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参議院 本会議

2023年04月12日(水)

1h31m

【公式サイト】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7355

【発言者】

尾辻秀久(参議院議長)

斉藤鉄夫(国土交通大臣、水循環政策担当、国際園芸博覧会担当)

三上えり(立憲民主・社民)

石井苗子(日本維新の会)

嘉田由紀子(国民民主党・新緑風会)

田村智子(日本共産党)

6:15

(拳を叩く音)これより会議を開きます。日程第一、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案趣旨説明。本案について、提出者の趣旨説明を求めます。

6:44

斉藤哲夫国土交通大臣。

6:58

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。地域公共交通は、住民生活や地域の社会経済活動に不可欠な社会基盤ですが、人口減少やモータリゼーション等による長期的な利用者の落ち込みに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるライフスタイルの変化の影響もあり、大変厳しい状況に置かれています。特に大規模な設備を要する鉄道については、一部のローカル線区において利用者の大幅な減少により、こうした設備を生かした大量輸送機関としての特性が十分に発揮できない状況が出てきています。こうした状況を踏まえ、地域の関係者が競争、すなわち連携と共同を通じて、利便性、持続可能性、生産性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザインを進めるための仕組みを構築することが急務となっています。このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。次にこの法律案の概要につきましてご説明申し上げます。第一に、法律の目的に、地域の関係者の連携と共同の推進を規定することとしております。また、国の努力義務として、関係者相互間の連携と共同の促進を追加するとともに、地域公共交通計画への記載に努める事項として、地域の関係者相互間の連携に関する事項を追加することとしております。第二に、ローカル鉄道の再構築を図るため、大量輸送機関としての鉄道の特性が十分に発揮できていない区間について、地方公共団体または鉄道事業者は、国土交通大臣に再構築協議会の組織を要請できることとし、国土交通大臣は、関係地方公共団体から意見を聴取した上で、基準に合致すると認める場合には、再構築協議会を組織し、同協議会が再構築方針を策定することとする等の措置を講ずることとしております。第三に、バス・タクシー等の地域公共交通の利・デザインを図るため、地方公共団体と交通事業者が、一定の区域・機関について、交通サービス水準と費用負担に関する協定を締結し、交通サービスの提供を行う事業と、交通分野におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)を推進する事業を、それぞれ法律に位置づけることとしております。第四に、鉄道とタクシーにおいて、地域の関係者の連携と共同の一層の推進や、地域に根差した輸送サービスの充実を図るため、地域の関係者間の協議が整った時は、国土交通大臣による認可に変えて、届出により運賃設定が可能となる「協議運賃制度」を創設することとしております。その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。以上がこの法律案の趣旨でございます。

10:40

ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。

10:49

三上衛生務員君

11:27

会派立憲民主社民の三上衛生です。ただいま議題となりました、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表し質問いたします。最初に、報道によって明らかになりました国土交通省元事務次官が利害関係のある民間企業の人事へ介入した件についてお尋ねいたします。当該の元事務次官は、国土交通省による聞き取りに対して、民間企業を訪問し、人事に関する話をしたことを認めました。許認可権限を有する官庁のOBが省の権限や権威を振りかざして、圧力をかけたのみならず、あらゆる形でサポートするという言葉からも利益誘導的行為まで行われていた可能性があり、国土交通省としての構造的な関与までが疑われております。国土交通省は、建設、土木、陸海空の運輸、運送などの業界への許認可権限を持つ巨大な官庁です。影響力を持つ民間企業は多岐にわたります。影響力が強いだけに、OBの行為とはいえ、こうした民間企業を厭つすることがあってはならないのは当然です。OBがやったこと、現役職員は関与していないとしても、国民から疑念を持たれた問題は許せません。国土交通省全体の猛声を求めます。齋藤国土交通大臣の指示で官房長、人事課長による聞き取りが行われ、その結果が公表されています。身内でかつ後輩である国土交通省職員による聞き取りでは、十分な調査が行われたとは思えません。第三者である最終職等監視委員会による調査が必要であると考えますが、国土交通大臣の見解を求めます。また今回の件は、現職であれば国家公務員の最終職等規制違反となる事案であることから、許認可権限を持つ各省庁において、OBに関しても人事介入に類する行為が行われていないかについて調査等を行うとともに、同様な事案の再発防止に向けた新たな規制の検討を行うべきであると考えます。河野国家公務員制度担当大臣の見解をお尋ねします。我が国は人口減少、少子高齢化が加速度的に進み、特に地方部では人口流出が著しく、全国の過疎地域の面積は国土のおよそ6割に及び市町村数の半数近くを占めています。地域公共交通の経営は、こうした長期的な人口構造、地域構造の変化等により厳しさを増し、コロナ禍の影響も相まって、大手中小にかかわらず深刻な状況に陥っています。ローカル鉄道をはじめ、地域公共交通を取り巻く現状について、政府としてどのように認識されているのでしょうか。この間の政府における地域公共交通に対する支援の状況及びその成果を含め、国土交通大臣の答弁を求めます。また、アフターコロナにおける地域公共交通の経営環境をどのように見通し、交通事業者や自治体をはじめとする地域の関係者は、どのような観点に留意し、地域公共交通の維持・活性化を図っていくべきと考えているのか、国土交通大臣の見解を伺います。ローカル鉄道の在り方等に関し、地方から様々な意見・要望が示されています。本法律案の立案にあたり、自治体や交通事業者などの地域の当事者の意見を丁寧に汲み取っているのでしょうか。国土交通大臣の答弁を求めます。本法律案では、地下地下の目的規定に地域の関係者の連携と共同の推進を追加するとともに、国の努力義務として、関係者相互間の連携と共同の促進を加えるなどとしています。地域の関係者の連携と共同による地域公共交通の再構築とは、具体的にどのような姿を想定し、どのような効果を期待しているのか、国土交通大臣の説明を求めます。また、国は関係者相互間の連携と共同を具体的にどのように促進していくのか、併せて説明を求めます。本法律案は、国土交通大臣が組織する再構築協議会の創設など、ローカル鉄道の再構築に関する仕組みの創設・拡充が大きな柱となっています。一方で、現在も地下地下法に基づく法廷協議会をはじめ、ローカル鉄道を含む地域公共交通の在り方に関して、地域の関係者で協議する仕組みは存在しています。本法律案において、再構築協議会を創設するに至った背景・理由、再構築協議会と既存の法廷協議会等との住み分け・役割分担について、国土交通大臣の明確な説明を求めます。JRなどは、ローカル線区に係る収支状況を公表するとともに、鉄道特性が発揮できていない路線の在り方について、当該地域との協議を進める姿勢を鮮明にしています。しかし、沿線自治体からは、こうした協議の申出に対し、廃止ありきであるとして、警戒感が示されるなど、ローカル鉄道の再構築に向けた協議が進展しづらい状況にあると理解しています。再構築協議会の対象となる具体的な路線・線区について、本法律案では定量的な要件等は規定されていません。地下地下法に基づく基本方針等において、対象となる路線・線区の具体的な考え方や基準について、明確に示す必要があるのではないでしょうか。加えて、JR東日本、西日本、九州などの上場4社を含むJR各社のローカル線区は、再構築協議会の対象線区となるのか、国土交通大臣の説明を求めます。国土交通省の鉄道事業者と地域の共同による地域モビリティの刷新に関する検討会の提言では、JRのローカル線区について、JR会社法に係るいわゆる大臣指針の考え方を基本としつつ、現状を踏まえ、国が主体的に関与しながら、沿線自治体とともにその在り方を検討していくべきとしています。大臣指針において、JR上場4社は国鉄改革後の輸送需要の動向等を踏まえ、現に営業する路線の適切な維持に努めるなどとされています。JR各社のローカル線区が再構築協議会の対象となり得るのであれば、大臣指針の考え方と、JR上場4社のローカル線区に係る再構築に向けた取組との関係を明確に示す必要があるのではないでしょうか。国土交通大臣の見解を伺います。また、この点を地下地下法に基づく基本方針に盛り込む必要があると考えますが、併せて大臣の答弁を求めます。再構築協議会では廃止ありき、存続ありきといった前提を置かずに議論するとしていますが、廃線に対する警戒感をあらわにする自治体が協議に参加するためには、結論ありきの前提を置かないという点をいかに担保するのかが重要です。この点について具体的にどのように対応されるのか、再構築協議会の立ち上げに向けた国土交通大臣の取組方針と併せて国土交通大臣の説明を伺います。また、再構築協議会の円滑な運営や地域の関係者の合意に基づく交通手段、再構築の実施に向けては、鉄道事業者と自治体をはじめ、地域の関係者との信頼関係の構築が不可欠と考えます。信頼関係を構築するため、双方にどのような対応が求められるのか、国土交通省の果たすべき役割と併せて国土交通大臣の見解を伺います。鉄道事業再構築事業では、上下分離等の事業構造の変更を法定しています。同事業により、自治体が鉄道施設等を保有する公有民営の上下分離に移行した事例も複数件あります。私の地元、広島では、この鉄道の上下分離方式をバスで行う、いわゆる広島モデルと呼ばれるバスの上下分離方式によって、事業の生き残りをかけ、再構築していく、全国初の試みがあります。しかし、公有民営の上下分離では、鉄道施設等の保有主体となる自治体に大きな負担が生じます。政府においては、自治体の意見・要望を丁寧に伺って、必要な支援を講じていただきたいと考えます。鉄道の上下分離に係る支援の具体的な方向性を含め、国土交通大臣に見解を伺います。立憲民主党は昨年、地域公共交通課題検討ワーキングチームを設け、様々な課題の対応策を検討し、本年3月に中間取りまとめを行いました。この取りまとめでも提言されていますが、再構築協議会で合意された事項について、国は自治体や交通事業者の立場に寄り添い、財政的負担や人的負担の軽減のため、十分な措置を講じることが大変重要と考えます。国の財政支援に関し、令和5年度予算において、社会資本整備総合交付金の基幹事業として、地域公共交通再構築事業の創設が措置されるなど、地域公共交通関係予算が拡充されています。こうした予算が必要なところで十分に活用されるよう、国土交通省において、具体的な支援対象、支援額を計画的かつわかりやすく示すことが重要と考えます。政府においては、今後とも地域の状況を注視し、個別補助の創設等財政支援のさらなる充実、効果的な支援策の検討を行っていくべきと考えます。地域公共交通関係予算は、道路関係予算に比べ、予算額が圧倒的に少ないと言っても過言ではありません。過度な毎日遺存にもつながりかねない道路関係予算返帳から、地域の移動手段を守るという観点へのバランスを考慮した予算への転換を図ることが、今こそ求められているのではないでしょうか。国土交通大臣の見解を伺います。ローカル鉄道をはじめとする地域公共交通の再構築にあたり、国土交通省においては、再構築協議会をはじめ、本法律により講ずる措置を的確に運用するとともに、地下地下法に基づく法廷協議会等の各地域の取組をきめ細やかにフォローしていく必要があると考えています。国土交通省の検討会の提言では、国土交通省鉄道局や地方運輸局鉄道部においては、自治体が自ら積極的に地下地下法に基づく法的協議会等を通じ、ローカル鉄道の在り方を検討するにあたり、ノウハウの共有や鉄道事業者等の関係事業者との調整を含め、様々な形でのサポートを総合的に行う体制を整備すべきとしています。以上を踏まえ、自治体のみならず国土交通省においても万全の体制を整備することが求められていると考えますが、国土交通大臣の認識と具体的な対応について答弁を求めます。人口減少、高齢化等が加速していく中、地域によっては民間企業が公的支援を受け、地域の公共サービスを維持する形態が存続しえないことも想定され、公共交通をどのように位置づけ、どのような方法・手段で維持・活性化していくのか、国の関与の在り方を求め、抜本的な検討を速やかに開始する必要があると考えます。今後の具体的な検討の方向性を求め、国土交通大臣の見解を伺います。地域公共交通の再構築にあたっては、自治体をはじめ、地域の財政的・人的負担等を可能な限り軽減するといった観点に特に留意し、法律・予算・税のあらゆる政策ツールを総動員して、地域に寄り添ったきめ細やかな対応をとることが重要です。地域公共交通の再構築に向けた国土交通大臣の力強い決意を伺います。ローカル鉄道、バス、タクシー等の地域公共交通は、地域住民の通勤・通学等の日常生活の足、そして観光等の地域経済の礎として、地域に欠かすことのできない存在であります。引き続き、地域公共交通の現状、これに対する政府の対応状況を注視し、地域の関係者の皆様に丁寧に寄り添って、必要な施策を不断に検討し、積極的に提案するなど、地域公共交通の維持・活性化に向け、全力を尽くしていくことを最後にお誓い申し上げ、私からの質問を終わりとさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

26:54

斉藤哲夫国土交通大臣

27:11

三上衛理議員にお答えいたします。まず、元国土交通事務次官に関する事案についてお尋ねがありました。国家公務員OBは、再就職の圧戦規制の対象外ですが、国土交通省が民間企業の役員人事に関与しているという誤解を招きかねない発言があったという報道がなされたことから、私の指示の下、具体的かつ詳細な聞き取りを行ったところです。その結果、聞き取り前には報道されていなかった事実が判明するなど、事実関係を確認することができたと考えておりますが、現役職員の関与が疑われる事実は確認されませんでした。併せて国土交通省として関係する部門の幹部職員に対して確認を行いましたが、現役職員による空港施設株式会社への再就職の圧戦、OBから国土交通省に対する働きかけのいずれについても確認されませんでした。このような経緯を踏まえ、国土交通省としては、再就職等監視委員会への報告を行う予定はございません。地域公共交通を取り巻く現状と支援の状況、成果についてお尋ねがありました。地域公共交通は、従前より人口減少や少子化、毎回利用の普及やライフスタイルの変化等による長期的な需要源により、多くの事業者が厳しい状況にあるものと認識しております。国土交通省としては、これまで地域公共交通活性化再生法に基づき、自治体が中心となり、その維持等に向けた取組を進めてきたほか、国においても必要な予算を確保してきたところです。また、昨今の新型コロナの影響を踏まえ、運行維持や感染防止対策について、これまでにない手厚い支援を行ってきたところです。国土交通省としては、これらの取組により、地域公共交通の維持等に向けて、適切に役割を果たしてきたものと認識しています。次に、地域公共交通の経営環境の見通し、地域の関係者の取組の方向性、関係者の連携と共同による再構築についてお尋ねがありました。地域公共交通は、長期的な需要源に加え、新型コロナの影響等により、一気に10年以上時間が進んだとの見方もあるほど深刻な状況にあり、このまま放置すると、さらなる悪化が懸念されます。こうした状況は、交通事業者の経営努力のみでは避けられないため、地域の関係者が連携・共同する必要があることに留意し、地域公共交通の維持・活性化に取り組んでいくことが重要と認識しております。失礼しました。再構築の具体的な姿としては、国が関与しつつ、自治体・交通事業者・福祉・教育などの幅広い関係者が連携・共同した取組を想定しており、その効果としては、地域公共交通の利便性・持続可能性・生産性が高まることを期待しています。国としては、これらを促進するため、今般の予算において、連携・共同の促進に力点を置いて、総額約1,300億円を確保するとともに、今般の改正法案においても、連携・共同を明確に位置づけているところです。次に、今般の改正法案の検討に当たっての地域の関係者の意見の反映についてお尋ねがありました。今般の改正法案は、国土交通省に設置した有識者検討会や交通政策審議会において、自治体・交通事業者など地域の関係者からヒアリングを行うなど、地域の意見も丁寧にお聞きしながら検討を進めてまいりました。今後の予算・法律の執行に当たっても、地域の関係者の声を丁寧に聞きながら、地域の実情に合わせた取組が進むように取り組んでまいります。次に、再構築協議会を設置するに至った背景や、既存の法定協議会等との関係についてお尋ねがありました。一部のローカル鉄道では、鉄道事業者のみの努力で地域公共交通としての機能を維持していくことが難しい状況にあることから、すでに複数の地域において、現行法に基づく法定協議会等を活用して、まちづくり等と連携した鉄道再生の事例が見られるところです。他方、鉄道は一般的に広域的な交通ネットワークを形成しており、多くの関係者にまたがる調整が必要となることなどから、自治体主導の協議が立ち上がらない実態も見られます。国版の改正法案においては、自治体主導の既存の法定協議会等を原則としつつ、関係者の連携協同が急務である場合には、関係者の要請を受けて、国が再構築協議会を設置できることとしたものです。次に、再構築協議会の対象選区の考え方や、JRの乗乗4車に関する大臣指針との関係等についてお尋ねがありました。このような選区を対象に再構築協議会を開催するかについての具体的な考え方や基準については、昨年7月の地域モビリティ検討会の提言に盛り込まれた考え方を中心に、一定の目安を基本方針に盛り込んでいくこととしております。また、JRの選区についても、再構築協議会の議論の対象となり得ますが、JRの乗乗4車については、JR会社法に基づく大臣指針に基づき、現に営業する路線を適切に維持するとともに、路線を廃止しようとするときは、地域に対して事情の変化を十分に説明することとされており、このような大臣指針の考え方を前提として、新たな制度を運用してまいります。こうした運用の方針についても、基本方針に盛り込む予定でおります。次に、再構築の協議に当たって国の役割と、鉄道事業者及び自治体に求められる対応についてお尋ねがありました。今般の改正法案においては、国が再構築協議会を設置する際には、あらかじめ関係自治体の意見を聞かなければならないこととしております。また、協議会において、再構築方針は、自治体を含む関係者の協議が整うことが前提であり、地域の了解なく廃止の方針が決定されることはありません。国としては、こうした制度的担保を自治体にしっかり説明し、中立的な立場を堅持しながら、ファクトとデータに基づき議論を進めてまいります。そのため、調査事業や実証事業も活用して、鉄道事業者には必要な情報の開示を求め、自治体には客観的な議論を促すことなどにより、関係者間の信頼関係の構築を図ってまいります。次に、鉄道の上下分離に係る支援の方向性についてお尋ねがありました。上下分離方式の導入は、事業者の固定費負担の軽減のみならず、街づくり、観光等の自治体事業との連携拡大が期待できることから、ローカル鉄道の維持・高度化策として有効な選択肢になると考えております。今般の改正法案では、新たに国が再構築協議会を設置できることとし、事業者と自治体の連携・共同を促すとともに、予算面においても、社会資本整備総合交付金の活用により、上下分離方式の導入等をはじめ、鉄道の維持・高度化に主体的に取り組む自治体への支援を可能にしたところです。こうした新たな支援等も活用しながら、自治体の意見・要望を丁寧に伺い、負担の軽減を図ってまいります。次に、地域の移動手段を守るという観点へのバランスを考慮した予算への転換についてお尋ねがありました。各分野の予算については、社会経済情勢や政策ニーズ等を踏まえ、適切に判断する必要があると考えています。地域公共交通については、長期的な需要源に加え、新型コロナの影響等により深刻な状況にあり、従来どおりの予算・法律では、地域の課題に十分対応することが困難な状況にあります。このため、国としては、令和4年度補正予算及び令和5年度予算において、社会資本整備総合交付金等の新たな枠組みを含め、総額約1,300億円を確保するなど、財政支援を強化し、実効性のある支援を講じています。国土交通省としては、今後とも、中長期的な視点も踏まえ、地域公共交通の利・デザインを図るため、必要な予算をしっかり確保してまいります。次に、地域公共交通の再構築を進めるあたっての体制整備についてお尋ねがありました。連携と共同を促進するためには、地域の実情を踏まえ、関係者間で協議して進めていくことが重要であるため、国土交通省としては、自治体の人材育成等を支援するとともに、地域に寄り添った支援ができるよう、自らの体制整備もしっかりと行ってまいります。具体的には、全国組織である「つよみ」を生かして、全国の先進事例やノウハウを収集・提供するとともに、省内の研修の充実等により、地方運輸局等が各地域の困りごとをしっかりと受け止められるようにしてまいります。また、まちづくり・地域づくりと一体となった地域公共交通の再構築の取り組みが進むよう、地方運輸局と地方整備局との連携を一層深めるなど、必要な体制の整備に努めてまいります。最後に、公共交通の位置づけ、国の関与を含めた方向性、地域公共交通の再構築に向けた決意についてお尋ねがありました。地域公共交通は、維持・活性化するにあたって、民間の活力を生かすという考え方を前提としつつ、公共性の高いインフラとしての正確等を踏まえ、自治体を含む地域の多様な関係者の連携を強化することが重要であると位置づけており、この考え方に基づいて取り組みをしっかり進めてまいります。具体的には、今般の改正法案、予算などにおいて、国の関与の在り方を含め、政策ツールを大幅に強化したほか、地方財政措置など自治体の負担軽減にも配慮しています。国としては、これまでご答弁した取組により、本年を地域公共交通再構築元年とすべく、地域に寄り添って全力で取り組んでいく決意です。以上です。

39:08

河野太郎国務大臣

39:12

各省庁におけるOBの人事介入に関する調査、及び再発防止に向けた新たな規制についてのお尋ねがありました。再就職等規制の趣旨は、公務の公正性や、それに対する国民の信頼を損なえかねない予算や権限を背景とした現役職員による再就職の圧戦等を禁止することです。職員OBが、現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、すでに公務を離れた予算や権限を有していない民間人としての活動であり、これに関してどういった調査規制ができるかということについては、極めて慎重であるべきと考えております。いずれにしても、公務の公正性や、それに対する国民の信頼を確保することは重要であり、引き続き政府としては第三者機関である最終職等監視委員会による厳格な監視の下、最終職等規制の遵守の徹底を図ってまいります。

40:30

石井光子君

40:53

日本維新の会の石井光子です。会派を代表して地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案について、国土交通大臣に質問をいたします。人口減少による利用者の落ち込みや、3年に及ぶコロナ禍の影響により、過疎地域の交通状況は年々悪化の一途をたどり、特にローカル鉄道は大量輸送機関としての能力を発揮できない状況まで落ち込みました。今後の地域の公共交通機関を持続可能な形にどう変えていくかの判断は、まさしく瀬戸際に来ていると言えます。今回の改正案には衆議院からも多くの附帯結論も提出されておりますところから、私も本日は改正案の細部にわたって質問をさせていただきます。まず、競争による地域公共機関の再構築とは何かについて伺います。競争とは「共に作る」という意味です。これまでも地域関係者と連携して国交省は競争をしてきたはずです。今後の地域公共交通の利便性、持続可能性、生産性の向上に向けての新たな取り組みとは、従来とどこが違ってくるのかについて、御見解を伺います。次に、再構築協議会の在り方について質問いたします。改正案では、地域の関係者と国と事業者で構成する再構築協議会を新たに創設しています。その株組織として有識者による検討会があり、庁舎実証事業など支援することとなっています。検討会は、大臣自身の考え方を基本とし、現状を踏まえながら、沿線地方公共団体と地域公共の在り方を検討するとしています。一部の例外を除いて、平常時の輸送密度が1000人を下回っている場合、ローカル線鉄道検討会の提言において示された再構築協議会の設置の目安として、存続化または配線化の協議をすることとしています。協議対象になる選区の考え方、再構築協議会の設置の基準について御説明をしてください。次に、検討会の協議期間について質問します。昨年の7月には、鉄道事業者と地域の共同による地域モビリティ刷新に関する検討会が開かれ、特定選区の再構築協議会における検討は、その利便性と持続可能性を早急に改善する必要があることから、検討には合理的な期限を設けるべきとの指摘がありました。実証事業も含め、協議開始から3年以内に沿線地方公共団体、鉄道事業者と合意した対策を決定すべきとしていますが、協議期間の上限に関わる規定も措置されていません。できるだけ短期間に協議が整うよう、国交省は合意形成に積極的に取り組むべきと考えますが、この点についての大臣の見解を伺います。次に、クロスセクター評価手法の活用について説明を伺います。地域交通を交通事情の収支だけに頼り、現状評価するのではなく、他の様々な分野の費用や効果に地域交通が及ぼす影響を調査し、データとしてまとめ、地域の生活と交通網の相関関係を明らかにする方法をクロスセクター評価といいますが、この手法を使って現状を明らかにした上で、協議会が沿線地方公共団体や鉄道事業者などの関係者とデータをもとに共通認識を形成していくことの重要性を検討会から指摘されています。クロスセクター評価等の手法を実際どのように活用していくかについて大臣の方針を伺います。次に、自動車運転業務の運転手不足について質問します。乗り合いバスやタクシーなどによる輸送への転換を今後行うと結論づけたとしても、運転業務の運転手不足の問題が解決されていません。交通手段の盲導転換後の受け皿となる輸送手段の確保について、直近の具体的な対応策を大臣に伺います。再構築協議会の場なので地域の声を聞くことは良いことですが、既得権益の意図が反映されやすくなるため、鵜呑みにすることが良い結果を生むとは限りません。地域の特性を生かした競争を実現するためには、専門知識や企画力も必要です。全国の改善事例に精通した専門家を養成することに力を入れ、日本全国で生まれた知恵をそれぞれの地域の創造に活用すべきと考えますが、見解を伺います。次に、鉄道の上下分離について質問します。列車の運行を担う主体と鉄道インフラ維持管理を担う主体を別にする仕組みを鉄道の上下分離といい、1987年の国鉄民営化を機に上下分離が増え、第三セクターに対しては公的補助制度を適用する枠組みも作られました。再三があわず、存続に苦しむローカル鉄道にも上下分離方式が導入されることもありますが、地方公共団体が鉄道施設等を保有することが原則と考えられてきたものが、上下とも鉄道事業者が担う形も考えられます。改正案による鉄道事業再構築事業の拡充に関し、本州3社を含むJRローカル線区における上下分離方式をどのように活用するのか、大臣のお考えを伺うとともに、効率的かつ合理的な上下分離のあり方に関して検討し、法規制等の見直しに柔軟な取組の姿勢が望まれていますが、大臣の御見解を伺います。次に、社会資本整備総合交付金について質問します。令和5年度当初予算には、社会資本整備総合交付金が含まれています。財政支援を積極化させ、国が投資に財政支援をする仕組みとなっていますが、交付金には自治体が政策した整備計画の内容に従って使われます。より自治体の主体性や自由な発想を求めるために、自治体の人口や地域の実情に応じた配分が行われるということが原則とされていますが、実際には、政令都市に多くの交付金が行くなど、偏る傾向が危惧されています。御見解を伺います。もとより、社会資本の整備だけで過疎地の問題が解決するわけでもなく、地域の経済力の強化、人口減少の対策なども必要です。社会資本整備総合交付金だけで解決するということは限定的であると言えますが、この点について御見解をお聞かせください。最後に、協議運賃制度について質問します。改正案では、国交省が協議会を設置できる制度を新設したため、鉄道やタクシーの運賃についても、地元の合意があれば国の許可なくして協議運賃なるものが創設できることになりました。この取組は、運送業者と利用者が自由に協議をして運賃を決定することができるため、政府が介入することが難しくなり、消費者はどのような基準で運賃を設定されていくか把握することができません。運賃の設定が不透明になり、運賃制度の崩壊につながる危険性があります。消費者保護の観点から見れば、マイナスが生じる制度ではないかと思われますが、大臣の御見解をお聞かせください。協議運賃制度によって地域住民のためにならない不適切な運賃制度が導入された場合に、適正化しぬくなるということも考えられますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

49:54

斉藤哲夫国土交通大臣

50:09

石井光子議員にお答えいたします。まず、地域公共交通の利便性等の向上に向けた今後の取組と従来の取組との違いについてお尋ねがありました。地域公共交通が置かれた現在の厳しい状況を踏まえますと、地域公共交通をリデザインするためには、これまでよりも国の関与を強化するとともに、地域のより幅広い関係者が連携・協働する取組を継続的かつ全国的に展開することが必要と考えています。国土交通省においては、こうした取組を「共につくる競争」と呼び、予算面・制度面の拡充を図っています。具体的には、予算面では、社会資本整備総合交付金や、地域の幅広い関係者が連携・協働する取組への支援など、質量ともに大幅に拡充し、総額約1300億円を確保しています。また、今般の改正法案においても、地域の関係者による連携・協働の促進を明確に位置づけており、こうした取組を通じて、地域公共交通のリ・デザインを実現してまいります。再構築協議会での協議対象選区、協議機関、クロスセクター評価等の活用方針についてお尋ねがありました。昨年7月の地域モビリティ検討会の提言では、再構築協議会設置の一つの目安として、JR選区について輸送密度1000人未満という考え方が示されました。また、同提言では、基幹的鉄道ネットワークを形成する特急が走る選区、貨物列車が走る選区、そういう選区については当面、再構築協議会の対象としないことが適当との考え方が示されたところであり、これらを踏まえて新たな制度を運用してまいります。また、協議機関については、同提言において、協議開始後3年以内という考え方が示されており、実際の運用においても、これを一つの目安として、できるだけ速やかに関係者の合意が整うよう、円滑な協議の進行に努めてまいります。ローカル鉄道の評価については、選区ごとの収支のみではなく、地域全体の中で、その意義や役割を総合的に評価することが適当であり、その点でクロスセクター評価は有効な評価手法の一つと考えており、国としても調査事業を活用しながら実施を促してまいります。以上のような考え方を、地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込むこととしております。次に、バス等の運転手不足についてお尋ねがありました。国土交通省では、バス・タクシー業界における人材確保に向け、事業者からの運賃改定申請に迅速に対応して早期に賃上げを実現するとともに、事業者に快適で魅力的な職場環境の整備を促すなど、バス・タクシー運転手の職業としての魅力を高める取組を行っています。また、令和4年度補正予算において、2種免許の取得に対する支援など、事業者による人材確保要請の取組を支援する制度を創設したところです。国土交通省としては、各事業者に対して、こうした制度を活用しながら、今まで以上に効果的な採用活動に取り組むことを強く促すことなどにより、バス・タクシー業界における人材確保に向けて、しっかりと取り組んでまいります。次に、地域の特性を生かした競争の実現のための専門家の要請についてお尋ねがありました。自治体においては、すでに地域公共交通と街づくりとの連携など、知見の蓄積が進んでいると認識しておりますが、今般の改正法案による鉄道の再構築について、知見を持つ自治体担当者は不足しており、その育成は重要な課題です。このため、セミナーの開催や国土交通大学校における研修等により、自治体の人材育成確保を支援してまいります。また、学識経験者に参加を求めるとともに、日本全国の先進的な取り組みを紹介しつつ、地域の実用に応じてこれを活用してまいります。次に、JRローカル線区における上下分離方式の活用策と、鉄道事業再構築事業における上下分離の在り方についてお尋ねがありました。今般の改正法案では、鉄道事業再構築事業の定義を見直し、大量輸送機関としての鉄道特性が発揮できない線区については、黒字会社の線区であっても対象にすることとしており、本州3社を含むJRのローカル線区も対象になり得ます。JR会社法に基づく大臣指針においては、JR上場4社は現に営業する路線を適切に維持することとしておりますが、これには新たな鉄道事業再構築事業を活用して、自治体と連携・協働しながら維持を図っていくことも含まれると考えております。また、ローカル鉄道の再構築においては、構設・民営方式にとどまらず、地域や線区の状況に応じ、最適な事業構造を実現させることが重要と認識しております。地域鉄道事業者の中には、上下分離に際し、既存の鉄道事業者が鉄道用地・施設等を引き続き保有し、異業種から参入した別の事業者が運行を行うことで、斬新な利用者サービスを提供し、効果を上げている例があります。国土交通省としては、最適な事業構造の実現が可能となるよう、今回の新たな制度の柔軟な運用に努めてまいります。次に、社会資本整備総合交付金の自治体への配分についてお尋ねがありました。社会資本整備総合交付金は、自治体が作成する社会資本総合整備計画に基づいて交付されるものであり、自治体の自由度が高く、創意工夫を生かせる制度です。その上で、地域公共交通再構築事業の配分については、人口に応じて行われるものではなく、地域の実情や要望、事業の必要性や緊急性等を勘案して適正に行うこととしています。このため、ご指摘のような政令紙であることをもって、多くの交付金が交付されることはないと認識しております。社会資本整備総合交付金だけで課題を解決することは限定的ではないかとのお尋ねがありました。地域公共交通のリ・デザインを進めるにあたっては、各地域が地域の実情を踏まえ、幅広い関係者が連携・協働して、社会資本整備に限らず、地域課題の解決に向けた取組を行うことが重要であると考えています。このため、今般の予算においても、ご指摘の社会資本整備総合交付金だけでなく、交通事業者が幅広い関係者と連携して、地域課題の解決を目指す取組の支援など、支援メニューを質量ともに強化しています。国土交通省としては、今般の改正法案や予算等において強化した政策ツールの活用に加え、関係省庁とも連携し、地域公共交通の課題解決を目指してまいります。最後に、協議運賃制度についてお尋ねがありました。今般の制度による運賃協議に当たっては、適切な運賃設定がなされるよう、各地方運輸局長等が協議の場に参画することとされており、ご指摘のような事態が生じないよう、適切に対応してまいります。また、運賃の決定に当たっては、利用者への説明の機会を設けるなど、利用者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることを求めています。加えて、協議により決定された運賃が、特定の旅客に対して不当な差別的取扱いをするものである場合等には、関係法令に基づき運賃の変更命令を出すことができることとしています。国土交通省としては、ご指摘のような懸念が生じることがないよう、協議運賃制度を適切に運用してまいります。以上です。

59:34

加田幸子君

1:00:01

国民民主党新緑風会の加田幸子でございます。ただいま議題となりました、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して国土交通大臣、総務大臣、また財務大臣に質問させていただきます。本法律案につきましては、参議院予算委員会でも地域公共交通のマクロな面、ミクロな面、両方から議論がなされました。少し振り返りますと、3月2日の予算委員会では、国民民主党新緑風会の舟山康恵議員が地域公共交通を取り巻く厳しい現状を指摘し、岸田総理は地域の関係者が連携・協動し、地域公共交通のリデザインを進め、地域の連携を国としてもしっかり後押ししていくと約束を下さいました。また予算委員会では、京大名誉教授、富山大学特別研究教授の中川大使が作られた資料をもとに、舟山議員がEUと日本の公共交通政策の比較をなされ、道路整備予算と比較して、いかに日本の地域公共交通予算が軽視されてきたかということを示されました。日本が先の再三政だけを強調して民間地方に任せすぎたため、地方の公共交通がまさに負のスパイラルに陥っていると分析されています。これは皆さんの実感に近いことと思います。EUでは、交通を取り巻く福祉、教育、あるいは環境問題など、社会全体の公益の最大化を目指して、全体のネットワーク計画が作られ、利用者の増加を目指して成果を上げております。斉藤鉄道大臣は、新しい国土形成計画には、地域のローカル鉄道の維持など、地域公共交通とその団体と事業者、国が協議会の場をつくり、リデザインの場を設けてまいりますと答弁なされました。そのときに、これまでの国による財政支援については、ある意味で反省がございますと、反省というお言葉をお使いになられました。地方の立場からは、大変心強く思っております。そこで質問1です。国土交通大臣にお聞きします。地域公共交通ネットワーク構築に向けた財政支援のあり方に関する反省に基づき、財政支援を強化していくおつもりだと思いますが、その場合、どのような規模や期間を念頭に置かれているのでしょうか。基準となる考え方をお示しください。また予算委員会では、スイスと日本の公共交通分担率の比較が示されました。日本の公共交通分担率の低さは、私たちの実感に大変合うものでございます。人口が減少すると、どうしても地域の公共交通を維持することが難しくなります。しかし、スイスの場合には、公共交通が維持され、逆に小さな町の人口が維持される。これ逆ではないんですね。田舎に住みたくても、交通が不便だと転出せざるを得ないんです。ですから、人口減少が先ではない。公共交通を整備することが先だということです。それで質問2です。国土交通大臣にお聞きします。快適で誰もが安心して利用することができる地域公共交通ネットワークを、国、自治体、地域や事業者が共に作り上げていく競争ができるよう、国としてどのような支援を行えるとお考えでしょうか。それぞれの役割分担に関するお考えと、国土交通省の御見解をお願いいたします。1人の旅客を1キロメートル運ぶ際に、二酸化炭素の平均的な排出量の値を示すCO2排出減単位といいますが、2019年のデータでは鉄道を1とした場合、バスはその3.4倍になります。また、貨物鉄道輸送は、貨物列車1編成で最大で営業用10トントラック65台、つまり運転手65人分の貨物を運べます。トラックの運転手不足が今深刻な課題となっておりますが、鉄道は大量貨物輸送機関としても重要な役割を果たすものだと評価をしております。そこで質問3です。国土交通大臣にお聞きします。グリーントランスフォーメーションの実現が今重要な政策課題となっております。日本の物流を支える重要な柱として、鉄道貨物が果たす役割、どのように評価なさっておられるでしょうか。また、鉄道事業者が役割を果たすには、どのような支援が必要とお考えでしょうか。国土交通大臣のご見解をお示しください。ここで少し滋賀県のローカルな実践について紹介させていただきます。1つ目は滋賀楽光源鉄道です。狸の滋賀楽で有名な観光地でもありますが、実はここはかなり多重な苦悩を抱えた鉄道でございます。具体的には、1991年にJRと正面衝突の列車事故で、42名もの方が亡くなられてしまいました。毎年5月14日には県としても追悼入れ祭をさせていただいております。そして私が知事になった2006年当時、10億円を超える保証費用が赤字で蓄積されておりました。加えて、加速化による人口減少もあり、県と市で被災保証金の再建放棄を含む特定調停、いわば借金をチャラにするということです。同時に鉄道は公有民営、全国で2番目の上下分離を実現いたしました。その際、国から鉄道事業再構築実施計画の支援をいただきました。当時、県立の滋賀楽光校の再編縮小の計画がございましたが、鉄道利用者を増やすために、しがらき焼きのデザイン化を新しく作って、県外から高校生を呼び込むなど、教育・地域活性化、そして鉄道の経営改善セットとする方針を知事として実行させていただきました。地元の高架市とも協力をしながら、結果的にはその後、朝ドラのスカーレットの誘致などもございまして、かなりの黒字化を達成をしました。しかし、コロナの影響もあり、令和2年度以降は赤字に転落し、現在の鉄道事業再建等実施計画も、この3月31日をもって計画が終了しました。今後も国からの継続的な支援をいただくことができるか、課題となっております。また、2つ目は大見鉄道です。明治時代、大見商人たちが自分たちで多賀大社と伊勢神宮を結ぶ五大山街道沿いに125年の歴史ある鉄道を作りました。長い間地域住民の足となっていましたが、近年の経営難の中で沿線の十市町と県が一緒になって議論をしてマスタープランを作り、大見鉄道沿線地域公共交通計画を作り、ちょうど令和5年、今年と来年、計画の来日を作っていく予定です。ここも上下分離にいたしまして、市・町が第3種鉄道事業者となり保有管理、そして大見鉄道株式会社は第2種鉄道事業者として具体的な運営を行うという方向でございます。しかし、経営形態としては様々な困難がございます。具体的には、事業資産の取得・保有、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税など、税制の問題がございます。この鉄道事業の再構築については、持続可能な鉄道として再生を図るため、地元は本当に努力をしております。そこで質問4です。国土交通大臣にお聞きします。上下分離を採用し、地方自治体等が第3種鉄道事業者となった場合、輸送の安全の確保、鉄道施設の保有管理には不安も伴います。国による人的あるいは物的支援が求められます。国土交通大臣の見解をお示しください。また、滋賀県では、地域公共交通ネットワークの維持のための財源として、三日月大蔵知事が全国で初めて、自治体としての交通税を提案しております。今後、県民や県議会での議論がなされることとなりますが、三日月知事は去年の7月に、3期目の知事選挙に臨むにあたって、マニフェストに交通税を入れました。選挙の中で、住民の負担増を表明することは大変決意のいることです。そこで質問5です。総務大臣にお聞きします。地域公共交通ネットワークを維持するための財源確保に向けて、行われている自治体や事業者、地域の皆様の努力に対して、国としてどのような支援を行っていくお考えでしょうか。また、これは最後の質問です。財務大臣にお伺いします。地域公共交通ネットワークを全国的に維持するため、国民一人一人が広く浅く負担をするというような税制を導入することは考えられませんでしょうか。財務大臣の御見解をお聞きしたいのですが、本日、外遊中ということでございますので、議事録に残すために、大臣でお願いしたいと思います。以上6点の質問とさせていただきますが、それぞれ明確で分かりやすい御答弁をお願いいたします。御清聴ありがとうございました。

1:10:32

伊藤哲夫国土交通大臣

1:10:48

加田幸子議員にお答えいたします。まず、地域公共交通ネットワーク構築に向けた財政支援のあり方、規模、期間についてお尋ねがありました。地域公共交通については、長期的な需要源に加え、新型コロナの影響等により、多くの事業者が厳しい状況にありますが、こうした状況は、交通事業者の経営努力だけでは避けられないものであるため、地域の関係者が共に作る競争を通じて、そのリ・デザインを進めていくことが必要との考えに至りました。こうした考え方に基づき、令和4年度補正予算及び令和5年度予算におきまして、社会資本整備総合交付金等の新たな枠組みを含め、総額約1,300億円を確保するなど、財政支援を強化し、実効性のある支援を講じています。今後とも、中長期的な視点も踏まえ、ただいま申し上げたリ・デザインを図るために、必要な予算を確保してまいります。次に、地域公共交通ネットワークを、国・自治体・地域や事業者がともに作り上げていくための、国の支援と役割分担についてお尋ねがありました。我が国においては、多くの場合、民間事業者が地域公共交通の運営を担っており、地域公共交通のリ・デザインに当たっても、民間の活力を生かすという考え方を前提としつつ、自治体を含む地域の多様な関係者の連携を強化することが重要です。国は、法律予算などあらゆる政策ツールを活用して、こうした取組をしっかり支援していくこととしており、今般の改正法案及び予算において、地域の関係者がともに作る競争により、地域公共交通のリ・デザインを推進するための仕組みを大幅に強化しております。次に、貨物鉄道の役割と求められる支援についてお尋ねがありました。貨物鉄道は、環境に優しい大量輸送機関であり、また、ドライバー不足が課題となっているトラック輸送の受け皿としても、ますます大きな役割を担っていくことが期待されます。昨年、国土交通省に設置した地域モビリティ検討会では、貨物列車が現に走行している線区等については、赤字線区も含め、全国一元的な機関的鉄道ネットワークの一部として引き続き維持を図っていくべきと提言されています。今後、こうした考え方を、地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込むとともに、貨物鉄道がその機能を十分に発揮できるよう、ネットワークの強靭化やトラック輸送との連携強化等に向け、国として必要な支援を行ってまいります。最後に、地域鉄道が公設民営方式を採用した場合の国の支援についてお尋ねがありました。公設民営方式の導入は、事業者の固定費負担の軽減のみならず、街づくり、観光等の地方自治体事業との連携拡大が期待できることから、地域鉄道の維持・高度化策として有効な選択肢になると考えています。すでに、滋賀崎高原鉄道をはじめ、全国で約20の導入事例があり、今後も大見鉄道などの導入が見込まれています。今般の改正法案では、新たに国が再構築教育会を設置できることとし、事業者と自治体の連携・共同を促すとともに、予算面においても社会資本整備総合交付金の活用により、公設民営方式の導入等をはじめ、鉄道の維持・高度化に主体的に取り組む自治体への支援を可能にしたところです。こうした新たな支援等の活用も念頭に置きながら、滋賀崎高原鉄道や大見鉄道についても、鉄道施設の保有・管理に対してどのような支援が可能か、滋賀県と関係自治体とも連携し、引き続き検討してまいります。以上です。

1:15:18

松本竹明総務大臣

1:15:34

課題1項、議員からのご質問にお答えいたします。地域公共交通ネットワークの維持に対する財政支援について、ご質問いただきました。地域公共交通は、地域住民の暮らしを支える重要な役割を担っていると認識しております。地域公共交通の確保・維持に要する経費については、国土交通省による支援に加え、総務省としても、地域の実情に応じて地方財政措置を講じております。また、今回の改正法案を踏まえ、国土交通省が創設するローカル鉄道の再構築に係る補助事業の地方負担についても、新たに地方財政措置を講じることとしております。今後とも、地域公共交通の確保・維持のため、国土交通省と連携しながら、適切に対応してまいります。続いて、財務大臣、臨時代理としてお答えをいたします。地域公共交通ネットワークを維持するための新たな税制の導入について、ご質問いただきました。地域公共交通ネットワークを全国的に維持することは、重要な課題であると認識しております。そのための財源の在り方については、将来世代に負担を先送りしないという考え方のもと、公平中立簡素といった租税原則や、大農大駅課税の原則、そして経済社会情勢等を踏まえて検討していく必要があると考えております。

1:17:04

田村智子君

1:17:22

私は日本共産党を代表して、ただいま議題となりました、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部改正法案について、斉藤国交大臣に質問いたします。本法案の最大の焦点は、ローカル鉄道の再構築の名のもとに、赤字を理由としたローカル線の廃止、バス等への転換が大規模に進みかねないことです。昨年、JR各社は、輸送密度1日1キロあたりの乗客数2000人未満の路線及び区間を相次いで公表しました。さらに国交省の検討会では、輸送密度1000人未満の路線、区間について、バス転換等の選択肢を示し、関係自治体と鉄道事業者による再構築協議会を設置し、ローカル鉄道の在り方について、3年以内に結論を出すよう求めました。この提言を受けて、本法案では、鉄道事業者、自治体どちらかの要請により、国交大臣が再構築協議会を組織するとしています。提言が指標とした輸送密度1000人未満の路線、区間はどれだけあるのでしょうか。政府は、この路線、区間、すべてを再構築協議会の対象と考えるのか、さらに広がる可能性はあるのか、併せてお答えください。今年3月、JR東日本が初めて赤字を理由として、千葉県のくるり線、くるり、和田亀山間のバス転換を検討すると発表しました。大臣は、国としては、廃線ありき、存続ありきの前提を置かず、あくまで中立的な立場で議論を促すとしていますが、では、事業者がバス転換という方向性をあらかじめ示して、再構築協議会の設置を要請した場合、自治体は拒否することができるのでしょうか。大臣は、協議会の組織に反対している自治体がいた場合、国として粘り強く調整すると述べていますが、これは何をするのですか。協議会を組織しないという結論はあり得ないということですか。お答えください。衆議院での我が党議員の質問に、斉藤大臣は、再構築協議会の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があるのではないかと答弁しました。つまりは、相当数の線区がバスとに転換されることを想定しているのでしょうか。地域の合意なしに鉄道を廃止した路線はないと大臣は断言していますが、自治体との協議で5年前に反支線となった三高線について、島根県知事は、大きな会社と小さな自治体が協議するとは言いながらも、事実上はもうこうしきれない構図の下で廃線が決まっていったと述べています。これまで廃線に追い込まれたローカル線の多くを見ても、事業者であるJRが赤字を理由にバス転換を主張すれば、自治体は住民の足を確保するために、やむなく廃線を受け入れざるを得なかったというのが実態ではないでしょうか。このように、再構築協議会での合意が、事業者の廃線ありきの方針を受け入れることにならない保障がどこにあるのかお答えください。また、再構築協議会には利用者を必ず入れるべきではないですか。国交省は、公聴会等で住民や利用者の意見を反映すると説明していますが、JR北海道の運賃値上げの際、公衆に全員が値上げ反対であったにもかかわらず、当時の国交大臣は値上げを認可したではありませんか。公聴会が「意見を聞いた」という形式的なものにならない保障はどこにあるのか答弁を求めます。協議会が再構築方針として、鉄道の維持・高度化を選択するにあたって、国はその指標を示すのですか。大量輸送機関としての鉄道の特性を発揮することが困難であっても、鉄道の維持を選択することは可能かお答えください。協議運賃制度の創設についてお聞きします。法案では鉄道事業者・地方自治体・地方運輸局の協議で定め、国の認可の例外として届出だけで良しとしていますが、主にどういう路線での活用を想定しているのですか。赤字ローカル線で活用されれば、認可運賃の上限を超えた値上げが可能ということでしょうか。タクシーの協議運賃制度では、認可運賃よりも低くなる加減割が危惧されますが、そうならないという条文上の歯止めはありますか。国交省は不当な競争を引き起こす運賃が設定された場合は、変更命令を出すことができると胸を張りますが、現に運賃を引き下げる事業者がいる下で、一度でも変更命令を出したことがあるでしょうか。また、競技運賃は交通空白や交通不便地域が対象と言いますが、タクシートクソ法に基づく特定地域、10特定地域から外れれば、東京や大阪でも競技運賃が可能となるのではありませんか。そもそも、本法案の策定に当たって、政府としてローカル線を含む鉄道網を国土計画、国策にどう位置づけたのでしょうか。衆議院の参考人質疑では、関西大学の宇都宮清人教授が、ヨーロッパでは地域公共交通は独立再三のビジネスではない、地域公共サービスとして公的資金で支える仕組みになっている。イギリスはグリーン産業革命で鉄道路線の拡大復活ということを言っていると指摘し、オーストリアやドイツでの鉄道シフトの事例も紹介されました。大臣は温暖化対策として鉄道は重要であると繰り返し述べていますが、ならば自動車から鉄道へのシフトを数値目標を持ち、ローカル線貨物を含めた鉄道網の活用を国策として早急に示すべきではないでしょうか。同じく参考人質疑で、北海道教育大学の武田泉淳教授は、バス転換の問題として自治体ごとにぶつ切りで運行していることで、鉄道が有していた広域性とかネットワーク性が大きく損なわれていると指摘しました。北海道の深川と名寄を結ぶ新名線は95年に廃線、JR北海道がバスを運行していますが、深川・ほろかない・ほろかない・名寄など分断された路線となり、本数も減少。先に紹介した参考線も、中国新聞の記者が、広島県三好市から島根県高津までバス移動した記事を掲載していますが、6つの路線バス、乗り継ぎの待ち時間も3時間など広域移動が著しく損なわれたことは明らかです。地域のバス路線は日常的な暮らしの足として大切です。しかし鉄道網はバス路線とは異なる役割を担っています。誰もが広域に移動できる、全国に移動できる、全国から地域に人を呼び込む、この鉄道網があってこそ地域活性化の可能性が広がるのではないでしょうか。北海道など鉄道の廃線、駅舎の廃止が地域にどのような影響を与えたか、バス転換は地域活性化につながったか、まず国として検証を行うべきではないでしょうか。また、かそかに苦しむ地方の活性化として鉄道網であるローカル線の維持と活用の抜本的な政策こそ必要ではありませんか。鉄道を存続させる方策として上下分離方式が示されています。我が党は国が鉄路と駅施設を保有し、運行を事業者が行う国有民営方式への転換を提言しています。忠見線など広域に自治体が議論し連携し、上下分離で自治体がインフラを保有し、バス路線への転換を許さず鉄道を存続させた努力は国こそ学ぶべきものです。国交省は自治体の上下分離方式に補助金を出していると言いますが、これも含め地域鉄道の維持活用のための今年度予算は総額いくらか。他方、自動車道路の建設保守管理の予算は総額いくらか、併せてお答えください。国鉄分割民営化によって地域鉄道は民間任せ、一方で国は自動車道路、空港、港湾建設に巨額の予算を投じる政策を続けてきました。国民の財産である鉄道網を衰退させ、地域の活性化に拍車をかけてきたと言わざるを得ません。その反省に立ち、鉄道網を守り生かす政策への転換を求め、質問を終わります。

1:26:53

斉藤鉄道国土交通大臣

1:27:08

田村智子議員にお答えいたします。まず、再構築協議会の対象についてお尋ねがありました。地域モビリティ検討会の提言に基づく輸送密度1000人未満の線区は、JR各社の公表資料によりますと、令和元年度の実績で62路線の103線区となります。ただし、この基準については、国が協議の場の設置を判断するに際しての一つの目安として示されたものであります。ローカル鉄道が各地域で果たしている意義、役割は様々であり、再構築協議会の設置の判断に当たっては、自治体や鉄道事業者等の関係者の意見をよく聞いて、個別、具体に判断してまいります。次に、再構築協議会の設置に係る議論の前提について、JR東日本のくるり線を例にお尋ねがありました。まず、JR東日本のくるり線、くるり・和久山・亀山間について、JR東日本は、自治体への協議の申し入れに当たって、バス転換を議論の前提にはしていない、承知しております。仮に、事業者がバス転換を前提に再構築協議会の開催を要請してきた場合には、当該事業者に対し、前提を置くことなく、協議に臨むよう指導することとなります。また、御指摘の私の答弁ですけれども、国として再構築協議会の設置が必要と判断した場合においては、協議会の設置に反対している自治体に対して、粘り強く調整していくことを述べたものでございます。次に、先日の答弁を踏まえ、再構築協議会の結果、相当数の線区がバス等に転換されることを想定しているかについてお尋ねがございました。先日の私の答弁は、これまでの上下分離方式の実績及び各地の鉄道維持・高度化に向けた熱意を踏まえれば、再構築協議会の関係者による議論の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくるのではないかということを答弁したものです。他方で、再構築協議会は廃止ありき、存続ありきといった前提を置かず議論するものであるため、地域での議論の結果、バス等に転換される場合もあるものと考えております。次に、再構築協議会での合意が廃線ありきの方針を受け入れることにならない保証についてお尋ねがありました。協議会において、再構築方針は自治体を含む関係者の協議が整うことが前提であり、地域の了解なく廃止の方針が決定されることはありません。その上で、国としては中立的な立場を堅持しながら、調査事業や実証事業も活用して、鉄道事業者に必要な情報の開示を求めるなど、ファクトとデータに基づき議論を進めてまいります。再構築協議会の構成員と校長会の運営についてお尋ねがありました。再構築協議会においては、自治体、事業者、関係する公共交通事業者のほか、利用者をはじめとする国土交通大臣が必要と認めるものについても、構成員として協議会への参加を求めることができることとしております。地域にとってあるべき公共交通の姿を協議していく上では、利用者を含め幅広い御意見をお聞きして、丁寧に議論をしていくことが必要と考えており、校長会やヒアリング等の実施に当たっては、形式的な意見聴取に終わることのないように努めてまいります。次に、大量輸送機関としての鉄道特性を発揮することが困難な路線の維持についてお尋ねがありました。輸送需要の大幅な減少により、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況にあるローカル鉄道について、自治体が地域におけるましづくりや観光振興の取組と連携しながら、利用者の利便を確保し利用者を回復させつつ、鉄道の維持を図っていくことは十分あり得ると考えています。こうした判断は、個々の地域・選区の状況に応じて個別に行われるべきと考えており、国として何らかの指標を示すことは考えておりません。次に、競技運賃制度についてお尋ねがありました。鉄道については、赤字路線での適用を想定しており、例えば、並行するバスとの共通運賃化を実現すると、利用者利便を確保するため、認可運賃の上限を超える運賃設定を含め、地域の実情に応じた柔軟な運賃設定を可能としています。タクシーについては、ご指摘の認可運賃よりも低い運賃を設定することを禁じる規定はありません。また、タクシーの運賃について、過去に変更命令を発動したことはありませんが、運賃競技に当たっては、自治体・交通事業者・地方運輸局長等により、適切な運賃が設定されるよう協議されるものと考えています。今般の制度では、運賃を一定の範囲に規制することによって、過等競争を防ぐ必要がある、いわゆる特定地域、準特定地域を対象としていません。現在の受給状況においては、東京や大阪などの都市部が、直ちにこれらの地域の指定から外れることはないと考えています。いずれにせよ、競技運賃制度の適切な運用を図ってまいります。次に、自動車から鉄道へのシフトの数値目標の設定と、鉄道網の活用についてお尋ねがありました。国土交通省においては、令和3年12月に国土交通省環境行動計画を策定し、自動車から鉄道を含む公共交通機関へのシフトに関する数値目標を設定しています。旅客については、自家用自動車からの乗り換え輸送量を2013年度の38億人キロから、2030年度に163億人キロに増やす目標、また、貨物については、鉄道貨物による輸送量を2013年度193.4億トンキロから、2030年度に256.4億トンキロに増やす目標をそれぞれ設定しています。この目標の達成に向け、鉄道も活用しつつ、旅客については、マースの社会実装、駅前広場等の交通結接点の整備等を通じた公共交通機関の利用促進、貨物については、災害時の代替輸送を円滑に行うための施設整備等を行うことで、自動車から鉄道を含む公共交通機関へのシフトに取り組んでまいります。次に、鉄道網による地域活性化の可能性、鉄道配線による地域への影響、ローカル線の維持と活用の抜本的な政策についてお尋ねがありました。ご指摘のとおり、鉄道の特性の一つとして、ネットワークの存在により広域的な人の移動が促され、地域活性化につながる点が考えられます。他方で、こうした移動需要が期待できず、配線が選択される場合もあります。その影響について、例えばJR北海道の日高線では、新たな交通体系に移行後のアンケート調査において、実際に利用している方の多くから、運行頻度やアクセスなどについて利便性が向上したとの評価が得られたと聞いております。このように、地域活性化の取組において、どのような公共交通機関が適当かについては、地域選区の事情に応じて個々に判断されるべきであり、国としても関係者の協議を促してまいります。最後に、ローカル鉄道の維持・活用のための予算額、および道路建設保守管理の予算額についてお尋ねがありました。今回のローカル鉄道の再構築に向けた制度面・予算面での枠組みは、バス・タクシーも含めた、地域にとって最適な公共交通を実現させるための枠組みとなっております。これらの地域公共交通全体に関する予算の合計として、令和4年度補正予算では約800億円、令和5年度当初予算では約500億円を計上しております。また、道路関係予算は、令和4年度補正予算では3745億円、令和5年度当初予算では2兆1183億円となっております。なお、民間事業者が運賃収入を前提として運営する地域公共交通と公的主体が公物として整備している道路とでは、事業構造も大きく異なっており、予算規模を単純比較することは適当でないと考えております。以上です。

1:37:21

これにて質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。

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