、この1年ぐらいで私たちが学んできたことというのは、十分戦争のときにターゲットにされるのが原発であるということだったと思うんですね。原子力規制委員会の安全審査も、内閣府が策定支援する避難計画も、原発が攻撃されること自体が想定されていないんですよ。原発が攻撃されることも想定して、万が一にも原発が攻撃による拡散事が起きないように、確実な対応を今すぐ講じるということは、憲法上の責務が国としてあるんじゃないかなというふうに思うんです。松浦教授、平成29年の衆議院の憲法審査会においても御指摘されたとおり、自然災害というふうに見てみても、南海トラフ地震による津波浸水被害だったり、東日本大震災の範囲を大きく上回ると、被害というのはもうとてつもなく比べ物にならないんだということをおっしゃっていたと思うんですね。そういう趣旨のことをおっしゃっていたと思うんです。これは海岸線の原発、当然これ無事に進むはずはないと。これ自然災害を考えたとしてもそうです。緊急事態に備えようというような方向で議論がされ、そして憲法改正も目指すというような状況であるならば、当然、まずこれ原発の即時停止、核燃料を早急に搬出して冷却して、国の責任、自衛隊の責任で安全管理することが、私は憲法上の要請にもかなうんじゃないかな、そう思うんですけど先生いかがお考えですか。松浦さん、後任。残念ながら私は原子力政策の専門家でもございませんけれども、全敗してという話はエネルギー政策全般にわたる問題でありますから、止めていることを前提として議論するというのは難しいんですが、ただ、山本先生がおっしゃったように様々な、特に軍事的な目標にされるようなところに攻撃があった場合に、どのように対応すべきかということは予想できることでありますから、それに対応した避難計画なりを整備するというのはもちろんのことだと思うんですね。不可能であれば立法を考えるし、しかしながら一方で、この原発の問題として、緊急事態で対応する場合に人権の制限というものが常に伴ってくるわけですね。さっき本法なんかで緊急政令で委任されているものというのは、ほとんどが経済的自由権の制限に関わる問題がほとんどでありまして、それ以外の人権については非常に微妙な問題がありますので、なかなか触れられないというところがある。非常にその委任の範囲が狭いということがあるわけですね。他にないかといってその検討を進めましても、なかなか立法府が人権の制限を大幅に認めるような委任立法を行うというのは、国民の理解も得られにくいし、なかなか進まないというところがあります。予想できるそういった危機に対応するための委任立法がもう完璧にできているというのだったらいいんですが、しかし現状、さまざまな危機の状態があり、それに対応するだけのものを立法府が全部を抱え込んで、事前にそれを想定するというのはほとんど不可能。なので、緊急事態においてそのときに必要な措置を一時的に緊急政令、これは法律の委任によらないですね、法律と同一の効力を持つ委任命令というものを一時的に認めて、それを国会が完全な形でチェックするというやり方が最も効率的だと私は思っております。ちなみに私はドイツの専門家なんですが、ドイツの場合にはこの委任命令のやり方を戦後やめました。やめまして、できる限り憲法の中に緊急事態の累計を全部組み込んで、あらかじめ委任政令と言いますか、法規命令とドイツで言うんですが、それに委任できることを全部法律でざっと挙げたんですね。冷戦時代にそういうことをやったんですが、ただ今日サイバー戦であるとか宇宙戦であるとか、そうした新しい戦場が増えてまいりますと、もうそれでカバーできない部分も出てきている。そこをどうするかということで、今まさに憲法の累推解釈とか、いろいろなことでカバーしようとしているんですね。やはり想定できることというのは、もうそのときそのとき頑張るんですが、だけど新しい時代になってくると想定できないことが次々に出てくる。それをどうカバーしていくかということは、暫定的には政府に一時的に任せて、それを国会が有効にチェックするというやり方しかないのではないかと思います。

1:43:27

山本太郎君。

1:43:28

ありがとうございます。これはすぐにでも対応できる、想定されることに対してはすぐ手を打てるという状況にありながら、先ほど言ったとおり原発に関してもこれは再稼働が進んでいくと、そのままになっている。安全保障の話になったとしても、そのことはなかったことにされてしまうというのは非常にまずい状態だな、そう思います。申し訳ございません。今、松浦参考人に聞いたことを、長谷参考人にもお聞きしてよろしいでしょうか。

1:43:55

長谷参考人。

1:43:57

憲法によって対処する以前の問題として、いろいろ喫緊に対処が必要ではないかと思われる政策課題が様々にあるということ自体は、これは山本先生のおっしゃるとおりであろうかと思います。そういう意味では、憲法だけに焦点を当てるよりは、いろいろなところに目配りをしていかなくてはいけない。それはおっしゃるとおりであるというふうに私も考えております。

1:44:30

山本太郎君。

1:44:31

すみません。もう時間も残り少ないので、次は2ラウンド目に譲りたいと思います。ありがとうございます。引き続き質疑を行いますが、これより質疑時間は答弁を含め5分以内といたします。

1:44:46

赤池正明君。

1:44:48

自由民主党の赤池正明でございます。今日は3人の参考人の先生方、本当に勉強になりました。選挙で選ばれた国民代表としての意義、それから緊急集会を担う議員としての意義について、本当に改めて勉強をさせていただきました。その中でいくつか質問をさせていただきたいと思います。松浦参考人に対して、先ほど冒頭の陳述の中で、欧州各国、民主主義国家の中でも認検庁はいくつの国で行われていると。そういった国々で、今日も議論になっておりますが、民主的な民意を反映していないとか、民主的統制というそのような議論というのはあるんでしょうか。

1:45:37

松浦参考人。

1:45:39

先ほども申しましたが、少なくともドイツでですね、先ほど申しましたように、防衛事態、戦時においては、連邦議会のですね、あるいはその州議会の議員の任期はですね、自動的に延長されると。緊急事態が終わった後6ヶ月でこれも任期が終了するという形で、選挙は行わない、開催もしないという形をとっております。その選挙ができないからといってですね、賛成権が制限されたとか、あるいは侵害されたとかという議論は一切聞いておりません。やはりその優先順位の問題なんだと思うんですね。一旦は選挙によって選んだ議員ですから、一応民主的な正当性は確保している。ただその選挙が先に延びたということであって、それでその権利が侵害されたというよりも、やはり国民のですね、生命財産を守ることを優先に考えて、その賛成権の行使というものはですね、ある程度制限されるのはやむを得ないんだというこういう考え方だと思います。

1:46:37

赤池正明君。

1:46:41

松浦参考人の資料の中に、また冒頭にもお話がした、常置委員会ですね。この問題は、実はあまり自民党内、またこういう国会でも議論がなされず、ドイツの事例であったり、過去松本委員会が提案したと。やっぱり議論する中にですね、緊急集会だけじゃなくて、いわゆる衆参の常置委員会が大事だという、この緊急集会、参議院の現行の緊急集会とドイツ側のですね、この常置委員会、これ一体何が違って、共通する部分と何が違うのかというのを、ご専門の立場からご説明ください。

1:47:20

松浦参考人。

1:47:23

まず常置委員会というもの、先ほど申しましたように、Yマル共和国憲法以降ですね、ドイツで発案されまして、実はこれ古い制度でもございませんで、今でも採用している国はあります。例えばスペインですね、スペイン憲法、1978年のスペイン憲法ではですね、この常置委員会、これ116条、緊急事態の規定なんですが、この中に常置委員会が会員の権限をですね、代行するという規定がございます。で、参議院の緊急集会と常置委員会どこが違うか。ドイツのケースはですね、これは時代によってちょっと違いますし、国によっても違うんですが、例えば先ほど申しました常置委員会ではなくてこれは合同委員会と申しますけれども、選時において、民議会ですね、委員会。これは両院の代表者からこれは選抜されております。で、これはですね常置委員会、合同委員会の例を挙げますとですね、これは48名の委員からなっております。で、そのうちの3分の2は連邦議会、連邦議会はこれ国民の代表機関です。で、連邦参議院というのがありますが、これは選挙によって選ばれずに、各州の代表によって選ばれます。3分の1。ですので、連邦議会3分の2、連邦参議院3分の1の委員から、つまり両院からですね、この常置、合同委員会というものが組織されている。なので一方だけでですね、この国会の地位を代行するというのはむしろ稀なケースであってですね、これは参議院の緊急集会、集会制度が採用されたときにも、清宮志郎先生でしたが、非常に丸な制度であるということをおっしゃっております。

1:49:16

赤池正明君。

1:49:18

ちょっと時間がなりましたが、長谷部参考人、同志参考人に一問ずつ聞きたいと思います。長谷部先生の中で選挙が大事だからと。一部でも選挙やって、そのとき一部延長でも、任期延長でもいいというようなご発言をちょっと聞いたんですが、それは聞き間違いで、任期を超えても、選挙をやっている最中、衆議院議員の任期が超えても、それはそれで認めるという意味なのか。ちょっとそこら辺を、発言のご確認を一点と、同志参考人、それぞれ否定説、肯定説、非常に並べているんですが、このそのものが、我々も含めて、特に国民にとって、憲法の法安定性をすごく揺るがすような、そんなに解釈が分かれなきゃいけないのか、ということを総目に思ったものですから、それぞれ先生方一問ずつ確認させてください。

1:50:04

長谷部参考人。

1:50:05

私が申し上げたのは、選挙の実施を延期するという、そういう趣旨でございます。以上です。

1:50:12

同志参考人。

1:50:13

法律も憲法も、すべての条文について解釈が割れるというところは不可否ですので、それを整理させていただいたということになります。以上です。

1:50:25

小西博之君。

1:50:27

立憲民主社民の小西博之でございます。私からも、5、3名の先生方のご供述に心から感謝を申し上げさせていただきます。まず、同志先生にお伺いさせていただきたいんですが、54条1項のこの40+30=70の解釈で、早部先生は、権力の偽りを防ぐためというもの、これは比較法的にも、歴史的にもそうであろうということだったんですが、同志先生におかれましても、70日については、そのような解釈が成り立つとお考えでしょうか。簡潔にお願いいたします。そのとおりだろうと思います。70条で、新たに国会が開かれたときに、内閣は総辞職しなければならないと定めている規定と合わせて、そのように解釈できると思います。

1:51:06

小西博之君。

1:51:08

長谷部先生、同志先生にお伺いさせていただきたいんですが、先ほど衆議院における任期延長の改憲法の論拠、これは、いわば緊急集会70日限定説、その基本の考え方は、これを分離解釈70日として、この間に選挙ができる平時という言い方をしているんですが、災害などを想定していない平時の制度だという理解なんですけれども、先ほどの70日というこの期日の趣旨、そして、これ衆参でまだ議論されていないんですが、同志先生の御聴取を拝得させていただきましたら、佐藤達夫先生の日本国憲法制定し緊急集会がつくられた歴史ですけれども、明らかに災害ということを繰り返し繰り返し日本側は言って、この制度がつくられている。そうすると、緊急集会制度の立法趣旨、すなわち災害などに備えて、衆議院がないときの立法機能確保ということを考えると、いわゆる70日に限定するというものは、70日のこの文言の先ほどのまず権力の偽り防ぐという解釈、趣旨、そして、もともと立法趣旨として災害などを想定しているということかとしても、解釈上無理があると。そのような見解でよろしいでしょうか。簡潔に長谷先生、土井先生お願いいたします。

1:52:22

長谷参考人。

1:52:24

そのとおりだと思っております。

1:52:27

小西博之君。

1:52:29

失礼しました。土井参考人。

1:52:31

そのように解釈しております。

1:52:33

小西博之君。

1:52:35

重ねて、長谷先生と土井先生のお伺いさせていただいているんですが、そのようにして作られた緊急集会制度が、金森担当大臣によって、憲法制定議会において、戦前の反省から権力の濫用を排除する。どんなに誠意地なものを定めても、そこに権力につけられる隙が生まれてしまうであろうと。民主政治を徹底する堅持、有名な言葉ですので、かつ土井先生の御聴取にも言及等ございますけれども、そうした時に、権力の濫用、戦前の反省からを排除するという根本趣旨に基づいて、作られた緊急集会があるにもかかわらず、議員任期の延長というのは、先ほどからも議論がありますけれども、さまざま緊急事態の認定、あるいは内閣国会がそれを多数派、時の権力の多数派が定める、あるいは再延長もできるというような制度を議論されていますので、そうすると、この憲法の緊急集会制度の根本趣旨である権力の濫用を排除する、そうしたことと矛盾するんじゃないか。立憲主義の見地からも問題があるんじゃないかと思うんですが、どのようなお考えになりますでしょうか。

1:53:34

松浦さん、失礼、長谷部参考人。

1:53:37

参議院というのは、先ほど申し上げましたけれども、緊急集会は本来的には県の方が限定をされている。しかもそれは、任務が終われば直ちに閉会をして、できる限り新しい国会に任務を委ねるという、そういう作りのものでございまして、そういう意味ではおっしゃる権力の濫用のリスクというものを最小化しようとしている、そういう制度であるというふうに考えてよろしいかと存じます。

1:54:11

小西、あ、土井参考人。

1:54:14

参議院の緊急集会について、憲法が緊急事態に対して対応する一つの仕組みとして入れたものであるというのはそのとおりだろうと思います。じゃあ、これで完全化ということについては、国会で更に御議論いただくべきことで、私自身も国会議員の任期の延長はどうなのかと言われますと、いろいろな考え方があろうかなと思いますが、緊急事態が生じた場合の国会の当然の開会ですとか、解散権の制限ですとか、そういった立憲主義の考え方からして必要な部分が更にあるのではないかと言われると、それはあろうかと思いますので、そういう点含めて国会で御審議になること自体は、それは任務ではないかというふうに考えます。

1:54:57

小西弘貴君。

1:54:58

松浦先生にお伺いしたいんですが、先ほど緊急集会制度は衆議院の同意が取れなければ国会が混乱するということをおっしゃられているんですが、先ほど今申し上げました戦前の教訓ですね、政府が行って緊急整理によって治安時法が解約される、あるいはこれは法律ですが任期延長をされてその間に太平洋戦争が解散される、そのような国民にとって本当に恐ろしい勤力の乱用を考えると、その後の国会同意の制度というのは果たしてどこまでのものかと言うんですけれども、先生はこの緊急集会の勤力の乱用を排除するという趣旨の価値を戦前の教訓に鑑みてどのようなお考えになっていますでしょうか。

1:55:33

松浦参考人。

1:55:35

まず旧憲法の下での緊急勅令、緊急財政処分、これが乱用されたという事実ですね、それと今の日本国憲法の下で緊急勢令、緊急処分をですね、比較できるのかという問題がまずあります。会見をした緊急勢です。ですので乱用されたということがですね問題だという、そういう先生のご趣旨でよろしいでしょうか。ただ旧憲法の場合ですね、これ今の国権の最高機関である国会と天皇の共産機関であるですね帝国議会とですね、そもそもこれ地位が違いますので、その議員の任性をとっておりましてもですね、貴族院と衆議院の関係、それからこれ上会の会期はですね、今日本国憲法で150日ということで臨時会も特別会もあります。旧憲法ではこれ上会の会期は3ヶ月しかないわけですよね。実際のその開会日数も日本国憲法では228日、一方で大日本帝国憲法の下での帝国議会は86日ともう開会日数がもう全然違うわけですね。その下でこの議会の地位がですね、低い中で緊急勢令、緊急財政処分で処理せざるを得なかったとか処理するのに都合が良かったというのとですね、今のその憲法の下でこれをどう考えるかというのはちょっと次元が違う問題のような気がいたします。小西先生の質問の趣旨とは違うかもしれませんが、比較にならないものですから、そういうですね、お答えにさせていただきます。

1:57:14

佐々木紗友香君

1:57:18

公明党の佐々木紗友香です。本日は参考人の皆様ありがとうございます。冒頭、私の考えを申し上げますけれども、基本的には緊急の事態については参議院の緊急集会と国の別投票で対応し得るというふうに思っております。議員任期の延長ということに関しましては、諸外国ではそうした制度を取る国もあるというふうにも承知をしておりますけれども、例えば上院が州代表であるとかですね、また上院と下院で有する権限が異なってくるという国もございますし、我が国の場合はそれに対して上院、下院ともに全国民の代表として、しかも任期も異なると常に参議院の半数がいるという状況になっておるわけでございまして、そうしたことを踏まえて、我が国でどのような制度を取っていくのが重要かということを考えていかなければならないと思っております。質問でございますけれども、まず長谷美参考人にお聞きをしたいと思います。先ほど我が会派の西田委員が、その時には松浦参考人にお聞きをしたんですが、仮に議員任期の延長ということで衆議院議員の任期を延長した場合で、その場合を考えたときに、その衆議院議員解散の場合には、元の議員の身分の復活、もしくは任期の延長という場合にも、任期を過ぎた後の立場ということでございますので、いずれもやはり暫定的、一時的なものになるというふうに考えざるを得ないのではないかと。そうなりますと、参議院の緊急集会も、確かに暫定的、一時的なものと考えざるを得ませんけれども、衆議院の任期を延長したとしても、それによる、この両院が揃った国会というのは、参議院の緊急集会を超えるものとは言えないのではないかなというふうにも思うんですが、この点についてのご見解がありましたらお聞かせいただければと思います。

1:59:40

長谷部参考人。

1:59:42

おそらくご発言のご趣旨は、任期を延長したときの衆議院議員、現在の民意を必ずしも反映をしていないということですから、その民主的な正当性は限定があるはずだと。そういうのがご趣旨だと思います。参議院の緊急集会については、現行制度の下で元々県の方に限定があるということにはなっているんですけれども、ただ、衆議院議員の任期を延長してしまいますと、そこには、やはり国会が存在するということになりますので、その国会の県能が限定されていますという、そういう制度づくりが果たしてできるかどうかという、そういう問題がやはり出てくるということになりまして、そうなりますと、佐々木先生がご指摘の、民主的な正当性の限定の問題と、しかし県能は限定されていないと、そこに乖離が生じてしまう、そういった問題が出てくるということは、確かにあるのだろうというふうに私は考えております。以上でございます。

2:00:47

佐々木紗友香君。

2:00:49

時間がもうあまりないので、同意参考人に一問。先ほど話の中で、参議院の緊急集会と、任期延長された衆議院議員と、どちらが民主的正当性があるかということは、あまり理屈を言っていてもしょうがないというお話がございました。結局、どちらが正常な状態に戻す力が当たるかどうかと、そこが重要だということでしたが、結論としては、どちらの方がそういった観点でいうと有効というふうにお考えかというところを教えていただければと思います。時間があまりないので、同意参考人に一問。私の伺いとしては、参議院の緊急集会は国会そのものではなく、参議院という国会機関が国会の権能を代行しているというふうに整理する必要があると思います。その意味では、参議院の緊急集会の民主的正当性にも、実は問題がある。ただ、重要なのは、そういう状態であるからこそ、正規に戻すレジリエンスが働くので、完全な国会ができているように見えますが、しかし、結局は任期を延長してしまっていて、選挙を十分行えていないという存在を、完全な国会であるかのようにするよりは、そちらの方がレジリエンスが働くのではないかという、そういう意見を持っているということです。終わります。はい。質疑も尽きないようでございますが、予定の時刻も参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。

2:02:24

参考人の皆様には貴重なご意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。審査会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。

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